(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した従来の液圧発生装置では、マスタシリンダ装置、ストロークシミュレータおよびモータシリンダ装置が別ユニットであるため、車両に搭載するためのスペースをユニットごとに確保する必要がある。また、従来の液圧発生装置では、各ユニットを複数の外部配管によって連結しているので、車両に搭載するためのスペースを確保することが難しいとともに、車両に搭載するときの組み付け工数が多くなっている。
【0005】
本発明は、車両に搭載するためのスペースを確保し易くなるとともに、車両への組み付け工数を少なくすることができる液圧発生装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、
第一の発明は、液圧発生装置であって、液圧路が形成された一つの基体と、ブレーキ操作子に連結された第一ピストンによってブレーキ液圧を発生させるマスタシリンダと、モータを駆動源とする第二ピストンによってブレーキ液圧を発生させるモータシリンダと、を備えている。前記基体は、前記第一ピストンが挿入される有底の第一シリンダ穴と、前記第二ピストンが挿入される有底の第二シリンダ穴と、前記液圧路に設けられた電磁弁と、を有している。前記第一シリンダ穴および前記第二シリンダ穴の各軸線が並列に配置されている。前記基体を車両に搭載した状態において、
前記第二シリンダ穴は、前記第一シリンダ穴の下方に配置されるとともに、前記基体の側面には、前記モータおよび前記電磁弁を制御する制御装置
の制御基板が収容されたハウジングが取り付けられている。
前記ハウジングは、前記第一シリンダ穴および前記第二シリンダ穴の側方に配置されている。
前記課題を解決するため、第二の発明は、液圧発生装置であって、液圧路が形成された一つの基体と、ブレーキ操作子に連結された第一ピストンによってブレーキ液圧を発生させるマスタシリンダと、モータを駆動源とする第二ピストンによってブレーキ液圧を発生させるモータシリンダと、を備えている。前記基体は、前記第一ピストンが挿入される有底の第一シリンダ穴と、前記第二ピストンが挿入される有底の第二シリンダ穴と、前記液圧路に設けられた電磁弁と、を有している。前記第一シリンダ穴および前記第二シリンダ穴の各軸線が並列に配置されている。前記基体を車両に搭載した状態において、前記基体の側面には、前記モータおよび前記電磁弁を制御する制御装置が取り付けられるとともに、前記モータは、前記第一シリンダ穴よりも鉛直方向の下方に取り付けられている。前記制御装置の下部が前記モータの側面と対向する位置に配置されている。
【0007】
この構成では、マスタシリンダおよびモータシリンダの各シリンダ穴が一つの基体に設けられており、前記した二つの装置が一つのユニットとして構成されている。さらに、各シリンダ穴の軸線を並列させることで、各シリンダ穴を略直方体の基体に対して各シリンダ穴の径方向にコンパクトに納めることができる。また、各シリンダ穴の加工性や組み付け性を向上させることができる。このように、本発明では、液圧発生装置の各装置を一つのユニットとして構成し、さらに、そのユニットを小型化することができるため、液圧発生装置を車両に搭載するためのスペースを確保し易くなっている。
また、液圧発生装置の各装置を一つのユニットにすることで、各装置を基体内の液圧路によって連結することができ、外部配管を必要としないため、液圧発生装置を車両に搭載するときの組み付け工数を少なくするとともに、部品点数を少なくして製造コストを低減することができる。
【0008】
前記した液圧発生装置は、付勢された第三ピストンによって前記ブレーキ操作子に擬似的な操作反力を付与するストロークシミュレータを備え、前記基体は、前記第三ピストンが挿入される有底の第三シリンダ穴を有している場合には、前記第一シリンダ穴、前記第二シリンダ穴および前記第三シリンダ穴の各軸線を並列に配置することが望ましい。
【0009】
この構成では、マスタシリンダ、ストロークシミュレータおよびモータシリンダの三つの装置が一つのユニットとして構成されており、三つのシリンダ穴の軸線を並列させることで、三つのシリンダ穴を基体内にコンパクトに納めることができる。このように、液圧発生装置の三つの装置を一つのユニットとして構成し、さらに、そのユニットを小型化することができるため、液圧発生装置を車両に搭載するためのスペースを確保し易くなっている。
また、液圧発生装置の三つの装置を一つのユニットにすることで、各装置を基体内の液圧路によって連結することができるため、液圧発生装置を車両に搭載するときの組み付け工数を少なくするとともに、部品点数を少なくして製造コストを低減することができる。
【0010】
前記した液圧発生装置において、前記第一シリンダ穴を前記基体の一側面に開口させ、前記第二シリンダ穴を前記基体において前記一側面の反対側の側面である他側面に開口した場合には、基体の一方側にブレーキ操作子が配置され、基体の他方側に第二ピストンとモータとを連結する駆動伝達機構が配置されることになる。これにより、基体の周囲のスペースにおいてブレーキ操作子の反対側のスペースを有効に利用してモータの駆動伝達機構などをレイアウトすることができるため、液圧発生装置を車両に搭載するためのスペースを確保し易くなっている。
【0011】
前記した液圧発生装置は、前記液圧発生装置を車両に搭載した状態において、前記第二シリンダ穴を前記第一シリンダ穴に対して鉛直方向の下方に配置することが望ましい。さらに、前記液圧発生装置を車両に搭載した状態において、前記モータを
前記第一シリンダ穴よりも鉛直方向の下方に取り付けることが望ましい。
このように、モータシリンダを基体の下部に配置することで、液圧発生装置の重心が低くなるため、液圧発生装置の安定性を高めることができる。特に、モータは重量が大きい部品であるため、基体の下部に取り付けることで、液圧発生装置の安定性を効果的に高めることができる。
【0012】
前記した液圧発生装置は、前記液圧発生装置を車両に搭載した状態において、前記基体の側面に前記モータを制御する制御装置を取り付けてもよい。さらに、前記制御装置の下部を前記モータの側面と対向する位置に配置することで、モータと制御装置とが電気的に接続し易くなる。
【0013】
前記した液圧発生装置において、前記第三シリンダ穴を前記第一シリンダ穴の側方に配置した場合には、マスタシリンダをストロークシミュレータに連結し易くなる。
また、前記した液圧発生装置において、前記第三シリンダ穴を前記第一シリンダ穴に対して前記制御装置側の反対側に配置することが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、液圧発生装置の各装置を一つのユニットとして構成し、さらに、そのユニットを小型化することができるため、車両に搭載するためのスペースを確保し易くなっている。また、液圧発生装置の各装置を一つのユニットにすることで、車両に搭載するときの組み付け工数を少なくするとともに、製造コストを低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態では、本発明の液圧発生装置を、
図1に示す車両用ブレーキシステムAに適用した場合を例として説明する。
【0017】
車両用ブレーキシステムAは、
図1に示すように、原動機(エンジンや電動モータ等)の起動時に作動するバイ・ワイヤ(By Wire)式のブレーキシステムと、非常時や原動機の停止時などに作動する油圧式のブレーキシステムの双方を備えるものである。
【0018】
車両用ブレーキシステムAは、ブレーキペダルP(特許請求の範囲における「ブレーキ操作子」)の操作量に応じてブレーキ液圧を発生させる液圧発生装置1と、車両挙動の安定化を支援する液圧制御装置2と、を備えている。
車両用ブレーキシステムAは、エンジン(内燃機関)のみを動力源とする自動車のほか、モータを併用するハイブリッド自動車やモータのみを動力源とする電気自動車・燃料電池自動車等にも搭載することができる。
【0019】
液圧発生装置1は、基体10と、ブレーキペダルPの踏力によってブレーキ液圧を発生させるマスタシリンダ20と、ブレーキペダルPに擬似的な操作反力を付与するストロークシミュレータ30と、モータ46を駆動源としてブレーキ液圧を発生させるモータシリンダ40と、電子制御装置50(特許請求の範囲における「制御装置」)と、を備えている。
【0020】
なお、以下の説明における各方向は、液圧発生装置1を説明する上で便宜上設定したものであるが、液圧発生装置1を車両に搭載したときの方向と概ね一致している。すなわち、ブレーキペダルPを踏み込んだときのロッドP1の移動方向を前方(前端側)とし、ブレーキペダルPが戻ったときのロッドP1の移動方向を後方(後端側)としている(
図2参照)。さらに、ロッドP1の移動方向(前後方向)に対して水平に直交する方向を左右方向としている(
図3参照)。
【0021】
基体10は、車両に搭載される金属部品であり(
図2参照)、略直方体状の本体部10aの内部には三つのシリンダ穴21,31,41および複数の液圧路11a,11b,12,14a,14bが形成されている。また、基体10には、
図2に示すように、リザーバ26およびモータ46等の部品が取り付けられる。
【0022】
本体部10aの前面10bには収容溝10hが形成されている。この収容溝10hには後記する駆動ギア46bおよび従動ギア47cが収容される。また、本体部10aの下面10eの前部には、下方に突出したモータ取付部10iが形成されている。さらに、収容溝10hの底面からモータ取付部10iの後面に亘って挿通穴10jが前後方向に貫通している。
【0023】
第一シリンダ穴21は、有底円筒状の穴であり、第一シリンダ穴21の軸線L1は前後方向に延在している。第一シリンダ穴21は、本体部10aの後面10cに形成された突出部10gの端面に開口している。
第二シリンダ穴41は、第一シリンダ穴21に対して鉛直方向の下方に配置された有底円筒状の穴であり(
図3参照)、第二シリンダ穴41の軸線L3は第一シリンダ穴21の軸線L1に平行である。第二シリンダ穴41は収容溝10hの底面に開口している。
第三シリンダ穴31は、第一シリンダ穴21の左側方に配置された有底円筒状の穴であり(
図3参照)、第三シリンダ穴31の軸線L2は第一シリンダ穴21の軸線L1に平行である。第三シリンダ穴31は本体部10aの後面10cに開口している。
【0024】
マスタシリンダ20は、第一シリンダ穴21に挿入された二つの第一ピストン22,23(セコンダリピストンおよびプライマリピストン)と、第一シリンダ穴21内に収容された二つの弾性部材24,25と、リザーバ26と、を備えている。
【0025】
第一シリンダ穴21の底面21aと、底面21a側の第一ピストン22(セコンダリピストン)との間には底面側圧力室21cが形成されている。底面側圧力室21cにはコイルばねである第一弾性部材24が介設されている。
【0026】
底面21a側の第一ピストン22と、開口部21b側の第一ピストン23(プライマリピストン)との間には開口側圧力室21dが形成されている。また、開口側圧力室21dにはコイルばねである第二弾性部材25が介設されている。
【0027】
開口部21b側の第一ピストン23の後端部は、ロッドP1を介してブレーキペダルP(
図1参照)に連結されている。両第一ピストン22,23は、ブレーキペダルPの踏力を受けて第一シリンダ穴21内を摺動し、底面側圧力室21c内および開口側圧力室21d内のブレーキ液を加圧する。
【0028】
リザーバ26は、ブレーキ液を貯溜する容器であり、基体10の本体部10aの上面10dに取り付けられている。リザーバ26の下面に突設された二つの給液部26aは、基体10の上面10dに形成された二つのリザーバユニオンポート17に挿入されている。
リザーバユニオンポート17の底面には、第一シリンダ穴21の内周面に通じている連通穴17aが開口している。
また、リザーバ26の給液管26bにはメインリザーバ(図示せず)から延ばされたホース26c(
図1参照)が連結されている。
【0029】
ストロークシミュレータ30は、
図1に示すように、第三シリンダ穴31に挿入された第三ピストン32と、第三シリンダ穴31の開口部31bを閉塞する蓋部材33と、第三ピストン32と蓋部材33との間に介設されたコイルばねである弾性部材34と、を備えている。
【0030】
第三シリンダ穴31の底面31aと第三ピストン32との間には圧力室31cが形成されている。第三シリンダ穴31内の圧力室31cは、後記する分岐液圧路12および第二メイン液圧路11bを介して、第一シリンダ穴21内の第二圧力室21dに通じている。したがって、マスタシリンダ20の第二圧力室21dで発生したブレーキ液圧によって、ストロークシミュレータ30の第三ピストン32が弾性部材34の付勢力に抗して移動し、付勢された第三ピストン32によってブレーキペダルPに擬似的な操作反力が付与される。
【0031】
モータシリンダ40は、
図2に示すように、第二シリンダ穴41に挿入された二つの第二ピストン42,43(セコンダリピストンおよびプライマリピストン)と、第二シリンダ穴41内に収容された二つの弾性部材44,45と、モータ46と、駆動伝達部47と、を備えている。
【0032】
第二シリンダ穴41の底面41aと、底面41a側の第二ピストン42(セコンダリピストン)との間には底面側圧力室41cが形成されている。また、底面側圧力室41cにはコイルばねである第一弾性部材44が介設されている。
モータシリンダ40の底面側圧力室41cは、後記する第一連絡液圧路14aを介して、第二メイン液圧路11bに通じている。
【0033】
底面41a側の第二ピストン42と、開口部41b側の第二ピストン43(プライマリピストン)との間には開口側圧力室41dが形成されている。また、開口側圧力室41dには第二弾性部材45が介設されている。
モータシリンダ40の開口側圧力室41dは、後記する第二連絡液圧路14bを介して、第一メイン液圧路11aに通じている。
【0034】
モータ46は、後記する電子制御装置50によって駆動制御される電動サーボモータである。モータ46の前端面の中心部から前方に向けて出力軸46aが突出している。
モータ46の前端面は、基体10のモータ取付部10iの後面に取り付けられている。出力軸46aは挿通穴10jに挿通され、収容溝10h内に突出している。出力軸46aの前端部には、平歯車である駆動ギア46bが取り付けられている。
モータ46は、本体部10aの下面10eに対して鉛直方向の下方に配置され、基体10の最下部(モータ取付部10i)に取り付けられている(
図3参照)。また、出力軸46aの軸線L4は、軸線L1および軸線L3を含む平面内においての軸線L3に平行である。
【0035】
駆動伝達部47は、モータ46の出力軸46aの回転駆動力を直線方向の軸力に変換するものである。
駆動伝達部47は、開口部41b側の第二ピストン43に当接しているロッド47aと、ロッド47aを取り囲んでいる筒状のナット部材47bと、ナット部材47bの全周に形成された平歯車である従動ギア47cと、を備えている。
基体10の本体部10aの前面10bには、駆動伝達部47を覆っているカバー部材47dが取り付けられている。
【0036】
ロッド47aは開口部41bから第二シリンダ穴41内に挿入されており、ロッド47aの後端部が開口部41b側の第二ピストン43に当接している。ロッド47aの前部は、収容溝10hの底面から前方に突出している。従動ギア47cは収容溝10h内に収容されている。
【0037】
ロッド47aの前部の外周面には、螺旋状のねじ溝が形成されている。ねじ溝には複数のボール(図示せず)が転動自在に収容され、ナット部材47bは各ボールに螺合されている。このように、ナット部材47bとロッド47aとの間にはボールねじ機構が設けられている。
また、ナット部材47bは、従動ギア47cを挟んで両側に配置されたベアリングを介して、カバー部材47dの内面と基体10の収容溝10hに固定されている。
また、ナット部材47bの従動ギア47cは、出力軸46aの駆動ギア46bに噛み合っている。
【0038】
出力軸46aが回転すると、その回転駆動力が駆動ギア46bおよび従動ギア47cを介してナット部材47bに入力される。そして、ナット部材47bとロッド47aとの間に設けられたボールねじ機構によって、ロッド47aに直線方向の軸力が付与され、ロッド47aが前後方向に進退移動する。
ロッド47aが後方に移動したときには、両第二ピストン42,43がロッド47aからの入力を受けて第二シリンダ穴41内を摺動し、底面側圧力室41c内および開口側圧力室41d内のブレーキ液を加圧する。
【0039】
次に、基体10内に形成された各液圧路について説明する。
二つのメイン液圧路11a,11bは、
図1に示すように、マスタシリンダ20の第一シリンダ穴21を起点とする液圧路である。
第一メイン液圧路11aは、マスタシリンダ20の底面側圧力室21cに通じている。また、第二メイン液圧路11bは、マスタシリンダ20の開口側圧力室21dに通じている。両メイン液圧路11a,11bの終点である二つの出力ポート16には、液圧制御装置2に至る配管Ha,Hbが連結されている。
【0040】
分岐液圧路12は、ストロークシミュレータ30の圧力室31cから第二メイン液圧路11bに至る液圧路である。分岐液圧路12には常閉型電磁弁13が設けられている。常閉型電磁弁13は分岐液圧路12を開閉するものである。
【0041】
二つの連絡液圧路14a,14bは、モータシリンダ40の第二シリンダ穴41を起点とする液圧路である。第一連絡液圧路14aは底面側圧力室41cから第二メイン液圧路11bに通じている。また、第二連絡液圧路14bは開口側圧力室41dから第一メイン液圧路11aに通じている。
【0042】
マスタシリンダ20の底面側圧力室21cは、第一シリンダ穴21において、基体10の前面10b側に配置されている。また、モータシリンダ40の開口側圧力室41dは、第二シリンダ穴41において、基体10の前面10b側に配置されている。そして、マスタシリンダ20の底面側圧力室21cと、モータシリンダ40の開口側圧力室41dとが第二メイン液圧路11bおよび第一連絡液圧路14aを介して通じている。
【0043】
マスタシリンダ20の開口側圧力室21dは、第一シリンダ穴21において、基体10の後面10c側に配置されている。また、モータシリンダ40の底面側圧力室41cは、第二シリンダ穴41において、基体10の後面10c側に配置されている。そして、マスタシリンダ20の開口側圧力室21dと、モータシリンダ40の底面側圧力室41cとが第一メイン液圧路11aおよび第二連絡液圧路14bを介して通じている。
【0044】
前記したように、前面10b側のマスタシリンダ20の底面側圧力室21cおよびモータシリンダ40の開口側圧力室41dを連通させるとともに、後面10c側のマスタシリンダ20の開口側圧力室21dおよびモータシリンダ40の底面側圧力室41cを連通させている。
この構成では、マスタシリンダ20の底面側圧力室21cとモータシリンダ40の開口側圧力室41dとを連通させる液圧路と、マスタシリンダ20の開口側圧力室21dとモータシリンダ40の底面側圧力室41cとを連通させる液圧路とが交差しない。
したがって、マスタシリンダ20とモータシリンダ40との間の各液圧路11a,11b,14a,14bをコンパクトに配置することができる。
【0045】
第一メイン液圧路11aにおいて、第二連絡液圧路14bとの連結部位よりも上流側(マスタシリンダ20側)には、第一常開型電磁弁15aが設けられている。
第二メイン液圧路11bにおいて、第一連絡液圧路14aとの連結部位よりも上流側(マスタシリンダ20側)には、第二常開型電磁弁15bが設けられている。
【0046】
二つの圧力センサ18a,18bは、ブレーキ液圧の大きさを検知するものであり、メイン液圧路11a,11bに通じるセンサ装着穴(図示せず)に装着されている。両圧力センサ18a,18bで取得された情報は電子制御装置50に出力される。
【0047】
第一圧力センサ18aは、第一常開型電磁弁15aよりも上流側に配置されており、マスタシリンダ20で発生したブレーキ液圧を検知する。
第二圧力センサ18bは、第二常開型電磁弁15bよりも下流側に配置されており、第二常開型電磁弁15bが閉弁しているときには、モータシリンダ40で発生したブレーキ液圧を検知する。
【0048】
電子制御装置50は、
図3に示すように、基体10の本体部10aの右側面10fに取り付けられた樹脂製の箱体であるハウジング51を有しており、このハウジング51内に制御基板(図示せず)が収容されている。
電子制御装置50は、
図1に示すように、両圧力センサ18a,18bやストロークセンサ等の各種センサから得られた情報や予め記憶させておいたプログラム等に基づいて、モータ46の作動、常閉型電磁弁13の開閉および両常開型電磁弁15a,15bの開閉を制御する。
【0049】
図3に示すように、ハウジング51の下部は、本体部10aの下面10eよりも下方に突出しており、モータ46の右方に位置している。すなわち、ハウジング51の下部は、モータ46の側面に対向する位置に配置されている。ハウジング51の下面は、出力軸46aの軸線L4よりも下方に位置している。また、ハウジング51の下部とモータ46との間には、制御基板(図示せず)からモータ46に給電するためのモータバスバー53が架け渡されている。
【0050】
液圧制御装置2は、
図1に示すように、車輪ブレーキの各ホイールシリンダWに付与するブレーキ液圧を適宜制御することで、アンチロックブレーキ制御や挙動安定化制御等の各種液圧制御を実行し得る構成を備えており、配管を介して各ホイールシリンダWに接続されている。
なお、図示は省略するが、液圧制御装置2は、電磁弁やポンプ等が設けられた液圧ユニット、ポンプを駆動するためのモータ、電磁弁やモータ等を制御するための電子制御装置等を備えている。
【0051】
次に車両用ブレーキシステムAの動作について概略説明する。
車両用ブレーキシステムAでは、
図1に示すように、車両のイグニッションスイッチがONになったり、ブレーキペダルPが僅かに操作されたことをストロークセンサが検知したりすると、第一常開型電磁弁15aおよび第二常開型電磁弁15bが閉弁する。これにより、第一メイン液圧路11aの下流側と第二連絡液圧路14bとが通じるとともに、第二メイン液圧路11bの下流側と第一連絡液圧路14aとが通じる。また、常閉型電磁弁13は開弁する。
【0052】
この状態では、ブレーキペダルPの操作によってマスタシリンダ20で発生したブレーキ液圧は、ホイールシリンダWに伝達されずに、ストロークシミュレータ30に伝達される。そして、圧力室31cのブレーキ液圧が大きくなり、第三ピストン32が弾性部材34の付勢力に抗して蓋部材33側に移動することで、ブレーキペダルPのストロークが許容される。このとき、弾性部材34によって付勢された第三ピストン32によって擬似的な操作反力がブレーキペダルPに付与される。
【0053】
また、図示しないストロークセンサ等によって、ブレーキペダルPの踏み込みが検知されると、モータシリンダ40のモータ46が駆動され、両第二ピストン43,44が底面41a側に移動することで、両圧力室41c,41d内のブレーキ液が加圧される。
電子制御装置50は、モータシリンダ40から出力されたブレーキ液圧(第二圧力センサ18bで検知されたブレーキ液圧)と、マスタシリンダ20から出力されたブレーキ液圧(第一圧力センサ18aで検知されたブレーキ液圧)とを対比し、その対比結果に基づいてモータ46の回転数等を制御する。このようにして、液圧発生装置1ではブレーキペダルPの操作量に応じてブレーキ液圧を発生させる。
【0054】
液圧発生装置1で発生したブレーキ液圧は、液圧制御装置2を介して各ホイールシリンダWに伝達され、各ホイールシリンダWが作動することにより、各車輪に制動力が付与される。
【0055】
なお、モータシリンダ40が作動しない状態(例えば、電力が得られない場合や非常時など)においては、第一常開型電磁弁15aおよび第二常開型電磁弁15bが開弁している。これにより、第一メイン液圧路11aの下流側と上流側とが通じるとともに、第二メイン液圧路11bの下流側と上流側とが通じる。また、常閉型電磁弁13は閉弁する。この状態では、マスタシリンダ20で発生したブレーキ液圧が各ホイールシリンダWに伝達される。
【0056】
以上のような液圧発生装置1では、
図1に示すように、マスタシリンダ20、ストロークシミュレータ30およびモータシリンダ40の各シリンダ穴21,31,41が一つの基体10に設けられており、前記した三つの装置が一つのユニットとして構成されている。さらに、
図2に示すように、各シリンダ穴21,31,41の軸線L1,L2,L3を並列させることで、各シリンダ穴21,31,41を略直方体の基体10に対して各シリンダ穴21,31,41の径方向にコンパクトに納めることができる。また、各シリンダ穴21,31,41の加工性や組み付け性を向上させることができる。
このように、液圧発生装置1の各装置を一つのユニットとして構成し、さらに、そのユニットを小型化することができるため、液圧発生装置1を車両に搭載するためのスペースを確保し易くなっている。
【0057】
また、液圧発生装置1の各装置を一つのユニットにすることで、
図1に示すように、各装置を基体10内の液圧路によって連結することができ、外部配管を必要としないため、液圧発生装置1を車両に搭載するときの組み付け工数を少なくするとともに、部品点数を少なくして製造コストを低減することができる。
【0058】
また、
図3に示すように、第三シリンダ穴31が第一シリンダ穴21の側方に配置されているため、ストロークシミュレータ30の圧力室31cとマスタシリンダ20の開口側圧力室21dとを液圧路11b,12によって連結し易くなっている。
【0059】
また、
図2に示すように、第二シリンダ穴41が第一シリンダ穴21の下方に配置されるとともに、モータ46が基体10の下部に取り付けられており、重量が大きい部品が基体10の下部に配置されている。
これにより、液圧発生装置1の重心が低くなっているため、液圧発生装置1の安定性を高めることができる。特に、モータ46は重量が大きい部品であるため、基体10の最下部に取り付けることで、液圧発生装置1の安定性を効果的に高めることができる。
【0060】
また、モータ46の出力軸46aの軸線L4は、各シリンダ穴21,31,41の軸線L1,L2,L3と平行に配置されており、モータ46は基体10の本体部10aの下面10eの直下に配置されているため、液圧発生装置1をコンパクトに構成することができる。
また、
図3に示すように、電子制御装置50の下部がモータ46の側面と対向する位置に配置されているため、モータ46と電子制御装置50とを電気的に接続し易くなっている。
【0061】
また、液圧発生装置1では、
図2に示すように、マスタシリンダ20の第一シリンダ穴21が基体10の後面10cに開口し、モータシリンダ40の第二シリンダ穴41が基体10の前面10bに開口している。この構成では、基体10の後側にブレーキペダルPが配置され、基体10の前側に第二ピストン43,44とモータ46の出力軸46aとを連結する駆動伝達部47が配置される。これにより、基体10の周囲のスペースにおいて、ブレーキペダルPの反対側のスペースを有効に利用して、モータ46の駆動伝達部47などをレイアウトすることができるため、液圧発生装置1を車両に搭載するためのスペースを確保し易くなっている。
【0062】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
本実施形態では、
図3に示すように、第一シリンダ穴21の側方に第三シリンダ穴31を配置し、第一シリンダ穴21の下方に第二シリンダ穴41を配置しているが、三つのシリンダ穴21,31,41の配置は限定されるものではない。
また、リザーバ26、モータ46および電子制御装置50の配置も限定されるものではなく、各シリンダ穴21,31,41の配置に応じて設定することができる。
【0063】
本実施形態では、
図2に示すように、第一シリンダ穴21が基体10の後面10cに開口し、第二シリンダ穴41が前面10bに開口しているが、第二シリンダ穴41を基体10の後面10cに開口してもよい。さらに、第三シリンダ穴31を基体10の前面10bに開口してもよい。
【0064】
本実施形態では、
図1に示すように、マスタシリンダ20の底面側圧力室21cと、モータシリンダ40の開口側圧力室41dとが通じるとともに、マスタシリンダ20の開口側圧力室21dと、モータシリンダ40の底面側圧力室41cとが通じている。しかしながら、マスタシリンダ20の底面側圧力室21cと、モータシリンダ40の底面側圧力室41cとが通じるとともに、マスタシリンダ20の開口側圧力室21dと、モータシリンダ40の開口側圧力室41dとが通じるように液圧路を構成してもよい。
【0065】
本実施形態では、
図2に示すように、マスタシリンダ20およびモータシリンダ40が二つのピストンを有するタンデム型のシリンダとなっているが、一つのピストンを用いたシリンダによってマスタシリンダおよびモータシリンダを構成してもよい。
【0066】
本実施形態の液圧発生装置1では、
図1に示すように、マスタシリンダ20、ストロークシミュレータ30およびモータシリンダ40の三つの装置が設けられているが、マスタシリンダ20およびモータシリンダ40の二つの装置だけを設けてもよい。