(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付図面を参照して例示的な実施形態が記載される。図中で、参照番号の最上位桁(単数又は複数)は、参照番号が最初に現われる図を特定する。便利であればどこでも、複数の図面を通じて同じか又は同様の部分を指すために同じ参照番号が用いられる。本明細書では開示される原理の例及び特徴が記載されるが、開示される実施形態の趣旨及び範囲から逸脱することなく修正、適合、及び他の実装が可能である。以下の詳細な記載は、例示的であるに過ぎないとみなされ、真の範囲及び趣旨は、添付の特許請求の範囲によって示されることが意図される。
【0013】
本発明は、第1の信号に対応する位相シフト信号を生成するためにブロー装置を用いることによって従来の肺の健康を監視する技術の制限を解消する。実施形態では、第1の信号は、ブリーズ信号でありうる。説明の簡素化のために、第1の信号はブリーズ信号として代替的に示されうる。更に、位相シフト信号に対応する信号電圧が生成され、信号電圧は、信号電圧を処理することによってフロー信号に変換される。更に、フロー信号は、容量信号に変換され、一連の生理学的特徴がフロー信号及び容量信号から抽出される。更に、被験者の肺の健康は、回帰ベースの機械学習技術に基づいて一連の生理学的特徴を処理することにより分析される。肺の健康を監視するシステム及び方法の実装は、
図1から12を参照して更に詳細に説明される。
【0014】
次に図面、より具体的には、対応する特徴を同様の参照文字が複数の図にわたって一貫して示す
図1から12を参照すると、好ましい実施形態が示され、以下の例示的なシステム及び/又は方法に照らしてこれらの実施形態が記載されている。
【0015】
図1は、本開示の一例の実施形態に係る、肺の健康を監視するシステム102を実装するネットワーク環境を示す。肺の健康を監視するシステム102は、以下、システム102と呼ばれ、ブリーズ信号に対応する干渉信号を受け付け、ブロー装置120を用いることによって干渉信号を処理することにより位相シフト信号を生成するように構成される。システム102は、コンピューティングデバイス、例えば、コンピューティングデバイス104で具現化されてもよい。
【0016】
本開示は、システム102がサーバ上に実装されることを考慮して説明されるが、システム102はまた、例えば、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ネットブック、ワークステーション、クラウドベースコンピュータ環境等のような各種のコンピューティングシステムに実装されてもよいことが理解される。一つの実装では、システム102は、クラウドベース環境に実装されてもよい。システム102は、以下、合わせてユーザデバイス106と呼ばれる1以上のユーザデバイス106−1,106−2...106−Nを通じて複数のユーザによって、又はユーザデバイス106にあるアプリケーションによってアクセスされてもよいことが理解されるであろう。ユーザデバイス106の例は、限定されないが、ポータブルコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント、ハンドヘルドデバイス、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ワークステーション等を含んでもよい。ユーザデバイス106は、ワークステーション108を通じてシステム102と通信可能に結合される。
【0017】
実施形態では、ネットワーク108は、無線又は有線ネットワーク若しくはその組み合わせであってもよい。一例では、ネットワーク108は、バーチャルプライベートネットワーク(VPN)、イントラネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、インターネット等のような、異なる種類のネットワークのうちの1つとして、コンピュータネットワークとして実装されうる。ネットワーク108は、専用ネットワーク又は共有ネットワークのいずれであってもよく、これは、互いに通信するために、様々な種類のプロトコル、例えば、ハイパーテキストトランスファプロトコル(HTTP)、トランスミッションコントロールプロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)、及びワイヤレスアプリケーションプロトコル(WAP)を用いる異なる種類のネットワークの組織を表す。更に、ネットワーク108は、ルータ、ブリッジ、サーバ、コンピューティングデバイス、ストレージデバイスを含む様々なネットワークデバイスを含んでもよい。ネットワーク内のネットワークデバイスは、通信リンクを通じてシステム102と相互作用してもよい。
【0018】
上述されたように、システム102は、ハンドヘルドデバイス、ラップトップ又は他のポータブルコンピュータ、タブレットコンピュータ、モバイルフォン、PDA、スマートフォン、及びデスクトップコンピュータ等のようなコンピューティングデバイスに実装されてもよい。システム102は、ワークステーション、メインフレームコンピュータ、サーバ、及びネットワークサーバにも実装されてもよい。実施形態では、システム102は、データリポジトリ、例えば、リポジトリ112と結合されてもよい。リポジトリ112は、システム102によって処理、受け付け及び生成されたデータを格納してもよい。別の実施形態では、システム102は、リポジトリ112を含んでもよい。システム102の構成要素及び機能は、
図2を参照して更に詳細に説明される。
【0019】
図2は、本開示の一部の実施形態に係る、肺の健康を監視するシステムのブロック図を示す。肺の健康を監視するシステム200(以下、システム200という)は、システム102(
図1)の一例であってもよい。一例の実施形態では、システム200は、システム、例えば、システム102(
図1)との直接通信で具現化されてもよい、又はシステム102(
図1)と直接通信されてもよい。システム200は、プロセッサ202のような1以上のハードウェアプロセッサ、メモリ204のような少なくとも1つのメモリ、I/Oインターフェース206及び信号分析ユニット250を含む又は通信してもよい。実施形態では、信号分析ユニット250は、信号処理ユニット(
図2には図示せず)、生理学的特徴抽出ユニット(
図2には図示せず)、及びLocally Weighted Learning(LWL)(局所重み付け学習)ベースの分類ユニット(
図2には図示せず)を備えるシステム200にスタンドアローンとして実装されうる。別の実施形態では、信号分析ユニット250は、信号処理ユニット(
図2には図示せず)、生理学的特徴抽出ユニット(
図2には図示せず)、及びLWLベースの分類ユニット(
図2には図示せず)を備えるメモリ204にモジュールとして実装されうる。プロセッサ202、メモリ204及びI/Oインターフェース206は、例えば、システムバス208又は同様の機構のようなシステムバスによって結合されてもよい。
【0020】
I/Oインターフェース206は、例えば、ウェブインターフェース、グラフィカルユーザーインターフェース等の様々なソフトウェア及びハードウェアインターフェースを含んでもよい。インターフェース206は、例えば、キーボード、マウス、外部メモリ、カメラデバイス及びプリンタのような周辺機器(単数又は複数)のためのインターフェースのような様々なソフトウェア及びハードウェアインターフェースを含んでもよい。更に、インターフェース206は、システム102がウェブサーバ及び外部データベース等のような他のデバイスと通信することを可能にしてもよい。インターフェース206は、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ケーブル等の有線ネットワーク及びワイヤレスLAN(WLAN)、セルラー又は衛星等の無線ネットワークを含む、広範囲なネットワーク及びプロトコルタイプ内の複数の通信を容易にしうる。目的のために、インターフェース206は、複数のコンピューティングシステムと互いに又は他のサーバコンピュータと接続するための1以上のポートを含んでもよい。I/Oインターフェース206は、複数のデバイスを互いに又は別のサーバと接続するための1以上のポートを含んでもよい。
【0021】
ハードウェアプロセッサ202は、1以上のマイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、中央処理ユニット、ステートマシン、ロジック回路、及び/又は動作命令に基づいて信号を操作する任意の装置として実装されてもよい。他の機能のうち、ハードウェアプロセッサ202は、メモリ204に格納されたコンピュータ可読命令をフェッチ及び実行するように構成される。
【0022】
メモリ204は、例えば、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)及びランダムアクセスメモリ(DRAM)のような揮発性メモリ、及び/又はリードオンリーメモリ(ROM)、消去可能なプログラム可能ROM、フラッシュメモリ、ハードディスク、光学ディスク、磁気テープのような不揮発性メモリを含む、既存のコンピュータ可読媒体を含んでもよい。実施形態では、メモリ204は、モジュール220及び信号分析ユニット250の1以上によって処理、受け付け及び生成されるデータを格納するための複数のモジュール220及びリポジトリ240を含む。モジュール220は、特定のタスクを行う又は特定のアブストラクトデータタイプを実装する、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造等を含んでもよい。
【0023】
メモリ204は、また、モジュール(単数又は複数)220及びデータリポジトリ240を含む。モジュール(単数又は複数)220は、肺の健康を監視するシステム220によって行われるアプリケーション又は機能を補完するプログラム又はコード化された命令を含む。モジュール220は、他のもののうち、特定のタスクを行う又は特定のアブストラクトデータタイプを実装する、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、及びデータ構造を含みうる。モジュール220は、また、信号プロセッサ(単数又は複数)、ステートマシン(単数又は複数)、ロジック回路、及び/又は動作命令に基づいて信号を操作する他のデバイス又はコンポーネントとしても使用されてもよい。更に、モジュール220は、ハードウェア、プロセッシングユニットによって実行されるコンピュータ可読命令、又はそれらの組み合わせによって使用されうる。モジュール220は、各種のサブモジュール(図示せず)を含みうる。モジュール220は、肺の健康を監視するシステム200によって行われるアプリケーション又は機能を補完するコンピュータ可読命令を含んでもよい。
【0024】
データリポジトリ240は、干渉信号データベース242、位相シフト信号データベース244、呼吸信号データベース246及び他のデータ248を含んでもよい。更に、他のデータ248は、とりわけ、モジュール(単数又は複数)220及び信号分析ユニット250と関連付けられたモジュールのうちの1以上のモジュールの実行の結果として処理、受け付け及び生成されるデータを格納するためのリポジトリとして機能してもよい。リポジトリ240は、更に、データリポジトリ240に格納された信号と関連付けられた一連の特徴を維持するように構成される。
【0025】
データリポジトリ240は、肺の健康を監視するシステム200の内部に示されているが、別の実施形態では、データリポジトリ240は、肺の健康を監視するシステム200の外部に実装されることもでき、ここで、データリポジトリ240は、肺の健康を監視するシステム200に通信可能に結合されたデータベース(
図2には図示せず)内に格納されてもよいことが留意されるであろう。このような外部データベース内に含まれるデータは、周期的に更新されてもよい。例えば、新たなデータは、データベース(
図2には図示せず)に追加されてもよい、及び/又は既存のデータは修正されてもよい、及び/又は不要なデータは、データベース(
図2には図示せず)から削除されてもよい。一例では、データは、Lightweight Directory Access Protocol(LDAP)ディレクトリ及びRelational Database Management System(RDBMS)のような外部システムに格納されてもよい。別の実施形態では、データリポジトリ240に格納されるデータは、肺の健康を監視するシステム200と外部データベースとの間に分配されてもよい。
【0026】
図3は、本開示の一部の実施形態に係る、肺の健康を監視するシステムのための一例のアーキテクチャを示す。ここで、被験者302からのブリーズ信号は、ブロー装置314を通じて流れることを許可される。実施形態では、ブリーズ信号は、一回換気呼吸信号であることができ、ブロー装置314は、一回換気呼吸信号に対応する位相シフト信号を生成するように構成される。ブロー装置314は、
図4を参照して更に説明される。更に、位相シフト信号は、容量信号を生成するために信号処理ユニット308によって処理される。ここで、位相シフト信号に対応する信号電圧が生成され、信号電圧が、信号電圧に対応するフロー信号を生成するように更に処理される。更に、フロー信号は、容量信号に変換される。更に、容量信号及びフロー信号と関連付けられた一連の生理学的特徴は、生理学的特徴抽出ユニット310によって抽出される。更に、一連の生理学的特徴は、被験者の肺の健康を評価するために、LWLベースの分類ユニット312によって分析される。
【0027】
肺の健康を監視するシステム200の信号分析ユニット250は、干渉信号を受け付けるように構成されることができ、干渉信号は、ブリーズ信号に応じて修正された、基準励起信号である。複数の技術が空気流を検知するために用いられうる。例えば、機械、圧力、光学、熱、渦、電磁気、ドップラー及び超音波ベースの流量計が空気流を検知するために用いられうる。更に、超音波ベースの検知は、最も精度が高く、空気流と関連付けられた指向性流情報を提供することが可能である。ここで、干渉信号は、ブロー装置314と関連付けられた送り管(
図3参照)を用いることによって受け付けられる。ブロー装置314は、
図4を参照して更に説明される。
【0028】
実施形態では、
図4は、本開示の一部の実施形態に係る、ブロー装置314の一例のアーキテクチャを示す。ここで
図4を参照すると、ブロー装置314は、送り管(フロー管)304及びブリーズ信号ユニット306を含む。実施形態では、ブリーズ信号ユニットは、DC(直流電流)‐DCコンバータ及び複数の構成要素を含む。ここで、DC‐DCコンバータ及びパワーアイソレータ402は、複数の構成要素に電源供給を提供するように構成される。複数の構成要素は、サイン波生成器404、第1のバッファ406、第1の可変利得増幅器408、第2のバッファ412、第2の可変利得増幅器414、位相シフタ416、位相検出ユニット418、増幅器420及びマイクロコントローラ422を含む。また、DC‐DCコンバータ及びパワーアイソレータ402は、送り管304へホストされる送信機トランスデューサT
x及び受信機トランスデューサR
xへ電源供給を提供するように構成される。
【0029】
実施形態では、送信機トランスデューサT
xは、40kHzの空気結合された超音波送信機トランスデューサであることができ、受信機トランスデューサR
xは、40kHzの空気結合された超音波受信機トランスデューサであることができる。40kHzの空気結合された超音波送信機トランスデューサは、サイン波生成器404、例えば、40kHzのサイン波生成器、によって駆動される。ここで、サイン波生成器は、バッファされたサイン波を得るための第1のバッファ406及びバッファ後のサイン波を増幅するための第1の可変利得増幅器に接続される。バッファ後のサイン波は、基準励起信号である。基準励起信号は、送り管410を更に通過され、干渉信号が生成される。ここで、基準励起信号は、マウスピース506(
図5A参照)及び送り管410と関連付けられたブロー管508(
図5A参照)を通過したブリーズ信号によって干渉される。
【0030】
更に、肺の健康を監視するシステム200の信号分析ユニット250は、更に、干渉信号を処理することにより位相シフト信号を生成するように構成されうる。ここで
図4を参照すると、送り管410からの干渉信号は、第2のバッファ412によって受け付けられ、増幅された干渉信号を得るために第2の可変利得増幅器414によって更に増幅される。更に、増幅された干渉信号は、デフォルト位相シフトを補償し、かつ位相シフタユニット416により位相シフト電圧を生成するために、アイドル動作点に基づいて調整される。更に、位相検出ユニット418は、位相シフトに対応する直流(DC)電圧を得るために、位相シフト電圧と基準励起信号とを比較する。更に、位相シフトに対応するDC電圧は、増幅器420によって増幅され、更に、マイクロコントローラ422によってデジタル位相シフト信号に変換される。説明の簡素化のために、デジタル位相シフト信号は、代替的に位相シフト信号とも呼ばれうる。
【0031】
実施形態では、
図4に記述されたような送り管410は、
図5A及び
図5Bを参照して更に説明される。ここで、
図5Aは、本開示の一部の実施形態に係る、送り管304の一例の物理的構造を示す。
図5Bは、本開示の一部の実施形態に係る、送り管304の一例の略図を示す。ここで
図5Aを参照すると、送り管304は、第2の中空管510と交差結合された第1の中空管508を含む。第1の中空管508は、第2の中空管510に対して所定の角度に傾斜される。使い捨て可能なマウスピース506は、第1の中空管508の第1の端部に着脱可能に取り付けられる。送信機トランスデューサT
x502、例えば、超音波送信機トランスデューサ、は、第2の中空管510の第1の端部にホストされる。受信機トランスデューサR
x504、例えば、超音波送信機トランスデューサ、は、第2の中空管510の第2の端部にホストされる。実施形態では、第1の中空管508及び第2の中空管510は、円筒形状でありうる。実施形態では、第1の中空管508及び第2の中空管510は、直径が変化しうる。説明の簡素化のために、第1の中空管508は、代替的にブロー管とも呼ばれることができ、第2の中空管510は、代替的にセンサ管とも呼ばれることができる。ここで、被験者からのブリーズ信号は、マウスピース506を通じてブロー管508へ通過される。ブロー管508におけるブリーズ信号の流れ方向は、破線で表され、送信機トランスデューサ502から受信機トランスデューサ504への超音波の流れ方向は、実線で表される。実施形態では、ブロー管304は、3Dプリントされた管である。
【0032】
ここで
図5Bを参照すると、第1の中空管508の第1の端部は、「A」で表され、第1の中空管508の第2の端部は、「B」で表される。ブロー管508と関連付けられた信号経路は、A−Bで表される。更に、第2の中空管510の第1の端部は、「C」で表され、第2の中空管510の第2の端部は、「D」で表される。センサ管510と関連付けられた信号経路は、C−Dで表される。実施形態では、第1の中空管508と関連付けられた半径r
1は11.88ミリメートルであり、第2の中空管510と関連付けられた半径r
2は8.89ミリメートルでありうる。実施形態では、第1の中空管508と関連付けられた長さl
1は100ミリメートルであり、第2の中空管510と関連付けられた長さl
2は68ミリメートルでありうる。実施形態では、第1の中空管508は、第2の中空管510に対して角度θ=40度に傾斜される。角度θ=40度は、最大動的範囲対象を提供しうる。
【0033】
実施形態では、センサ管510にホストされる、送信機トランスデューサT
xと受信機トランスデューサR
xとの所与の距離「D1」について、吸気及び呼気による音速の変化(例えば、呼吸信号)は、送信信号と受信信号との比例位相差Φで生じる。ここで、送信信号は、基準励起信号であり、受信信号は、干渉信号である。位相差Φは、式1によって与えられる。
【数1】
ここで、Tは、基準励起信号の周期性であり、v
soundは、基準励起信号の速度であり、v
pは、音伝搬経路に平行な媒体(つまり、呼吸による)の速度成分である。ここで、位相差∂Φの変化は、与えられた式2として呼吸速度∂vの変化と関連されうる。
【数2】
音速が一回換気呼吸成分よりも大きいので(例えば、一回換気呼吸信号の速度≒0.1から10m/s)、
【数3】
よって、
【数4】
を得る。
式2は、吸気/呼気速度の成分と、センサ管経路における信号との関係を示す。ここで、∂v
pは、センサ管における信号の位相シフト∂Φに直接比例する。また、ブリーズ信号の感度は、超音波周波数に直接比例する。ここで、与えられた流速について、大きな位相シフトは、周波数の増加(f=1/T)のために得られる。実施形態では、40kHz空気結合トランスデューサが広く利用可能であり、かつコスト効率が良いため、システム200は、40kHzで動作されている。
【0034】
更に、肺の健康を監視するシステム200の信号分析ユニット250は、位相シフト信号を処理することにより、位相シフト信号に対応する信号電圧を生成するように構成されうる。実施形態では、信号経路C‐Dと関連付けられるブリーズ信号速度(例えば、呼吸信号速度)は、式3によって与えられる。
vp=vcosθ・・・・・(3)
ここで、vは、端部A(
図5B参照)での被験者により加えられる呼吸信号(ブリーズ信号)速度であり、θは、ブロー管508とセンサ管510との角度である。ここで、センサ管510の端部「C」から生成される基準励起信号とセンサ管510の端部「D」で受け付けられる干渉信号との位相差∂Φの変化は、式2として呼吸信号の速度の変化に関連し、かつ、式4で与えられるようなブロー管に対応して再度書き込まれうる。
【数5】
ここで、l
2は、センサ管510においてホストされる送信機トランスデューサTxと受信機トランスデューサRxとの距離である。更に、基準励起信号及び干渉信号は、位相検出ユニット(
図4参照)によって比較され、位相シフトに対応するDC電圧が得られる。位相シフトに対応するDC電圧は、式5で表される。
V
phase=K
Φ[Φ
INA−Φ
INB]・・・・(5)
ここで、K
Φは、mV/radとして与えられた位相勾配である。Φ
INAは、基準励起信号と関連付けられた位相値であり、Φ
INBは、干渉信号と関連付けられた位相値である。更に、V
phaseは、可変増幅係数「G」で増幅され、位相シフト信号は、式6によって表される。
【数6】
ここで、
【数7】
ここで、負号は、空気流の方向及び出力電圧が反対の極性を有することを示す。よって、呼吸速度∂vは、式7で与えられるように表されうる。
【数8】
ここで、項F(G,K
Φ)は、位相勾配K
Φと共にシステムの利得全体での(与えられた空気流に対する)出力電圧変化の従属を示し、他のパラメータは一定に保たれる。更に、F(G,K
Φ)についての理論値が計算されることができ、計算は、m/秒の項での呼吸速度を取得するために、現在のセットアップで推定されることを必要とする。更に、層流についての瞬間流量Q(m3/秒)は、式8で与えられる。
【数9】
ここで、vは、式7から得られる呼吸信号(ブリーズ信号)速度であり、Aは、ブロー管508の断面積である。更に、式9は、式7及び8を解くことによって得られる。式9は、
【数10】
によって与えられる。
実施形態では、パラメータG及びパラメータK
Φは、40kHzの動作周波数でQの値を導出するように計算される。
図6Aは、本開示の一部の実施形態に係る、一例の位相特性曲線を示す。ここで、
図6Aを参照すると、位相シフトは、0度から180度の範囲で測定され、応答は、測定範囲で明確である。ここで、位相特性曲線は、位相差と出力位相電圧とでプロットされる。
【0035】
実施形態では、
図6Bは、本開示の一部の実施形態に係る、ラジアンで測定された位相差∂Φと、ミリボルトで測定された位相変化電圧v
phaseとでプロットされた一例の位相応答曲線を示す。ここで、位相応答曲線は、40kHzの基準励起信号と干渉信号とでプロットされる。干渉信号は、位相シフトされた基準励起信号である。位相応答は、0度から180度の範囲でかなり線形である。しかし、位相応答は、160度から緩やかに前方へ飽和し、測定値は、0度から160度の範囲でのみ取られる。曲線の傾き、つまり、K
φ、は、−609.55mV/radとなることがわかる。ここで、アイドル条件(つまり、流れ条件がない)のための動作点は、ラッピング又は飽和なしに、下向きへの振れ及び上向きへの振れの両方での偏位(つまり、呼気及び吸気)を捉えるように、90度(つまり、曲線の中間)と考えられる。また、60度下向きへの振れは、呼気のために確保され、60度上向きへの振れは、吸気のために確保される。実施形態では、20度の低減は、強制呼吸でも良好な結果となり、位相シフトは、60度未満で良好に維持される。
【0036】
実施形態では、項F(G,K
Φ)は、システム利得G及び勾配K
Φに依存する。ここで、K
Φは、609.55mV/radとなるように計算され、固定値として扱われる。可変利得増幅器の利得(G)は、データ取得中の最大コンプライアンスを実現しようとして、名目上、3に設定される。F(G,K
Φ)が可変利得(G)にのみ依存するので、F(G,K
Φ)=F(G)となる。実施形態では、人間の一回換気呼吸の最大速度は滅多に3m/sを超えず、ブロー装置の最大コンプライアンスを得るために(つまり、自発強制呼吸に適応するためにも)、最大流速は10m/sとなると考えられる。更に、最大流速は、最適角度θを計算するために使用される。更に、位相の最大変化の大きさは、式3及び式4を解くことによって得られ、位相の最大変化の大きさは、式10で与えられる。
【数11】
【0037】
実施形態では、
図6Cは、本開示の一部の実施形態に係る、v
max=10m/secに対して、最適角度θの値を変化させた際の位相の最大変化の大きさの変動を示す一例の曲線を示す。ここで、
図6Cを参照すると、10m/secについて、ブロー装置は、最適角度θが90度近傍にあるときに感度を損失する。ここで、被験者は、より力を入れて息を吹くことになっている。最適角度θ=90度のとき、位相変化は検出されない。最適角度θの低い値について、位相変化が90度に近づき、これは、最大許容位相変動より大きい(例えば、最大許容位相変動が60度である)。最適角度θが0度に設定される場合、ブロー管508及びセンサ管510が同一線上にあるので、ブロー管の設計は、設計の観点から可能ではない(
図5A及び
図5B参照)。更に、最適角度θの低い値は、不要なセンサ管510の長さを増加させうる。最適角度が40度のとき、設計はコンパクトであり、位相変化は、上向き変動及び下向き変動について60度付近に収まる。実施形態では、最適角度θは、40度として取られる。
【0038】
更に、肺の健康を監視するシステム200の信号分析ユニット250は、信号電圧を処理することによって信号電圧と関連付けられたフロー信号を生成するように構成されうる。初めに、呼吸流速(L/s)が式9に基づいて信号電圧V
OUTから得られる。更に、
図7は、本開示の一部の実施形態に係る、フロー信号を得るために、信号電圧を処理するための一例の方法フローを示す。ここで、
図7を参照すると、ステップ702において、ブリーズ信号及び信号電圧と関連付けられた平均値が受け付けられる。更に、ステップ704において、信号電圧は、信号電圧V
OUTからブリーズ信号の平均値を抽出することによってDC補正される。更に、ステップ706において、ローパスフィルタは、DC補正信号電圧と関連付けられた複数のコンタミネーションを排除するために行われる。複数のコンタミネーションは、電線干渉、身体の動き及び他の高周波ノイズを含む。実施形態では、ローパスフィルタは、カットオフ周波数が15Hzの2
nd order Infinite Impulse Response(IIR)(無限インパルス応答)ローパスフィルタでありうる。更に、ステップ708において、ローパスフィルタされた信号電圧と関連付けられた一連のピーク及び一連のトラフは、ピークトラフ検出アルゴリズムによって識別される。一連のピーク及び一連のトラフは、吸気−呼気(呼吸又はブリーズ)サイクルの極めて重要な要素である。一般的に、ピーク−トラフ検出アルゴリズムは、ローパスフィルタされた信号における一連の極大及び一連の極小を識別する。更に、ステップ710において、ローパスフィルタされた信号は、その後、信号におけるトラフの位置を用いることによって、トラフ間調整される(つまり、信号がトラフで開始及び終了する)。ここで、トラフ間調整は、より良い後続のウィンドウ検出のために行われる。実施形態では、一連のデータポイントは、トラフ間調整中に失われ、一連のピーク及び一連のトラフと関連付けられた位置に作用しうる。更に、ステップ712において、信号トレンド除去は、三次補間を用いることによって行われる。ここで、信号のベースライン(基本的には一連の極小のトレース)が検出され、検出されたベースラインは、信号における非均一なドリフトを排除するために使用される。更に、ステップ714において、ピーク−トラフ検出は、トレンド除去された信号で行われ、フロー信号が得られる。
【0039】
更に、肺の健康を監視するシステム200の信号分析ユニット250は、数値積分に基づいてフロー信号を処理することにより、容量信号を生成するように構成されうる。ここで、フロー信号は、台形公式ベースの数値積分を用いることによって時間に対して積分され、容量信号を得る。
【0040】
更に、肺の健康を監視するシステム200の信号分析ユニット250は、容量信号及びフロー信号と関連付けられた一連の生理学的特徴を抽出するように構成されうる。ここで、一連の生理学的特徴は、Inspiratory Time(吸気時間)(IT)、an Expiratory Time(呼気時間)(ET)、a Breathing Rate(呼吸率)(BR)、a Duty Cycle(デューティサイクル)(DuCy)、a Peak Inspiratory Flow(ピーク吸気流)(PIF)、a Peak Expiratory Flow(ピーク呼気流)(PEF)、a Time to Peak Inspiratory Flow(ピーク吸気流までの時間)(TPIF)、a Time to Peak Expiratory Flow (TPEF)(ピーク呼気流までの時間)、an Inspiratory Tidal Volume(吸気一回換気量)(TV
ins)、an Expiratory Tidal Volume(呼気一回換気量)(TV
exp)、an Inspiratory Velocity(吸気速度)(Vel
ins), an Expiratory Velocity(呼気速度)(Vel
exp)を含む。実施形態では、ITは、秒単位での全ての取得された吸気位相の平均持続期間である。ETは、秒単位での全ての取得された呼気位相の平均持続期間である。BRは、式11によって与えられる、分あたりの呼吸の回数である。
【数12】
DuCyは、吸気時間と、全ての取得された呼吸サイクルの総呼吸時間との比の平均であり、式12によって与えられる。
Duty Cycle=IT/(IT+ET)………………………(12)
PIFは、吸気期間中に到達される最大流速である。PEFは、呼気期間中に到達される最大流速である。TPIFは、開始から、全ての吸気位相の吸気のピークへの平均時間である。TPEFは、開始から、全ての呼気位相の呼気のピークへの平均時間である。TV
insは、全ての取得された吸気位相の吸入の平均容量である。TV
expは、全ての取得された呼気位相の吹き込みの平均容量である。Vel
insは、開始から、全ての取得された吸気位相の吸気のピークへの吸気の平均速度である。Vel
expは、開始から、全ての取得された呼気位相の呼気のピークへの吸気の平均速度である。
【0041】
更に、肺の健康を監視する200の信号分析ユニット250は、機械学習技術に基づいて一連の生理学的特徴を分析することによって肺の健康を評価するように構成されうる。実施形態では、一連の特徴は、Peripheral capillary Oxygen Saturation(抹消毛細管酸素飽和度)(SpO2)、Galvanic Skin Response(ガルバニック皮膚応答)(GSR)センサ、Electroencephalogram(脳波)(EEG)センサ、及びPhotoplethysmography(光電式容積脈波記録法)(PPG)センサを含む、複数のセンサから抽出される。一連の特徴は、一連の組み合わせた特徴を得るために、一連の生理学的特徴と組み合わせられることができ、組み合わせられた特徴は、肺の健康を評価するために分析されうる。
【0042】
実施形態では、Locally Weighted Learning(局所重み付け学習)(LWL)ベースの機械学習モデルが分類のために用いられる。LWL分類器は、内部的にロジスティック回帰を使用する。LWLは、観察毎にk近傍を選択し、ロジスティック回帰を用いてk近傍内の局所的な超平面に適合する。観察毎の一連の近傍が同様の肺容量を有しうるので、一連の生理学的特徴と関連付けられた一連の値は、平滑化される必要はない。また、例のk近傍毎において、一連の生理学的特徴と関連付けられた一連の値は、同様の肺容量のグループに属する一連の特徴として局所的に高く補正されるように期待される。故に、リッジ回帰とも呼ばれる、リッジ推定器によるロジスティック回帰が使用される。リッジ回帰は、一連の生理学的特徴のうちの複数の共線性の存在でも適用されうる。
【0043】
実施形態では、喫煙者又は非喫煙者のいずれかである被験者を示すバイナリ変数Sは、ベクトルxでのSの依存を識別するようにモデル化されることができ、ここでxは、各被験者の各試行についての一連の生理学的特徴と関連付けられた一連の値を示す変数であり、式13によって与えられる。ここで、Pは、使用される生理学的特徴の数である。
E(S)=P(S=1=g(β’S)……………………(13)
β’は、特徴のpベクトルである。g(t)についての共通選択は、式(14)によって与えられる。標準ロジスティック分布のインバースである。
g(t)=exp(t)/{1+exp(t)}……………………(14)
この場合、式13は、式15で与えられるように記述されうる。
logit(t){P(S=1|x)}=β’x……………………(15)
ここで、logit(t)=log{t/(1−t)}。
式15は、ロジスティック回帰モデルである。更に、リッジ回帰は、複数の共線性の存在で良好に行う(2以上の予測変数、つまり、特徴は高度に補正される)。複数の共線性は、大きな標準誤差を導いてもよい。更に、リッジ回帰は、L2ノルムに基づいて回帰係数の大きさを不利益にする(ユークリッド距離)。リッジ回帰の主目的は、Residual Sum of Squares(残差平方和)(RSS)+アルファ*係数の二乗の合計を最小化することである。ここで、アルファは、リッジパラメータである。アルファ=0に設定することは、線形回帰を簡素にする。アルファが増加すると、係数は、大きさが減少する。簡素な線形回帰は、式15Aで与えられる。
【数13】
ここで、iは、ゼロ平均及び変数による通常誤差である。N回の観察について、全ての観察のN×1行列、及びその列が、対応する独立変数値に対応するX(次元N×pの行列)更に、リッジ推定器は、式16で与えられる。
【数14】
Ordinary Least Square(OLS)(最小2乗)解について、β=(XX)
−1XY,ここでリッジ回帰について、リッジ推定器は、
【数15】
である。
これは、偏った推定器につながるが、分散を低減する。リッジ回帰MSE=bias
2+varianceについて、;故に、偏りが導入されても、全体の平均2乗誤差(MSE)は、減少され、より良い性能につながる。
【0044】
図8は、本開示の一部の実施形態に係る、肺の健康を監視するための方法800の詳細なフロー図を示す。方法800は、コンピュータ実行可能な命令の一般的な文脈で記載されてもよい。一般に、コンピュータ実行可能な命令は、特定の機能又は特定のアブストラクトデータタイプを行う、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造、プロシージャ、モジュール、ファンクション等を含みうる。方法800は、また、通信ネットワークを通じてリンクされる機能がリモート処理装置によって行われる分散コンピューティング環境で実施されてもよい。方法800が説明される順序は、制限として解釈されるように意図されず、説明される方法ブロックの番号は、方法800又は代替的な方法を実施奏するために任意の順序で組み合わせられうる。更に、方法800は、適切なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はその組み合わせで実装されうる。
【0045】
802において、システム200は、1以上のハードウェアプロセッサによって、干渉信号を受け付け、ここで、干渉信号は、第1の信号に基づいて修正された、基準励起信号である。804において、システム200は、1以上のハードウェアプロセッサによって、基準励起信号と干渉信号とを比較することによって、位相シフト信号を生成する。806において、システム200は、1以上のハードウェアプロセッサによって、位相シフト信号を処理することによって、位相シフト信号に対応する信号電圧を生成する。808において、システム200は、1以上のハードウェアプロセッサによって、一連のピーク及び一連のトラフを使用することによって信号電圧と関連付けられたフロー信号を生成し、ここで、一連のピーク及び一連のトラフは、信号電圧を処理することによって得られる。ここで、第1の信号と関連付けられた平均値が算出され、直流電流(DC)補正信号電圧は、信号電圧から平均値を引くことによって得られる。更に、フィルタされた信号電圧は、DC補正信号電圧から例外を排除することによって生成され、一連のピーク及び一連のトラフは、ピークトラフ検出技術を使用することによって、フィルタされた信号電圧から識別される。更に、フィルタされた信号電圧は、一連のピーク及び一連のトラフに基づいて、トラフ間ベースで並べられる。更に、トレンド除去信号は、フィルタされた信号電圧のベースラインを追跡することによって、信号電圧と関連付けられた一連の非均一ドリフトを排除することによって生成され、ここで、フィルタされた信号電圧のベースラインは、三次補間技術を使用することによって識別される。更に、トレンド除去信号及びフロー信号と関連付けられた極大及び極小を識別することによって生成されるトレンド除去信号と関連付けられたピークトラフは、ピークトラフに基づいて生成される。810において、システム200は、1以上のハードウェアプロセッサによって、台形公式ベースの数値積分技術に基づいてフロー信号を処理することによって、容量信号を生成する。810において、システム200は、1以上のハードウェアプロセッサによって、容量信号と関連付けられた一連の生理学的特徴を抽出する。814において、システム200は、1以上のハードウェアプロセッサによって、LWLリッジ回帰ベースの機械学習技術に基づいて一連の生理学的特徴を分析することによって、肺の健康を評価する。ここで、各生理学的特徴と関連付けられた一連の値は、被験者と関連付けられた各観察についての一連の生理学的特徴から抽出される。更に、各観察と関連付けられた一連の最近傍が生成され、超平面は、回帰に基づいて一連の最近傍に適用される。更に、被験者の肺の健康は、超平面に基づいて分類される。
【0046】
実施形態では、システム200は、以下のように試験される。データ取得:実施形態では、完全な一回換気呼吸分析は、6人の男性及び14人の女性からなり、23−51歳の年齢範囲の20人の健康な被験者から集められたデータでなされる。全ての試験処置は、ヘルシンキ宣言申し立てであり、倫理規範を満たしている。被験者は、背もたれ及び肘当てを有する快適な椅子に座らされる。初めに、試験の目的及び処置は、試験を受ける被験者に説明される。更に、被験者は、自発的な努力をせずに、送り管304(
図3参照)を通じて60秒間一回換気呼吸及び吹き出しを行うように指示される。3日連続で1日に1回の試行、つまり3回のこのような試行が各被験者に対して取得される。試験中、鼻は、ノーズクリップを用いて閉じられ、吸入及び呼気全体は、口によってなされる。本開示の利点は、当該技術が、強い呼吸及び呼吸を維持することを被験者に要求しない点である。
【0047】
一回換気呼吸特徴の計算:実施形態では、呼吸率及び/一回換気量に加えて一連の生理学的特徴は、肺の健康の監視に向けてより多くの見識を提供しうる。フロー信号及び容量信号から得られる一連の生理学的特徴値は、表Iに示される。別の実施形態では、SpO2、GSRセンサ、EEGセンサ及びPPGセンサを含む複数のセンサから抽出された一連の特徴は、一連の組み合わせた特徴を得るために一連の生理学的特徴と組み合わせられることができ、より精度の高い肺の健康の監視を得ることができる。表Iでは、被験者の各々に対して行われる3回の試行について、一連の生理学的特徴についての平均値が与えられる。また、3回の試行についての標準偏差は、括弧内に与えられる。全ての特徴についての標準偏差は、試行の数における被験者間分散が非常に小さいことを示し、最小である。
【表1】
【0048】
特徴レベル識別力:実施形態では、一回換気呼吸信号から直接的に計算される、一連の生理学的特徴は、成人の機能低下した肺を監視するために用いられている。一連の生理学的特徴は、線形又は比例的組み合わせと共に、一回換気呼吸に付随する一連の主な生理学的特性を含む。実施形態では、フィッシャーの線形判別分析(Fishers Linear Discriminant(FLD))法は、一連の生理学的特性の有効性を検査するために使用される。ここで、FLDは、計算された12次元の特徴セットを単一の次元に投影するために使用される。
図9は、本開示の一部の実施形態に係る、フィッシャーの線形判別分析線上の一連の投影された特徴を示す一例のプロットを示す。ここで、y軸値は、ランダムで与えられ、視覚補助のために意図的に展開し、x軸は、投影の値を示す。プロットは、いくつかの重複を有する2つのクラスタ(プラス及び太いドットで表される)の形成を示す。ここで、重複が存在し、当該重複は、一回換気呼吸ベースの特徴の無駄を示す。FLDが分類に用いられうるが、これは、弱い分類を招く場合がある。より精度が高くかつ精密に取得するために、以下のサブセクションで説明される優れた分類器を採用する。
【0049】
LWLに対するリッジ回帰のセクション:実施形態では、LWL−リッジ分類器は、分類方法の検証のためのLWL分類器の他の3つの最も近い関連した変化形と比較される。5分割交差検証スキーム及び各選択された分割についての10回の実行を用いた、取得されたデータセットでのLWL分類スキームの全ての変化形の性能が評価される。実施形態では、オープンソースのWEKA機械学習プラットフォームは、関連するデフォルトパラメータ値を有するLWL分類器の全てを実行するために使用される。予測のpercentage of accuracy(% Acc)を別として、一連の既知の分類器の測定基準が調査される。一連の既知の分類器の測定基準は、True Positive Rate(真陽性率)(TPR)、a True Negative Rate(真陰性率)(TNR)、F値、Kappa statistics(カッパ統計)、Area Under Receiver Operating Characteristic Curve(受信者動作特性曲線下の面積)(AUC)及びArea Under Precision−Recall Curve(適合率−再現率曲線下の面積)(AUP)を含む。最良の分類器は、上述された測定基準に対して得られる値に基づいてこれらのうちから選択される。表Iは、異なる分類モデルの比較を提供し、一連の既知の測定基準の平均値及び括弧内の10回の試行についての平均値付近のそれらの変化形と共に、分類の予測測定基準の正確度のパーセンテージをリスト化する。ここで、L−OはOrdinary Logistic Regression(順序ロジスティック回帰)を示し、L−RはLogistic Regression with ridge regression(リッジ回帰によるロジスティック回帰)を示し、太字の複数の値は各測定基準についての最も大きな値を示す。ここで、LWL ridge regression(LWLリッジ回帰)(LWL+L−R)は、測定基準の大部分についての最良値を提供する。
【表2】
【0050】
LWL−リッジパラメータの決定:k及び
【数16】
実施形態では、LWL+L−R(LWL−リッジ)の2つのパラメータは、最も有効な分類性能を実現しようとして調整される。2つのパラメータは、分類の特定の選択(喫煙者及び非喫煙者)のために調整され、リッジ回帰のLWLのk近傍におけるk値及びリッジパラメータ
【数17】
値が集められる。ここで、可変分割によるデータでのランダム分割、k及び値が比較され、得られた結果が表IIIに記載される。
【表3】
【0051】
実施形態では、表IIIとして示される3つの観察は、LWLリッジ分類器が、データセットの1/5がテストケースとして取られるとき(80%訓練及び20%テストケース)に最も良好に実行することを示す。最良のkセットを選択するために、調査されるように、これらの3つの選択外で、正確度(パーセンテージ)は、約80−20(テストに対する全データの1/5)分割である。
図10は、本開示の一部の実施形態に係る一連の分割及び正確度についての一例の表面プロットを示す。
【0052】
実施形態では、F(G,K
Φ)についての理論値の較正は、以下のように説明されうる:システムレベル較正は、項F(G)の厳密値を決定するために用いられうる。医学的に格付けされた及び/又は商業的に利用可能な換気流測定装置がない場合には、ブロー装置は、標準的な熱線風速計に対して較正される。
【0053】
実施形態では、ブロー装置は、呼吸流の直接測定であり、被験者が口に送り管を入れ、それを通じて息をすることを要求する。
図11は、本開示の一部の実施形態に係る、風速計と共にブロー装置の較正配置を示す。ここで
図11を参照すると、較正配置は、風速計及びブロー装置を含む。風速計のセンサプローブは、ブロー装置のに対して角度ゼロでブロー装置の取り外し可能なマウスピースに取り付けられる。更に、ブロー装置の信号電圧出力は、100Hzで記録及びサンプリングされる。ここで、風速計によって測定された空気流速度が1Hzでサンプリングされる。ここで、被験者が、
図11に示される較正ブロー管配置を通じて呼吸するとき、風速計によって記録される速度は、ブロー装置のブリーズ信号ユニットへの入力である吸入/呼気速度の測定値である。ブロー装置のブリーズ信号ユニットは、風速計によって記録される各流速度(vanem)に対応する出力信号電圧を生成する。更に、信号電圧は、フィルタされた信号電圧の100サンプル毎のメジアン値を取ることによって、0.5Hzでフィルタされ、11Hzでダウンサンプリングされる。例えば、100サンプルは、2つのセンサデータ間のマイクロ秒レベルのずれを回避するために、風速計によって記録される例ごとに取られる。被験者は、較正ブロー管配置を通じて換気呼吸するように指示される。第1次多項式回帰曲線は、回帰曲線の傾きを計算することによって補正された(G),F
corr(G)を決定するために、信号電圧(VOUR_TBPR)とvanemとの間に適合される。更に、
図12は、本開示の一部の実施形態に係る、VOUR_TBPRと風速計流速度(vanem)との間の一例のプロットを示す。ここで
図12を参照すると、回帰線F
corr(G)の傾きは、例えば、4.34である(理論値は4.83)。更に、流量(Q)は、F
corr(G)=4.34で計算され、流量(Q)は、式17によって与えられる。
【数18】
【0054】
これらの実施形態を当業者が作製して用いることを可能にするために、文書による記載が本明細書の主題を説明する。本主題の実施形態の範囲は、請求項によって規定され、当業者が想起する他の修正を含んでもよい。かかる他の修正は、請求項の文言と異ならない同様の要素をそれらが有するか、又は請求項の文言と非実質的に相違する同等の要素をそれらが含むならば、請求項の範囲内にあることが意図される。
【0055】
肺の健康を監視するための方法及びシステムを開示した様々な実施形態は、被験者の肺の健康を評価するための徹底した解決手段を提供することができる。本開示で利用可能な超音波フェーズ検出を有するブロー装置は、非常に精度の高い換気信号を捉えることが可能であり、よって、肺の健康を管理するための費用対効果の高い解決手段を提供する。更に、複数の生理学的特徴を有するLWL−リッジ回帰ベースの機械学習技術は、システム200の正確度を増大させた。
【0056】
しかし、理解すべきは、保護の範囲がかかるプログラムへ、更に加えてメッセージをその中に有するコンピュータ可読手段へ拡張されることであり、かかるコンピュータ可読記憶手段は、プログラムがサーバもしくはモバイルデバイス又は任意の適切なプログラマブルデバイス上で作動するときに、方法の1つ以上のステップを実施するためのプログラムコード手段を含む。ハードウェアデバイスは、例えば、サーバもしくはパーソナルコンピュータ等、又はそれらの任意の組み合わせのような任意の種類のコンピュータを含めて、プログラムできる任意の種類のデバイスとすることができる。デバイスは、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC:application−specific integrated circuit)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:field−programmable gate array)のような、例えば、ハードウェア手段、あるいは、ハードウェア及びソフトウェア手段の組み合わせ、例えば、ASIC及びFPGA、又は少なくとも1つのマイクロプロセッサ及びソフトウェア・モジュールがその中にある少なくとも1つのメモリとすることができる手段も含んでもよい。従って、これらの手段は、ハードウェア手段及びソフトウェア手段の両方を含むことができる。本明細書に記載される方法の実施形態をハードウェア及びソフトウェアで実装できるであろう。デバイスがソフトウェア手段も含んでもよい。代わりに、例えば、複数のCPUを用いて、これらの実施形態が種々のハードウェアデバイス上に実装されてもよい。
【0057】
本明細書における実施形態は、ハードウェア及びソフトウェア要素を備えることができる。ソフトウェアで実装される実施形態は、ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード等を含むがそれらには限定されない。本明細書に記載される様々なモジュールによって行われる機能が他のモジュール又は他のモジュールの組み合わせで実装されてもよい。この記載の目的では、コンピュータで利用可能な媒体又はコンピュータ可読媒体は、命令実行システム、機器、もしくはデバイスによって、又はそれらと接続して用いるためのプログラムを備える、記憶する、通信する、伝搬するか、又は輸送することができる任意の機器とすることができる。
【0058】
説明されるステップは、示される例示的な実施形態を説明するために提示され、予想すべきは、進展する技術開発が特定の機能を行う仕方を変化させるであろうということである。本明細書ではこれらの例が、限定ではなく、説明のために提示される。更にまた、記載の便宜上、本明細書では機能的ビルディングブロックの境界が任意に定義された。指定される機能及びそれらの関係が然るべく行われる限り、代わりの境界を定義できる。本明細書に記載されるものの等価物、拡張、変形、逸脱等を含む)選択肢は、関連技術分野(単数又は複数)の当業者には本明細書に含まれる教示に基づいて明らかであろう。かかる選択肢は、開示される実施形態の範囲及び精神の範囲内に入る。更に、単語「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(containing)」及び「含む(including)」、並びに他の同様の語形は、意味が同等であることが意図され、これらの単語のいずれかに続く項目(単数又は複数)がかかる項目(単数又は複数)の網羅的なリスティングであることを意味せず、あるいはリストされた項目(単数又は複数)のみに限定されることも意味しないという点で非限定的であることが意図される。同様に留意すべきは、本明細書及び添付される請求項では、文脈が明らかに別様に指示しない限り、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「該(前記)(the)」が複数の参照を含むことである。
【0059】
そのうえ、本開示に適合する実施形態を実装するときに1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体が利用されてもよい。コンピュータ可読記憶媒体は、プロセッサによって読むことができる情報又はデータが記憶されてもよい任意のタイプの物理メモリを指す。従って、コンピュータ可読記憶媒体は、本明細書に記載される実施形態に適合するステップ又は段階をプロセッサ(単数又は複数)に行わせるための命令を含めて、1つ以上のプロセッサによる実行のための命令を記憶してもよい。用語「コンピュータ可読媒体」は、有形の品目を含み搬送波及び過渡信号を除く、すなわち、非一時的であると理解すべきである。例は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ハードドライブ、CD ROM、ブルーレイ、DVD、フラッシュドライブ、ディスク及び任意の他の既知の物理記憶媒体を含む。
【0060】
本開示及び例は、例示的であるに過ぎないと見なされることが意図され、開示される実施形態の真の範囲及び精神は、以下の特許請求の範囲によって示される。