特許第6557321号(P6557321)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6557321少なくとも2つのフリータービンエンジンを有する航空機のフリータービンエンジン用の支援装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6557321
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】少なくとも2つのフリータービンエンジンを有する航空機のフリータービンエンジン用の支援装置
(51)【国際特許分類】
   F02C 7/26 20060101AFI20190729BHJP
   B64D 27/10 20060101ALI20190729BHJP
   B64D 35/08 20060101ALI20190729BHJP
   F02C 3/107 20060101ALI20190729BHJP
   F01D 15/10 20060101ALI20190729BHJP
   H02P 9/04 20060101ALI20190729BHJP
   H02P 101/25 20150101ALN20190729BHJP
   H02P 101/30 20150101ALN20190729BHJP
【FI】
   F02C7/26 A
   B64D27/10
   B64D35/08
   F02C3/107
   F01D15/10 A
   H02P9/04 F
   H02P101:25
   H02P101:30
【請求項の数】12
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-501506(P2017-501506)
(86)(22)【出願日】2015年3月26日
(65)【公表番号】特表2017-512940(P2017-512940A)
(43)【公表日】2017年5月25日
(86)【国際出願番号】FR2015050767
(87)【国際公開番号】WO2015145077
(87)【国際公開日】20151001
【審査請求日】2018年2月8日
(31)【優先権主張番号】1400753
(32)【優先日】2014年3月27日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】515246328
【氏名又は名称】サフラン ヘリコプター エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(72)【発明者】
【氏名】バンサン ポマレード
(72)【発明者】
【氏名】トマ クロノウスキー
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン メルシエ−カルベーラック
(72)【発明者】
【氏名】カメル セルギンヌ
【審査官】 北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第02581586(EP,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0168968(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02602458(EP,A2)
【文献】 国際公開第2013/167837(WO,A2)
【文献】 米国特許第05899411(US,A)
【文献】 特表2010−523879(JP,A)
【文献】 仏国特許出願公開第02914697(FR,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02684798(EP,A1)
【文献】 特表2013−544329(JP,A)
【文献】 仏国特許出願公開第02967133(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 7/26
B64D 27/10
B64D 35/08
F01D 15/10
F02C 3/107
H02P 9/04
H02P 101/25
H02P 101/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのフリータービンエンジン(GT1、GT2)を有する航空機のフリータービンエンジン(GT1)用の支援装置(100、101、102、103、104)であって、前記支援装置は、電気始動器機械(D1)と、発電器機械(G2)と、を有し、前記電気始動器機械(D1)は、第2エンジン(GT2)によって駆動される前記発電器機械(G2)によって生成されるエネルギーを使用することにより、延長された支援を第1エンジン(GT1)のガス発生器に対して提供し、前記支援装置は、支援のバーストを前記ガス発生器、第1パワーコンバータ(SPC1)、及び第2パワーコンバータ(SPC2)に提供するべく前記電気始動器機械(D1)に電気的に接続された少なくとも1つの電気ストレージ部材(S1、S)を更に有し、前記電気始動器機械(D1)は、前記支援のバーストを提供するべく前記電気始動器機械が前記少なくとも1つの電気ストレージ部材(S1、S)との間においてエネルギーを交換することを可能にすると共に前記延長された支援のために前記第2パワーコンバータ(SPC2)によって供給された前記エネルギーを前記電気始動器機械に対して伝達する前記第1パワーコンバータ(SPC1)により、電力供給される、支援装置において、
前記支援装置は、前記延長された支援の際における判定された期間における前記ガス発生器に対する燃料の流れをカットオフすると共に前記ガス発生器の再点火を促進するべく低減された速度において前記ガス発生器を維持するコンピュータを更に有することを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの電気ストレージ部材(S1、S)が、前記第1パワーコンバータ(SPC1)に接続された状態において留まっている状態で、接続切断器部材が、前記2つのパワーコンバータ(SPC1、SPC2)の互いからの電気的絶縁を可能にしている請求項1に記載の支援装置。
【請求項3】
前記電気始動器機械(1)は、発電器でもある請求項1又は2に記載の支援装置。
【請求項4】
前記発電器機械(G2)は、前記第2エンジン(GT2)の前記ガス発生器によって駆動されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の支援装置。
【請求項5】
スイッチ部材(120、121、122、123、124)が、前記電気ストレージ部材(S1、S)への前記第2パワーコンバータ(SPC2)の接続を可能にしている請求項1〜4のいずれか1項に記載の支援装置。
【請求項6】
前記第2パワーコンバータ(SPC2)は、前記航空機の第2エンジン(GT2)の前記ガス発生器によって駆動される器機械(G2)によって電力供給されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の支援装置。
【請求項7】
前記電気ストレージ部材(S1、S)は、適宜、双発型の飛行状態下における前記ガス発生器の制御された加速又は減速を支援するべく使用されうる請求項1〜6のいずれか1項に記載の支援装置。
【請求項8】
前記フリータービンエンジン(GT1、GT2)のうちのいずれかのエンジンの前記ガス発生器のバースト加速に参加するべく、前記フリータービンエンジン(GT1、GT2)の各々において1ストレージ要素(S1、S2)を含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の支援装置。
【請求項9】
前記コンピュータは、前記ガス発生器に対する前記燃料の流れを延長された支援の際に判定された期間にわたって維持し、且つ、前記コンピュータは、燃料消費を極小化するように、前記ガス発生器の前記速度を低減する請求項1〜8のいずれか1項に記載の支援装置。
【請求項10】
前記電気ストレージ部材(S1、S)は、スーパーコンデンサ、ハイブリッドコンペティタ、リチウム−イオン電池、又は統合されたDC/ACコンバータを有するフライホイールを有する請求項1〜9のいずれか1項に記載の支援装置。
【請求項11】
前記電気ストレージ部材(S1、S)は、前記ガス発生器に燃料が供給される期間において前記第1エンジン(GT1)又は前記第2エンジン(GT2)の前記ガス発生器からエネルギーを取得することにより、再充電される請求項1〜10のいずれか1項に記載の支援装置。
【請求項12】
少なくとも2つのフリータービンエンジンを有すると共に請求項1〜11のいずれか1項に記載の支援装置を含む航空機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘリコプターにおいて一般に用いられる複数のフリータービンエンジンを有する組立体の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
フリータービンエンジンは、ヘリコプターにおいてオーバーランニングクラッチ又は「フリーホイール」及びメインギアボックス(MGB:Main GearBox)を介してヘリコプターの回転翼を駆動するパワータービン又は「フリータービン」を含むと共に、圧縮器、燃焼室、及び高圧(HP:High Power)タービンによって主に構成されるガス発生器をも含むことを思い起こされたい。
【0003】
ガス発生器のシャフトは、固定子及び回転子から構成された電気機械にステップダウン歯車装置又はアクセサリギアボックスによって接続されており、且つ、モーター(始動器)として、又は発電器として、等しく良好に動作する能力を有する。モーターモードにおいては、電気機械は、電気の供給源によって電力供給されており、且つ、電気機械は、エンジンのガス発生器の回転を駆動するように、具体的には、エンジンを始動させ、これにより、始動の支援を提供するという目的のために、駆動トルクを生成する。発電器モードにおいては、電気機械は、ガス発生器から機械的な力を取得するべく、ガス発生器によって回転駆動され、この機械的な力が電力に変換される。
【0004】
ある特許文献には、2つのフリータービンエンジンを有する航空機が巡航飛行している最中に、他方のエンジンから引き出されるパワーを増大させ、これにより、システムの全体的な燃料消費の低減を可能にしつつ、そのフリータービンをMGBから脱同期化させるように、2つのエンジンのうちの一方をスタンバイモードに設定するという提案が行われている(例えば、特許文献1及び2参照。)。このスタンバイモードのいくつかの変形態様が提案されている。
【0005】
「スーパーアイドル」と呼称される第1の変形態様においては、脱同期化されたガスタービンのガス発生器は、低速のアイドリング速度において調節することができる。
【0006】
また、「支援型のスーパーアイドル」と呼称される第2変形態様においては、MGBから脱同期化されたガスタービンのガス発生器は、支援駆動トルクが、同時に、電気機械及びアクセサリギアボックスを介してガス発生器に印加される状態において、低速のアイドリング速度において調節することができる。
【0007】
第3の変形態様においては、エンジンの燃焼室が完全に消火されてもよく、且つ、次いで、巡航飛行のステージの末尾において再点火を促進する速度においてガス発生器の回転を維持することが提案されている。適切な速度の範囲は、「好適な点火ウィンドウ」と呼称されうる。「回転」モードと呼称されるこの動作モードは、延長された支援をガス発生器に提供するステップを伴っている。
【0008】
巡航飛行の持続時間の全体を通じて維持されうるこれらの3つの動作モードにおいては、スタンバイ状態においてエンジンによってMGBに伝達されるパワーは、ほぼゼロであり、且つ、そのガス発生器からパワーを引き出すことは、一般に可能ではない。
【0009】
上述の3つの変形態様においては、例えば、全部で3つの以上の数のエンジンが存在している場合には、例えば、別のエンジンに障害が発生した場合、或いは、2つのエンジンが存在している場合には、実際には、他方のエンジンに障害が発生した場合などの、特に緊急事態において、脱同期化されたエンジンを迅速に再起動可能である必要がある。これを理由として、ガス発生器は、燃焼室が消火されたシステム内において再点火を促進する速度において回転する状態において維持されている。
【0010】
好適な点火ウィンドウ内における回転状態においてガス発生器を維持すること(「回転」モード)と、ガス発生器がアイドリング速度において調節されている間に延長された支援をガス発生器に提供すること(「支援型のスーパーアイドル」モード)は、いずれも、相対的にわずかなパワーしか必要としていないが、最終的には相当のエネルギーを必要とすることになり、その理由は、このシステムの目的が、長い持続時間の飛行の全体を通じてこれを使用するということにあるからである。その他の解決策のうち特許文献1及び2は、その他のエンジンのガス発生器に接続された始動器/発電器又はその他のエンジンのフリータービンによって直接的に又は間接的に駆動される発電器により、電力供給される電気始動器の使用を提案している。
【0011】
低速の状況からの、又は燃焼室が消火された状態おける、緊急事態再始動の場合には、回転式組立体の相当な慣性に起因し、且つ、エンジンの圧縮器からの対抗トルクに起因し、大きなパワーをガス発生器のシャフトに印加する必要である。このパワーは、エンジンの迅速な再始動を可能にするべく、数秒というレベルの短い持続時間において供給する必要がある。特許文献2においては、その他の可能性に加えて、ガス発生器に支援のバーストを提供するべく、特に、スーパーコンデンサから取得された電気エネルギーを使用可能であると示唆されている。
【0012】
さらに別の特許文献においては、第2エンジンのガス発生器の回転を支援するべく、第1エンジンのパワータービンから取得されたパワーを使用するという提案が行われている(例えば、特許文献3参照。)。パワーは、2つの電気機械を使用することによって伝達される。この結果、燃料消費を低減することができる。第2エンジンは、アイドルモードにおいて維持される。
【0013】
また、さらに別の特許文献においては、(電気エネルギーを保存するための部材である)2つのスーパーコンデンサを使用するという提案が行われており(例えば、特許文献4参照。)、これらのスーパーコンデンサのそれぞれは、2つのエンジンのうちの1つのエンジンのガス発生器によって駆動される個々の発電器によって充電され、且つ、これらのそれぞれは、消火された状態にあるそのエンジンから他方のエンジンを始動させるためのエネルギーのバーストを提供するように機能する。
【0014】
また、さらに別の特許文献においては、特に、機械的な力をフリータービンによって回転駆動されている電気機械を介してガス発生器に供給することにより、加速支援のバーストがエンジンのガス発生器に付与されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。また、このシステムは、減速における支援をも提供するように動作する。
【0015】
上記の状況において、本発明は、特に、但し、必須ではないが、その好適な点火ウィンドウ内において前記第1エンジンのガス発生器を回転させる際に延長された支援を提供するということに関して、パワーを他方のタービンエンジンから第1タービンエンジンのガス発生器に連続的に供給ことと、更には、1つのエンジンによって充電されると共に前記第2エンジンンを再始動するか又はその加速を支援する際に第2エンジンのガス発生器にエネルギーのバーストを提供するように機能する電気ストレージ部材の使用を提案することと、の両方を可能にする構造の提案を試みるものである。この構造は、好ましくは、但し、必須ではないが、オンボードの電気ネットワークとは独立したものであってもよく(特に、電源の観点において独立したものであってもよく、且つ、更には、これから電気的に絶縁されてもよい)、且つ、航空機内における実際の実装が容易でありうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】仏国特許第2967132号明細書
【特許文献2】仏国特許第2967133号明細書
【特許文献3】欧州特許第2602458号明細書
【特許文献4】欧州特許第2581586号明細書
【特許文献5】仏国特許第2914697号明細書
【発明の概要】
【0017】
これを目的として、少なくとも2つのフリータービンエンジンを有する航空機のフリータービンエンジン用の支援装置が提供され、この装置は、電気始動器機械と、発電器機械と、を有し、電気始動器機械は、第2エンジンによって駆動される発電器機械によって生成されたエネルギーを使用することにより、延長された支援を第1エンジンのガス発生器に対して提供し、支援装置は、支援のバーストを前記ガス発生器に提供するべく前記電気始動器機械に電気接続された少なくとも1つの電気ストレージ部材を更に有し、支援装置は、第1パワーコンバータと、第2パワーコンバータと、を更に有し、電気始動器機械は、支援のバーストを提供するべくストレージ部材との間において電気始動器機械がエネルギーを交換することを可能すると共に延長された支援のために第2パワーコンバータによって供給されたエネルギーを電気始動器機械に送信する第1パワーコンバータによって電力供給され、支援装置は、延長された支援の際に既定の期間においてガス発生器への燃料の流れをカットオフすると共に前記ガス発生器の再点火を促進するべく低減された速度において前記ガス発生器を維持するコンピュータを有することを特徴とする。
【0018】
特定の実装形態においては、上述の電気機械は、モーターモードにおいて、且つ、発電器モードにおいて、等しく良好に機能してもよく、このケースにおいては、アーキテクチャは、2つのエンジンのそれぞれが、回転において支援される能力を有する状態において、対称型であってもよい。但し、非対称なアーキテクチャも可能あり、この場合には、支援は、2つのエンジンのうちの1つのエンジンに対してのみ提供される。
【0019】
この構造に起因し、限られた重量及び限られた数のコンポーネントにより、例えば、燃焼室内の燃焼が存在していない際に延長された方式によってガス発生器を回転状態において維持するなどのように、飛行中のバースト支援のために、始動の際のバースト支援のために、且つ、ガス発生器を回転させるための延長された支援のために、様々な機能を設置することができる。また、従来の方式によってエンジンを始動させることも可能であり、或いは、エンジンにドライモータリングを提供することもできる。ドライモータリングは、エンジンの特定の内部サブ組立体を冷却するべく、圧縮器によって生成された空気の流れを使用するように、且つ、始動の際の点火の障害の結果として得られるなんらかの未燃焼燃料の蓄積を燃焼室から除去するように、燃料供給がカットオフされている状態において、約10秒にわたって低速でガス発生器を回転駆動するステップを有することを思い起こされたい。
【0020】
2つのパワーコンバータを有するシステムによれば、一般的に交流(AC)を供給する第1エンジンのガス発生器によって駆動される電気機械、こちらも一般的にAC機械である第2エンジンのガス発生器に支援を提供する電気機械、及び特に直流(DC)を提供しうるストレージ部材の間におけるエネルギーの交換の管理が可能である。従って、これらの2つのコンバータによれば、同一の性質(DC又はAC)を有していない又は同一の特性(低又は高電圧、異なる周波数)を有していないエネルギー源の使用が可能となる。
【0021】
装置は、例えば、電気ストレージ部材と第1コンバータの間における高電圧DCバスなどのバスを含んでもよく、このバスは、航空機の電気ネットワークとは独立している(電気的に絶縁されている)。従って、オンボードネットワークに関する規制の要件は、このバスには適用されず、且つ、その電圧は、オンボードネットワークの電圧とは異なっていもよく、且つ、ストレージ部材内においてエネルギーを保存するべく、且つ、更には、電気機械及びパワーコンバータの重量を最適化するべく、適合されてもよい。
【0022】
有利には、第1コンバータは、サーボ制御されている。従って、第1コンバータは、始動器回転式機械(AC機械)に印加される速度(周波数)及びトルクを制御するように機能する。
【0023】
有利には、接続切断器部材(静的なもの、電気機械的なもの、又はその他のもの)は、ストレージ部材が第1パワーコンバータに接続された状態に留まっている状態において、2つのコンバータが互いに電気的に絶縁されることを可能にする。従って、ストレージ部材は、なんらのエネルギーをも第2パワーコンバータに印加することなしに、エネルギーを第1エンジンのガス発生器にのみ伝達しうる。
【0024】
また、有利には、第1電気機械は、発電器でもある。この結果、第1パワーコンバータを介して第1電気機械から到来するエネルギーによって電気ストレージ装置を再充電することができる。
【0025】
有利には、スイッチ部材が、電気ストレージ部材への第2パワーコンバータの接続を可能にしている。この結果、第2パワーコンバータを介して第2エンジンから到来するエネルギーによって電気ストレージ装置を再充電することができる。
【0026】
有利には、電気ストレージ部材の支援により、任意選択によって双発型の飛行において制御された方式で第1エンジンの前記ガス発生器を加速又は減速させる際に支援のバーストを提供するべく、第1パワーコンバータを介して装置を制御してもよい。仏国特許第2914697号明細書に記述されているように、この方法によれば、エンジンの一時的な性能を改善することが可能であり、且つ、従って、前記エンジンが要求するパワーの迅速な変動の結果としてもたらされる航空機の回転翼の速度の低下又は増大の振幅を低減することができる。ガス発生器の減速の場合には、支援のバーストは、エネルギーを取り去るステップを伴っている一方で、パワー発生器が加速される場合には、支援のバーストは、航空機のオンボードネットワークからなんらのエネルギーをも取り去ることなしに、エネルギーを供給するステップを伴っていると規定される。
【0027】
有利には、第2パワーコンバータは、発電器として動作する電気機械によって電力供給され、且つ、航空機の第2エンジンのガス発生器によって駆動される。この技術的選択肢の結果として、オンボードネットワークとは独立しうる支援装置が得られ、これにより、特に、電気ケーブルによって伝達されるものなどの電磁的妨害の問題が大幅に低減され、設置が簡単になり、且つ、オンボードネットワーク、発電システム、又は航空機の電池をサイズを過大なものとする必要性が回避される。更には、航空機の設計及び認可プロセスとは別個である設計及び認可プロセスに関して、エンジン製造者によって支援装置が提供されうる。
【0028】
また、例えば、発電器である第2電気機械は、第2エンジンを始動させる機能をも有する。従って、重量が節約され、且つ、必要とされる装置の数が低減され、且つ、支援装置を使用することにより、第1エンジンの従来型の始動を実装することが可能であり、或いは、実際には、エンジンのドライモータリングを実装することができる。
【0029】
有利には、装置は、いずれかのエンジンのガス発生器のバースト加速に参加するべく、1ストレージ要素/エンジンを含む。
【0030】
このようにして、2つのエンジンのそれぞれに、その固有のバースト支援機能が提供されることに加えて、1ストレージ要素/エンジンを有するという事実により、2つのエンジンが同時に航空機の推進に寄与している際に(双発型の飛行状態)、これらのエンジンの支援装置を電気的に絶縁することができる。
【0031】
特定の実施形態においては、延長された支援は、機械的エネルギーが、燃料消費を極小化する低速度において前記ガス発生器を維持するように適合された状態において、前記ガス発生器が動作中である期間において実行されてもよい。このような状況下においては、コンピュータは、延長された支援の際に既定の期間にわたってガス発生器への燃料の流れを維持し、且つ、燃料消費を極小化するようにガス発生器の速度を低減する。
【0032】
最後に、電気ストレージ部材は、少なくとも、スーパーコンデンサ、ハイブリッドコンペティタ(hybrid competitor)、リチウムイオン電池、或いは、統合されたDC/ACパワーコンバータを任意選択で有するフライホイールを有しうる。
【0033】
有利には、電気ストレージ部材は、前記ガス発生器に燃料が供給されている期間において第1又は第2エンジンのガス発生器からエネルギーを取得することにより、再充電されることが提案される。
【0034】
有利には、ストレージ部材は、更に具体的には、損傷を伴うことなしに、ハイパワーと、数秒のレベルの短い持続時間と、を特徴とする放電シーケンスを受け入れるように設計されており、且つ、この観点において、ストレージ部材は、支援のバーストをエンジンのガス発生器に提供するという機能にのみ専用であるものと規定される。これに関して、ストレージ部材は、特に、正常始動機能、緊急事態始動、及びドライモータリングのために、並びに、更には、飛行中の支援のために、使用される。
【0035】
また、本発明は、少なくとも2つのフリータービンエンジンを有すると共に言及されている支援装置を含む航空機をも提供する。
【0036】
航空機は、ヘリコプターであってもよい。
【0037】
以下、添付図面を参照し、本発明について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】航空機の推進及び電気システムに内蔵された本発明のシステムの全体図である。
図2】本発明の一実施形態の更に具体的な図である。
図3図2の実施形態のステージ又は使用モードを示す。
図4図2の実施形態のステージ又は使用モードを示す。
図5図2の実施形態のステージ又は使用モードを示す。
図6図2の実施形態のステージ又は使用モードを示す。
図7図2の実施形態のステージ又は使用モードを示す。
図8図2の実施形態のステージ又は使用モードを示す。
図9図2の実施形態のステージ又は使用モードを示す。
図10】本発明の一代替実施形態を示す。
図11】本発明の別の代替実施形態を示す。
図12】本発明のその他の代替実施形態を示す。
図13】本発明のその他の代替実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1を参照すれば、提案されているシステムの一実施形態の概略的な電気的アーキテクチャは、以下のとおりである。
【0040】
航空機における発電は、通常は、3ステージタイプの115VAC/400Hzの機械であるメインギアボックスMGBによって駆動される少なくとも2つの交流発電器ALT1及びALT2によって提供されているが、その他の回転式機械も想定されうるであろう。
【0041】
このアーキテクチャは、単発の低費用巡航飛行に関して有利であり、その理由は、この結果、発電とタービンエンジンの動作の間における機能的且つ有機的な独立性が保証され、これにより、2つのエンジンのうちの1つが、そのガス発生器からのパワーの取得と相容れないスタンバイモードにおいて維持されている状態において、低費用巡航飛行中における発電のための十分なレベルの可用性及び冗長性を保持することができるからである。
【0042】
更には、このアーキテクチャは、航空機のオンボードネットワークによって消費される電力に対応した機械的力が、ガス発生器からではなく、フリータービンから取得されるという範囲において、特に、加速及び特定の消費性能に対する影響の観点において、エンジンの動作について、エンジンのガス発生器からのパワーの取得よりも欠点が少ない。
【0043】
ALT1及びALT2が航空機の電気ネットワークに電力供給しており、このネットワークに電力供給するためのその他の利用可能なエネルギー源は、恐らくは、オンボードの補助電源ユニット、1つ又は複数のストレージ電池、或いは、実際には、地上に位置している際には、地上の電源ユニットにより、構成される。
【0044】
メインギアボックスMGBは、エンジンGT1及びGT2によって駆動される。この例においては、これらのエンジンは、フリータービンのターボシャフトエンジンである。これらのそれぞれは、ガス発生器と、フリーホイールを介してMGBを駆動するパワータービン(フリータービン)と、を有する。
【0045】
それぞれのエンジンGT1及びGT2は、始動器として且つ発電器として動作するのに適すると共に、説明対象の実施形態においては、アクセサリギアボックスを介してエンジンのガス発生器に機械的に接続されている個々の回転式機械(それぞれ、G/S1及びG/S2)を有する。装置のコンパクト性及び重量を最適化するべく、G/S1及びG/S2は、ガス発生器による高速駆動に適合していると共に、且つ、例えば、且つ、限定を伴うことなしに、永久磁石を有するブラシレス同期式機械、可変リラクタンス機械、又は非同期式機械などの回転子巻線を有していない機械アーキテクチャを提示することが好ましい。2つの機械G/S1及びG/S2は、航空機の電気ネットワークとは独立的に動作する独立的な電気組立体100に含まれている。
【0046】
図2を参照すれば、独立した電気組立体100は、以下のサブ組立体を有する。
【0047】
まず、直流(DC)により、且つ、(数百ボルトのレベルの)高圧により、動作するバス番号1及びバス番号2という2つのバスが存在しており、これらのバスは、相互に、且つ、オンボードネットワークとは、独立している。
【0048】
独立した電気組立体は、特に回転式機械G/S1及びG/S2に電力供給すると共にトルク及び速度においてこれらを制御するように機能する2つの反転可能なDC/AC静的パワーコンバータSPC1及びSPC2(例えば、2レベルインバータタイプ又はなんらかのその他のタイプ)を更に有する。この電気機械は、ガス発生器によって駆動されるが、これらのコンバータのそれぞれは、制御された整流器として動作する能力を有し、且つ、対応したバスの電圧を調節する能力をも有する。
【0049】
独立した電気組立体100は、短く且つ強力な電力の放出を供給するべく最適化された電気ストレージ部材S1及びS2を更に有する。例として、これらは、スーパーコンデンサ、或いは、ハイブリッドコンデンサ(恐らくは、その独自の制御システムが装着されている)、その独自の電池管理システム(BMS:Battery Management System)が装着されたリチウムイオン(Li−ion)電池、又はフライホイール(その負荷印加/非負荷印加AC/DCコンバータを有する)であってもよい。
【0050】
また、独立した電気組立体100は、2つのDCバスを(並列に)1つに接続するように、且つ、逆に、一側部における組立体S1、バス1、SPC1、G/S1、GT1と他側部における組立体S2、バス2、SPC2、G/S2、GT2を電気的に絶縁するように、機能する電気機械的コンタクタタイプ又は半導体パワーコントローラ(SSPC:Solid State Power Controller)タイプの電気接続切断器部材120をも含む。
【0051】
次に、図3を参照し、双発型の飛行のステージについて説明する。
【0052】
エンジンGT1及びGT2の両方が始動したら、2つの電気機械G/S1及びG/S2は、エンジンGT1及びGT2のガス発生器によって駆動され、且つ、これらは、DC/ACコンバータが、ストレージ部材S1及びS2内の電荷の再充電及び/又はその維持を目的とした適切な電流/電圧関係を適用することにより、整流器として制御されている状態において、発生器モードにおいて動作する。接続切断器部材120は、開路状態にある。
【0053】
ストレージ部材は、恐らくは、地上においてエンジンを始動している間に放電された状態となりうることから、離陸を認可する前に、再度、ストレージ部材S1及びS2がその正常なレベルに充電されることを待つ必要があろう。
【0054】
ストレージ部材S1及びS2の電荷の再充電又は維持(例えば、スーパーコンデンサのパック又は電池内のセルの均衡化に起因した、或いは、実際には、フライホイール内の摩擦に起因した、内部損失について補償するためのもの)は、個々のエンジンGT1及びGT2のガス発生器からエネルギーを取得することにより、オンボードネットワークからは独立した方式で実行される。その技術に応じて、それぞれのストレージ部材S1及びS2内の損失についての補償は、安定状態下においては、数十ワット未満となりうる。
【0055】
この動作モードにおいては、DCバスは、互いに電気的に絶縁されており、且つ、これらは、互いに独立的に動作する。
【0056】
更には、一変形態様においては、ヒステリシスタイプの関係を使用することにより、ストレージ部材の再充電の逐次的な管理が実装されており、部材は、エネルギー閾値E1まで充電され、且つ、次いで、保存されたエネルギーが、内部損失の結果として、E1を下回る閾値E2未満に低下する時点まで、再充電が禁止される(即ち、更なるパワーがガス発生器から取得されない)。能動型の平衡回路を伴う電池又はハイブリッドコンデンサタイプの技術によれば、非常に長い休止が2つの再充電ステージの間において実現される。
【0057】
図4を参照すれば、双発型の飛行においては、エンジンの動作を最適化するべく、部材S1及びS2内に保存されているエネルギーが使用される。この概念は、一時的な機械的エネルギーの入力をエンジンのうちの1つエンジンのガス発生器に対して提供するというものである。この結果、2つの動作モードを想定可能であり、且つ、以下、これらの動作モードについて詳細に説明する。これらのモードについては、接続切断器部材120が開路状態にある際の動作について説明する。
【0058】
まず、ガス発生器を加速させるための支援のバーストを供給することができる。ピッチが低速度から迅速に増大した場合には、ガス発生器への機械的パワーの供給は、その加速度を改善するように、且つ、従って、エンジンがパワーをフリータービンに供給する速度を増大させるように、且つ、この結果、このような操作の末尾において発生するヘリコプターの回転翼の回転速度の一時的な低下を大幅に減少させ、これにより、乗員の安全マージンを増大させるように、機能する。
【0059】
この機能は、ガス発生器の初期速度が低速である際に、性能に対する大きな改善を提供する。この動作モードは、例えば、且つ、限定を伴うことなしに、システムが利用可能であり(障害が検出されていない)、部材S1及びS2内に保存されているエネルギーのレベルが十分であり、エンジンが動作中であり、ガス発生器の初期速度が所与の範囲内にあり、且つ、エンジンの動作ラインがサージからの保護のためのその限度に接近した結果としてパワー需要の迅速な増大が検出される、などの様々な基準が充足された際に、タービンコンピュータの要求において自動的に起動されてもよい。
【0060】
支援のサージは、エンジンの動作ラインが、サージからの保護のためにその限度から離れるように運動した際に、保存されているエネルギーのレベルが特定の閾値を下回った際に、或いは、速度が特定の閾値を超過した際に、起動停止される。
【0061】
その後に、ガス発生器を減速させるための支援のバーストを供給することができる。ガス発生器の減速が、燃焼停止防止の関係によって制限されているピッチの迅速な低減の場合には、ガス発生器から大量のパワーを取得するように、数瞬間にわたってコンバータの生成設定点を増大させることが提案される。この結果、ガス発生器を相対的に迅速に減速させることが可能であり、且つ、従って、エンジンの調節によって燃焼室に注入される燃料の流量が減少する速度を増大させることが可能であり、且つ、この結果、一時的な回転翼の速度の増大の振幅を減少させることができる。
【0062】
この動作モードは、例えば、且つ、限定を伴うことなしに、動作ラインが、燃焼停止防止流量限度に接近するなどの様々な基準が充足された際に、且つ、減速中にガス発生器から取得されるエネルギーを保存するために利用可能な容量が存在している場合に、タービンコンピュータの要求により、自動的に起動される。
【0063】
従って、一変形態様においては、ストレージ部材の容量は、すべての状況下においてエネルギーを保存するためのマージンが存在することを保証するべく、わずかに過大にサイズ設定されている。
【0064】
代替方式においては、装置は、例えば、抵抗要素から製造された組立体及び制動チョッパアームなどのように、ガス発生器を減速させるべく、取得されたエネルギーを散逸させるために、DCバスに追加されてもよい。
【0065】
また、パワー注入タイプの支援のバーストを提供することもできる。フリータービンに対する増大した効果を得るように、機械的な力Pmecがガス発生器に注入される。飛行エンベロープの特定のゾーン内においては、1超の利得Kにより、フリータービンから、且つ、従って、ヘリコプターのMGBから、パワーK.Pmecを回収することができる。従って、適切な状態が存在している際には、ガス発生器に対する支援の供給は、フリータービンに又はMGBに直接的に注入されることを除いて、等価な支援の供給よりも効率的でありうることが観察されよう。この動作モードは、部材S1及びS2内において保存されているエネルギーが十分である際に、例えば、大きな負荷を伴う、且つ/又は、高高度における、且つ/又は、高温における、離陸などのように、クルーの要求において予防的な方式により、起動されてもよく、或いは、さもなければ、例えば、フリータービンの速度が特定の閾値未満に低下した場合や他方のエンジンからのパワーの喪失を検出した際などのように、1つのエンジンが動作していない(OEI:One Engine Inoperative)緊急定格において短い持続時間にわたって更なるパワーを提供するべく、エンジンコンピュータの要求において自動的に起動されてもよい。
【0066】
図5を参照すれば、単発型の低費用巡航ステージの飛行を観察することができる。
【0067】
その他のものに加えて、部材S1及び/又はS2内に十分なエネルギーが保存されていることを意味する、このモードを許容する状態が存在している場合には、アビオニクス装置は、ゴートゥースタンバイ(go−to−standby)命令をガスタービン(例えば、図のGT2)のコンピュータに送信する。
【0068】
「スーパーアイドル」変形態様と呼称される図5に示されている第1変形態様においては、GT2のコンピュータは、燃料の流量を低減し、且つ、ガス発生器の速度を低い設定点値に調節し、これにより、MGBからのパワータービンの脱同期化を可能にし(従って、この結果、ヘリコプターに供給されるパワーは、ゼロである)、且つ、燃料消費の低下を可能にする。同時に、電気機械G/S2及び関連付けられたコンバータSPC2は、GT2のガス発生器からのパワーの取得を回避するように、抑制される。
【0069】
電気機械G/S1及びそのコンバータSPC1は、「発電器」モードに遷移し(これらが、まだこのモードに遷移していない場合)、次いで、接続切断器部材220を再構成することにより、2つのDCバスが電気的に1つに接続される。GT1のガス発生器から取得されたエネルギーは、ストレージ部材S1及び図2内の電荷を維持するべく使用され、この電荷維持機能は、連続的に実行されてもよく、或いは、さもなければ、2つの部材のそれぞれにおいて、不連続的に且つ逐次的に、実行されてもよい。
【0070】
図6に示されている第2変形態様においては、エンジンGT2のコンピュータは、燃料の流れをカットオフし、且つ、ガス発生器の速度を設定点値において調節している。GT2の燃焼室が消火されていることから、燃料消費はゼロであり、且つ、フリータービンは、MGBとの間において脱同期化された状態となる。同時に、電気機械G/S2及び関連付けられたコンバータSPC2は、レギュレータによって定義されると共に燃焼室用の理想的な点火ウィンドウに対応した速度設定点を伴って、モーターモードに遷移する。ガス発生器は、自転状態に遷移し、且つ、数秒の後に、その速度は、燃焼室が消火された状態において、この設定点において安定する。電気機械G/S1及びそのコンバータSPC1は、まだ発電器モードに遷移していない場合には、発電器モードに遷移する。
【0071】
接続切断器部材120を再構成することにより、2つのDCバスが電気的に1つに接続される。エンジンGT1のガス発生器から取得されるエネルギーは、ストレージ部材S1及びS2内の電荷を維持するべく、且つ、パワーコンバータSPC2を介して電気機械G/S2に電力供給するべく、使用される。この側面は、エンジンGT2のガス発生器に対する延長された支援を構成し、且つ、「回転」モードと呼称される。
【0072】
図7に示されている一変形態様においては、コンピュータは、エンジンGT2に対する燃料の供給を維持しており、且つ、このエンジンには、図6を参照して説明したものと同一の原理に基づいて、そのガス発生器を回転させる際に、延長された支援が提供されている。これを目的として、コンピュータは、タービンの動作を最適化するように、且つ、燃料消費を極小化するように、ガス発生器の速度を設定点値に調節している。「支援型のスーパーアイドル」と呼称されるこのような動作モードにおいては、SPC2及びG/S2は、モーターモードにおいて動作する。
【0073】
これらの動作ステージにおいては、電気組立体100は、オンボードネットワークからは独立した状態において留まる。
【0074】
単発型の低費用巡航飛行モードからは、2つの異なる方法で離脱することができる。まず、図8を参照すれば、GT2の再始動が急を要していない際には、GT2は、正常な手順を使用してアビオニクス装置の要求によって始動され、電気接続切断器部材120を再構成することにより、まず、2つのDCバスが互いに電気的に絶縁される。
【0075】
エンジンGT2が、当初、その燃焼室が点火された状態において、スタンバイ状態にあった場合には(「スーパーアイドル」又は「支援型のスーパーアイドル」モード)、電気機械G/S2は、ストレージ部材S2内に保存されているエネルギーを使用して支援のバーストを提供し、ガス発生器を加速させるために駆動トルクを供給するように、制御される。同時に、エンジンGT2のコンピュータは、予め定義された関係を適用することにより、燃料の流量を増大させる。エンジンGT2が、当初、燃焼室が消火された状態において、スタンバイ状態にある場合には(「回転」モード)、コンピュータは、エンジンGT2のガス発生器が、理想的な点火ウィンドウ内において既に駆動されていることを除いて、上述のものに類似した始動シーケンスを開始する。燃焼室の点火が検出された際に、電気機械G/S2によって供給されるトルクが増大させられ、且つ、エンジンGT2のコンピュータは、予め定義された関係を適用することにより、燃料の流量を増大させる。いずれの場合にも、速度NGが、維持可能な閾値を超過した際には、電気的な支援が接続切断され、且つ、エンジンGT2は、その独自の手段により、飛行速度まで加速する。
【0076】
ヘリコプターが地上に位置している際には、それぞれのエンジンのガス発生器が、当初、十分に停止されていることを除いて、離陸の前に、エンジンを始動させるべく、類似したシーケンスが使用されうることが観察されよう。エンジンは、通常、1つずつ、逐次的に始動される。両方のエンジンが始動したら、且つ、離陸の前に、ストレージ部材S1及びS2は、上述の手順を使用することにより、再充電される(図3を参照されたい)。
【0077】
図9を参照すれば、単発型の低費用飛行の特定の状態下においては、乗員は、エンジンGT2からのパワーを迅速に必要と場合があり、この状況は、例えば、パワーがエンジンGT1から喪失された場合に、或いは、予想されていないパワーのニーズが、両方のエンジンからのパワーを必要としており、且つ、従って、単発型のモードからの迅速な離脱を正当化している場合に(障害物の回避など)、発生しうる。このような状況下においては、緊急事態手順を使用することにより、再始動が実行される、その目的は、エンジンGT2が、短い期間内において、そのフライト速度に、或いは、場合によっては、そのOEI定格に、到達するようにするというものである。
【0078】
当初、2つのDCバスは、電気接続切断部材120を再構成することにより、電気的に絶縁されている。エンジンGT2が、当初、その燃焼室が点火された状態において、スタンバイ状態にあった場合には(「スーパーアイドル」又は「支援型のスーパーアイドル」モード)、電気機械G/S2は、ガス発生器を加速させる際に支援のバーストを提供するべく、駆動トルクを供給するように、動作させられるが、この支援は、正常な再始動手順用のものよりも実質的に高いレベルを有する。同時に、エンジンGT2のコンピュータは、タービンの高速再始動のために同様に最適化された予め定義された関係を適用することにより、燃料流量を増大させる。
【0079】
エンジンGT2が、当初、燃焼室が消火された状態において、スタンバイ状態にあった場合には(「回転」モード)、コンピュータは、燃焼室の点火をトリガするが、この動作は、ガス発生器が既に理想的な点火ウィンドウ内において回転駆動されているという事実により、容易になっている。その後に、上述のものと同様に、コンピュータは、ガス発生器を加速させるための電気的な支援のバーストを要求することになり、且つ、コンピュータは、タービンの高速再始動のために同様に最適化された予め定義された関係を適用することにより、燃料の流量を増大させる。
【0080】
いずれの状況においても、ガス発生器に対する電気的支援のバーストは、その飛行又はOEI定格まで加速するためにエンジンが所要する時間を極小化するべく、正常な始動手順において使用される始動器カットオフ速度閾値を超えて拡張されてもよい。
ヘリコプターが着陸したら、タービンをスイッチオフする前に、電気ハイブリッド装置のストレージ部材が後続の始動のための準備完了状態となるように、ストレージ部材を再充電することが推奨されうるであろう。この手順は、エンジンを停止させる前にエンジン内の温度を均衡化させるべく使用される「地上アイドル」速度への必要とされる遷移の際に、実行されてもよい。
【0081】
図10を参照し、一変形態様について説明する。
【0082】
独立した電気組立体110は、上述の独立した電気組立体100に類似しているが、ストレージ部材S1及びS2が単一のストレージ部材Sによって置換されている。例として、これは、単一のエンジンを緊急事態始動する能力を有するように、サイズ設定されている。この結果、利点は、重量及びコンパクト性の観点におけるほとんど2分の1の節約にある。再充電モードにおいては(双発型の動作)、2つのパワーコンバータSPC1又はSPC2のうちの1つが、スーパーバイザコンピュータにより、「マスタ」として規定され、且つ、ストレージ部材Sの再充電を担当する。再構成部材121は、エンジンの一方又は他方による部材Sの充電又はエンジンに対する支援のバーストの提供のステージのために、コンバータSPC2へのストレージ部材Sの接続を可能にし、且つ、組立体SPC1−G/S1からの組立体S−SPC2−G/S2の電気的な絶縁を可能にし、或いは、逆に、再構成部材121は、コンバータSPC1へのストレージ部材Sの接続と組立体SPC2−G/S2からの組立体S−SPC1−G/S1の電気的な絶縁を可能にする。
【0083】
また、再構成部材121は、発電器として動作する他方の電気機械により、モーターとして動作している電気機械の一方に対して電力供給するステップを伴う(「回転」モード及び「支援型のスーパーアイドル」モード)飛行の単発型のステージのために、1つに電気的に接続された状態において組立体SPC2(G/S2)−SPC1(G/S1)を維持する能力をも有する。
【0084】
図11を参照し、別の変形態様について説明する。
【0085】
この例においては、電気組立体102は、オンボードネットワークから独立してはいない。電気機械G/S1とコンバータSPC1の間の電気接続は、オンボードネットワークを介して実行されている。1つの電気ストレージ部材Sのみが存在しており、且つ、これは、コンバータSPC2及び電気機械G/S2を介したエンジンGT2への支援のバーストの提供に専用である。これは、特に、再構成部材122の位置の関数として、コンバーター及び電気機械GS1により、充電されてもよく、或いは、コンバータSPC2及び電気機械G/S2により、充電されてもよい。エンジンGT1は、低費用巡航飛行の際には、スタンバイモードに遷移させられない。対照的に、エンジンGT2は、その燃焼室が点火された状態において(「支援型のスーパーアイドル」モード)、或いは、その燃焼室が消火された状態において(「回転」モード)、スタンバイモードに遷移させられてもよく、この場合には、ガス発生器に対する延長された支援のために必要とされる電気エネルギーは、G/S1、SPC1、SPC2、及びG/S2を介して、或いは、ALT1、SPC1、SPC2、及びG/S2を介して、エンジンGT1から到来する(図1との関連において、ALT1を参照されたい)。この第2の例においては、G/S1は、単純な非制御型の始動器によって置換されてもよい。
【0086】
再構成部材122は、部材Sの充電又はエンジンに対する支援のバーストの提供のステージのために、コンバータSPC2へのストレージ部材Sの接続を可能にし、且つ、組立体SPC1及びオンボードネットワークからの組立体S−SPC2−G/S2の電気的な絶縁を可能にし、或いは、逆に、コンバータSPC1へのストレージ部材Sの接続と組立体SPC2−G/S2からの組立体S−SPC1−G/S1の電気的な絶縁を可能にする。
【0087】
図12を参照し、別の変形態様について説明する。エンジンGT1は、2つの電気機械用のモーションテークオフを含む、具体的には、始動器電気機械D1と、発電器電気機械G1と、を含む、アクセサリボードを有する。エンジンGT1の正常な始動のために使用される機械D1には、オンボードネットワークによって電力供給される一方で、機械G1は、コンバータSPC1に接続されている。電気回路の残りの部分は、図9のものに類似している。単一のストレージ部材Sは、エンジンGT2に対する支援のバーストの提供に専用である。
【0088】
再構成部材123は、エンジンの一方又は他方による部材Sの充電又はエンジンGT2に対する支援のバーストの提供のステージのために、コンバータSPC2へのストレージ部材Sの接続を可能にし、且つ、組立体SPC1−G1からの組立体S−SPC2−G/S2の電気的な絶縁を可能にし、或いは、逆に、コンバータSPC1へのストレージ部材Sの接続と組立体SPC2−G/S2−GT2からの組立体S−SPC1−G/S1の電気的な絶縁を可能にする。
【0089】
また、再構成部材123は、電気機械G1による電気機械G/S2への電力供給を伴う飛行のステージのために、1つに接続された状態において組立体SPC2(G/S2)−SPC1(G1)を維持する能力をも有する。
【0090】
要素G1、SPC1、123、S、SPC2、及びG/D2から構成された組立体は、103という参照符号が付与された独立した電気組立体である。これは、オンボードネットワークから独立している。
【0091】
図13を参照し、別の変形態様について説明する。
【0092】
電気組立体104は、オンボードネットワークに接続されたコンバータSPC1を有する。
【0093】
また、これは、コンバータSPC2をエンジンGT1に接続された電気機械G/S1に又はエンジンGT2に接続された電気機械G/S2に接続するべく、スイッチ部材130に接続されたコンバータSPC2をも有する。2つの電気機械G/S1及びG/S2は、その両方がコンバータSPC2に同時に接続されてはならない。
【0094】
また、構成部材124は、スイッチ部材130の位置の関数として、オンボードネットワークによって充電されるべく、単一のストレージ部材SをコンバータSPC1に接続するように、或いは、エンジンGT1及びGt2のうちの一方に支援のバーストを提供するべく、コンバータSPC2に接続するように、機能する。また、ストレージ部材Sは、両方のコンバータSPC1及びSPC2に対して同時に接続されうる。
【0095】
再構成部材104は、(特に、ガス発生器が好適な点火ウィンドウ内において維持された状態において、燃焼室が消火されたスタンバイモードにおいて、即ち、「スーパーアイドル」モードにおいて、且つ、チャンバが点火された状態のスタンバイモードにおいて、即ち、「支援型のアイドル」モードにおいて)、コンバータSPC2に接続されたエンジンのガス発生器に対して延長された支援を提供するべく、スイッチ部材130を介したコンバータSPC2へのコンバータSPC1の接続を可能にする。
【0096】
オンボードネットワークは、エンジンGT1又はGT2のうちの少なくとも1つによって間接的又は直接的に駆動されている1つ又は複数の交流発電器によって電力供給されており、且つ、これらエンジンのうちの一方又は他方が消火された際には、延長された方式によってオンボードネットワークに電力を提供するのは、必然的に、他方のエンジンであることを思い起こされたい。
【0097】
本発明は、記述されている実施形態に限定されるものではなく、請求項の範囲の領域に含まれるすべての変形態様を含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13