【実施例】
【0057】
好ましい化合物の合成
表1に列挙される化合物は、以下の例に記載の手順後、合成されている。
【0058】
材料および方法
すべての試薬は、Sigma−Aldrich社、Fluorochem社およびAlfa Aesar社から購入し、さらに精製せずに用いた。核磁気共鳴(NMR)スペクトルを、Bruker Avance3 400MHz装置において内部標準としてテトラメチルシラン(TMS)を用いて指示された溶媒で記録した。化学シフトを、内部標準に対して百万分率(ppm)で報告する。略語を以下の通り用いる。s=1重項、d=2重項、t=3重項、q=4重項、m=多重項、dd=2重項の2重項、bs=幅広いシグナル。結合定数(J値)をヘルツ(Hz)で示す。分析用HPLC−MSスペクトルを、Thermo Finnigan LCQ DECA XP−PLUS装置と連結させ、C18(10μM、4.6mm×150mm)Phenomenex Gemini逆相カラムを装備したThermo Finnigan Surveyorに記録した。10mM(pH4.2)ギ酸アンモニウム/ギ酸緩衝液およびアセトニトリルからなる溶離液混合物は、流量0.200mL/分で90:10から10:90までの勾配に従って用いた。すべてのMS実験を、正および負イオンモードでエレクトロスプレーイオン化法(ESI)を用いて行った。
【0059】
すべての反応を、Grace Resolv Davisilシリカゲルプレート250pm厚さ、60 F254で行った薄層クロマトグラフィー(TLC)によりモニターし、UV(254nm)またはKMn04、p−アニスアルデヒド、およびモリブデン酸アンモニウムセリウム(CAM:ceric ammonium molybdate)などの染色を用いることにより可視化した。クロマトグラフィーによる精製は、Grace Resolv Davisilシリカ60のシリカゲルカラムで行った。すべての有機溶液は、無水Na
2SO
4またはMgSO
4で脱水し、ロータリーエバポレーターで濃縮した。生物検定のために用いるすべての化合物は、別段示されない限り、220および254nmの波長でモニターしたHPLC分析結果に基づき、少なくとも98%の純度である。
【0060】
基本手順
(実施例1)
3−フルオロベンゼンカルボチオアミド(中間体a)の合成
冷却器およびマグネチックスターラーを装備した100mL丸底フラスコに3−フルオロベンゾアミド(2.0g、14.4mmol)を入れ、これを、THF30mLに溶解し、次いで、Lawesson試薬を溶液(3.5g、8.64mmol)に加えた。混合物を60℃まで加熱し、終夜撹拌し;転換を、TLC(溶離液:n−ヘキサン/EtOAc7:3)によりモニターした。溶液を室温で冷却し、溶媒を真空蒸留によって除去した。
【0061】
未精製物をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:n−ヘキサン/EtOAc7:3)によって精製し、これにより、3−フルオロベンゼンカルボチオアミドを黄色の固形物(2.0g、12.9mmol、Y=89%)として得た。
【0062】
【0063】
エチル2−(3−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシ−1,3−チアゾール−5−カルボキシレート(中間体b)の合成
マグネチックスターラーを装備したマイクロウェーブバイアルに乾燥エタノール(8mL)に溶解した3−フルオロベンゼンカルボチオアミド(0.5g、3.22mmol)を入れ、ブロモマロン酸ジエチルを加え(0.055mL、3.22mmol)、バイアルをしっかり栓をした。マイクロ波装置で100℃で30分間、溶液を照射した。エタノールから結晶化した後、エチル2−(3−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシ−1,3−チアゾール−5−カルボキシレートを黄色の固形物として得た(0.439g、1.64mmol、Y=51%)。
【0064】
【0065】
エチル2−(3−フルオロフェニル)−4−メトキシ−1,3−チアゾール−5−カルボキシレート(中間体c)の合成
マグネチックスターラーを装備した25mL丸底フラスコに乾燥THF(3mL)およびDMF(2.5mL)に溶解したエチル2−(3−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシ−1,3−チアゾール−5−カルボキシレート(0.100g、0.374mmol)を入れ、溶液を、NaH(60〜65%油分散液、0.022g、1.5eq)およびヨウ化メチル(0.140mL、7eq.)で処理し、終夜室温で撹拌した。反応物を、水で急冷し、酢酸エチル(20mL、3回)で抽出し、有機物を収集し、飽和炭酸水素ナトリウムおよび食塩水で洗浄し、次いで、乾燥硫酸ナトリウムで無水物化した(anhydrified)。未精製物をシリカゲル(溶離液:n−ヘキサン/酢酸エチル9:1)で精製した。エチル2−(3−フルオロフェニル)−4−メトキシ−1,3−チアゾール−5−カルボキシレートを黄色の固形物(0.053g、0.19mmol、Y=50%)として得た。
【0066】
【0067】
2−(3−フルオロフェニル)−4−メトキシ−1,3−チアゾール−5−カルボン酸(中間体d)の合成
マグネチックスターラーを装備した25mL丸底フラスコにエタノール(3mL)および水(0.020mL)に溶解したエチル2−(3−フルオロフェニル)−4−メトキシ−1,3−チアゾール−5−カルボキシレート(0.097g、0.344mmol)を入れた。次いで、KOHを加え(0.193g、3.44mmol)、溶液を終夜室温で撹拌した。混合物を水(15mL)に希釈し、HCl 2NでpH2まで酸性にし、酢酸エチル(20mL×2)で抽出した。有機層を収集し、水および食塩水で洗浄し、次いで、乾燥硫酸ナトリウムで無水物化した。2−(3−フルオロフェニル)−4−メトキシ−1,3−チアゾール−5−カルボン酸を黄色の固形物(0.077g、0.304mmol、Y=88%)として得た。
【0068】
【0069】
2−(3−フルオロフェニル)−4−メトキシ−1,3−チアゾール−5−カルボニルクロリド(中間体e)の合成
マグネチックスターラーおよび水冷式冷却器を装備した25mL丸底フラスコに室温で2−(3−フルオロフェニル)−4−メトキシ−1,3−チアゾール−5−カルボン酸(0.049g、0.193mmol)および乾燥DCM5mLを入れた。同じ温度で、溶液を、過量の塩化チオニル(0.028mL、0.387mmol)およびDMFの触媒量(0.002mL)で処理し、次いで、2.5時間還流した。次いで、溶液を冷却し、減圧下で揮発物を除去した。油性残留物を、数回トルエンでストリッピングして、残留塩化チオニルをさらに除去した。2−(3−フルオロフェニル)−4−メトキシ−1,3−チアゾール−5−カルボニルクロリド(0.052g、0.0193mmol、Y=95%)を淡黄色の油として得、さらに精製せずに用いた。
【0070】
2−(3−フルオロフェニル)−N,4−ジメトキシ−N−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(中間体f)の合成
マグネチックスターラーを装備した25mL丸底フラスコ中で、2−(3−フルオロフェニル)−4−メトキシ−1,3−チアゾール−5−カルボニルクロリド(0.052g、0.193mmol)を、乾燥DCM(5mL)に溶解し、氷浴で0℃まで冷却した。この溶液を、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(0.038g、0.386mmol)、トリエチルアミン(0.1mL)およびDCM(2mL)の混合物で処理し、同じ温度で45分間撹拌した。LC−MSによって確認して、反応が終了し、これを急冷し、次の通り後処理した。混合物をDCM(50mL)で希釈し、水(10mL×2)および食塩水(10mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、溶媒を真空蒸留した。2−(3−フルオロフェニル)−N,4−ジメトキシ−N−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(0.060g、0.20mmol、Y=95%)を油性固形物として得、次の合成ステップに用いた。
【0071】
【0072】
1−[2−(3−フルオロフェニル)−4−メトキシ−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オン(中間体g)の合成
マグネチックスターラーを装備した10mL丸底フラスコに2−(3−フルオロフェニル)−N,4−ジメトキシ−N−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(0.066g、0.223mmol)および乾燥THF2.5mLを入れ、−78℃まで冷蔵した。溶液を、同じ温度で塩化エチルマグネシウム(0.17mL、0.334mmol)で処理し、次いで、−60℃で1.5時間撹拌した。冷却系を除去し、反応を飽和塩化アンモニウム水溶液(10mL)で室温で急冷した。混合物を酢酸エチル(20mL×2)で抽出し、有機物を収集し、水(20mL×2)で2回洗浄し、食塩水(20mL)で1回洗浄した。次いで、有機相を無水物化し、溶媒を真空除去した。未精製物をフラッシュクロマトグラフィーによりシリカゲルで精製した。1−[2−(3−フルオロフェニル)−4−メトキシ−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オンを淡黄色の固形物(0.056g、0.211mmol、Y=95%)として得た。
【0073】
【0074】
1−[2−(3−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシ−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オン(1)の合成
マグネチックスターラーを装備した10mL丸底フラスコに1−[2−(3−フルオロフェニル)−4−メトキシ−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オン(0.042g、0.158mmol)を入れ、室温で乾燥DCM(4mL)に溶解し、次いで、氷浴で0℃まで冷蔵した。溶液を、この温度でジクロロメタン(0.39mL、0.390mmol)中の三臭化ホウ素1Mで処理し、次いで、30分間撹拌した。反応物をDCM(20mL)で希釈し、水(10mL)と共に10分間撹拌した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで無水物化し、溶媒を蒸留し、未精製物をシリカゲルで精製した。1−[2−(3−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシ−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オンを黄色の固形物(0.029g、0.115mmol、Y=73%)として得た。
【0075】
【0076】
(実施例2)
2−(3−フルオロフェニル)−5−プロパノイル−1,3−チアゾール−4−オールナトリウム塩(2)の合成
マグネチックスターラーを装備した25mL丸底フラスコに1−[2−(3−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシ−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オン(0.034g、0.135mmol)を入れ、室温でメタノール(6mL)に溶解した。次いで、溶液をNaOHの当量(0.135mL、0.135mmol、メタノール中の1M)で処理し、30分間撹拌した。揮発物を真空蒸留し、表題化合物を、定量的収率(0.037g、0.135mmol)でオフホワイト色の固形物として得た。
【0077】
【0078】
(実施例3)
1−(2−(3−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシチアゾール−5−イル)エタノン(4)の合成
実施例1−中間体aに記載されている通り調製した3−フルオロベンゼンカルボチオアミド(0.110g、0.70mmol)から開始し、チアゾール合成についての基本手順を適用して、2−(3−フルオロフェニル)−N,4−ジメトキシ−N−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(Weinrebのアミド)を得た。後者に、塩化メチルマグネシウムを用いた基本手順において指定された同じ合成条件を実施して、1−(2−(3−フルオロフェニル)−4−メトキシチアゾール−5−イル)エタノンを得、次いで、三臭化ホウ素で脱保護して、オフホワイト色の固形物(0.030g、0.13mmol、Y=87%)として表題化合物を得た。
【0079】
【0080】
(実施例4)
1−[2−(3−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシ−1,3−チアゾール−5−イル]−2−メチルプロパン−1−オン(5)の合成
実施例1−中間体aに記載されている通り調製した3−フルオロベンゼンカルボチオアミド(0.070g、0.45mmol)から開始し、チアゾール合成についての基本手順を適用して、2−(3−フルオロフェニル)−N,4−ジメトキシ−N−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(Weinrebのアミド)を得た。後者に、イソプロピルマグネシウムクロリドを用いた基本手順において指定された同じ合成条件を実施して、1−[2−(3−フルオロフェニル)−4−メトキシ−1,3−チアゾール−5−イル]−2−メチルプロパン−1−オンを得、次いで、これを、三臭化ホウ素で脱保護して、黄色の固形物(0.021g、0.08mmol、Y=88%)として表題化合物を得た。
【0081】
【0082】
(実施例5)
1−[4−ヒドロキシ−2−(チオフェン−2−イル)−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オン(7)の合成
実施例1−中間体aに記載されている通り調製したチオフェン−2−カルボチオアミド(0.074g、0.52mmol)から開始し、チアゾール合成についての基本手順を適用して、N,4−ジメトキシ−N−メチル−2−(チオフェン−2−イル)−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(Weinrebのアミド)を得た。後者に、塩化エチルマグネシウムを用いた基本手順において指定された同じ合成条件を実施して、1−[4−メトキシ−2−(チオフェン−2−イル)−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オンを得、次いで、これを、三臭化ホウ素で脱保護して、黄色の固形物(0.022g、0.09mmol、Y=88%)として表題化合物を得た。
【0083】
【0084】
(実施例6)
1−[4−ヒドロキシ−2−(2−メチルフェニル)−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オン(9)の合成
実施例1−中間体aに記載されているものと同じように調製した2−メチルベンゼンカルボチオアミド(0.152g、1.0mmol)から開始し、チアゾール合成についての基本手順を適用して、N,4−ジメトキシ−N−メチル−2−(2−メチルフェニル)−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(Weinrebのアミド)を得た。後者に、塩化エチルマグネシウムを用いた基本手順において指定された同じ合成条件を実施して、1−[4−メトキシ−2−(2−メチルフェニル)−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オンを得、次いで、これを、三臭化ホウ素で脱保護して、褐色の固形物(0.44g、0.18mmol、Y=89%)として表題化合物を得た。
【0085】
【0086】
(実施例7)
1−[2−(2−ブロモフェニル)−4−ヒドロキシ−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オン(11)の合成
実施例1−中間体aに記載されているものと同じように調製した2−ブロモベンゼンカルボチオアミド(0.053g、0.15mmol)から開始し、チアゾール合成についての基本手順を適用して、2−(2−ブロモフェニル)−N,4−ジメトキシ−N−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(Weinrebのアミド)を得た。後者に、塩化エチルマグネシウムを用いた基本手順において指定された同じ合成条件を実施して、1−[2−(2−ブロモフェニル)−4−メトキシ−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オンを得、次いで、これを、三臭化ホウ素で脱保護して、黄色の固形物(0.018g、0.06mmol、Y=87%)として表題化合物を得た。
【0087】
【0088】
(実施例8)
1−[2−(2−ヒドロキシフェニル)−4−ヒドロキシ−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オン(13)の合成
実施例1−中間体aに記載されているものと同じように調製した2−メトキシベンゼンカルボチオアミド(0.061g、0.35mmol)から開始し、基本手順をチアゾール合成について適用して、N,4−ジメトキシ−2−(2−メトキシフェニル)−N−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(Weinrebのアミド)を得た。
【0089】
Weinrebのアミドを塩化エチルマグネシウムを用いた基本手順において指定された同じ合成条件を実施して、1−[4−メトキシ−2−(2−メトキシフェニル)−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オンを得、次いで、これを、三臭化ホウ素(4当量)で脱保護して、黄色の固形物(0.016g、0.07mmol、Y=95%)として表題化合物を得た。
【0090】
【0091】
(実施例9)
1−[2−(3−ブロモフェニル)−4−ヒドロキシ−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オン(14)の合成
実施例1−中間体aに記載されているものと同じように調製した3−ブロモベンゼンカルボチオアミド(0.20g、0.92)mmolから開始し、チアゾール合成についての基本手順を適用して、2−(3−ブロモフェニル)−N,4−ジメトキシ−N−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(Weinrebのアミド)を得た。後者に、塩化エチルマグネシウムを用いた基本手順において指定された同じ合成条件を実施して、1−[2−(3−ブロモフェニル)−4−メトキシ−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オンを得、次いで、これを、三臭化ホウ素で脱保護して、白色の固形物(0.055g、0.17mmol、Y=95%)として表題化合物を得た。
【0092】
【0093】
(実施例10)
1−[2−(フラン−2−イル)−4−ヒドロキシ−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オン(15)の合成
実施例1−中間体aに記載されているものと同じように調製したフラン−2−カルボチオアミド(0.101g、0.79mmol)から開始し、チアゾール合成についての基本手順を適用して、2−(フラン−2−イル)−N,4−ジメトキシ−N−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(Weinrebのアミド)を得た。後者に、塩化エチルマグネシウムを用いた基本手順において指定された同じ合成条件を実施して、1−[2−(フラン−2−イル)−4−メトキシ−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オンを得、次いで、これを、三臭化ホウ素で脱保護して、黄色の固形物(0.034g、0.15mmol、Y=90%)として表題化合物を得た。
【0094】
【0095】
(実施例11)
1−[4−ヒドロキシ−2−(1H−ピロール−2−イル)−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オン(16)の合成
実施例1−中間体aに記載されているものと同じように調製した1H−ピロール−2−カルボチオアミド(0.103g、0.82)から開始し、チアゾール合成についての基本手順を適用して、N,4−ジメトキシ−N−メチル−2−(1H−ピロール−2−イル)−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(Weinrebのアミド)を得た。後者に、塩化エチルマグネシウムを用いた基本手順において指定された同じ合成条件を実施して、1−[4−メトキシ−2−(1H−ピロール−2−イル)−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オンを得、次いで、これを、三臭化ホウ素で脱保護して、黄色の固形物(0.034g、0.15mmol、Y=93%)として表題化合物を得た。
【0096】
【0097】
(実施例12)
1−[4−ヒドロキシ−2−(1−メチル−1H−ピロール−2−イル)−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オン(17)の合成
実施例1−中間体aに記載されているものと同じように調製した1−メチル−1H−ピロール−2−カルボチオアミド(0.105g、0.75mmol)から開始し、チアゾール合成についての基本手順を適用して、N,4−ジメトキシ−N−メチル−2−(1−メチル−1H−ピロール−2−イル)−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(Weinrebのアミド)を得た。後者に、塩化エチルマグネシウムを用いた基本手順において指定された同じ合成条件を実施して、1−[4−メトキシ−2−(1−メチル−1H−ピロール−2−イル)−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オンを得、次いで、これを、三臭化ホウ素で脱保護して、黄色の固形物(0.034g、0.14mmol、Y=91%)として表題化合物を得た。
【0098】
【0099】
(実施例13)
1−[4−ヒドロキシ−2−(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オン(18)の合成
実施例1−中間体aに記載されているものと同じように調製した1−メチル−1H−イミダゾール−5−カルボチオアミド(0.203g、1.44mmol)から開始し、チアゾール合成についての基本手順を適用して、N,4−ジメトキシ−N−メチル−2−(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(Weinrebのアミド)を得た。後者に、塩化エチルマグネシウムを用いた基本手順において指定された同じ合成条件を実施して、1−[4−メトキシ−2−(1−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オンを得、次いで、これを、三臭化ホウ素で脱保護して、黄色の固形物(0.065g、0.27mmol、Y=94%)として表題化合物を得た。
【0100】
【0101】
(実施例14)
1−[4−ヒドロキシ−2−(1H−イミダゾール−5−イル)−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オン(19)の合成
実施例1−中間体aに記載されているものと同じように調製した1H−イミダゾール−5−カルボチオアミド(0.198g、1.56mmol)から開始し、チアゾール合成についての基本手順を適用して、2−(1H−イミダゾール−5−イル)−N,4−ジメトキシ−N−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(Weinrebのアミド)を得た。後者に、塩化エチルマグネシウムを用いた基本手順において指定された同じ合成条件を実施して、1−[4−メトキシ−2−(1H−イミダゾール−5−イル)−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オンを得、次いで、これを、三臭化ホウ素で脱保護して、黄色の固形物(0.062g、0.28mmol、Y=89%)として表題化合物を得た。
【0102】
【0103】
(実施例15)
1−[4−ヒドロキシ−2−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オン(20)の合成
実施例1−中間体aに記載されているものと同じように調製した1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボチオアミド(0.211g、1.49mmol)から開始し、チアゾール合成についての基本手順を適用して、N,4−ジメトキシ−N−メチル−2−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(Weinrebのアミド)を得た。後者に、塩化エチルマグネシウムを用いた基本手順において指定された同じ合成条件を実施して、1−[4−メトキシ−2−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オンを得、次いで、これを、三臭化ホウ素で脱保護して、黄色の固形物(0.064g、0.27mmol、Y=92%)として表題化合物を得た。
【0104】
【0105】
(実施例16)
1−[4−ヒドロキシ−2−(チオフェン−2−イル)−1,3−チアゾール−5−イル]ブタン−1−オン(21)の合成
実施例1−中間体aに記載されているものと同じように調製したチオフェン−2−カルボチオアミド(0.20g、1.39mmol)から開始し、チアゾール合成についての基本手順を適用して、N,4−ジメトキシ−N−メチル−2−(チオフェン−2−イル)−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(Weinrebのアミド)を得た。後者に、プロピルマグネシウムクロリドを用いた基本手順において指定された同じ合成条件を実施して、1−[4−メトキシ−2−(チオフェン−2−イル)−1,3−チアゾール−5−イル]ブタン−1−オンを得、次いで、これを、三臭化ホウ素で脱保護して、黄色の固形物(0.067g、0.26mmol、Y=95%)として表題化合物を得た。
【0106】
【0107】
(実施例17)
1−[4−ヒドロキシ−2−(チオフェン−2−イル)−1,3−チアゾール−5−イル]−3−メチルブタン−1−オン(22)の合成
実施例1−中間体aに記載されているものと同じように調製したチオフェン−2−カルボチオアミド(0.150g、1.04mmol)から開始し、チアゾール合成についての基本手順を適用して、N,4−ジメトキシ−N−メチル−2−(チオフェン−2−イル)−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(Weinrebのアミド)を得た。後者に、イソブチルマグネシウムクロリドを用いた基本手順において指定された同じ合成条件を実施して、1−[4−メトキシ−2−(チオフェン−2−イル)−1,3−チアゾール−5−イル]−3−メチルブタン−1−オンを得、次いで、これを、三臭化ホウ素で脱保護して、黄色の固形物(0.053g、0.20mmol、Y=95%)として表題化合物を得た。
【0108】
【0109】
(実施例18)
1−[4−ヒドロキシ−2−(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オン(23)の合成
実施例1−中間体aに記載されているものと同じように調製した1,2,4−オキサジアゾール−3−カルボチオアミド(0.151g、1.16mmol)から開始し、チアゾール合成についての基本手順を適用して、N,4−ジメトキシ−N−メチル−2−(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(Weinrebのアミド)を得た。後者に、塩化エチルマグネシウムを用いた基本手順において指定された同じ合成条件を実施して、1−[4−メトキシ−2−(1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オンを得、次いで、これを、三臭化ホウ素で脱保護して、黄色の固形物(0.049g、0.22mmol、Y=88%)として表題化合物を得た。
【0110】
【0111】
(実施例19)
1−[4−ヒドロキシ−2−(1,2−オキサゾール−5−イル)−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オン(24)の合成
実施例1−中間体aに記載されているものと同じように調製した1,2−オキサゾール−5−カルボチオアミド(0.148g、1.15mmol)から開始し、チアゾール合成についての基本手順を適用して、N,4−ジメトキシ−N−メチル−2−(1,2−オキサゾール−5−イル)−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(Weinrebのアミド)を得た。後者に、塩化エチルマグネシウムを用いた基本手順において指定された同じ合成条件を実施して、1−[4−メトキシ−2−(1,2−オキサゾール−5−イル)−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オンを得、次いで、これを、三臭化ホウ素で脱保護して、黄色の固形物(0.048g、0.22mmol、Y=89%)として表題化合物を得た。
【0112】
【0113】
(実施例20)
1−[4−ヒドロキシ−2−(ピリジン−3−イル)−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オン(25)の合成
実施例1−中間体aに記載されているものと同じように調製したピリジン−3−カルボチオアミド(0.186g、1.34mmol)から開始し、チアゾール合成についての基本手順を適用して、N,4−ジメトキシ−N−メチル−2−(ピリジン−3−イル)−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(Weinrebのアミド)を得た。後者に、塩化エチルマグネシウムを用いた基本手順において指定された同じ合成条件を実施して、1−[4−メトキシ−2−(ピリジン−3−イル)−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オンを得、次いで、これを、三臭化ホウ素で脱保護して、黄色の固形物(0.060g、0.26mmol、Y=89%)として表題化合物を得た。
【0114】
【0115】
(実施例21)
1−[4−ヒドロキシ−2−(ピリジン−4−イル)−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オン(26)の合成
実施例1−中間体aに記載されているものと同じように調製したピリジン−4−カルボチオアミド(0.175g、1.27mmol)から開始し、チアゾール合成についての基本手順を適用して、N,4−ジメトキシ−N−メチル−2−(ピリジン−4−イル)−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(Weinrebのアミド)を得た。後者に、塩化エチルマグネシウムを用いた基本手順において指定された同じ合成条件を実施して、1−[4−メトキシ−2−(ピリジン−4−イル)−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オンを得、次いで、これを、三臭化ホウ素で脱保護して、黄色の固形物(0.054g、0.23mmol、Y=92%)として表題化合物を得た。
【0116】
【0117】
(実施例22)
1−[4−ヒドロキシ−2−(ピリジン−2−イル)−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オン(27)の合成
実施例1−中間体aに記載されているものと同じように調製したピリジン−2−カルボチオアミド(0.214g、1.55mmol)から開始し、チアゾール合成についての基本手順を適用して、N,4−ジメトキシ−N−メチル−2−(ピリジン−2−イル)−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(Weinrebのアミド)を得た。後者に、塩化エチルマグネシウムを用いた基本手順において指定された同じ合成条件を実施して、1−[4−メトキシ−2−(ピリジン−2−イル)−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オンを得、次いで、これを、三臭化ホウ素で脱保護して、黄色の固形物(0.065g、0.28mmol、Y=91%)として表題化合物を得た。
【0118】
【0119】
(実施例23)
1−[4−ヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシフェニル)−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オン(28)の合成
実施例1−中間体aに記載されているものと同じように調製した3−メトキシベンゼンカルボチオアミド(0.105g、0.63mmol)から開始し、基本手順をチアゾール合成について適用して、N,4−ジメトキシ−2−(3−メトキシフェニル)−N−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(Weinrebのアミド)を得た。
【0120】
Weinrebのアミドを塩化エチルマグネシウムを用いた基本手順において指定された同じ合成条件を実施して、1−[4−メトキシ−2−(3−メトキシフェニル)−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オンを得、次いで、これを、三臭化ホウ素(4当量)で脱保護して、黄色の固形物(0.029g、0.12mmol、Y=91%)として表題化合物を得た。
【0121】
【0122】
(実施例24)
1−[4−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オン(29)の合成
実施例1−中間体aに記載されているものと同じように調製した4−メトキシベンゼンカルボチオアミド(0206g、1.23mmol)から開始し、基本手順をチアゾール合成について適用して、N,4−ジメトキシ−2−(4−メトキシフェニル)−N−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(Weinrebのアミド)を得た。
【0123】
Weinrebのアミドを塩化エチルマグネシウムを用いた基本手順において指定された同じ合成条件を実施して、1−[4−メトキシ−2−(4−メトキシフェニル)−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オンを得、次いで、これを、三臭化ホウ素(4当量)で脱保護して、黄色の固形物(0.058g、0.23mmol、Y=90%)として表題化合物を得た。
【0124】
【0125】
(実施例25)
1−[4−ヒドロキシ−2−(3−メチルフェニル)−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オン(30)の合成
実施例1−中間体aに記載されているものと同じように調製した3−メチルベンゼンカルボチオアミド(0.086g、0.57mmol)から開始し、チアゾール合成についての基本手順を適用して、N,4−ジメトキシ−N−メチル−2−(3−メチルフェニル)−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(Weinrebのアミド)を得た。後者に、塩化エチルマグネシウムを用いた基本手順において指定された同じ合成条件を実施して、1−[4−メトキシ−2−(3−メチルフェニル)−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オンを得、次いで、これを、三臭化ホウ素で脱保護して、黄色の固形物(0.027g、0.10mmol、Y=96%)として表題化合物を得た。
【0126】
【0127】
(実施例26)
1−[4−ヒドロキシ−2−(4−メチルフェニル)−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オン(31)の合成
実施例1−中間体aに記載されているものと同じように調製した4−メチルベンゼンカルボチオアミド(0.087g、0.58mmol)から開始し、チアゾール合成についての基本手順を適用して、N,4−ジメトキシ−N−メチル−2−(4−メチルフェニル)−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(Weinrebのアミド)を得た。後者に、塩化エチルマグネシウムを用いた基本手順において指定された同じ合成条件を実施して、1−[4−メトキシ−2−(4−メチルフェニル)−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オンを得、次いで、これを、三臭化ホウ素で脱保護して、黄色の固形物(0.027g、0.10mmol、Y=95%)として表題化合物を得た。
【0128】
【0129】
(実施例27)
1−[2−(3−アミノフェニル)−4−ヒドロキシ−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オン(32)の合成
実施例1−中間体aに記載されているものと同じように調製した3−ニトロベンゼンカルボチオアミド(0.235g、1.35mmol)から開始し、チアゾール合成についての基本手順を適用して、N,4−ジメトキシ−N−メチル−2−(3−ニトロフェニル)−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(Weinrebのアミド)を得た。後者に、塩化エチルマグネシウムを用いた基本手順において指定された同じ合成条件を実施して、1−[4−メトキシ−2−(3−ニトロフェニル)−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オンを得た。
【0130】
次いで、化合物を、メタノールに溶解し、塩化スズ二水和物5当量と混合し、次いで、マイクロ波装置で100℃で30分間照射した。
【0131】
ニトロ基の還元、酸塩基抽出および後処理を終了した後、1−[2−(3−アミノフェニル)−4−メトキシ−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オンを純粋な形態で得た。後者に、三臭化ホウ素を用いて脱保護条件で実施し、黄色の固形物(0.033g、0.13mmol、最後の2段階Y=51%)として表題化合物を得た。
【0132】
【0133】
(実施例28)
1−[2−(4−アミノフェニル)−4−ヒドロキシ−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オン(33)の合成
実施例1−中間体aに記載されているものと同じように調製した4−ニトロベンゼンカルボチオアミド(0.234g、1.35mmol)から開始し、チアゾール合成についての基本手順を適用して、N,4−ジメトキシ−N−メチル−2−(4−ニトロフェニル)−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(Weinrebのアミド)を得た。後者に、塩化エチルマグネシウムを用いた基本手順において指定された同じ合成条件を実施して、1−[4−メトキシ−2−(4−ニトロフェニル)−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オンを得た。化合物を、メタノールに溶解し、塩化スズ二水和物5当量で混合し、次いで、マイクロ波装置で100℃で30分間照射した。
【0134】
ニトロ基の還元、酸抽出および後処理を終了した後、1−[2−(4−アミノフェニル)−4−メトキシ−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オンを、三臭化ホウ素によるその後の脱保護のために、純粋な形態で得、黄色の固形物(0.032g、0.12mmol、最後の2段階Y=49%)として表題化合物を得た。
【0135】
【0136】
(実施例29)
1−{4−ヒドロキシ−2−[3−(メチルアミノ)フェニル]−1,3−チアゾール−5−イル}プロパン−1−オン(34)の合成
実施例1−中間体aに記載されているものと同じように調製した3−(ブロモ)ベンゼンカルボチオアミド(0.429g、1.98mmol)から開始し、チアゾール合成についての基本手順を適用して、2−(3−ブロモフェニル)−N,4−ジメトキシ−N−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(Weinrebのアミド)を得た。後者の化合物を、塩化エチルマグネシウムを用いた基本手順において指定された同じ合成条件で実施して、1−[2−(3−ブロモフェニル)−4−メトキシ−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オンを得た。
【0137】
次いで、ブロモアリールチアゾール誘導体を、無水トルエンに溶解し、ナトリウムtert−ブトキシド5当量、メチルアミン1.5当量、2−(ジ−terブチルホスフィノ)ビフェニル0.1当量、トリス(ジベンジリデン−アセトン)ジパラジウム(0)0.05当量で処理し、バイアルに密封し、次いで、マイクロ波装置で100℃で1時間照射した。クロマトグラフィーを行った後、1−{4−メトキシ−2−[3−(メチルアミノ)フェニル]−1,3−チアゾール−5−イル}プロパン−1−オンを得、次いで、三臭化ホウ素で脱保護して、黄色の固形物(0.020g、0.08mmol、最後の2段階Y=21%)として表題化合物を得た。
【0138】
【0139】
(実施例30)
1−{4−ヒドロキシ−2−[4−(メチルアミノ)フェニル]−1,3−チアゾール−5−イル}プロパン−1−オン(35)の合成
実施例1−中間体aに記載されているものと同じように調製した4−(ブロモ)ベンゼンカルボチオアミド(0.50g、2.32mmol)から開始し、チアゾール合成についての基本手順を適用して、2−(4−ブロモフェニル)−N,4−ジメトキシ−N−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(Weinrebのアミド)を得た。後者に、塩化エチルマグネシウムを用いた基本手順において指定された同じ合成条件を実施して、1−[2−(4−ブロモフェニル)−4−メトキシ−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オンを得た。次いで、ブロモアリールチアゾール誘導体を、無水トルエンに溶解し、ナトリウムtert−ブトキシド5当量、メチルアミン1.5当量、2−(ジ−terブチルホスフィノ)ビフェニル0.1当量、トリス(ジベンジリデン−アセトン)ジパラジウム(O)0.05当量で処理し、バイアルに密封し、次いで、マイクロ波装置で100℃で1時間照射した。クロマトグラフィーを行った後、1−{4−メトキシ−2−[4−(メチルアミノ)フェニル]−1,3−チアゾール−5−イル}プロパン−1−オンを得、次いで、三臭化ホウ素の作用によりO−脱メチル化させ、黄色の固形物(0.015g、0.06mmol、最後の2段階Y=13%)として表題化合物を得た。
【0140】
【0141】
(実施例31)
1−[2−(4−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシ−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オン(36)の合成
実施例1−中間体aに記載されているものと同じように調製した4−フルオロベンゼンカルボチオアミド(0.122g、0.78mmol)から開始し、チアゾール合成についての基本手順を適用して、2−(4−フルオロフェニル)−N,4−ジメトキシ−N−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(Weinrebのアミド)を得た。後者に、塩化エチルマグネシウムを用いた基本手順において指定された同じ合成条件を実施して、1−(4−フルオロフェニル)−4−メトキシ−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オンを得、次いで、これを、三臭化ホウ素で脱保護して、黄色の固形物(0.037g、0.15mmol、Y=91%)として表題化合物を得た。
【0142】
【0143】
(実施例32)
1−[2−(3−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシ−1,3−チアゾール−5−イル]ブタン−1−オン(37)の合成
実施例1−中間体aに記載されている通り調製した3−フルオロベンゼンカルボチオアミド(0.124g、0.80mmol)から開始し、チアゾール合成についての基本手順を適用して、2−(3−フルオロフェニル)−N,4−ジメトキシ−N−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(Weinrebのアミド)を得た。後者に、プロピルマグネシウムクロリドを用いた基本手順において指定された同じ合成条件を実施して、1−[2−(3−フルオロフェニル)−4−メトキシ−1,3−チアゾール−5−イル)ブタン−1−オンを得、次いで、これを、三臭化ホウ素で脱保護して、薄黄色の固形物(0.028g、0.10mmol、Y=81%)として表題化合物を得た。
【0144】
【0145】
(実施例33)
1−[2−(3−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシ−1,3−チアゾール−5−イル]−3−メチルブタン−1−オン(38)の合成
実施例1−中間体aに記載されている通り調製した3−フルオロベンゼンカルボチオアミド(0.112g、0.72mmol)から開始し、チアゾール合成についての基本手順を適用して、2−(3−フルオロフェニル)−N,4−ジメトキシ−N−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(Weinrebのアミド)を得た。後者に、イソブチルマグネシウムクロリドを用いた基本手順において指定された同じ合成条件を実施して、1−[2−(3−フルオロフェニル)−4−メトキシ−1,3−チアゾール−5−イル]−3−メチルブタン−1−オンを得、次いで、これを、三臭化ホウ素で脱保護して、黄色の固形物(0.033g、0.12mmol、Y=73%)として表題化合物を得た。
【0146】
【0147】
(実施例34)
1−[2−(3−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシ−1,3−チアゾール−5−イル]−2−メトキシエタノン(39)の合成
実施例3に記載されている通り調製した1−[2−(3−フルオロフェニル)−4−メトキシ−1,3−チアゾール−5−イル]エタノン(0.200g、0.79mmol)を、乾燥DCM10mLに溶解し、N−ブロモスクシンイミド(0.142g、0.79mmol)を加えた。得られた混合物を、室温で3h撹拌した。溶媒を、真空蒸留下で蒸発させて、2−ブロモ−1−[2−(3−フルオロフェニル)−4−メトキシ−1,3−チアゾール−5−イル]エタノンを得、これをさらに精製せずに用いた。次いで、化合物を氷酢酸5mLに溶解し、酢酸ナトリウム(0.65g、7.9mmol)を加え、混合物を、120℃で2h加熱した。溶液を、水30mLで希釈し、ジエチルエーテル(20mL×3)で洗浄した。2−[2−(3−フルオロフェニル)−4−メトキシ−1,3−チアゾール−5−イル]−2−オキソエチルアセテートを、フラッシュクロマトグラフィー(溶離液としてn−ヘキサン:酢酸エチル9:1)により精製した。後者の化合物を、1,4−ジオキサン10mLに溶解し、NaOH 2M2mLを加えた。溶液を、室温で2h撹拌した。溶液をHCl 2M10mLで希釈し、化合物を、酢酸エチルで抽出した。1−[2−(3−フルオロフェニル)−4−メトキシ−1,3−チアゾール−5−イル]−2−ヒドロキシエタノンを、65%の収率でオレンジ油として得た。後者の化合物(0.089g、0.33mmol)を、乾燥DMF5mLに溶解し、NaH(60%w/w)0.016g(0.66mmol)を0℃で加えた。次いで、ヨウ化メチル41μL(0.66mmol)を加え、溶液を室温で5h撹拌した。混合物を、飽和NH
4Cl10mLで急冷し、化合物を酢酸エチルで抽出した。未精製物を、溶離液としてn−ヘキサン:酢酸エチル9:1でフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、定量的な収率で1−[2−(3−フルオロフェニル)−4−メトキシ−1,3−チアゾール−5−イル]−2−メトキシエタノンを得た。1−[2−(3−フルオロフェニル)−4−メトキシ−1,3−チアゾール−5−イル]−2−メトキシエタノンを、室温で乾燥DCM(4mL)に溶解し、次いで、氷浴で0℃まで冷蔵した。溶液を、この温度でジクロロメタン(0.66mL、0.66mmol)中の三臭化ホウ素1Mで処理し、次いで、30分間撹拌した。反応物をDCM(10mL)で希釈し、水(10mL)と共に10分間撹拌した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで無水物化し、溶媒を蒸留し、未精製物をシリカゲルで精製した。1−[2−(3−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシ−1,3−チアゾール−5−イル]−2−メトキシエタノンを黄色の固形物(0.019g、0.071mmol、Y=43%)として得た。
【0148】
【0149】
(実施例35)
1−[2−(3−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシ−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−チオン(40)の合成
実施例1−中間体gに記載されている通り調製した1−[2−(3−フルオロフェニル)−4−メトキシ−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−オン(0.120g、0.45mmol)を、乾燥THF5mLに溶解した。Lawesson試薬(0.273g、0.675mmol)を加え、得られた混合物を封管中で130℃で2h加熱した。溶液を室温で冷却し、溶媒を真空蒸留によって除去した。未精製物をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液としてn−ヘキサン:酢酸エチル85:15)により精製して、黄色の油(0.037mg、0.13mmol、Y=29%)として1−[2−(3−フルオロフェニル)−4−メトキシ−1,3−チアゾール−5−イル]プロパン−1−チオンを得た。後者の化合物を、化合物1について記載した通り三臭化ホウ素で脱保護して、黄色の固形物(0.030g、0.11mmol、Y=86%)として表題化合物を得た。
【0150】
【0151】
(実施例36)
2−(3−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシ−N−メトキシ−N−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(3)の合成
実施例1−中間体aに記載されている通り調製した3−フルオロベンゼンカルボチオアミド(0.055g、0.35mmol)から開始し、チアゾール合成についての基本手順を適用して、2−(3−フルオロフェニル)−N,4−ジメトキシ−N−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(Weinrebのアミド)を得た。次いで、後者を三臭化ホウ素で直接脱保護して、淡黄色の固形物(0.019g、0.07mmol、Y=95%)として2−(3−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシ−N−メトキシ−N−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキサミドを得た。
【0152】
【0153】
(実施例37)
4−ヒドロキシ−N−メトキシ−N−メチル−2−(チオフェン−2−イル)−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(6)の合成
実施例1−中間体aに記載されているものと同じように調製したチオフェン−2−カルボチオアミド(0.081g、0.57mmol)から開始し、チアゾール合成についての基本手順を適用して、N,4−ジメトキシ−N−メチル−2−(チオフェン−2−イル)−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(Weinrebのアミド)を得た。後者を三臭化ホウ素で直接脱保護して、オフホワイト色の固形物(0.030g、0.11mmol、Y=95%)として表題化合物を得た。
【0154】
【0155】
(実施例38)
4−ヒドロキシ−N−メトキシ−N−メチル−2−(2−メチルフェニル)−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(8)の合成
実施例1−中間体aに記載されているものと同じように調製した2−メチルベンゼンカルボチオアミド(0.103g、0.68mmol)から開始し、チアゾール合成についての基本手順を適用して、N,4−ジメトキシ−N−メチル−2−(2−メチルフェニル)−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(Weinrebのアミド)を得た。後者を三臭化ホウ素で直接脱保護して、オフホワイト色の固形物(0.037g、0.13mmol、Y=95%)として表題化合物を得た。
【0156】
【0157】
(実施例39)
2−(2−ブロモフェニル)−4−ヒドロキシ−N−メトキシ−N−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(10)の合成
実施例1−中間体aに記載されているものと同じように調製した2−ブロモベンゼンカルボチオアミド(0.051g、0.15mmol)から開始し、チアゾール合成についての基本手順を適用して、2−(2−ブロモフェニル)−N,4−ジメトキシ−N−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(Weinrebのアミド)を得た。後者を三臭化ホウ素で直接脱保護して、白色の固形物(0.021g、0.06mmol、Y=95%)として表題化合物を得た。
【0158】
【0159】
(実施例40)
4−ヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシフェニル)−N−メトキシ−N−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(12)の合成
実施例1−中間体aに記載されているものと同じように調製した2−メトキシベンゼンカルボチオアミド(0.120g、0.72mmol)から開始し、基本手順をチアゾール合成について適用して、N,4−ジメトキシ−2−(2−メトキシフェニル)−N−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(Weinrebのアミド)を得た。
【0160】
Weinrebのアミドを三臭化ホウ素(4当量)で直接脱保護して、黄色の固形物(0.040g、0.14mmol、Y=95%)として表題化合物を得た。
【0161】
【0162】
(実施例41)
2−(3−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシ−N−メトキシ−N−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボチオアミド(41)の合成
実施例1−中間体fに記載されている通り調製した2−(3−フルオロフェニル)−N,4−ジメトキシ−N−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(0.100g、0.34mmol)を、乾燥THF5mLに溶解した。Lawesson試薬(0.361g、0.51mmol)を加え、得られた混合物を70℃で2h加熱した。溶液を室温で冷却し、溶媒を真空蒸留によって除去した。未精製物をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液としてn−ヘキサン:酢酸エチル85:15)により精製して、黄色の油(0.072g、0.23mmol、Y=68%)として2−(3−フルオロフェニル)−N,4−ジメトキシ−N−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボチオアミドを得た。後者の化合物を化合物1について記載した通り三臭化ホウ素で脱保護して、黄色の固形物(0.057g、0.19mmol、Y=85%)として表題化合物を得た。
【0163】
【0164】
(実施例42)
2−(3−フルオロフェニル)−5−[(1E)−N−メトキシプロパンイミドイル]−1,3−チアゾール−4−オール(42)の合成
メチル2−クロロ−3−オキソペンタノエート(0.200g、1.215mmol)のエタノール5mL溶液に、メトキシアミン塩酸塩(0.152g、1.823mmol)および酢酸アンモニウム(0.149g、1.823mmol)を加え、得られた混合物を室温で4h撹拌した。混合物を水(10mL)で希釈し、エチルエーテル(20mL)で抽出した。次いで、有機相を乾燥硫酸ナトリウムで無水物化し、溶媒を真空蒸留によって除去した。未精製物をエタノール5mLに溶解し、マイクロウェーブバイアルに移し;次いで、3−フルオロベンゼンカルボチオアミド0.093g(0.60mmol)を加えた。バイアルを密封し、100℃で60分間照射した。溶液を室温で冷却し、溶媒を真空蒸留によって除去した。未精製物をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液としてn−ヘキサン:酢酸エチル90:10)により精製して、黄色の固形物(0.066mg、0.23mmol、Y=39%)として2−(3−フルオロフェニル)−5−[(1E)−N−メトキシプロパンイミドイル]−1,3−チアゾール−4−オールを得た。
【0165】
【0166】
(実施例43)
2−(3−フルオロフェニル)−5−プロパンイミドイル−1,3−チアゾール−4−オール(43)の合成
メチル2−クロロ−3−オキソペンタノエート(0.107g、0.650mmol)のエタノール1.5mL溶液に、O−(トリメチルシリル)ヒドロキシルアミン(0.120g、0.975mmol)および酢酸アンモニウム(0.125g、1.625mmol)を加え、得られた混合物を室温で1h撹拌した。未精製物をマイクロウェーブバイアルに移し、次いで、3−フルオロベンゼンカルボチオアミド0.052g(0.650mmol)を加えた。バイアルを密封し、120℃で50分間照射した。溶液を室温で冷却し、溶媒を真空蒸留によって除去した。未精製物をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液としてジクロロメタン:メタノール99:1)により精製して、黄色の固形物(0.078mg、0.31mmol、Y=48%)として2−(3−フルオロフェニル)−5−プロパンイミドイル−1,3−チアゾール−4−オールを得た。
【0167】
【0168】
(実施例44)
2−(3−フルオロフェニル)−5−[(1E)−N−ヒドロキシプロパンイミドイル]−1,3−チアゾール−4−オール(44)の合成
次いで、2−(3−フルオロフェニル)−5−[(1E)−N−メトキシプロパンイミドイル]−1,3−チアゾール−4−オール(実施例42)0.040g(0.143mmol)の乾燥ジクロロメタン(5mL)溶液を、氷浴で0℃まで冷蔵した。溶液を、この温度で、ジクロロメタン(0.36mL、0.36mmol)中の三臭化ホウ素1Mで処理し、次いで、30分間撹拌した。反応物をDCM(5mL)で希釈し、水(5mL)で10分間撹拌した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで無水物化し、溶媒を蒸留し、未精製物をシリカゲルで精製した。
【0169】
2−(3−フルオロフェニル)−5−[(1E)−N−ヒドロキシプロパンイミドイル]−1,3−チアゾール−4−オールをオレンジ色の固形物(0.031g、0.118mmol、Y=83%)として得た。
【0170】
【0171】
(実施例45)
シクロプロピル[2−(3−フルオロフェニル)−4−ヒドロキシ−1,3−チアゾール−5−イル]メタノン(45)の合成
実施例1−中間体aに記載されている通り調製した3−フルオロベンゼンカルボチオアミド(0.085g、0.55mmol)から開始し、チアゾール合成についての基本手順を適用して、2−(3−フルオロフェニル)−N,4−ジメトキシ−N−メチル−1,3−チアゾール−5−カルボキサミド(Weinrebのアミド)を得た。後者に、シクロプロピルマグネシウムブロミドを用いた基本手順において指定された同じ合成条件を実施して、シクロプロピル[2−(3−フルオロフェニル)−4−メトキシ−1,3−チアゾール−5−イル]メタノンを得、次いで、これを、三臭化ホウ素で脱保護して、淡褐色の固形物(0.121g、0.46mmol、Y=81%)として表題化合物を得た。
【0172】
【0173】
(実施例46)
in vitro活性の評価
a.ヒトTRPM8を発現している陽性クローンのクローニング、配列決定、形質移入および選択
FLIPR
TETRAでハイスループットスクリーニングを可能にするために最適化された、TRPM8受容体アンタゴニストの同定のための機能細胞に基づいたアッセイを、安定した純粋なクローンの選択および蛍光カルシウム感受性染料を用いた機能的な特性決定によりHEK293細胞で開発した。
【0174】
TRPM8を、pcDNA3哺乳動物発現ベクターの複数のクローニング部位にクローニングさせ;得られたコンストラクトpcDNA3/hTRPM8を、完全に配列を検証し、HEK293細胞系の形質移入のために用いた。TRPM8遺伝子で安定して形質移入されたHEK293細胞を最小必須培地で維持した。これらの細胞を、電気穿孔法によりpcDNA3/hTRPM8ベクターを用いて形質移入し、次いで、G418 0.8mg/mlを含有する培地で10〜15日間選択した。
【0175】
以下の市販の化合物をTRPM8チャネル参照化合物として用いて、アゴニストおよびアンタゴニストの両方の活性についてHEK293/hTRPM8細胞系を試験した。
アクチベーター:メントール(SIGMAカタログ番号M2772)WS−3、(N−エチル−5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキサンカルボキサミド)(SIGMAカタログ番号W345501)
ブロッカー:カプサゼピン(SIGMAカタログ番号C191)
実験作業をFLIPR装置を用いて行った。
【0176】
機能性クローンを、1mMメントール応答に基づきFLIPR
384で選択した。最良の2つのレスポンダークローンを選択し、ウェル当たり1細胞の細胞密度で希釈し、1mMメントールを含むFLIPR
384で分析した。TRPM8受容体を、カルシウム依存性蛍光シグナルを用いて、参照アゴニストであるメントールへの応答について分析した。
【0177】
受容体の薬理を検証し、アゴニスト用量反応曲線およびEC
50値を決定するために、パッチクランプの記録も、HEK/TRPM8クローンにおいて電圧クランプ配置で得た。HEK293細胞を、1.5〜2.5MΩの抵抗を有する先端熱加工されたホウケイ酸ガラスピペットにおいて室温で維持し、薬物適用後の流れを記録するために用いた。メントールを適用することにより、選択されたHEK/hTRPM8クローン(算出されたEC
50値=58μM)において用量依存的な内向きの流れを誘導した。メントールによって誘導された流れは、形質移入されなかったHEK293細胞中で記録されなかった。
【0178】
メントールアゴニスト応答に対するカプサゼピンアンタゴニスト活性を決定し、実験の異なる日を通してアンタゴニスト応答の安定性を検証するために、TRPM8の選択されたクローンを、アンタゴニストの(100nMから316μMまでの)可変の濃度の存在下でFLIPR
384で24h後分析した。選択されたクローンでは、アンタゴニスト活性(算出されたIC
50値=20μM)の非常に優れた安定性および再現性が示された。
【0179】
要約すると、最良のクローンは、次のように特徴付けられた。
1− 薬理:異なる実験に関するアゴニストEC
50およびアンタゴニストIC
50の決定;
2− 最適な細胞密度および播種時間;
3− DMSO感受性;
4− リガンド安定性;
5− パッチクランプ分析。
【0180】
b.TRPM8アンタゴニストの同定のためのスクリーニングの設定
次の市販の化合物をリガンドとして用いた。
アクチベーター:Cooling Agent 10(Takasago社CAS番号87061−04−9)
ブロッカー:カプサゼピン(SIGMAカタログ番号D_5879)
実験作業をFLIPR
TETRA装置を用いて実施した。
【0181】
TRPM8遺伝子で安定して形質移入されたHEK293細胞を最小必須培地で維持した。
【0182】
TRPM8細胞系を、384穴マイクロタイタープレート形式でCa
2+動員依存性蛍光シグナルを用いて化合物のライブラリに対する応答について分析した。分析を、ICCDカメラを有するFLIPR
TETRA(MDC)を用いて実施した。
【0183】
アッセイの実行には、3つのマイクロタイタープレートの使用を伴った。
【0184】
1.アッセイプレート、色素を添加し、以下の通り準備した細胞を含有する。
【0185】
完全培地(ウェル当たり25μl)中、ポリ−D−リシンでコーティングされた384穴マイクロタイタープレートにウェル当たり15000cで細胞を播種した。
【0186】
播種の24h後、細胞プレートをマイクロプレート洗浄器によってタイロードアッセイ緩衝液で洗浄し、タイロードアッセイ緩衝液10μLを各ウェルに置いた。
【0187】
次いで、細胞をCyBi(登録商標)ウェルピペッターによりFluo−4NW色素溶液をウェル当たり10μL添加した。Fluo4−NW色素(Molecular Probesカタログ番号F36206、component A)の各ボトルを、タイロードアッセイ緩衝液8mLに再懸濁し、水溶性プロベネシド(MolecularProbesカタログ番号F36206、component B)100μLを補充した。色素を添加した細胞プレートを室温で1hインキュベートした。
【0188】
2.化合物希釈プレート、希釈した試験化合物を含有し、以下のように作製した。
【0189】
カラム1:DMSO最終0.5%を加えたアッセイ緩衝液を含有するウェル
カラム2:第1の注入における最大シグナル制御(最大応答:EC
100でCooling Agent 10、100μM)および第1の注入(最終0.5%DMSOを加えたアッセイ緩衝液)における最小シグナル制御を交互にするウェル;
カラム3〜22:最終0.5%DMSOを加えたアッセイ緩衝液を含有するウェル。これらのウェルに、試験しようとする化合物を3×濃度で加えた。
【0190】
カラム23:最終0.5%DMSOを加えたアッセイ緩衝液中に、第2の注入(アッセイ緩衝液)における最大シグナル制御および第2の注入(アンタゴニストカプサゼピンIC
100、50μM)における最小シグナル制御の交互ウェル;
カラム24:最終0.5%DMSOを加えたアッセイ緩衝液中で、最終濃度50μM、25μM、6.25μM、3.15μM、1.56μM、780μM、309μMで8通りの濃度で2回カプサゼピン(アンタゴニスト)を含有するウェル。
【0191】
3. アクチベータープレート、EC80のアゴニストCooling Agent 10を含有し、以下のように作製した。
【0192】
カラム1:アッセイ緩衝液中で最終濃度100μM、31.6μM、10μM、3.16μM、1μM、316nM、100nM、31.6nMの8通りの濃度での用量応答2回のCooling Agent 10(アゴニスト);
カラム2〜24:アッセイ緩衝液中のEC
80(3倍濃縮、最終20μM)のCooling Agent 10(アゴニスト)。
【0193】
本試験を、次のステップを含む手順に従って実施した。
【0194】
1.化合物プレートのウェルに含有される試料を、FLIPR
TETRAによりアッセイプレートの対応するウェルに加え、したがって、3×濃度の試験化合物のカラム3〜22中で、アッセイプレートの細胞に加えた。アッセイウェルにおいて混合を一切行わず、放射された蛍光のシグナルを300秒間記録した。
【0195】
2.アクチベータープレートのウェルに含有される試料を、FLIPR
TETRAによりアッセイプレートの対応するウェルに加え、したがって、試験化合物に加えてアゴニスト化合物のアッセイプレートのカラム3〜22中で加えた。放射された蛍光のシグナルを、180秒間記録した。
【0196】
カラム1、2、23および24を対照として用いた。特に、「第1の注入における最大シグナル制御」は、EC
100でのCooling Agent 10アゴニストの応答を示し、「第2の注入における最大シグナル制御」は、前注入されたアッセイ緩衝液の存在下のEC
80(10μM)でのアゴニストを示し、「第1の注入における最小シグナル制御」は、アッセイ緩衝液注入に対応し、「第2の注入における最小シグナル制御」は、IC
100(50μM)での前注入された参照アンタゴニストカパゼピン(Capazepine)の存在下でEC
80(20μM)でのアゴニストを示す。
【0197】
標的活性化(TA)相中、EC
80で参照アゴニストを注入すると、CA中のアッセイ緩衝液が前注入された最大シグナル制御ウェル中で蛍光シグナルが増加し、参照阻害薬カプサゼピンの前注入により最小シグナル制御ウェル中で応答を完全に抑制した。
【0198】
アッセイの目標は、TRPM8活性のアンタゴニストを見出すことであり;本目的のために、TA相中の蛍光シグナルの変化を測定した。
【0199】
いくつかのパラメータを、コンピューターで算定し、分析した(Z’因子、プレート間の可変性、プレート内の可変性、日毎の可変性、アンタゴニスト用量応答およびIC
50の決定、アゴニスト用量応答およびEC
50の決定)。
【0200】
アンタゴニスト用量応答およびIC
50の決定に関して、カプサゼピン(参照アンタゴニスト)を対照として含め、すべてのアッセイされる化合物のIC
50値を算出した。
【0201】
化合物1〜45を試験し、すべてIC
50値2μM未満を示し;化合物の大部分は、IC
50が0.1μM未満であり、化合物のいくつかは、IC
50が0.03μM未満であった。
【0202】
(実施例47)
in vivo活性の評価
疼痛の慢性絞扼モデル
神経障害性疼痛挙動は、非特許文献19によって記載された方法に従って、坐骨神経の結紮によって誘導される。簡単にいうと、雄のスプラーグドーリーラットを麻酔し(ケタミン100mg/kgおよびキシラジン10mg/kg i.p.)、左坐骨神経を、大腿のレベルで鈍的切開によって大腿二頭筋まで曝露する。坐骨の三分枝に近接して、約12mmの神経は、接着する組織を開放され、脊髄の神経弓上の循環が保存されるように、その周りに約1mmスペーシングで4本の結紮糸をゆるく結ぶ。したがって、影響された神経の長さは、長さ6〜8mmであった。動物を放置して回復させ、手術の翌日用いた。Sham動物は、手術されるが結紮されてないラットを表す。
【0203】
本試験を、化合物2の抗アロディニア効果を決定するために実施した。結紮後7日目および14日目に、神経障害のラットに化合物2の単回投与を行い;治療の1、3および5h後に、機械的および寒冷アロディニアを、ダイナミックプランター・エステシオメータ(DPA)およびアセトンの液滴を用いて評価した。
【0204】
すべてのデータを、平均値±標準誤差として示した。データの分析をGraphPad Prism 4.01を用いて行った。統計解析を二元配置ANOVAによって行い、必要であれば、その後、多重比較のためのDunnettの検定を行った。統計的有意性を、p<0.05に設定した。
【0205】
神経誘導損傷後7日目および14日目に10mg/kg用量の化合物2を経口投与すると、投与の3時間後および5時間後に寒冷および機械的アロディニアを有意に減弱した。最大の活性は、その薬物動態学的なプロファイルに従って治療の3時間後に達成された(両方のパラメータにおいて約50%の阻害、
図1a、1b、2aおよび2b)。
【0206】
(実施例48)
選択性分析
a.GPCRs選択性
化合物2を、放射性リガンド結合アッセイを用いて、クローニングされたヒトGPCRs(G−タンパク質に結合された受容体)に対する活性を評価するために試験した。化合物を、10μMで2回試験し、これらの結果を表1にまとめる。
【0207】
【表1】
【0208】
表1により示すことができるように、化合物2は、疼痛管理に関与することが十分に知られている、広範囲の選択されたGPCRs(ムスカリン性M3、CB2、BK1、α eβアドレナリン作動性を含む)に対して高い選択性を示す。これらのデータによって、化合物2および一般に、本発明のすべての化合物の観察されたin vivo効果が、TRPM8封鎖に潜在的に強く依存していることが裏付けられる。
b.イオンチャネル選択性。
【0209】
より具体的に潜在的な選択性の問題に取り組むために、対応するアッセイを、どちらも痛覚に関与する、TRPV1およびTRPV4イオンチャネルに対して(非特許文献20、非特許文献21)化合物2について行い、TRPA1に対して化合物2について行った。これらの結果を、表2にまとめる。
【0210】
TRPV1のアンタゴニストとして働く化合物2の能力を、カルシウム流入アッセイで評価した。陽性対照アゴニスト(カプサイシン)の存在下で誘発されたシグナルを100%に設定し、アンタゴニスト(ルテニウムレッド)の存在下のシグナルを0に設定した。並行して、TRPV4のアンタゴニストとして作用する化合物2の能力を、カルシウム流入アッセイで評価した。陽性対照アゴニスト(GSK1016790A)の存在下で誘発されたシグナルを100%に設定し、アンタゴニスト(ルテニウムレッド)の存在下のシグナルを0に設定した。TRPA1のアンタゴニストとして作用する化合物2の能力を、カルシウム流入アッセイで評価した。陽性対照アゴニスト(イソチオシアン酸アリル、AITC)の存在下で誘発されたシグナルを100%に設定し、アンタゴニスト(ルテニウムレッド)の存在下のシグナルを0に設定した。
【0211】
【表2】
【0212】
このデータによって、TRPV1、TRPV4およびTRPA1に対する優れた化合物2の選択性が強く強調され、したがって、その選択的な作用機序が確認された。
【0213】
(実施例49)
ADMEおよびPK評価
化合物2のADME特性および薬物動態学的なプロファイルを評価した。これらの結果を表3および表4にまとめる。
【0214】
【表3】
【0215】
【表4】
【0216】
化合物2は、最大濃度10uMで任意のヒトチトクロムアイソフォームに対して効果を示さず、したがって、潜在的な薬物間相互作用が除外される。さらに、臨床開発中、hERGチャネルに対する作用は観察されず、したがって、潜在的な心毒性作用は除外された。
【0217】
特に泌尿器障害の治療においてip、ivおよびi ves適用を要する場合、化合物2の低logD値は、特に適している。同時に、比較的高い血漿半減期(2.94h)および高い経口バイオアベイラビリティ(F=100%)は、炎症性および神経障害性疼痛のような慢性疾患の治療のための理想的な候補となり得る。
【0218】
【表5-1】
【0219】
【表5-2】
【0220】
【表5-3】
【0221】
【表5-4】
【0222】
【表5-5】
【0223】
【表5-6】
【0224】
【表5-7】