(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
小寸法可搬物体のためのプッシュピース巻上げボタン(8)を有する制御デバイス(1)であって、フレーム(2、36)、長手方向軸(X−X)周りに枢動し、前記フレーム(2、36)に対して、一時的な第1の位置及び安定な第2の位置を含む少なくとも2つの位置の間を軸方向に移動可能であるように組み付けた制御心棒(4)を備え、前記制御デバイス(1)は、長手方向カム外形(73)を有する少なくとも1つのカム経路(72)、及び前記長手方向カム外形(73)と協働するように構成した少なくとも1つのカム従動子(78)を備え、前記カム経路(72)は、前記制御心棒(4)を軸方向に移動させると前記制御心棒(4)と同時に移動するように構成し、前記フレーム(2、36)の内部に組み付けた前記カム従動子(78)は、前記カム経路(72)に対して弾性的に戻るように構成し、前記カム経路(72)は、前記制御心棒(4)の前記安定位置を画定する第1の凹部(74a)、及び前記第1の凹部(74a)から前記一時的位置に向かって隆起する傾斜(114、118)を形成する外形部分を備える、制御デバイス(1)において、前記制御デバイス(1)は、前記カム経路(72)を形成する位置割送り板(58)を含み、前記カム従動子(78)は、前記カム経路(72)と協働し、前記位置割送り板(58)は、一方で、前記制御心棒(4)が一方の方向、又は前記長手方向軸(X−X)に平行な方向でもう一方の方向に移動すると、前記制御心棒(4)に並進結合するように構成し、もう一方で、前記制御心棒(4)が一方の方向又はもう一方の方向に枢動した場合、静止したままであるように構成することを特徴とする、制御デバイス(1)。
前記デバイスは、前記プッシュピース巻上げボタン(8)を前記安定位置から押圧する場合、押圧のために克服する必要がある前記プッシュピース巻上げボタン(8)内の反力は、前記カム従動子(78)が前記傾斜外形部分(114、118)の転移点(116)を越えて通過する際に前記プッシュピース巻上げボタン(8)に加えなければならない圧力よりも大きいように構成し、前記反力は、前記転移点(116)を通過すると低下することを特徴とする、請求項1に記載のプッシュピース巻上げボタン(8)を有する制御デバイス(1)。
前記傾斜外形部分(114、118)は、前記凹部(74a)と前記転移点(116)との間に延在し、勾配が急である第1の部(114)、及び前記転移点(116)から前記一時的位置に向けて延在する第2の部(118)を含むことを特徴とする、請求項2に記載のプッシュピース巻上げボタン(8)を有する制御デバイス(1)。
前記カム従動子(78)は、前記制御心棒(4)の前記長手方向軸(X−X)に実質的に直交して加えられる力により、前記カム経路(72)に対して弾性的に戻ることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のプッシュピース巻上げボタン(8)を有する制御デバイス(1)。
前記位置割送り板(58)は、前記制御心棒(4)の前記長手方向軸(X−X)を含む対称平面に対して対称的に配設した2つの長手方向カム経路(72)、及び前記フレーム(2、36)の内部に組み付け、それぞれが前記カム経路(72)のそれぞれに対し弾性的に戻るように構成した2つのカム従動子(78)を含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のプッシュピース巻上げボタン(8)を有する制御デバイス(1)。
前記2つのカム従動子(78)は、前記フレーム(2、36)の内部に組み付けた位置決めばね(80)の2つの腕部(86)の端部(81)によって形成することを特徴とする、請求項5に記載のプッシュピース巻上げボタン(8)を有する制御デバイス(1)。
前記制御心棒(4)の前記長手方向軸(X−X)を含む前記対称平面は、前記可搬物体の裏蓋(49)に対する垂直面であることを特徴とする、請求項5又は6に記載のプッシュピース巻上げボタン(8)を有する制御デバイス(1)。
前記2つのカム経路(72)は、先端部(76)によって隔てた第1の凹部(74a)及び第2の凹部(74b)を備え、前記2つのカム従動子(78)は、前記先端部(76)を渡ることによって第1の安定位置から前記第2の安定位置まで通過し、その逆も同様であることを特徴とする、請求項9に記載のプッシュピース巻上げボタン(8)を有する制御デバイス(1)。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】小寸法可搬物体の少なくとも1つの電子機能を制御するデバイスの非組立て状態の斜視図である。
【
図3】右から左に、後端部から前端部に延在する制御心棒の斜視図である。
【
図4】磁気組立体及び滑り軸受の非組立て状態の斜視図であり、磁気組立体は、支持リング及び磁気リングから形成される。
【
図5】制御デバイスの垂直面に沿った長手方向断面図であり、制御デバイスの内部に配置されるのは、特に、滑り軸受、並びに支持リング及び磁気リングから形成した磁気組立体である。
【
図7】
図7Aは、制御心棒の位置を割り送りする板の上面斜視図である。
図7Bは、
図7Aの囲み領域の拡大図である。
【
図8】位置決めばねの斜視図であり、位置決めばねは、制御心棒の位置を割り送りする板と協働するように構成する。
【
図9】制御心棒の位置割送り板の変位を制限するばねの上面斜視図である。
【
図11】穴を示す制御デバイスの一部の長手方向断面図であり、穴の中に先細器具を挿入し、制御心棒を位置割送り板から解放する。
【
図12A】位置割送り板及び位置決めばねと協働する制御心棒を示す斜視図であり、制御心棒は、安定位置T1内にある。
【
図12B】
図12Aと同様の図であり、制御心棒は、不安定な押込み位置T0内にある。
【
図12C】
図12Aと同様の図であり、制御心棒は、安定な引出し位置T2内にある。
【
図14A】制御心棒の位置割送り板の指部と接触ばねとの協働を示す概略図である。
【
図14B】制御心棒の位置割送り板の指部と接触ばねとの協働を示す概略図である。
【
図15】可撓性印刷回路シートの部分斜視図であり、可撓性印刷回路シートの上に、接触ばねの接触パッドが配置される。
【
図16】可撓性印刷回路シートの自由位置の斜視図であり、可撓性印刷回路シートの自由位置の上に、誘導センサを固定する。
【
図17A】制御デバイスの斜視図であり、制御デバイスの後面上で、可撓性印刷回路シートの自由部分を折り曲げる。
【
図17B】制御デバイスの斜視図であり、制御デバイスの後面上で、可撓性印刷回路シートの自由部分を折り曲げ、保持板手段によって保持し、保持板は、ねじによって制御デバイスに固着する。
【
図18】可搬物体に据え付けた制御デバイスの斜視図である。
【
図19】
図18の図と同様の図であり、制御心棒は、可搬物体から取り外されている。
【
図20】
図20Aは、制御心棒のための位置割送り板の上面斜視図であり、位置割送り板は、2つの安定位置のみを画定する。
図20Bは、
図20Aの囲み領域の拡大図である。
【
図21】
図21Aは、制御心棒のための位置割送り板の上面斜視図であり、位置割送り板は、1つの安定位置及び1つの不安定な押込み位置のみを画定する。
図21Bは、
図21Aの囲み領域の拡大図である。
【
図22】既に引用した従来技術による制御心棒の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、心棒の位置割送り機構を、この制御心棒から、上記制御心棒とは個別に機械加工した板に移すことにある一般的な発明概念から進行し、位置割送り機構は、計時器等の小寸法可搬物体の少なくとも2つの電子的及び/又は機械的機能を制御する。そうすることによって、制御心棒の直径を低減し、したがって同時に、計時器等の可搬物体の中間部品の厚さを低減することが可能である。この結果は、割送り機構を制御心棒上に一直線に構築するのではなく、弾性部材と協働する典型的には少なくとも1つの、好ましくは2つのカム経路の形態を取る割送り機構が、制御心棒とは個別の部品を形成し、制御心棒に機械的に結合している薄板内に作製される結果として達成される。制御心棒には割送り機構がないので、その直径を低減することができ、その厚みが小さいために、本発明の位置割送り板は、本発明の制御心棒の寸法の著しい増加を一切伴わない。
【0015】
以下の全体において、前後方向は直線方向であり、直線方向は、可搬物体の底部に対して、制御心棒の対称長手方向軸X−Xに沿って、外部作動プッシュピース巻上げボタンから、制御デバイスを備える可搬物体の内部に向かって水平に延在する。したがって、制御心棒は、後ろから前に推進され、前から後ろに引っ張られることになる。更に、垂直方向zは、制御心棒が延在する水平面に直交して延在する方向である。
【0016】
図1は、腕時計等の小寸法可搬物体の少なくとも1つの電子機能を制御するデバイスの非組立て状態の斜視図である。全体として全体参照番号1により示すこの制御デバイスは、下側フレーム2(
図2を参照)を含み、下側フレーム2は、例えば、射出プラスチック材料、又は真鍮等の非磁気金属材料から作製する。この下側フレーム2は、制御心棒4のための架台として働き、制御心棒4は、好ましくは、細長く、実質的に円筒形状で、対称長手方向軸X−Xを備える(
図3を参照)。この制御心棒4は、その対称長手方向軸X−Xに沿って前から後ろ、後ろから前に摺動する、並びに/又は同じ上記対称長手方向軸X−X周りに時計回り及び反時計回りに回転するように構成する。
【0017】
可搬物体に制御デバイス1を設けた後、可搬物体の外側に位置することになる後端部6で、制御心棒4は、作動プッシュピース巻上げボタン8を受ける(
図18を参照)。
【0018】
制御デバイス1を組み付けた後、制御デバイス1の内部に位置することになる前端部10で、制御心棒4は、例えば、正方形区分12を有し、連続して磁気組立体14及び滑り軸受16を受ける。
【0019】
磁気組立体14は、双極又は多極磁気リング18及び支持リング20を含み、支持リング20上に、典型的には接着結合によって磁気リング18を固定する(
図4を参照)。支持リング20は、全体が円筒形状の構成要素である。
図5でわかるように、支持リング20は後ろから前に、第1の外径D1を有し磁気リング18が上に係合される第1の区分22a、及び第1の外径D1よりも大きい第2の外径D2を有する第2の区分22bを有し、第2の外径D2は、肩部24の境界を定め、肩部24に接して、磁気リング18が移動当接する。支持リング20の第1の区分22aは、正方形穴26で穴をあけられており、正方形穴26は、制御心棒4の正方形区分12の形状及びサイズに適合し、制御心棒4と共に摺動小歯車型システムを形成する。言い換えれば、支持リング20及び磁気リング28は、制御心棒4を軸方向に摺動させた際に固定されたままである。しかし、制御心棒4は、制御心棒4が回転すると、支持リング20及び磁気リング18を回転駆動させる。支持リング20が支持する磁気リング18は、制御心棒4と接触せず、これにより、制御デバイス1を備える可搬物体に衝撃が加えられた際に磁気リング18の保護が可能であることは上記から明らかである。
【0020】
滑り軸受16は、(
図5を参照)円筒形筐体28を画定し、円筒形筐体28の第1の内径D3は、制御心棒4の正方形区分12が内接する円の直径よりもごくわずかに大きく、制御心棒4が軸方向に摺動する及び/又はこの円筒形筐体28の内部で回転することを可能にする。したがって、滑り軸受16は、制御心棒4の完全な軸方向案内を保証する。
【0021】
支持リング20の第1の区分22a内に設けた正方形穴26は、環状穴30によって制御デバイス1の前に向かって延在し、環状穴30の第2の内径D4は、滑り軸受16の第3の外径D5に嵌合することに留意されたい。したがって、支持リング20は、自由回転のために滑り軸受16に嵌合し、滑り軸受16に対し移動軸当接し、これにより、これら2つの構成要素の完全な軸方向整合を保証し、摺動小歯車型結合によって生じる同心性に関する問題の修正を可能にする。
【0022】
滑り軸受16は、軸方向固定のために、環状カラー32と共に外側面上に設けられ、環状カラー32は、第1の溝34a及び第2の溝34b内に突出し、第1の溝34a及び第2の溝34bは、下側フレーム2(
図2を参照)、及び下側フレーム2を覆うように構成した上側フレーム36(
図6を参照)内にそれぞれ配置され、例えば、射出プラスチック材料、又は真鍮等の非磁性金属材料から作製されていることが観察される。これら2つの下側フレーム2及び上側フレーム26を以下で詳細に説明する。
【0023】
上記した磁気組立体14及び滑り軸受16は、説明の目的で述べるにすぎないことに留意することが重要である。実際、例えば鉄鋼又は真鍮製の滑り軸受16は、例えば鉄鋼製の制御心棒4が、下側フレーム2及び上側フレーム36に対して擦れ、2つの下側フレーム2及び上側フレーム36が典型的に作製されるプラスチック材料に対する摩耗を生じさせないように構成する。しかし、簡略化した実施形態では、そのような滑り軸受16を使用せず、制御心棒4を下側フレーム2によって直接支持した状態で配置することが想定可能である。
【0024】
同様に、磁気リング18、及び磁気リング18を上に固定する支持リング20は、磁気リング18の枢動により誘起される磁場の局所振動によって制御心棒4の回転を検出するケースを意図する。しかし、磁気組立体14を例えば摺動小歯車と置き換え、摺動小歯車は、その位置に従って、例えば、制御デバイス1を備える時計のぜんまいの巻上げ又は時間設定を制御するという想定が完全に可能である。
【0025】
制御心棒4が、その長さ部の一部上に正方形区分を備える例は、単に説明の目的で示していることに留意することも重要である。実際、磁気組立体14を回転駆動するために、制御心棒4は、円形区分以外のあらゆる種類の区分、例えば、三角形又は楕円形を有することができる。
【0026】
下側フレーム2及び上側フレーム36、制御デバイス1の外形状を画定するこれらの組合せ組立体は、例えば、全体が平行六面体形状のものである。下側フレーム2は、制御心棒4を受け入れる架台を形成する(
図2を参照)。この目的で、下側フレーム2は、前に向かって、半円外形の第1の受入れ表面38を含み、第1の受入れ表面38は、滑り軸受16のための座として働き、滑り軸受16内には、円形カラー32を受け入れる第1の溝34aが設けられる。したがって、滑り軸受16の軸方向及び回転の両方の固定を保証する。
【0027】
下側フレーム2は、後ろに向かって、第2の受入れ表面40を更に含み、第2の受入れ表面40の半円外形は、制御心棒4の対称長手方向軸X−Xの中心に置かれるが、第2の受入れ表面40の半円外形の直径は、制御心棒4の直径よりも大きい。制御心棒4は、可搬物体内に組み入れる前に、組み立てた制御デバイス1を検査する段階でのみ、第2の受入れ表面40上に載置することを理解することが重要である。この組立て段階では、制御心棒4は、検査目的で制御デバイス1に挿入され、水平に延在し、前端部10で滑り軸受16によって、後端部6で第2の受入れ表面40を介して支持され、軸方向に案内される。しかし、制御デバイス1を可搬物体内に組み込んだ後、制御心棒4は、穴42を通過し、穴42は、制御心棒4を中に案内し支持する可搬物体の中間部品48内に配置されている(
図19を参照)。制御心棒4は、可搬物体の裏蓋49に平行に、下側フレーム2の平面内に延在する。
【0028】
半円外形の第3の隙間表面44a及び第4の隙間表面46aも、下側フレーム2内に設けられ、相補形隙間表面44b及び46b(
図6を参照)は、上側フレーム36内に設け、磁気リング18及び支持リング20から形成した磁気組立体14を受け入れる。制御デバイス1を組み立て、可搬物体内に組み付ける際、磁気リング18及び支持リング20は、第3の隙間表面44a及び第4の隙間表面46a並びに相補形隙間表面44b及び46bと接触しないことに留意されたい。第3の隙間表面44a及びその対応する相補形隙間表面44bは、磁気組立体14を軸方向に係止する円形カラー50によって境界を定められることにも留意されたい。
【0029】
図3でわかるように、制御心棒4は、正方形区分12の背後に、円筒形区分52を有し、円筒形区分52の直径は、制御心棒4の正方形区分12が内接する円の直径と、上記制御心棒4の後区分54のピッチ直径との間に含まれ、後区分54の端部で、作動プッシュピース巻上げボタン8が固定される。この直径低減円筒形区分52は、2つの肩部56a、56bとの間に延在して溝56を形成し、溝56の内部に、制御心棒4の位置を割り送りする板58を置く(
図7A及び
図7Bを参照)。この目的で、位置割送り板58は、湾曲部分60を有し、湾曲部分60は、直径低減円筒形区分52の外形を辿り、位置割送り板58が実質的に水平に延在することを可能にする。位置割送り板58は、例えば、薄い、導電性金属シートを打ち抜くことによって得ることができる。しかし、例えば、導電性粒子を投入した硬いプラスチック材料を成形することによる、位置割送り板58の作製を想定することも可能である。位置割送り板58を溝56内で係合することにより、前から後ろ、後ろから前への、制御心棒4と位置割送り板58との間の並進結合を保証する。しかし、以下で明らかになるように、位置割送り板58は、制御心棒4の対称長手方向軸X−Xに直交する垂直方向zにおいて、制御心棒4に対して自由である。
【0030】
図7Aに見えるように、位置割送り板58は、実質的に平坦で、全体がU字形の部品である。この位置割送り板58は、2つの実質的に直線の案内腕部62を含み、案内腕部62は、互いに平行に延在し、湾曲部分60によって互いに接続している。これらの2つの案内腕部62は、例えば、下側フレーム2に配置した2つのスタッド64に対して軸方向に案内される。位置割送り板58は、2つの案内腕部62によって案内され、上側フレーム36内に配置した縁68に沿って摺動し、縁の外周は、位置割送り板58の外周に対応する(
図6を参照)。位置割送り板58は、2つの案内腕部62の両側に、垂直下方に延在する2つの指部66a、66bも含む。位置割送り板58は、縁68に沿って摺動する際、制御心棒4の前から後ろへ、後ろから前への並進案内を保証する機能を有する。指部66a、66bは、特に、位置割送り板58が並進移動する際に位置割送り板58が屈曲しないようにすることを目的とする。
【0031】
ほぼ長方形の輪郭を呈する2つの開口70は、位置割送り板58の案内腕部62内に設けられる。これら2つの開口70は、制御心棒4の対称長手方向軸X−Xの両側に対称に延在する。制御心棒4の対称長手方向軸X−Xに最も近い2つの開口70の側部は、実質的に正弦曲線形状のカム経路72を有し、カム経路72は、先端部76によって隔てた第1の凹部74a及び第2の凹部74bから形成される。
【0032】
案内腕部62内に設けた2つの開口70は、カム従動子78を受けることを目的とする。好ましいが、限定ではない本発明の実施形態によれば、カム従動子78は、位置決めばね80の形態を取り、位置決めばね80の2つの端部81は、案内腕部62の開口70内に受けられる(
図8を参照)。より詳細には、位置決めばね80は、全体にU字形状で、2つの心軸82を有し、2つの心軸82は、水平面に延在し、基部84によって互いに接続されている。2つの心軸82は、これらの自由端で、直立する2つの実質的に直線の腕部86によって延在する。位置決めばね80は、下側フレーム2の底部を通じて制御デバイス1内に組み付け、腕部86の端部81が位置割送り板58の開口70内に突出するようにすることを目的とする。位置割送り板58と位置決めばね80との間の協働により、不安定な押込み位置T0と2つの安定位置T1及びT2との間で制御心棒4の位置の割送りを可能にすることが以下でわかる。
【0033】
位置割送り板58は、制御心棒4に並進結合するが、垂直方向zでは制御心棒4に対して自由であることは上記で述べた。したがって、通常の使用条件において、例えば、重力の影響下、位置割送り板58が制御心棒4から解放しないようにするステップを取る必要がある。この目的で(
図9を参照)、垂直方向zにおける位置割送り板58の変位を制限するばね88は、位置割送り板58から短い距離で上に置く。変位制限ばね88は、制御デバイス1の下側フレーム2と上側フレーム36との間に係留され、通常の使用条件下では、位置割送り板58と接触せず、これにより、制御心棒4の動作を困難にし摩耗問題を生じさせることになる寄生摩擦力が、制御心棒4上に加えられないようにする。しかし、変位制限ばね88は、位置割送り板58に十分に近く、位置割送り板58が故意でなく制御心棒4から分離しないようにする。
【0034】
変位制限ばね88は、実質的に直線の中央部分90を含み、中央部分90の端部81から、2つの対の弾性腕部92及び94が延在する。これらの弾性腕部92及び94は、変位制限ばね88の中央部分90の両側に、中央部分90が延在する水平面から離れて上方に延在する。上側フレーム36を下側フレーム2に接合した際、これらの弾性腕部92及び94が圧縮されるにつれて、弾性腕部92及び94は、垂直方向zに沿って変位制限ばね88に弾性を加える。対の弾性腕部92及び94の間には、1対、好ましくは2対の剛性突起96が設けられ、剛性突起96は、変位制限ばね88の中央部分90の両側に直交して下方に延在する。上側フレーム36が下側フレーム2上に位置する際、下側フレーム2に当接するこれらの剛性突起96は、制御デバイス1の通常動作条件において、位置割送り板58と変位制限ばね88との間に最小空間を設けることを保証する。
【0035】
変位制限ばね88は、制御デバイス1の分解可能性を保証する。実際、変位制限ばね88がない場合、位置割送り板58は、制御心棒4と一体に作製する必要があり、したがって、制御心棒4はもはや取り外すことができない。制御心棒4を取り外すことができない場合、制御デバイス1を備える計時器のムーブメントも取り外すことができず、特に、高価な計時器の場合ではとても考えられないことである。したがって、下側フレーム2及び上側フレーム36の接合によって形成される制御デバイス1は、可搬物体の内部に組み付けられ、制御心棒4は、可搬物体の外側から制御デバイス1に挿入され、制御心棒4は、変位制限ばね88の弾性力に逆らって位置割送り板58をわずかに持ち上げる。制御心棒4が前向きに推進し続けると、位置割送り板58が、重力の影響下、溝56内に落下する瞬間がある。次に、制御心棒4及び位置割送り板58は、並進結合される。
【0036】
分解板98は、制御心棒4の分解を可能にするように設けられる(
図10を参照)。この分解板98は、全体がH字形状であり、直線区分100を含み、直線区分100は、制御心棒4の対称長手方向軸X−Xに平行に延在し、直線区分100に、第1の横材102及び第2の横材104を取り付ける。第1の横材102も、2つの自由端部に、実質的に直角に上に折り曲げた2つの突起106を備える。分解板98は、筐体108の内部に受けられ、筐体108は、下側フレーム2内に設けられ、制御心棒4の下に位置する。この筐体108は、制御デバイス1の下側面112に開口する穴110を介して制御デバイス1の外側と通じている(
図11を参照)。先細器具を穴110に挿入することによって、分解板98上に推力を加えることができ、分解板98は、その2つの突起106を介して、変位制限ばね88の弾性力に逆らって位置割送り板58を推進する。この場合、制御心棒4を制御デバイス1から取り出すには、制御心棒4に対しわずかな牽引力を加えれば十分である。
【0037】
制御心棒4は、その安定静止位置T1から、前に推進されて不安定位置T0に入るか、又は引き抜かれて安定位置T2に入る。制御心棒4のこれら3つの位置T0、T1及びT2は、位置割送り板58と位置決めばね80との間の協働によって割り送りされる。より正確には(
図12Aを参照)、安定静止位置T1は、位置決めばね80の腕部86の端部81が、位置割送り板58の案内腕部62内に設けた2つの開口70の第1の凹部74aに突出する位置に対応する。安定位置T1は、本発明による制御デバイス1を備える可搬物体に指令を入れることができない位置に対応することができる。とはいえ、制御心棒4の安定位置T1において、機能を動作させる一方向又はもう一方の方向における制御心棒4の回転を検出できることも想定可能である。この場合、制御心棒4の回転のどちらかを常時検出することができるが、電子構成要素は、電流によって常に電力供給する必要があり、電気エネルギーの予備が必ず制限される小寸法可搬物体の場合、問題を生じさせることがある。又は、制御心棒の安定位置T1での回転は、決定された継続時間の間、制御心棒が不安定位置T0に至った後に検出する。
【0038】
制御心棒4は、その安定静止位置T1から、前に推進されて不安定位置T0に入ることができる(
図12Bを参照)。この変位の間、位置決めばね80の腕部86の端部81は、第1の凹部74aを離れ、第1の急勾配α上で制御心棒4の対称長手方向軸X−Xから次第に離れる第1の傾斜外形部114を辿る。したがって、位置決めばね80の腕部86の端部81が強制的に第1の凹部74aを離れ、互いから離れて移動することによって第1の傾斜外形部114上で係合するように、ユーザは、著しい抵抗力を克服しなければならない。
【0039】
端部81が転移点116に到達すると、腕部86の端部81は、第2の傾斜外形部118上に係合し、第2の傾斜外形部118は、第2の勾配βで第1の傾斜外形部114を延在させ、第2の勾配βは、第1の傾斜外形部114の第1の勾配αよりも小さい。位置決めばね80の腕部86の端部81が転移点116を渡り、第2の傾斜外形部118上に係合する瞬間、制御心棒4を移動させ続けるのに必要なユーザからの力は、急激に低下し、ユーザは、制御心棒4が位置T1と位置T0との間で転移したことを示すクリック感を感じる。端部81が第2の傾斜外形部118を辿るにつれて、位置決めばね80の腕部86は、静止位置から離れてわずかに移動し続け、ユーザが制御心棒4に加えた推力に対抗する弾性戻り力の作用下、互いに向かって再度移動しようとする傾向がある。ユーザが制御心棒4に対する圧力を解放するとすぐに、位置決めばね80の腕部86は、第1の傾斜外形部114の下に自発的に戻り、位置割送り板58の案内腕部62内に設けた2つの開口70の第1の凹部74aの内部に再度留まる。したがって、制御心棒4は、不安定位置T0から安定な第1の位置T1に自動的に戻る。
【0040】
一方で、不安定位置T0から安定な第1の位置T1に制御心棒4を戻すことに関与する第1の接触ばね120a及び第2の接触ばね120bは、圧縮され、下側フレーム2内に設けた第1の空洞122a及び第2の空洞122bの内部に収容される。これら第1の接触ばね120a及び第2の接触ばね120bは、つる巻き接触ばね、条片ばね又は他のばねとすることができる。2つの空洞122a、122bは、好ましくは、必ずしもそうではないが、水平に延在する。2つの接触ばね120a、120bを圧縮状態で据え付けるので、接触ばね120a、120bの位置決めの精度は、下側フレーム2の製造公差に依存する。下側フレーム2の製造精度は、2つの第1の接触ばね120a及び第2の接触ばね120bの製造精度よりも高い。したがって、制御心棒4の位置T0の検出精度は高い。
【0041】
図13及び
図15に見えるように、第1の接触ばね120a及び第2の接触ばね120bの端部の1つは、屈曲し、2つの接触突起124を形成し、2つの接触突起124は、2つの対応する第1の接触パッド126に移動当接し、第1の接触パッド126は、可撓性印刷回路シート128の表面に設けられている。位置決めばね80の腕部86の端部81が、位置割送り板58内に設けた2つの開口70の第2の傾斜外形部118上に係合する瞬間は、位置割送り板58の指部66a、66bが第1の接触ばね120a及び第2の接触ばね120bと接触する瞬間と一致する。この位置割送り板58は、導電性のため、指部66a、66bが第1の接触ばね120a及び第2の接触ばね120bと接触すると、電流が位置割送り板58を通過し、第1の接触ばね120aと第2の接触ばね120bとの間の電気接点の閉鎖が検出される。
【0042】
第1の接触ばね120a及び第2の接触ばね120bは同じ長さのものである。しかし、好ましくは、特に、公差に関する問題を考慮するために、第1の空洞122a、第2の空洞122bの一方は、もう一方よりも長い(2つの空洞122aと122bとの間の長さの差は、10分の数ミリメートルである)。したがって、制御心棒4が前に推進されて位置T0に入ると、第1の最長の空洞122aの内部に収容した第1の接触ばね120aと並ぶ位置割送り板58の指部66aは、第1の接触ばね120aと接触し、第1の接触ばね120aを圧縮し始める。制御心棒4は、前方に移動し続け、位置割送り板58の第2の指部66bは、第2の最短の空洞122bの内部に収容した第2の接触ばね120bと接触することになる。この瞬間、位置割送り板58は、第1の接触ばね120a及び第2の接触ばね120bと接触し、電流が位置割送り板58に流れることになり、これにより、第1と2の接触ばね120aと120bとの間の電気接点の閉鎖を検出可能にする。位置割送り板58の指部66a、66bは、第1の接触ばね120a及び第2の接触ばね120bとの当接接触に移動することに留意されたい。したがって、制御心棒4が前に推進されて位置T0に入り、第1の接触ばね120aと第2の接触ばね120bとの間の回路を閉鎖する際、摩擦又は摩耗がない。第1の空洞122a及び第2の空洞122bの長さの差が、クリック感を感じた後にのみ、電気接点の閉鎖、及び制御デバイス1を備える可搬物体への対応する指令が入ることが生じることを保証することにも留意されたい。
【0043】
位置割送り板58の2つの指部66a、66bが第1の接触ばね120a、第2の接触ばね120bと接触すると、第1の最も長い空洞120a内に収容した第1の接触ばね120aは、圧縮状態にある。したがって、ユーザが制御心棒4上の圧力を解放すると、この第1の接触ばね120aは、弛緩し、制御心棒4を不安定押込み位置T0から安定な第1の位置T1に強制的に戻す。したがって、第1の接触ばね120a及び第2の接触ばね120bは、電気接点部品、及び制御心棒4を安定な第1の位置T1に戻す弾性戻り手段として同時に作用する。
【0044】
安定な第1の位置T1から、制御心棒4を後方に引き、安定な第2の位置T2に入れることが可能である(
図12Cを参照)。この移動の間、位置決めばね80の腕部86の端部81は、弾性的に変形し、位置割送り板58の案内腕部62内に設けた2つの開口70の先端部76を渡ることによって、第1の凹部74aから第2の凹部74bまで通過する。制御心棒4がその安定な第2の位置T2に到達すると、位置割送り板58の2つの指部66a、66bが第3の接触ばね130a、第4の接触ばね130bに対し移動当接し(
図13を参照)、第3の接触ばね130a、第4の接触ばね130bは、下側フレーム2内に設けた第3の空洞132a及び第4の空洞132bの内部に収容されている。これら第3の接触ばね130a及び第4の接触ばね130bは、つる巻き接触ばね、条片ばね又は他のばねとすることができる。第3の空洞132a及び第4の空洞132bは、好ましくは、制御デバイス1内の空間のために、垂直に延在する。位置割送り板58は、導電性のため、指部66a、66bが第3の接触ばね130a及び第4の接触ばね130bと接触すると、電流が位置割送り板58を流れ、これらの接触ばね130aと接触ばね130bとの間の電気接点T2の閉鎖が検出される。
【0045】
安定位置T2のケースでは、位置割送り板58の指部66a、66bも、第3の接触ばね130a及び第4の接触ばね130bと当接接触し、これにより、摩擦によるあらゆる摩耗の危険性を回避することに留意されたい。更に、第3の接触ばね130a及び第4の接触ばね130bは、位置割送り板58の指部66a、66bが第3の接触ばね130a及び第4の接触ばね130bと衝突すると、屈曲することができ、したがって、位置割送り板58の位置決め精度のあらゆる欠如を吸収する。
【0046】
好ましくは、必ずしもそうではないが、第3の接触ばね130a及び第4の接触ばね130bは、屈曲状態で作用するように構成する。実際、直径が一定である接触ばね130a、130bの場合、位置割送り板58の指部66a、66bは、下側フレーム2及び上側フレーム36の取付け点に近い大きな表面にわたり接触ばね130a、130bと接触する。接触ばね130a、130bの取付け点への接触表面の近接性は、接触ばね130a、130b内にせん断応力を生じさせ、これにより、接触ばね130a、130bの早期の摩耗及び破損を引き起こすおそれがある。この問題を克服するために、接触ばね130a、130bは、好ましくは、実質的に中程の高さに、直径増大部134を有し、直径増大部134は、制御心棒4を引っ張り安定位置T2に入れると、位置割送り板58の指部66a、66bと接触する(
図14A及び
図14Bを参照)。第3の接触ばね130a及び第4の接触ばね130bは、それらの上側端部で、上側フレーム36内に設けた2つの穴136に案内され、可撓性印刷回路シート128の表面に設けた第2の接触パッド138と接触する。制御心棒4を後方に引っ張りその安定位置T2に入れると、位置割送り板58の指部66a、66bが、最大直径134で第3の接触ばね130a及び第4の接触ばね130bと低減した表面で接触することは明らかであり、これにより、下側フレーム2及び上側フレーム36の2つの取付け点の間で接触ばね130a、130bを屈曲させることが可能である。
【0047】
図15において、図面の理解を容易にするため、下側フレーム2及び上側フレーム36は意図的に省略している。
図15に示すように、可撓性印刷回路シート128は、可搬物体の文字板側に位置する板140上に固定する。可撓性印刷回路シート128は、特に、上側フレーム36を受ける形状及びサイズに適応した切欠き142の形態を取る。可撓性印刷回路シート128の一部分144は、自由なままである(
図16を参照)。可撓性印刷回路シート128のこの自由部分144は、第3の接触パッド148に加えて、複数の電子構成要素146を支持し、第3の接触パッド上に少なくとも2つの誘導センサ150を固定する。「誘導センサ」とは、レンツの法則及びファラデーの法則の誘導現象のために、中を通る磁場を電圧に変換するセンサを意味する。例として、このセンサは、ホール効果センサ、又はAMR(異方性磁気抵抗)、GMR(巨大磁気抵抗)若しくはTMR(トンネル型磁気抵抗)型の磁気抵抗構成要素とすることができる。
【0048】
可撓性印刷回路シート128の自由部分144は、2つの条片152によって可撓性印刷回路シート128の残りに接続され、自由部分144が、上側フレーム36と下側フレーム2との組立体の周囲で折り曲がり、次に、下側フレーム2の下側面112に対して下に折り曲がることを可能にし、誘導センサ150が、下側フレーム2の下側面112内に設けた2つの筐体156を貫通するようにする。したがって、筐体156の内部に配置された誘導センサ150は、磁気リング18の下に正確に位置し、制御心棒4の回転方向の確実な検出を保証する。可撓性印刷回路シート128の自由部分144が下側フレーム2に対して下に折り曲げた後(
図17Aを参照)、組立体は、1つ又は2つの弾性指部160を備える保持板158によって覆い、弾性指部160は、誘導センサ150を筐体156の底部に押圧する(
図17Bを参照)。保持板158は、例えば、2つのねじ手段162によって板140に固定する。
【0049】
当然、本発明は、たった今説明してきた実施形態に限定するものではなく、添付の特許請求の範囲により定義する本発明の範囲から逸脱することなく様々な単純な修正形態及び変形形態を当業者により想定することができる。特に、磁気リングの寸法は、中空シリンダに対応するように拡張することができる。特に、位置割送り板58は、2つの個別の位置、即ち、2つの安定位置、若しくは1つの安定位置及び1つの不安定位置のみを画定し得るか、又は3つ以上の個別の位置、即ち、少なくとも3つの安定位置、若しくは少なくとも2つの安定位置及び1つの不安定位置を画定し得ることは理解されよう。
【0050】
図20Aは、位置割送り板58が2つの安定位置のみを画定するケースを示す。そのようなケースでは、ほぼ長方形の輪郭を呈する2つの開口70−1は、位置割送り板58の案内腕部62内に設ける。これら2つの開口70−1は、制御心棒4の対称長手方向軸X−Xの両側に対称に延在する。制御心棒4の対称長手方向軸X−Xに最も近い2つの開口70−1の側部は、実質的に正弦曲線形状のカム経路72−1を有し、カム経路72−1は、先端部76−1によって隔てた第1の凹部74a−1及び第2の凹部74b−1から形成される。案内腕部62内に設けた2つの開口70−1は、位置決めばね80の腕部86の2つの端部81を受け、制御心棒4の位置を第1の安定位置T1−1と第2の安定位置T2−1との間で割り送りすることを目的とする。
【0051】
より詳細には、第1の安定位置T1−1は、位置決めばね80の腕部86の端部81が2つの開口70−1の第1の凹部74a−1内に突出する位置に対応し、2つの開口70−1は、位置割送り板58の案内腕部62内に設けられている。制御心棒4は、この第1の安定位置T1−1から引き戻され、第2の安定位置T2−1に入ることができる。この移動の間、位置決めばね80の腕部86の端部81は、弾性的に変形し、位置割送り板58の案内腕部62内に設けた2つの開口70−1の先端部76−1を渡ることによって、第1の凹部74a−1から第2の凹部74b−1まで通過することになる。
【0052】
図21Aは、位置割送り板58が1つの安定位置T1−2及び1つの不安定位置T0−2のみを画定するケースを示す。そのようなケースでは、ほぼ長方形の輪郭を呈する2つの開口70−2は、位置割送り板58の案内腕部62内に設ける。2つの開口70−2は、制御心棒4の対称長手方向軸X−Xの両側に対称に延在する。制御心棒4の対称長手方向軸X−Xに最も近い2つの開口70−2の側部は、凹部74a−2から形成したカム経路72−2、その後、第1の急勾配α−2上で制御心棒4の対称長手方向軸X−Xから次第に離れる傾斜外形部114−2を有する。したがって、位置決めばね80の腕部86の端部81が強制的に凹部74a−2を離れ、互いから離れて移動することによって第1の傾斜外形部114−2上で係合するように、ユーザは、著しい抵抗力を克服しなければならない。端部81が転移点116−2に到達すると、腕部86の端部81は、第2の傾斜外形部118−2上に係合し、第2の傾斜外形部118−2は、第2の勾配β−2で第1の傾斜外形部114−2を延在させ、第2の勾配β−2は、第1の傾斜外形部114−2の第1の勾配α−2よりも小さい。位置決めばね80の腕部86の端部81が転移点116−2を渡り、第2の傾斜外形部118−2上に係合する瞬間、制御心棒4を移動させ続けるのに必要なユーザからの力は、急激に低下し、ユーザは、制御心棒4が安定位置T1−2と不安定位置T0−2との間で転移したことを示すクリック感を感じる。端部81が第2の傾斜外形部118−2を辿るにつれて、位置決めばね80の腕部86は、静止位置から離れてわずかに移動し続け、ユーザが制御心棒4に加えた推力に対抗する弾性戻り力の作用下、互いに向かって再度移動しようとする傾向がある。ユーザが制御心棒4に対する圧力を解放するとすぐに、位置決めばね80の腕部86は、第1の傾斜外形部114−2の下に自発的に戻り、位置割送り板58の案内腕部62内に設けた2つの開口70−2の第1の凹部74a−2の内部に再度留まる。したがって、制御心棒4は、不安定位置T0から安定位置T1−2に自動的に戻る。