特許第6557387号(P6557387)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6557387コジェネレーションシステム、コジェネレーションシステムの制御装置、およびコジェネレーションシステムの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6557387
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】コジェネレーションシステム、コジェネレーションシステムの制御装置、およびコジェネレーションシステムの制御方法
(51)【国際特許分類】
   F22B 35/00 20060101AFI20190729BHJP
【FI】
   F22B35/00 Z
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-128978(P2018-128978)
(22)【出願日】2018年7月6日
【審査請求日】2018年7月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】503063168
【氏名又は名称】東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】二瓶 吉徳
(72)【発明者】
【氏名】松井 駿
(72)【発明者】
【氏名】刑部 尚樹
(72)【発明者】
【氏名】高梨 芳樹
(72)【発明者】
【氏名】小谷野 潤一
(72)【発明者】
【氏名】一色 拓人
(72)【発明者】
【氏名】和田 祐介
【審査官】 古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−32917(JP,A)
【文献】 特開2003−222301(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22B 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガスボイラを有するコジェネレーション装置と、
燃料ガスを燃焼させて蒸気を発生する燃料ガスボイラと、
上記排ガスボイラ、および上記燃料ガスボイラが発生する蒸気が入力される蒸気ヘッダと、
上記蒸気ヘッダから蒸気が供給される熱源機と、
を有するコジェネレーションシステムの制御装置であって、
上記蒸気ヘッダの圧力が所定の閾値よりも低いときに、上記燃料ガスボイラに供給される燃料ガスの流量が所定の閾値以上になるごとに、上記熱源機に流入する冷温水の流量を徐々に減少させる一方、
上記蒸気ヘッダの圧力が所定の閾値よりも高いときに、上記蒸気ヘッダの圧力を低下させるための放蒸弁の開度が所定の閾値以上になるごとに、上記熱源機に流入する冷温水の流量を徐々に増加させる制御部を備えたことを特徴とするコジェネレーションシステムの制御装置。
【請求項2】
請求項1のコジェネレーションシステムの制御装置であって、
上記制御部は、上記熱源機に流入する上記冷温水の流量の初期値を、上記排ガスボイラに流入する排ガスをバイパスさせるバイパスダンパの開度、および上記コジェネレーション装置による発電電力に基づいて設定することを特徴とするコジェネレーションシステムの制御装置。
【請求項3】
排ガスボイラを有するコジェネレーション装置と、
燃料ガスを燃焼させて蒸気を発生する燃料ガスボイラと、
上記排ガスボイラ、および上記燃料ガスボイラが発生する蒸気が入力される蒸気ヘッダと、
上記蒸気ヘッダから蒸気が供給される熱源機と、
請求項1から請求項2のうち何れか1項の制御部と、
を有することを特徴とするコジェネレーションシステム。
【請求項4】
排ガスボイラを有するコジェネレーション装置と、
燃料ガスを燃焼させて蒸気を発生する燃料ガスボイラと、
上記排ガスボイラ、および上記燃料ガスボイラが発生する蒸気が入力される蒸気ヘッダと、
上記蒸気ヘッダから蒸気が供給される熱源機と、
を有するコジェネレーションシステムの制御方法であって、
上記蒸気ヘッダの圧力が所定の閾値よりも低いときに、上記燃料ガスボイラに供給される燃料ガスの流量が所定の閾値以上になるごとに、上記熱源機に流入する冷温水の流量を徐々に減少させる一方、
上記蒸気ヘッダの圧力が所定の閾値よりも高いときに、上記蒸気ヘッダの圧力を低下させるための放蒸弁の開度が所定の閾値以上になるごとに、上記熱源機に流入する冷温水の流量を徐々に増加させることを特徴とするコジェネレーションシステムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コジェネレーション装置と、別途設けられたボイラとを有するコジェネレーションシステム、そのようなコジェネレーションシステムの制御装置、および制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コジェネレーション装置の排熱の利用率を向上させる技術として、コジェネレーション装置に備えられる第一ボイラが供給する蒸気の圧力を、別途設けられる第二ボイラが供給する蒸気の圧力よりも高く設定することにより、第一ボイラの発生蒸気が優先して供給されるようにする技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−17713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のように第一ボイラの発生蒸気が優先して供給されるようにしたとしても、実際には、第二ボイラが頻繁に運転状態となって、必ずしも燃料消費量を低減できるとは限らない。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑み、コジェネレーションシステムの省エネルギ効果を高めることなどが容易にできるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明は、
排ガスボイラを有するコジェネレーション装置と、
燃料ガスを燃焼させて蒸気を発生する燃料ガスボイラと、
上記排ガスボイラ、および上記燃料ガスボイラが発生する蒸気が入力される蒸気ヘッダと、
上記蒸気ヘッダから蒸気が供給される熱源機と、
を有するコジェネレーションシステムの制御装置であって、
上記蒸気ヘッダの圧力が所定の閾値よりも低いときに、上記燃料ガスボイラに供給される燃料ガスの流量が所定の閾値以上になるごとに、上記熱源機に流入する冷温水の流量を徐々に減少させる一方、
上記蒸気ヘッダの圧力が所定の閾値よりも高いときに、上記蒸気ヘッダの圧力を低下させるための放蒸弁の開度が所定の閾値以上になるごとに、上記熱源機に流入する冷温水の流量を徐々に増加させる制御部を備えたことを特徴とする。
【0007】
これにより、蒸気ヘッダ内の圧力が低下したときに熱源機に流入する冷温水の流量を減少させて、間接的に燃料ガスボイラが運転状態にされにくいようにしたり、蒸気ヘッダ内の圧力が増大したときに、熱源機に流入する冷温水の流量を増大させて、間接的に蒸気ヘッダから蒸気が放出されにくいようにしたりすることによって、エネルギ効率を向上させることが容易にできる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コジェネレーションシステムの省エネルギ効果を高めることなどが容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】コジェネレーションシステムの構成を示すブロック図である。
図2】コジェネレーションシステムの運転状態の例を示す説明図である。
図3】コジェネレーションシステムの制御動作の例を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
(コジェネレーションシステムの概略構成)
本実施形態のコジェネレーションシステム(CGS)には、図1に示すように、CGS発電機112と、排ガスボイラ113とを含むコジェネレーション装置が設けられ、ガスエンジンやガスタービンの運転によって発電が行われるとともに、排ガスの熱によって蒸気を発生させるようになっている。発生した蒸気は、蒸気負荷115に供給されるとともに、温水・蒸気兼用の熱源機101に供給され、冷温水負荷105に冷水や温水を供給するようになっている。なお、熱源機101は、温水・蒸気兼用に限らず、専ら蒸気が熱源として用いられる蒸気専用の熱源機などであってもよい。
【0012】
(コジェネレーションシステムの詳細な構成)
上記温水・蒸気兼用の熱源機101は、例えば1台または複数台の吸収式冷凍機などによって構成され、冷温水を生成し、冷温水往ヘッダ103を介して冷温水負荷105に供給するようになっている。冷温水負荷105から戻ってきた冷温水は、冷温水還ヘッダ104、および例えばインバータ式のポンプ122を介して再度熱源機101に送られる。また、上記冷温水往ヘッダ103と冷温水還ヘッダ104との間には、例えば1台または複数台の電気式の熱源機102が設けられ、蒸気の供給の有無に関わらず、冷温水を供給し得るようになっている。
【0013】
上記熱源機101に供給される蒸気は、前記のように排ガスボイラ113が発生するのに加えて、1台または複数台の貫流ボイラ111(燃料ガスボイラ)により、燃料ガスの燃焼によっても発生するようになっている。これらの排ガスボイラ113、および貫流ボイラ111によって発生した蒸気は、蒸気ヘッダ114を介して、貫流ボイラ111や蒸気負荷115に供給される。
【0014】
また、コジェネレーションシステムには、制御部121が設けられ、各部の状態に応じて、ポンプ122によって熱源機101に流入する冷温水の流量が制御されるようになっている。より詳しくは、貫流ボイラ111には燃料ガス流量計111aを介して燃料ガスが供給され、CGS発電機112には発電電力計112aが接続され、これらの流量や電力に応じた信号が制御部121に入力されるようになっている。また、CGS発電機112と排ガスボイラ113との間には余剰の排ガスを逃がすためのバイパスダンパ113aが設けられ、その開度を示す信号が制御部121に入力されるようになっている。また蒸気ヘッダ114には、内部の蒸気の圧力を検出する圧力計114aが設けられ、検出された圧力に応じた信号が制御部121に入力されるようになっている。さらに、蒸気ヘッダ114には余剰の蒸気を逃がすための放蒸弁114bが設けられ、その開度を示す信号が制御部121に入力されるようになっている。制御部121は、上記のように入力される信号に応じて、以下のように、ポンプ122により熱源機101に流入する冷温水の流量を制御するようになっている。
【0015】
なお、コジェネレーションシステムでは、上記制御部121による制御の他にも、通常の一般的な制御動作によって各部の制御が行われるが、本実施形態で行われる制御動作の主眼ではないので、説明を省略する。
【0016】
(制御動作)
制御部121は、図2に示すように、蒸気ヘッダ114内の蒸気の圧力が所定の閾値、例えば0.78MPa未満の場合には、貫流ボイラ111に供給される燃料ガスの流量が所定の閾値を超えるごとに、ポンプ122から熱源機101に送られる冷温水の流量を徐々に減少させるようになっている。すなわち、蒸気ヘッダ114の圧力が低くなるような状況は、例えば排ガスボイラ113からの蒸気の供給が少ないか、熱源機101や蒸気負荷115への蒸気の供給が多い場合などが考えられる。そのような場合、一般的な貫流ボイラ111の制御によって、動作する貫流ボイラ111の台数が増えたり、燃料ガスの供給量が増加したりしやすくなる。
【0017】
これによって燃料ガスの流量が所定の閾値を超えると、制御部121は、ポンプ122の流量を所定量だけ減少させる。すると、熱源機101の必要とする蒸気量が減少することになり、したがって、熱源機101に蒸気を供給するために貫流ボイラ111を動作させるのを抑制できることになる。なお、この場合、冷温水負荷105の要求する負荷が大きい場合などには、必要に応じて熱源機102が動作し必要な冷温水を供給することにより、全体として消費エネルギを少なく抑えることが容易にできるようになる。
【0018】
ここで、上記冷温水の流量を減少させる制御は、燃料ガスの流量が所定の閾値を超えるごとに行われる一方、燃料ガスの流量が所定の閾値を下回る際には、冷温水の流量は維持される。すなわち、燃料ガスの流量の増加を必要とするような状況が続く限り、熱源機101に送られる蒸気の量は減少し、蒸気ヘッダ114の蒸気の圧力を高めやすくされる。
【0019】
また、制御部121は、蒸気ヘッダ114内の蒸気の圧力が上記所定の閾値を超える場合には、蒸気ヘッダ114の放蒸弁114bの開度が所定の閾値を超えるごとに、ポンプ122から熱源機101に送られる冷温水の流量を徐々に増加させるようになっている。すなわち、蒸気ヘッダ114の圧力が高くなって放蒸弁114bの開度が大きくなるような状況は、例えば排ガスボイラ113からの蒸気の供給が多いか、熱源機101や蒸気負荷115への蒸気の供給が少ない場合などが考えられる。そのような場合には、放蒸弁114bは開きやすくなる。
【0020】
これによって放蒸弁114bの開度が所定の閾値を超えると、制御部121は、ポンプ122の流量を所定量だけ増大させる。すると、熱源機101の必要とする蒸気量が増大することになり、したがって、排ガスボイラ113によって発生する蒸気はより多く熱源機101に供給され、熱源機102が動作するのを抑制または低減できることになる。それゆえ、やはり、全体として消費エネルギを少なく抑えることが容易にできるようになる。
【0021】
ここで、上記冷温水の流量を増加させる制御は、放蒸弁114bの開度が所定の閾値を超えるごとに行われる一方、放蒸弁114bの開度が所定の閾値を下回る際には、冷温水の流量は維持される。すなわち、放蒸弁114bの開放を必要とするような状況が続く限り、熱源機101に送られる蒸気の量は増大し、排ガスボイラ113が発生する蒸気が有効に利用されやすくされる。
【0022】
(冷温水流量の初期値について)
上記のような制御が行われる場合の冷温水流量の初期値は、例えば次のようにして設定される。
【0023】
すなわち、図3に示すように、例えばコジェネレーションシステムの運転が開始されて最適制御開始指令がなされたときに、バイパスダンパ113aの開度、およびCGS発電機112の発生電力に基づいて余剰蒸気量が推定され、さらに、これに応じて推定される最適流量のように初期値が設定される。なお、上記初期値は、その時の構内の負荷の状況などに応じて変え得る遠隔可変値として設定されるようにしてもよい。
【0024】
このような初期値の冷温水流量が設定されてコジェネレーションシステムの運転が開始された後、上記のように蒸気ヘッダ114内の圧力、燃料ガス流量、および放蒸弁114bの開度に応じた制御が行われる。
【0025】
上記のように、蒸気ヘッダ114内の圧力が低下したときに熱源機101に流入する冷温水の流量を減少させて、間接的に貫流ボイラ111が運転状態にされにくいようにしたり、蒸気ヘッダ114内の圧力が増大したときに、熱源機101に流入する冷温水の流量を増大させて、間接的に放蒸弁114bから蒸気が放出されにくいようにしたりすることによって、エネルギ効率を向上させることが容易にできる。
【符号の説明】
【0026】
101 熱源機
102 熱源機
103 冷温水往ヘッダ
104 冷温水還ヘッダ
105 冷温水負荷
111 貫流ボイラ
111a 燃料ガス流量計
112 CGS発電機
112a 発電電力計
113 排ガスボイラ
113a バイパスダンパ
114 蒸気ヘッダ
114a 圧力計
114b 放蒸弁
115 蒸気負荷
121 制御部
122 ポンプ
【要約】
【課題】コジェネレーションシステムの省エネルギ効果を高める。
【解決手段】コジェネレーションシステムは、コジェネレーション装置と、燃料ガスボイラ(貫流ボイラ111)と、蒸気ヘッダ114と、蒸気ヘッダ114から蒸気が供給される熱源機101とを有する。コジェネレーションシステムの制御装置は、蒸気ヘッダ114の圧力、貫流ボイラ111に供給される燃料ガスの流量、および蒸気ヘッダ114の放蒸弁114bの開度に応じて、熱源機101に流入する冷温水の流量を増減させる制御部を備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3