(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エアロゾル生成源からエアロゾルを発生させるための負荷に放電可能な電源と、前記電源の充電制御を行う第一制御部と、前記電源の前記負荷への放電の制御を行う第二制御部と、を有するエアロゾル吸引器用の電源ユニットの制御方法であって、
複数の条件のいずれかが満たされた場合に前記電源の充電を完了させる制御を前記第一制御部に実行させ、前記複数の条件のいずれかが満たされた場合に前記電源の充電を完了させる制御を前記第二制御部に実行させるエアロゾル吸引器用の電源ユニットの制御方法。
エアロゾル生成源からエアロゾルを発生させるための負荷に放電可能な電源と、前記電源の充電制御を行う第一制御部と、前記電源の前記負荷への放電の制御を行う第二制御部と、を有するエアロゾル吸引器用の電源ユニットの制御プログラムであって、
複数の条件のいずれかが満たされた場合に前記電源の充電を完了させる制御を前記第一制御部に実行させ、前記複数の条件のいずれかが満たされた場合に前記電源の充電を完了させる制御を前記第二制御部に実行させるためのエアロゾル吸引器用の電源ユニットの制御プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態のエアロゾル吸引器用の電源ユニットについて説明するが、先ず、電源ユニットが装着されたエアロゾル吸引器について、
図1及び
図2を参照しながら説明する。
【0015】
(エアロゾル吸引器)
エアロゾル吸引器1は、燃焼を伴わずに香味が付加されたエアロゾルを吸引するための器具であり、所定方向(以下、長手方向Aと呼ぶ)に沿って延びる棒形状を有する。エアロゾル吸引器1は、長手方向Aに沿って電源ユニット10と、第1カートリッジ20と、第2カートリッジ30と、がこの順に設けられている。第1カートリッジ20は、電源ユニット10に対して着脱可能である。第2カートリッジ30は、第1カートリッジ20に対して着脱可能である。言い換えると、第1カートリッジ20及び第2カートリッジ30は、それぞれ交換可能である。
【0016】
(電源ユニット)
本実施形態の電源ユニット10は、
図3、
図4、及び
図6に示すように、円筒状の電源ユニットケース11の内部に、電源12、充電IC55、保護IC56、MCU50、スイッチ19、電圧センサ16、及び各種センサ等を収容する。電源12は、充電可能な二次電池、電気二重層キャパシタ等であり、好ましくは、リチウムイオン電池である。
【0017】
電源ユニットケース11の長手方向Aの一端側(第1カートリッジ20側)に位置するトップ部11aには、放電端子41が設けられる。放電端子41は、トップ部11aの上面から第1カートリッジ20に向かって突出するように設けられ、第1カートリッジ20の負荷21と電気的に接続可能に構成される。
【0018】
また、トップ部11aの上面には、放電端子41の近傍に、第1カートリッジ20の負荷21に空気を供給する空気供給部42が設けられている。
【0019】
電源ユニットケース11の長手方向Aの他端側(第1カートリッジ20と反対側)に位置するボトム部11bには、電源12を充電可能な外部電源60(
図6参照)と電気的に接続可能な充電端子43が設けられる。充電端子43は、ボトム部11bの側面に設けられ、例えば、USB端子、microUSB端子、及びLightning端子の少なくとも1つが接続可能である。なお、充電端子43は、外部電源60から送電される電力を非接触で受電可能な受電部であってもよい。
【0020】
このような場合、充電端子43(受電部)は、受電コイルから構成されていてもよい。非接触による電力伝送(Wireless Power Transfer)の方式は、電磁誘導型でもよいし、磁気共鳴型でもよい。また、充電端子43は、外部電源60から送電される電力を無接点で受電可能な受電部であってもよい。別の一例として、充電端子43は、USB端子、microUSB端子、Lightning端子の少なくとも1つが接続可能であり、且つ上述した受電部を有していてもよい。
【0021】
電源ユニットケース11には、ユーザが操作可能な操作部14が、トップ部11aの側面に充電端子43とは反対側を向くように設けられる。より詳述すると、操作部14と充電端子43は、操作部14と充電端子43を結ぶ直線と長手方向Aにおける電源ユニット10の中心線の交点について点対称の関係にある。操作部14は、ボタン式のスイッチ、タッチパネル等から構成される。操作部14の近傍には、パフ動作を検出する吸気センサ15が設けられている。
【0022】
充電IC55は、充電端子43に近接して配置され、充電端子43から入力される電力の電源12への充電制御を行う。充電IC55は、充電端子43に接続される充電ケーブルに搭載された交流を直流に変換するインバータ61等からの直流をパラメータが異なる直流に変換するコンバータ、このコンバータから電源12に供給される充電電圧V
CHGを測定するための電圧計、このコンバータから電源12に供給される充電電流I
CHGを測定するための電流計、及びこれらを制御するプロセッサ等を含む。本明細書におけるプロセッサとは、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0023】
充電IC55は、充電電流I
CHGを一定に制御して電源12の充電を行う定電流充電(CC充電、Constant Current Charging)と、充電電圧V
CHGを一定に制御して電源12の充電を行う定電圧充電(CV充電、Constant Voltage Charging)と、を選択的に行う。充電IC55は、電源12の蓄電量に相当する電源電圧V
Battが予め決められたCV切替電圧未満の状態においては、CC充電によって電源12を充電し、電源電圧V
Battが上記のCV切替電圧以上の状態においては、CV充電によって電源12を充電する。
【0024】
MCU50は、
図5に示すように、パフ(吸気)動作を検出する吸気センサ15、電源12の電源電圧V
Battを測定する電圧センサ16、電源12の温度を測定するための温度センサ17等の各種センサ装置、操作部14、後述の報知部45、及びパフ動作の回数又は負荷21への通電時間等を記憶するメモリー18に接続され、エアロゾル吸引器1の各種の制御を行う。MCU50は、具体的にはプロセッサである。
【0025】
また、電源ユニットケース11には、内部に外気を取り込む不図示の空気取込口が設けられている。なお、空気取込口は、操作部14の周囲に設けられていてもよく、充電端子43の周囲に設けられていてもよい。
【0026】
(第1カートリッジ)
図3に示すように、第1カートリッジ20は、円筒状のカートリッジケース27の内部に、エアロゾル源22を貯留するリザーバ23と、エアロゾル源22を霧化する電気的な負荷21と、リザーバ23から負荷21へエアロゾル源を引き込むウィック24と、エアロゾル源22が霧化されることで発生したエアロゾルが第2カートリッジ30に向かって流れるエアロゾル流路25と、第2カートリッジ30の一部を収容するエンドキャップ26と、を備える。
【0027】
リザーバ23は、エアロゾル流路25の周囲を囲むように区画形成され、エアロゾル源22を貯留する。リザーバ23には、樹脂ウェブ又は綿等の多孔体が収容され、且つ、エアロゾル源22が多孔体に含浸されていてもよい。エアロゾル源22は、グリセリン、プロピレングリコール、又は水などの液体を含む。
【0028】
ウィック24は、リザーバ23から毛管現象を利用してエアロゾル源22を負荷21へ引き込む液保持部材であって、例えば、ガラス繊維や多孔質セラミックなどによって構成される。
【0029】
負荷21は、電源12から放電端子41を介して供給される電力によって燃焼を伴わずにエアロゾル源22を霧化する。負荷21は、所定ピッチで巻き回される電熱線(コイル)によって構成されている。なお、負荷21は、エアロゾル源22を霧化してエアロゾルを発生可能な素子であればよく、例えば、発熱素子、又は超音波発生器である。発熱素子としては、発熱抵抗体、セラミックヒータ、及び誘導加熱式のヒータ等が挙げられる。
【0030】
エアロゾル流路25は、負荷21の下流側であって、電源ユニット10の中心線L上に設けられる。
【0031】
エンドキャップ26は、第2カートリッジ30の一部を収容するカートリッジ収容部26aと、エアロゾル流路25とカートリッジ収容部26aとを連通させる連通路26bと、を備える。
【0032】
(第2カートリッジ)
第2カートリッジ30は、香味源31を貯留する。第2カートリッジ30は、第1カートリッジ20側の端部が第1カートリッジ20のエンドキャップ26に設けられたカートリッジ収容部26aに着脱可能に収容される。第2カートリッジ30は、第1カートリッジ20側とは反対側の端部が、ユーザの吸口32となっている。なお、吸口32は、第2カートリッジ30と一体不可分に構成される場合に限らず、第2カートリッジ30と着脱可能に構成されてもよい。このように吸口32を電源ユニット10と第1カートリッジ20とは別体に構成することで、吸口32を衛生的に保つことができる。
【0033】
第2カートリッジ30は、負荷21によってエアロゾル源22が霧化されることで発生したエアロゾルを香味源31に通すことによってエアロゾルに香味を付与する。香味源31を構成する原料片としては、刻みたばこ、又は、たばこ原料を粒状に成形した成形体を用いることができる。香味源31は、たばこ以外の植物(例えば、ミント、漢方、ハーブ等)によって構成されてもよい。香味源31には、メントールなどの香料が付与されていてもよい。
【0034】
本実施形態のエアロゾル吸引器1では、エアロゾル源22と香味源31と負荷21とによって、香味が付加されたエアロゾルを発生させることができる。つまり、エアロゾル源22と香味源31は、エアロゾルを発生させるエアロゾル生成源を構成している。
【0035】
エアロゾル吸引器1におけるエアロゾル生成源は、ユーザが交換して使用する部分である。この部分は、例えば、1つの第1カートリッジ20と、1つ又は複数(例えば5つ)の第2カートリッジ30とが1セットとしてユーザに提供される。
【0036】
エアロゾル吸引器1に用いられるエアロゾル生成源の構成は、エアロゾル源22と香味源31とが別体になっている構成の他、エアロゾル源22と香味源31とが一体的に形成されている構成、香味源31が省略されて香味源31に含まれ得る物質がエアロゾル源22に付加された構成、香味源31の代わりに薬剤等がエアロゾル源22に付加された構成等であってもよい。
【0037】
エアロゾル源22と香味源31とが一体的に形成されたエアロゾル生成源を含むエアロゾル吸引器1であれば、例えば1つ又は複数(例えば20個)のエアロゾル生成源が1セットとしてユーザに提供される。
【0038】
エアロゾル源22のみをエアロゾル生成源として含むエアロゾル吸引器1であれば、例えば1又は複数(例えば20個)のエアロゾル生成源が1セットとしてユーザに提供される。
【0039】
このように構成されたエアロゾル吸引器1では、
図3中の矢印Bで示すように、電源ユニットケース11に設けられた不図示の取込口から流入した空気が、空気供給部42から第1カートリッジ20の負荷21付近を通過する。負荷21は、ウィック24によってリザーバ23から引き込まれたエアロゾル源22を霧化する。霧化されて発生したエアロゾルは、取込口から流入した空気と共にエアロゾル流路25を流れ、連通路26bを介して第2カートリッジ30に供給される。第2カートリッジ30に供給されたエアロゾルは、香味源31を通過することで香味が付与され、吸口32に供給される。
【0040】
また、エアロゾル吸引器1には、各種情報を報知する報知部45が設けられている(
図5参照)。報知部45は、発光素子によって構成されていてもよく、振動素子によって構成されていてもよく、音出力素子によって構成されていてもよい。報知部45は、発光素子、振動素子、及び音出力素子のうち、2以上の素子の組合せであってもよい。報知部45は、電源ユニット10、第1カートリッジ20、及び第2カートリッジ30のいずれに設けられてもよいが、電源ユニット10に設けられることが好ましい。例えば、操作部14の周囲が透光性を有し、LED等の発光素子によって発光するように構成される。
【0041】
(電気回路)
続いて、電源ユニット10の電気回路の詳細について
図6を参照しながら説明する。
電源ユニット10は、電源12と、放電端子41を構成する正極側放電端子41a及び負極側放電端子41bと、充電端子43を構成する正極側充電端子43a及び負極側充電端子43bと、電源12の正極側と正極側放電端子41aとの間及び電源12の負極側と負極側放電端子41bとの間に接続されるMCU(Micro Controller Unit)50と、充電端子43と電源12との電力伝達経路上に配置される充電IC55と、充電IC55と電源12との電力伝達経路上に配置される保護IC56と、電源12と放電端子41との電力伝達経路上に配置されるスイッチ19と、を備える。
【0042】
スイッチ19は、例えばMOSFET等の半導体素子により構成され、MCU50によって開閉制御される。MCU50は、充電端子43間の電圧変動によって、充電端子43に外部電源60が接続されたことを検知する機能を持つ。
【0043】
図6に示した電源ユニット10の電気回路では、スイッチ19は電源12の正極側と正極側放電端子41aの間に設けられている。このような所謂プラスコントロールに代えて、スイッチ19は負極側放電端子41bと電源12の負極側に設けられるマイナスコントロールであってもよい。
【0044】
保護IC56は、充電IC55によって電源12が充電されている場合に、電圧センサ16によって測定された電源電圧V
Battを監視し、電源電圧V
Battが保護電圧閾値(以下では、一例として4.275Vとする)に達した場合に、充電IC55から電源12に至る電力伝達経路を遮断して、電源12の充電を停止し、電源12を過充電又は過電流から保護する。保護IC56によって充電IC55から電源12に至る電力伝達経路が遮断されると、充電IC55は、電源12の充電を終了する。
【0045】
(MCU)
次にMCU50の構成について、より具体的に説明する。
MCU50は、
図5に示すように、機能ブロックとして、エアロゾル生成要求検出部51と、操作検出部52と、電力制御部53と、報知制御部54と、を備える。
【0046】
エアロゾル生成要求検出部51は、吸気センサ15の出力結果に基づいてエアロゾル生成の要求を検出する。吸気センサ15は、吸口32を通じたユーザの吸引により生じた電源ユニット10内の圧力(内圧)変化の値を出力するよう構成されている。吸気センサ15は、例えば、不図示の取込口から吸口32に向けて吸引される空気の流量(すなわち、ユーザのパフ動作)に応じて変化する内圧に応じた出力値(例えば、電圧値又は電流値)を出力する圧力センサである。吸気センサ15は、コンデンサマイクロフォン等から構成されていてもよい。
【0047】
操作検出部52は、ユーザによる操作部14の操作を検出する。
【0048】
報知制御部54は、各種情報を報知するように報知部45を制御する。例えば、報知制御部54は、第2カートリッジ30の交換タイミングの検出に応じて、第2カートリッジ30の交換タイミングを報知するように報知部45を制御する。報知制御部54は、メモリー18に記憶されたパフ動作の回数又は負荷21への累積通電時間に基づいて、第2カートリッジ30の交換タイミングを検出し、報知する。報知制御部54は、第2カートリッジ30の交換タイミングの報知に限らず、第1カートリッジ20の交換タイミング、電源12の交換タイミング、電源12の充電タイミング等を報知してもよい。
【0049】
報知制御部54は、未使用の1つの第2カートリッジ30がセットされた状態にて、パフ動作が所定回数行われた場合、又は、パフ動作による負荷21への累積通電時間が所定値(例えば120秒)に達した場合に、この第2カートリッジ30を使用済み(即ち、残量がゼロ又は空である)と判定して、第2カートリッジ30の交換タイミングを報知するようにしている。
【0050】
また、報知制御部54は、上記の1セットに含まれる全ての第2カートリッジ30が使用済みとなったと判定した場合に、この1セットに含まれる1つの第1カートリッジ20を使用済み(即ち、残量がゼロ又はからである)と判定して、第1カートリッジ20の交換タイミングを報知するようにしてもよい。
【0051】
また、報知制御部54は、電源12の容量に対する電源12に蓄電されている電力量(蓄電量)の割合を示す数値指標であるSOC(State Of Charge、充電状態)を算出し、算出したSOCを報知部45から報知させる。
【0052】
報知制御部54は、例えば、SOCが、0%以上33%未満の第一範囲と、33%以上66%未満の第二範囲と、66%以上100%未満の第三範囲とのどの範囲に属するかを判断する。そして、報知制御部54は、SOCが第一範囲にあるときと、SOCが第二範囲にあるときと、SOCが第三範囲にあるときとで、報知部45に含まれる発光素子の発光色を変えて点灯又は点滅させる、報知部45に含まれる発光素子の発光パターンを変えて点灯又は点滅させる、報知部45に含まれる複数の発光素子のうちの点灯又は点滅させる発光素子の数を変える、報知部45の音出力素子の出力音を変える、報知部45の振動素子の振動パターンを変える、等の制御を行う。これにより、エアロゾル吸引器1のユーザは、電源12のSOCの大きさを、表示器等に表示される文字又は画像ではなく、音、色、又は振動によって直感的に知ることができるようになっている。
【0053】
報知制御部54がこのようにSOCを報知すれば、後述する早期の充電完了制御を行っても、SOCの値を直接表示する場合に比べて、ユーザが抱く違和感を効果的に低減することができる。
【0054】
電力制御部53は、エアロゾル生成要求検出部51がエアロゾル生成の要求を検出した際に放電端子41を介した電源12の放電を、スイッチ19のON/OFFによって制御する。
【0055】
電力制御部53は、負荷21によってエアロゾル源が霧化されることで生成されるエアロゾルの量が所望範囲に収まるように、言い換えると、電源12から負荷21に供給される電力量が一定範囲となるように制御する。具体的に説明すると、電力制御部53は、例えば、PWM(Pluse Width Modulation:パルス幅変調)制御によってスイッチ19のON/OFFを制御する。これに代えて、電力制御部53は、PFM(Pulse Frequency Modulation:パルス周波数変調)制御によってスイッチ19のオン/オフを制御してもよい。
【0056】
電力制御部53は、負荷21への電力供給を開始してから所定期間が経過した場合に、電源12から負荷21に対する電力供給を停止する。言い換えると、電力制御部53は、ユーザが実際にパフ動作を行っているパフ期間内であっても、パフ期間が所定期間を超えた場合に、電源12から負荷21に対する電力供給を停止する。所定期間は、ユーザのパフ期間のばらつきを抑制するために定められる。
【0057】
電力制御部53の制御により、1回のパフ動作において負荷21に流れる電流は、PWM制御によって負荷21に供給される略一定の実効電圧と、放電端子41と負荷21の抵抗値と、によって決まる略一定の値となる。本実施形態のエアロゾル吸引器1では、未使用の1つの第2カートリッジ30をユーザが使用してエアロゾルを吸引する際に、負荷21への累積通電時間が最大で例えば120秒となるよう制御される。そのため、1つの第1カートリッジ20と5つの第2カートリッジ30を1セットとした場合には、この1セットを空(使用済み)にするために必要な最大の電力量を予め求めることができる。
【0058】
また、電力制御部53は、充電端子43と外部電源60との電気的な接続を検出する。
【0059】
前述したCV充電では、理論上は充電電圧V
CHGと電源電圧V
Battが等しくなるまで充電が継続される。電源電圧V
Battが充電電圧V
CHGに近づくほど、電源12に充電される電力が逓減するため、充電電圧V
CHGと電源電圧V
Battが厳密に等しくなるまでには、非常に長い時間を要する。そこで一般的なCV充電は、充電電流が閾値以下になった段階で充電が完了したものと見做す。しかし、電圧や電流を検出するセンサの誤差や、閾値の設定によっては、充電が完了されたと見做されるまで、長い時間を要する場合がある。
【0060】
そこで、電力制御部53は、充電IC55によって電源12の充電が行われている状態において、所定の条件が満たされた場合に電源12の充電を停止(完了)させる制御も行う。
【0061】
このように構成された電源ユニット10は、外部電源60から充電されている電源12が満充電状態より前の所定充電状態(例えば、SOCが80%以上96%以下の範囲、又は、SOCが80%以上90%以下の範囲等)に達したか否かを判断し、電源12の充電状態がこの所定充電状態に達していると判断した場合に、電源12の充電を完了させる。電源12の満充電電圧(SOCが100%のときの電源電圧)を一例として4.2Vとすると、電源ユニット10は、電源電圧V
Battが例えば約4.06Vとなったと判断した場合に、電源12の充電を完了させる。これにより、充電完了までの時間を短縮している。
【0062】
ところで、電源電圧V
BattとSOCは所定の相関を有する。電源電圧V
Battが例えば約4.06Vとなったと判断された場合に、電源12の充電を完了されると、SOCはおおよそ85%〜96%の値となる。
【0063】
電源12の充電状態がこの所定充電状態に達しているか否かの判断は、充電IC55と、MCU50とがそれぞれ、異なる判断条件を用いて行うようになっている。これにより、この判断の精度を高めて、電源12が満充電状態になる前に電源12の充電を完了させる確率を上げられるようにしている。また、仮に充電IC55とMCU50の一方が正常に動作しない場合であっても、電源12が満充電状態になる前に電源12の充電を完了させることが可能になる。
【0064】
なお、上記の所定充電状態は、ユーザに提供される未使用の1セット又は複数セットのエアロゾル生成源を空にするために負荷21に供給が必要な電力量以上の電力が電源12に蓄電された状態とされる。これにより、満充電状態よりも前に電源12の充電が完了された状態であっても、1セット又は複数セットのエアロゾル生成源を最後まで消費できることを可能にしている。
【0065】
例えば、電源12の放電時に負荷21に流れる電流を1.44Aとし、1つの第2カートリッジ30当たりの負荷21への累積通電時間が最大で120秒に設定される場合を想定する。この場合、1セットを空にするために必要な最大の電力量は240mAhとなり、2セットを空にするために必要な最大の電力量は480mAhとなる。電源12は、例えばこの480mAh又はこの480mAhに多少のマージンを加えた値(例えば510mAhや540mAh)の蓄電量のときにSOCが100%未満となるように、容量の大きなものが用いられている。
【0066】
(電源の充電動作)
図7は、電源12の充電時における電源ユニット10の動作を説明するためのフローチャートである。
図8は、電源12の充電時における充電電圧V
CHG、充電電流I
CHG、電源電圧V
Battの時間推移の一例を示す図である。
【0067】
MCU50が、充電端子43と外部電源60との電気的な接続を検出すると、
図7に示す動作が開始される。以下では、一例として、電源12の満充電電圧が4.2Vであり、上記のCV切替電圧が4.0Vであるものとして説明する。さらに、満充電容量610mAhの電源12を用い、540mAhが電源12に充電されたタイミングで充電を完了させるものとして説明するため、上記の所定充電状態は、SOC89%である。また、この動作におけるMCU50と充電IC55とがそれぞれ行う処理の一部又は全部は、プロセッサがプログラムにしたがって実行することができる。
【0068】
まず、MCU50は、内蔵するタイマを起動させる(ステップS1)。次に、充電IC55が電圧センサ16から電源電圧V
Battを取得し(ステップS2)、電源電圧V
BattがCV切替電圧以上であるか否かを判定する(ステップS3)。充電IC55は、電源電圧V
BattがCV切替電圧未満であれば(ステップS3:NO)、CC充電によって電源12の充電を開始し(ステップS4)、その後はステップS2に処理を戻す。電源電圧V
BattがCV切替電圧未満の間は、ステップS1からステップS4の処理が繰り返され、電源12がCC充電によって急速に充電されていく。
【0069】
そして、電源電圧V
BattがCV切替電圧に達すると(ステップS3:YES)、充電IC55は、充電電圧V
CHGをCV切替電圧よりも大きい値(好ましくは、上記の所定充電状態であるSOC89%に相当する電源電圧4.06V)としたCV充電によって電源12の充電を開始する(ステップS5)。
【0070】
ステップS5にてCV充電が開始されると、充電IC55は、内部の電流計から充電電流I
CHGを取得し、充電電流I
CHGが電流閾値(
図7の例では46mA)以下であるか否かを判定する(ステップS7)。この電流閾値は、電源電圧が4.0Vの状態から所定の環境下(気温、電源12の温度等)にてCV充電を開始したときの充電電流I
CHGの変化を実測した結果決められたものであり、充電電流I
CHGがこの値となった場合に、SOCが89%になっていると判断できる値である。
【0071】
充電IC55は、充電電流I
CHGが電流閾値以下であれば(ステップS7:YES)、電源12の充電状態が上記の所定充電状態、すなわち、SOC89%に到達していると判断し、外部電源60から電源12への電力供給を停止し、電源12の充電を完了する(ステップS8、
図8の時刻t1)。
【0072】
ステップS7の判定の結果、充電電流I
CHGが電流閾値を超えている場合(ステップS7:NO)には、充電IC55は、電源12のSOCが89%に到達していないと判断し、CV充電を継続する。なお、
図8に示すような、CV充電が開始されたあとの充電電流I
CHGの変化曲線は、電源ユニット10の置かれる場所の気温と電源12の温度によっても変化する。また、充電電流I
CHGの測定値は、各種センサの測定誤差、各種センサの経年劣化等によっても変化し得る。そのため、実際にSOCが89%に到達していても、ステップS7の判定がNOとなる場合もあり得る。
【0073】
そこで、この場合には、MCU50が電圧センサ16から電源電圧V
Battを取得し(ステップS9)、電源電圧V
Battが閾値TH1以上であるか否かを判定する(ステップS10)。閾値TH1は、SOC89%に相当する電源電圧4.06Vが設定される。ただし、電圧センサ16の誤差等を考慮し、この電源電圧4.06Vに所定の電圧を加えた値(例えば4.2V等)が閾値TH1として設定されるのが好ましい。
【0074】
電源電圧V
Battが閾値TH1以上であった場合(ステップS10:YES)には、MCU50は、電源12のSOCが89%以上に到達していると判断して、充電IC55に充電完了を指示する(ステップS11)。この指示を受けた充電IC55は、ステップS8にて、外部電源60から電源12への電力供給を停止し、電源12の充電を完了する。または、
図6の回路構成では不図示の充電IC55と電源12の間に設けられたスイッチをOFFにすることで、外部電源60から電源12への電力供給を強制的に停止してもよい。
【0075】
電源電圧V
Battが閾値TH1未満であった場合(ステップS10:NO)には、MCU50は、内蔵するタイマのタイマ値が予め決められた時間閾値(
図7,8の例では90分)に達しているか否かを判定する(ステップS12)。そして、タイマ値が時間閾値に達していた場合(ステップS12:YES)には、MCU50は、電源12のSOCが89%に到達していると判断して、充電IC55に充電完了を指示する(ステップS11)。このステップS11の処理により、
図8に示すように、時刻t1にて充電が完了されなかった場合でも、時刻t2にて、満充電状態に達する前に充電が完了される。
【0076】
なお、時間閾値は、例えば、SOCが0%の状態からCC充電を開始し、その後にCV充電を行ってSOCを89%にするのにかかった時間(製造時に求められた実測時間)に所定のマージンを加えた値とされる。電源12の充電に要する時間は劣化が進行すると短くなる傾向があるため、製造時を基準に用いればどのような劣化状態又は健全状態であっても、電源12の充電を確実に完了させることができる。
【0077】
タイマ値が時間閾値に達していない場合(ステップS12:NO)には、MCU50は、電源12のSOCが89%に到達していないと判断する。そして、この場合には、保護IC56が電圧センサ16から電源電圧V
Battを取得し(ステップS13)、電源電圧V
Battが閾値TH2以上であるか否かを判定する(ステップS14)。閾値TH2は、電源12を過充電又は過電流から保護するために必要な値であり、満充電電圧よりも大きな値が決められる。
【0078】
電源電圧V
Battが閾値TH2に達していた場合(ステップS14:YES)には、保護IC56は、外部電源60から電源12までの電力伝達経路を遮断する(ステップS15)。ステップS15の後はステップS8にて充電が完了される。電源電圧V
Battが閾値TH2に達していない場合(ステップS14:NO)には、ステップS6に処理が移行される。
【0079】
(実施形態の効果)
以上のように、電源ユニット10によれば、電源12が満充電状態になる前に電源12の充電を完了させることができるため、充電完了までの時間を短縮した急速充電が可能となる。また、電源12が満充電状態よりも前の所定充電状態にあるか否かの判断を、充電電流I
CHGに関する条件(充電電流I
CHGが電流閾値以上であるという条件)と、電源電圧V
Battに関する条件(電源電圧V
Battが閾値TH1以上であるという条件)と、充電開始からの経過時間である充電時間に関する条件(タイマ値が時間閾値以上であるという条件)との3つの異なる条件によって個別に判断している。このため、その判断の精度を高めることができ、電源12が満充電状態になる前に電源12の充電を完了させられる確率を高めることができる。
【0080】
また、これらの判断を、充電IC55とMCU50とが分担して行っている。このため、充電IC55のみで判断を行う場合、又は、MCU50のみで判断を行う場合等と比較して、充電IC55とMCU50の各々の性能が高いものを用いなくてもよくなり、電源ユニット10の製造コストを低減することができる。特に、MCU50は、電源12の充電中は、負荷21への放電のための制御が不要となり、能力に余裕があることから、効率的な分散処理が可能となり、電源ユニット10全体の処理効率を高めることができる。
【0081】
また、後述するCC充電のみで電源12の充電を完了させる実施形態に比べて、CC充電の後にCV充電を行うため、充電完了時の電源12のSOCや電圧のバラつきを小さくすることができる。
【0082】
(電源ユニットの充電動作の第一の変形例)
MCU50は、
図7のステップS12にてタイマ値と比較する時間閾値を可変制御してもよい。具体的には、MCU50は、温度センサ17から取得した電源12の周囲の温度に応じて、時間閾値を可変制御する。電源12の温度が低い場合には、所望の電源電圧に到達するまでの充電時間は長くなる。このため、MCU50は、温度が所定の閾値以下の場合には、温度がこの所定の閾値を超える場合よりも、時間閾値を大きい値に設定することが好ましい。これにより、電源12の充電状態の判断の精度を更に高めることができる。
【0083】
また、MCU50は、電源12の健全状態又は劣化状態を示す指標であるSOH(State Of Health)に応じて、時間閾値を可変制御してもよい。前述した通り電源12の充電に要する時間は劣化が進行すると短くなる傾向がある。このため、電源12の劣化の進行に応じて時間閾値を短く設定することが好ましい。これにより、電源12の充電状態の判断の精度を更に高めることができる。
【0084】
(電源ユニットの充電動作の第二の変形例)
図9は、電源12の充電時における電源ユニット10の動作の変形例を説明するためのフローチャートである。
図10及び
図11は、
図9に示す動作における充電電圧V
CHG、充電電流I
CHG、電源電圧V
Battの時間推移の一例を示す図である。
【0085】
MCU50が、充電端子43と外部電源60との電気的な接続を検出すると、
図9に示す動作が開始される。以下では、一例として、電源12の満充電電圧が4.2Vであり、CV切替電圧が4.0Vであるものとして説明する。さらに、満充電容量610mAhの電源12を用い、500mAhが電源12に充電されたタイミングで充電を完了させるものとして説明するため、上記の所定充電状態は、SOC82%である。
【0086】
まず、MCU50は、内蔵するタイマを起動させる(ステップS21)。次に、充電IC55が電圧センサ16から電源電圧V
Battを取得し(ステップS22)、電源電圧V
BattがCV切替電圧未満であるか否かを判定する(ステップS23)。充電IC55は、電源電圧V
BattがCV切替電圧未満であれば(ステップS23:YES)、CC充電によって電源12の充電を開始する(ステップS24)。ステップS24が行われたときの電圧、電流の推移の例を示したのが
図10である。
【0087】
CC充電が開始されると、MCU50が電圧センサ16から電源電圧V
Battを取得し(ステップS25)、電源電圧V
BattがCV切替電圧以上であるか否かを判定する(ステップS26)。そして、電源電圧V
BattがCV切替電圧以上であった場合(ステップS26:YES)には、MCU50は、電源12のSOCが82%に到達していると判断して、充電IC55に充電完了を指示する(ステップS27)。この指示を受けた充電IC55は、ステップS28にて、外部電源60から電源12への電力供給を停止し、電源12の充電を完了する(
図10の時刻t3)。
【0088】
ステップS23の判定の結果、電源電圧V
BattがCV切替電圧以上となっていた場合(ステップS23:NO)には、充電IC55は、充電電圧V
CHGをCV切替電圧よりも大きい値(好ましくは、SOC82%に相当する電源電圧4.06V)としたCV充電によって電源12の充電を開始する(ステップS31)。ステップS31が行われたときの電圧、電流の推移の一例を示したのが
図11である。
【0089】
ステップS31にてCV充電が開始されると、充電IC55は、内部の電流計から充電電流I
CHGを取得し(ステップS32)、充電電流I
CHGが電流閾値(
図9の例では46mA)以下であるか否かを判定する(ステップS33)。
【0090】
充電IC55は、充電電流I
CHGが電流閾値以下であれば(ステップS33:YES)、電源12の充電状態がSOC82%に到達していると判断し、外部電源60から電源12への電力供給を停止し、電源12の充電を完了する(ステップS28、
図11の時刻t1)。
【0091】
ステップS33の判定の結果、充電電流I
CHGが電流閾値を超えている場合(ステップS33:NO)には、充電IC55は、電源12のSOCが82%に到達していないと判断し、CV充電を継続する。そして、この場合には、MCU50は、内蔵するタイマのタイマ値が予め決められた時間閾値(
図9,11の例では90分)に達しているか否かを判定する(ステップS34)。
【0092】
そして、タイマ値が時間閾値に達していた場合(ステップS34:YES)には、MCU50は、電源12のSOCが82%に到達していると判断して、ステップS27に処理を移行する。このステップS27の処理により、
図11に示すように、時刻t1にて充電が完了されなかった場合でも、時刻t2にて、満充電状態に達する前に充電が完了される。
【0093】
タイマ値が時間閾値に達していない場合(ステップS34:NO)には、MCU50は、電源12のSOCが82%に到達していないと判断する。そして、この場合には、保護IC56が電圧センサ16から電源電圧V
Battを取得し(ステップS35)、電源電圧V
Battが閾値TH2以上であるか否かを判定する(ステップS36)。
【0094】
電源電圧V
Battが閾値TH2に達していた場合(ステップS36:YES)には、保護IC86は、外部電源60から電源12までの電力伝達経路を遮断する(ステップS37)。ステップS37の後はステップS28にて充電が完了される。電源電圧V
Battが閾値TH2に達していない場合(ステップS36:NO)には、ステップS32に処理が移行される。
【0095】
以上の第二の変形例の動作によれば、電源電圧がCV切替電圧よりも低い状態であれば、CC充電のみによって電源12の充電が行われ、満充電状態に到達する前に、その充電が完了される。このため、電源12の蓄電量が少ない状態であっても、充電完了までの時間を短くすることができ、ユーザの満足度を高めることができる。
【0096】
また、電源電圧がCV切替電圧以上となっている場合でも、ステップS33とステップS34の処理によって、満充電状態よりも前に充電を完了させることができる。このため、充電完了までの時間を早めてユーザの満足度を高めることができる。
【0097】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0098】
(1)
エアロゾル生成源からエアロゾルを発生させるための負荷(負荷21)に放電可能な電源(電源12)と、
充電中の前記電源が満充電状態より低い所定充電状態(SOC89%等)に達したか否かを判断し、前記所定充電状態に達していると判断した場合に、前記電源の充電を完了させる制御部(充電IC55及びMCU50)と、を備えるエアロゾル吸引器用の電源ユニット(電源ユニット10)。
【0099】
(1)によれば、電源が満充電状態に到達する前に充電を完了することが可能となる。このため、充電を早期に完了させることができる。また、電源が満充電状態とならないことで、電源の劣化を抑制することができ、電源ユニットの寿命を延ばすことができる。
【0100】
(2)
(1)記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記制御部は、前記電源を定電流充電によって充電し、前記定電流充電によって充電中の前記電源が前記所定充電状態に達していると判断した場合に、前記定電流充電を終了させて前記電源の充電を完了させるエアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【0101】
(2)によれば、定電流充電のみによって電源の充電を完了させることができるため、充電時間の短縮が可能となる。
【0102】
(3)
(1)記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記制御部は、前記電源を定電圧充電によって充電し、前記定電圧充電によって充電中の前記電源が所定充電状態に達していると判断した場合に、前記定電圧充電を終了させて前記電源の充電を完了させるエアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【0103】
(3)によれば、定電圧充電によって所定充電状態まで充電を行うことができるため、充電完了時の電源の電圧を安定させることができる。
【0104】
(4)
(3)記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記制御部は、前記電源の電圧が満充電電圧未満の第一の値(CV切替電圧)未満の状態では定電流充電により前記電源を充電し、前記電源の電圧が前記第一の値に達した状態では、前記第一の値よりも高い第二の値の電圧(CV充電時電圧4.06V)を前記電源への供給電圧とする前記定電圧充電により前記電源を充電するエアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【0105】
(4)によれば、定電圧充電によって所定充電状態まで充電を行うことができるため、充電完了時の電源の電圧を安定させることができる。また、複数回充電を行っても、充電完了時の電源の電圧やSOCのバラつきを抑制することができる。
【0106】
(5)
(4)記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記第二の値は、前記満充電電圧よりも小さいエアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【0107】
(5)によれば、満充電電圧よりも小さい電圧で定電圧充電が行われるため、高精度の充電が可能となる。
【0108】
(6)
(1)から(5)のいずれか1つに記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記制御部は、前記電源が前記所定充電状態に達していると判断するための複数の条件のいずれかが満たされた場合に、前記電源の充電を完了させるエアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【0109】
(6)によれば、複数の条件にしたがって充電完了タイミングを判断することができるため、電源が満充電状態に到達する前に充電を完了させられる確率を高めることができる。
【0110】
(7)
(6)記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記複数の条件は、前記電源の充電電流に関する条件(ステップS7)と、前記電源の電圧に関する条件(ステップS10)と、を含むエアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【0111】
(7)によれば、異なる物理量に関する複数の条件によって充電完了タイミングが判断できるため、電源が満充電状態に到達する前に充電を完了させられる確率を高めることができる。
【0112】
(8)
(7)記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記複数の条件は、前記電源の充電時間に関する条件(ステップS12)を含むエアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【0113】
(8)によれば、充電時間に関する条件によっても充電完了タイミングが判断できるため、電源が満充電状態に到達する前に充電を完了させられる確率を高めることができる。
【0114】
(9)
(6)から(9)のいずれか1つに記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記制御部は、前記条件に基づき前記電源が前記所定充電状態に達しているか否かを個別に判断して前記電源の充電を完了させる第一制御部と第二制御部(充電IC55とMCU50)を含むエアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【0115】
(9)によれば、第一制御部と第二制御部によって充電完了の判断を並行して行うことができる。このため、電源が満充電状態に到達する前に充電を完了させられる確率を高めることができる。また、1つの制御部で判断を行う場合と比較して制御部として高価なものを使用する必要がなくなり、製造コストを低減できる。
【0116】
(10)
(9)記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記第一制御部と前記第二制御部は、異なる前記条件に基づいて前記判断を行うエアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【0117】
(10)によれば、第一制御部と第二制御部によって異なる判断基準にて充電完了の判断を並行して行うことができる。このため、電源が満充電状態に到達する前に充電を完了させられる確率を高めることができる。
【0118】
(11)
(9)又は(10)記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記第一制御部は、前記電源の充電制御を行う回路であり、
前記第二制御部は、前記電源の前記負荷への放電の制御を行う回路であるエアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【0119】
(11)によれば、充電中は能力に余裕のある第二制御部によって充電完了の判断を行うことができる。このため、各制御部にかかる負荷を分散させることができる。
【0120】
(12)
(11)記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記電源を保護する保護回路(保護IC56)を含むエアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【0121】
(12)によれば、電源が満充電電圧に達しているにもかかわらず、充電が完了できない状態が生じた場合であっても、電源を保護することができる。これにより、高速充電と安全性の確保とを両立させることができる。
【0122】
(13)
(1)から(12)のいずれか1つに記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記所定充電状態は、未使用の前記エアロゾル生成源の残量を空にするために前記負荷に供給が必要な電力量以上の電力が前記電源に蓄電された状態であるエアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【0123】
(13)によれば、電源の充電が完了された状態においては、エアロゾル生成源をエアロゾル吸引器によって最後まで消費することが可能となる。これにより、電源の頻繁な充電を防いで、電源の劣化を抑制することができる。
【0124】
(14)
(1)から(13)のいずれか1つに記載のエアロゾル吸引器用の電源ユニットであって、
前記電源の蓄電量を、文字又は画像を表示する素子以外の素子(報知部45に含まれる発光素子、音出力素子、振動素子のうちの1つ又は複数)によって報知する報知部を備えるエアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【0125】
(14)によれば、例えば、発光素子の色や発光パターン等によって電源の蓄電量が報知される。このため、制御部の制御によって電源が満充電状態となる前に電源の充電が完了された場合であっても、ユーザに違和感を生じさせるのを防ぐことができる。
【0126】
(15)
エアロゾル生成源からエアロゾルを発生させるための負荷に放電可能な電源(電源12)と、
前記電源の充電制御を行う第一制御部(充電IC55)と、
前記電源の前記負荷への放電の制御を行う第二制御部(MCU50)と、を備え、
前記第一制御部と前記第二制御部の各々は、複数の条件のいずれかが満たされた場合に前記電源の充電を完了させるエアロゾル吸引器用の電源ユニット。
【0127】
(15)によれば、複数の条件にしたがって充電完了タイミングを判断することができるため、電源を目標の充電状態にした状態にて充電を完了させられる確率を高めることができる。
【0128】
(16)
エアロゾル生成源からエアロゾルを発生させるための負荷に放電可能な電源を有するエアロゾル吸引器用の電源ユニットの制御方法であって、
前記電源の充電中に、前記電源が満充電状態より低い所定充電状態に達したか否かを判断し、前記所定充電状態に達していると判断した場合に、前記電源の充電を完了させる制御ステップを備えるエアロゾル吸引器用の電源ユニットの制御方法。
【0129】
(17)
エアロゾル生成源からエアロゾルを発生させるための負荷に放電可能な電源を有するエアロゾル吸引器用の電源ユニットの制御プログラムであって、
前記電源の充電中に、前記電源が満充電状態より低い所定充電状態に達したか否かを判断し、前記所定充電状態に達していると判断した場合に、前記電源の充電を完了させる制御ステップをコンピュータに実行させるためのエアロゾル吸引器用の電源ユニットの制御プログラム。
【0130】
(18)
エアロゾル生成源からエアロゾルを発生させるための負荷に放電可能な電源と、前記電源の充電制御を行う第一制御部と、前記電源の前記負荷への放電の制御を行う第二制御部と、を有するエアロゾル吸引器用の電源ユニットの制御方法であって、
複数の条件のいずれかが満たされた場合に前記電源の充電を完了させる制御を前記第一制御部に実行させ、前記複数の条件のいずれかが満たされた場合に前記電源の充電を完了させる制御を前記第二制御部に実行させるエアロゾル吸引器用の電源ユニットの制御方法。
【0131】
(19)
エアロゾル生成源からエアロゾルを発生させるための負荷に放電可能な電源と、前記電源の充電制御を行う第一制御部と、前記電源の前記負荷への放電の制御を行う第二制御部と、を有するエアロゾル吸引器用の電源ユニットの制御プログラムであって、
複数の条件のいずれかが満たされた場合に前記電源の充電を完了させる制御を前記第一制御部に実行させ、前記複数の条件のいずれかが満たされた場合に前記電源の充電を完了させる制御を前記第二制御部に実行させるためのエアロゾル吸引器用の電源ユニットの制御プログラム。
【0132】
(16)〜(19)によれば、電源が満充電状態に到達する前に充電を完了することが可能となる。このため、充電を早期に完了させることができる。また、電源が満充電状態とならないことで、電源の劣化を抑制することができ、電源ユニットの寿命を延ばすことができる。
【0133】
(1)及び(15)〜(19)によれば、電源が満充電状態に到達する前に充電を完了することが可能となる。このため、充電を早期に完了させることができる。また、電源が満充電状態とならないことで、電源の劣化を抑制することができ、電源ユニットの寿命を延ばすことができる。従って、電源を新品のものと交換することなく長期に亘って使用できるという省エネルギー効果を有する。
【課題】電源の充電を早期に完了させてエアロゾル吸引器の使用を可能にすることのできるエアロゾル吸引器用の電源ユニットと、その制御方法及び制御プログラムを提供する。
【解決手段】電源ユニット10は、エアロゾル生成源からエアロゾルを発生させるための負荷21に放電可能な電源12と、充電中の電源12が満充電状態より前の所定充電状態(例えばSOC89%)に達したか否かを判断し、この所定充電状態に達していると判断した場合に、電源12の充電を完了させる制御部(充電IC55及びMCU50と、を備える。