(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基板上にニッケル柱を形成するための方法であって、前記ニッケル柱の直径が1〜150マイクロメートルであり、前記ニッケル柱の高さが2マイクロメートル以上であり、前記ニッケル柱の均一性が±5%以内であり、前記均一性=[(柱の最大高さ−柱の最小高さ)/2×10個の柱の平均高さ]であり、均一性を計算するための柱の数が10であり、前記方法が、
(i)空孔を有するレジストが表面上に形成された基板を準備するステップと、
(ii)前記基板を(a)50〜130g/Lのニッケルイオン、(b)150〜500g/Lのスルファミン酸イオン、(c)10〜50g/Lのホウ酸、(d)5〜30g/Lの塩化物イオン、および(e)0.5〜25g/Lのプロペンスルホン酸ナトリウムを含む電解ニッケルめっき液と接触させて、前記空孔内にニッケルを析出させるステップと、を含む、方法。
ニッケル柱および滑らかな表面を有するニッケルアンダーバンプメタルを個別に形成して、前記ニッケル柱と前記アンダーバンプメタルとの間に電気接続を形成するための方法であって、前記ニッケル柱および前記アンダーバンプメタルが、(a)50〜130g/Lのニッケルイオン、(b)150〜500g/Lのスルファミン酸イオン、(c)10〜50g/Lのホウ酸、(d)5〜30g/Lの塩化物イオン、および(e)2.5〜25g/Lのプロペンスルホン酸ナトリウムを含む同一の電解ニッケルめっき液によって形成され、前記滑らかな表面は、走査型電子顕微鏡で観察されたときに、前記ニッケルアンダーバンプメタルの表面上でニッケル金属粒子が観察されないことを意味する、方法。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体組立技術において、ワイヤボンディングの代わりにフリップチップ接続が使用されている。フリップチップは、ICチップおよび微小電気機械システム等の半導体デバイスをチップパッド上に析出したはんだバンプを有する外付け回路に相互接続するための方法である。はんだバンプは、最終ウエハー処理ステップ中、ウエハーの上側のチップパッド上に析出する。
【0003】
典型的なフリップチッププロセスにおいて、フォトレジスト層は、半導体デバイス上に形成され、フォトレジスト層内に空孔を形成し、空孔内に銅めっきを施して銅柱(バンプ)を形成し、任意にニッケルめっきを施して銅柱上にニッケル層を形成し、その後、はんだめっきを施してバンプの上部にはんだ層を形成する。レジスト層を除去した後、このバンプは、シリコンウエハー上に形成された対応する部分であるアンダーバンプメタルに接続される。
【0004】
半導体デバイスの実装密度を増加させるために、半導体デバイスの大きさは徐々に小さくなっており、それ故にバンプの大きさも小さくなっている。しかしながら、銅の機械的強度は強くないため、銅柱の大きさを縮小することは技術的に困難である。
【0005】
ニッケルは銅よりも硬い材料であるため、ニッケルは、小さくて硬い柱を形成するための銅に代わる候補である。ニッケルによって作製された微小柱が既知である(例えば、日本特許第4510533号を参照のこと)。このニッケル柱は、銅と同様の方法によって、すなわち、空孔内にニッケルめっきを施し、その後、空孔を包囲するフォトレジスト層を除去することによって作製される。しかしながら、小空孔内のめっき速度の制御が困難であるため、典型的なニッケルめっき液によって作製された複数のニッケル柱の高さは異なる。これは、シリコンウエハーと半導体デバイスとの間の電気接続の欠如を引き起こす。したがって、半導体組立技術において均一な高さを有する複数のニッケル柱の形成が技術的に必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施例3によって得られた平らで滑らかな表面を有するニッケル柱を示すSEM写真である。
【
図2】実施例9によって得られた粗い表面を有するニッケル柱を示すSEM写真である。
【
図3】実施例15によって得られた滑らかな表面を有するニッケルアンダーバンプメタルを示すSEM写真である。
【
図4】実施例22によって得られた粗い表面を有するニッケルアンダーバンプメタルを示すSEM写真である。
【
図5】ビア内めっきを示す断面図であり、ニッケル柱10およびはんだ20がシリコンウエハー30上およびレジスト40の空孔内に形成されている。
【
図6】マッシュルームめっきを示す断面図であり、ニッケル柱10およびはんだ20がシリコンウエハー30上およびレジスト40の空孔内に形成されているが、はんだの一部が空孔上であふれている。
【
図7A】ニッケル柱10の平らな表面上でのはんだ20のリフロー前を示す断面図である。
【
図7B】ニッケル柱10の平らな表面上でのはんだ20のリフロー後を示す断面図である。
【
図8A】ニッケル柱10のドーム状表面上でのはんだ20のリフロー前を示す断面図である。
【
図8B】ニッケル柱10のドーム状表面上でのはんだ20のリフロー後を示す断面図である。
【
図9A】実施例23によって得られた粗い表面を有するニッケルアンダーバンプメタルを示すSEM写真である。
【
図9B】実施例23によって得られた粗い表面を有するニッケルアンダーバンプメタルを示すSEM写真である。
【
図10A】実施例24によって得られた滑らかな表面を有するニッケルアンダーバンプメタルを示すSEM写真である。
【
図10B】実施例24によって得られた滑らかな表面を有するニッケルアンダーバンプメタルを示すSEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書を通して使用されるとき、以下の略語は、文脈が別途明確に示さない限り、以下の意味を有するものとする:℃=摂氏温度、g=グラム、mg=ミリグラム、L=リットル、ml=mL=ミリリットル、cm=センチメートル、mm=ミリメートル、μm=ミクロン=マイクロメートル。A/dm
2=ASD=アンペア/平方デシメートル、±=プラスまたはマイナス。「析出」および「めっき」という用語は、本明細書を通して同義に使用される。「非電解」および「無電解」という用語は、本明細書を通して同義に使用される。別途言及されない限り、すべての割合は、重量に基づく。すべての数値範囲は、そのような数値範囲が余儀なく合計100%になることが論理的である場合を除いて、その上限および下限を含み、任意の順序で組み合わせることができる。
【0013】
本発明のニッケルめっき液は、1〜4個の炭素原子を有するアルカンスルホン酸および2〜4個の炭素原子を有するアルケンスルホン酸から選択される化合物を含む。この化合物は、均一なニッケル柱を形成するのに寄与する。この化合物は、塩としてニッケルめっき液中に添加され得る。対塩には、ナトリウムおよびカリウムが含まれる。好ましくは、この化合物は、2〜4個の炭素原子を有するアルケンスルホン酸である。1〜4個の炭素原子を有するアルカンスルホン酸の例には、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、およびブタンスルホン酸が挙げられる。2〜4個の炭素原子を有するアルケンスルホン酸の例には、プロペンスルホン酸およびブテンスルホン酸が挙げられる。好ましくは、2〜4個の炭素原子を有するアルケンスルホン酸は、プロペンスルホン酸である。化合物の量は、0.5〜100g/Lである。ニッケル柱がこのニッケルめっき液から形成されるとき、化合物の量は、好ましくは、2.5〜25g/Lである。化合物の量が2.5g/L未満の場合、ニッケル柱の高さは均一ではない。しかしながら、ニッケルアンダーバンプメタルが形成されるとき、化合物の量は、好ましくは、0.5〜25g/Lである。
【0014】
ニッケルめっき液は、1つ以上のニッケルイオン源を含む。ニッケルイオンを提供する1つ以上のニッケル塩を使用することができる。好適なニッケル源は、スルファミン酸ニッケル、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、酸化ニッケル、酢酸ニッケル、シュウ酸ニッケル、および炭酸ニッケルである。ニッケルイオン源のうちの2つ以上の組み合わせを使用することができる。めっき液中のニッケルイオン源(複数を含む)の量は、一般に、ニッケル金属として、10g/L〜200g/L、好ましくは、40g/L〜150g/L、より好ましくは、50〜130g/Lであり得る。
【0015】
ニッケルめっき液は、硫酸イオンまたはスルファミン酸イオンを含む。これらのイオンは、導電塩として働く。スルファミン酸イオンが好ましい。スルファミン酸ニッケルをスルファミン酸イオン源として使用することができる。スルファミン酸イオンを使用するとき、めっき液中のイオンの量は、一般に、30〜650g/L、好ましくは、100g/L〜500g/L、より好ましくは、150〜500g/Lであり得る。
【0016】
ニッケルめっき液は、緩衝剤を含む。ホウ酸、乳酸、クエン酸、酪酸、および他の酸を、ニッケルめっき液の緩衝剤として使用することができる。ホウ酸が好ましい。これらの酸は、水素生成を制御することによってpH約3〜5の緩衝剤として働く。ホウ酸を緩衝剤として使用するとき、めっき液中のホウ酸の量は、一般に、0.5〜60g/L、好ましくは、10g/L〜50g/Lであり得る。
【0017】
ニッケルめっき液は、ハロゲンイオンを任意に含む。ハロゲンイオンは、塩化物イオン、臭化物イオン、またはこれらの混合物であり得る。ハロゲンイオンは、ニッケルアノードの溶解を助ける。めっき液中のハロゲンイオンの量は、一般に、0〜60g/L、好ましくは、5g/L〜30g/Lであり得る。
【0018】
ニッケルめっき液は、湿潤剤、粒子微粒剤、または内部応力減少剤等の添加物をさらに含み得る。このような任意の添加物は、当業者に周知である。
【0019】
ニッケルめっき液の溶媒は、通常、水である。水道水、脱イオン水、または蒸留水を使用することができる。
【0020】
ニッケルめっき液のpHは、一般に、2〜5、好ましくは、3.5〜5である。
【0021】
本発明の一態様は、基板上に均一の高さを有するニッケル柱を形成するための方法に関する。本発明の方法は、2つのステップを有する。第1のステップは、基板の表面上に形成されたレジストを有する基板を準備するステップであり、レジストは、空孔を有する。この基板は、基板の表面が導電性である場合、任意の既知の材料を使用することができる。基板の例には、スパッタリングまたは無電解金属めっきによってその表面上に銅等の金属がコーティングされたシリコンウエハーまたはデバイスが挙げられる。
【0022】
レジストは、基板の表面上に形成される。本出願において、「レジスト」とは、物体の表面上に一時的に形成され、かつその表面を化学的または物理的処理から保護する材料または膜を意味する。通常、感光性有機化合物を含む組成物から形成されたフォトレジストが使用される。これらは、当技術分野で既知である。レジスト膜の厚さは、基本的には、2〜100マイクロメートル、好ましくは、5〜75マイクロメートル、さらに好ましくは、10〜60マイクロメートル、最も好ましくは、20〜50マイクロメートルである。
【0023】
少なくとも2つの空孔がレジスト上に形成される。空孔は、レーザ、光照射および現像、または任意の他の方法によって形成され得る。空孔は、レジスト膜を通過し、基板の表面に到達する。空孔は、ニッケル柱が必要とされる位置に形成される。空孔の幅は、基本的には、1〜150マイクロメートル、好ましくは、5〜30マイクロメートルである。空孔の幅は、所望するニッケル柱の直径に相当する。空孔の形状は、円形、楕円形、正方形、または多角形であり得る。
【0024】
第2のステップは、基板を、1〜4個の炭素原子を有するアルカンスルホン酸および2〜4個の炭素原子を有するアルケンスルホン酸から選択される化合物を含む電解ニッケルめっき液と接触させて、空孔内にニッケルを析出させるステップである。本発明で使用されるニッケルめっき液は、均一の高さを有するニッケル柱の形成に好適である。本特許出願において、ニッケル柱の高さの「均一」または「均一性」とは、複数のニッケル柱のそれぞれの高さが同一であるか、またはほぼ同一であることを意味する。いくつかの種類の電解ニッケルめっき液が既知である。本発明で使用される電解ニッケルめっき液は、硫酸ニッケルめっき液またはスルファミン酸ニッケルめっき液であり得る。好ましくは、ニッケルめっき液は、スルファミン酸ニッケルめっき液である。通常、スルファミン酸ニッケルめっき液は、ニッケルイオン、スルファミン酸イオン、緩衝剤、および任意にハロゲンイオンを含む。
【0025】
基板は、電解ニッケルめっき液と接触して、空孔内にニッケルを析出させる。通常、基板は、ニッケルめっき液中に浸され、電流が適用される。ニッケル金属をアノードとして使用することができるが、ある場合には、白金めっきチタン板等の不溶性電極を使用することができる。電流密度は、0.5〜40A/dm
2、好ましくは、5〜20A/dm
2の範囲内である。ニッケルめっき液の温度は、基本的には、10〜80℃、好ましくは、30〜65℃である。めっき時間は、電流密度および要求されるめっきの厚さに依存する。例えば、電流密度が10A/dm
2であり、要求される厚さが10マイクロメートルである場合、めっき時間は、3〜10分間である。
【0026】
ニッケル柱が形成された後、はんだは、ニッケル柱上に形成される。本出願において、「はんだ」には、加熱時に溶融することができる任意の材料が含まれる。これは、ニッケル柱と他の導電性材料との間に電気接続を形成する。はんだの例には、Sn−Ag、純Sn、Sn−Pb、Sn−Bi、Sn−Ag−Cu、純In、およびSn−Inが挙げられる。
【0027】
ニッケル柱上にはんだを形成するとき、2種類の方法がある。一方は、ビア内めっきであり、他方は、マッシュルームめっきである。
図5は、ビア内めっきを示す断面図である。ビア内めっきは、はんだ20(例えば、Sn−Ag)がウエハー30上およびレジスト40の空孔内に形成される方法である。全バンプ高さ(すなわち、ニッケル柱10の高さとはんだ層の高さの合計)は、レジストの高さよりも低い。
【0028】
図6は、マッシュルームめっきを示す断面図である。マッシュルームめっきは、はんだ20がウエハー30上およびレジスト40の空孔内に形成されるが、はんだの一部が空孔上であふれた状態の方法である。全バンプ高さ(すなわち、ニッケル柱10の高さとはんだ層の高さの合計)は、レジストの高さよりも高い。この方法において、より大きなはんだがニッケル柱10上に形成され得る。
【0029】
これら両方の種類のはんだを本発明のニッケル柱に適用することができる。ニッケル柱上にはんだを形成する条件は、任意の既知の条件を用いることができ、例えば、3〜10A/dm
2、25〜35℃で2〜20分間のSn−Agの電解めっきがある。めっき時間は、電流密度および要求されるめっきの厚さにも依存する。
【0030】
はんだがニッケル柱上に形成された後、レジスト層40が除去される。Dow Electronicsから入手可能なShipley BPR Photostripper等の特別に配合されたレジストストリッパー材料を使用することができる。
【0031】
本発明の方法によって形成されたニッケル柱は、1〜150マイクロメートルの直径および2マイクロメートル以上の高さを有する。好ましくは、ニッケル柱は、1〜75マイクロメートルの直径および5〜75マイクロメートルの高さを有する。最も好ましくは、ニッケル柱の高さは、20〜50マイクロメートルである。
【0032】
本発明の方法によって形成されたニッケル柱は、均一な高さを有する。これは、複数の柱の高さが同一であるか、またはほぼ同一であることを意味する。均一性は、以下の式によって計算される。
均一性(%)=((柱の最大高さ−柱の最小高さ)/2×柱の平均高さ)×100
均一性を計算する際の柱の数は、10である。
【0033】
詳細に、ニッケル柱の均一性は、±5%以内である。これは、ニッケル柱の高さが、10個の柱の平均高さの2倍の±5%以内であることと等しい。好ましくは、ニッケル柱の均一性は、±3%以内である。複数の柱の高さがほぼ同一であるため、シリコンウエハー等の基板とニッケル柱を介して電気接続される部品との間の接続は確実であり、それ故に電気接続の信頼度は高い。したがって、これらのニッケル柱は、半導体組立技術に有用である。
【0034】
加えて、本発明の方法によって形成されたニッケル柱の上部は、平坦である。これは、ニッケル柱の上部の形状が平らであり、湾曲が少ないことを意味する。ドーム形成比(doming ratio)を、柱の上部がどの程度湾曲しているかの指数として用いることができる。ドーム形成比は、以下の式によって計算され得る。
【0035】
ドーム形成比(%)=((柱中心の最大厚さ−柱端の最小厚さ)/柱厚さの平均厚さ)×100
【0036】
本発明の方法によって形成された柱のドーム形成比は、5%未満である。好ましくは、ドーム形成比は、3%未満であり、より好ましくは、ドーム形成比は、1%未満である。最も好ましくは、ドーム形成比は、0.5%未満である。柱の上部が比較的平らであり、かつ従来のニッケル柱と比較して大幅に減少した曲率を有するため、安定したはんだバンプ形成に寄与する。
【0037】
図7Aおよび7Bは、平らなニッケル表面上でのはんだのリフロー前(7A)およびリフロー後(7B)を示す断面図である。ニッケル柱10は、シリコンウエハー30上に形成され、はんだ20は、ニッケル柱上に形成される。
図7Aに開示されるように、ニッケル柱10の上部が平らである場合、はんだ20は、リフロー後にニッケル柱の上部から落下せず、それ故に安定したはんだが形成され得る(
図7B)。
図8Aおよび8Bは、ドーム状ニッケル表面10上でのはんだ20のリフロー前(8A)およびリフロー後(8B)を示す断面図である。
図7Aと同様に、ニッケル柱10は、シリコンウエハー30上に形成され、はんだ20は、ニッケル柱上に形成される。しかしながら、ニッケル柱の上部は、平らではない(ドーム状である)。したがって、はんだ20は、リフロー後にニッケル柱の上部から落下する(
図8B)。これは、はんだの「脱落」と呼ばれ、不十分な電気接続を引き起こす。
【0038】
本発明のニッケルめっき液は、このめっき液が金属汚染(不純物)を含む場合でも、滑らかな表面を提供することができる。以下で開示されるように、本発明の発明者らは、1〜4個の炭素原子を有するアルカンスルホン酸および1〜4個の炭素原子を有するアルケンスルホン酸から選択される化合物を含むニッケルめっき液が金属不純物を含有するときに樹枝状析出を防止することを見出した。言い換えると、本発明のニッケルめっき液は、金属汚染に対して安定している。理論に束縛されるわけではないが、発明者らは、金属不純物がニッケル金属と共析出するため、金属汚染が過剰な析出(または樹枝状析出)を引き起こすと考えている。したがって、本発明のニッケルめっき液から作製された表面は、滑らかであり、表面上にニッケル金属粒子が観察されない。このニッケルの表面は、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察される。
【0039】
したがって、本発明のニッケルめっき液は、物品上での滑らかなニッケル膜の形成に有用である。例えば、ニッケルめっき液は、銅柱とはんだとの間のニッケル層の形成に有用である。そのようなニッケル層は、バリア層と呼ばれ、銅の拡散を防止する役割を果たす。
【0040】
本発明のニッケルめっき液は、アンダーバンプメタル(UBM)の形成にも有用である。UBMは、シード金属(約2000Aの銅)とはんだとの間の保護緩衝層である。ニッケルめっき液によって作製されたUBMの表面が滑らかであるため、これは、効率的な電気接続に寄与する。本出願において、滑らかな表面とは、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察されたときに、表面上にニッケル金属粒子が観察されないことを意味する。
図3は、滑らかなUBM表面を示すSEM写真であり、
図4は、粗いUBM表面を示すSEM写真である。
【0041】
一般に、滑らかなニッケル析出表面は、明るくて輝きのある外観を有する。したがって、このUBMの滑らかな表面は、明るい外観を有する。
【0042】
UBM用のニッケルめっき液は、基本的には、上に開示されるニッケルめっき液と同一であるが、1〜4個の炭素原子を有するアルカンスルホン酸および2〜4個の炭素原子を有するアルケンスルホン酸から選択される化合物の量は、0.5〜25g/Lである。以下に開示されるように、化合物の量が0.5g/L未満であるとき、UBMの表面は粗くなる。好ましくは、化合物は、プロペンスルホン酸ナトリウムである。したがって、本発明の別の態様は、基板上に形成されたニッケルアンダーバンプメタルであり、このニッケルアンダーバンプメタルは、(a)50〜130g/Lのニッケルイオン、(b)150〜500g/Lのスルファミン酸イオン、(c)10〜50g/Lのホウ酸、(d)5〜30g/Lの塩化物イオン、および(e)0.5〜25g/Lのプロペンスルホン酸ナトリウムを含むニッケルめっき液から作製される。
【0043】
通常、厚いめっき層の形成に好適なニッケルめっき液と薄いめっき層の形成に好適なニッケルめっき液は異なる。効率的な様式での厚いめっき膜(10マイクロメートル以上)の形成時に、速いめっき速度を有するニッケルめっき液が必要とされる。高速めっき液でめっきする際の電流密度は、高くなければならない。その一方で、薄いめっき膜の形成時に、高い電流密度または長いめっき時間は必要とされない。しかしながら、本発明で使用されるニッケルめっき液は高速めっき液と低速めっき液の両方に使用することができる。したがって、ニッケル柱とUBMは両方ともに、同一の本発明のニッケルめっき液によって形成され得る。ニッケル柱および滑らかな表面を有するニッケルアンダーバンプメタルは、同一のニッケルめっきによって個別に形成されるため、工業製造プロセスに有用である。
【0044】
本発明のニッケルめっき液は、金属汚染に対して安定しており、滑らかな表面を容易に提供する。したがって、ニッケルアンダーバンプメタルが本発明のニッケルめっき液から作製された場合、走査型電子顕微鏡で観察されたときに、ニッケルアンダーバンプメタルの表面上でニッケル金属粒子が観察されない。
【0045】
実施例
実施例1〜13
シリコンウエハー(60mm×50mmの大きさで、レジスト層がウエハーの表面上に形成されており、50マイクロメートルの直径を有する10個の空孔がレジスト層を通して形成されたもの)を基板の試験試料として使用した(試験試料)。試験試料をニッケルめっき液(以下に開示される)中に浸し、電気めっきを施した。アノードは、ニッケル金属であった。目標とするめっきの厚さは、30μmであった。その後、試験試料を脱イオン水で洗浄した。その後、レジストをShipley BPRストリッパーを使用して60℃で5分間除去した。10個のニッケル柱を試験試料上に形成した。柱の表面の粗さをSEMで観察した。ニッケル柱の柱中心および柱端の高さを干渉計で分析した。
【0046】
ニッケルめっき液
スルファミン酸ニッケル4水和物:525g/L(ニッケル金属として90g/L)
塩化ニッケル6水和物:20g/L(塩化物イオンとして6g/L)
ホウ酸:20g/L
添加物:(表1に開示されるもの)
残り:蒸留水
pH=4
【0047】
添加物について、表1に記載される化合物を使用した。浴温および電流密度等のめっき条件も表1に示される。
【0049】
実施例3によって得られたニッケル柱のSEM写真が
図1に示され、実施例9によって得られたニッケル柱のSEM写真が
図2に示される(1500倍の倍率)。実施例1〜5を参照して、2.5〜7.5g/Lのプロペンスルホン酸ナトリウムを含むニッケルめっき液によって作製されたニッケル柱の均一性は良好であった。加えて、ドーム形成比は極めて低く、表面の粗さは滑らかであった。しかしながら、実施例6〜8を参照して、添加物(1,3,6−ナフタレントリスルホン酸、三ナトリウム塩)の量を増加させてもニッケル柱の均一性は改善されなかった。これは、添加物がニッケル柱の均一な高さに寄与しなかったことを示す。実施例10〜13を参照して、これらのめっき液によって作製されたニッケル柱は均一ではなく、柱の表面も非常に粗かった。
【0050】
実施例14〜22
同一のシリコンウエハー(試験試料)を使用した。試験試料をニッケルめっき液中に浸し、電気めっきを施した。アノードは、ニッケル金属であった。目標とするめっきの厚さは、5μmであった。その後、試験試料を脱イオン水で洗浄した。ニッケルアンダーバンプメタルを試験試料上に形成した。
【0051】
実施例14〜21で使用したニッケルめっき液は、添加物の量を表2に示されるように変化させたことを除いて、実施例1のニッケルめっき液と同一のニッケルめっき液であった。
【0053】
実施例15によって得られたUMBのSEM写真が
図3に示され、実施例22によって得られたUBMのSEM写真が
図4に示される(1500倍の倍率)。
【0054】
実施例23および24
シリコンウエハー(60mm×50mmの大きさであり、レジスト層がウエハーの表面上に形成されており、75マイクロメートルの直径を有する10個の空孔がレジスト層を通して形成されたもの)を基板の試験試料として使用した(試験試料2)。添加物の量および電流密度を表3に示されるように変化させたことを除いて、実施例14と同一の手順を行った。また一方で、塩化ナトリウム(ナトリウムイオンとして100ppm)、硫酸銅(銅イオンとして100ppm)、およびメタンスルホン酸スズ(スズイオンとして100ppm)を模倣不純物としてニッケルめっき液中に添加した。目標とするめっきの厚さは、3μmであった。
図9Aおよび9Bは、実施例23によって得られたUBM表面のSEM写真である(それぞれ、1,500倍および5,000倍の倍率)。
図10Aおよび
図10Bは、実施例24によって得られたUBM表面のSEM写真である(それぞれ、1,500倍および5,000倍の倍率)。
【0056】
実施例23および24と比較して、ニッケルめっき析出の表面は、浴温が金属不純物を含有した場合であっても滑らかである。これらの実施例は、本発明で使用されるニッケルめっき液が金属汚染に対して安定していることを示す。