(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記周長差吸収手段は、前記固定手段の一端側の略中央に形成され、前記周長差吸収手段の両側には溝部が形成されるとともに、該溝部の前記周長差吸収手段とは反対側に前記カバー部材の外周に当接する当接部が設けられている、請求項1又は2に記載のカバー部材支持具。
【背景技術】
【0002】
配管等の長尺体を囲繞するカバー部材を、壁などの外部に設けられた部材に固定するための固定部材が、例えば、特開平11‐63371号公報(特許文献1)および特開2011‐112081号公報(特許文献2)に記載されている。
【0003】
特許文献1に記載のカバー部材は、径方向に分割自在な分割カバー部材を備え、分割カバー部材同士を、その径方向に沿って相対近接させることで係合可能な係合部を有する。
【0004】
また、特許文献1に記載の固定部材としての挟持部材は、壁などのカバー部材取付対象部にボルトを介して固定される固定部となる吊下部と、該吊下部に固定され、配管の外周側面に沿って延出して配管を保持するバンド部材と、を備える。
【0005】
かかる挟持部材では、吊下部がボルトに固定された状態で、バンド部材を配管の外周面に沿って巻回することでカバー部材を支持し、吊下部の先端を分割カバー部材の係合部に係止することで、カバー部材が、固定部材によってカバー部材取付対象部に固定されることができる。
【0006】
特許文献2に記載のカバー部材は、径方向に分割自在な分割カバー部材を備え、該分割カバー部材の内周面同士を対向させた状態で互いに係合可能な係合部を有する。
【0007】
また、特許文献2に記載の固定部材は、壁などのカバー部材設置対象部にボルトを介して固定される固定部となる支持部と、該支持部に固定され、配管の外周側面に沿って延出して配管を保持するバンド部材としての囲繞部材と、を備える。
【0008】
かかる固定部材では、支持部がボルトに固定された状態で、囲繞部材を配管の外周面に沿って巻回することでカバー部材を支持し、支持部の先端を分割カバー部材の係合部に係止することで、カバー部材が、固定部材によってカバー部材取付対象部に固定されることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、この種の固定部材を用いて、外部に設けられた部材にカバー部材を固定する場合、バンド部材の締め付け力を調整することができない。そのため、例えば、カバー部材の外径公差やバンド部材の長さ公差等による周長差によって、締め付け力がカバー部材に十分に付与されず、バンド部材がカバー部材から外れてしっかり支持できなかったり、締め付けすぎて(締め付け力が付与されすぎて)、カバー部材同士の係合部が外れ、カバー部材が分解されたりする、といった問題があった。
【0011】
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、適切な締め付け力を付与することでカバー部材を支持することのできるカバー部材支持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るカバー部材支持具は、長尺体を囲繞する分割自在なカバー部材の外周に巻
かれる支持バンド部と、該支持バンド部の両端部に設けられ
、支持バンド部を固定す
る固定手段と、を含み、
固定手段には少なくとも
1の周長差吸収手段が設けられ、該周長差吸収手段は、支持バンド部
の内周側に重なるよう配置され、該支持バンド部がカバー部材の外周に巻
かれた時
、支持バンド部の締付け力により、弾性変形す
る。
【0013】
上記構成のカバー部材支持具によれば、支持バンド部がカバー部材の外周に巻
かれた時、支持バンド部の締付け力に
応じて周長差吸収手段が弾性変形する
。
【0014】
したがって
本発明のカバー部材支持具を用いて、外部に設けられた部材にカバー部材を固定する時、周長差吸収手段が弾性変形することにより支持バンド部の
締付け力を調節
して、十分な締付け力を
カバー部材に付与することができる。これにより、周長差吸収手段によってカバー部材の外径公差、バンド長さ公差等による周長差を吸収でき、適切な
締付け力を付与して締め付けることで、カバー部材を支持することができる。その結果、カバー部材が分解されにくくなる。
【0015】
本発明の一態様とし
て、周長差吸収手段
は舌片部であるのが好ましい。
【0016】
上記構成のカバー部材支持具によれば、周長差吸収手段は、支持バンド部に重なるように設けられ、その内周側に延在する舌片部であるため、支持バンド部がカバー部材の外周に巻回された時、舌片部が支持バンド部の内周方向に重なる部分が多くなり、舌片部が支持バンド部をしっかり支持することにより、また弾性変形することにより、支持バンド部の締め付け力をさらに調整しやすくなる。これにより、カバー部材の外径公差、バンド長さ公差等による周長差を吸収することで、さらに適切な締め付け力を付与してカバー部材を支持することができる。
【0017】
本発明の他態様として、前記周長差吸収手段は、前記固定手段の一端側の略中央に形成され、前記周長差吸収手段の両側には溝部が形成されるとともに、該溝部の前記周長差吸収手段とは反対側に前記カバー部材の外周に当接する当接部が設けられているのが好ましい。
【0018】
上記構成のカバー部材支持具によれば、周長差吸収手段は、固定手段の一端側の略中央に形成され、周長差吸収手段の両側には溝部が形成されるため、周長差吸収手段が支持バンド部の締め付けに対応してさらに弾性変形しやすく、カバー部材の外径公差、バンド長さ公差等による周長差をさらに吸収しやすくなる。
【0019】
また、溝部の前記周長差吸収手段とは反対側に前記カバー部材に当接する当接部が設けられているため、該当接部にカバー部材の外周面を当接させた上で、周長差吸収手段を弾性変形させて周長差を吸収することができ、さらに適切な締め付け力を付与してカバー部材を安定して支持することができる。
【0020】
本発明のさらに他の態様として
、支持バンド部の
両端部にはそれぞれ
、第1および第2傾斜部が設けられ、
周長差吸収手段は、第1および第2傾斜部に沿うように形成されているのが好ましい。
【0021】
上記構成のカバー部材支持具によれば、支持バンド部のそれぞれの端部に
は第1および第2傾斜部が設けられ、
周長差吸収手段は第1および第2傾斜部に沿うように形成されているため、支持バンド部がカバー部材の外周に巻
かれた時、
周長差吸収手段が支持バンド部(第1および第2傾斜部)の内周方向により重なりやすくなり、上記周長差をさらに吸収しやすく、さらに適切な
締付け力を付与してカバー部材を支持することができる。
【0022】
本発明のさらに別の態様とし
て固定手段は
、支持バンド部
の両端部に設けられた一対の固定金具であり
、固定手段の
一方には
第1延出部が折り曲げて形成され
、固定手段の他方には第2延出部が
折り曲げて形成されているのが好ましい。
【0023】
上記構成のカバー部材支持具によれば、固定手段は、支持バンド部の両端部に設けられた一対の固定金具であり、固定手段の他端部には、折り曲げて形成された一対の第1および第2延出部が設けられているため、支持バンド部がカバー部材の外周に巻回された時、一対の固定金具によって支持バンド部をさらに固定しやすくなり、カバー部材をより確実に支持することができるとともに、上記周長差をさらに吸収しやすくなる。
【0024】
本発明のさらに別の態様として
、第1および第2延出部
は支持バンド部
がカバー部材の外周に巻
かれた時、互いに当接するように形成されているのが好ましい。
【0025】
上記構成のカバー部材支持具によれば、第1および第2延出部は、支持バンド部がカバー部材の外周に巻
かれた時、互いに当接するように形成されているため、第1および第2延出部を当接させて固定することで、支持バンド部の
締付け力をさらに調整しやすく、上記周長差をさらに吸収しやすくなり、カバー部材をさらに確実に支持することができる。
【0026】
本発明のさらに別の態様として、前記周長差吸収手段には、肉抜き部が形成されているのが好ましい。このような構成によれば、周長差吸収手段がさらに弾性変形しやすくなり、上記周長差をさらに吸収しやすくなり、適切な締め付け力を付与することができる。
【0027】
本発明のさらに別の態様として
、第1および第2延出部に互いに対向して設けられ
、カバー部材の外周に巻回された時
、長尺体を外部に設けられた部材に固定するための固定部材を狭持可能な第1および第2狭持部が形成されているのが好ましい。
【0028】
上記構成のカバー部材支持具によれば、第1および第2延出部に互いに対向して設けられ、カバー部材の外周に巻回された時、長尺体を外部に設けられた部材に固定するための固定部材を狭持可能な第1および第2狭持部が形成されているため、カバー部材支持具によってカバー部材を支持した上で、第1および第2延出部に互いに対向して設けられた第1および第2狭持部によって固定部材を確実に狭持することができ、固定部材によって、外部に設けられた部材に長尺体を固定することができる。そして、第1および第2狭持部の締め付け力を調節することで、固定部材の厚み公差を吸収することができ、種々の固定部材に対応可能である。
【0029】
本発明のさらに別の態様として、前記カバー部材は、径方向に弾性変形可能であるのが好ましい。このような構成によれば、カバー部材は、適切な締め付け力が付与された際に分解されることなく縮径方向に弾性変形するようになる。そして、カバー部材の弾性復元力が支持バンド部に作用するため、支持バンド部によってカバー部材をより強固に締め付けることができる。
【0030】
本発明のさらに別の態様として、上記の何れかに記載のカバー部材支持具を備えた長尺体設置構造であるのが好ましい。このような構成によれば、カバー部材の外径公差、バンド長さ公差等による周長差を吸収でき、適切な締め付け力を付与して締め付けることで、カバー部材を支持することができるカバー部材支持具を備えた長尺体設置構造を提供することができる。
【発明の効果】
【0031】
以上のように、本発明によれば、カバー部材の外径公差、バンド長さ公差によるバンドの周長差を吸収し、適切な締め付け力を付与することでカバー部材を支持することができる、といった優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための形態】
【0033】
(第一の実施形態)
以下、本発明の第一の実施形態に係るカバー部材支持具について、添付図面を参照して説明する。
【0034】
本実施形態に係るカバー部材支持具は、例えば、分割自在なカバー部材を、長尺体としての配管の外周に囲繞して支持し、壁などの外部に設けられた部材に固定部材を介して固定する場合に用いられるものである。
【0035】
図1〜
図4に示すように、本実施形態に係るカバー部材支持具100は、配管などの長尺体を囲繞する分割自在なカバー部材200(
図6を参照のこと)の外周に巻回され、長尺体を支持するように構成されている。カバー部材支持具100は、円周方向に延在する支持バンド部10と、該支持バンド部10の両端部に設けられ、支持バンド部10を固定するための固定手段20と、を含む。
【0036】
支持バンド部10は、金属製の平板である。特に
図3(a),(b)を参照して、支持バンド部10は、平面視において、略長方形形状に形成されている。支持バンド部10のそれぞれの端部には、第1および第2傾斜部11,12が設けられている。
【0037】
また、支持バンド部10の第1および第2傾斜部11,12には、第1および第2リベット孔11a,12aが形成されている。
【0038】
特に
図1,
図4(a),(b)を参照して、本実施形態においては、固定手段20は、支持バンド部10の両端部に設けられた一対の固定金具21,22を含む。該一対の固定金具21,22には、第1および第2リベット孔11a,12aに重なる第3および第4リベット孔21a,22aが形成されている。
【0039】
なお、
図4(a),(b)には、固定手段20として固定金具21のみを示しているが、固定金具22は、後述するナット部材24,24以外は、固定金具21と同様の構成である。
【0040】
支持バンド部10と固定手段20(一対の固定金具21,22)とは、第1および第2リベット孔11a,12aと、第3および第4リベット孔21a,22aを重ね合わせ、重ねあわせた部分をリベット23,23でを用いて固定されている。こうすることで、カバー部材支持具100が形成される。
【0041】
また、少なくとも一方の固定手段20の一端部には、支持バンド部10がカバー部材200(
図6を参照のこと)の外周に巻回された時、支持バンド部10の締付け力により、弾性変形する周長差吸収手段が形成されている。本実施形態において、固定手段20の一対の固定金具21,22の一端部には、支持バンド部10がカバー部材200(
図6を参照のこと)の外周に巻回された時、支持バンド部10の締付け力により、弾性変形する周長差吸収手段21b,22bが形成されている。
【0042】
本実施形態において、周長差吸収手段21b,22bは、支持バンド部10に重なるように設けられ、その内周側に延在する舌片部21b,22bとして形成されている。該舌片部21b,22bは、上記第1および第2傾斜部11,12に沿うように形成されている。
【0043】
本実施形態において、周長差吸収手段(舌片部)21b,22bは、固定手段20の一対の固定金具21,22の一端側の略中央に形成されている。周長差吸収手段(舌片部)21b,22bには、肉抜き部21c,22cが形成されている。
【0044】
周長差吸収手段(舌片部)21b,22bの両側には溝部21d,22dが形成されるとともに、該溝部21d,22dの周長差吸収手段(舌片部)21b,22bとは反対側にカバー部材200の外周に当接する当接部21e,22eが設けられている。
【0045】
本実施形態において、当接部21e,22eのそれぞれは、先端に向けて先細り形状に形成されている。このような構成により、当接部21e,22eのそれぞれが、カバー部材200の外周に当接しやすく、かつ周長差吸収手段(舌片部)21b,22bが弾性変形しやすくなっている。ただ、当接部21e,22eのそれぞれが、先端に向けて先細り形状に形成されていることは必須ではない。
【0046】
固定手段20としての一対の固定金具21,22の他端部には、折り曲げて形成された一対の第1および第2延出部21f,22fが設けられている。
【0047】
該第1および第2延出部21f,22fは、支持バンド部10がカバー部材200(
図6を参照のこと)の外周に巻回された時、互いに当接するように形成されている。第1および第2延出部21f,22fのそれぞれの間には、凹部が形成されている。
【0048】
第1延出部21fには、孔21g,21gが形成されているとともに、第2延出部22fには、孔21g,21gと重なるねじ孔22g,22gを有するナット部材24,24が形成されている。本実施形態においては、ナット部材として、バーリングタップが使用されているが、これに限定されるものではない。
【0049】
本実施形態において、第1および第2延出部21f,22fに互いに対向して設けられ、カバー部材200の外周に巻回された時、配管を外部に設けられた部材に固定するための固定部材(図示せず)を狭持可能な第1および第2狭持部21h,22hが形成されている。
【0050】
本実施形態に係るカバー部材支持具100の構成についての説明は以上の通りであり、次に、本実施形態に係るカバー部材200の構成について説明する。
【0051】
本実施形態において、カバー部材200は、合成樹脂製であり、径方向に弾性変形可能である。
図6に示すように、本実施形態におけるカバー部材200は、筒形状であり、断面視において略円形状を呈している。
【0052】
本実施形態において、カバー部材200は、断面視において略円形状を呈しているが、これに限定されるものではなく、例えば、カバー部材200は、断面視において楕円形状や多角形状を呈するものであってもよく、また、1本の配管のみならず、複数本の配管を囲繞するような構成であってもよい。
【0053】
このカバー部材200は、雄型カバー部材201および雌型カバー部材202により構成される。雄型カバー部材201および雌型カバー部材202の双方は、円筒を長手方向に沿って半分に切断した形状である。
【0054】
雄型カバー部材201は、周方向の両端部において、径方向の内側に向かって突出し、長手方向に延在する雄型嵌合部201a,201bを有する。また、雌型カバー部材202は、周方向の両端部において、雄型嵌合部201a,201bと各々嵌合するためのU字形状を有し、長手方向に延在する雌型嵌合部202a,202bを有する。このような構造の雄型カバー部材201と雌型カバー部材202が互いに嵌合することにより、カバー部材200は、配管を囲繞可能な円筒形状となる。
【0055】
また、カバー部材200には、長手部材(配管)を壁などの外部に設けられた部材に固定するための固定部材を貫通させる矩形状の切欠き部(図示せず)が、雄型カバー部材201および雌型カバー部材202同士の突合せ部の一部に設けられている。
【0056】
次に、本実施形態に係るカバー部材支持具100を用いて、長尺体(配管)のカバー部材200を支持し、壁等の外部に固定される部材(図示せず)に、固定部材を介してカバー部材200を囲繞された配管を固定する方法について、
図5および
図6を参照して説明する。なお、
図5および
図6については、説明の便宜上、後述する固定部材として、例えば、吊りバンドや立バンド等の、ターンバックルやT字足付きの固定金具を省略している。
【0057】
まず、壁等の外部に固定される部材(図示せず)に、固定部材として、例えば、ターンバックルやT字足付きの固定金具(図示せず)を用いて、間隔をあけた状態で配管を取付固定する。この状態で、配管を径方向に分割可能なカバー部材200で囲繞して配置するとともに、雄型カバー部材201および雌型カバー部材202同士の突合せ部の一部に固定金具(図示せず)のターンバックルやT字足が貫通する状態に設け、カバー部材200を、固定金具(図示せず)に対して着脱自在に取付固定する。
【0058】
そして、
図6に示すように、カバー部材支持具100の支持バンド部10を、カバー部材200の外周に沿うように配置する。次に、一対の固定金具21,22が、カバー部材200の径方向の分割面、すなわち、雄型カバー部材201と雌型カバー部材202との嵌合部分(雄型嵌合部201a,201b、雄型嵌合部201a,201b)に合うように、支持バンド部10を、カバー部材200の外周に巻回させる。
【0059】
そして、カバー部材200の切欠き部を貫通したターンバックルやT字足の両端を、一対の固定金具21,22の第1および第2狭持部21h,22hで挟持する。そうすると、一対の固定金具21,22の第1および第2延出部21f,22fが互いに当接するようになる。この時、第1および第2狭持部21h,22hによって、上述のターンバックルやT字足付きの固定金具(図示せず)の周長差が吸収される。
【0060】
そして、第1延出部21fの孔21g,21gと第2延出部22fのねじ孔22g,22gを有するナット部材24,24とが重ね合わされた状態で、ボルト部材等によって第1延出部21fおよび第2延出部22fを固定する。こうすることで、一対の固定金具21,22によって、支持バンド部10が締め付けられるようになる。
【0061】
この時、一対の固定金具21,22の当接部21e,22eが、カバー部材200の外周に当接される。また、この状態で、一対の固定金具21,22の周長差吸収手段(舌片部)21b,22bが弾性変位することで、支持バンド部10の内周に当接し、適切な締め付け力となるように、支持バンド部10の締め付け力が調節される。
【0062】
その結果、周長差吸収手段(舌片部)21b,22bによってカバー部材200の外径公差、支持バンド部10のバンド長さ公差等による周長差を吸収でき、適切な締め付け力を付与して締め付けることで、カバー部材を支持することができる。このようにして、上記記載のカバー部材支持具100を備えた長尺体設置構造が構成される。
【0063】
以上のように、本実施形態に係るカバー部材支持具100によれば、周長差吸収手段21b,22bは、支持バンド部10を締め付ける際に、所定の締め付け力が付与されるまで支持バンド部10の長さが変化しないように作動する。したがって、カバー部材支持具100を用いて、外部に設けられた部材にカバー部材200を固定する時、周長差吸収手段21b,22bが弾性変形することにより、適切な締め付け力となるように、支持バンド部10の締め付け力を調節することができる。
【0064】
これにより、カバー部材支持具100によってカバー部材200の外径公差、バンド長さ公差等による周長差を吸収でき、適切な締め付け力を付与して締め付けることで、カバー部材200を支持することができる。その結果、カバー部材200が分解されにくくなる。
【0065】
また、支持バンド部10がカバー部材200の外周に巻回された時、舌片部21b,22bが支持バンド部10の内周方向に重なる部分が多くなり、舌片部21b,22bが支持バンド部10をしっかり支持することにより、また弾性変形することにより、支持バンド部10の締め付け力をさらに調整しやすくなる。これにより、カバー部材200の外径公差、バンド長さ公差等による周長差を吸収することで、さらに適切な締め付け力を付与してカバー部材200を支持することができる。
【0066】
また、周長差吸収手段21b,22bの両側に形成された溝部21d,22dにより、周長差吸収手段21b,22bが支持バンド部10の締め付けに対応してさらに弾性変形しやすく、上記周長差をさらに吸収しやすくなる。
【0067】
また、溝部21d,22dの周長差吸収手段(舌片部)21b,22bとは反対側に設けられた当接部21e,22eにカバー部材200の外周面を当接させた上で、周長差吸収手段21b,22bを弾性変形させて上記周長差を吸収することができ、さらに適切な締め付け力を付与してカバー部材200を安定して支持することができる。
【0068】
また、舌片部21b,22bは、支持バンド部10に設けられた第1および第2傾斜部11,12に沿うように形成されているため、支持バンド部10がカバー部材200の外周に巻回された時、舌片部21b,22bが支持バンド部10の内周方向により重なりやすくなり、上記周長差をさらに吸収しやすく、さらに適切な締め付け力を付与してカバー部材200を支持することができる。
【0069】
また、支持バンド部10がカバー部材200の外周に巻回された時、一対の固定金具21,22によって支持バンド部10を固定しやすくなり、カバー部材200をより確実に支持することができるとともに、上記周長差をさらに吸収しやすくなる。
【0070】
また、第1および第2延出部21f,22fを当接させて固定することで、カバー部材200をさらに確実に支持することができるとともに、上記周長差をさらに吸収しやすくなる。
【0071】
また、肉抜き部21c,22cによって、周長差吸収手段21b,22bがさらに弾性変形しやすくなり、周長差をさらに吸収しやすくなる。
【0072】
また、カバー部材支持具100によってカバー部材200を支持した上で、第1および第2延出部21f,22fに互いに対向して設けられた第1および第2狭持部21h,22hによって固定部材を確実に狭持することができ、固定部材によって、外部に設けられた部材に配管を固定することができる。そして、固定部材の厚み公差を吸収することができ、種々の固定部材に対応可能である。
【0073】
また、カバー部材200は、適切な締め付け力が付与された際に分解されることなく縮径方向に弾性変形するようになる。そして、カバー部材200の弾性復元力が支持バンド部10に作用するため、支持バンド部10によってカバー部材200をより強固に締め付けることができる。
【0074】
また、カバー部材200の外径公差、バンド長さ公差等による周長差を吸収でき、適切な締め付け力を付与して締め付けることでカバー部材200を支持することができるカバー部材支持具100を備えた長尺体設置構造を提供することができる。
【0075】
(第二の実施形態)
以下、本発明の第二の実施形態に係るカバー部材支持具について、添付図面を参照して説明する。
【0076】
本実施形態に係るカバー部材支持具は、カバー部材を、長尺体としての配管の外周に囲繞して支持し、壁などの外部に設けられた部材に固定する場合に用いられる。
【0077】
図7および
図8に示すように、カバー部材支持具300は、円周方向に延在する支持バンド部30と、該支持バンド部30の両端部に設けられ、支持バンド部30を固定するための固定手段40と、を含む。
【0078】
支持バンド部30は、金属製の平板である。支持バンド部30は、平面視において、略長方形形状に形成されている。支持バンド部30のそれぞれの端部には、第1および第2傾斜部31,32が設けられている。
【0079】
また、支持バンド部30の第1および第2傾斜部31,32には、第1および第2リベット孔31a,32aが形成されている。
【0080】
固定手段40は、支持バンド部30の両端部に設けられた一対の固定金具41,42を含む。該一対の固定金具41,42には、第1および第2リベット孔31a,32aに重なる第3および第4リベット孔41a,42aが形成されている。なお、
図7には、固定手段40として固定金具41のみを示している。
【0081】
支持バンド部30と固定手段40(一対の固定金具41,42)とは、第1および第2リベット孔31a,32aと、第3および第4リベット孔41a,42aを重ね合わせ、重ねあわせた部分をリベット33,33を用いて固定されている。こうすることで、カバー部材支持具300が形成される。
【0082】
また、少なくとも一方の固定手段20の一端部には、支持バンド部30がカバー部材300(
図8を参照のこと)の外周に巻回された時、支持バンド部30の締付け力により、弾性変形する周長差吸収手段が形成されている。本実施形態において、固定手段40の一対の固定金具41,42の一端部には、支持バンド部30がカバー部材300(
図8を参照のこと)の外周に巻回された時、支持バンド部30の締付け力により、弾性変形する周長差吸収手段41b,42bが形成されている。
【0083】
本実施形態において、周長差吸収手段41b,42bは、支持バンド部30に重なるように設けられ、その内周側に延在する舌片部41b,42bとして形成されている。該舌片部41b,42bは、上記第1および第2傾斜部31,32に沿うように形成されている。
【0084】
本実施形態において、周長差吸収手段(舌片部)41b,42bは、固定手段40の一対の固定金具41,42の一端側の略中央に形成されている。周長差吸収手段(舌片部)41b,42bには、肉抜き部41c,42cが形成されている。
【0085】
周長差吸収手段(舌片部)41b,42bの両側には溝部41d,42dが形成されるとともに、該溝部41d,42dの周長差吸収手段(舌片部)41b,42bとは反対側にカバー部材400の外周に当接する当接部41e,42eが設けられている。
【0086】
固定手段40としての一対の固定金具41,42の他端部には、折り曲げて形成された一対の第1および第2延出部41f,42fが設けられている。
【0087】
また、第1延出部41fには、孔41g,41gが形成されているとともに、第2延出部42fには、孔42g,42gが形成されている。
【0088】
本実施形態に係るカバー部材支持具300の構成についての説明は以上の通りである。なお、本実施形態に係るカバー部材400の形状や材質については、第一の実施形態に係るカバー部材200と同様である。また、カバー部材400は、分割されていないものも使用可能である。
【0089】
次に、本実施形態に係るカバー部材支持具300を、例えば、長尺体(配管)の分割されていないカバー部材400に被覆する方法について、
図7および
図8を参照して説明する。
【0090】
第一の実施形態の場合と同様に、カバー部材支持具300の支持バンド部30を、カバー部材400の外周に沿うように配置し、支持バンド部30を、カバー部材400の外周に巻回させる。
【0091】
そして、第1および第2延出部41f,42fを外側に設けられた部材としての壁Wに当接させ、第1および第2延出部41f,42fの孔41g,孔42gにボルト等を挿入して、一対の固定金具41,42を壁Wに固定する。
【0092】
この時、一対の固定金具41,42の当接部41e,42eが、カバー部材400の外周に当接される。また、一対の固定金具41,42の周長差吸収手段(舌片部)41b,42bが弾性変位することで、支持バンド部30の内周に当接し、適切な締め付け力となるように、支持バンド部30の締め付け力が調節される。
【0093】
その結果、周長差吸収手段(舌片部)41b,42bによってカバー部材400の外径公差、支持バンド部30のバンド長さ公差等による周長差を吸収でき、適切な締め付け力を付与して締め付けることで、カバー部材400を支持することができる。
【0094】
以上のように、本実施形態に係るカバー部材支持具300によれば、カバー部材400を、長尺体としての配管の外周に囲繞して支持し、壁Wなどの外部に設けられた部材に固定する場合にも、第一の実施形態の場合と同様の効果を奏することができる。
【0095】
尚、本発明のカバー部材支持具は、上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更し得ることは勿論のことである。
【0096】
上記各実施形態において、支持バンド部は、金属製の平板であるが、これに限定されるものではなく、例えば、支持バンド部は、合成樹脂製であってもよい。要は、配管等の長尺体のカバー部材に囲繞することでカバー部材を支持することができ、壁等の外部に設けられた部材に長尺体を固定できるものであればよい。
【0097】
上記各実施形態において、固定金具は、支持バンド部の両端部に設けられているが、これに限定されるものではなく、例えば、固定金具は、支持バンド部の何れか一方の端部に設けられ、支持バンド部の何れか他方の端部には固定金具を固定する孔等が形成されてもよい。要は、配管等の長尺体のカバー部材に囲繞することで、支持バンド部を固定でき、カバー部材を支持可能な構成であればよい。
【0098】
上記各実施形態において、周長差吸収手段は、支持バンド部に重なるように設けられ、その内周側に延在する舌片部であるが、これに限定されるものではなく、舌片部でなくてもよい。要は、支持バンド部の締め付けによって、カバー部材の外径公差やバンドの長さ公差による周長差を吸収できるように、弾性変形するものであればよい。
【0099】
上記各実施形態において、支持バンド部の長さを、周長差吸収手段が予め作用して適切な締め付け力となるように、カバー部材のマイナス公差に設定するのが好ましい。そうすると、カバー部材が支持バンド部によって締め付けられる際に、周長差吸収手段によってカバー部材の外径公差やバンドの長さ公差が吸収されるため、適切な締め付け力でカバー部材を確実に支持することができる。
【0100】
上記各実施形態において、周長差吸収手段には、肉抜き部が形成されているが、これに限定されるものではない。要は、周長差吸収手段が弾性変形しやすい構成であればよい。