【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のこの目的は、独立請求項の特徴部によって達成される。従属請求項は、好ましい実施形態に関する。
【0010】
本発明は、液体、特に粘性液体を供給するボトルキャップアダプターに関する。このボトルキャップアダプターは、本体部と、第1の開口及び第2の開口を有する脱気管であって、第1の開口は、ボトルの内側の、このボトルの底部の近位に配置されるように構成されている脱気管とを備える。本体部は、第1の表面及び第2の表面を更に有する。この第1の表面は、脱気管に対して垂直であり、第2の表面は、第1の表面に対して、例えば、0度〜40度の角度で、平行である又は傾斜している。換言すれば、xyzデカルト座標系において、脱気管がz方向に向き、第1の表面がx-y平面にある場合、第2の表面は、x方向又はy方向において或る角度で、第1の表面に対して、平行又は傾斜している。本体部は、第1の表面から第2の表面にかけてチャネルを更に有する。このチャネルの少なくとも一部は、第2の表面まで延びるコネクタを有する。このコネクタは、ボトルのコネクタに対して相補的である。本体部は、ボトル給液システムに結合されるように更に構成されている。脱気管は、本体部のチャネル内に少なくとも部分的に位置する。
【0011】
チャネルに構成されるコネクタは、ボトルの対応するねじ式閉鎖部(screw-closure)の雄ねじを受けるように構成されている雌ねじであることが好ましい。代替形態として、ボトルが、例えばすり合わせ接合部(groundglass joint)を有する場合、コネクタは、対応する雌すり合わせ接合部であることができる。
【0012】
供給される液体は、フォトレジスト、又は、フォトリソグラフィープロセスにおいて、特に、マイクロストラクチャーの分野で使用することができる任意の他の液体とすることができることが好ましい。ボトルキャップアダプターは、ボトルに直立位置で設置することができるとともに、反転操作及び設置操作中の液体漏出を回避するようにシールすることができることが好ましい。
【0013】
チャネルのコネクタの内端部のそれぞれのリセスには、シールが挿入され、それにより、本体部のコネクタに接続された場合、このシールによってボトルの相補的なコネクタヘッド部がシールされることが好ましい。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、前記ボトルキャップアダプターは、前記ボトルの装着中には、前記脱気管の前記第1の開口をシールするように構成されているとともに、前記ボトルから前記ボトル給液システムへの液体の分注中には、前記第1の開口をシール解除するように構成されている脱気管ヘッド部を更に備える。
【0015】
換言すれば、脱気管は、ボトルキャップアダプターの設置中には閉鎖することができ、反転操作が行われた後にのみ開放することができ、ボトルは、使用の際、ベース上に置くことができる。
【0016】
脱気管は、第1の開口、又は第1の開口の近位にシールを含み、脱気管ヘッド部による脱気管の第1の開口のシールを補助することが好ましい。脱気管は、脱気管ヘッド部の締まり嵌め座部として構成される拡張座部領域を有することが好ましい。脱気管ヘッド部は、対応する形状、例えばT字形状を有することが好ましい。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、前記ボトルキャップアダプターは、前記ボトルの装着中には、前記脱気管の前記第2の開口をシールするように構成されているとともに、前記ボトルから前記ボトル給液システムへの液体の分注中には、前記第2の開口をシール解除するように構成されているプランジャーを更に備え、該プランジャーは、前記ボトルの装着中には、前記本体部の液路を閉鎖するように更に構成されているとともに、前記ボトルから前記ボトル給液システムへの液体の分注中には、前記液路を開放するように構成されている。
【0018】
液路は、本体部のチャネルの内側にあることが好ましい。換言すれば、脱気管が本体部のチャネルに挿入された場合、チャネルの内壁と脱気管の外壁との間に液路を形成することができる。
【0019】
本体部のチャネルの第2の開口は、円錐形状であることが好ましい。プランジャーは、チャネルの第2の開口の円錐形状の内側起点において、本体部の第2のチャネルを閉鎖及び開放するように構成されていることが好ましい。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、脱気管は、脱気管ヘッド部とプランジャーとを接続するように構成されているシャフトを更に備え、それにより、脱気管ヘッド部が、第2の開口のシール及びシール解除、並びに液路の閉鎖及び開放それぞれと同期して、脱気管の第1の開口をシール及びシール解除するように構成されている。換言すれば、脱気管ヘッド部及びプランジャーの双方を、同時に、好ましくは同じ方向に動かすことができ、それにより、第1の開口及び第2の開口の対応する開放及び閉鎖、並びに液路の開放及び閉鎖が同期される。脱気管ヘッド部及びプランジャーの同期は、機械的手段及び/又は電気的手段によって行うことができることが好ましい。一方で、当業者は、任意の他の好適な手段によって同期を行うこともできることを理解する。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、前記ボトルキャップアダプターの前記本体部は、上部と、中間部と、下部とを含み、前記上部は、前記第2の表面を有し、前記下部は、前記第1の表面を有し、前記中間部は、前記上部と前記下部との間に位置する。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、脱気管は、上部管及び下部管を含み、上部管は、第1の開口を有し、下部管は、脱気管の第2の開口を有する。上部管と下部管とは、接続される、より好ましくはシールされた接続アセンブリによって接続されることが好ましい。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、本体部は、ボトルキャップアダプターをボトル給液システムと位置合わせする位置合わせピンを更に含む。このピンは、ボトル給液システム内に装着/ドッキングされた場合、ボトルキャップが適切に位置合わせされているか否かを検査するために、ボトル給液システム内のそれぞれの位置合わせセンサー用の基準物として使用することができる。このピン及びそれぞれの位置合わせセンサーは、光学手段、磁気的手段及び/又は電気的手段に基づくことができることが好ましい。
【0024】
また、本発明は、
液体、特に粘性液体を供給するボトル給液システムであって、
ボトルキャップアダプター、好ましくは本発明の実施形態のうちのいずれかに係るボトルキャップアダプターを収容するように構成されている頂部と、
前記ボトルキャップアダプターに挿入されたボトルから、或る量の液体を受け取るように構成されているリザーバーを含むとともに、前記ボトル内の液位を測定するように構成されている圧力センサーを含む底部と、
前記リザーバーに接続されている出力と、
を備える、ボトル給液システムに関する。
【0025】
ボトル給液システムの頂部と底部とは、差込み接続部によって接続されることが好ましい。上記接続部は、少なくとも1つのシールを含むことが好ましい。当業者は、ボトル給液システムの頂部及び底部を、1つの単一部品として形成することができることを理解する。
【0026】
リザーバーは、ボトルの交換中に或る量の液体がリザーバーに残留するように構成されることが好ましい。このリザーバーに残留した量の液体によって、とりわけ、気泡がプロセスラインに入り込むことを回避することができる。換言すれば、リザーバーに残留した液体によって、取換え用のボトルの液体が、リザーバー内の以前のボトルからの液体残渣にかけて途切れなく流れる。リザーバーは、100 mlの最小容量を有することが好ましい。ボトルが完全に空になり、取換え用のボトルと取り換えられる必要がある場合であっても、リザーバーが、所定量、例えば100 mlの液体で充填されていることが好ましい。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、前記ボトル給液システムは、前記リザーバーに接続されている、及び/又は、前記液体中に発生した気泡を、前記リザーバーからパージ管に移送させるように構成されている気泡パージポートを更に備える。
【0028】
パージ管の開放端は、ボトル給液システムの外側、より好ましくはリザーバーの上方に位置することが好ましい。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、前記ボトル給液システムは、該ボトル給液システムに挿入された場合、前記ボトルを保持及び/又は支持するように構成されている保持器を更に備える。
【0030】
上記保持器は、ボトル若しくはボトルの少なくとも一部が固定される、及び/又は、ボトル若しくはボトルの少なくとも一部が載置されるマウントであることが好ましい。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、前記ボトル給液システムは、前記ボトルキャップアダプターが該ボトル給液システムと適切に位置合わせされているか否かを、好ましくは前記ボトルキャップアダプターの位置合わせピン又は上記位置合わせピンを用いて測定するように構成されている位置合わせセンサーを更に備える。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、ボトル給液システムは、ボトルキャップアダプターがボトル給液システムに接近しているか否か、及び/又は、ボトルキャップがボトル給液システムに装着されているか否かを測定するように構成されている近接センサーを更に含む。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、前記ボトル給液システムは、ロックセンサー及び摺動プレートを更に備え、該摺動プレートは、前記ボトルキャップアダプターを該ボトル給液システムに固定するように構成されており、前記ロックセンサーは、前記ボトルキャップアダプターが該ボトル給液システムに適切に固定されているか否かを測定するように構成されている。
【0034】
摺動プレートは、U字形状であることが好ましい。摺動プレートは、ボトル給液システム及びボトルキャップアダプターの頂部のそれぞれのリセスに圧入されるように構成されていることが好ましい。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、ボトル給液システムは、リザーバーの中央に位置するピンを更に備える。このピンは、ボトルキャップアダプターの脱気管のプランジャーを作動させ、それにより、脱気管の開口をシール又はシール解除するとともに、ボトルキャップアダプターの本体部の液路を開放又は閉鎖するように構成することができる。
【0036】
上記ピンは、特に、対応する上述の実施形態のうちの1つに係る、脱気管ヘッド部に接続されているシャフトに接続されている脱気管のプランジャーを作動させるように構成することができることが好ましい。したがって、このピンは、脱気管のプランジャー及び接続された脱気管ヘッド部の双方を作動することができることが好ましい。
【0037】
本発明の一実施形態によれば、圧力センサーは、リザーバーの底部側に位置する。圧力センサーは、リザーバー及びボトルの液柱による圧力を測定することによってボトル内の液位を測定するように構成することができる。換言すれば、充填レベルの標示は、圧力センサー、好ましくは一体型圧力センサーによって行うことができる。
【0038】
圧力センサーは、上記の液柱、すなわち、リザーバー及びボトルによる圧力を検出することができることが好ましい。圧力センサーは、連続的な液位の標示を可能にすることができることが好ましい。圧力は、充填レベルの関数であることが好ましい。圧力センサーの較正によって、充填レベルの線形の正確な標示を可能にすることができることが好ましい。それぞれのクラスタ制御システムのソフトウェアによって、ボトルの一部又は任意の充填レベルにフラグを規定することができることが好ましい。より好ましくは、これは、ボトルの一部又は全部の充填レベルに関して、操作者に要求される行動についての情報テキスト、又は更にはアラームを伴う。換言すれば、このソフトウェアは、ボトルが満タンであること又はボトルが部分的に満たされていること、すなわちボトルの交換が接近していること又は差し迫っていることを標示する、充填レベルに関するフラグを規定することができる。
【0039】
安全回路又は不具合標示等、ボトルの正確な差込みを検出するように構成されている更なるセンサーを、ボトル給液システムに備えることが好ましい。
【0040】
また、本発明は、上記実施形態のうちのいずれかに係るボトルキャップアダプターと、上記実施形態のうちのいずれかに係るボトル給液システムとを備える液体を供給するシステムに関する。
【0041】
また、本発明は、以下のステップを用いて、ボトル給液システム内の圧力センサーを較正する、点補間法(point interpolation method)に関する。以下のステップとは、すなわち、
(a)ボトルキャップアダプターに適正なボトルを設置するとともに、ボトルを伴うボトルキャップアダプターをボトル給液システムに設置するステップと、
(b)上記システムを起動するステップと、
(c)ボトルが空である場合、圧力センサーのセンサー出力を記録するステップと、
(d)所定量、好ましくは20 mlの液体を上記システムに加えるとともに、上記システムのそれぞれのセンサー出力を記録するステップと、
(e)液体が、ボトルのネック部を超えてボトルのフレア部に達するまで、ステップ(d)を繰り返すステップと、
(f)所定量、好ましくは100 mlの液体を加えるとともに、センサー出力を記録するステップと、
(g)液体がボトルの最広部に達するまで、ステップ(f)を繰り返すステップと、
(h)所定量、好ましくは500 mlの液体を加えるとともに、センサー出力を記録するステップと、
(i)液体がボトルの最大容量に達するまで、ステップ(h)を繰り返すステップと、
である。
【0042】
本発明の一実施形態によれば、上記点補間法は、記録された(recorded)センサー出力から、それぞれの液位を表す関数を計算するステップを更に含む。
【0043】
一実施形態によれば、上記点補間法は、液体がボトルの最大容量に達した場合、その液位を表す関数の値を、ゼロ又は最大に設定するステップを更に含む。換言すれば、ゼロ液位又は最大液位は、液体がボトルの最大容量に達した場合の値を表すように設定することができる。
【0044】
一実施形態によれば、点補間法は、ボトルに液体がない場合、その液位を表す関数の値を、ゼロ又は最大に設定するステップを更に含む。換言すれば、ゼロ液位又は最大液位は、ボトルに液体がない場合の値を表すように設定することができる。
【0045】
本発明によれば、光化学物質で充填されたボトルは、ボトルの安全な倒立及び交換のために、弁を備えるアダプターに接続することができる。高粘性のレジストの場合、ボトルは、レジストに含まれた気泡の上方移動を可能にするために、挿入前に逆さ位置に置くことができる。
【0046】
当該分野において開示されているような反転機構を用いることなく、シールされたねじ付きキャップアダプターを用いることによって、システムのフットプリント、すなわち要求されるユーティリティースペースを、著しく、例えば50 %以上低減することができる。
【0047】
本発明では、ボトル及びキャップアダプターは、キャップアダプターが装着されたボトルを嵌合して、その逆さ/倒立位置になるまで、ベースアセンブリ及び/又は液体ラインから完全に分離することができる。
【0048】
本発明では、フォトレジストは、リザーバーに流れ込むことができ、次に、システムの残りの部分に圧送することができる。これによって、レジスト/薬液がボトル内に残らないことを確実にすることができる。
【0049】
リザーバーは、倒立したボトル用の保持器の基部に既に含むことができる。リザーバー内の緩衝容積によって、ボトルの交換中の中断が起こらなくなる。ボトルの交換中の更なる脱気を不要とすることができる。
【0050】
本発明によれば、レジストに使用される全ての標準的なボトルを、このボトルキャップアダプター及びこのボトル給液システムに使用することができる。これに関して、ボトルアダプターのみが、ボトル開口の接合部、例えばねじ又は任意の他のタイプの閉鎖部、ボトル開口のサイズ等に適合する必要がある。
【0051】
本発明によれば、材料供給業者によって供給される、通常のガラスボトル又はPEボトル等の低コストパッケージを使用することができる。
【0052】
本発明によれば、脱気管を介してこのシステムを大気に開放することができるので、抵抗が最小の状態で液体の重力送りが促進される。
【0053】
本発明では、このシステムは、ベースにおけるボトルの有無及び適切な固定を検出するセンサーを装備することができる。これらのセンサーは、適切な設置及び固定が行われていない場合、操作を制止するように構成することができる。