特許第6557506号(P6557506)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6557506内視鏡の配管部材の接続方法及び接続構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6557506
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】内視鏡の配管部材の接続方法及び接続構造
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/012 20060101AFI20190729BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
   A61B1/012 511
   G02B23/24 A
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-90600(P2015-90600)
(22)【出願日】2015年4月27日
(65)【公開番号】特開2016-202754(P2016-202754A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2018年3月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078880
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100183760
【弁理士】
【氏名又は名称】山鹿 宗貴
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 恵一
【審査官】 森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−223518(JP,A)
【文献】 特開2009−172081(JP,A)
【文献】 特開2009−189794(JP,A)
【文献】 特開平06−327618(JP,A)
【文献】 特開昭62−053673(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00−1/32
G02B 23/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ金属製の第1配管部材の接続部と第2配管部材の接続部とを封止層を介して接合させ、前記第1配管部材及び前記第2配管部材にそれぞれ形成された管路を連絡させる封止ステップと、
前記封止ステップによって形成された接合部の少なくとも一部にレーザビームを照射して、前記第1配管部材と前記第2配管部材とを溶接する溶接ステップと、
を含み、
前記封止ステップが、
前記第1配管部材及び第2配管部材の接続部の少なくとも一方に封止材を塗布する塗布ステップを含む、
内視鏡の配管部材の接続方法。
【請求項2】
前記溶接ステップが、前記封止ステップの後に行われる、
請求項1に記載の内視鏡の配管部材の接続方法。
【請求項3】
前記封止ステップが、
前記封止層を、溶接部が形成される位置から所定の退避距離以上離れた位置に形成する退避形成ステップを含む、
請求項1又は請求項2に記載の内視鏡の配管部材の接続方法。
【請求項4】
前記第1配管部材の接続部に、
前記第2配管部材の接続部と略隙間なく嵌合する嵌合部と、
前記第2配管部材の接続部との間に、前記封止層が形成される空間を形成する、凹部と、
を形成するステップを含む、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の内視鏡の配管部材の接続方法。
【請求項5】
前記封止層が接着剤から形成された、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の内視鏡の配管部材の接続方法。
【請求項6】
前記溶接ステップにおいて、
前記接合部の一箇所への前記レーザビームの照射が前記第2配管部材によって遮られる場合、該一箇所を除く前記接合部の少なくとも一部に前記レーザビームを照射する、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の内視鏡の配管部材の接続方法。
【請求項7】
前記溶接ステップが、
前記接合部の中心軸の周りに前記レーザビームの経路を回転させながら該レーザビームを照射するステップと、
前記レーザビームの照射が前記第2配管部材によって遮られる前記回転の角度範囲において、該レーザビームの照射を停止するステップと、
を含む、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の内視鏡の配管部材の接続方法。
【請求項8】
金属製の第1配管部材に形成された環状の第1接続部と、
金属製の第2配管部材に形成された環状の第2接続部と、
前記第1接続部と前記第2接続部とを接合する接合部と、
を備え、
前記接合部が、
該接合部の全周に亘って形成された封止層と、
該接合部の少なくとも一部にレーザビームの照射によって形成された溶接部と、
を有し、
前記封止層は、
前記第1配管部材及び第2配管部材の接続部の少なくとも一方に塗布された封止材よりなる
内視鏡の配管部材の接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡の配管部材の接続方法及び接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
送気・送水機能や吸引機能を有する内視鏡は、空気や水等の流体を輸送するための管路(送気チャンネル、送水チャンネル)を備えている。このような管路の多くは、ステンレス鋼等の耐蝕性合金材で形成された複数の配管部材を連結することで構成されている。複数の配管部材は、配管部材同士を溶接や銀ろう付け等により水密に接続することで連結される。そして近年は、作業の容易性及び溶接の確実性等からレーザビーム照射によるいわゆるレーザ溶接が用いられるようになってきている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載されている従来のレーザ溶接は、二つの配管部材の接合部にレーザビームを照射しながら、レーザ照射装置(以下、単に照射装置という)の射出口を管路の中心軸の周りに360度回転させて、接合部の全周を溶接することによって行われる。
【0004】
また、近年、内視鏡の管路は、内視鏡の細径化や多機能化に伴う内部構造の複雑化のために、次第に形状が複雑なものになってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−172081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、図5に示されるように大きく曲がった配管部材2を接続する場合、接合部の符号Xで示された箇所へのレーザビームの照射が配管部材2によって遮られる。そのため、照射装置の射出口を回転させながら照射する従来のレーザ溶接の方法では、接合部の全周に亘って完全にレーザ溶接を行うことができず、接合部の水密性を確保することができなかった。接合部の全周を完全にレーザ溶接するためには、例えば多関節ロボットや走査光学系等の精巧な機構を備えたレーザ溶接装置を導入する必要があり、レーザ溶接装置が複雑化・大型化し、また、新たに高額な設備費用が必要になるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複雑な装置を使用することなく、複雑な形状の配管部材をレーザ溶接によって水密に接合することが可能な内視鏡の配管部材の接続方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係る内視鏡の配管部材の接続方法は、それぞれ金属製の第1配管部材の接続部と第2配管部材の接続部とを封止層を介して接合させ、第1配管部材及び第2配管部材にそれぞれ形成された管路を連絡させる封止ステップと、封止ステップによって形成された接合部の少なくとも一部にレーザビームを照射して、第1配管部材と第2配管部材とを溶接する溶接ステップと、を含む。
【0009】
上記の接続方法において、封止ステップが、第1配管部材及び第2配管部材の接続部の少なくとも一方に封止材を塗布する塗布ステップを含む構成としてもよい。
【0010】
上記の接続方法において、封止ステップが、第1配管部材及び第2配管部材の接続部の少なくとも一方に封止部材を装着する装着ステップを含む構成としてもよい。
【0011】
上記の接続方法において、溶接ステップが、封止ステップの後に行われる構成としてもよい。
【0012】
上記の接続方法において、封止ステップが、封止層を、溶接部が形成される位置から所定の退避距離以上離れた位置に形成する退避形成ステップを含む構成としてもよい。
【0013】
上記の接続方法において、第1配管部材の接続部に、第2配管部材の接続部と略隙間なく嵌合する嵌合部と、第2配管部材の接続部との間に、封止層が形成される空間を形成する、凹部と、を形成するステップを含む構成としてもよい。
【0014】
上記の接続方法において、封止層が接着剤から形成された構成としてもよい。
【0015】
上記の接続方法における溶接ステップにおいて、接合部の一箇所へのレーザビームの照射が第2配管部材によって遮られる場合、その一箇所を除く接合部の少なくとも一部にレーザビームを照射する構成としてもよい。
【0016】
上記の接続方法において、溶接ステップが、接合部の中心軸の周りにレーザビームの経路を回転させながらレーザビームを照射するステップと、レーザビームの照射が第2配管部材によって遮られる回転の角度範囲において、レーザビームの照射を停止するステップと、を含む構成としてもよい。
【0017】
また、本発明の一実施形態に係る内視鏡の配管部材の接続構造は、金属製の第1配管部材に形成された環状の第1接続部と、金属製の第2配管部材に形成された環状の第2接続部と、第1接続部と第2接続部とを接合する接合部と、を備え、接合部が、接合部の全周に亘って形成された封止層と、接合部の少なくとも一部にレーザビームの照射によって形成された溶接部と、を有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一実施形態によれば、複雑な装置を使用することなく、複雑な形状の配管部材をレーザ溶接によって接合することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る内視鏡の配管部材の接続方法の手順を示すフローチャートである。
図2】本発明の実施形態に係る内視鏡の配管部材の接続方法を説明する図である。
図3】本発明の実施形態に係る内視鏡の配管部材の接続方法を説明する図である。
図4】本発明の実施形態の変形例を説明する図である。
図5】従来の内視鏡の配管部材の接続方法を説明する図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
以下に説明する実施形態は、内視鏡の操作部に設けられる送気・送水操作弁のシリンダ部材(第1配管部材1)と、加圧された空気(又は水)をシリンダ部材へ輸送する導管(第2配管部材2)との接続に本発明を適用した一例である。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る内視鏡の配管部材の接続方法の手順を示すフローチャートである。
【0022】
[接着工程S1]
本実施形態の接続方法では、まず接着工程S1が行われる。
図2は、本実施形態の接着工程S1の様子を示した図である。第1配管部材1及び第2配管部材2は、それぞれステンレス鋼(例えばSUS304)等のような耐蝕性合金材により形成されている。
【0023】
本実施形態の接続対象である第1配管部材1と第2配管部材2(特に第2配管部材2)は、それぞれ図5(従来技術)に示された部材1,2と同一のものであり、従来の接続方法では良好に接続できなかった構成である。
【0024】
接着工程S1(図2)では、まず、第2配管部材2の一端部の外周である環状の接続部2aと、第1配管部材1に設けられた差し込み孔の内周である環状の接続部1aとの少なくとも一方の略全体に接着材が塗布される。そして、第1配管部材1の接続部1a(差し込み孔)に第2配管部材2の接続部2a(導管の一端部)が嵌め込まれる。更に、必要に応じて熱処理等を施して接着剤を硬化させることにより、第1配管部材1の接続部1aと第2配管部材2の接続部2aとが嵌合した接合部3の全周に亘って接着層4が形成される。これにより、接合部3の隙間は接着層4によって完全に封止される。接着工程S1により、第1配管部材1の管路(中空部)と第2配管部材2の管路とが水密(又は気密)に接続された状態になる。
【0025】
接着工程S1に使用される接着剤には、様々な種類のものを使用することができるが、例えばエポキシ系接着剤等の耐水性や耐熱性に優れたものが使用される。また、本実施形態では、生体適合性を有する接着剤が使用される。
【0026】
[溶接工程S2]
次に、レーザビームLの照射により接合部3を溶接(シーム溶接)する溶接工程S2が行われる。
【0027】
図3は、本実施形態の溶接工程S2の様子を示した図である。溶接工程S2では、接合部3の外部に露出した部分のうち、第2配管部材2によってレーザビームLの照射(経路)が遮られない部分に対してのみレーザ溶接が行われる。具体的には、溶接工程S2は、レーザビームLを接合部3の露出面に照射しながら、接合部3における管路の中心軸Axの周りに照射装置の射出口(不図示)を回転させる(すなわち、レーザビームLの経路を回転させる)ことで行われる。このとき、第2配管部材2によってレーザビームLの照射(経路)が遮られる回転の角度範囲においては、レーザビームLの照射が停止される。また、接合部3のレーザビームLが照射された箇所には、溶接部5が形成される。
【0028】
照射装置には、YAGレーザや炭酸ガスレーザ等の高出力の赤外線レーザ装置を備えたものが使用される。なお、レーザ装置の種類は、これらに限定されず、レーザ溶接に適した様々な種類のレーザ装置を使用することができる。
【0029】
また、照射装置は、シールドガス(例えば、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスや、不活性ガスと二酸化炭素との混合ガス等)を溶接部に供給して、溶接面を空気から遮断するシールド手段を備えている。シールド手段の使用により、溶接部5の表面の酸化が抑制される。
【0030】
シールド手段は、接合部3に外側からシールドガスA1を吹き付ける第1噴出ノズル11と、第2配管部材2の他端に接続され、第1配管部材1及び第2配管部材2の管路内にシールドガスA2を導入する第2噴出ノズル12とを備えている。シールドガスA1によって、溶接部5の外部に露出する表面の酸化が抑制される。また、シールドガスA2によって、溶接部5の管路に露出する表面、又は、第1配管部材1と第2配管部材2との間の隙間に露出する表面の酸化が抑制される。溶接中に、第1噴出ノズル11及び第2噴出ノズル12からは、略一定量のシールドガスA1及びA2がそれぞれ噴出する。また、溶接中に、第1噴出ノズル11は、接合部3における管路の中心軸Axの周りを、レーザビームLと共に回転する。この構成により、溶接中に溶接部5が常に酸素から遮断され、溶接部5の酸化が確実に防止される。また、溶接中に溶接部5の環境(例えば、溶接部5の周囲を流れるシールドガスの流量)が略一定に保たれるため、均一性の高い溶接が可能になる。
【0031】
[本実施形態の特徴]
図2に示されるように、第2配管部材2は大きく屈曲している。そのため、理想的には全周にわたってレーザ溶接が施されるべき接合部3(より具体的には、接合部3の外部に露出した部分)は、その周方向の一部(例えば、図3において符号Xで示された箇所)へのレーザビームLの照射経路が、第2配管部材2によって遮られ、レーザビームLを照射することができない。すなわち、第1配管部材1と第2配管部材2との接合部3を全周に亘って完全に溶接することができない。
【0032】
本実施形態では、接合部3の周方向における一部に溶接されない部分が残るものの、十分な溶接長が確保されれば、必要な接続強度が得られる。しかしながら、溶接されない部分には、管路の内外の空間を連絡する小さな隙間が残される可能性があるため、溶接だけでは、内視鏡の管路(特に送気チャンネルや送水チャンネル)の接合部に要求される水密性(止水性)や気密性は得られないおそれがある。
【0033】
そこで、本実施形態では、溶接工程S2の前に、接着工程S1が行われ、第1配管部材1と第2配管部材2との接合部3の全周に亘って接着層(封止層)4を形成する処理が行われ、封止が確実なものとされている。
【0034】
また、本実施形態では、上述したように、溶接工程S2の前に接着工程S1が行われる。そして、接着剤によって第1配管部材1と第2配管部材2とが所定の位置関係で接着固定された状態で溶接工程S2が行われる。そのため、溶接工程S2の際に、第1配管部材1と第2配管部材2とを所定の位置関係に保つための治具を使用する必要がない。その結果、治具の配置によって溶接箇所(レーザビームLの可動範囲)が制約を受けることもなくなる。
【0035】
以上が本発明の例示的な実施形態の説明である。本発明の実施形態は、上記に説明したものに限定されず、本発明の技術的思想の範囲において様々な変形が可能である。例えば明細書中に例示的に明示される実施形態等又は明細書の記載から自明な実施形態等を適宜組み合わせた内容も本発明の実施形態に含まれる。
【0036】
上記の実施形態では、接着工程S1において、レーザビームLが照射されて溶接部5が形成される箇所を含む接合部3の略全体に接着材が塗布されるが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、以下に説明する第1変形例や第2変形例のように、溶接部5が形成される位置から接着層4を離して設ける構成とすることも可能である。
【0037】
[第1変形例]
図4に、本発明の実施形態の変形例を示す。
図4(a)は、本発明の実施形態の第1変形例を示す図である。第1変形例は、溶接部5が形成される位置から所定の退避距離D以上離して接着層4を形成した例である。このような構成は、第1配管部材1の接続部1aのみに、溶接部5が形成される位置から所定の退避距離D以上離して接着剤を塗布し、この接続部1aに第2配管部材2の接続部2aを挿し込んでレーザ溶接を行うことで得られる。
【0038】
[第2変形例]
図4(b)は、本発明の実施形態の第2変形例を示す図である。第2変形例では、第1配管部材1の接続部1aの開口側〔図4(b)においては右側〕に、第2配管部材2の接続部2aと略隙間無く嵌合する嵌合部1cが設けられ、開口とは逆側〔図4(b)においては左側〕に、嵌合部1cよりも内径が広げられた環状溝(拡径部)1eが形成されている。環状溝1eには、第2配管部材2の接続部2aが挿し込まれる前に、接着剤が充填され、接着層4が形成される。環状溝1eを設けることにより、接着層4の形成位置を正確に管理することが可能になる。
【0039】
上記の第1変形例や第2変形例のように、溶接部5が形成される位置から接着層4を離して設ける構成を採用することにより、溶接不良、溶接後に残存した接着剤による溶接部5の腐食、溶接時の熱による接着剤の分解(成分の飛散)に伴う管路の汚染等が防止又は軽減される。
【0040】
[その他の変形]
また、上記の実施形態は、送気・送水操作弁のシリンダ部材と導管との接続に本発明を適用した一例であるが、本発明はこの構成に限らず、気密性や水密性が必要な各種の配管部材の接続(例えば、導管同士の接続)に適用することができる。また、本発明は、流体を輸送する管路に限らず、例えば通信線や動力線が通される管路や、処置具挿通チャンネルの接続にも適用することができる。更に、本発明は、内視鏡に限らず、各種医療機器や医療用分析機器に設けられる管路の接続にも適用することができる。
【0041】
また、上記の実施形態では、溶接する2つの配管部材の接合部の全周に亘って接着層を設けることによって接合部の封止(気密性又は水密性の確保)がなされているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、接着剤に替えて、シリコーン樹脂等の封止機能を主たる機能として有するシール材(封止材)を使用することもできる。また、シール材は、固化して固体になるものに限らず、液状(又はジェル状)のものを使用してもよい。また、固体(例えば、伸縮性を有するエラストマーやスポンジ状の発泡樹脂等)の封止部材を接続部に装着することで、封止部を形成する構成としてもよい。
【0042】
また、上記の実施形態では、接合部3に外側からレーザビームLを照射することで溶接が行われるが、本発明はこの構成に限定されない。溶接する配管部材の形状によって可能な場合には、管路側(内側)から接合部3にレーザビームLを照射してもよい。また、接合部3に外側と内側の両側からレーザビームLを照射してもよい。
【0043】
また、上記の実施形態では、接着工程の後に溶接工程が行われるが、溶接工程の後に接着工程を行うこともできる。この場合、第1配管部材1の接続部1a又は第2配管部材2の接続部2aに、溶接工程後に接合部に接着剤を流し込むための流路となる溝を設けてもよい。
【0044】
また、上記の実施形態では、レーザ溶接が接合部の全周に亘って行うことができない場合に本発明を適用した例であるが、レーザ溶接が接合部の全周に亘って可能な場合にも本発明を有効に適用することができる。レーザ溶接を全周に亘って行うことができる場合でも、レーザ溶接を全周に亘って完全に且つ確実に行うことは必ずしも容易ではない。また、内視鏡の製造時にはレーザ溶接が完全なものであっても、経年劣化等により、溶接部に欠陥(隙間)が生じることもある。接合部の全周に亘ってレーザ溶接が可能な場合であっても、本発明を適用することにより、溶接部の止水の完全性を高めることができる。
【符号の説明】
【0045】
1 第1配管部材
2 第2配管部材
3 接合部
4 接着層(封止層)
5 溶接部
11 第1噴出ノズル
12 第2噴出ノズル
A1,A2 シールドガス
L レーザビーム
図1
図2
図3
図4
図5