特許第6557509号(P6557509)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6557509
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】空気維持タイヤ組立体のためのシステム
(51)【国際特許分類】
   B60B 23/12 20060101AFI20190729BHJP
【FI】
   B60B23/12
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-94984(P2015-94984)
(22)【出願日】2015年5月7日
(65)【公開番号】特開2015-212141(P2015-212141A)
(43)【公開日】2015年11月26日
【審査請求日】2018年4月24日
(31)【優先権主張番号】14/269,294
(32)【優先日】2014年5月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513158760
【氏名又は名称】ザ・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】チェン−シュン リン
【審査官】 高橋 武大
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05355924(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0282388(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0283534(US,A1)
【文献】 特表平09−508870(JP,A)
【文献】 特表平06−510252(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホイールリム上に取り付けられた空気入りタイヤと共に使用され、前記空気入りタイヤの空気圧が低下するのを防止するシステムにおいて、
前記ホイールリムに対して周方向に取り付けられ、かつ周方向に互いに接続された複数のポンプであって各ポンプポンプパラメータを有するとともに、2つのチャンバ間に配置された1つのピストンを含み、前記2つのチャンバが、一方向逆止弁を有する狭い通路によって接続されている、複数のポンプと、
弁パラメータを有し、前記空気入りタイヤのタイヤキャビティへの流入空気を制御する制御弁と、を有し、
前記ポンプパラメータおよび前記弁パラメータを用いてシステム性能を予測することを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記複数のポンプおよび前記制御弁が、マルチチャンバポンプ構成を形成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数のポンプは、前記各ポンプのピストンが該各ポンプ内で最大距離移動することにより決定される最大ポンピング能力を有する力制御システムを形成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記各ポンプが、第1の方向におけるピストンの動きを制限する第1の隔壁と、それとは逆の第2の方向におけるピストンの動きを制限する第2の隔壁と、を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
重力成分と加速度成分との2つの力によって駆動されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記ポンプパラメータが、ピストン質量パラメータ、第1のピストン行程パラメータ、および第2のピストン行程パラメータを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
ホイールリム上に取り付けられた空気入りタイヤと、前記ホイールリム上に取り付けられ、前記空気入りタイヤの空気圧が低下するのを防止するポンピング機構と、をモデル化するシステムにおいて、
前記ホイールリムに対して周方向に取り付けられ、かつ周方向に互いに接続された複数のポンプであって各ポンプポンプパラメータを有するとともに、2つのチャンバ間に配置された1つのピストンを含み、前記2つのチャンバが、一方向逆止弁を有する狭い通路によって接続されている、複数のポンプと、
弁パラメータを有し、前記空気入りタイヤのタイヤキャビティへの流入空気を制御する制御弁と、を有し、
前記ポンプパラメータおよび前記弁パラメータを用いてシステム性能を予測することを特徴とするシステム。
【請求項8】
前記複数のポンプおよび前記制御弁が、マルチチャンバポンプ構成を形成する、請求項に記載のシステム。
【請求項9】
前記複数のポンプは、前記各ポンプのピストンが該各ポンプ内で最大距離移動することにより決定される最大ポンピング能力を有する力制御システムを形成する、請求項に記載のシステム。
【請求項10】
前記各ポンプが、第1の方向におけるピストンの動きを制限する第1の隔壁と、それとは逆の第2の方向におけるピストンの動きを制限する第2の隔壁と、を含む、請求項に記載のシステム。
【請求項11】
重力成分と加速度成分との2つの力によって駆動されている、請求項に記載のシステム。
【請求項12】
前記ポンプパラメータが、ピストン質量パラメータ、第1のピストン行程パラメータ、第2のピストン行程パラメータを含む、請求項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤ内で適切な空気圧を維持するシステムおよび方法に関する。より具体的に、本発明は、空気入りタイヤのタイヤキャビティ内に空気を送り込むためのリムに取り付けられたシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の空気入りタイヤは、比較的長期間にわたって機能するように設計されている。多くの場合、自動車のタイヤは、現在、30000マイル(約48280km)、50000マイル(約80467km)、または70000マイル(約112654km)の有効耐用年数を有することが期待されている。しかしながら、長寿命の空気入りタイヤであっても、くぎや他の鋭利な物体によるパンク、温度変化、およびタイヤ自体による空気拡散の少なくともいずれかに起因して、空気圧は失われてしまう。
【0003】
空気拡散によって、時間の経過とともにタイヤ圧は減少するため、空気入りタイヤは、継続的に空気圧が低下することが少なくない。したがって、ドライバーは、タイヤ圧を維持するために繰り返し作業を行う必要があり、そうしないと、燃費と、タイヤ寿命と、自動車のブレーキ性能およびハンドリング性能との少なくともいずれかが低下することになる。タイヤ圧が著しく低いときにドライバーに警告するタイヤ圧監視システム(TPMS)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願第14/091885号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、そのようなシステムは、依然として、推奨圧力までタイヤを再膨張させるように警告が発せられたときに、ドライバーによる救済措置に依存している。したがって、煩わしいドライバーの介入を必要とせずに推奨される空気圧を維持する空気維持機能を空気入りタイヤに組み込むことが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による第1のシステムは、ホイールリム上に取り付けられた空気入りタイヤに使用され、空気入りタイヤの空気圧が低下するのを防止する。第1のシステムは、ホイールリムに対して周方向に取り付けられ、それぞれがポンプパラメータを有する複数のポンプと、空気入りタイヤのタイヤキャビティへの流入空気を制御する制御弁とを含んでいる。制御弁は、弁パラメータを有している。このシステムは、ポンプパラメータおよび弁パラメータを用いて、さまざまな構成および条件の下でのシステム性能を予測する。
【0007】
第1のシステムの別の態様によれば、複数のポンプおよび制御弁が、マルチチャンバポンプ構成を形成する。
【0008】
第1のシステムのさらに別の態様によれば、各ポンプが、2つのチャンバ間に配置された1つのピストンを含んでいる。
【0009】
第1のシステムのさらに別の態様によれば、2つのチャンバが、一方向逆止弁を有する狭い通路によって接続されている。
【0010】
第1のシステムのさらに別の態様によれば、ポンプが、ホイールリムに取り付けられ、P(i)=P(i)=Pが設定され(i=1〜n;nは使用されるポンプの総数)、x(i)=0、およびθ(i)=2π/n(i−1)が設定され、P(0)=P(常時)が設定され、P(n+1)=Ptire(タイヤキャビティ)が設定され、新たなx(i)、P(i)、およびP(i)が算出され、逆止弁の状態が判定され、すなわち、P(i)≧P(i)+Pcrである場合、逆止弁が開いていると判定され、P(i−1)≧P(i)+Pcrである場合、隣接する逆止弁が開いていると判定され、接続されたチャンバ間の圧力が平衡にされて、逆止弁がリセットされて閉じられ、開いている逆止弁がなくなるまで、x(i)、P(i)、およびP(i)が再計算される。
【0011】
第1のシステムのさらに別の態様によれば、上記態様に続いて、ホイールリムが、予め定められたステップ角まで回転し、新たなx(i)、P(i)、P(i)が算出され、逆止弁の状態が判定され、すなわち、P(i)≧P(i)+Pcrである場合、逆止弁が開いていると判定され、P(i−1)≧P(i)+Pcrである場合、隣接する逆止弁が開いていると判定され、接続されたチャンバ間の圧力が平衡にされて、逆止弁がリセットされて閉じられ、開いている逆止弁がなくなるまで、x(i)、P(i)、およびP(i)が再計算される。
【0012】
第1のシステムのさらに別の態様によれば、複数のポンプが、各ポンプのピストンが各ポンプ内で最大距離移動することにより決定される最大ポンピング能力を有する力制御システムを形成する。
【0013】
第1のシステムのさらに別の態様によれば、各ポンプが、第1の方向におけるピストンの動きを制限する第1の隔壁と、それとは逆の第2の方向におけるピストンの動きを制限する第2の隔壁と、を含んでいる。
【0014】
第1のシステムのさらに別の態様によれば、システムが、重力成分と加速度成分との2つの力によって駆動されている。
【0015】
第1のシステムのさらに別の態様によれば、ポンプパラメータが、ピストン質量パラメータ、第1のピストン行程パラメータ、第2のピストン行程パラメータを含んでいる。
【0016】
本発明による第2のシステムは、ホイールリム上に取り付けられた空気入りタイヤと、ホイールリム上に取り付けられ、空気入りタイヤの空気圧が低下するのを防止するポンピング機構と、をモデル化する。第2のシステムは、ホイールリムの周方向に取り付けられ、それぞれがポンプパラメータを有する複数のポンプと、空気入りタイヤのタイヤキャビティへの流入空気を制御する制御弁とを含んでいる。制御弁は、弁パラメータを有している。第2のシステムは、ポンプパラメータおよび弁パラメータを用いて、さまざまな構成および条件の下でのシステム性能を予測する。
【0017】
第2のシステムの別の態様によれば、複数のポンプおよび制御弁が、マルチチャンバポンプ構成を形成する。
【0018】
第2のシステムのさらに別の態様によれば、各ポンプが、2つのチャンバ間に配置された1つのピストンを含んでいる。
【0019】
第2のシステムのさらに別の態様によれば、2つのチャンバが、一方向逆止弁を有する狭い通路によって接続されている。
【0020】
第2のシステムのさらに別の態様によれば、ポンプが、ホイールリムに取り付けられ、P(i)=P(i)=Pが設定され(i=1〜n;nは使用されるポンプの総数)、x(i)=0、およびθ(i)=2π/n(i−1)が設定され、P(0)=P(常時)が設定され、P(n+1)=Ptire(タイヤキャビティ)が設定され、新たなx(i)、P(i)、およびP(i)が算出され、逆止弁の状態が判定され、すなわち、P(i)≧P(i)+Pcrである場合、逆止弁が開いていると判定され、P(i−1)≧P(i)+Pcrである場合、隣接する逆止弁が開いていると判定され、接続されたチャンバ間の圧力が平衡にされて、逆止弁がリセットされて閉じられ、開いている逆止弁がなくなるまで、x(i)、P(i)、およびP(i)が再計算される。
【0021】
第2のシステムのさらに別の態様によれば、上記態様に続いて、ホイールリムが、予め定められたステップ角まで回転し、新たなx(i)、P(i)、P(i)が算出され、逆止弁の状態が判定され、すなわち、P(i)≧P(i)+Pcrである場合、逆止弁が開いていると判定され、P(i−1)≧P(i)+Pcrである場合、隣接する逆止弁が開いていると判定され、接続されたチャンバ間の圧力が平衡にされて、逆止弁がリセットされて閉じられ、開いている逆止弁がなくなるまで、x(i)、P(i)、およびP(i)が再計算される。
【0022】
第2のシステムのさらに別の態様によれば、複数のポンプが、各ポンプのピストンが各ポンプ内で最大距離移動することにより決定される最大ポンピング能力を有する力制御システムを形成する。
【0023】
第2のシステムのさらに別の態様によれば、各ポンプが、第1の方向におけるピストンの動きを制限する第1の隔壁と、それとは逆の第2の方向におけるピストンの動きを制限する第2の隔壁と、を含んでいる。
【0024】
第2のシステムのさらに別の態様によれば、システムが、重力成分と加速度成分との2つの力によって駆動されている。
【0025】
第2のシステムのさらに別の態様によれば、ポンプパラメータが、ピストン質量パラメータ、第1のピストン行程パラメータ、第2のピストン行程パラメータを含んでいる。
【0026】
本発明と共に使用されるポンピング機構は、ホイールリム上に取り付けられた空気入りタイヤと共に使用され、空気入りタイヤの空気圧が低下するのを防止する。ポンピング機構は、直線的な帯状部を形成し、ホイールリムに対して周方向に取り付けられた複数のポンプと、複数のポンプを直線状の構成になるように相互接続する複数のポンプホルダと、空気入りタイヤのタイヤキャビティへの流入空気を制御する制御弁と、を含んでいる。
【0027】
ポンピング機構の別の態様によれば、ポンピング機構が、ホイールリムに対する大幅な修正および空気入りタイヤに対する修正をそれぞれ施すことなくホイールリムの内側に取り付けられた、薄型で効果的なマルチチャンバポンプシステムを提供する。
【0028】
ポンピング機構のさらに別の態様によれば、ポンピング機構は、空気入りタイヤが回転する間の重力の変化を利用する。
【0029】
ポンピング機構のさらに別の態様によれば、各ポンプは、一対の隔壁に接触して移動するピストン本体を含んでいる。
【0030】
ポンピング機構のさらに別の態様によれば、各ポンプのピストン本体は、空気入りタイヤが回転するたびに第1の方向およびそれとは逆の第2の方向に移動する。
【0031】
ポンピング機構のさらに別の態様によれば、空気入りタイヤに対する荷重がポンピング機構のポンピング作用の周波数に影響を与えることはない。
【0032】
ポンピング機構のさらに別の態様によれば、複数のポンプが、ループを形成するとともにホイールリムの周方向の中央溝内に嵌め込まれる帯状部上に周方向に構成された、それぞれ4個から10個のポンプおよびポンプホルダを含んでいる。
【0033】
ポンピング機構のさらに別の態様によれば、制御弁が、帯状部の始端と終端との間の空間に配置されるようにポンプに類似した形状に形成されている。
【0034】
ポンピング機構のさらに別の態様によれば、ポンプホルダが、ホイールリムの多数のサイズに適合する調整可能な長さを有している。
【0035】
ポンピング機構のさらに別の態様によれば、ポンピング機構が、ポンプおよびポンプホルダと直列に接続されたフィルタユニットをさらに含んでいる。
【0036】
本発明と共に使用される空気入りタイヤは、ホイールリム上に取り付けられ、空気入りタイヤの空気圧が低下するのを防止する。空気入りタイヤは、直線的な帯状部を形成し、直列にホイールリムに取り付けられた複数のポンプと、複数のポンプを直線状の構成になるように相互接続する複数のポンプホルダと、空気入りタイヤのタイヤキャビティへの流入空気を制御する制御弁と、を含んでいる。ポンプは、ホイールリム上の第1の周方向またはそれとは逆の第2の周方向に取り付けられたときに機能する。
【0037】
空気入りタイヤの別の態様によれば、複数の逆止弁が、ポンプ内の空気流を単一の方向に維持する。
【0038】
空気入りタイヤのさらに別の態様によれば、逆止弁が、制御弁のそれぞれ側部に隣接している。
【0039】
空気入りタイヤのさらに別の態様によれば、制御弁が、ポンプへの空気入口に配置されている。
【0040】
空気入りタイヤのさらに別の態様によれば、制御弁が、空気入りタイヤのタイヤキャビティへのポンプの空気出口に配置されている。
【0041】
空気入りタイヤのさらに別の態様によれば、制御弁が、ポンプのバイパスに配置されている。
【0042】
空気入りタイヤのさらに別の態様によれば、空気入りタイヤに対する荷重が各ポンプのポンピング作用の周波数に影響を与えることはない。
【0043】
空気入りタイヤのさらに別の態様によれば、複数のポンプが、ループを形成するとともにホイールリムの周方向の中央溝内に嵌め込まれる帯状部上に周方向に構成された、それぞれ4個から10個のポンプおよびポンプホルダを含んでいる。
【0044】
空気入りタイヤのさらに別の態様によれば、制御弁が、帯状部の始端と終端との間の空間に配置されるようにポンプに類似した形状に形成されている。
【0045】
空気入りタイヤのさらに別の態様によれば、ポンプホルダが、ホイールリムの多数のサイズに適合する調整可能な長さを有している。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】本発明によるシステムの一部を示す概略図である。
図2】本発明と共に使用されるシステムの一部を示す概略図である。
図3図2のシステムの別の部分を示す概略図である。
図4】本発明と共に使用される別の例示的なシステムを示す概略図である。
図5図4の例示的なシステムの一部を示す概略図である。
図6】本発明と共に使用されるさらに別の例示的なシステムを示す概略図である。
図7図6の例示的なシステムの別の部分を示す概略図である。
図8図6の例示的なシステムのさらに別の部分を示す概略図である。
図9A】ポンピング能力およびポンピング圧力に対するピストンの質量の影響を示す図である。
図9B】ポンピング能力およびポンピング圧力に対するピストンの質量の影響を示す図である。
図10A】ポンピング能力およびポンピング圧力に対するピストンの数の影響を示す図である。
図10B】ポンピング能力およびポンピング圧力に対するピストンの数の影響を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0048】
図2から図8に示すように、本発明と共に使用される空気維持タイヤシステム10は、(2つのステムを有する空気入口にはわずかな修正が必要になることもあるが)ホイールリム12には大幅な修正を施すことなくホイールリム12の内側に容易に取り付けることができる、薄型で効果的なマルチチャンバポンプシステムを提供することができる。さらに、空気維持タイヤ10は、タイヤ/ホイール組立体、タイヤ/ホイール性能、またはその両方に大幅な変更を必要としない。
【0049】
空気維持タイヤ10は、空気維持タイヤが回転する間の重力の変化を利用する、ポンピング機構、ポンプ駆動機構、またはポンプ14を含んでいてよい。ポンプ駆動機構14は、一対の隔壁19に接触して移動するピストン本体16の質量の使用、またはカム/ギアシステムを使用してピストン本体を駆動する外部質量(図示せず)の使用を含んでいてよい。ピストン本体16の質量が使用される場合、ポンプ駆動モードは、力制御に基づいていてよい。カム/ギアシステムおよび外部質量が使用される場合、参照により本明細書に組み込まれる、「空気維持タイヤ組立体」という名称の特許文献1に記載されているように、重力によって、ギアの回転が駆動され、この回転を制御可能な変位に変換することができる。
【0050】
タイヤ/ホイールが回転すると、ピストン本体16は、回転ごとに順方向および逆方向に移動することができ、それによって高ポンピング周波数を生成することができる。したがって、車両速度が高くなるほど、ポンピング周波数を高くすることができる。ポンピング作用のパラメータは、タイヤ/ホイール組立体の質量および角速度に依存している。タイヤの荷重条件または他の外部条件がポンピング作用に影響を与えることはない。
【0051】
増幅効果のために、ポンプ駆動機構14の圧縮は、
R=(r)2n
で定義されていてよい。ここで、Rはシステム圧縮比、rは単一チャンバ圧縮比、nはシステム内のポンプの数である。
【0052】
したがって、高圧縮比を実現するために、各ポンプ18の圧縮比を高くする必要はない(例えば、力および変形の少なくとも一方を小さくすることで、高圧縮を生じさせることができる)。
【0053】
ポンプ駆動機構14は、4〜10個のポンプ18およびポンプホルダ20を含んでいてよく、これらは、ループを形成する帯状部であって、ホイールリム12の中央溝(ホイールリムの半径方向で最も内側の部分)に対して周方向に嵌め込まれる帯状部上で直線的に構成されていてよい。制御弁22は、ポンプ18に類似した形状に形成されていてよく、帯状部の始端と終端との間の空間に配置されていてよい。ポンプホルダ20は、ホイールリム12のあらゆるサイズに適合する調整可能な長さを有していてよい。
【0054】
帯状部がホイールリム12に固定された後(図4)で、第1の弁ステムから制御弁の入口までの通路の接続を行うことができる。制御弁22は、フィルタユニット30を含んでいてよい。ポンプ駆動機構14は、双方向的であってよく、どちらの方向にも取り付けられていてよい。ポンプ駆動機構14は、タイヤキャビティの設定圧力を変化させる調整装置を含んでいてよい。したがって、ポンプ駆動機構14は、ホイールリム12の周りに薄型形状を有していてよく、この薄型形状は、タイヤの取り付け/取り外しに干渉することがなく、車両の駆動時に発生する衝撃(クリートまたはくぼみ)に備えてタイヤキャビティ内にクリアランスをもたらしている。さらに、ポンプ駆動機構14の360°構成(図4)は、タイヤ/ホイール組立体のバランスを全く損なわない平衡構造であってよい。
【0055】
図6は、4個のポンプ18と、6個の逆止弁28と、制御弁22と、フィルタ30とを有する例示的な構成を示している。この構成は、タイヤ10の外側からこの構成への空気流入を制御する制御弁22を備えたn個のポンプ18にまで拡大縮小することができる。図6の制御弁22の左側に設けられた逆止弁28は、任意であってよい。
【0056】
図7は、4個のポンプ18と、5個の逆止弁28と、制御弁22と、フィルタ30とを有する別の例示的な構成を示している。この構成は、この構成からタイヤキャビティへの空気流出を制御する制御弁22を備えたn個のポンプ18にまで拡大縮小することができる。制御弁22は、ポンプ18のバイパスに配置されていてよい。
【0057】
図8は、4個のポンプ18と、5個の逆止弁28と、制御弁22と、フィルタ30とを有するさらに別の例示的な構成を示している。この構成は、この構成からタイヤキャビティへの空気流出を制御する制御弁22を備えたn個のポンプ18にまで拡大縮小することができる。制御弁22は、n個のポンプ18と直列に配置されていてよい。
【0058】
本発明によるポンピングシステム、理論、または分析モデル100は、上述のマルチチャンバポンプシステムの挙動(図2から図8)を定義することができる。そのようなシステムは、分析ポンピングモデルとして、適切なコンピュータコードに変換されていてよい。このモデルは、民生の空気維持タイヤシステムおよび市販の空気維持タイヤシステムの両方に関するさまざまな構成および条件の下でのシステム性能を設計および予測することができる。
【0059】
ホイールリム12の円周に沿って等間隔に配置されたn個のポンプ18があってよい。各ポンプ18は、上述したように(図2)、2つのチャンバ101,102(図2)間に配置された1つのピストン16を含んでいてよい。2つのチャンバ101,102は、一方向弁28、すなわちCV(i)(i=1〜n)(図4図8)を有する狭い通路によって接続されていてよい。CV(n+1)およびCV(n+2)が、システム10の空気入口および空気出口であって、ポンプ18間、すなわちCV(i)(i=1〜n)間に配置されていてよい。
【0060】
例えば(図1):
ステップ0
平坦な組立体を流してリムに取り付け(図4および図5)、
(i)=P(i)=Pを設定し、
x(i)=0、およびθ(i)=2π/n(i−1)を設定し、
(0)=P(常時)、およびP(n+1)=Ptire(タイヤキャビティ)を設定し、
新たなx(i)、P(i)、およびP(i)を算出し、
逆止弁の状態を判定し、すなわち、
(i)≧P(i)+Pcrである場合、icv(i)が開いていると判定し、
(i−1)≧P(i)+Pcrである場合、icv(i−1)が開いていると判定し、
接続されたチャンバ間の圧力を平衡にして、逆止弁をリセットして閉じ、
開いている逆止弁がなくなるまで、x(i)、PR(i)、およびPL(i)を再計算する。
ステップ1からステップN
ホイールを予め定められたステップ角まで回転させ、
新たなx(i)、P(i)、P(i)を算出し、
逆止弁の状態を判定し、すなわち、
(i)≧P(i)+Pcrである場合、逆止弁が開いていると判定し、
(i−1)≧P(i)+Pcrである場合、隣接する逆止弁が開いていると判定し、
接続されたチャンバ間の圧力を平衡にして、逆止弁をリセットして閉じ、
開いている逆止弁がなくなるまで、x(i)、P(i)、およびP(i)を再計算する。
【0061】
システム100を以下のように例示的に記載することもできる。
ポンプがθからθ’に移動される。
力成分△PAおよびmgcos(θ’)
ここで、△P=PL−PR
ピストンの移動に関する力のバランスを確認する。
△PA+mgcos(θ’)−mrα>0である場合、ピストンが右に移動する。
△PA+mgcos(θ’)−mrα<0である場合、ピストンが左に移動する。
△PA+mgcos(θ’)−mrα=0である場合、ピストンは移動しない。
xは、ピストンの中心に対する現在のピストン位置である(−x≦x≦x)。
△PA+mgcos(θ’)−mrα=0を用いて、新たなピストンx’を算出する。
ここで、△P’=P’−P’
【0062】
【数1】
【0063】
【数2】
【0064】
ここで、lは0位置でのチャンバ長、Vは各チャンバの終端部(dead-end)体積(圧縮不能)、αは角加速度(通常、約4g〜7g)である。
−x≦x’≦xを維持する。
x’>xである場合、x’=xである。
x’<−xである場合、x’=−xである。
【0065】
このシステム100(例えば、上述の空気維持タイヤ10)は、一方の隔壁19によって制限されるように(X(i)=Xoおよび△PA>m(rα−gcosθ))、ピストン16が右(図1)に最大距離移動することにより決定される最大ポンピング能力を有する力制御システムであってよい。最大ポンピング圧力は、psig単位で、n△P=n[m(rα−gcosθ)]/Aであってよい。例えば、一定速度で移動する、6個のポンプの場合の直径が5.0mmで50gのピストンでは、△Pは、21.74psig(約1.500MPa)であってよい。加速度が5.0gで移動する、6個のポンプの場合の直径が5.0mmの50gのピストンでは、△Pは、130.43psig(約8.993MPa)であってよい。逆止弁28の抵抗すなわちクラッキング圧が無視できない場合、最大ポンピング圧力△Pは、n(△P−Pcr)であってよい。したがって、2つの力成分、すなわち、重力Gおよび加速度Aによって、このシステム100を駆動することができる。重力Gは、短距離においてポンプ18に高周波の周期的効果(cyclic effect)を与えることができる。加速力Aは、低周波または中周波の周期的効果を与えて最大ポンピング圧力を確保することができる。
【0066】
第1の例示的な条件である、一定速度下でのピストン質量の効果の下では、ピストンの直径が5.0mmの6つのポンプ、長さが4.0mmのチャンバ(例えば、チャンバ101,102)、および3.0mmの最大行程距離が、15インチ(38.1cm)のホイール/タイヤ上に実装されていてよい(図9Aおよび図9B)。第2の例示的な条件である、一定速度下でのピストン数の効果の下では、直径が5.0mmで75.0gのピストン、長さが4.0mmのチャンバ(例えば、チャンバ101,102)、および3.0mmの最大行程距離が、15インチ(38.1cm)のホイール/タイヤ上に実装されていてよい(図10Aおよび図10B)。
【0067】
本発明を説明するために、特定の代表的な例および詳細を示しているが、当業者には、本発明の趣旨または範囲から逸脱することなくさまざまな変更および修正を行うことできることが明らかであろう。
【符号の説明】
【0068】
10 空気維持タイヤシステム
12 ホイールリム
14 ポンプ駆動機構
16 ピストン本体
18 ポンプ
19 隔壁
20 ポンプホルダ
22 制御弁
28 逆止弁
30 フィルタ
100 システム
101,102 チャンバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B