(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光源と、この光源から入射した光を所要方向へ導光しながら出射させるように構成された導光体と、上記所要方向に延びるように配置され、上記導光体からの出射光を入射端面から入射させて該入射端面と対向する出射端面から出射させるように構成された透光部材と、を備えた車両用灯具において、
上記透光部材は、上記所要方向の位置によって、該所要方向と直交する方向における上記入射端面の幅が上記導光体の幅よりも広い広幅部とこの広幅部よりも狭い狭幅部とを備えており、
上記広幅部の入射端面は、上記狭幅部の入射端面よりも曲率が大きい凸曲線状の断面形状を有している、ことを特徴とする車両用灯具。
上記透光部材は、上記入射端面および上記出射端面間の幅が、上記入射端面の上記所要方向と直交する方向の幅に対して1〜5倍の値に設定されている、ことを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の車両用灯具。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記「特許文献1」に記載された車両用灯具のように、透光部材が所要方向に略一定の断面形状で延びており、かつ、その入射端面の幅が導光体の幅と略同一である場合には、透光部材の出射端面が所要方向の各位置において略均一に光って見えるようにすることが比較的容易であるが、透光部材の構成によってはこれを実現することが困難なものとなる。
【0007】
すなわち、透光部材の構成として、所要方向の位置によって、所要方向と直交する方向における入射端面の幅が導光体の幅よりも広い広幅部とこの広幅部よりも狭い狭幅部とを備えた構成となっている場合には、透光部材に入射した光の光路が所要方向の各位置によって異なったものとなるので、透光部材の出射端面が略均一に光って見えるようにすることが困難となる。
【0008】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、所要方向に延びる導光体および透光部材を備えた車両用灯具において、透光部材の入射端面の幅が所要方向の位置によって変化している場合であっても、その出射端面が略均一に光って見えるようにすることができる車両用灯具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明は、透光部材の構成に工夫を施すことにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
【0010】
すなわち、本願発明に係る車両用灯具は、
光源と、この光源から入射した光を所要方向へ導光しながら出射させるように構成された導光体と、上記所要方向に延びるように配置され、上記導光体からの出射光を入射端面から入射させて該入射端面と対向する出射端面から出射させるように構成された透光部材と、を備えた車両用灯具において、
上記透光部材は、上記所要方向の位置によって、該所要方向と直交する方向における上記入射端面の幅が上記導光体の幅よりも広い広幅部とこの広幅部よりも狭い狭幅部とを備えており、
上記広幅部の入射端面は、上記狭幅部の入射端面よりも曲率が大きい凸曲線状の断面形状を有している、ことを特徴とするものである。
【0011】
上記「光源」の種類は特に限定されるものではなく、例えば発光ダイオードやレーザダイオード等が採用可能である。
【0012】
上記「所要方向」の具体的な方向は特に限定されるものではない。
【0013】
上記「透光部材」は、所要方向の位置によって所要方向と直交する方向における入射端面の幅が変化しているが、その変化の仕方は特に限定されるものではなく、その際、連続的に変化していてもよいし段階的に変化していてもよい。
【0014】
上記「広幅部の入射端面」は、狭幅部の入射端面よりも曲率が大きい凸曲線状の断面形状を有していれば、その曲率の具体的な大きさは特に限定されるものではない。
【0015】
上記「狭幅部の入射端面」の断面形状は、凸曲線状であってもよいし直線状であってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本願発明に係る車両用灯具は、所要方向に延びる導光体および透光部材を備えており、導光体において光源から入射した光を所要方向へ導光しながら出射させ、透光部材においてこの出射光を入射端面から入射させて該入射端面と対向する出射端面から出射させるように構成されているので、透光部材の出射端面が光って見えるようにすることができる。
【0017】
その際、上記透光部材は、所要方向の位置によって、所要方向と直交する方向における入射端面の幅が導光体の幅よりも広い広幅部とこの広幅部よりも狭い狭幅部とを備えた構成となっているが、広幅部の入射端面は狭幅部の入射端面よりも曲率が大きい凸曲線状の断面形状を有しているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0018】
すなわち、導光体から出射した後、透光部材に入射してその出射端面に到達する光としては、その入射端面から入射して直接出射端面に到達する光と、その入射端面から入射した後、入射端面と出射端面との間に位置する側面において全反射してから到達する光とが含まれる。
【0019】
その際、狭幅部の入射端面が直線状の断面形状を有していると仮定したとき、この狭幅部の入射端面から入射した光はその多くが直接出射端面に到達するが、それ以外の光も側面において大きな入反射角で全反射するので、透光部材の出射端面からの出射光は、いずれも灯具正面方向に近い方向に向かう光となる。したがって、この狭幅部の出射端面を略均一に光って見えるようにすることができる。
【0020】
これに対し、広幅部の入射端面が直線状の断面形状を有していると仮定したとき、この広幅部の入射端面から入射した光のうち、直接出射端面に到達する光以外は、側面において比較的小さな入反射角で全反射するので、透光部材の出射端面からの出射光は、灯具正面方向からある程度傾斜した方向に向かう光となる。したがって、この広幅部の出射端面を略均一に光って見えるようにすることが困難となる。
【0021】
その点、本願発明においては、広幅部の入射端面が狭幅部の入射端面よりも曲率が大きい凸曲線状の断面形状を有しているので、広幅部の入射端面から入射した後、側面に到達する光の割合を小さくすることができ、かつ、側面に到達した光を比較的大きい入反射角で全反射させることができる。そしてこれにより、透光部材の出射端面からの出射光の多くを灯具正面方向に近い方向に向かう光とすることができる。したがって、この広幅部の出射端面を略均一に光って見えるようにすることができる。
【0022】
このように本願発明によれば、所要方向に延びる導光体および透光部材を備えた車両用灯具において、透光部材の入射端面の幅が所要方向の位置によって変化している場合であっても、その出射端面が略均一に光って見えるようにすることができる。
【0023】
その際、透光部材に入射する導光体からの出射光の光量は、導光方向上流側において相対的に大きくなる。したがって、透光部材の構成として、広幅部が狭幅部よりも導光方向上流側に配置された構成とすることにより、広幅部の出射端面を狭幅部の出射端面と同等の明るさで略均一に光って見えるようにすることが容易に可能となる。
【0024】
上記構成において、透光部材における狭幅部の入射端面として、所要方向と直交する方向の断面形状が直線状に設定された構成とすれば、次のような作用効果を得ることができる。
【0025】
すなわち、透光部材の入射端面が凸曲線状の断面形状を有している場合には、透光部材と導光体との位置関係が所期の位置関係から所要方向と直交する方向にずれると、透光部材による光制御が適正に行われなくなる。その際、同じずれ幅であっても、狭幅部では広幅部よりも光制御への悪影響が大きくなる。
【0026】
そこで、狭幅部に関しては、その入射端面が直線状の断面形状を有する構成とすることにより、透光部材と導光体との間に位置ずれが生じた場合であっても光制御が適正に行われなくなってしまうのを効果的に抑制することができる。特に、狭幅部が導光方向下流側に位置している場合には、導光体との間に位置ずれが生じやすいので、このような構成を採用することが効果的である。
【0027】
上記構成において、透光部材における入射端面と出射端面との間に位置する側面に光拡散処理が施されている場合には、次のような作用効果を得ることができる。
【0028】
すなわち、上述したとおり本願発明においては、広幅部の入射端面が狭幅部の入射端面よりも曲率が大きい凸曲線状の断面形状を有しているので、広幅部においても、その入射端面から入射した後その側面に到達する光の割合を小さくすることができる。したがって、意匠性を高めるため(例えば透光部材を透して導光体が見えてしまわないようにするため)に、透光部材の側面に光拡散処理を施したような場合であっても、これによる配光への影響を最小限に抑えることができる。
【0029】
上記構成において、透光部材が、所要方向の位置によって上下方向の傾斜角度が異なる方向に延びるように形成されており、その広幅部が狭幅部よりも上下方向の傾斜角度が大きい位置に配置されている場合には、次のような作用効果を得ることができる。
【0030】
すなわち、透光部材と導光体との位置ずれのためにその広幅部において光制御が適正に行われなくなったとしても、これにより出射光の向きがずれる方向は水平方向に近い方向になるので、車両用灯具の配光性能に及ぼす影響を最小限に抑えることができる。
【0031】
上記構成において、透光部材の構成として、入射端面および出射端面間の幅が、入射端面の所要方向と直交する方向の幅に対して1〜5倍の値に設定された構成とすれば、次のような作用効果を得ることができる。
【0032】
すなわち、このように入射端面および出射端面間の幅を比較的短い値に設定することにより、入射端面と出射端面との間に位置する側面で全反射した光を、出射端面において側面に近い位置に到達させることができ、これにより出射端面をその全幅にわたって略均一に光らせることが容易に可能となる。その際、入射端面および出射端面間の幅が、入射端面の所要方向と直交する方向の幅に対して3倍以下の値に設定された構成とすることがより好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
【0035】
図1は、本願発明の一実施形態に係る車両用灯具10を示す正面図である。また、
図2(a)は、
図1のIIa−IIa線断面図であり、
図2(b)は、
図1のIIb−IIb線断面図である。
【0036】
図1に示すように、本実施形態に係る車両用灯具10は、車両の左前端部に設けられるクリアランスランプであって、図示しないランプボディと透光カバーとで形成される灯室内にヘッドランプユニット50と共に収容されている。
【0037】
この車両用灯具10は、光源20と導光体30と透光部材40とを備えた構成となっており、上記ランプボディに支持されている。
【0038】
導光体30は、アクリル樹脂等からなる透明な合成樹脂成形品であって、車幅方向に湾曲して延びる導光柱として構成されている。
【0039】
この導光体30は、ヘッドランプユニット50の外形形状に沿って延びるように形成されている。具体的には、この導光体30は、その車幅方向内側の右端面(灯具正面視では左端面)30bから車幅方向外側へ向けて略水平方向に延びた後、途中で上向きに湾曲して鉛直方向に近い角度で左端面30aまで斜め上後方へ向けて延びるように形成されている。
【0040】
以下の説明においては、このようにして導光体30が延びる方向を「所要方向」ということとする。
【0041】
光源20は、白色発光ダイオードであって、その発光面20aを導光体30の左端面30aへ向けた状態(すなわち斜め下前方へ向けた状態)で配置されている。そして、この光源20は、その発光面20aからの出射光を導光体30に対してその左端面30aから入射させるようになっている。
【0042】
導光体30は、所要方向と直交する方向の断面形状が円形状に設定されている。この導光体30の後面部には、複数の反射素子30sが該後面部から凹むようにして形成されている。これら複数の反射素子30sは、所要方向に略等間隔をおいて並んで配置されている。
【0043】
そして、この導光体30は、該導光体30に入射した光源20からの光を、所要方向へ導光しながら複数の反射素子30sにおいて内面反射させて、その前面部から前方へ向けて出射させるようになっている。
【0044】
透光部材40は、アクリル樹脂等からなる透明な合成樹脂成形品であって、導光体30の前方において所要方向に延びるように配置されている。
【0045】
この透光部材40は、所要方向と直交する方向の断面形状が略矩形状に設定されており、その後端面を構成する入射端面40bからその前端面を構成する出射端面40aにかけて、これらの間に位置する内側面(ヘッドランプユニット50側の側面)40cと外側面(ヘッドランプユニット50とは反対側の側面)40dとが互いに僅かに近づくように形成されている。
【0046】
この透光部材40は、所要方向の位置によって所要方向と直交する方向における入射端面40bの幅が変化している。
【0047】
すなわち、
図2に示すように、この透光部材40は、入射端面40bの幅Wが導光体30の幅(すなわち直径)Dよりも広い広幅部40Aと、この広幅部40Aよりも狭い狭幅部40Bとを備えている。具体的には、広幅部40Aにおける入射端面40bの幅Wは、導光体30の幅Dの1.3〜2倍程度の値に設定されており、狭幅部40Bにおける入射端面40bの幅Wは、導光体30の幅Dの0.8〜1.2倍程度の値に設定されている。
【0048】
広幅部40Aは、導光体30において左端面30a寄りの部分(すなわち鉛直方向に近い角度で延びる部分)に位置しており、狭幅部40Bは、導光体30において右端面30b寄りの部分(すなわち略水平方向に延びる部分)に位置している。そして、広幅部40Aと狭幅部40Bとの間の湾曲した部分は、広幅部40Aから狭幅部40Bにかけて入射端面40bの幅が徐々に変化している。
【0049】
この透光部材40の前後幅(すなわち入射端面40bおよび出射端面40a間の幅)Lは、入射端面40bの幅Wの1〜5倍程度の値(より好ましくは1〜3倍程度の値)に設定されている。
【0050】
この透光部材40の出射端面40aは、所要方向の全域にわたって所要方向と直交する方向の断面形状が直線状に設定されている。
【0051】
また、この透光部材40の入射端面40bは、広幅部40Aにおいては所要方向と直交する方向の断面形状が凸曲線状に設定されており、狭幅部40Bにおいては所要方向と直交する方向の断面形状が直線状に設定されている。
【0052】
図2(b)に示すように、導光体30から出射して透光部材40の入射端面40bから狭幅部40Bに入射する光は、導光体30の断面中心を通るようにして前後方向に延びる軸線Ax寄りの方向に屈折する。
【0053】
その際、軸線Axに対して比較的小さい開き角度で導光体30から出射した光は、狭幅部40Bに入射した後、出射端面40aに直接到達する。そして、この出射端面40aから軸線Axに対して比較的小さい開き角度で前方へ向けて出射する。
【0054】
一方、軸線Axに対して比較的大きい開き角度で導光体30から出射した光は、狭幅部40Bに入射した後、内側面40cや外側面40dで全反射した後、出射端面40aに到達する。その際、内側面40cや外側面40dで全反射するときの入反射角はかなり大きい(それぞれ90°に近い)ので、この全反射した光が出射端面40aから出射する際の軸線Axに対する開き角度も比較的小さい角度となる。
【0055】
このため、灯具前方から透光部材40を観察したとき、その狭幅部40Bが全幅にわたって略均一に光って見えることとなる。
【0056】
図2(a)に示すように、導光体30から出射して透光部材40の入射端面40bから広幅部40Aに入射する光は、その入射端面40bが凸曲線状の断面形状を有しているので、軸線Ax寄りの方向に大きく屈折する。
【0057】
その際、軸線Axに対して比較的小さい開き角度で導光体30から出射した光は、広幅部40Aに入射した後、出射端面40aに直接到達する。そして、この出射端面40aから軸線Axに対して比較的小さい開き角度で前方へ向けて出射する。
【0058】
一方、軸線Axに対して比較的大きい開き角度で導光体30から出射した光は、広幅部40Aに入射した後、その内側面40cや外側面40dで全反射した後、その出射端面40aに到達する。その際、内側面40cや外側面40dで全反射するときの入反射角はかなり大きい(それぞれ90°に近い)ので、この全反射した光が出射端面40aから出射する際の軸線Axに対する開き角度も比較的小さい角度となる。
【0059】
このため、灯具前方から透光部材40を観察したとき、その広幅部40Aが全幅にわたって略均一に光って見えることとなる。
【0060】
これに対し、
図2(a)に2点鎖線で示すように、仮に広幅部40Aの入射端面40bが直線状の断面形状を有していたとすると、導光体30から出射して透光部材40の入射端面40bから広幅部40Aに入射する光は、軸線Ax寄りの方向に屈折するが、その際の屈折角は広幅部40Aの入射端面40bが凸曲線状の断面形状を有している場合に比してかなり小さいものとなる。このため、軸線Axに対して比較的大きい開き角度で導光体30から出射した光は、広幅部40Aに入射した後、その内側面40cや外側面40dで全反射した後、その出射端面40aに到達するが、その際、内側面40cや外側面40dで全反射するときの入反射角は、広幅部40Aの入射端面40bが凸曲線状の断面形状を有している場合に比してかなり小さいものとなる。このため、内側面40cや外側面40dで全反射した光が出射端面40aから出射する際の軸線Axに対する開き角度はかなり大きい角度となる。
【0061】
このため、灯具前方から透光部材40を観察したとき、その広幅部40Aにおける内側面40cおよび外側面40d寄りの部分がやや暗く見えてしまうこととなる。
【0062】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0063】
本実施形態に係る車両用灯具10は、所要方向に延びる導光体30および透光部材40を備えており、導光体30において光源20から入射した光を所要方向へ導光しながら出射させ、透光部材40においてこの出射光を入射端面40bから入射させて該入射端面40bと対向する出射端面40aから出射させるように構成されているので、透光部材40の出射端面40aが光って見えるようにすることができる。
【0064】
その際、透光部材40は、所要方向の位置によって、所要方向と直交する方向における入射端面40bの幅が導光体30の幅よりも広い広幅部40Aとこの広幅部40Aよりも狭い狭幅部40Bとを備えた構成となっているが、広幅部40Aの入射端面40bは狭幅部40Bの入射端面40bよりも曲率が大きい凸曲線状の断面形状を有しているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0065】
すなわち、導光体30から出射した後、透光部材40に入射してその出射端面40aに到達する光としては、その入射端面40bから入射して直接出射端面40aに到達する光と、その入射端面40bから入射した後、入射端面40bと出射端面40aとの間に位置する内側面40cや外側面40dにおいて全反射してから到達する光とが含まれる。
【0066】
その際、狭幅部40Bの入射端面40bは直線状の断面形状を有しているが、この狭幅部40Bにおいては、その入射端面40bから入射した光の多くが直接出射端面40aに到達し、それ以外の光も内側面40cや外側面40dにおいて大きな入反射角で全反射するので、透光部材40の出射端面40aからの出射光は、いずれも灯具正面方向に近い方向に向かう光となる。したがって、この狭幅部40Bの出射端面40aを略均一に光って見えるようにすることができる。
【0067】
一方、広幅部40Aの入射端面40bが直線状の断面形状を有していると仮定したとき、この広幅部40Aの入射端面40bから入射した光のうち、直接出射端面40aに到達する光以外は、内側面40cや外側面40dにおいて比較的小さな入反射角で全反射するので、透光部材40の出射端面40aからの出射光は、灯具正面方向からある程度傾斜した方向に向かう光となる。したがって、この広幅部40Aの出射端面40aを略均一に光って見えるようにすることが困難となる。
【0068】
その点、本実施形態においては、広幅部40Aの入射端面40bが凸曲線状の断面形状を有している(すなわち狭幅部40Bの入射端面40bよりも曲率が大きい凸曲線状の断面形状を有している)ので、広幅部40Aの入射端面40bから入射した後、内側面40cや外側面40dに到達する光の割合を小さくすることができ、かつ、内側面40cや外側面40dに到達した光を比較的大きい入反射角で全反射させることができる。そしてこれにより、透光部材40の出射端面40aからの出射光の多くを灯具正面方向に近い方向に向かう光とすることができる。したがって、この広幅部40Aの出射端面40aを略均一に光って見えるようにすることができる。
【0069】
このように本実施形態によれば、所要方向に延びる導光体30および透光部材40を備えた車両用灯具10において、透光部材40の入射端面40bの幅が所要方向の位置によって変化している場合であっても、その出射端面40aが略均一に光って見えるようにすることができる。
【0070】
その際、透光部材40に入射する導光体30からの出射光の光量は、導光方向上流側において相対的に大きくなるが、透光部材40はその広幅部40Aが狭幅部40Bよりも導光方向上流側に配置されているので、広幅部40Aの出射端面40aを狭幅部40Bの出射端面40aと同等の明るさで略均一に光って見えるようにすることが容易に可能となる。
【0071】
また、本実施形態の透光部材40における狭幅部40Bの入射端面40bは、所要方向と直交する方向の断面形状が直線状に設定されているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0072】
すなわち、透光部材40の入射端面40bが凸曲線状の断面形状を有している場合には、透光部材40と導光体30との位置関係が所期の位置関係から所要方向と直交する方向にずれると、透光部材40による光制御が適正に行われなくなる。その際、同じずれ幅であっても、狭幅部40Bでは広幅部40Aよりも光制御への悪影響が大きくなる。
【0073】
そこで、狭幅部40Bに関しては、その入射端面40bが直線状の断面形状を有する構成とすることにより、透光部材40と導光体30との間に位置ずれが生じた場合であっても光制御が適正に行われなくなってしまうのを効果的に抑制することができる。特に、導光方向下流側に位置する狭幅部40Bは、導光体30との間に位置ずれが生じやすいので、このような構成を採用することが効果的である。
【0074】
さらに本実施形態の透光部材40は、所要方向の位置によって上下方向の傾斜角度が異なる方向に延びるように形成されているが、その広幅部40Aが狭幅部40Bよりも上下方向の傾斜角度が大きい位置に配置されているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0075】
すなわち、透光部材40と導光体30との位置ずれのためにその広幅部40Aにおいて光制御が適正に行われなくなったとしても、これにより出射光の向きがずれる方向は水平方向に近い方向になるので、車両用灯具10の配光性能に及ぼす影響を最小限に抑えることができる。
【0076】
また本実施形態においては、透光部材40の前後幅(すなわち入射端面40bおよび出射端面40a間の幅)が、入射端面40bの所要方向と直交する方向の幅に対して1〜5倍の値に設定されているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0077】
すなわち、このように透光部材40の前後幅を比較的短い値に設定することにより、透光部材40における入射端面40bと出射端面40aとの間に位置する内側面40cや外側面40dで全反射した光を、出射端面40aにおいて内側面40cや外側面40dに近い位置に到達させることができ、これにより出射端面40aをその全幅にわたって略均一に光らせることが容易に可能となる。その際、透光部材40の前後幅が、入射端面40bの所要方向と直交する方向の幅に対して3倍以下の値に設定された構成とすることがより好ましい。
【0078】
上記実施形態においては、導光体30が円形の断面形状を有しているものとして説明したが、これ以外の断面形状(例えば矩形状の断面形状等)を有する構成とすることも可能である。
【0079】
上記実施形態においては、導光体30の後面部に複数の反射素子30sが後面部から凹むようにして形成されているものとして説明したが、複数の反射素子30sが後面部から突出するようにして形成された構成とすることも可能である。
【0080】
上記実施形態においては、略矩形状の断面形状を有する透光部材40が、その入射端面40bから出射端面40aにかけて内側面40cおよび外側面40dが互いに僅かに近づくように形成されているものとして説明したが、これ以外の構成(例えば内側面40cおよび外側面40dが互いに平行に延びるように形成された構成)とすることも可能である。
【0081】
上記実施形態においては、透光部材40の出射端面40aにおける所要方向と直交する方向の断面形状が直線状に設定されているものとして説明したが、それ以外の断面形状(例えば凸曲線状の断面形状)に設定された構成とすることも可能である。
【0082】
上記実施形態においては、車両用灯具10が、車両の左前端部に設けられるクリアランスランプである場合について説明したが、クリアランスランプ以外にも、デイタイムランニングランプ、テールランプ、ストップランプ、ターンシグナルランプ、ルームランプ等、車両に設けられる箇所や機能にかかわらず、上記実施形態と同様の構成を採用することにより上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0083】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0084】
図3および4は、本変形例に係る車両用灯具110を示す、
図1および2と同様の図である。
【0085】
同図に示すように、本変形例の基本的な構成は上記実施形態の場合と同様であるが、透光部材140の構成が上記実施形態の場合と一部異なっている。
【0086】
すなわち、本変形例の透光部材140は、その内側面140cおよび外側面140dに光拡散処理が施された構成となっている。具体的には、この光拡散処理として、前後方向に延びるローレット(すなわち複数の突条部)140sを形成する処理が行われている。
【0087】
本変形例の構成を採用することにより、次のような作用効果を得ることができる。
【0088】
すなわち、本変形例の透光部材140は、上記実施形態の場合と同様、広幅部140Aの入射端面140bが狭幅部140Bの入射端面140bよりも曲率が大きい凸曲線状の断面形状を有しているので、広幅部140Aにおいても、その入射端面140bから入射した後、内側面140cや外側面140dに到達する光の割合を小さくすることができる。したがって、意匠性を高めるため(例えば透光部材40を透して導光体30が見えてしまわないようにするため)に、透光部材40の内側面140cおよび外側面140dにローレット140sが形成されているにもかかわらず、これによる配光への影響を最小限に抑えることができる。
【0089】
しかも本変形例においては、光拡散処理がローレット140sの形成によって行われているので、内側面140cや外側面140dに到達した光は、その一部が所要方向に拡散反射して内側面140cや外側面140dから外部に出射する一方、前方へ向けては正反射するので、これを出射端面140aから出射する光として有効に利用することができる。
【0090】
上記変形例においては、光拡散処理がローレット140sの形成によって行われているものとして説明したが、これ以外の構成(例えばシボ加工やフロスト処理が施された構成)とすることも可能である。
【0091】
なお、上記実施形態およびその変形例において諸元として示した数値は一例にすぎず、これらを適宜異なる値に設定してもよいことはもちろんである。
【0092】
また、本願発明は、上記実施形態およびその変形例に記載された構成に限定されるものではなく、これ以外の種々の変更を加えた構成が採用可能である。