特許第6557557号(P6557557)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6557557
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】組合せ計量装置
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/387 20060101AFI20190729BHJP
【FI】
   G01G19/387 Z
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-173139(P2015-173139)
(22)【出願日】2015年9月2日
(65)【公開番号】特開2017-49145(P2017-49145A)
(43)【公開日】2017年3月9日
【審査請求日】2018年8月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】上垣内 暁
(72)【発明者】
【氏名】小西 洋江
【審査官】 細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−003217(JP,A)
【文献】 特開平08−261815(JP,A)
【文献】 特開2004−191082(JP,A)
【文献】 特開昭61−025027(JP,A)
【文献】 特開2012−112758(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0205413(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 19/387
G01G 19/393
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置への物品の新たな供給を断った状態で、前記装置内に残った物品を複数の計量ホッパに供給しながら組合せ計量を繰り返す終業モードにおいて、組合せが成立しなかった場合に、少なくとも一部の計量ホッパから物品を強制排出して再び計量ホッパに物品を供給し、続いて複数の計量ホッパの計量値と強制排出した物品の計量値とに基づいて最適組合せの物品を求めて排出することを特徴とする組合せ計量方法。
【請求項2】
前記組合せが成立しなかった場合は、前記装置内に残留する物品で前記組合せ計量を行ったときに前記組合せが成立しなかった場合において、前記複数の計量ホッパの中の一部の計量ホッパに物品を追加供給した後で再度の前記組合せ計量が行われたとしても、前記組合せが成立しなかった場合であることを特徴とする請求項1に記載の組合せ計量方法。
【請求項3】
前記一部の計量ホッパから物品を強制排出した後は、最適組合せを求めるための組合せ加算値の許容範囲の上限値を拡張してから、複数の計量ホッパの計量値と強制排出した物品の計量値とに基づいて最適組合せを求めることを特徴とする請求項1に記載の組合せ計量方法。
【請求項4】
物品を計量する複数の計量ホッパと、各計量ホッパで計量された物品の計量値に基づいて最適組合せを求め、求めた最適組合せに属する計量ホッパから物品を排出させる制御部と、装置への物品の新たな供給を断った状態で、前記装置内に残った物品で組合せ計量を行わせる終業モード設定部とを備え、
前記設定部によって終業モードが設定されると、前記制御部は、前記装置内に残留する物品で組み合せ計量を行わせるサイクルの中で組み合わせが成立しなかった場合に、少なくとも一部の計量ホッパから物品を強制排出して再び計量ホッパに物品を供給する処理において取得した、少なくとも一部の計量ホッパから強制排出させた物品の計量値と、前記処理の後に続く処理において計量した複数の計量ホッパの計量値とに基づいて最適組合せの物品を求めることを特徴とする組合せ計量装置。
【請求項5】
前記終業モードにおいて、組合せ不成立の持続回数を設定する設定部を更に備え、前記制御部は、終業モードにおいて、前記組合せ不成立の回数が前記設定部で設定された所定回数に満たない間は、前記組合せ不成立の度に前記強制排出をすることなく、一部の計量ホッパに物品を追加供給させて組合せ計量を行い、組合せ不成立の回数が前記所定回数に達すると、少なくとも一部の計量ホッパから物品を強制排出して再び計量ホッパに物品を供給する処理において取得した、少なくとも一部の計量ホッパから強制排出させた物品の計量値と、前記処理の後に続く処理において計量した複数の計量ホッパの計量値とに基づいて最適組合せの物品を求めることを特徴とする請求項4に記載の組合せ計量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転中に物品の種類を変更する場合や終業時に装置を停止する場合に、装置内に残る物品を最後まで所定量に計量して排出することのできる組合せ計量方法と、それを実施する装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
組合せ計量装置は、加工食品等の生産ラインにおいて、上流側装置から供給される加工食品等(以下、物品と言う)を所定量に計量して下流側の包装装置に排出する自動計量装置として広く使用されている。
【0003】
こうした生産ラインにおいて、運転中に物品の種類を変えたり、終業時に装置の運転を停止したりするときは、上流側装置から運転を順次停止させて、下流側の組合せ計量装置への供給を断つが、それでも組合せ計量装置内には、かなりの物品が残るので、これまでの装置では、下記特許文献に記載されているように、全てのホッパの開閉ゲートを全開にした状態で装置内の残留物を装置外へ排出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−271328号公報
【特許文献2】特許第4804810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、装置外に排出された物品は、通常は不良品として扱われるから、製品の歩留まりを重視するユーザや単価の高い物品を扱うユーザにおいては、そうした残留物も可能な限り所定量に計量して商品にしたいという要求がある。
【0006】
そのため、これまでの装置では、装置内の残留量が少なくなると、物品が不足するホッパに物品を追加供給したり、組合せ目標値の上限値を上げたりして、組合せ計量を可能な限り持続させているが、それでも上流からの供給が断たれた状態では、組合せが成立しなくなるから、所定量の商品が多数できる量の物品が残っていても、組合せが成立しなくなった時点で装置内に残った物品を排出モードで排出しているのが現状である。
【0007】
本発明は、そうした排出モードで排出される量を、商品にはできない最小量にまで減少させることのできる新たな組合せ計量方法とそれを実行する組合せ計量装置とを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る組合せ計量方法は、物品の新たな供給を断った状態で、装置内に残った物品を複数の計量ホッパに供給しながら組合せ計量を繰り返す終業モードにおいて、組合せが成立しなかった場合に、少なくとも一部の計量ホッパから物品を強制排出して再び計量ホッパに物品を供給し、続いて複数の計量ホッパで計量した計量値と強制排出した物品の計量値とに基づいて最適組合せの物品を求めて排出することを特徴とする。
【0009】
ここで、組合せが成立しなかった場合とは、組合せ加算値が上限値と下限値(通常は、この下限値が組合せ目標値となる)との間(以下、この間を許容範囲と言う)に収まらなかった場合であり、それには、組合せ加算値が許容範囲を超えてしまう過量の場合もあれば、許容範囲に達しない軽量の場合もある。なお、ここでは、許容範囲内にあって、目標値に最も近い組合せを最適組合せという。また、ここで使用する計量値は、物品の質量又はその質量を単体質量で割った個数を含む概念である。
【0010】
また、組合せが成立しなかった場合に、いきなり一部の計量ホッパから物品を強制的に排出するのではなく、一部の計量ホッパに物品を追加供給してから、再び組合せ演算を実行する。そうすれば、最適組合せが見つかる可能性もある。
そこで、前述の組合せが成立しなかった場合とは、一部の計量ホッパに物品を追加供給しても組合せが成立しなかった場合であることを特徴とする。
これにより、終業モードに入っても、所定量に計量された物品として排出しながら、装置内の残量を減らすことができる。
【0011】
通常モードでは、計量ホッパへの物品の供給と、それに続く計量、得られた各計量値を組合せて最適組合せを求め、求めた最適組合せに係る計量ホッパから物品を排出するサイクルを繰り返す。終業モードに入っても、残量が多い間は、通常モードのサイクルを繰り返すが、残量が少なくなれば、前述の追加供給によって組合せ計量サイクルを繰り返し、それでも組合せが成立しなければ、一部の計量ホッパから物品を強制的に排出して組合せ不成立の状態を解消する。この場合において、強制排出する物品の合計値は、許容範囲の下限値以下、好ましくは下限値未満となるように強制排出のホッパ数を制限しておく。続いて、排出して空になった計量ホッパに物品を供給して計量し、得られた各計量値(強制排出された計量ホッパとそれ以外の計量ホッパの計量値)と強制排出した物品の計量値とに基づいて次回の最適組合せを求める。この場合において、組合せ加算値に、強制排出した物品の計量値を常に加えた状態で最適組合せを求めても良いし、これに代えて、当初の組合せ目標値から、強制排出した物品の計量値を差し引いた差分値を新たな組合せ目標値として最適組合せを求めても良い。
【0012】
強制排出する計量ホッパとしては、物品を排出しなかった回数の多い計量ホッパを優先的に選択することを特徴とする。すなわち、物品の非排出回数が多いと、その計量ホッパに物品を供給する上段のプールホッパや、さらにその上段の放射フィーダには、物品が多く残っている可能性があるから、そうした系列を優先的に選んで残量を減らすのである。
【0013】
強制排出された物品は、包装装置の上段に配置されたタイミングホッパに一時的に蓄えられる。あるいは、包装装置に直接排出される。ただし、包装装置に排出する場合は、組合せ計量装置から包装装置に計量完了信号を送信せずに、包装装置を待機させておく。そうすれば、強制排出された物品は、密封されずに袋に収納されたままとなる。そして、続くサイクルにおいて、強制排出した物品の計量値とその後に計量した各物品の計量値とに基づいて組合せ演算を実行し、その結果、最適組合せが見つかれば、最適組合せに属する計量ホッパから物品を排出する。排出された物品は、タイミングホッパに収納され、あるいは、強制排出の物品が充填された袋に直接排出されて目標値に最も近い物品となる。そして、タイミングホッパから包装装置に物品を排出して包装する。あるいは、所定量になった袋をシールして袋詰め商品を完成させる。
【0014】
こうして装置内の残量が少なくなると、強制排出した計量ホッパに、次のサイクルも物品が必ず供給されるとは限らない。しかし、何れかの計量ホッパに物品が供給されれば、新たな最適組合せが見つかる可能性がある。それでも見つからなければ、再び非排出回数の多い計量ホッパを強制排出することになる。
【0015】
こうした強制排出は、最適組合せが見つからなかった場合に実行されるから、許容範囲の上限値を拡張して組合せを成立し易くすれば、更に残量を減らすことができる。
そこで、本発明では、物品を計量ホッパから強制排出した後は、最適組合せを求めるための上限値を拡張してから、複数の計量ホッパの計量値と強制排出した物品の計量値とに基づいて最適組合せを求めることを特徴とする。
これにより、所定量の物品として排出しながら、装置内の残量を減らすことができる。
【0016】
こうした処理を繰り返していけば、最後には、各計量ホッパの残量を合計しても、許容範囲未満の状態に陥って組合せが行き詰るから、その時点で、計量ホッパに残った物品を装置外へ排出する。これにより、装置内の残量を袋詰め商品にはできない最小量まで減らすことができる。
【0017】
本発明に係る組合せ計量装置は、物品を計量する複数の計量ホッパと、各計量ホッパで計量された物品の計量値に基づいて最適組合せを求め、求めた最適組合せに属する計量ホッパから物品を排出させる制御部と、装置内に残留する物品で組合せ計量を行わせる終業モード設定部とを備え、該設定部によって終業モードが設定されると、前記制御部は、組合せ不成立のサイクルにおいて取得した、少なくとも一部の計量ホッパから強制排出させた物品の計量値と、後のサイクルにおいて計量した複数の計量ホッパの計量値とに基づいて最適組合せの物品を求めることを特徴とする。
【0018】
また、前記組合せ計量装置は、終業モードにおいて、組合せ不成立の持続回数を設定する設定部を更に備え、前記制御部は、終業モードにおいて、組合せ不成立の回数が前記設定部で設定された所定回数に満たない間は、組合せ不成立の度に一部の計量ホッパに物品を追加供給させて組合せ計量を行い、所定回数に達すると、一部の計量ホッパから強制排出させた物品の計量値と、続くサイクルにおいて計量した各計量ホッパの計量値とに基づいて最適組合せの物品を求めることを特徴とする。
【0019】
また、前記組合せ計量装置は、最適組合せを求めるための上限値を拡張する上限値拡張手段を更に備え、前記制御部は、最適組合せを求めるための上限値を拡張してから、組合せ不成立のサイクルにおいて取得した、少なくとも一部の計量ホッパから強制排出させた物品の計量値と、後のサイクルにおいて計量した複数の計量ホッパの計量値とに基づいて最適組合せの物品を求めることを特徴とする。これにより、組合せを成立し易くして、装置内の残量を効果的に減らすことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、終業モードにおいて、各計量ホッパの計量値だけでは、組合せが成立しない場合でも、一部の計量ホッパから物品を強制的に排出し、続くサイクルで、それらの計量ホッパに物品を供給した後、再び、複数の計量ホッパの計量値と強制排出した物品の計量値とに基づいて最適組合せの物品を求めるから、組合せが成立し易くなる。それでも組合せが成立しない場合は、さらに強制排出を繰り返して、複数サイクルに亘って計量した物品に基づいて最適組合せを求めるから、装置内の残量を、商品にはできない最小量にまで減らすことができる。したがって、製品の歩留まりを向上させて、不良品となる無駄を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係る組合せ計量装置の概略構成図。
図2】前記実施形態の主要部のブロック線図。
図3】終業モード時の、前記実施形態の動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る組合せ計量装置の一実施形態を説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係る組合せ計量装置の要部概略図である。この図において、組合せ計量装置100は、装置中央上部に配置された分散フィーダDFと、その分散フィーダDFを取り囲むように、その周囲に放射状に配列された複数の放射フィーダRFと、各放射フィーダRFの下段に配列された複数のプールホッパPHと、その下段に配列された同数の計量ホッパWHと、さらにその下方に配置された集合シュートCSとを備える。
【0024】
分散フィーダDFは、電磁フィーダDVの可動部に取り付けられた円錐形状の分散テーブルDTが螺旋状に上下に振動することによって、分散テーブルDT上に供給された物品Gを放射状に拡散させるようになっている。この分散フィーダDFには、質量センサSが取り付けられ、その質量センサSによって分散テーブルDT上に供給された物品Gの質量が検出され、その検出質量が後述の制御部CUに入力されるようになっている。また、分散フィーダDFの上方には、クロスフィーダCFが設けられ、そのクロスフィーダCFが質量センサSの検出質量に基づいてオン・オフ制御される。これにより、分散テーブルDT上に所定量の物品Gが常時貯留されるようになっている。
【0025】
放射フィーダRFは、電磁フィーダRVの可動部に取り付けられたトラフTが前後と斜め方向に振動することにより、トラフT上の物品Gを前方に搬送し、その先端部から下段のプールホッパPHへ物品Gを排出するようになっている。そのため、トラフT上の物品を搬送する始端部SPは、分散フィーダDFの分散テーブルDTの下に潜って、トラフTから物品Gが漏出しないようになっている。また、各放射フィーダRFのトラフTは、互いに隣接しながら放射状に配列されているが、隣接するトラフTとトラフTとの間から物品Gが漏出しないように、隣り合うトラフTの一方の側壁が他方のトラフの側壁にオーバーラップして、放射状に配列されたトラフT全体が一つの受け皿となって、物品をトラフT全体で貯留するようになっている。
【0026】
プールホッパPHは、放射フィーダRFから排出された物品Gを一時的に貯留するもので、下段の計量ホッパWHのゲートgが開閉して計量ホッパWHが空になれば、後述の制御部CUが、プールホッパPHのゲートgを開閉させる。これにより、プールホッパPHに貯留された物品Gを下段の計量ホッパWHへ供給する。
また、計量ホッパWHは、質量センサWSに支持されて、計量ホッパ全体の荷重が質量センサWSに負荷されており、そのセンサWSで検出された全質量からホッパ自身の風袋質量を減算して供給された物品の質量を求め、それが制御部CUに入力されて、組合せ演算に利用されるようになっている。
なお、各ホッパPH,WHは、周知の構成であるため、ここでは、ゲート開閉機構やホッパPH、WHの支持機構等は省略している。
【0027】
制御部CUは、コンピュータで構成され、図2に示すように、CPU10、ROM11RAM11、ハードディスク13を備えている。また、これらのデバイスは、アドレスバス、データバス等のバスラインを介して相互に接続されている。
この制御部CUは、インターフェイス14を介してクロスフィーダCFのドライバ1、分散フィーダDFのドライバ2、放射フィーダRFのドライバ3、プールホッパPHのゲート開閉ドライバ4、計量ホッパWHのゲート開閉ドライバ5、およびタッチパネル機能を備えた操作ユニットRUと接続されている。
さらに、この制御部CUには、分散フィーダDF上の積載量を検出する質量センサSと計量ホッパWHに供給された物品の質量を検出する質量センサWSから、デジタル量に変換された計量値が入力され、制御部CUは、その計量値から風袋質量を減算して物品の質量を求める。また、個数組合せの場合は、得られた物品質量を単体質量で割って個数を求め、それに基づいて、組合せ演算を実行する。
【0028】
ROM11には、各種のプログラムが記憶され、CPU10がそれを読み出して実行することにより、クロスフィーダCFに対する制御、分散フィーダDFに対する制御、放射フィーダRFに対する制御、プールホッパPH、計量ホッパWHのゲート開閉制御が行われ、さらに組合せ演算も実行される。
【0029】
また、CPU10は、組合せ演算プログラムを実行することにより、周知の組合せ演算を実行する。すなわち、各計量ホッパWHの質量センサWSから入力した計量値を組合せて、組合せた加算値が組合せ目標値に最も近く、かつ、その加算値が許容範囲内に収まる最適組合せを選択する。選択した計量ホッパWHに対しては、対応するゲート開閉ドライバ5に対して排出指令を送信する。これにより、ゲート開閉ドライバ5は、所定の開閉モードでゲートgを開閉する。
また、組合せ演算によって最適組合せが見つからないとき、すなわち、後述のミスサイクルが繰り返されたときは、強制排出した各物品の計量値と、続くサイクルで計量された新たな計量値(強制排出によって新たに供給された物品の計量値と、強制排出されなかったき物品の計量値)とで組合せ演算が実行されるが、その際に許容範囲の上限値を拡張して、最適組合せを見つけ易くするための上限値拡張手段10aもプログラムとしてROM11に記憶され、強制排出後の組合せ演算において、そのプログラムが読み出されて実行されるようになっている。
【0030】
また、CPU10は、計量ホッパWHを開放してから所定時間後に、上段のプールホッパPHのゲート開閉ドライバ4に排出指令を送信する。すると、計量ホッパWHのゲートgが閉まる少し前のタイミングでプールホッパPHのゲートgが開くため、計量ホッパWHのゲートgが閉まるタイミングでプールホッパPHから排出された物品がそのゲートgに到達する。
【0031】
続いて、CPU10は、プールホッパPHのゲートgが閉まる少し前のタイミングで、対応する放射フィーダRFのドライバ3と分散フィーダDFのドライバ4とに駆動指令を送信する。すると、プールホッパPHのゲートgが閉まる少し前から放射フィーダRFが駆動されるため、プールホッパPHのゲートgが閉じるタイミングで放射フィーダRFから排出された物品がそのゲートgに到達する。
【0032】
こうして下段の計量ホッパWHに続いて上段のプールホッパPHが開閉され、続いて、放射フィーダRFと分散フィーダDFが駆動されるが、放射フィーダRFに対する駆動制御は、個々の放射フィーダから排出される毎回の排出量が理想的な排出重量となるように振動強度と振動時間とが調整される。ここで、理想的な排出重量とは、組合せ目標値を理想的な組合せ選択ホッパ数で割った値である。理想的な組合せ選択ホッパ数は、操作ユニットRUから設定可能であるが、機種に応じてデフォルトとしてハードディスク13にも記憶されている。
【0033】
放射フィーダRFの振動強度と振動時間は、操作ユニットRUから個々の放射フィーダRFを指定することによって個別に調整することもできれば、全ての放射フィーダRFを指定することによって一斉に調整することもできる。また、その調整を手動でも、自動でも行うことができる。
【0034】
一方、分散フィーダDFに対する駆動制御は、放射フィーダRFから毎回排出される排出量、すなわち、組合せ目標値相当分が分散フィーダDFから放射フィーダRFへ毎回排出されるように、分散フィーダDFの振動強度と振動時間とが調整される。併せて、分散フィーダDF上の積載量も調整される。
【0035】
操作ユニットRUは、タッチパネル機能を備え、その操作画面には、終業モードを設定する終業モード設定部15が設けられている。この設定部15は、具体的には設定キーである。また、運転条件を設定する操作画面には、前述の許容範囲の上限値を拡張するための拡張上限値の設定や、組合せ不成立の回数、すなわち、ミスサイクル数の設定を行う設定部16が設けられている。この設定部16は、具体的には、拡張上限値やミスサイクル数の表示欄と、その表示欄に数値を入力する数値キーである。
【0036】
終業モードは、装置内に残留する物品Gを、組合せ計量サイクルを最後まで繰り返しながら排出するモードで、上流からの物品G供給を断った状態でこのモードが設定される。したがって、クロスフィーダCF上には、物品Gが殆ど無いか、あったとしても、直ちに無くなってしまう状態で終業モードに入る。この状態で分散フィーダDFや放射フィーダRFを自動制御すると、制御量が異常に上昇するから、終業モードが設定される直前の通常モード時の制御量を記憶し、その制御量でもって分散フィーダDFと各放射フィーダRFが駆動制御される。
【0037】
次に、この終業モードに入ったときの組合せ計量装置100の動作について、図3のフローチャートを参照しながら説明する。
生産ライン上の物品を別な種類に切り替える場合や、一日の作業が終わって生産ラインと止めるときは、上流側の装置から順次運転を停止させて、ライン上に残った物品を下流側の組合せ計量装置と、その下段に配置される包装装置とで袋詰め商品にして排出していく。そして、組合せ計量装置100への物品G供給が断たれると、オペレータは、終業モード設定部15を操作して終業モードに切り替える。すると、制御部CUのコンピュータは、通常モードから図3の終業モードの処理に移行する。
【0038】
終業モードに入ると、制御部CUのコンピュータは、まず、ミスサイクル数をゼロにセットしてから、各計量ホッパWHの計量値を入力し、記憶する(ステップS1,S2)。次に、計量ホッパWHから強制排出があったか否かを確認する(ステップS3)。最初は、強制排出は行われていないから、ステップS4をスキップして各計量ホッパWHの計量値に基づいて組合せ演算を実行する(ステップS5)。
【0039】
演算の結果、最適組合せが見つかれば、その組の計量ホッパWHのゲートgを開閉させて計量ホッパWH内の物品を集合シュートCSへ排出させる(ステップS6,S7)。排出された物品は、下段の包装装置に投入されて袋詰めにされる。
【0040】
続いて、ミスサイクル数をクリアした後、物品を排出した計量ホッパWHに対して、対応するプールホッパPHから物品を供給する(ステップS8,S9)。この場合のミスサイクル数は、組合せ不成立が連続した回数であるから、組合せが成立した場合は、このミスサイクル数をクリアする。あるいは、この状態では、装置内の物品残量が殆どない状態であるから、このステップS8を省略することも可能である。
また、プールホッパPHのゲートが開閉されて、プールホッパPHから計量ホッパWHに物品が供給されると、上段の放射フィーダRFが駆動されて、空になったプールホッパPHに物品が供給される。
【0041】
次にコンピュータは、物品を排出した計量ホッパWHの非排出回数をゼロに戻し、排出しなかった計量ホッパWHの非排出回数をインクリメントした後、元のステップS2に戻る(ステップS10,S11)。この非排出回数は、計量ホッパWHからの物品の排出とそれに続く物品の供給とを1回とし、それが行われなかった計量ホッパWHの回数をカウントしたものである。したがって、それが多い計量ホッパWHの系列には、物品が多く残っている可能性があり、それを非排出回数として表している。
【0042】
こうして、再びステップS2に戻って以上の処理を繰り返すが、ステップS6において最適組合せが見つかっている間は、毎回、所定量に計量された物品が包装装置に排出される。そして、何回目かのステップS6において、最適組合せが見つからなかったときは、ステップS12に移行して、ミスサイクル数をインクリメントした後、次のステップS13で、ミスサイクル数が設定数を越えたか否かをチェックする。ここでの設定数とは、例えば、2〜4等の値であるが、これは、物品の種類や組合せ目標値等によって適宜に設定される値であるから、その値は一例に過ぎない。
【0043】
そして、ミスサイクル数が設定数を越えていなければ、ステップS14に移行して、計量ホッパWHの中で、供給された物品が少ない計量ホッパWH、例えば、プールホッパPHのゲートgが開閉しても、物品が供給されなかった計量ホッパWHや、僅かしか物品が供給されなかった計量ホッパWHに物品を追加供給する。
【0044】
それが済むと、コンピュータは、再びステップS2に戻り、ステップS4からステップS6の処理を実行する。その処理によって、再び最適組合せが見つかれば、ステップS7以降の処理に進むが、最適組合せが見つからなければ、再びミスサイクル数をインクリメントして、ミスサイクル数が設定数を超えたか否かをチェックする(ステップS13)。越えていれば、終了タイマがタイムアップしたかをチェックし、タイムアップしていなければ、続くステップS15で非排出回数の多い計量ホッパWHの計量値を記憶した後、それらの計量ホッパWHから物品を強制的に排出する。
【0045】
続いて、終了タイマがスタートした否かをチェックする(ステップS16)。この終了タイマは、ミスサイクルが設定数以上繰り返され、それでもミスサイクルが続く場合は、もはや物品は、計量ホッパWH以外には存在していないと判断できるので、その間の時間経過を計測するものである。当初は、このタイマをスタートさせていないから、次のステップS17で終了タイマをスタートさせてから、強制排出によって空になった計量ホッパWHに物品を供給していく(ステップS9)。
【0046】
一方、ステップS15において、一部の計量ホッパWHから物品を強制排出し、次のステップS16をスキップしてステップS9の処理に移行する場合は、強制排出された計量ホッパWHには、新たに物品が供給されるから、ステップS2に戻った後のステップS3の処理結果が強制排出ありとなるから、そのときは、ステップS19において、最適組合せを求めるための許容範囲の上限値を拡張する。続くステップS20では、拡張した許容範囲で、強制排出した物品の計量値と、それ以外の計量ホッパWHの計量値とに基づいて組合せ演算を実行する。その結果、最適組合せが見つかれば、ステップS6からステップS7に移行するが、見つからなければ、ステップS6からステップS12の処理に移行する。
【0047】
こうした処理を繰り返すうちに、幾つかの計量ホッパWHには、物品が僅かに残った状態で組合せ計量が行き詰るから、これを終了タイマのタイムアップ後に排出して全ての計量ホッパWHを空の状態にして終了する(ステップS18)。すなわち、ミスサイクルが複数回連続し、ステップS14において、終了タイマがタイムアップしていれば、ステップS18に移行して、計量ホッパWHに残った物品を排出させた後、全ての計量ホッパWHの零点を入力して記憶更新する。これで終了モードが終了する。
【0048】
なお、最適組合せが見つからずに、非排出回数の多い計量ホッパWHから強制排出を繰り返していくと、それまでの排出量が許容範囲の下限値に迫り、次のミスサイクルにおいて、物品の最も少ない計量ホッパWHから物品を強制排出したとしても、排出量の合計値が、拡張した上限値を越えてしまう場合もある。そうした場合は、強制排出をせずに、不良排出信号を包装装置に送信して、軽量状態のままで袋をシールさせる。その袋は、包装装置の下流側に配置される重量チェッカーで軽量品として出荷ラインから排除される
【0049】
また、そうした事態が起こらずに、強制排出した計量ホッパWHに物品が僅かに供給されるか、供給されずに空のままで再びミスサイクルが起き、その状態でミスサイクルがタイマの終了時点まで繰り返される場合は、全ての計量ホッパWHに残っている物品を合計しても、その残量は許容範囲未満となっているから、これをステップS18で排出して各計量ホッパWHの零点を記憶更新して終わる。終われば、コンピュータは、装置の運転を停止して待機状態に入る。
【0050】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、他の実施形態も採用可能である。例えば、計量ホッパWHの下段に計量済の物品を一時的に蓄え、その物品の計量値を組合せ演算に参加させるブースターホッパを備える場合も同様に適用できる。また、以上の実施形態では、一部の計量ホッパから物品を強制排出して当該計量ホッパに物品を供給し、続いて複数の計量ホッパで計量した計量値と強制排出した物品の計量値とに基づいて組合せ演算を行ったが、これに代えて、当初の組合せ目標値から、強制排出した物品の計量値を差し引いた差分値を新たな組合せ目標値として最適組合せを求めても良い。
【符号の説明】
【0051】
WH 計量ホッパ
CU 制御部
15 終業モード設定部
16 設定部
図1
図2
図3