(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
探索された経路上の案内対象に近づいたときに当該案内対象の案内を行う経路案内装置と、経路案内装置と有線又は無線で接続された経路探索装置とを備えたナビゲーション装置であって、
経路探索装置は、地図情報及び経路情報に基づき経路を探索する経路探索手段と、探索した経路を経路案内装置に送信する通信部を有し、
経路案内装置は、出発地と目的地とを入力する操作部と、位置検出部と、表示部と、経路探索装置で探索した経路上における自己位置と案内対象までの到達時間を定期的に計算する到達時間計算手段と、計算した到達時間が所定の時間幅内にあるか否か判断し、所定の時間幅内にあると判断したとき当該案内対象の案内を開始する経路案内手段と、を有し、
前記所定の時間幅は、閾値と当該閾値を中心にその前後の範囲を定めるバッファ量で規定され、前記バッファ量は経路案内手段を搭載した車両の速度に応じて、速度が速くなるに従い大きい値に設定されるナビゲーション装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るナビゲーション装置の概要を説明する図である。
本ナビゲーション装置1は、図示のように経路探索装置(ルート探索サーバとも云う)10と、経路案内装置(ユーザ端末とも云う)20とそれらを相互に接続する例えばインターネットなどのネットワーク30を備えている。
ここで、経路案内装置は、携帯電話機、携帯ゲーム機、PND(Personal Navigation Device)、PDA(Personal Digital Assistant)等の様々な携帯端末装置を総称する用語として用いる。なお、本発明のナビゲーション装置は、例えば、持ち運び可能な簡易型のナビゲーション装置であるPND、或いは、タブレット型端末装置などによるいわゆるスタンドアロン型の装置としても実現することもできる。
【0010】
図2は、本発明の実施形態に係るナビゲーション装置の各構成要素のブロック図であって、
図2Aは経路探索装置10、
図2Bは経路案内装置20のハードウェア構成をそれぞれ概略的に示すブロック図である。
以下、ナビゲーション装置の各構成要素について説明する。
【0011】
「経路探索装置」
経路探索装置10は、
図2Aに示すように、制御部11と、それぞれ制御部11に接続され、ネットワーク30(例えばインターネットINT)を介して経路案内装置20との通信を行なう通信部12、地
図DB(データベース)13、及び経路DB14を備えている。
【0012】
制御部11は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)を内蔵しており、CPUは、ROMに記憶されているプログラムを、RAMをワークエリアとして実行する。制御部11は、プログラムにより実現する機能実現手段として地図検索手段15、経路探索手段16、及び送信データ生成手段17などを備える。
【0013】
通信部12は、ネットワーク30を介して経路案内装置20と通信を行う。地
図DB13には、経路案内装置20に送信する地図画像を表すデータ(地図情報)が格納されている。経路DB14には、地図情報が表す地図画像に対応した領域に存在する道路のネットワークデータ及び案内データ(案内対象の案内用データ)が格納されている。ここで、ネットワークデータには、道路のノード(交差点)及びノード間のリンクを表すリンク情報が含まれている。
【0014】
経路探索手段16は、経路探索要求信号に含まれている出発地情報及び目的地情報に基づいて、出発地から目的地までの探索経路のノード情報及びリンク情報を経路DB14のネットワークデータから探索する。
【0015】
送信データ生成手段17は、地図検索手段15により検索された地図情報と、経路探索手段16により探索された経路情報とから、経路案内装置20に送信するための送信データを生成する。ここで、送信データは、地図検索手段15により検索された地図情報、経路探索手段16により探索された経路情報のうち、経路案内装置20の自己位置(現在位置)と目的地付近の所定の範囲の部分が含まれる。
【0016】
「経路案内装置」
経路案内装置20は、
図2Bに示すように。制御部21と、それぞれが制御部21に接続された位置検出部22、表示部23、操作部24、センサ部25、通信部26などを備えている。
制御部21は、図示しないCPU、ROM、及びRAMを有する。CPUは、ROMに記憶されたプログラムを実行する。RAMはCPUがROMに記憶されたプログラムを実行するためのワークエリアを提供する。
制御部21は、プログラムで実現する機能実現手段である探索要求手段27、到達時間計算手段28及び経路案内手段29を備え、経路案内手段29はさらに表示制御手段29a、音声出力制御手段29bを備えている。
【0017】
位置検出部22は、例えばGPS(Global Positioning System)受信機からなる。GPS受信機は、複数の衛星から送信される電波を予め定められた一定の周期で受信して演算することで、受信点即ち経路案内装置20の現在位置(緯度、経度)を測定し、現在位置情報を生成する。なお、位置検出は、これに限定されず、例えば経路案内装置20からの電波の受信電界強度に基づき経路案内装置20の位置を三角測量の手法で算出する手法を用いてもよい。
【0018】
表示部23は、例えば液晶、有機EL(Electroluminescence)などのディスプレイを備え、経路探索装置10から送信される地図、候補経路、探索経路などを表示する。
操作部24は、テンキー、カーソルキー、タッチパネルなどから構成され、ユーザが経路案内装置20を使用するときに各種指令の入力を行うための手段(入力デバイス)であり、表示部23の画面上のタッチパネル、図示しない装置上のボタン或いはそれらの組み合わせからなるものでもよい。
通信部26は、ネットワーク30を介して経路探索装置10と通信を行うための手段である。
【0019】
探索要求手段27は、経路探索装置10に送信するための経路探索要求信号を生成する。この経路探索要求信号は、経路探索のための出発地情報及び目的地情報からなる位置情報を含む。出発地情報は位置検出部22で生成された現在位置情報であり、目的地情報はユーザが操作部24から入力した目的地である。
【0020】
センサ部25は、いずれも公知のジャイロセンサ、加速度センサ、方位センサ(地磁気センサ)、速度センサなどを備える。
速度センサは、例えば、車輪の所定回転角度毎に出力される車速パルス数に、1車速パルスあたりの移動距離を表す距離係数を乗じて求めた移動距離より車速を検出する。
【0021】
到達時間計算手段28は、位置検出部22から取得した経路案内装置20の現在位置と探索された経路上の案内対象との距離を計算すると共に、計算した距離と例えばセンサ部25の速度センサから経路案内装置20を搭載した車両の移動速度から、案内対象までの到達時間を計算する。
なお、速度センサに代えて、位置検出部22から取得される直近の所定区間の移動距離と移動時間とにより上記車両の移動速度を求めてもよい。
【0022】
経路案内手段29は、従来と同様に経路探索要求に応じて経路探索装置10から提供される地図情報、経路情報等を用いて経路案内を行う。即ち、表示制御手段29aは、経路探索装置10から送信された地図情報、経路情報から、地図画像上に探索経路を重畳した表示画像データを生成して表示部23(音声出力部を含む)に送出する。
【0023】
また、その際、経路案内手段29は、到達時間計算手段28が計算した上記車両の案内対象までの到達時間が所定の閾値±α(バッファ量)の範囲内に入るか否か判断し、入ったときは、当該案内対象について音声出力部による音声による案内を開始する。
ここで、音声出力部は、音声を出力するためのスピーカーや、スピーカーを駆動する駆動回路などから構成される。
【0024】
次に、以上の構成から成る本実施形態のナビゲーション装置における経路案内処理の手順について説明する。
図3は、本実施形態に係るナビゲーション装置における経路案内処理の手順を示すフロー図である。
経路案内処理は、経路案内装置20を搭載した車両が探索した経路上を走行中に、経路案内装置20の操作部24において、ユーザが出発地と目的地や、探索条件などを入力して設定することから始める(S101)。経路案内装置20の探索要求手段27は、設定した探索条件を含む経路探索要求信号を作成し、通信部26は作成した経路探索要求信号を経路探索装置10に送信する(S102)。
【0025】
経路探索要求信号を受信した経路探索装置10は、候補経路を探索し(S103)、例えば、距離優先(最短距離)や時間優先(最短時間)、等の予め設定された探索条件を満たす候補経路を、地
図DB13及び経路DB14に基づき複数抽出し(S103)、候補経路一覧として経路案内装置20に送信する(S104)。
経路案内装置20は、受信した候補経路一覧を表示部23に表示する(S105)。続いて、ユーザが候補経路のうちの一つを選択し(S106)、ユーザの選択した候補経路選択に基づき、経路探索装置10は経路探索を行い(S107)、目的地までの経路や案内対象の位置情報などを少なくとも含む経路情報を取得する(S108)。経路探索装置10は、取得した経路情報を経路案内装置20に送信する。
【0026】
次に、経路情報を受信した経路案内装置20は、その到達時間計算手段28により、位置検出部22で検出した位置と探索経路上の案内対象までの距離と、センサ部25の車速センサで測定した経路案内装置20を搭載した車両の速度から、当該案内対象までの到着時間を計算する(S109)。ここで、経路案内手段29は、現在位置から案内対象までの到着時間が予め定めた閾値+バッファ量以内か否か判断して(S110)、閾値+バッファ量以内であれば(S110、Yes)案内を開始して(S111)、この案内処理を終了する。
【0027】
ステップS110において、到着時間が閾値+バッファ量以内でなければ(S110、NO)案内を行わず、ステップS109に戻り、位置検出部22の次の位置検出のタイミングにおいて、再度ステップS110の判断を行う。このステップS109及びS110の処理は、到着時間が閾値+バッファ量以内になるまで繰り返す(つまり、経路案内装置20が自己位置を取得する所定時間間隔毎に行う)。
【0028】
このように、本実施形態によれば、自己位置と案内対象までの距離と車速を所定時間間隔毎に取得して、案内対象までの移動時間が設定(時間)の±N秒に入った場合に案内を行う。その制御値としては、例えば閾値を30秒、バッファ量を±5秒として、車両の案内対象までの到達時間が30±5秒即ち25秒〜35秒の時間幅内に入った場合に案内を開始する。
【0029】
図4は、走行中の車両において経路案内装置20が案内を開始するタイミングを模式的に示す図である。
即ち、例えば案内対象に到達する30秒前に案内したい場合、経路案内装置20を搭載した車両が時速100km/hで走行しているときは、850m手前で案内を開始し、他方、経路案内装置20を搭載した車両が時速50km/hで走行しているときは、425m手前で案内を開始すればよい。
【0030】
次に、本実施形態の変更例について説明する。
第2の実施形態
以上で説明した第1の実施形態では、車両の現在位置から案内対象までの到達時間の閾値を設定し、その閾値に対して一定のバッファ量による幅を加えた到達時間幅を設定し、経路案内装置20を搭載した車両の現在位置が案内対象への到達時間幅内に入ったところで案内を開始するようにしている。
【0031】
これに対し、本実施形態では、第1の実施形態では一定であったバッファ量を可変量にする点で第1の実施形態と相違する。即ち、本実施形態では、経路案内装置20を搭載した車両の速度に応じて閾値だけではなくそのバッファ量も可変にすることで、経路案内装置20を搭載した車両の速度の増減に応じてより柔軟に案内開始タイミングを調整できる。
具体的には、経路案内装置20を搭載した車両の速度が所定速度(基準速度)から遅くなるに従ってバッファ量は少なく、所定速度よりも速くなるにしたがってバッファ量を多めにする。なお、所定速度は任意に設定する。
【0032】
その理由は、例えば車両が高速で移動する場合に到達時間幅が狭いと、経路案内装置20が現在位置を取得して到達時間を計算したときに、前回は到達時間幅外であったものが、所定時間後に再度到達時間を計算したときは、既に到達時間幅を通過してしまう(例えば、上述のように到達時間幅を30秒〜36秒に設定した場合において、到達時間が29秒後と計算される)ことを防止するためである。
これにより経路案内装置20を搭載した車両の速度に関わらず確実に案内を開始することができる。
【0033】
第3の実施形態
本実施形態では、道路種別に応じて閾値、一般道路は、閾値及びバッファを少なめ、高速・有料道路では閾値及びバッファを多めにする。
即ち、第1及び第2の実施形態では、いずれも一般道か高速・有料道路の区別なく車速のみに基づき閾値及びバッファ量を決定している。
【0034】
これに対し、本実施形態では、閾値及びそのバッファ量を設定する際に、その車速ではなく、車両が通行する道路種別に応じて閾値及びそのバッファ量を変更して設定する。
このように、車両が通行する道路種別に応じて閾値及びそのバッファ量を変更して設定することで、高速・有料道路において一時的に低速走行している場合、或いは一般道路で一時的に高速走行している場合であっても、そのような一時的な速度にとらわれずに、適正なタイミングで案内対象の案内を開始できる。
【0035】
第4の実施形態
以上の各実施形態では、その閾値及びバッファ量を設定する際に、案内対象の属性、例えばその規模については考慮していない。
本実施形態では、閾値及びそのバッファ量を設定するに当たり、案内対象の規模などの属性を考慮する。
即ち、ここでは、案内対象の属性(規模)に応じて閾値・バッファを可変にしている。例えば、大型商業施設、IC(インターチェンジ)、JCT(ジャンクション)等案内対象が相対的に大規模である場合は、閾値及びバッファを少なめに設定し、コンビニ、GS(ガソリンスタンド)、オービス位置等、案内対象が相対的に小規模の場合は、閾値及びバッファ値を大きく設定する。
つまり、案内対象となる施設規模を段階的に規定して、規定した段階ごとに相対的に小規模の施設は、相対的に大規模の施設よりも閾値及びバッファ値を大きく設定する。
【0036】
このように、案内対象の規模に応じて閾値・バッファを可変にするのは、大規模な施設は目立ち易く、見逃して通り過ぎる虞が少ない。これに対し、小規模な施設は目立ちにくく見逃して通り過ぎる虞が大規模な施設に対して多いことから、より早めに案内を開始する必要があるからである。
したがって、閾値及びバッファ量をこのように設定することで、小規模な施設でも大規模な施設と同様の案内効果が得られる。
なお、いずれの場合も、案内は案内対象に到達するまで継続することが好ましい。