特許第6557584号(P6557584)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6557584人工爪用貼付材、その製造方法および使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6557584
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】人工爪用貼付材、その製造方法および使用方法
(51)【国際特許分類】
   A45D 31/00 20060101AFI20190729BHJP
【FI】
   A45D31/00
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-233232(P2015-233232)
(22)【出願日】2015年11月30日
(65)【公開番号】特開2017-99467(P2017-99467A)
(43)【公開日】2017年6月8日
【審査請求日】2018年11月2日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515332377
【氏名又は名称】谷丸 響子
(74)【代理人】
【識別番号】100114764
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 正樹
(72)【発明者】
【氏名】谷丸 弘光
【審査官】 片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−270162(JP,A)
【文献】 特開2012−011087(JP,A)
【文献】 特開2007−068621(JP,A)
【文献】 特開2012−223318(JP,A)
【文献】 特開2009−213873(JP,A)
【文献】 特表2015−514473(JP,A)
【文献】 特開2012−223513(JP,A)
【文献】 韓国公開実用新案第20−2009−0008009(KR,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の自爪に人工爪を貼り付ける際に人工爪と自爪の間に設けられる人工爪用貼付材であって、
一方側に設けられた第1の粘着剤層と、
他方側に設けられた第2の粘着剤層と、
前記第1の粘着剤層と前記第2の粘着剤層の間に設けられたゲル状の基材層とを備えることを特徴とする人工爪用貼付材。
【請求項2】
前記第1の粘着剤層における前記基材層と反対側の表面に第1の離型材が設けられ、
前記第2の粘着剤層における前記基材層と反対側の表面に第2の離型材が設けられている請求項1に記載の人工爪用貼付材。
【請求項3】
前記第1の粘着剤層、前記第2の粘着剤層および基材層は、透明な材料からなる請求項1または請求項2に記載の人工爪用貼付材。
【請求項4】
前記第1の粘着剤層および/または第2の粘着剤層は、ゲル状のシリコン系粘着剤からなる請求項1から請求項3のいずれかに記載の人工爪用貼付材。
【請求項5】
前記基材層は、光硬化性樹脂からなる請求項1から請求項4のいずれかに記載の人工爪用貼付材。
【請求項6】
前記基材層は、2270Pa・S〜6170Pa・Sの粘度を有する請求項1から請求項5までのいずれかに記載の人工爪用貼付材。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の人工爪用貼付材の製造方法であって、
粘着剤層の両側に離型材が設けられた第1の両面粘着テープから一方の離型材を剥離し、第1の両面粘着テープの粘着剤層を前記第1の粘着剤層として露出させる工程と、
露出した前記第1の粘着剤層にゲル状の前記基材層を設けることにより、前記第1の粘着剤層に前記基材層を積層する工程と、
粘着剤層の両側に離型材が設けられた第2の両面粘着テープから片側の離型材を剥離し、第2の両面粘着テープの粘着剤層を前記第2の粘着剤層として露出させる工程と、
露出した第2の粘着剤層を前記基材層に貼着することにより、前記第1の粘着剤層、前記基材層および前記第2の粘着剤層をこの順に積層する工程とを備えることを特徴とする人工爪用貼付材の製造方法。
【請求項8】
請求項2に記載の人工爪用貼付材の使用方法であって、
人工爪用貼付材から第1の離型材を剥離して、露出した第1の粘着剤層を使用者の自爪の表面または人工爪の裏面に貼着したあと、人工爪用貼付材から第2の離型材を剥離して、露出した第2の粘着剤層を人工爪の裏面または人口爪の表面に貼着することにより、使用者の自爪に人工爪用貼付材を介して人口爪を貼り付けることを特徴とする人工爪用貼付材の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の自爪に人工爪を貼り付ける際に人工爪と自爪の間に設けられる人工爪用貼付材、その製造方法および使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、主に女性の間でネイルアートが流行している。これは外観上見栄えの良い絵、文字、また平坦状の装飾品、例えば押し花、細粒石、カラーパウダー等を爪上に貼付して、ファッションとして楽しむものである。
【0003】
また、従来、ネイルアートを楽しみたいが、自爪の硬度が弱いため伸ばすと折れてしまう、生まれつき爪が変形している、または、日常生活で爪を伸ばせない等の理由でネイルアートができない人や、ネイルアートをより綺麗に見せたい人のために人工爪が開発されている。
【0004】
例えば、スカルプチュアと称される人工爪は、アクリルパウダーとモノマーを混合させゲル状にしたアクリル樹脂を自爪上に塗布して、筆塗りや筆盛りで整形した後、硬化させて得られるものである。ところが、上記した人工爪(スカルプチュア)は、次のような問題があった。
【0005】
まず、人工爪を自爪に整形する際の問題として、人工爪と自爪の密着性を高めるために自爪の表面をヤスリで削るため、自爪が次第に薄くなっていく問題があった。また、整形の際に空中に拡散したアクリル樹脂の蒸気が使用者や施術者の呼吸器から体内に吸入されるといった健康上好ましくない問題もあった。さらにまた、施術に少なくとも2〜3時間の長時間を要するものであった。
【0006】
また、人工爪を整形したあとの問題として、2〜3週間に1度、新しく生えた爪との隙間を埋めるフィルイン処理が必要であった。また、自爪の際や爪母側が浮いたままになりやすく、その隙間に水等が入ってカビが発生し、爪の病気を引き起こすこともあった。
【0007】
さらに、人工爪を自爪から取り外す際の問題として、外的力によって人工爪を削るか、人工爪をアセトン等に浸して取り外す他ない。このため人工爪を削る場合は、空中に飛散したアクリル樹脂の粉末が使用者や施術者の呼吸器から体内に吸入されるといった健康上好ましくない問題があった。また、人工爪をアセトン等に浸す場合は、アセトン等により自爪や皮膚が相当なダメージ受けざるを得なかった。
【0008】
そこで、チップネイルと称される人工爪が知られている。この人工爪は、予め所定形状に整形した人工爪を複数用意しておき、その中から使用者の自爪の形状に最も適合する人工爪を選択して、人工爪を両面テープを介して自爪に貼り付ける(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−254877
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、人工爪を自爪に貼り付ける際に使用される両面テープは、一般に厚み方向の中央にシート状の基材層を有しており、この基材層が剛性を有することにより湾曲しにくいため、両面テープが湾曲形状の自爪の表面に十分に追従しにくかった。このため、人工爪を自爪に貼り付けたときに両面テープにしわが生じ、このしわが人工爪上から視認されるため、人工爪を自爪に装着したときの外観が損なわれるという問題があった。
【0011】
本発明は、上述の技術的背景に鑑みてなされたものであり、使用者の自爪に人工爪を綺麗に貼り付けることができる人工爪用貼付材、その製造方法およびその使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記目的を達成するために、使用者の自爪に人工爪を貼り付ける際に人工爪と自爪の間に設けられる人工爪用貼付材であって、一方側に設けられた第1の粘着剤層と、他方側に設けられた第2の粘着剤層と、前記第1の粘着剤層と前記第2の粘着剤層の間に設けられたゲル状の基材層とを備えることを特徴とする。
【0013】
これによれば、ゲル状の基材層が容易に湾曲するため、人工爪用貼付材が湾曲形状の自爪の表面に十分に追従する。このため、人工爪用貼付材にしわが生じないため、人工爪を自爪に綺麗に貼り付けることができる。
【0014】
また、前記第1の粘着剤層における前記基材層と反対側の表面に第1の離型材が設けられ、前記第2の粘着剤層における前記基材層と反対側の表面に第2の離型材が設けられているのが好ましい。これによれば、人工爪用貼付材から第1の離型材および第2の離型材を剥離することにより、人工爪を自爪に簡単に張り付けることができる。
【0015】
また、前記第1の粘着剤層、前記第2の粘着剤層および基材層は、透明な材料からなるのが好ましい。これによれば、人工爪用貼付材が透明となるため、人工爪を自爪に貼り付けた状態において、人工爪の上から自爪が透けて見え、特に無色透明な場合には人工爪が自爪のように自然なピンク色の外観を有することができる。
【0016】
また、前記第1の粘着剤層および/または第2の粘着剤層は、ゲル状のシリコン系粘着剤からなるのが好ましい。これによれば、シリコン系粘着剤が液状の有機溶剤を含まず低アレルギー性であるため、有機溶剤が使用者の体内に滲入することや、使用者にアレルギー症状が生じるのを防止することができる。また、このシリコン系粘着剤は柔軟性を有するとともに所定の温度(例えば45℃以上)の湯に浸されると粘着性が低下するため、使用者は人工爪を自爪に貼り付けた状態で所定温度(例えば45℃以上)の湯に浸すことにより、自爪にダメージを与えることなく人工爪を簡単に取り外すことができる。また、このシリコン系粘着剤は耐水性を有するため、使用者が人工爪を自爪に貼り付けた状態で手洗いや水仕事をすることができる。
【0017】
また、前記基材層は、光硬化性樹脂からなるのが好ましい。これによれば、適度な柔らかさおよび厚みのゲル状の基材層を簡単かつ確実に設けることができる。
【0018】
また、前記基材層は、2270Pa・S〜6170Pa・Sの粘度を有するのが好ましい。これによれば、ゲル状の基材層が適度な柔らかさを備えることにより、人工爪用貼付材が湾曲形状の自爪の表面に確実に追従することができる。
【0019】
また、本発明に係る人工爪用貼付材の製造方法は、粘着剤層の両側に離型材が設けられた第1の両面粘着テープから一方の離型材を剥離し、第1の両面粘着テープの粘着剤層を前記第1の粘着剤層として露出させる工程と、露出した前記第1の粘着剤層にゲル状の前記基材層を設けることにより、前記第1の粘着剤層に前記基材層を積層する工程と、粘着剤層の両側に離型材が設けられた第2の両面粘着テープから片側の離型材を剥離し、第2の両面粘着テープの粘着剤層を前記第2の粘着剤層として露出させる工程と、露出した第2の粘着剤層を前記基材層に貼着することにより、前記第1の粘着剤層、前記基材層および前記第2の粘着剤層をこの順に積層する工程とを備えることを特徴とする。これによれば、人工爪用貼付材を簡単かつ確実に製造することができる。
【0020】
また、本発明に係る人工爪用貼付材の使用方法は、人工爪用貼付材から第1の離型材を剥離して、露出した第1の粘着剤層を使用者の自爪の表面または人工爪の裏面に貼着したあと、人工爪用貼付材から第2の離型材を剥離して、露出した第2の粘着剤層を人工爪の裏面または人工爪の表面に貼着することにより、使用者の自爪に人工爪用貼付材を介して人工爪を貼り付けることを特徴とする。これによれば、人工爪を自爪に簡単かつ確実に貼り付けることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ゲル状の基材層が容易に湾曲するため、人工爪用貼付材が湾曲形状の自爪の表面に十分に追従する。このため、人工爪用貼付材にしわが生じないため、人工爪を自爪に綺麗に貼り付けることができる。
【0022】
また、ゲル状の基材層の厚みを調整することにより、人工爪用貼付材の厚み、硬さおよび柔軟性を自由に調整することができ、人工爪用貼付材の製品のラインナップを豊富にすることも可能となる。
【0023】
また、人工爪を自爪に取り付ける際、自爪の表面をヤスリで削る必要がないため、次第に自爪が薄くなっていくといった問題を解消することができる。また、施術者自身が人工爪を自爪に取り付ける場合であっても、利き手の施術を一人で簡単に行うことができる。さらに、アクリル樹脂の蒸気が空中に拡散しないため、使用者や施術者がアクリル樹脂の蒸気を吸入するといった問題が生じない。さらにまた、施術に2〜3時間といった長時間を要さず、短時間で施術を完了することができる。
【0024】
また、人工爪を自爪に取り付けたあとも、2〜3週間といった長期間に亘って取り付ける必要がないため、新しく生えた爪との隙間が生じずフィルイン処理が不要である。また、自爪の際や爪母側が浮いたままにならないため、隙間に水等が入ってカビが発生するといった問題が生じない。
【0025】
また、人工爪を自爪から取り外す際、自爪に人工爪を取り付けた状態で指を湯に浸すことにより、自爪にダメージを与えることなく人工爪を簡単に取り外すことができる。
【0026】
したがって、本人工爪用貼付材の使用者は、いつでも簡単かつ安全に自爪を人工爪により装飾することができ、より日常的にネイルアートを楽しむことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明に係る人工爪用貼付材の(a)斜視図、(b)断面図である。
図2】人工爪用貼付材の製造方法を説明する断面図である。
図3】人工爪用貼付材の使用方法を説明する斜視図および断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、本発明に係る人工爪用貼付材(以下、本貼付材1という)について図1図3を参照しつつ説明する。
【0029】
本貼付材1は、図1に示すように、使用者の指Fの自爪Nに人工爪Aを貼り付ける際に人工爪Aと自爪Nの間に設けられるシート状の貼付材である。なお、人工爪Aは、合成樹脂とモノマーによる混合液状物を硬化させて整形されたものであり、使用者の指Fの自爪Nに貼り付ける前または貼り付けた後において、顔料により着色されたり、ストーンにより装飾されたりする。
【0030】
本貼付材1は、一方側に設けられた第1の粘着剤層11と、他方側に設けられた第2の粘着剤層12と、第1の粘着剤層11と第2の粘着剤層12の間に設けられたゲル状の基材層13とを備える。なお、本明細書中において、「一方側」とは図1図3の下側をいい、「他方側」とは図1図3の上側をいう。また、「ゲル」とは固体の溶質が液状の溶媒に均一に分散した粘性を有する物体をいい、架橋された高分子の内部に液状の溶媒が吸収されている高分子ゲルを含む。
【0031】
また、本貼付材1は、第1の粘着剤層11における基材層13と反対側の表面11aに第1の離型材101が設けられ、第2の粘着剤層12における基材層13と反対側の表面12bに第2の離型材201が設けられている。このため、本貼付材1から第1の離型材101および第2の離型材102を剥離することにより、人工爪Aを自爪Nに簡単に張り付けることができる。
【0032】
また、本貼付材1は、平面方向の輪郭が自爪Nの輪郭に沿う形状に形成されており、平面方向の一方側が略長円状の輪郭を有し、他方側が略矩形状の輪郭を有している。
【0033】
前記第1の粘着剤層11は、基材層13と反対側の表面11aに設けられた第1の離型材101が剥離され、露出した表面11aが自爪Nに貼着される。この第1の粘着剤層11は、例えば0.2mm〜0.4mmの均一な厚みを有し、粘性を有するゲル状のシリコン系粘着剤からなる。このため、シリコン系粘着剤が液状の有機溶剤を含まず低アレルギー性であるため、有機溶剤が使用者の体内に滲入することや、使用者にアレルギー症状が生じるのを防止することができる。また、このシリコン系粘着剤は柔軟性を有するとともに所定の温度(例えば45℃以上)の湯に浸されると粘着性が低下するため、使用者は人工爪Aを自爪Nに貼り付けた状態で所定温度(例えば45℃以上)の湯に浸すことにより、自爪Nにダメージを与えることなく人工爪Aを簡単に取り外すことができる。また、このシリコン系粘着剤は耐水性を有するため、使用者が人工爪Aを自爪Nに貼り付けた状態で手洗いや水仕事をすることができる。なお、第1の粘着剤層11は、シリコン系粘着剤に限定されるものではなく、例えばアクリル系粘着剤などのその他の粘着剤であってもよい。
【0034】
前記第2の粘着剤層12は、基材層13と反対側の表面12bに設けられた第2の離型材201が剥離され、露出した表面12bが人工爪Aに貼着される。この第2の粘着剤層12は、材質・厚さ・粘着力が第1の粘着剤層11と同様であるため、これらの説明を省略する。
【0035】
前記基材層13は、本貼付材1の厚み方向の中央部に配置される層であって、一方側の表面13aが第1の粘着剤層11の他方側の表面11bに密着し、他方側の表面13bが第2の粘着剤層12の一方側の表面12aに密着している。
【0036】
また、前記基材層13は、第1の粘着剤層11の他方側の表面11bにゲル状の材料を塗布することにより、第1の粘着剤層11の表面11b上に積層される。本実施形態では、前基材層13がゲル状の光硬化性樹脂からなるため、適度の柔らかさおよび厚みのゲル状の基材層13を簡単かつ確実に設けることができる。
【0037】
また、前記基材層13は、例えば2270Pa・S〜6170Pa・Sの粘度を有している。このため、ゲル状の基材層13が適度な柔らかさを備えることにより、本貼付材1が湾曲形状の自爪Nの表面に確実に追従することができる。
【0038】
また、前記基材層13は、例えば0.2mm〜0.9mmの均一な厚さを有している。このため、本貼付材1が適度な厚みと固形性を有し、本貼付材1の加工および取り扱いが容易となる。なお、また、基材層13の厚みを調整することにより、本貼付材1の厚みを自由に調整することができ、本貼付材1の製品のラインナップを豊富にすることも可能となる。
【0039】
また、第1の粘着剤層11、第2の粘着剤層12および基材層13は、透明な材料からなる。このため、本貼付材1が透明となるため、人工爪Aを自爪Nに貼り付けた状態において、人工爪Aの上から自爪Nが透けて見え、特に無色透明な場合は人工爪Aが自爪Nのように自然なピンク色の外観を有することができる。
【0040】
次に、本貼付材1の製造方法について図2を参照しつつ説明する。
【0041】
まず、図2(a)に示すように、芯材としての粘着剤層の両側に離型材101,101が設けられた第1の両面粘着テープ100を用意する。
【0042】
次に、図2(b)に示すように、第1の両面粘着テープ100から他方側の離型材101を剥離し、第1の両面粘着テープ100の粘着剤層を第1の粘着剤層11として露出させる。なお、剥離されていない一方側の離型材101は、本貼付材1において第1の離型材101として機能する。
【0043】
次に、図2(c)に示すように、露出した第1の粘着剤層11の他方側の表面11bにゲル状の光硬化性樹脂を塗布することにより、第1の粘着剤層11の上にゲル状の基材層13を積層する。
【0044】
次に、図2(d)に示すように、芯材としての粘着剤層の両側に離型材201,201が設けられた第2の両面粘着テープ200を用意する。そして、第2の両面粘着テープ200から一方側の離型材201を剥離し、第2の両面粘着テープ200の粘着剤層を第2の粘着剤層12として露出させる。なお、剥離されていない他方側の離型材201は、本貼付材1において第2の離型材201として機能する。
【0045】
次に、図2(e)に示すように、露出した第2の粘着剤層12の一方側の表面12aと基材層13の他方側の表面13bとを貼着することにより、第1の離型材101、第1の粘着剤層11、基材層13、第2の粘着剤層12および第2の離型材201をこの順に積層する。
【0046】
最後に、図2(f)に示すように、上記の積層体から第1の離型材101を除く層、具体的には、第1の粘着剤層11、基材層13、第2の粘着剤層12および第2の離型材201をトムソン刃により切断し、本貼付材1を自爪Nの輪郭に沿う形状に整形する。
【0047】
なお、本貼付材1に使用した第1の両面粘着テープ100および第2の両面粘着テープ200は、例えば3M社の皮膚貼付用の両面粘着テープ(製品番号1504XL、1524)等が好適に用いられる。この3M社の両面粘着テープは、一般に皮膚に対する貼り付けに使用され、芯材がポチエチレン、ポリエステル、ポリウレタンあるいは不織布などのような剛性を有するものではなく、粘性を有するゲル状のシリコン系粘着剤からなる。これを使用した本貼付材1によれば、人口爪Aを自爪Nに貼り付けるに際して、粘着剤層11,12の粘着力が強いので本貼付材1が人工爪Aや自爪Nに隙間なく確実に貼着することができる。また、人工爪Aを自爪Nから取り外すに際して、所定の温度の湯に浸す方法以外にも、粘着剤層11、12が柔らかいので本貼付1を人工爪Aや自爪Nを強く引っ張らずに剥がすこともできる。
【0048】
次に、本貼付材1の使用方法について図2および図3を参照しつつ説明する。
【0049】
本貼付材1は、未使用状態において、図2(f)に示すように、離型材101、第1の粘着剤層11、基材層13、第2の粘着剤層12および離型材201がこの順に積層された状態となっている。
【0050】
まず、図3(a)左図に示すように、台紙としての第1の離型材101と第1の粘着剤層11とを剥離する。このとき、図3(a)右図に示すように、第1の粘着剤層11、基材層13、第2の粘着剤層12および第2の離型材201がこの順に積層された状態となっている。
【0051】
次に、図3(b)左図に示すように、露出した第1の粘着剤層11の表面11aと使用者の自爪Nの表面とを貼着する。貼着の際、本貼付材1が指Fの甘皮や自爪Nの輪郭に沿わない場合は、本貼付材1を指Fの甘皮や自爪Nの輪郭に沿う形状にハサミ等でカットしてもよい。このとき、図3(b)右図に示すように、使用者の指Fの自爪N上において、第1の粘着剤層11、基材層13、第2の粘着剤層12および第2の離型材201がこの順に積層された状態となっている。
【0052】
次に、図3(c)左図に示すように、第2の離型材201と第2の粘着剤層12とを剥離し、第2の粘着剤層12の表面12bを露出させる。このとき、図3(c)右図に示すように、使用者の指Fの自爪N上において第1の粘着剤層11、基材層13、および第2の粘着剤層12がこの順に積層された状態となっており、ゲル状の基材層13が容易に湾曲するため、本貼付材1が本貼付材1が湾曲形状の自爪Nの表面に十分に追従する。
【0053】
最後に、図3(d)左図に示すように、露出した第2の粘着剤層12の表面12bと人工爪Aの裏面とを貼着する。このとき、図3(d)右図に示すように、使用者の指Fの自爪N上において、第1の粘着剤層11、基材層13、第2の粘着剤層12および人工爪Aがこの順に積層された状態となる。
【0054】
而して、上述のように本貼付材1が湾曲形状の自爪Nの表面に十分に追従することにより、本貼付材1にしわが生じないため、人工爪Aを自爪Nに綺麗に貼り付けることができる。しかも、人工爪Aを自爪Nに貼り付けた状態において、人工爪Aの上から自爪Nが透けて見え、特に無色透明な場合には人工爪Aが自爪Nのように自然なピンク色の外観を有することができる。
【0055】
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、本発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0056】
1…本貼付材(人工爪用貼付材)
11…第1の粘着剤層
11a…一方側の表面(基材層と反対側の表面)
11b…他方側の表面
12…第2の粘着剤層
12a…一方側の表面
12b…他方側の表面(基材層と反対側の表面)
13…基材層
13a…一方側の表面
13b…他方側の表面
100…第1の両面粘着テープ
101…第1の離型材
200…第2の両面粘着テープ
201…第2の離型材
F…指
N…自爪
A…人工爪
図1
図2
図3