(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6557633
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】衣類用フード及びこれを備える衣類
(51)【国際特許分類】
A42B 1/22 20060101AFI20190729BHJP
A42B 1/04 20060101ALI20190729BHJP
A41D 3/00 20060101ALI20190729BHJP
A41D 3/04 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
A42B1/22 B
A42B1/04 E
A42B1/04 Q
A41D3/00 K
A41D3/04 M
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-80119(P2016-80119)
(22)【出願日】2016年4月13日
(65)【公開番号】特開2017-82372(P2017-82372A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2018年6月25日
(31)【優先権主張番号】特願2015-212902(P2015-212902)
(32)【優先日】2015年10月29日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2015-212903(P2015-212903)
(32)【優先日】2015年10月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100139033
【弁理士】
【氏名又は名称】日高 賢治
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 雅基
【審査官】
▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3189088(JP,U)
【文献】
特開2014−156673(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0095712(US,A1)
【文献】
登録実用新案第3076110(JP,U)
【文献】
実開平06−054731(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0064417(US,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第00673609(EP,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第01867243(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 3/00−3/08
A41D 13/00−13/12
A42B 1/00−1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の顔面に対応する開口を有する衣類用のフードであって、
フード本体に設けられ、前記開口の上側半分の左右それぞれの縁部に沿って延びる第1紐通し部と、前記開口の下側半分の左右それぞれの縁部に沿って延びる第2紐通し部と、前記第1紐通し部の下端及び前記第2紐通し部の上端に連結すると共に、前記フード本体の左右側面に沿って延びる第3紐通し部とを有し、
前記第1紐通し部と前記第3紐通し部には第1紐が配設され、前記第2紐通し部には第2紐が配設され、
前記フード本体の後部には、前記第1紐を巻き取り又は解放する調節部材を有し、
前記第1紐の一端は前記第1紐通し部の終端に固定され、他端は前記調節部材に固定され、
前記第2紐の一端は前記第2紐通し部の終端に固定され、他端は前記第1紐が挿入されるリング状部材に固定され、
前記第1紐には、前記リング状部材の孔径より大きなフック部材が、前記リング状部材より前記第1紐の前記終端側に固定されている、
ことを特徴とする衣類用フード。
【請求項2】
前記フック部材は、樹脂製又は金属製又は木製の球体部材である、
ことを特徴とする請求項1に記載の衣類用フード。
【請求項3】
前記フック部材は、前記第1紐を結んだ結び目である、
ことを特徴とする請求項1に記載の衣類用フード。
【請求項4】
前記調節部材は、ダイヤル式操作部を有し、ダイヤルの回転に応じて前記第1紐を巻き取り、又は解放する部材である、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の衣類用フード。
【請求項5】
使用者の顔面に対応する開口を有する衣類用のフードであって、
フード本体に設けられ、前記開口の上側半分の左右それぞれの縁部に沿って延びる第1紐通し部と、前記開口の下側半分の左右それぞれの縁部に沿って延びる第2紐通し部と、前記第1紐通し部の下端及び前記第2紐通し部の上端に連結すると共に、前記フード本体の左右側面に沿って延びる第3紐通し部とを有し、
前記第1紐通し部と前記第3紐通し部には第1紐が配設され、前記第2紐通し部には第2紐が配設され、
前記フード本体の後部には、前記第1紐を巻き取り又は解放する調節部材を有し、
前記第1紐の一端は前記第1紐通し部の終端に固定され、他端は前記調節部材に固定され、
前記第2紐の一端は前記第2紐通し部の終端に固定され、他端は前記第1紐が挿入されるリング状部材に固定され、
前記第1紐には、前記リング状部材の孔径より大きなフック部材が、前記リング状部材より前記第1紐の前記終端側に固定され、
前記第3紐通し部の前記第1紐通し部及び前記第2紐通し部と連結する部分に、前記リング状部材及び前記フック部材が前記調節部材側へ移動することを規制するストッパーを有する、
ことを特徴とする衣類用フード。
【請求項6】
前記フック部材は、樹脂製又は金属製又は木製の球体部材である、
ことを特徴とする請求項5に記載の衣類用フード。
【請求項7】
前記フック部材は、前記第1紐を結んだ結び目である、
ことを特徴とする請求項5に記載の衣類用フード。
【請求項8】
前記ストッパーは、樹脂製又は金属製又は木製の筒状部材である、
ことを特徴とする請求項5ないし7のいずれか1項に記載の衣類用フード。
【請求項9】
前記ストッパーは、前記リング状部材及び前記フック部材の外径より小さく形成した前記第3紐通し部の一部である、
ことを特徴とする請求項5ないし7のいずれか1項に記載の衣類用フード。
【請求項10】
前記調節部材は、ダイヤル式操作部を有し、ダイヤルの回転に応じて前記第1紐を巻き取り、又は解放する部材である、
ことを特徴とする請求項5ないし9のいずれか1項に記載の衣類用フード。
【請求項11】
請求項1ないし10の何れか1項に記載の衣類用フードを備えた、
ことを特徴とする衣類。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類用フード及びこれを備える衣類に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、レインコートや防寒服等のフード付きの衣類には、顔面が露出するフード開口の縁に沿って絞り紐が設けられ、当該絞り紐を締めることでフード開口の大きさを収縮できるようにし、例えば、風雨の際にフード開口の縁部を顔面に密着させるように収縮させて顔面への雨風の侵入を防止できるように構成されている。特許文献1が開示するフードにおいては、フード開口の縁に沿って延設した絞り紐の一端がフードの上端又は下端に固定され、上端から下端、又は下端から上端において折り返され、その後、側頭部から後方に延びるように設けられている。当該フードは、後頭部に設けた調節具によって絞り紐を締める操作によって、フード開口の上下部分が同時に絞られるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3189088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したフードの締め付け構造では、フードの上側(額側)部分と下側(顎側)部分が同時に収縮するものであり、例えば上側のみを収縮させたい場合には対応できず、更には、側頭部側が十分に絞れない、と言う問題がある。
【0005】
本発明は、使用者の様々なニーズに応じて、フードの開口上側部分、フードの開口下側部分、及びフードの側面部分(側頭部分)の各部分を、簡単な操作によって、必要な箇所のみ、又は必要な箇所を段階的に収縮させることができる衣類用フード、及びそれを備えた衣類を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本願の第一の発明は、使用者の顔面に対応する開口を有する衣類用のフードであって、フード本体に設けられ、前記開口の上側半分の左右それぞれの縁部に沿って延びる第1紐通し部と、前記開口の下側半分の左右それぞれの縁部に沿って延びる第2紐通し部と、前記第1紐通し部の下端及び前記第2紐通し部の上端に連結すると共に、前記フード本体の左右側面に沿って延びる第3紐通し部とを有し、前記第1紐通し部と前記第3紐通し部には第1紐が配設され、前記第2紐通し部には第2紐が配設され、前記フード本体の後部には、前記第1紐を巻き取り又は解放する調節部材を有し、前記第1紐の一端は前記第1紐通し部の終端に固定され、他端は前記調節部材に固定され、前記第2紐の一端は前記第2紐通し部の終端に固定され、他端は前記第1紐が挿入されるリング状部材に固定され、前記第1紐には、前記リング状部材の孔径より大きなフック部材が、前記リング状部材より前記第1紐の前記終端側に固定されている、ことを特徴とする。
【0007】
また上記目的を達成するため、本願の第二の発明は、使用者の顔面に対応する開口を有する衣類用のフードであって、フード本体に設けられ、前記開口の上側半分の左右それぞれの縁部に沿って延びる第1紐通し部と、前記開口の下側半分の左右それぞれの縁部に沿って延びる第2紐通し部と、前記第1紐通し部の下端及び前記第2紐通し部の上端に連結すると共に、前記フード本体の左右側面に沿って延びる第3紐通し部とを有し、前記第1紐通し部と前記第3紐通し部には第1紐が配設され、前記第2紐通し部には第2紐が配設され、前記フード本体の後部には前記第1紐を巻き取り又は解放する調節部材を有し、前記第1紐の一端は前記第1紐通し部の終端に固定され、他端は前記調節部材に固定され、 前記第2紐の一端は前記第2紐通し部の終端に固定され、他端は前記第1紐が挿入されるリング状部材に固定され、前記第1紐には、前記リング状部材の孔径より大きなフック部材が、前記リング状部材より前記第1紐の前記終端側に固定され、前記第3紐通し部の前記第1紐通し部及び前記第2紐通し部と連結する部分に、前記リング状部材及び前記フック部材が前記調節部材側へ移動することを規制するストッパーを有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本願の第一の発明によれば、調節部材の操作によって、まずはフード本体の開口の上側(額側)を収縮させ、この開口上側のみの一定収縮で十分な場合には、調節部材の操作を停止し、更に開口の下側(顎側)も収縮させたい場合には、調節部材を更に操作することにより、開口上側に続いて開口下側も段階的に収縮させることができる。
【0009】
また本願の第二発明によれば、開口の上側及び下側の収縮に加えて、更にフードの側面(側頭部側)も収縮させたい場合には、開口の上側及び下側を収縮させた後、調節部材を更に操作することにより、開口に続いてフード側面も段階的に収縮させることができる。
【0010】
以上のとおり、本願の各発明によれば、使用者の顔面に対応する開口を有する衣類用フードにおいて、開口の上側半分、開口の下側半分、フードの側面の3つの箇所を、簡単な構成により、使用者の要求に応じて必要な箇所のみ、又は更に必要な箇所を段階的に収縮させて、顔面にフィットさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る衣類1の一部を含む外観図。
【
図2】本発明の第一実施形態に係るフード10の正面図。
【
図3】本発明の第一実施形態に係るフード10の側面図。
【
図4】本発明の第一実施形態に係るフード10の側面における内部を示す図。
【
図5】本発明の第一実施形態に係るフード10の側面における内部を示す図。
【
図6】本発明の第一実施形態に係るフード10の側面における内部を示す図。
【
図7】本発明の第二実施形態に係るフード110の側面における内部を示す図。
【
図8】本発明の第二実施形態に係るフード110の側面における内部を示す図。
【
図9】本発明の第三実施形態に係るフード10の正面図。
【
図10】本発明の第三実施形態に係るフード10の側面図。
【
図11】本発明の第三実施形態に係るフード10の側面における内部を示す図。
【
図12】本発明の第三実施形態に係るフード10の側面における内部を示す図。
【
図13】本発明の第三実施形態に係るフード10の側面における内部を示す図。
【
図14】本発明の第三実施形態に係るフード10の変形例を示す図。
【
図15】本発明の第四実施形態に係るフード110の正面図。
【
図16】本発明の第四実施形態に係るフード110の側面図。
【
図17】本発明の第四実施形態に係るフード110の側面における内部を示す図。
【
図18】本発明の第四実施形態に係るフード110の側面における内部を示す図。
【
図19】本発明の第四実施形態に係るフード110の側面における内部を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態につき、適宜図面を参照して説明する。なお、図面における共通する構成要素には同一の参照符号が付されている。
【0013】
図1は、本発明に係る衣類用フード(以下、フード)が適用される衣類1の一部を含む外観図である。衣類1は、例えば、レインコート又は防寒服等であり、本発明に係るフード10を備える。フード10は、衣類1の本体から着脱可能に構成することができ、又は、衣類1と一体に形成することもできる。
【0014】
本発明の第一実施形態について、
図2〜6を用いて説明する。
図2は、第一実施形態に係るフード10の正面図であり、
図3は、同じくフード10の側面図であり、
図4は、同じくフード10の側面における内部を示す図である。フード10は、図示するように、使用者の頭部を覆う形状を有し、かつ使用者の顔面に対応する開口20を有するフード本体12と、当該開口20の周縁、及び側部に形成された紐通し部22と、当該紐通し部内に通される第1紐14、及び第2紐16と、フード本体12の後方に設けられ、第1紐を巻き取り、又は解放する調節具18(調節部材)と、を備えている。
【0015】
紐通し部22は、
図4に示すように、フード本体12の開口20の上側半分(顔面の額側)の左右それぞれの縁部に沿って略上下方向に延びる一対の第1紐通し部22aと、開口20の下側半分(顔面の顎側)の左右それぞれの縁部に沿って略上下方向に延びる一対の第2紐通し部22bと、第1紐通し部22aの下端及び第2紐通し部22bの上端と連結すると共に、フード本体12の左右それぞれの側面において略前後方向に延びる一対の第3紐通し部22cから構成されている。紐通し部22は、例えば、複層構造(例えば、表地と裏地の2層構造)を有するフード本体12の内部において袋状に形成され、第1紐14及び第2紐16が収容配設され、各紐の移動経路として機能する。
【0016】
なお上記の例において、紐通し部22は、第1紐通し部22a及び第2紐通し部22bが略上下方向に連続して繋がるように設けられているが、例えば、第1紐通し部22a及び第2紐通し部22bが連続して繋がらず、第3紐通し部22cの異なる位置に連結するように構成しても良い。更に、左右に分割された第3紐通し部22cを、フード本体12の後方において連結し、1つの連続した第3紐通し部22cとして構成しても良い。
【0017】
第1紐14は、図示するように、第一紐通し部22a及び第3紐通し部22c内に配設されており、一端は、第一紐通し部の終端に固定され、他端は調節具18に連結固定されている。
【0018】
また、第1紐14は、紐通し部22の内部において、第2紐16に連結固定されたリング状部材24の孔24aに通されており、第1紐14には、当該リング状部材24よりも第1紐通し部22aの終端側(開口20の上端側)に、フック部材6が固定されている。
【0019】
本実施形態では、フック部材6は、第1紐14を結んだ結び目として構成されており、当該結び目の外径は、リング状部材24の孔24aの内径よりも大きく、この結果、フック部材26は、リング状部材24に引っ掛かるようになっている。なおフック部材26は、上記の結び目に代えて、樹脂製、金属製、木製等の球体形状物であっても良く、更には、内部に第1紐14を挿通可能なコードストッパーとしてもよい。コードストッパーとは、例えば、特開平11−99008号公報や特開2012−217540号公報に開示されているように、その内部に紐を係止可能に挿通することができるものである。フック部材26をコードストッパーとすることにより、第1紐14の任意の位置にフック部材26を移動させて固定することができる。
【0020】
一方、第2紐16は、図示するように、第2紐通し部22b内に配設されており、一端は、第2紐通し部22bの終端に固定され、他端には上記したリング状部材24が固定されている。
【0021】
調節具18は、フード本体12の後端(後頭部付近)に設けられており、前述のとおり、第1紐14が、巻き取り又は解放可能に固定されている。調節具18はダイヤル式であり、使用者によるダイヤルの回転操作に応じて、第1紐14が、巻き取り又は解放されるようになっている。また、調節具18は、ラチェット式になっており、第1紐14を巻き取る際は逆回転しないようになっている。巻き取った第1紐14を解放する際には、ボタン等の操作によってラチェットを解除すれば良い。
【0022】
次に、上記のように構成された第一実施形態におけるフード10を、使用者の顔面にフィットさせる際の動作について説明する。使用者が、調節具18のダイヤルを回転操作して第1紐14を巻き取ると、第1紐14が、第3紐通し部22c、及び第1紐通し部22a内において調節具18側に引っ張られる。この結果、当該第1紐14が固定されている開口20の上端が下方向に引っ張られ、フード本体12の開口20の上側部分が収縮する(
図5参照)。
【0023】
使用者のニーズが、フードの開口上側半分のみ、即ち、額側のみを収縮させたい場合には、ここで調節具18のダイヤル操作を停止し、フード本体12の開口上側のみを収縮させた状態を保持すれば良い。
【0024】
使用者のニーズが、フードの開口下側半分、即ち、顎側も収縮させたい場合には、調節具18のダイヤル操作を引き続き継続する。すると、第1紐14が更に調節具18側に引っ張られて移動すると同時に、第1紐14に固定されたフック部材26が第2紐16に固定されたリング状部材24と当接することにより、第2紐16が第1紐14と連動して調節具18側に引っ張られる(
図6参照)。第2紐16の一端は、第2紐通し部22bの終端側に固定されているため、フード本体12の開口下側半分(顎側部分)も収縮する。
【0025】
以上のとおり、第一実施形態におけるフード10によれば、調節具18のダイヤル操作により、最初は(フック部材26がリング状部材24に引っ掛かるまでは)、開口20の上側部分(額付近)だけが収縮し、さらに調節具18のダイヤル操作を続けることで、開口20の下側部分(顎付近)も収縮するように構成されている。従って、使用者は、調節具18を操作することにより、自らの必要性(ニーズ)に応じて、開口20の上側半分だけを収縮させるか、或いは開口20の上側半分に続いて下側半分も収縮させるかを、段階的に行うことができる。
【0026】
なお、前記のとおりフック部材26をコードストッパーとすれば、第1紐14の任意の位置にフック部材26を移動固定できるため、開口20の収縮量を調整することができる。
【0027】
次に、
図7〜8に基き、本発明の第二実施形態について説明する。
第二実施形態が、上記した第一実施形態と相違する点は、フード10の開口20に加えて、側面(側頭部側)も段階的に収縮できる点である。
図7は、第二実施形態に係るフード本体10の側面における内部を示す図である。第二実施形態において、フードの側面の収縮動作は、第3紐通し部22cに、リング状部材24及びフック部材26が調節具18側へ移動することを規制するストッパー128を設けることによって実現している。
【0028】
本実施形態において、ストッパー128は、樹脂製或いは金属製等からなる筒状体であり、外周面の一部が第3紐通し部22cの前後方向略中央よりも前方位置に固定されている。本実施形態によれば、ストッパー128は、例えば、フード本体12に接着剤を用いて固定したり、或いは縫い付けられて固定されている。
【0029】
上記のように構成された第二実施形態に係るフードの動作について説明する。使用者による調節具18のダイヤル操作に基づいて、開口20の上側、及び下側の段階的収縮動作は、上記第一実施形態と同様であるが、開口20の上側及び下側が収縮した後、使用者が更にフードの側面も収縮させたい場合には、更にダイヤルの回転操作を継続する。すると、
図8に示すように、第1紐14に固定されたフック部材26がリング状部材24を引っ掛かけた状態でストッパー128に当接し、それ以降の移動が規制されるため、使用者が更にダイヤル操作を継続すると、ストッパー128と調節具18との間、即ち、フード本体10の側面が収縮するようになる。
【0030】
なお、上記実施形態におけるストッパーは、樹脂製或いは金属製等からなる筒状体としたが、第3紐通し部22cによっても代替可能である。即ち、第3紐通し部の径を、少なくとも第1及び第2紐通し部と連結する部分において小さく構成し、リング状部材24及びフック部材26が第3紐通し部の入り口で規制され、第3紐通し部内に入らずに、引っ掛かる大きさとすれば良い(図示せず)。こうすることで、別体の筒状体をわざわざ第3紐通し部に設ける必要がない。
【0031】
以上、本発明の第二実施形態によれば、使用者が調節具18のダイヤルを回転操作して第1紐14を巻き取ると、まずはフード本体10の開口20の上側が収縮し、更にダイヤル操作を継続すれば、開口20の下側が収縮し、更にダイヤル操作を継続すれば、フードの側面(側頭部)が収縮する。即ち、第二実施形態によれば、使用者のニーズに応じて、フード本体の開口上側のみ、或いは開口上側と開口下側、更には側面と、フードの3つの箇所を段階的に収縮させることができる。
【0032】
次に、
図9〜14に基き、本発明の第三実施形態について説明する。
第三実施形態が上記した第一、第二実施形態と相違する点は、フード本体12の開口20の上側と側面を段階的に収縮させる点である。
図9は、フード10の正面図であり、
図10は、同じくフード10の側面図であり、
図11は、同じくフード10の側面における内部を示す図である。
【0033】
本実施形態に係る紐通し部22が、上記した第一、第二実施形態と相違する点は、
図11に示すように、フード本体12の開口20の上側半分の左右それぞれの縁部に沿って略上下方向に延びる一対の第1紐通し部22aと、第1紐通し部22aの下端と連結すると共に、フード本体12の左右それぞれの側面において略前後方向に延びる一対の第3紐通し部22cの2つから構成される点である。
【0034】
第一紐通し部22aと第3紐と通し部22cとの交点には、第二実施形態と同様のストッパー128が設けられている。ストッパー128は、フード10の側面から見て略扇形の輪郭を有し、第1紐通し部22a側と第3紐通し部22c側にそれぞれ向けられた孔部を有すると共に扇形の円弧に沿って延びる貫通孔25を有する。ストッパー128は、樹脂製、金属製等からなり、例えば、フード本体12に接着剤を用いて固定したり、或いは縫い付けられて固定されている。
【0035】
第1紐14には、第一、第二実施形態と同様にフック部材26が固定されており、調節具18のダイヤル回転操作によって移動し、フック部材26がストッパー128に当接して引っ掛かるように構成されている。
【0036】
上記のように構成された第三実施形態に係るフード10の動作は、
図12、
図13に示すとおり、使用者が、調節具18を回転操作して第1紐14を巻き取ると、第1紐14が調節具18側に引っ張られることにより、開口20上側が収縮する(
図12参照)。
【0037】
使用者が、フードの開口上側のみの収縮させたい場合には、ここでダイヤル操作を終了する。また使用者が、更にフードの側面も収縮させたい場合には、引き続きダイヤルを回転操作することで、フック部材26がストッパー128に当接した後、
図13に示すように、フード本体の側面(側頭部)が段階的に収縮する。
【0038】
なお、上記実施形態におけるストッパーは、樹脂製或いは金属製等からなる部材としたが、第二実施形態と同様に、少なくとも第3紐通し部22cが第1紐14と連結する部分において、第3紐通し部22cの径を小さくすることよっても代替可能である(図示せず)。また、フック部材も、第一、第二実施形態と同様に、コードストッパーとしても良い。
【0039】
また、上記実施形態におけるストッパー128は、第1紐通し部22a及び第3紐通し部22cの交点付近に設けたが、紐通し部22の任意の部分に設けても良い。例えば、
図14に例示するように、筒状体で構成し、第1紐通し部22aの下側(22aと22cの交点の上方)に設けても良い。
【0040】
以上、本発明の第三実施形態によれば、使用者が調節具18のダイヤルを操作して第1紐14を巻き取ると、まずはフード本体10の開口上側が収縮し、更にダイヤル操作を継続すれば、側面を収縮するように出来る。即ち、第三実施形態によれば、使用者のニーズに応じて、フード本体の開口上側のみ、更には開口上側に続いて側面を段階的に収縮させることができる。
【0041】
次に、本発明の第四実施形態について説明する。第四実施形態は、上記した第三実施形態の開口20の上側に変えて、開口20の下側と側面を収縮させるようにしたものであり、第三実施形態を上下逆さに構成したものである。本実施形態については特に図示しないが、
図20を参照されたい。
【0042】
本実施形態に係る紐通し部22は、フード本体12の開口20の下側半分の左右それぞれの縁部に沿って略上下方向に延びる一対の第2紐通し部22aと、第2紐通し部22aの上端と連結すると共に、フード本体12の左右それぞれの側面において略前後方向に延びる一対の第3紐通し部22cの2つから構成される。ストッパー及びフック部材、調節具の構造は、第三実施形態と同じである。
【0043】
本発明の第四実施形態によれば、使用者が調節具18のダイヤルを操作して第2紐14を巻き取ると、まずはフード本体10の開口下側が収縮し、更にダイヤル操作を継続すれば、側面を収縮するように出来る。即ち、第四実施形態によれば、使用者のニーズに応じて、フード本体の開口下側のみ、更には開口下側に続いて側面を段階的に収縮させることができる。
【0044】
次に、
図15〜19に基き、本発明の第五実施形態について説明する。
第五実施形態が、上記第一〜第四実施形態と異なる点は、フード本体12の開口上側及び開口下側を同時に収縮させ、その後、側面を段階的に収縮させる構成である。
図15は、本実施形態におけるフード10の正面図であり、
図16は、同じくフード10の側面図であり、
図17は、同じくフード10の側面における内部を示す図である。
【0045】
本実施形態における紐通し部22は、
図15〜19に示すように、第一、第二実施形態と同様の構成である。本実施形態が第一、第二実施形態と相違する点は、第2紐16が、第一紐14と同様に、一端が第2紐通し部22bの終端に固定され、他端が調節具18に固定されている点、及び第2紐16にも第1紐14と同様にフック部材126が固定されており、第1紐に固定されたフック部材26とともに、一つのストッパー124に当接する点である。
【0046】
ストッパー124は樹脂製或いは金属製等からなり、
図17に示すとおり、第1紐14と第2紐16が第1紐通し部及び第2紐通し部から挿入され、かつ同方向に合流して第3紐通し部から調節具18に導くT字形の孔を有する構造となっている。なお、ストッパー124は、第1紐及び第2紐のそれぞれに対応する2つのストッパーで構成しても良い(例えば、第二実施形態で示したストッパーを2つ用いる)。
【0047】
なお、第1紐14、第2紐16は、調節具18に固定する側において接着剤等で接着して1本の紐とし、一本の紐となった部分を調節具18に固定しても良い。また、2本の紐を途中で結んで同時に引っ張れるようにしても良い。更には、2本の紐を金属線
等により途中でカシメて、同時に引っ張れるようにしても良い。また、第1紐14に固定されたフック部材26とストッパー124との距離、及び第2紐16に固定されたフック部材126とストッパー124との距離は、略同一となっている。また、フック部材の構造は、第一〜第四実施形態で示したものと同様である。
【0048】
上記のように構成された第五実施形態に係るフード10の動作を、
図18、19に基づいて説明する。まず使用者が、調節具18のダイヤルを回転操作して第1紐14及び第2紐16を巻き取ると、第1紐14及び第2紐16が同時に引っ張られることにより、開口20の上側及び下側が同時に収縮する(
図18参照)。
【0049】
使用者が、フードの開口上側及び下側のみを収縮させた場合には、この段階でダイヤル操作を停止すれば良い。使用者が、更にフードの側面も収縮させたい場合には、更にダイヤル操作を継続する。すると、第1紐及び第2紐にそれぞれ固定されているフック部材26がストッパー124に当接し、その移動が規制されるため、ストッパー124が調節具18側に引っ張られ、フードの側面が収縮する(
図19参照)。
【0050】
以上のとおり、第五実施形態に係るフード10によれば、調節具18のダイヤル操作により、開口20の上側及び下側が同時に収縮し、更にダイヤル操作を継続することにより、側面が収縮するように構成されおり、使用者は、調節具18のダイヤルを回転操作することにより、フードの開口上側及び開口下側の収縮と、更には側面の収縮を段階的に行うことができる。
【0051】
なお、上記実施形態におけるストッパーは、樹脂製或いは金属製等からなる部材としたが、第二〜四実施形態と同様に、少なくとも第3紐通し部22cが第1紐14と連結する部分において、第3紐通し部22cの径を小さくすることよっても代替可能である(図示せず)。また、フック部材も、第一〜三実施形態と同様に、コードストッパーとしても良い。
【0052】
以上、本発明に係る第一〜第五実施形態について説明したが、本発明の実施形態は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で様々な変更が可能である。例えば、左右一対の第1紐14、第2紐16は、開口の上部(頂部)又は下部(底部)で連結して1本の紐として構成することもできる。更に、リング状部材24、フック部材26、ストッパー128の構造、形状、配置等は例示であって、様々な変更が可能である。
【0053】
また上記各実施形態では、調節具18がダイヤルの回転操作に応じて第1紐、第2紐を巻き取り又は解放するように構成したが、これに限定されず、例えば、手動で紐を引っ張り、コードストッパーで固定するなど、適宜の構成であっても良い。本明細書においては、手動で引っ張ってコードストッパーで固定する調節具であっても、巻き取り又は解放の範囲と定義する。
【0054】
また、第三実施形態と第四実施形態と合体させ、2つの調節具によって開口の上側半分と下側半分と、それぞれ独立して収縮させるように構成しても良い。
【0055】
以上のとおり、本発明に係る衣類用フードによれば、使用者の顔面に対応する開口の上側半分、下側半分、及び側面(側頭部)のそれぞれを、簡単な構成によって使用者のニーズに応じて段階的に収縮させることができる。
【0056】
また、以上説明した衣類用フードは、各種の衣類に適用される。
【符号の説明】
【0057】
1 衣類
10 フード
12 フード本体
14 第1紐
16 第2紐
18 調節具
20 開口
22 紐通し部
22a 第1紐通し部
22b 第2紐通し部
22c 第3紐通し部
24 リング状部材
26 フック部材
128 ストッパー