【実施例】
【0129】
本発明の望ましい実施形態において、織物はコーティングの融点に加熱されるだけであり、この融点は、共に接合される織物の融点よりも低い。本発明の望ましい実施形態において、接合温度は、接合されるポリプロピレン織物の融点より少なくとも5度低い。異なるポリプロピレン織物は異なる融点を有し、本発明の方法の望ましい一実施形態において、接合温度は、接合される具体的ポリプロピレン織物の融点より少なくとも5度低い。一実施例として、ポリプロピレン織物の融点は、320°F(176.7℃)であり、本発明の一実施形態において、コーティングは、315°F(157.22℃)に加熱される。ポリプロピレン織物よりも加熱温度が低いので、本発明の方法では、織物の強度を損なったり低下させることはない。一方、従来は、熱溶接のために高い熱式(heat formulas)を用いていたので、織物の強度を損なったり低下させることがあった。さらに、本発明の一実施形態において、シールを形成するのに用いられるクランピング圧力は、コーティングの大部分がその位置に残されるように十分低く設計され(例えば、7psi(48キロパスカル))、接合される材料の大部分はコーティングによって分離される。クランピング圧力はさらに低くてもよく、例えば2psi(13.8キロパスカル)より低くでもよい。一般的に、従来の熱シーリング方法におけるクランピング工程では、織物のあらゆるコーティングを意図的に溶融させて横に押しやり、織物糸を直接接合するようにしていた。織物糸のどの部分もその融点以上に加熱され、高圧(例えば20psi(137.9キロパスカル))と組み合わせられると、糸は細くなり、強度が低下し、部分的に結晶化される。
【0130】
本発明の目的は、織物と織物を熱によって融着することである。本発明の望ましい実施形態において、織物は、その融点より高い温度には加熱されないので、織物の強度低下の防止に有効である。本発明の望ましい実施形態において、織物は、コーティングの融点にまで加熱されるが、この融点は、接合される織物の融点よりも低い。本発明の実施形態において、接合温度は、接合されるポリプロピレン織物の融点より少なくとも5度低い。ポリプロピレン織物の種類が異なれば融点も異なり、本発明の方法の一実施形態における接合温度は、接合されるポリプロピレン織物の融点より少なくとも5度低い。一実施例のポリプロピレン織物の融点は320°F(176.7℃)であり、本発明の一実施形態において、コーティングは315°F(157.22℃)まで加熱される。従来の熱溶接の高い熱式では織物の強度が損なわれたり低下したが、本発明の方法は、ポリプロピレン織物よりも低温の加熱であるので、織物の強度を損なったり低下させることはない。さらに、本発明の一実施形態において、シールを形成するのに用いられるクランピング圧力は、コーティングの大部分がその位置に残されるように十分低く設計され(例えば、7psi(48キロパスカル))、接合される材料の大部分はコーティングによって分離される。クランピング圧力はさらに低くてもよく、例えば2psi(13.8キロパスカル)より低くでもよい。一般的に、従来の熱シーリング方法におけるクランピング工程では、織物のあらゆるコーティングを意図的に溶融させて横に押しやり、織物糸を直接接合するようにしていた。当然のことながら、織物糸のどの部分もその融点以上に加熱され、高圧(例えば20psi(137.9キロパスカル))と組み合わせられると、糸は細くなり、強度が低下し、部分的に結晶化される。
【0131】
本発明では、加熱温度が低く、圧力が低いので、コーティング部分だけが接合される。このため、織物が損傷を受けたり強度低下することは全くない。実際、コーティングは、これまでの方法のように押し出されるのではないので、その強度は、接合部全体の強度に付加されることができる。得られた接合部は、織物で現在一般的に行われている縫製方法で達成される強度よりも少ない材料でより大きな重量を持ち上げることができる強度を有する。
【0132】
前述したように、望ましい実施形態において、コーティング材料は、接合される織物よりも融点が低い。望ましい実施形態において、工程におけるコーティング材料は、その工程を良好に実施することができる適当なあらゆる材料であってよく、ある範囲のコーティング材料から選択されることができる。適当なコーティングは、プロピレンプラストマー及びエラストマーであり、例えば、The Dow Chemical Companyが製造するVERSIFY3000が挙げられる。適当なコーティングは、重量%にて、ポリプロピレンベースのポリマー50%〜90%と、ポリエチレン10%〜50%を含むものであってよい。VERSIFY3000はThe Dow Chemical Companyの登録商標であって、フィルム、繊維及び広範囲の成型プラスチック物品の製造や、コーティング織物、人工レザー、ソフトタッチグリップ、靴スティフナー、可撓性ルーフィング膜を作るための化合物の製造における原材料として用いられるプロピレン−エチレンコポリマーである。
【0133】
本発明の望ましい実施形態における方法では、70%が純粋VERSIFY3000)、25%がポリエチレン、5%が顔料又は紫外線(UV)阻害剤等の他の添加剤からなる混合物が用いられた。本発明の方法では、100%純粋VERSIFY3000を用いると、接合部の剪断試験において、96%〜102%の結合効率が達成され、70%VERSIFY3000では、同じ試験で91%〜95%の結合効率が達成された。(得られたパーセンテージは、試験した織物の平均強度に基づいている。試験した織物の場合、一般的には、部位によって約5%の強度バラツキがある。)
【0134】
図面を参照すると、
図1に示される表は、織物の横糸及び縦糸の方向糸に標準の縫着シーム方法を用いた従来のバルクバッグ構造の試験結果の比較データを示す。従来、バルクバッグ産業では、シームを作るのに幾つかの方法がある。
図2及び
図3には、最も一般的なシームが示されている。
【0135】
図2は、素縫いシームを示す。
図2において、織物(13)は、ステッチシーム(11)と織物折畳み部(15)を有し、織物は折り返されてシームが形成される。図示のように、素縫いシームは、縫合される織物の2つの片を互いに折り返したものである。この素縫いシームは、インターロックされた織り目が、バルクバッグの使用中に大きな圧力を受けて、織物の縁部からするりと外れるのを防止する。このシームは、一般的に、約58%の結合強度を有する。
【0136】
図3Aは、予めヘムが形成された縫着シームを示しており、これは、接合部が形成される前に織物を折り返すだけでなく、織物の折り返された部分を織物に縫い付けることによって作られる。
図3Aに示される織物(13)は、ステッチシーム(11)と、ヘム(12)を保持するステッチとを有しており,折り返された部分は織物へ縫合される。この追加工程により、一般的に、シームの平均強度は63%となる。63%は、58%に対して強度が8.5%上昇したことになる。織物にヘムを形成するのに追加の労力が必要であるので、このサイズでの強度向上は、産業上重要と考えられている。
【0137】
予めヘムが形成されたシームは、バッグが作られて充填された後、
図3Bに示される位置になるであろう。
図3Bは、熱でシールされた接合部を示している。これは、たいていの場合、シームは基本的に、その強度が主として使用される糸の強度によって決定される剥離位置にあることを意味する。しかし、シームが織物の63%の力に耐えることができるとき、織物は、シームの非効率を考慮に入れて大きく作られ(overbuilt)なければならない。
【0138】
労働力のことを考慮すると、縫製作業では、バルクバッグ製造の最終コストを決定する上で非常に大きな要素である。
【0139】
同じ織物を使用し、本発明の熱融着によるシーム形成方法を用いると、
図4の表に示されるように、4組の試験に対して得られたシーム強度は、平均95.75%を保持した。これら織物では、この強度保持は顕著な強度向上である。
【0140】
織物の接続部で元の強度の95%が維持されると、同じ織物を用いてより重い荷重を運ぶことができるし、より少ない織物を用いて同じ荷重を運ぶことができる。本発明の一実施形態では、縫着シームの強度より50%を超える強度が達成される。
【0141】
熱融着によるシームは、より高い強度のシームを形成するだけでなく、著しく異なる方法で行われる。本発明の熱融着によるシームは、バルクバッグ産業のニーズを満たす新たなバルクバッグ構造を提供するものである。
【0142】
従来技術では、縫製機械の性質及びバルクバッグのサイズにより、シームの大部分が縁部から縁部の剥離位置に縫合されなければならない。縫製機械ののど部(throat)は、バルクバッグの全体が機械ののど部を通過できるほど十分に大きくない。それゆえ、縫製は、一般的には、
図7及び
図8に示されるように、全てのシームが縁部から縁部位置に配置されるように設計される。
図5は、熱融着バッグ(10)の熱融着シーム(16)を示す。
図6は、従来の縫製されたシームを示す。
【0143】
縫製によるシームを有する従来のバッグが充填されると、シームは剥離位置の状態となり、その強度は、糸と針穴のある織物との組合せ強度に全面的に依存することになる。
【0144】
図7及び
図8に示される機械によって製造された織物のステッチ位置が
図9Aに示されている。図示されたステッチシーム(11)は、側壁(17)とバッグ底壁(18)とが縫合されたものである。織物折畳み部(15)は、側壁(17)の織物折畳み部(15)が底壁(18)の織物折畳み部(15)と接触するように配置される。
図9Bにおいて、バッグが使用状態にあるときのステッチと織物の位置が示されている。縫合されたステッチ(11)と接合部(14)が示され、側壁(17)と底壁(18)が取り付けられている。側壁(17)及び底壁(18)の織物折畳み部(15)は、バッグの内側に示されている。一般的に、最小の織物折畳み部(15)は、各面で奥行2インチ(5.08cm)である。これは、縫製された平均シームは、重ねられた織物を4インチ(10.16cm)有することを意味する。
【0145】
本発明の熱融着シームは織物を重ねることによって形成され、シームには、強度向上のための広い剪断領域がもたらされる。本発明の一実施形態において、熱融着シームは、元の強度の95%を有する。望ましい実施形態において、重なり部は、1−1/2インチ〜2インチ(3.81cm〜5.08cm)である。従来の縫製方法では、シームの両面の重なり部は2インチであるので、本発明の方法では、全ての接合部において少なくとも2インチ(5.08cm)削減できることになる。
【0146】
図10は、本発明の熱融着シームを示す。
図10において、織物(13)は実線で示されている。織物のコーティング又は積層(19)は破線で示されている。線(20)は、シール又は接合された織物の領域を示しており、1−1/2インチ〜2インチ(3.81cm〜5.08cm)である。
【0147】
本発明の一実施形態において、重なり部の幅は遙かに小さく、例えば0.5インチ(1.25cm)であり、より多くの織物を削減することができる。
【0148】
シームは、バッグのどの外部シームについても把持可能な縁部を残さないようにシールされることが望ましい。これにより、シームを、融着接合部の強度が弱い剥離位置の方向へ引き裂こうとする力が抑制される。
【0149】
本発明の一実施形態における望ましい方法では、織物の重なりは1−1/2インチ(3.817cm)であり、例えば
図11に示される2インチ(5.08cm)幅のシールバー(21)の下で該シールバーの中央部にある。
図11において、線(20)は、シールされた領域を示し、例えば、幅1−1/2インチ(3.817cm)である。これは、接合部又はシール領域(20)の何れか一方に、矢印(22)で示される1/4インチ(0.64cm)の隙間又は移行領域を意図的に残すものである。これにより、シールの2つの半体の終端縁は、確実に、その際(きわ)にまでシールされることができる。このため、簡単に剥離される得る領域となる把持可能な縁部が残されることはない。
【0150】
1/4インチの移行領域は、単一層のより少ない材料量を熱による損傷から防止するのに十分に小さく、織物縁部ラインアップ時の多少の位置ずれを許容する。
【0151】
本発明の方法の一実施形態において、パルス加熱方法が用いられる。衝撃加熱を用いることにより、上面温度が制御され、所定時間、所望の熱量に保持されることができる。これにより、工程中、材料温度は織物が損傷されるほどの高温ではない所望レベルまで昇温され、その温度にて、接合部領域が十分かつ均一に加熱されるのに十分長い時間、保持されることができる。
【0152】
また、これは、シールの下の材料量を常に等しく維持するのに有用な方法である。衝撃加熱法は、シーリング工程中、等しい熱を注入する。シールバーの下の材料量が均一でなくバラツキがあまりに大きいと、材料が少ない領域は、必要以上に多くの熱を吸収して、材料の損傷が起こり得る。
【0153】
図10において、1箇所だけにシールが形成されるとき、加えられる熱量は十分に小さく、1/4インチ(0.64cm)の移行領域又は隙間(22)は十分な熱分散が行われ、周囲材料を損傷することなく非常に良好なシールが形成される。
【0154】
本発明の一実施形態は、この工程を重ねて、複数のシールを同時に作成することを含む。工程を重ねるとき、材料の配置が考慮されるべきであり、工程を通じて材料の量を等しく維持することにより、シーリング工程の安全な反復性が可能となる。
【0155】
ここまでは、ポリプロピレン織物を用いた素縫いシーム作成において、縫製と熱シーリングとの違いについて説明した。次は、例えば、1トンの流動性を有する乾材料を日常的に運搬するためのバルクバッグの製造について説明する。
【0156】
本発明の目的は、一般的に、バルクバッグ、柔軟な中間バルク容器(Flexible Intermediate Bulk Containers)、FIBC’s、ビッグバッグ又はスーパーサック(B.A.G. Corporationの登録商標)等の名称で呼ばれる製品の製造費用を低減する方法を見出すことである。この明細書では、その製品名称を、主としてバルクバッグと言うものとする。
【0157】
本発明は、バルクバッグの製造に有用な用途を有すると共に、例えば25〜100ポンド(11〜45キログラム)を運搬するのに用いられる小型バッグ等のその他多くのパッケージ又は製品にも有用である。本発明が利点をもたらす他の製品として、好ましくは無菌で気密のパッケージである柔軟性織物パッケージングの中に収納され輸送される製品がある。
【0158】
現在のバルクバッグ技術で行われている縫製機械では、一般的には、バッグのあらゆる部位のシームは、ほぼ隅から隅まで個別に一針ずつ縫われる。本発明の一実施形態における生産システムは、この工程を簡素化して、導入口から上面シート、上シートからバッグ本体、底シートからバッグ本体、底部排出口から底シートまで、単一動作又はステップでシール又は接合することができる。このシステムにより、労働と時間を大幅に削減できる。
【0159】
さらに、本発明の一実施形態において、どの熱融着シームも、縫着シームよりも強度が約50%大きい。本発明の織物バッグの接合部の布地量は、縫着シームの場合よりも少ないから、製造費用を大幅に削減でき、経済的である。
【0160】
熱シーリング法は当該分野で知られている。製造されるシームの形状の如何に拘わらず、加熱バーは、そのシーム及びその形状を達成できる形状である。本発明の一実施形態において、四角形状の加熱バー及び構造が、織物を適当位置に保持し、バッグの底部を側壁に接合することができ、接合部を形成するのに用いられる。しかしながら、このような装置は、大きく、かさばり、費用が高い。製品を完成させるのに追加の工程及び機械が必要になるかもしれない。
【0161】
本発明の一実施形態における方法は、バルクバッグを製造するための本発明の熱融着方法を使用することを含み、個々の接合部は、次々に、順次シールされる。本発明の他の実施形態において、バルクバッグの熱融着は、少ない工程及び機械を用いて行われる。本発明の目的は、バルクバッグの製造において、従来の縫製方法に比べて、工程の数を簡素化させることである。
【0162】
バルクバッグ市場において、従来、多くのタイプがあるが、これら構造の大部分は2つの基本的カテゴリーに含まれる。バッグの本体が数多くの平らなパネル片を縫製して作られるものと、垂直方向にシームのない単一の筒状織物から作られるものである。
【0163】
基本的タイプの全ては、本発明のシステムを用いて作られることができる。本発明の望ましい実施形態の製造は、筒状の織物本体で開始する。
【0164】
多くのバルクバッグは、導入口、トップパネル、円筒形の織物本体パネル、ボトムパネル及び排出口を有する。導入口と排出口は、シームのない筒状織物で作られることができる。バッグの本体は、シームのない筒状織物として作られることもできる。トップパネルとボトムパネルは、ほぼ四角形の平らなパネルで、該パネルに取り付けられる導入口と排出口に適合する形状の穴がカットされる。
図12Aは、導入口又は排出口(23)を示している。線(24)は、導入又は排出口筒体用の織物で平らにしたときの幅(例えば22インチ(55.88cm))を示している。線(25)は、導入又は排出口の長さ(例えば18インチ(45.72cm))を示している。
【0165】
図12Bは、トップパネル又はボトムパネル(26)の例を示している。
図12Bにおいて、トップパネル又はボトムパネル(26)は、ほぼ正方形であり、例えば、線(29)で示される辺は、例えば41インチ(104.14cm)である。領域(30)は、導入口又は排出口の接続領域を示しており、線(28)は、例えば11インチ(27.94cm)である。
【0166】
図12Cは、シームのない筒状織物(27)を示している。線(31)は、筒状織物を平らにしたときの高さを示し、例えば45インチ(114.30cm)、線(32)は幅を示し、例えば74インチ(187.96cm)である。
【0167】
このように、
図12A〜
図12Cは、5つの織物片の例を示しており、導入口
(23)、排出口
(23)、トップパネル
(26)、ボトムパネル
(26)及び筒状織物片
(27)である。
【0168】
本発明の一実施形態におけるバルクバッグは、熱融着方法を用いて、1回の工程で作製されることができる。望ましい実施形態において、織物片は、ガセットが付けられ、熱融着工程のための適当な位置に置かれる。
図13A〜
図13Dは、望ましい実施態様における織物の最終形態で、基本のバッグを製造する直前の状態を示している。
【0169】
望ましい実施形態において、織物のコーティング側は、筒体の外側で、平らなパネルの内側であるので、コーティングは、バッグが形成されるときに互いに面することになる。
【0170】
これらのコーティングの位置は、裏返しにして、筒体の内側で平らなトップパネル及びボトムパネルの外側にすることができるが、筒状織物の外側にあるのが自然であるので、図面に示される位置が望ましい。
【0171】
図13A〜
図13Cは、1回の工程で熱シーリングする前のバルクバッグパーツが折り畳まれた状態を示している。
図13A〜
図13Cに示されるように、どの織物片も折り畳まれた形状は基本的に同じ形状である。
図13Aは、折り畳まれた導入又は排出口(23)の端面図を表しており、コーティング又は積層(19)は外側にある。線(33)は、幅領域を表し、例えば11インチ(27.94cm)である。
図13Bは、トップパネル又はボトムパネル(26)の端面図を表しており、コーティング又は積層(19)は内側にある。線(45)は、例えば41インチ(104.14cm)である。
図13Cは、折り畳まれた筒状バッグ本体(27)の端面図を表しており、コーティング又は積層(19)は外側にある。線(46)は、例えば37インチ(93.98cm)である。
図13Dは、折り畳まれたトップパネル及びボトムパネルの側面図を表しており、コーティング(19)は内側にある。破線(34)は、後で折り畳まれる線を表す。コーナー部のスリット(35)も示されている。約45度の角度が形成されることができる。
【0172】
前述した折畳み配置は、各織物片を、製造工程中に接続される織物片の中又は周りに適合させることができる。
【0173】
織物片の形状が合わされると、バッグは
図14に示されるように、シールできる状態にある。4箇所の熱融着領域又は接合部
(41)では、配置されたパーツは、外側パーツが内向きに面するコーティング(19)を有し、内側パーツが
図15及び
図16に示されるように外向きに面するコーティング(19)を有する。
【0174】
この結果、下から上までの全ての位置で合計8層の織物となる。
図15及び
図16において、層(1)〜(8)が示されている。
【0175】
バッグの上層と本体の接続例は次のとおりである。
1.第1層/トップパネル/フラット面
2.第2層/本体パネル/フラット面
3.第3層/本体パネル/ガセット面
4.第4層/トップパネル/ガセット面
5.第5層/トップパネル/ガセット面
6.第6層/本体パネル/ガセット面
7.第7層/本体パネル/フラット面
8.第8層/トップパネル/フラット面
【0176】
複数の層をこのように配置することにより、本発明の熱融着方法は、1回の動作でトップパネルを本体パネルとの完全な接合が可能である。
図15及び
図16に示される構造が折り畳まれると、構造は、コーティング(19)とコーティング(19)が接合部を形成するが、織物(13)と織物(13)は接合部を形成しない。図面中、ガセットは製造中に合わさるように配置されるが、織物は落り畳まれると平らな状態になる。
4つの接合部は全て同じように作られる。
【0177】
本発明の方法は、安全な温度限界を超えることなく、複数の層の接合部を形成するために衝撃シーリングを用いるもので、ポリプロピレン織物の融点よりも低い所定温度を超えないように制御しながら加熱することを含む。
【0178】
望ましい実施形態において、目的とする接合部の全体が、織物の強度を損傷しない正しい温度に到達できるようにするために、8層の材料全体を通じて共通となるように加熱時間が設定される。
【0179】
また、加熱メカニズムがトップパネルとボトムパネルで対称にすると、熱は全厚さの50%だけに伝達させることが必要になる場合に有効である。この工程はまた、織物の層全体を加熱する場合、加熱時間を長くすることによって1つの加熱要素で達成できる。望ましい方法では、積層のトップパネルとボトムパネルの両方を加熱する加熱要素を用いる。
【0180】
本発明の一実施形態において、トップパネルに4つの加熱要素、ボトムパネルに4つの加熱要素を有する1台の機械により、1回の動作で、
図14に示される完成されたバッグの4つの接合部を全て有効にシールすることができる。
【0181】
織物は、シーリング機構の下に配置され、該機構は、熱シーリングバー が、接合される領域と重なり部(例えば1/4インチ(0.64cm))を覆うことができ、全ての縁部をシールすることができ、縁部を把持出来ないようにするものが用いられる。本発明の一実施形態において、前記機構は、熱、時間及び圧力を制御することができる。これが行われると、バッグは、完全に繰返し可能な信頼性をもって接合されることができ、この製造段階では1台の自動可能機械を必要とするだけである。
【0182】
このようにしてバルクバッグを製造するとき、単に本体パネルの長さを変えるだけで、異なるサイズのバッグを作ることができる。これは、2つの加熱要素の移動を、トップパネルとボトムパネルのアタッチメント間の新たな距離に合わしさえすればよい。導入口、排出口、トップパネル及びボトムパネルの関係に変更はない。
【0183】
本発明の方法はまた、異なるデザインのバルクバッグ、例えばリフティングループを有し、シーム又は接合部が熱融着されたバッフルバッグの製造に用いられることができる。
【0184】
このシステムは、糸を必要としないので、糸の切れ端がバッグ内に残ったときに起こり得る汚染を生じることはない。また、縫製機械がバッグの様々な部品と接触することによって生じる汚染も低減される。また、バッグの内表面と人体との接触も低減される。
【0185】
シームは針穴のないソリッドであるので、このシステムでは、ステッチのあるバルクバッグでしばしば必要とされるふるい分けは必要でない。本発明の方法は、ほとんど気密のバッグを提供することができる。
【0186】
気密性及び清浄性により、この生産システムは、これまで清浄性及び/又は水分制御のためにバルクバッグの内側にしばしば設けられていたポリエチレンライナーの必要性をなくすことができる。これは当該産業におけるプラスチックの使用量を低減することができ、結果的に埋立られてしまう材料を低減することができる。
【0187】
とりわけ、望ましい実施形態に示される4箇所のシームは全て、最終シームが、バルクバッグが運搬する重量物の力に耐え得る剪断位置におかれる。さらに、重量物の運搬作業は、剪断位置にあるときだけこれらシームに応力が作用する。
【0188】
このように、柔軟性バッグ、パッケージ又は容器の製造を自動化するための本発明の方法において、この方法は、あらゆる種類の柔軟性バッグ、パッケージ又は容器をカバーできることは理解されるべきである。
【0189】
前記したように、バルクバッグ産業は、方向性の大きなポリプロピレン織物を使用する。これは、コストと、強度マトリックスとの関係に基づく。ポリプロピレンは、歴史的に、ポンド(キログラム)当たりのコストが低く、歴史的に、同様なポリエチレンよりも引張強度が約30%大きかった。バルクバッグを作製するのに厚肉のポリエチレン材料を用いることはできるが、必要な強度を得るために要する費用の点で、ポリエチレン材料を用いることへの関心には限界があった。さらに、ポリエチレン織物はポリプロピレン織物よりも融点が低いため、この産業では、ポリプロピレンが40年近くに亘って好ましい材料であった。ポリプロピレンはまた、非常に不活性の材料である。ほとんどどの化学剤にも影響を受けない。これはまた、パッケージング用バッグの製造に良い選択となっている。これらの全てが産業に対する利点であるが、ポリプロピレンがポリエチレンに及ばない領域は、ポリプロピレンの不活性さと高い方向性による強度であった。
【0190】
この不活性さのゆえに、容器製造に際しては、材料の物理的接続に依存していた。100%近くが製造方法として縫製に委ねられていた。
【0191】
縫製の一般的な代替方法の1つで自動化可能な方法は、接合部を形成するのに熱を利用することであった。PE織物が用いられるとき、これは極く普通に行われる。しかし、ポリプロピレンは、接合部を形成するのに必要とされる加熱温度では結晶化する。この結晶化は接合部の強度を損なうので、これまで、この方法は用いられていなかった。バルクバッグ等のポリプロピレンバッグの構造に使用可能なシームを作るために、ポリプロピレン織物を熱融着する方法は現在でも知られていない。
【0192】
前述したように、縫製工程は労働集約型であり、あらゆる形態の自動化には全く適していない。縫製機械は、部品が超高速で移動してステッチ工程が行われ、毎分数千ものステッチが形成される。このような速度では、機械が自動運転されたとしても、針や糸が絶えず破損するため、作業に復帰させるために人手による修理が必要となる。それゆえ、常時人員のサポート無しで作業することはできず、効率的かる費用効率の高い製造の自動化ができなかった。これら作業の全てが損失となるため、製造は、労働賃金が低い外国工場で行われるようになった。
【0193】
それゆえ、現在のバルクバッグの製造で必要とされている多大な労働を低減できるバッグ製造自動化システムへの要請がある。これはまた、最終消費者に近い場所での製造が可能となり、現在の縫製による製造の下で問題となっている長いリードタイム(lead time)及び多くの在庫の必要性を解消させることができる。
【0194】
本発明の方法に一実施形態は、新規で独自の熱融着方法を用いて、織物バッグを製造する方法を含む。熱融着方法は、ポリエチレン織物の接合では広く知られ、かなり一般的である。結合効率が80%〜85%であれば、非常に良好な結合効率レベルであると一般的に理解されている。しかしながら、多くの場合、その結合効率は70%台に低下する。
【0195】
縫製によるシームでは、結合効率は65%しか得られないこともある。最終容器の製造において織物の強度を選択するとき、ポリプロピレン織物の強度には、これらの結合強度が考慮に入れられる。
【0196】
熱融着の現在の方法では、通常、ベースの織物を溶融して両者を接合するのに十分に高い温度と圧力が加えられる。この方法は、付加された全てのコーティングを溶融させ、溶融したものを高圧によって押しやることにより、ベースの織物どうしを接合するものである。この方法は、数十年も前から、例えばポリエチレン織物に適用され、成功を収めている。これが必要とされてきたのは、強度が織物に依存するからである。このとき用いられるコーティングは、汚れ及び/又は水分を抑制することを目的とするものであった。
【0197】
ポリプロピレンは不活性であるので、付加されるコーティングは、織物に対する取付強度が低い。それゆえ、付加されたコーティングが、溶接により取付位置として用いられた場合、得られる強度は織物の強度と実質的な関係はない。得られた接合部の強度は、織物に対するコーティング取付部の強度にのみ関係する。コーティングの取付強度に依存する接合部を形成する本発明の方法に関して試験を行なったとき、試験した材料の具体的強度の約27%の結合強度を示した。これらの試験において、破損した織物はなかった。常に、接合不良を生じた織物からのコーティング分離によるものであった。
【0198】
本発明において、標準の押出コーティング方法で適用され得るコーティングでは、ポリプロピレン織物に完全に取り付けられるので、コーティングをシーリング機構の加熱されたあご部から押し出すような高圧を加える必要はない。本発明の目的は、例えば10psi(68.9キロパスカル)よりも小さい圧力でシーリングすることにより、付加されたコーティングの強度を最終熱シールの強度の一部として利用することである。この熱シーリング方法では、織物自体は殆んど損傷されることはない。本発明の一実施形態では、コーティングだけが溶融されて接合部が形成される。試験結果では、接合部は90%を超える強度が達成される。試験結果の中には、シールされなかったコーティング材料の強度の100%を達成したものもある。しかしながら、得られた接合部の強度は、コーティングされる前の織物自体の強度を何度も超えている。
【0199】
それゆえ、本発明の方法の一実施形態において、熱シーリング方法は、あらゆる工程が開始する前に、元の織物よりも強度が実際に高いシームを形成する。現在の方法による結合効率が65%であることを考慮すると、本発明の熱シーリング方法による接合部は、元の織物に対する悪影響は最小であり、自動化による労働コストの低減だけでなく、シーム効率の向上により、同じ全体強度では織物の重量及び厚さを低減することができる。実施例を次に挙げる。縫織物の引張強度が200ポンド/インチ(3572キログラム/メートル)のとき、縫製された後、シームの強度は200ポンド/インチ(3572キログラム/メートル)の65%であり、130ポンド(58キログラム)である。結合効率が90%であると、織物の元の強度が150ポンド/インチ(2678キログラム/メートル)でもシーム強度は135ポンド/インチ(2410キログラム/メートル)となる。これは、織物の強度が25%低下しても同じシームが得られることになる。このシステムを用いた場合、同じ強度を有するバッグを作るのに必要な織物材料の量は、長期間に亘って低減されることができる。
【0200】
全てのシームが成功に至るには、少なくとも2つの測定が重要である。これらの測定は,一般的に、剪断試験と剥離試験と称される。
【0201】
剪断試験では、接合部は、材料の2つの端部が接合部領域の対向する端部で接合される。材料の自由端部が反対方向に引っ張られると、シールされた領域の全体が接合部を効率的に支持する。これは、シールされた接合部で最も高い結合効率が得られる。
【0202】
剥離試験では、試験材料の2つの自由端部は、接合部の同じ側にある。この場合、2つの自由端部が離れる方向に引っ張られると、接合部の一方の縁部だけが離れる方向に引っ張られる。これは、一般的には、結合効率は最も低くなる。
【0203】
本発明の一実施形態は、
図17〜
図19に示されている。
図17は、T字形状が逆さまで、織物壁が二重の接合部を示している。織物は端部壁と接触し、脚が夫々、側面となるので、片側からの圧力がその剪断強度により反対側の側面を保護する。
図18において、熱融着シールされたバルクバッグ(10)は、図示のようにシームが重なるように構成される。製品は、
図19の矢印(44)で示されるように、接合部を常に剪断方向に押しており、バッグ内に収容された製品から圧力が加えられている。
【0204】
<部品リスト>
(1) 層
(2) 層
(3) 層
(4) 層
(5) 層
(6) 層
(7) 層
(8) 層
(10) 熱融着シームバルクバッグ
(11) ステッチシーム
(12) ヘムを保持するためのステッチ
(13) 織物
(14) 縫製接合部
(15) 織物折畳み部
(16) 熱融着シーム
(17) 側壁
(18) 底壁
(19) コーティング/積層
(20) 線
(21) 熱シールバー
(22) 移行隙間
(23) 導入/排出口
(24) 線
(25) 線
【0205】
(26) トップ/ボトムパネル
(27) 本体
(28) 縫着シーム
(29) 線
(30) 領域
(31) 線
(32) 線
(33) 線
(34) 後で折り畳まれる線
(35) コーナー部のスリット
(36) ガセット導入口
(37) ガセットトップパネル
(38) ガセット本体
(39) ガセットボトムパネル
(40) ガセット排出口
(41) 融着シール領域
(42) 二重織物壁
(43) 重なりシーム
(44) バッグ中身からの圧力
(45) 線
(46) 線
【0206】
ここに開示した全ての測定値は、特に指定しない限り、標準温度及び海面気圧での値である。人間に使用される材料又は使用が意図される材料は全て、特に指定しない限り、生体適合性である。
【0207】
前述の実施例は、例示のみを目的として提供されるものであり、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲によってのみ限定される。
平成30年9月19日付手続補正書に記載された請求項15及び16の内容を以下に記載する。
[15]
ポリプロピレン織物バルクバッグであって、
ポリプロピレン織物からなる第1のバッグ部であって、ポリプロピレン織物の融点よりも低い融点を有するプロピレンプラストマー、プロピレンエラストマー又はそれらの混合物を含む第1のコーティングが一部にコートされた第1のバッグ部と、
ポリプロピレン織物からなる第2のバッグ部であって、前記第1のコーティングとは異なる材料からなり、大部分がポリプロピレンを含む第2のコーティングが一部にコートされた第2のバッグ部と、
前記第1のバッグ部の第1のコーティングと前記第2のバッグ部の第2のコーティングとの重なり領域に、前記第1のバッグ部の第1のコーティングが前記第2のバッグ部の第2のコーティングに熱融着された継ぎ目を有する接合部を含むバッグ継ぎ目と、を含み、
前記バッグ継ぎ目が、(a)第1のバッグ部のポリプロピレン織物、(b)第1のコーティング、(c)第2のコーティング、(d)第2のバッグ部のポリプロピレン織物、からなる4つの層が隣接している、ポリプロピレン織物バルクバッグ。
[16]
前記第1のコーティング及び前記第2のコーティングが一部にコートされたポリプロピレン織物からなる少なくとも1つの追加のバッグ継ぎ目をさらに含み、
前記追加のバッグ継ぎ目は、前記追加のバッグ部の第1のコーティングが前記第2のバッグ部の第2のコーティングに熱融着された継ぎ目を有する接合部、又は前記第1のバッグ部の第1のコーティングが前記追加のバッグ部の第2のコーティングに熱融着された継ぎ目を有する接合部を含む追加のバッグ継ぎ目を有し、
前記追加のバッグ継ぎ目が、(a)追加のバッグ部のポリプロピレン織物、(b)追加のバッグ部の第1のコーティング、(c)第2のバッグ部の第2のコーティング、(d)第2のバッグ部のポリプロピレン織物、からなる4つの層、又は、(a)追加のバッグ部のポリプロピレン織物、(b)追加のバッグ部の第2のコーティング、(c)第1のバッグ部の第1のコーティング、(d)第1のバッグ部のポリプロピレン織物、からなる4つの層が隣接している、前記15のポリプロピレン織物バルクバッグ。