特許第6557655号(P6557655)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6557655熱融着されたシームを用いる織物バッグ又は容器の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6557655
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】熱融着されたシームを用いる織物バッグ又は容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B31B 70/64 20170101AFI20190729BHJP
   D06H 5/00 20060101ALI20190729BHJP
   D03D 1/02 20060101ALI20190729BHJP
   B65D 30/10 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
   B31B70/64
   D06H5/00
   D03D1/02
   B65D30/10 A
【請求項の数】14
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2016-518008(P2016-518008)
(86)(22)【出願日】2014年6月5日
(65)【公表番号】特表2016-525968(P2016-525968A)
(43)【公表日】2016年9月1日
(86)【国際出願番号】US2014041155
(87)【国際公開番号】WO2014197728
(87)【国際公開日】20141211
【審査請求日】2017年6月5日
(31)【優先権主張番号】61/831,476
(32)【優先日】2013年6月5日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/890,664
(32)【優先日】2013年10月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/909,737
(32)【優先日】2013年11月27日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/994,642
(32)【優先日】2014年5月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515337590
【氏名又は名称】アメリグローブ,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】AMERIGLOBE,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】特許業務法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダンラップ,クリフォード
(72)【発明者】
【氏名】シュナース,ダニエル アール.,シニア
(72)【発明者】
【氏名】カードス,ロリ
(72)【発明者】
【氏名】パテル,ラジェン
【審査官】 植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭56−081888(JP,U)
【文献】 米国特許第05358335(US,A)
【文献】 特開昭55−111246(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31B 70/60−70/66
B65D 30/00−33/38
D03D 1/02−1/04
B65D 88/22
D06H 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱融着された継ぎ目を有するポリプロピレン織物バルクバッグであって、
a.ポリプロピレン織物からなり、下部に継ぎ目部分を有し、少なくとも前記下部継ぎ目部分に、ポリプロピレンよりも融点が低い材料を含む第1のコーティングが施されたトップ部と、
b.ポリプロピレン織物からなり、上部及び下部に継ぎ目部分を有し、少なくとも前記上部継ぎ目部分及び前記下部継ぎ目部分に主としてポリプロピレンを含む第2のコーティングが施された本体部と、
c.ポリプロピレン織物からなり、上部に継ぎ目部分を有し、少なくとも前記上部継ぎ目部分に、ポリプロピレンよりも融点が低い材料を含む第3のコーティングが施されたボトム部と、を含み、
d.前記トップ部と前記本体部との間に、トップ部の第1のコーティングが本体部の第2のコーティングに熱融着された第1の熱融着継ぎ目が形成され、前記第1の熱融着継ぎ目は、(i)トップ部のポリプロピレン織物の一部分、(ii)ポリプロピレン織物よりも融点が低い材料を含む第1のコーティング、(iii)主としてポリプロピレンを含む第2のコーティング、(iv)本体のポリプロピレン織物の一部分、からなる4つの層が隣接しており、
e.前記本体部と前記ボトムとの間に、ボトム部の第3のコーティングが本体部の第2のコーティングに熱融着された第2の熱融着継ぎ目が形成され、前記第2の熱融着継ぎ目は、(i)ボトム部のポリプロピレン織物の一部分、(ii)ポリプロピレンよりも融点が低い材料を含む第3のコーティング、(iii)主としてポリプロピレンを含む第2のコーティング、(iv)本体のポリプロピレン織物の一部分、からなる4つの層が隣接している、バルクバッグ。
【請求項2】
トップ部の第1のコーティングは、50%〜90%がプロピレンベースのプラストマー、プロピレンベースのエラストマー又はそれらの混合物であり、本体部の第2のコーティングは、大部分がポリプロピレンで小部分がポリエチレンであり、ボトム部の第3のコーティングは、50〜90%がプロピレンベースのプラストマー、プロピレンベースのエラストマー又はそれらの混合物である、請求項1のバルクバッグ。
【請求項3】
第1の熱融着継ぎ目と第2の熱融着継ぎ目の各々は、本体部の周囲全体に延在する、請求項1のバルクバッグ。
【請求項4】
トップ部は、上部に継ぎ目部分を有し、前記上部継ぎ目部分に前記第1のコーティングが施され、ボトム部は、下部に継ぎ目部分を有し、前記下部継ぎ目部分に前記第3のコーティングが施され、
バルクバッグは、ポリプロピレン織物からなる充填口と、ポリプロピレン織物からなる排出口と、をさらに具え、
前記充填口は、下部に継ぎ目部分を有し、前記下部継ぎ目部分に主としてポリプロピレンを含む第4のコーティングが施され、
前記充填口と前記トップ部との間に、トップ部の上部の第1のコーティングが充填口の第4のコーティングに熱融着された第3の熱融着継ぎ目が形成され、前記第3の熱融着継ぎ目は、(i)トップ部のポリプロピレン織物の一部分、(ii)ポリプロピレン織物よりも融点が低い材料を含む第1のコーティング、(iii)主としてポリプロピレンを含む第4のコーティング、(iv)充填口のポリプロピレン織物の一部分、からなる4つの層が隣接しており、
前記排出口は、上部に継ぎ目部分を有し、前記上部継ぎ目部分に主としてポリプロピレンを含む第5のコーティングが施され、
前記排出口と前記ボトム部との間に、ボトム部の下部の第3のコーティングが排出口の第5のコーティングに熱融着された第4の熱融着継ぎ目が形成され、前記第4の熱融着継ぎ目は、(i)ボトム部のポリプロピレン織物の一部分、(ii)ポリプロピレンよりも融点が低い材料を含む第3のコーティング、(iii)主としてポリプロピレンを含む第5のコーティング、(iv)排出口のポリプロピレン織物の一部分、からなる4つの層が隣接している、請求項1のバルクバッグ。
【請求項5】
1又は2以上のリフトループをさらに含む、請求項1のバルクバッグ。
【請求項6】
バルクバッグは、その収容領域の中にどんなステッチ孔も有しない、請求項1のバルクバッグ。
【請求項7】
第1の熱融着継ぎ目及び第2の熱融着継ぎ目の各々は、把持可能な縁部を有しない、請求項1のバルクバッグ。
【請求項8】
熱融着された継ぎ目を有するポリプロピレン織物バルクバッグであって、
a.ポリプロピレン織物の連続片から形成され、第1の内面及び第1の外面を含むトップ部側の口部であって、前記第1の外面の下部に、ポリプロピレンよりも融点が低い材料を含む第1のコーティングを有する、トップ部側の口部と、
b.ポリプロピレン織物の連続片から形成され、第2の内面及び第2の外面を含むトップ部であって、前記第2の内面の上部及び下部に、主としてポリプロピレンを含み、前記第1のコーティングとは異なる第2のコーティングを有する、トップ部と、
c.ポリプロピレン織物の連続片から形成され、第3の内面及び第3の外面を有する本体部であって、前記第3の外面の上部及び下部に、ポリプロピレンよりも融点が低い材料を含み、前記第2のコーティングとは異なる第3のコーティングを有する、本体部と、
d.ポリプロピレン織物の連続片から形成され、第4の内面及び第4の外面を含むボトム部であって、前記第4の内面の上部及び下部に、主としてポリプロピレンを含み、前記第3のコーティングとは異なる第4のコーティングを有する、ボトム部と、
e.ポリプロピレン織物の連続片から形成され、第5の内面及び第5の外面を含むボトム部側の口部であって、前記第5の外面の上部に、ポリプロピレンよりも融点が低い材料を含み、前記第4のコーティングとは異なる第5のコーティングを有する、ボトム部側の口部と、
f.トップ部側の口部とトップ部との間に、トップ部側の第1のコーティングがトップ部の第2のコーティングに熱融着された第1の熱融着継ぎ目が形成され、前記第1の熱融着継ぎ目は、トップ部側の口部の第1の外面及びトップ部の第2の内面に沿う距離を延びると共に、重なることなく、トップ部側口部の第1の内面及び/又はトップ部の第2の外面に沿って延び、
g.トップ部と本体部との間に、本体部の第3のコーティングがトップ部の第2のコーティングに熱融着された第2の熱融着継ぎ目が形成され、前記第2の熱融着継ぎ目は、トップ部の第2の内面及び本体部の第3の外面に沿う距離を延びると共に、重なることなく、トップ部の第2の外面及び/又は本体部の第3の内面に沿って延び、
h.ボトム部と本体部との間に、本体部の第3のコーティングがボトム部の第4のコーティングに熱融着された第3の熱融着継ぎ目が形成され、前記第3の熱融着継ぎ目は、ボトム部の第4の内面及び本体部の第3の外面に沿う距離を延びると共に、重なることなく、ボトム部の第4の外面及び/又は本体部の第3の内面に沿って延び、
i.ボトム部と前記ボトム部側の口部との間に、ボトム側口部の第5のコーティングがボトム部の第4のコーティングに熱融着された第4の熱融着継ぎ目が形成され、前記第4の熱融着継ぎ目は、ボトム部の第4の内面及びボトム側口部の第5の外面に沿う距離を延びると共に、重なることなく、ボトム部の第4の外面及び/又はボトム側口部の第5の内面に沿って延び、
j.前記第1、第2、第3及び第4の熱融着継ぎ目の各々は、(i)バッグのポリプロピレン織物の一部分、(ii)バッグのポリプロピレン織物の一部分、(iii)前記した(i)及び(ii)のポリプロピレン織物の一部分の間に、互いに異なる2つのコーティングを含む4つの層が隣接している、バルクバッグ。
【請求項9】
前記第1、第3及び第5のコーティングの各々は、50%〜90%がプロピレンベースのプラストマー、プロピレンベースのエラストマー又はそれらの混合物であり、第2及び第4のコーティングの各々は、大部分がポリプロピレンで、小部分がポリエチレンである、請求項8のバルクバッグ。
【請求項10】
熱融着された継ぎ目を有する柔軟性ポリプロピレン織物バルクバッグを製造する方法であって、
a.複数のポリプロピレン織物片を準備するステップであって、前記ポリプロピレン織物片の少なくとも一部分が、主としてポリプロピレンを含む第1のコーティング又はポリプロピレンよりも融点が低い材料を含む第2のコーティングでコートされた面を有する、ポリプロピレン織物片を準備するステップと、
b.第1のコーティングでコートされた面を有するポリプロピレン織物片と、第2のコーティングでコートされた面を有するポリプロピレン織物片とを、コートされた面が向かい合うように配置することにより、重なり領域を形成するステップと、
c.前記ステップbで形成された重なり領域に、ポリプロピレンの融点よりも低い温度で、熱と圧力を加えて第2のコーティングを溶融させて、前記重なり領域に、前記第2のコーティングが前記第1のコーティングに熱融着された継ぎ目である接合部を形成するステップと、を含み、
熱融着された継ぎ目を有するバッグは、(i)バッグのポリプロピレン織物、(ii)主としてポリプロピレンを含むコーティング、(iii)ポリプロピレン織物片よりも融点が低い材料を含むコーティング、(iv)バッグのポリプロピレン織物、からなる4つの層が隣接している、方法。
【請求項11】
ポリプロピレン織物片は、トップ部のポリプロピレン織物片と、本体部のポリプロピレン織物片と、ボトム部のポリプロピレン織物片と、を含み、トップ部のポリプロピレン織物片が、前記第1のコーティングでコートされた面を有し、本体部のポリプロピレン織物片が、上部及び下部に前記第2のコーティングでコートされた面を有し、ボトム部のポリプロピレン織物片が前記第1のコーティングでコートされた面を有しており、本体部のポリプロピレン織物片の上部の面にコートされた第2のコーティングが、トップ部のポリプロピレン織物片の第1のコーティングに熱融着され、本体部のポリプロピレン織物下部の面にコートされた第2のコーティングが、ボトム部のポリプロピレン織物片の第1のコーティングに熱融着される、請求項10の方法。
【請求項12】
バルクバッグの2以上の継ぎ目は同時に形成される、請求項10の方法。
【請求項13】
熱融着された継ぎ目を有する柔軟性ポリプロピレン織物バルクバッグを単一の工程で製造する方法であって、
a.8層の柔軟性ポリプロピレン織物を準備するステップであって、前記8層が、i.フラット面を有するトップ部パネル用の第1層、ii.フラット面を有する本体部パネル用の第2層、iii.ガセット面を有する本体部パネル用の第3層、iv.ガセット面を有するトップ部パネル用の第4層、v.ガセット面を有するトップ部パネル用の第5層、vi.ガセット面を有する本体部パネル用の第6層、vii.フラット面を有する本体部パネル用の第7層、及びviii.フラット面を有するトップ部パネル用の第8層であり、
各層が、プロピレンベースのプラストマー、プロピレンベースのエラストマー又はそれらの混合物を含む第1のコーティングを有するか、又は、大部分がポリプロピレンで一部分がポリエチレンである第2のコーティングのどちらかを有する、8層の柔軟性ポリプロピレン織物を準備するステップと、
b.接合されることが企図された全ての領域に、前記第1のコーティングが第2のコーティングに対向するように、ポリプロピレン織物の層を配置するステップと、
c.接合されることが企図された領域に、ポリプロピレン織物の層の重なり部が存在するようにポリプロピレン織物の層を配置して重なり部を形成するステップと、
d.重なり部の各々を、シールバーの下の中央部に配置するステップと、
e.重なり部にポリプロピレン織物の融点より低い温度の熱と圧力を加えて、前記重なり部の各々にて、前記第1のコーティングが前記第2のコーティングに熱融着された接合部を形成するステップ、とを含み、前記接合部が、バルクバッグの重なり部の各々にて、熱融着された継ぎ目として機能する、方法。
【請求項14】
熱融着された継ぎ目を有する柔軟性ポリプロピレン織物バルクバッグを製造するための自動化された製造方法であって、
a.柔軟性ポリプロピレン織物の層を準備するステップであって、前記柔軟性ポリプロピレン織物が筒状の柔軟性織物の層を含み、前記層の一部がガセットをつけられ、前記層の一部がフラットであり、前記柔軟性ポリプロピレン織物の層は、プロピレンベースのプラストマー、プロピレンベースのエラストマー又はそれらの混合物を有する第1のコーティングを有するか、又は、大部分がポリプロピレンで一部分がポリエチレンである第2のコーティングを有し、ガセットをつけられた層が、その外面に、第1のコーティング又は第2のコーティングの何れかを含み、フラットな層が、その内面に、第1のコーティング又は第2のコーティングの何れかを含む、柔軟性ポリプロピレン織物の層を準備するステップと、
b.所望される1又は2以上の継ぎ目の位置で、ポリプロピレン織物の一の層が、ポリプロピレン織物の他の層と重なるように、かつ、ポリプロピレン織物の前記一の層の第1のコーティングが、ポリプロピレン織物の前記他の層の第2のコーティングと対向するように、筒状の柔軟性ポリプロピレン織物の層を配置するステップと、
c.ポリプロピレン織物の層の重なり部に、第1のコーティングの融点以上でポリプロピレンの融点以下の温度の低熱と低圧を加えて前記第1のコーティングを溶融させて、各重なり部において、前記第1のコーティングが前記第2のコーティングに熱融着された継ぎ目を有する接合部を形成するステップと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の記載>
本願は、2013年6月5日に出願された米国仮特許出願第61/831476号、2013年10月14日に出願された米国仮特許出願第61/890664号、2013年11月27日に出願された米国仮特許出願第61/909737号、及び2014年5月16日に出願された米国仮特許出願第61/691,140号、2013年2月15日に出願された米国仮特許出願第61/994642号の優先権を主張し、これら出願は引用を以って本願に組み込まれるものとする。
2014年6月5日に出願された米国特許出願第14/297331号は引用を以て本願に組み込まれるものとする。
<連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載>
適用なし
<マイクロフィッシュアペンディックスの引用>
適用なし
<発明の背景>
1.発明の分野
本発明は、縫製機械及びステッチシームを用いないでバルクバッグを製造するためのバルクバッグ産業及び技術に関する。本発明は、柔軟性(flexible)の織物パッケージング、バッグ又は容器の製造に関するもので、糸汚染の虞れが無く、パッケージング、バッグ又は容器の内部との人体接触を可及的に少なくすることにより細菌感染の懸念を解消させるのに有用な製造に関する。本発明はさらに、ステッチ穴又は縫い穴を含まず柔軟性でほぼ気密なパッケージング、バッグ又は容器の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
2.発明の一般的背景
ポリプロピレン織物は、織物の強度、価格及び柔軟性の点で、バルクバッグ産業を含む幾つかの産業において用いられている。ポリプロピレン織物及び同様の織物は強度が極めて高く、また化学的に不活性である。ポリプロピレン織物は、加熱及び伸長工程を通じて方向性が大きく、市場のニーズに適合させるのに必要な柔軟性を維持しつつ、最大の強度を達成することができる。ポリプロピレン織物はこれらの特性を有するため、2つのポリプロピレン織物を接続する際、織物を損傷せずに接続する方法を見出すことが非常に困難であり、このため、織物の強度及び有用性が著しく低下している。
【0003】
バルクバッグ産業は今や40年になる。初期のバルクバッグは、必要な強度を得るために、様々な形状の織物とウエビング織物を組み合わせて、これらを縫製することによって作られていた。
【0004】
今日では、縫製は、バルクバッグを作るときに構成材料を接続するほぼ唯一の方法となっている。どの織物を使用し、どのような縫製パターンにし、どの糸を用いてそれらのパーツを組み合わせるかについては、広く知られており、詳しく研究されている。
【0005】
しかしながら、縫製は、織物に針を通すために織物強度が低下し、最も経済的な容器を製造することができない。これらの高強度ポリプロピレン織物の場合、平均的な縫着シーム(sewn seam)は、一般的に、縫着されていない織物の強度の約63%である。
【0006】
それゆえ、シームが十分な強度を有するようにするには、シームの強度損失を補充するために、織物自体をより厚くかつより高強度に構成しなくてはならない。
【0007】
ポリプロピレン織物について縫製の代替技術の開発に多くの努力がなされているが、それには幾つかの理由がある。
1.縫製作業では、両端が糸であるため、縫い目線毎に端部を切り取らねばならない。これらは両端でほどけることもあり、バッグ内でゴミとなって好ましくない。
2.この強靱なポリプロピレン織物を通る針は高熱となるため、糸が破損することがある。この場合、生産を一時的に停止して、機械の針通し作業をもう一度行わなければならない。
3.縫製機械は毎分数千ステッチの速度で作動することができる。このような高速では、多くの機械的部品や針の破損事故が起こり易く、その修理中、機械の生産は中止される。
4.項目2及び3のため、バルクバッグの製造に際しては、これら機械を作動させてこれら問題に対処するのに、例えば多大な労力を要する。バルクバッグの製造は世界的には主として米国外で行われ、労働賃金が安価で労働力が豊富な国で行われている。
【0008】
さらに、織物には針による穴があけられると、織物全体の強度が低下するので、縫着シームはポリプロピレン又は他の同様な織物の強度を低下させる。シームのインチ又はセンチメートル毎のステッチ数、針サイズ及びステッチ作製に用いられる糸の厚さは全て、得られたシームの全体強度の一部を占める。これらシームは接合部(joint)を形成するが、その強度は、ステッチ無しの織物の強度の約63〜70%である。織物の強度低下により、バルクバッグの使用設計重量は理論的に必要とされる強度より30%高くなる。これらの全ての理由から、この産業界では、縫製に代わる技術が長年に亘って所望され、追求されている。
【0009】
このように、バルクバッグの製造方法について、この業界では、長年に亘って、縫製に代わる技術の研究が行われている。様々な接着剤や様々な溶接方法が試みられている。接着剤は次の点から失敗に終わっている。
1.剥離強度が弱い。
2.永久結合の欠如(密着型接着剤は活性であり、剥がれや再付着が繰り返されることがある)。
3.結合は温度変化による影響を受け易い(接着剤は低温で溶融し、さらに低温で不活性になることがある)。
4.剪断強度が得られるのは大面積型被覆だけである。
【0010】
溶剤接着剤もまた以下の不具合がある。
a.接合部が脆く、柔軟性が無い。
b.食品パッケージングに許可されていない有害成分を含むことがある。
c.織物強度が分子の再構成によって低下する。
【0011】
熱溶接も試みられているが、従来技術と同じように、ポリプロピレン織物を接合するのにポリプロピレン織物の融点に達しなければならないため、ほとんど受け入れられずにいる。しかしながら、ポリプロピレン織物は方向性が大きく(highly oriented)、この温度レベルにまで上昇すると、織物の引張強度は約50%低下する。
【0012】
レーザー溶接も試みられ、僅かながら幾つかの成功を収めているが、この方法は、生産速度が遅く、資本コストが非常に高いため、経済的に可能でない。
【0013】
バルクバッグに常に要求される基本的な問題として、バルクバッグは、非常に大きな重量、例えば最大3300〜4400ポンド(1497〜1996キログラム)までの重量を安全に運搬しなければならないことがあげられる。これまで多くの努力がなされているが、容器に必要とされる5:1のリフティング安全率で非常に大きな重量を運搬することができることを示したものはない。
【0014】
それゆえ、40年経過した今でも、縫製が、依然として、バルクバッグ製造の基本的方法として行われている。バルクバッグは、今でも、ポリプロピレン織物どうしを縫製するという当初の方法を通じて、バッグ及びその構成部品が製造される。前述したように、ポリプロピレンは、強度、柔軟性及び価格の点で主たる織物として選択されてきた。
【0015】
熱シーリングの技術は、ポリエチレン又はPVC織物を用いるこれら産業等のプラスチック織物産業において広く知られている。従来の方法は単純であった。あらゆる溶融積層コーティングを織物と織物の間から押し出すのに十分な力で織物パーツどうしを押圧するよりも、ポリエチレンの融点よりもいくらか高い温度まで織物を加熱して、織物を直接接合することができる。熱シーリング装置は、縫製機械よりも自動化を受け入れやすい点において有用である。また、移動部品ははるかに少ないし、電子的に管理されることで再現性の信頼性が高い。
【0016】
従来技術では、ポリエチレン織物は、その融点よりも高い温度に加熱され、織物が確実に合致して接合されるように、所定時間、十分な圧力(例えば20psi(137キロパスカル))で押圧されることで接合部が形成される。この接合部は、一般的には、材料の元の強度の約80〜85%である。これらの材料は、ポリプロピレンと比べてそれほど方向性が大きくないので、この高熱法でも、満足し得る接合部が得られる。従来技術では、積層を圧縮するために接合部全体に加えられる圧力は一般的には20psi(137キロパスカル)である。ポリエチレン織物の融点よりもかなり高い温度に加熱されるため、積層は液化され、織物の表面も溶融する。液化された積層は、織物と織物の間に押し出され、織物の溶融表面そのものが接合部を作るのに用いられる。幾種類かのポリエチレン織物の融点は、例えば、235乃至265°F(112.8乃至129.4℃)である。これまで、高密度及び低密度のポリエチレン織物が作られており、ポリエチレン織物が異なると融点が異なり、低密度ポリエチレンは一般的に高密度ポリエチレンよりも融点が低い。従来技術では、積層フィルム及びポリエチレン織物を溶融するのに、例えば、425〜500°F(218.3〜260℃)の温度に加熱される。ポリエチレンは、同じサイズのポリプロピレンよりも引張強度は約30%小さいが、伸びは遙かに大きい。それゆえ、バルクバッグのような大重量(例えば、最大4400ポンド(1996キログラム))を運搬するためのバッグを製造する場合、ポリエチレンは代替織物として有効ではなかった。
【0017】
一方、ポリプロピレンは方向性が非常に大きいので、現在行われているような織物の融点を超える温度での熱シーリング方法を用いると、織物の強度は大きく低下する。本発明を開発する際に行なった試験では、ポリプロピレン織物の接合を、標準の熱シーリング方法により織物の融点を超える温度にまで加熱すると、引張強度は平均約50%低下することが分かっている。この接合部の強度は、縫製されたポリプロピレン織物で現在得られる接合部の強度よりも著しく低い。それゆえ、製品の最終強度が製品に必要とされる重量を安全に持ち上げるようにするには、厚くて強度が大きい織物を用いることが好ましい。さらに、標準の熱シーリング法によってポリプロピレン織物を熱シーリングすることによって作られた接合部は、接合部領域に結晶化が観察され、これもまた接合部領域における織物の柔軟性を低下させる。
【0018】
ポリエチレン織物を含む製品を製造する業界では、ポリエチレン織物の熱シールされたシーム又は接合部が、ポリエチレン織物を熱シーリングする従来の方法によって達成される強度よりも高い強度を有する製品の要請がある。
【0019】
織物製バルクバッグを含むポリプロピレン織物を含む製品の製造において、縫製の際に、針が頻繁に破損したり、針の交換や適切に行われなかったステッチの修復を行なう作業者が必要になることを考えられるので、当該産業界では、パーツ又は織物片を縫製による接合に代えて、シーリングによる製造の要請がある。
【0020】
また、業界では、織物製バルクバッグを含むポリプロピレン又はポリエチレン織物を含む製品を、パーツの縫合に代わりシーリングにより製造することへの要請がある。例えば、バルクバッグの製造に縫製機械を用いると、多大な労力を要し、糸による汚れの可能性や、縫製によるシームの中を粉体が移動する問題が常に存在するからである。
【0021】
縫製機械の自動化は可能と思われるが、これまで自動化運転は行われていない。熱が蓄積されると糸は破損するし、新しい糸を機械に取り付ける作業者が必要となる。これらの機械は高速で運転されるので、ステッチのスキップが起こることがある。このため、この品質をチェックし、直ちに修復するための作業者が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
以下の先行技術文献があり、それらは引用を以って本願に組み込まれるものとする。
【特許文献1】米国特許第6374579号:柔軟性バルク容器用ライナーバッグ、2002年4月23日発行。
【特許文献2】米国特許第6935782号:シームレスボトムを有するバルクバッグ、2005年8月30日発行。
【特許文献3】米国特許第8297840号:バッグ封鎖用熱活性接着剤、2012年10月30日発行。
【特許文献4】米国特許出願公開第2008/0115458号:ピローパッケージングバッグ、ピロー型パッケージング体、ピローパッケージング機械用熱シールバー及びピローパッケージング機械、2008年5月22日公開。
【特許文献5】米国特許出願公開第2010/0209025号:一方向機能ノズルを具える柔軟性パッケージバッグ及び液体材料用パッケージング構造、2010年8月19日公開。
【特許文献6】米国特許出願公開第2011/0085749号:オープンメッシュ材料及び該材料から作られたバッグ、2011年4月14日公開。
【特許文献7】米国特許出願公開第2011/0206300号:サイドガセットバッグ、2011年8月25日公開。
【特許文献8】米国特許出願公開第2012/0227363号:トップシーリング織物バッグ用方法及び装置、2012年9月13日公開。
【特許文献9】米国特許出願公開第2012/0314979号:バッグ及びバッグの製造方法、2012年12月13日公開。
【特許文献10】米国特許出願公開第2013/0202231号:バルク製品用複合フィルムバッグ、2013年8月8日公開。
【特許文献11】米国特許出願公開第2013/0209002号:イージーオープン式プラスチックバッグ、2013年8月15日公開。
【発明の概要】
【0023】
<発明の要旨>
本発明の装置及び方法は、従来の問題を、簡単かつ直接的な要領で解消するものである。本発明は、ポリプロピレン織物又は同様な織物を、縫製機械及び縫製糸を使用せずに接続する方法を提供するものである。本発明はまた、ポリエチレン織物を、縫製機械及び縫製糸を使用せずに接続する方法を提供するものである。本発明はまた、バルクバッグの製造に有用であり、ポリプロピレン織物、ポリエチレン織物又は同様な織物について、縫製機械を使用せずに接続を行なうことが所望されるあらゆる製品に適用されることができる。本発明はまた、ポリプロピレン織物又は同様な織物の接続を伴うバルクバッグ等の製品を最小の労力で製造する能力に関するものであり、そのような製品の大量生産はこれまで低賃金労働力が豊富な世界の地域でしか行なうことができなかったが、本発明では製品が必要とされる世界中の全ての地域で生産が可能である。
【0024】
本発明の目的は、バルクバッグ及び他の柔軟性織物製品又は容器の製造において、ポリプロピレン織物又は同様な織物を縫製による製造の代替となる製造を提供するものである。本発明は、前記代替として、ポリプロピレン織物又は同様な織物を、縫製機械及び縫製糸を使用せずに接続する方法を提供するものである。本発明は、バルクバッグの製造に有用であるが、ポリプロピレン織物又は同様な織物について、縫製機械を使用せずに接続を行なうことが所望されるあらゆる製品に適用されることができる。例えば、本発明は、小型バッグ(25〜100ポンド(11〜45キログラム)を収容できるもの)にも有用である。
【0025】
本発明の他の目的は、柔軟性織物容器の製造において、自動化用の単純ロボットを利用することができるシーリングシステム(sealing system)を設計することである。
【0026】
本発明の更なる目的は、熱シーリング(heat sealing)によって作られた柔軟性バッグ又は製品が、縫製製品に比べて、多くの利点を提供することである。例えば、労務費が低減され、縫製糸の汚れが低減又は解消され、新しい針穴による製品の選別又は水分や汚れの進入のない製品が作られ、制作者に依存する手作りではなくコンピュータにより生産が制御された一定品質が得られる等である。
【0027】
本発明の更なる目的は、糸による汚染によって品質が台無しになる製品を扱う会社に対して、熱シーリングによって作られた柔軟性織物製品の大きな市場性をアピールすることである。そのような会社は、食品、医療又は製薬産業にある。これらのバッグは、縫製工程がないので、糸やその他安全を脅かす物は何もない。
【0028】
更なる目的として、本発明は、縫製工程で針穴が残された製品の選別に関して懸念を有する会社に対して大きくアピールすることである。そのような会社として、カーボンブラック会社があり、この会社では、製品の中に極く微量存在するだけで非常に大きな混乱を引き起こす。他の会社として、製品中に少量含まれるだけで領域を汚染させる敏感な最終使用者環境の中で用いられる製品を扱う会社がある。
【0029】
本発明の更なる目的は、ポリエチレンライナーを必要としない柔軟性織物製品を提供することである。これは、選別と汚染を防止するためのポリエチレンライナーを使用している会社に有用であろう。ライナーは、バルクバッグの使用を困難にするし、製品全体の大幅なコスト上昇を招く。
【0030】
本発明の更なる目的は、織物製品の製造の完全自動化を達成することができる方法を提供することである。
【0031】
本発明の更なる目的は、熱シールにより元の織物の損傷が最小に抑えられた接合部を提供するもので、自動化生産による労力費の低減を図ることで低コストを達成し、また、シーム効率の向上により同様な全体強度を具えつつ織物の重量及び厚さを減少させることである。
【0032】
本発明の更なる目的は、自動化されることができる熱シーリング装置を使用して、ステッチシーム又は縫製機械を必要とせずにポリプロピレン製品を製造することである。本発明の目的はまた、熱シーリング方法を使用して、ステッチシーム又は縫製機械を必要とせずにポリプロピレンと同様な織物を含む製品を製造することである。
【0033】
本発明の他の目的は、例えば、洪水防壁(例えばポリプロピレンバルクバッグ又はバリアセル(barrier cells)等)用の大型織物バッグの製造にロボット化又は自動化システムを容易に行えるようにすることであり、ロボット又は他の自動化システムを使用して、例えば、砂等が充填されると洪水防壁となる大型織物バッグを製造することである。
【0034】
本発明の更なる目的は、熱シールされたポリプロピレン製品を提供することであり、人体が製品の内側に触れることなく製造されることができるので、無菌製品を維持し、保存用ポリプロピレン製品における細菌汚染の心配を排除することができ、また、縫合穴を通じて漏洩が起こる可能性もない。従って、製品は、例えば、製薬産業において医療用として用いられることができる。
【0035】
本発明の開発段階で、試験及び実験を行なった。例えば、熱シールポリプロピレン織物について試験と実験を行なった。結果は、これらの織物は強度向上の傾向を示した。ポリプロピレンのこの強度向上と分子構造が、この材料の2つのピースを接続するための取組みを困難にしてきた。織物のポリプロピレン片を接合するために、ポリプロピレン織物が結晶化する温度にまで加熱する必要があった。このため、織物が脆くなり、例えばバルクバッグのように、大重量を日常的に持ち上げることを目的とする用途には有用でなかった。
【0036】
当該分野で知られた標準の方法用いてポリプロピレン織物を熱シーリングすると、織物の結晶化の他に、シームが2種類の異なる強度を有する。縫製時におけるシーム形成工程では、「剪断強度(shear strength)」と「剥離強度(peel strength)」が存在する。例えば、バルクバッグの側壁に縫合されたリフトループは、接合部全体が常に負荷を共有している場合、接合部の剪断強度を利用するので、真直ぐに持ち上げられたときは驚くべき強度を有する。しかし、バッグの側部を横にして置して1つのループから引っ張り上げると、接合部は、一時的に剥離強度が重要になる位置に置かれ、一縁部に負担がかかる。このように、剪断強度位置では、接合部全体が常に負荷を共有するが、剥離強度位置では、接合部の一縁部のみに負荷がかかり、一縁部のみが負荷を受けることになる。その縁部が破損すると、次の縁部が破損し、順番に、その次の縁部が破損する。
【0037】
剪断強度に対する剥離強度の問題は、ポリプロピレン織物の熱シーリングを行なった実験のときに検討した。その理由は、熱シールによってバルクバッグに取り付けられるどんな内部パネルも、何れか一方の側から充填材料重量による負荷を受けるからである。また、現場で全ての充填位置を制御することは困難である。本発明の目的は、両方の方向に機能するシームを作ることである。本発明の目的はまた、常に剪断強度を有する異なるシーム構造を開発することである。
【0038】
例えば洪水防壁用の織物容器の内部パネルを試験するとき、T字を上下逆さまにした形状のシーム構造を開発し使用した。試験結果では、力がT形状の右側から作用したとき、シーム又は接合部は、右側が剪断であり、左側が剥離となった。しかし、右側は、その剪断強度の全部が左側を保護する。負荷又は力が左側から作用したとき、シームへの作用は逆であり、左側の剪断強度が右側の剥離を保護する。
【0039】
ポリプロピレン織物について行なった更なる試験は、異なる接着剤を用いて、ポリプロピレン織物で使用可能な接合部を作るための試験である。Super Glue(登録商標)を用いた試験結果では、20ポンド(9キログラム)の剪断強度を達成することができなかった。
【0040】
異なる種類の織物についても試験を行なった。ポリエチレン織物は、ポリプロピレンと同様であるが、方向性がさほど大きくなく、ポリエチレンを含む多くの製品は、標準の熱シーリング方法を用いて作られている。
【0041】
ポリエチレン織物の試験及び実験結果では、ポリエチレン織物は、全般的に、ポリプロピレン織物よりも約30%強度が弱かった。試験及び実験では、ポリエチレン織物を熱シーリングでバルクバッグを作製した。前記したように、ポリプロピレン織物は、その高強度の点でバルクバッグ産業で好ましいとされてきた。
【0042】
熱シーリングの従来の方法では、一般的に、十分に高い熱と十分に高い圧力を加えて、ベース織物を溶融して接合する。この方法は、あらゆるコーティングを意図的に溶融し、高圧を作用させて圧搾することで、ベース織物は接合されることができる。強度は織物に依存するため、この方法が必要とされ、ポリエチレン織物に対して成功を収めた。コーティングは、一般的に、ダスト及び/又は水分制御のために施される。積層を形成する技術では、コーティングの織物への取付けに信頼性はなかった。それゆえ、織物を接合する技術は、積層された材料を意図的に溶融させて、織物と織物の間から押し出すものであった。
【0043】
従来、前記した標準的方法が、少なくとも1つの側部に例えば1乃至2ミル(0.0254乃至0.0508mm)の薄い層又は積層フィルムを有する織物に適用されていた。ポリエチレン織物の場合、標準の積層フィルム又はコーティングは、ポリエチレン又はポリエチレンと他の添加剤との混合物から構成されることがある。従来の標準的な方法では、圧力を加えて、ポリエチレン織物の層と層の間から積層されたフィルム又はコーティングを押し出し、織物片を溶融させて接合することができる。従来の技術では、積層されたフィルム又はコーティングは、織物に対して安全に取り付けられていなかった。それゆえ、接合部に積層されたフィルムが含まれる場合、織物に対する取付け強度の不足で接合部破損の原因になった。
【0044】
接合部の強度を求めるには、織物の基準強度を得るために、積層された織物は接合前に引張試験が行なわれる。例えば、織物は、その加工前に、1インチ当たり200ポンド(1メートル当たり3572キログラム)で破損するかもしれない。そのとき、織物の2つの片が接合された後、引っ張られると再び破損する。得られた強度が、例えば、1インチ当たり160〜165ポンド(2857〜2946キログラム/メートル)であると、シールされた結果として、得られた接合部は、織物全体強度の17〜20%低下したことになる。この接合部の強度は、現在の産業基準では十分であるかもしれないが、コスト面での効率が著しく悪い。
【0045】
本発明の方法の一実施形態は、織物と織物を接合するのではなく積層を接合することにより、ポリエチレン織物片の間で熱融着された接合部を提供する方法である。現在の積層方法は、織物と積層との間に強度及び信頼性が非常に高い密着又は接続部を形成する。本発明の改良されたシーリング方法は、織物片どうしを接合することなく、織物と織物の間の適所に積層を残すことにより、積層の強度を接合部の全体強度に付加するものである。また、本発明の方法は、織り部(woven portion)を溶融することにより織物を損傷しないので、シールされた接合部は、実質的には、ベース織物の強度全部を保持する。本発明の方法では、極く僅かの強度低下、例えば2〜3%の強度低下が起こるかもしれないが、これは溶融によって生じる積層フィルムへの最小の損傷である。
【0046】
従来技術では、積層を押し出すのに接合部全体に加えられる圧力は一般的には20psi(137キロパスカル)である。ポリエチレン織物の融点よりもかなり高い温度で熱が加えられるため、積層は液化され、織り部の表面も溶融する。液化された積層は、織物と織物の間に押し出され、織物の溶融表面そのものが接合部を作るのに用いられる。幾種類かのポリエチレン織物の融点は、例えば、235乃至265°F(112.8乃至129.4℃)である。これまで、高密度及び低密度のポリエチレン織物が作られており、ポリエチレン織物が異なると融点が異なり、低密度ポリエチレンは一般的に高密度ポリエチレンよりも融点が低い。従来技術では、積層フィルム及びポリエチレン織物を溶融するのに、例えば、425〜500°F(218.3〜260℃)の温度が加えられる。
【0047】
本発明の方法の一実施形態では、加熱、時間及び圧力条件を制御してポリエチレン織物を接合することを含み、積層を溶融するが、ベース又は織物材料そのものは溶融されることなく損傷されないようにしたものである。圧力レベルは、軽く溶融された積層を適所に残しておくのに十分な軽さに維持される。これは、積層を接合部の織り部と織り部の間に意図的に押し出すようにした従来の方法とは異なる。
【0048】
本発明の他の実施形態は、ポリエチレン織物を熱シーリングする方法であり、加熱、時間及び圧力条件を制御して、積層を溶融するが、ベース又は織物材料を溶融させず損傷させることなくポリエチレン織物を接合することを含む。
【0049】
ポリエチレン織物を熱シーリングする他の実施形態において、圧力レベルは、軽く溶融された積層を適所に残しておくのに十分な軽さに維持される。これは、積層を接合部の織り部と織り部の間に意図的に押し出すようにした従来の方法とは異なる
【0050】
ポリエチレン織物を熱シーリングする他の実施形態において、シールは、剪断方向の接合部強度が90%〜97%である。
【0051】
ポリエチレン織物を熱シーリングする他の実施形態において、シールは、剪断方向の接合部強度が92%〜95%である。
【0052】
ポリエチレン織物を熱シーリングする他の実施形態において、シールは、剪断方向の接合部強度が96%〜97%である。
【0053】
ポリエチレン織物を熱シーリングする他の実施形態における方法は、ポリエチレン織物片上の積層フィルム又はコーティングを、ポリエチレン織物の融点又は該融点より僅かに高い温度で加熱することにより、積層だけが溶融し液化される。次に、例えば5〜6psi(34〜41キロパスカル)の軽い圧力を加えて、織物片の積層どうしが接合される。このとき、これら積層が押し出されて、下にある織物が接合されることはない。ポリエチレン織物を熱シーリングする方法の他の実施形態では、熱溶融されたポリエチレンのシール又は接合部は、元の織物の強度の90〜97%の強度を有している。
【0054】
本発明の他の実施形態は、ポリエチレン織物を熱溶融してバルクバッグを製造することである。本発明の一実施形態におけるポリエチレンバルクバッグは、リフトループを有しないが、織物トンネルを有する。バッグのリフトループは、荷重の持上げの際極く一部分を利用するだけであるが、織物トンネルは、バッグ全体の強度を利用する。本発明の一実施形態に対する試験結果では、ポリエチレンを熱シールしたバルクバッグは、18000ポンド(8165キログラム)の水圧でも破損に至らなかった。5:1の安全率では、このバッグは、最大3600ポンド(1633キログラム)まで運搬できる用途に有用である。この実施形態における方法では、織物の全てをバッグの2つの側部に用いた。さらに、織物は二重であるので、バッグの底部も熱シールされ、可能性のあるあらゆる剥離力から保護される。熱シールされたポリエチレンバッグは約50%多くの材料を用いたが、縫製方法で織物バルクバッグを製造するときの多大な労働力をなくすことができる。
【0055】
ポリエチレン織物を熱シーリングする方法の他の実施形態において、織物の特定部分に制御された熱量を制御された時間供給するのに衝撃熱シーリング装置が用いられる。ポリエチレン織物を熱シーリングする方法の他の実施形態において、熱シーリングされたシールにより剪断方向の強度が90%〜97%の接合部が得られる。
【0056】
ポリエチレン織物を熱シーリングする方法の他の実施形態において、熱シーリング装置は自動化され、時間、加熱及び圧力を監視するためのセンサーが取り付けられる。これらの測定値は、制御ルームの監視ステーションに送られる。ロボットにより、材料はワークステーションからワークステーションへ移動され、織物は所定位置でロボットによってシールされることができる。
【0057】
ポリエチレン織物を熱シーリングする方法の他の実施形態において、用いられる熱と圧力は比較的低いので、コーティングだけが接合される。これにより、織物は全く損傷を受けず、また強度低下することはない。実際、コーティングの強度は、接合部全体の強度に追加され、現在行われている方法のようにコーティングが押し出されることはない。得られた接合部は、織物で現在一般的に行われている縫製方法で達成される強度よりも少ない材料でより大きな重量を持ち上げることができる強度を有する。
【0058】
熱シールされたポリエチレンバルクバッグの一実施形態の開発において、次の要因を検討した。第1は、方向に多くの変化があり、バルクバッグの製造には、熱シーリング装置は異なる形状又は特別な形状が必要になるかもしれない。第2は、ポリエチレンバルクバッグの安全レベルは、ポリプロピレン織物のバルクバッグの安全レベル(30%高い)と同様であることが好ましい。
【0059】
熱シールされたポリエチレンバルクバッグの一実施形態の試験結果では、接合部の結合効率(joint efficiency)は93%であった。
【0060】
本発明のポリエチレンバルクバッグの一実施形態において、荷重持上げの際に極く一部分だけしか利用しないリフトループの代わりに、荷重持上げの際にバッグ全体の強度を利用する織物トンネルが用いられる。
【0061】
実験モデルを構築して、あらゆる実際的な問題を調べて評価した。一実施形態の試験結果では、ポリエチレンから作られた熱シールされたバルクバッグは、18000ポンド(8165キログラム)の水圧でも破損に至らなかった。5:1の安全率では、このバッグは、最大3600ポンド(1633キログラム)まで運搬する用途に有用である。この実施形態における方法では、織物の全てをバッグの2つの側部に用いた。さらに、織物は二重であるので、熱シールはバッグの底部にも行われ、可能性があるあらゆる剥離力から保護される。熱融着されたポリエチレンバッグは約50%多くの材料を用いたが、縫製方法で織物バルクバッグを製造するときの多大な労働力をなくすことができる。
【0062】
本発明の方法の一実施形態は、バルクバッグ又はポリプロピレン織物を含むあらゆる柔軟性織物容器を製造する方法であり、熱シールされた接合部に対して自然な応力が剪断方向に作用するようにしてより大きな強度が得られるようにしたものである。ポリプロピレンバルクバッグを製造する好ましい一実施形態において、70%が純粋VERSIFY3000(ダウケミカルカンパニーの登録商標)、25%がポリエチレン、5%が顔料又は紫外線(UV)阻害剤等の他の添加剤からなる混合物が用いられた。他に使用可能な添加剤として、静電気防止剤が挙げられる。適切にシールされると、このシステムで熱シールされた接合部は、接合部の平均強度が、標準的な1平方ヤードあたり5オンス(1平方メートル当たり169.53グラム)のポリプロピレン織物の強度の92%の強度を有する。
【0063】
本発明の他の実施形態は、方向性の大きいポリプロピレン織物を接合する方法であって、織物を材料でコーティングするステップを含み、前記材料は、接合される織物の一方の片がポリプロピレン織物より融点が低いVERSIFY3000を含む材料であり、接合される他方の片が業界標準のコーティング材料である。前記方法は、VERSIFY3000を含むコーティングをその低融点まで加熱するステップ、及び、織物が接触せずコーティングがその位置で維持されるのに十分な圧力でコーティングを接合するステップを含む。
【0064】
本発明の一実施形態において、コーティングの強度は、接合部全体の強度に付加されるので、得られる接合部の強度は、現在一般的に用いられている織物縫製方法で得られるよりも少ない材料で大きな重量を持ち上げることができる。
【0065】
本発明の他の実施形態において、適当%のVERSIFY3000を含むコーティング、又はポリプロピレン織物の融点よりも低い融点を有する他の適当なプロピレンエラストマー又はプラストマーのコーティングが一方のポリプロピレン織物の少なくとも一つの側部に施され、業界標準のコーティングが他方のポリプロピレン織物の少なくとも1つの側部に施される。ポリプロピレン織物用の業界標準のコーティングは、大部分がポリプロピレンであり、一部分がポリエチレンである。VERSIFY3000コーティング、又は、融点がポリプロピレン織物よりも低い他の適当なプロピレンエラストマー若しくはプラストマーのコーティングを含む織物片は、標準のコーティングを含む織物片に重なるように配置され、コーティング層は接触するように配置される。低熱と低圧が加えられてコーティングは溶融し、ポリプロピレン織物のコーティングとコーティングの間に接合部が形成される。本発明のこの実施形態は、標準のコーティングが例えばVERSIFY3000を含むコーティングよりも少ないので、コスト効果が高い。VERSIFY3000コーティングを含む1つの織物と、標準のコーティングを含むもう1つの織物を接合した試験結果では、シームの強度は同様であった。標準のコーティングは費用が高くないので、節約できるコストはかなり大きい。望ましい実施形態では、VERSIFY3000を含むコーティング又はポリプロピレン織物の融点よりも低い融点を有する他の適当なプロピレンエラストマー又はプラストマーのコーティングと、標準のコーティングとが、厚さ2.5mil(0.0635mm)に形成される。本発明の望ましい実施形態において、コーティングは、2.5mil(0.0635mm)の厚さに形成される。従来技術では、一般的に、業界標準のコーティングでは、厚さ1mil(0.0254mm)に形成される。
【0066】
本発明の方法の一実施形態は、ポリプロピレン織物に対する新しい形態の熱溶接シームを作ることであり、シームは、剪断方向に95%もの高い強度を具える。本発明の目的は、前記のシーム形成方法を用いて、安全性が改善され、市場で競争力のあるバルクバッグを作ることである。
【0067】
柔軟性織物バッグを製造する方法の他の実施形態は、ポリプロピレン織物を100%VERSIFY3000又はVERSIFY3000とポリエチレンとの組合せでコーティングするステップと、織物は溶接されずにコーティングだけが溶接されるように最小の熱と圧力を用いて織物(縁部だけではない)を接合するステップとを含む。このように、コーティングされていない元の織物よりも大きな強度を有する接合部を形成することである。
【0068】
本発明の方法の一実施形態は、熱を利用して、従来のように織物自体を結合するのではなく、織物の積層されたコーティングを結合させるものである。コーティングは、織物よりも融点が低いので、この発明では、元の織物の引張強度を損傷することなくポリプロピレン織物を接合することができる。
【0069】
本発明の一実施形態において、織物の特定部分に制御された熱量を制御された時間供給するのに衝撃熱シーリング装置が用いられ、2インチ(5.08cm)幅のシールが得られる。本発明の一実施形態において、これらシールにより剪断方向の強度が85%〜96%の接合部が得られる。
【0070】
本発明の一実施形態において、熱シーリング装置は自動化され、時間、加熱及び圧力を監視するためのセンサーが取り付けられる。これらの測定値は、制御ルームの監視ステーションに送られる。ロボットにより、材料はワークステーションからワークステーションへ移動され、織物は所定位置でロボットによってシールされることができる。
【0071】
本発明の一実施形態における方法は、殆んど労働力を必要とせずにロボットでバルクバッグを製造できることであり、製品の内側で人体との接触なく製造されることができるので、人による細菌汚染を防止することができる、
【0072】
本発明の一実施形態は、例えば、砂等が充填されると洪水防壁となるポリプロピレンバルクバッグ又はバリアセル等の大型織物バッグを製造するためのロボット又は自動化システムを含んでいる。
【0073】
本発明の他の実施形態は、40フィート輸出容器又は他の適当な輸送手段に組み込むことができる単純ロボット又は自動化システムを含み、該システムは、洪水が起こり得るあらゆる現場又はプロジェクト現場に持って行くことができ、例えば長さ500フィートの織物バッグ又は容器又はセルを現場で製造開始することができる。本発明の他の実施形態ではまた、自動化又はロボットシステムにより、他のポリプロピレン又は同様な織物製品を、現場にて、特定目的又はプロジェクトに適した様々な長さ寸法に製造することができる。
【0074】
本発明の他の実施形態において、柔軟性織物バッグを製造する方法は、ポリプロピレン織物バッグを、VERSIFY3000又はポリプロピレン織物の融点よりも低い融点を有する他の適当なプロピレンエラストマー若しくはプラストマーとポリエチレンとの組合せを含む熱溶融シームでコーティングするステップ、各々がコーティングされた側部とコーティングされていない側部を有する複数の織物片を配備するステップ、1つの織物片のコーティングされた側部がもう1つの織物片のコーティングされた側部と面するように織物片を位置決めするステップ、1又は複数のシーム又は接合部を形成するために接合される織物の領域を選択するステップ、接合される領域の圧力が2psi(13.8キロパスカル)より小さい圧力条件下で、接合部のコーティングされた織物に対して熱を加えるステップを含み、接合部引張試験で90%以上の結合効率を有する接合部を形成するものである。
【0075】
柔軟性の織物バッグを製造する方法の他の実施形態は、ポリプロピレン織物バッグを、VERSIFY3000又はポリプロピレン織物の融点よりも低い融点を有する他の適当なプロピレンエラストマー若しくはプラストマーとポリエチレンとの組合せでコーティングするステップ、コーティングされた織物の縁部を接合するステップ、2psi(13.8キロパスカル)より小さい圧力で、コーティングされた織物の接合部に対して熱を加えるステップを含み、接合部の引張試験で90%以上の結合効率を有する接合部を形成するものである。
【0076】
柔軟性織物バッグを製造する方法の他の実施形態は、ポリプロピレン織物を、100%VERSIFY3000又はポリプロピレン織物の融点よりも低い融点を有する他の適当なプロピレンエラストマー若しくはプラストマーとポリエチレンとの組合せでコーティングするステップ、或いは、ポリプロピレン織物を、VERSIFY3000又はポリプロピレン織物の融点よりも低い融点を有する他の適当なプロピレンエラストマー若しくはプラストマーとポリエチレンとの組合せでコーティングするステップ、コーティングされた織物の縁部を接合するステップと、織物は溶接されずにコーティングだけが溶接されるように最小の熱と圧力を用いて織物(縁部だけではない)を接合するステップとを含み、コーティングされていない元の織物よりも大きな強度を有する接合部を形成するようにしたものである。
【0077】
本発明の他の実施形態において、柔軟性バッグにおける全ての重量支持位置は、バッグが適当に使用されるとき、溶接された接合部が剪断方向に応力が作用するように設計される。
【0078】
本発明の他の実施形態において、リフティングループが配備されている場合、剥離圧力から保護するために前記ループのシームの頂部に施された追加の保護材料片により剥離力に対してさらに保護される。
【0079】
本発明の一実施形態は、熱溶融接合部を有する柔軟性ポリプロピレン織物バッグを製造する方法であって、各々がコーティングされた側部とコーティングされていない側部を有する複数の織物片を配備するステップ、1つの織物片のコーティングされた側部がもう1つの織物片のコーティングされた側部と面するように織物片を位置決めするステップ、1又は複数のシーム又は接合部を形成するために接合される織物の領域を選択するステップ、接合される領域を織物の融点よりも低い温度に加熱するステップを含み、1又は複数のシーム又は接合部を形成するものである。
【0080】
本発明の方法の他の実施形態において、織物片と織物片との間のシーム又は接合部は、一度に接合され、柔軟性ポリプロピレン織物バルクバッグが製造される
【0081】
本発明の方法の他の実施形態において、織物片と織物片との間のシーム又は接合部は、一回のステップで接合され、柔軟性ポリプロピレン織物バルクバッグが製造される。
【0082】
本発明の方法の他の実施形態において、柔軟性ポリプロピレン織物バルクバッグのシーム又は接合部は、縫製機械を用いずに、織物強度の85%以上を保持する。
【0083】
本発明の方法の他の実施形態において、柔軟性ポリプロピレン織物バルクバッグのシーム又は接合部は、縫製機械を用いずに、織物強度の90%以上を保持する。
【0084】
本発明の方法の他の実施形態において、柔軟性ポリプロピレン織物バルクバッグのシーム又は接合部は、縫製機械を用いずに、織物強度の96%以上を保持する。
【0085】
本発明の方法の他の実施形態において、縫製機械を用いずに、織物強度の100%を保持する。
【0086】
本発明の方法の他の実施形態において、各々のシーム又は接合部について、1つの織物片の接合されたコーティング部は、1つのシーム又は接合部の半分を形成し、もう1つの織物片の接合されたコーティング部は,同じシーム又は接合部の第2の半分を形成する。
【0087】
本発明の他の実施形態は、熱溶融によるシームを有する柔軟性織物バッグを1回の工程で製造する方法を含み、該方法は、a.i.フラット面を有するトップパネルのトップ層、ii.フラット面を有する本体パネルの第2層、iii.ガセット面(gusset side)を有する本体パネルの第3層、iv.ガセット面を有するトップパネルの第4層、v.ガセット面を有するトップパネルの第5層、vi.ガセット面を有する本体パネルの第6層、vii.フラット面を有する本体パネルの第7層、viii.フラット面を有するトップパネルの第8層からなる8層の柔軟性織物を配備するステップと、b.織物の層はコーティング層を含み、c.柔軟性織物の層を、接合される全ての領域がコーティングに面するコーティングを有し、接合されない全ての面がコーティングされない織物がコーティングされない織物に面するように配置するステップと、d.織物の層が重なるように織物の層を配置するステップと、e.織物の重なり部をシールバーの下でセンタリングするステップと、f.低加熱及び低圧力を作用させて熱融着シームを作製するステップと、を含む。
【0088】
本発明の方法の他の実施形態において、方法は、パルス加熱を含む。
【0089】
本発明の方法の他の実施形態において、織物の柔軟性層に対して、上部及び底部の方向から熱が加えられる。
【0090】
本発明の方法の他の実施形態において、織物の柔軟性層に対して、一方向から熱が加えられる。
【0091】
本発明の他の実施形態は、熱融着シームを含むポリプロピレン容器であり、シームはT字形状であり、力が右方向に加えられるとき、T字形状の剪断位置の右側部が剥離位置の左側部を保護することができ、力が左側の方向に加えられるとき、T字形状の剪断位置の左側部が剥離位置の右側部を保護することができるようにしている。
【0092】
本発明の他の実施形態は、熱溶融によるシームを有する柔軟性織物バッグの製造が自動化された方法であり、a.筒状の柔軟性織物を含み、幾つかの層がガセット形、幾つかの層が平らな形であって、筒状の柔軟性織物がコーティングの層を含む複数層の柔軟性織物を配備するステップと、b.ガセット層が平らな織物層の外側にコーティングを含み、平らな織物層がそれらのガセットの内側にコーティングを含むように、筒状柔軟性織物の層を配置するステップと、c.織物の層を、1つの層が隣接する層と重なるように配置するステップと、d.層の重なった部分に低加熱及び低圧力を作用させて熱融着シームを作製するステップと、を含む。
【0093】
本発明の他の実施形態は、熱溶融によるシームを有する柔軟性織物バッグを製造する方法であって、a.各々がコーティングされた側部とコーティングされていない側部を有する複数の織物片を配備するステップ、b.織物片を、接合される織物の融点よりも低い温度に加熱し、1又は複数のシーム又は接合部を形成するステップ、を含み、各々のシーム又は接合部について、1つの織物片iにコーティングされた側部は、シームの半分を形成し、もう1つの織物片にコーティングされた側部は,シームの他方の半分を形成するものである。
【0094】
本発明の他の実施形態において、前記1又は複数の接合部は、織物の85%以上の強度を有する。
【0095】
本発明の他の実施形態において、前記1又は複数の接合部は、縫製機械を用いることなく、織物の85%以上の強度を有する。
【0096】
本発明の他の実施形態において、織物の重なり部は、1−1/2インチ(3.817cm)であり、織物の重なり部の中心は、2インチ(5.08cm)幅のシールバーの下である。
【図面の簡単な説明】
【0097】
本発明の性質、目的、利点の更なる理解を得るために、以下の詳細な説明を、図面と共に参照することができる。なお、同様な要素については同じ引用符号を用いている。
【0098】
図1】織物の横糸及び縦糸の方向糸に標準の縫着シーム方法を用いた従来のバルクバッグ構造の試験結果の比較データを示す表である。
【0099】
図2】従来の素縫いシームを示す図である。
【0100】
図3A】従来のプリヘムされた(pre-hemmed)縫着シームを示す図である。
【0101】
図3B】充填された位置にあるバッグについて、従来のプリヘムされた縫着シームを示す図である。
【0102】
図4】本発明の熱融着シームバルクバッグの試験結果を示す表である。
【0103】
図5】熱融着シームを有する本発明のバルクバッグの斜視図である。
【0104】
図6】従来の縫製されたシームを有するバッグを示す図である。
図7】従来の縫製工程を説明する図である。
図8】従来の縫製工程を説明する図である。
【0105】
図9A】従来の縫製されたシームの位置を示す図である。
【0106】
図9B】従来の縫製されたシームが充填されたときの位置を示す図である。
【0107】
図10】本発明の一実施形態にかかる熱融着シームを示す図である。
【0108】
図11】本発明の熱融着シーリング方法の一実施形態における熱シールバーの使用を説明する図である。
【0109】
図12A】本発明の熱融着シールバッグの一実施形態における導入口又は排出口を示す図である。
【0110】
図12B】本発明の熱融着シールバッグの一実施形態におけるトップパネル又はボトムパネルを示す図である。
【0111】
図12C】本発明の熱融着シールバッグの一実施形態における筒状パネルを示す図である。
【0112】
図13A】本発明の熱融着シールバッグの一実施形態において、折り畳まれた導入口又は排出口の端面図である。
【0113】
図13B】本発明の熱融着シールバッグの一実施形態において、折り畳まれたトップパネル又はボトムパネルの端面図である。
【0114】
図13C】本発明の熱融着シールバッグの一実施形態において、折り畳まれたバッグ本体の端面図である。
【0115】
図13D】本発明の熱融着シールバッグの一実施形態において、折り畳まれたトップパネル又はボトムパネルの側面図である。
【0116】
図14】本発明の熱融着シールバッグの一実施形態の全体図である。
【0117】
図15】本発明の熱融着シール方法の一実施形態における織物の層状態を示す図である。
【0118】
図16】本発明の熱融着シール方法の一実施形態における織物の層状態を示す図である。
【0119】
図17】本発明の熱融着シームで織物の壁が二重であるサンプルを示す図である。
【0120】
図18】本発明の熱融着シールされたバッグの一実施形態の全体図である。
【0121】
図19】本発明の熱融着シールについて、シール部の先端で織物の縁部が重なっている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0122】
本発明が提供する方法は、ポリプロピレン織物の強度を実質的に損なうことなく、接合部について現在の縫製方法の強度と同等又は超える最終強度を得ることができる熱シーリング方法である。試験において、本発明の方法を用いて製造した製品は、ポリプロピレン織物強度の90〜102%の接合強度を達成した。これは、縫製によって得られるシームの接合強度をかなり超えている。
【0123】
本発明の一実施形態において、本発明は、バルクバッグ製造の自動化を補助し可能にするもので、世界各国での工場立地制限を解消するものである。本発明は、接合部の強度向上により、同じ重量を持ち上げるのに、材料の薄肉化を達成することができる。
【0124】
本発明の一実施形態において、ポリプロピレン織物又は同様な織物に用いられる適当なコーティングとして、例えば、The Dow Chemical Companyが製造するVERSIFY3000が挙げられる。このコーティングは、接合領域全体において熱融着1−1/2インチ(3.81cm)からポリプロピレン織物に対して、線インチ当たり最大240ポンド(4286キログラム/メートル)の保持又はグリップをもたらす。本発明の他の実施形態において、ポリプロピレン織物又は同様な織物に用いられる適当なコーティングとして、例えば、The Dow Chemical Companyが製造するVERSIFY3000が挙げられ、線インチ当たり最大200ポンド(3572キログラム/メートル)の保持又はグリップをもたらす。望ましい実施形態において、コーティングの融点は、共に接合される織物の融点よりも低い。熱シーリング方法は、今日の織物産業における公知技術に対して改良をもたらす。
【0125】
適当なコーティングは、プロピレンプラストマー及びエラストマーであり、例えば、VERSIFY3000である。コーティングは、例えば、重量%にて、ポリプロピレンベースのポリマー50%〜90%と、ポリエチレン10%〜50%を含む。
【0126】
ポリプロピレン織物を熱接合するための本発明の望ましい方法に用いられるコーティングは、プロピレンプラストマー及びエラストマーは10〜99%であり、好ましくは20〜95%、より好ましくは30〜95%、最も好ましくは75〜90%である。
【0127】
また、着色、静電気防止その他の目的のための添加剤を0〜5%用いることができ(これらはコーティングの性能に実質的に影響を与えないもので、プロピレン及びポリエチレンよりもコスト高となるので、一般的にはできるだけ少なく用いられる)、残部は、好ましくはポリエチレンプラストマー、エラストマー、又はそれらの組合せである。
【0128】
プロピレンプラストマー、エラストマー、又はそれらの組合せは、好ましくは、密度が0.915〜0.80グラム/ccであり、より好ましくは、0.905〜0.80グラム/ccである。ポリエチレンプラストマー、エラストマー、又はそれらの組合せは、好ましくは、密度が0.91〜0.925グラム/ccである。一般的に、コーティング作用を発揮させるのに少なくとも6%の低密度ポリエチレンを使用すべきであり、好ましくは少なくとも10%である。
【実施例】
【0129】
本発明の望ましい実施形態において、織物はコーティングの融点に加熱されるだけであり、この融点は、共に接合される織物の融点よりも低い。本発明の望ましい実施形態において、接合温度は、接合されるポリプロピレン織物の融点より少なくとも5度低い。異なるポリプロピレン織物は異なる融点を有し、本発明の方法の望ましい一実施形態において、接合温度は、接合される具体的ポリプロピレン織物の融点より少なくとも5度低い。一実施例として、ポリプロピレン織物の融点は、320°F(176.7℃)であり、本発明の一実施形態において、コーティングは、315°F(157.22℃)に加熱される。ポリプロピレン織物よりも加熱温度が低いので、本発明の方法では、織物の強度を損なったり低下させることはない。一方、従来は、熱溶接のために高い熱式(heat formulas)を用いていたので、織物の強度を損なったり低下させることがあった。さらに、本発明の一実施形態において、シールを形成するのに用いられるクランピング圧力は、コーティングの大部分がその位置に残されるように十分低く設計され(例えば、7psi(48キロパスカル))、接合される材料の大部分はコーティングによって分離される。クランピング圧力はさらに低くてもよく、例えば2psi(13.8キロパスカル)より低くでもよい。一般的に、従来の熱シーリング方法におけるクランピング工程では、織物のあらゆるコーティングを意図的に溶融させて横に押しやり、織物糸を直接接合するようにしていた。織物糸のどの部分もその融点以上に加熱され、高圧(例えば20psi(137.9キロパスカル))と組み合わせられると、糸は細くなり、強度が低下し、部分的に結晶化される。
【0130】
本発明の目的は、織物と織物を熱によって融着することである。本発明の望ましい実施形態において、織物は、その融点より高い温度には加熱されないので、織物の強度低下の防止に有効である。本発明の望ましい実施形態において、織物は、コーティングの融点にまで加熱されるが、この融点は、接合される織物の融点よりも低い。本発明の実施形態において、接合温度は、接合されるポリプロピレン織物の融点より少なくとも5度低い。ポリプロピレン織物の種類が異なれば融点も異なり、本発明の方法の一実施形態における接合温度は、接合されるポリプロピレン織物の融点より少なくとも5度低い。一実施例のポリプロピレン織物の融点は320°F(176.7℃)であり、本発明の一実施形態において、コーティングは315°F(157.22℃)まで加熱される。従来の熱溶接の高い熱式では織物の強度が損なわれたり低下したが、本発明の方法は、ポリプロピレン織物よりも低温の加熱であるので、織物の強度を損なったり低下させることはない。さらに、本発明の一実施形態において、シールを形成するのに用いられるクランピング圧力は、コーティングの大部分がその位置に残されるように十分低く設計され(例えば、7psi(48キロパスカル))、接合される材料の大部分はコーティングによって分離される。クランピング圧力はさらに低くてもよく、例えば2psi(13.8キロパスカル)より低くでもよい。一般的に、従来の熱シーリング方法におけるクランピング工程では、織物のあらゆるコーティングを意図的に溶融させて横に押しやり、織物糸を直接接合するようにしていた。当然のことながら、織物糸のどの部分もその融点以上に加熱され、高圧(例えば20psi(137.9キロパスカル))と組み合わせられると、糸は細くなり、強度が低下し、部分的に結晶化される。
【0131】
本発明では、加熱温度が低く、圧力が低いので、コーティング部分だけが接合される。このため、織物が損傷を受けたり強度低下することは全くない。実際、コーティングは、これまでの方法のように押し出されるのではないので、その強度は、接合部全体の強度に付加されることができる。得られた接合部は、織物で現在一般的に行われている縫製方法で達成される強度よりも少ない材料でより大きな重量を持ち上げることができる強度を有する。
【0132】
前述したように、望ましい実施形態において、コーティング材料は、接合される織物よりも融点が低い。望ましい実施形態において、工程におけるコーティング材料は、その工程を良好に実施することができる適当なあらゆる材料であってよく、ある範囲のコーティング材料から選択されることができる。適当なコーティングは、プロピレンプラストマー及びエラストマーであり、例えば、The Dow Chemical Companyが製造するVERSIFY3000が挙げられる。適当なコーティングは、重量%にて、ポリプロピレンベースのポリマー50%〜90%と、ポリエチレン10%〜50%を含むものであってよい。VERSIFY3000はThe Dow Chemical Companyの登録商標であって、フィルム、繊維及び広範囲の成型プラスチック物品の製造や、コーティング織物、人工レザー、ソフトタッチグリップ、靴スティフナー、可撓性ルーフィング膜を作るための化合物の製造における原材料として用いられるプロピレン−エチレンコポリマーである。
【0133】
本発明の望ましい実施形態における方法では、70%が純粋VERSIFY3000)、25%がポリエチレン、5%が顔料又は紫外線(UV)阻害剤等の他の添加剤からなる混合物が用いられた。本発明の方法では、100%純粋VERSIFY3000を用いると、接合部の剪断試験において、96%〜102%の結合効率が達成され、70%VERSIFY3000では、同じ試験で91%〜95%の結合効率が達成された。(得られたパーセンテージは、試験した織物の平均強度に基づいている。試験した織物の場合、一般的には、部位によって約5%の強度バラツキがある。)
【0134】
図面を参照すると、図1に示される表は、織物の横糸及び縦糸の方向糸に標準の縫着シーム方法を用いた従来のバルクバッグ構造の試験結果の比較データを示す。従来、バルクバッグ産業では、シームを作るのに幾つかの方法がある。図2及び図3には、最も一般的なシームが示されている。
【0135】
図2は、素縫いシームを示す。図2において、織物(13)は、ステッチシーム(11)と織物折畳み部(15)を有し、織物は折り返されてシームが形成される。図示のように、素縫いシームは、縫合される織物の2つの片を互いに折り返したものである。この素縫いシームは、インターロックされた織り目が、バルクバッグの使用中に大きな圧力を受けて、織物の縁部からするりと外れるのを防止する。このシームは、一般的に、約58%の結合強度を有する。
【0136】
図3Aは、予めヘムが形成された縫着シームを示しており、これは、接合部が形成される前に織物を折り返すだけでなく、織物の折り返された部分を織物に縫い付けることによって作られる。図3Aに示される織物(13)は、ステッチシーム(11)と、ヘム(12)を保持するステッチとを有しており,折り返された部分は織物へ縫合される。この追加工程により、一般的に、シームの平均強度は63%となる。63%は、58%に対して強度が8.5%上昇したことになる。織物にヘムを形成するのに追加の労力が必要であるので、このサイズでの強度向上は、産業上重要と考えられている。
【0137】
予めヘムが形成されたシームは、バッグが作られて充填された後、図3Bに示される位置になるであろう。図3Bは、熱でシールされた接合部を示している。これは、たいていの場合、シームは基本的に、その強度が主として使用される糸の強度によって決定される剥離位置にあることを意味する。しかし、シームが織物の63%の力に耐えることができるとき、織物は、シームの非効率を考慮に入れて大きく作られ(overbuilt)なければならない。
【0138】
労働力のことを考慮すると、縫製作業では、バルクバッグ製造の最終コストを決定する上で非常に大きな要素である。
【0139】
同じ織物を使用し、本発明の熱融着によるシーム形成方法を用いると、図4の表に示されるように、4組の試験に対して得られたシーム強度は、平均95.75%を保持した。これら織物では、この強度保持は顕著な強度向上である。
【0140】
織物の接続部で元の強度の95%が維持されると、同じ織物を用いてより重い荷重を運ぶことができるし、より少ない織物を用いて同じ荷重を運ぶことができる。本発明の一実施形態では、縫着シームの強度より50%を超える強度が達成される。
【0141】
熱融着によるシームは、より高い強度のシームを形成するだけでなく、著しく異なる方法で行われる。本発明の熱融着によるシームは、バルクバッグ産業のニーズを満たす新たなバルクバッグ構造を提供するものである。
【0142】
従来技術では、縫製機械の性質及びバルクバッグのサイズにより、シームの大部分が縁部から縁部の剥離位置に縫合されなければならない。縫製機械ののど部(throat)は、バルクバッグの全体が機械ののど部を通過できるほど十分に大きくない。それゆえ、縫製は、一般的には、図7及び図8に示されるように、全てのシームが縁部から縁部位置に配置されるように設計される。図5は、熱融着バッグ(10)の熱融着シーム(16)を示す。図6は、従来の縫製されたシームを示す。
【0143】
縫製によるシームを有する従来のバッグが充填されると、シームは剥離位置の状態となり、その強度は、糸と針穴のある織物との組合せ強度に全面的に依存することになる。
【0144】
図7及び図8に示される機械によって製造された織物のステッチ位置が図9Aに示されている。図示されたステッチシーム(11)は、側壁(17)とバッグ底壁(18)とが縫合されたものである。織物折畳み部(15)は、側壁(17)の織物折畳み部(15)が底壁(18)の織物折畳み部(15)と接触するように配置される。図9Bにおいて、バッグが使用状態にあるときのステッチと織物の位置が示されている。縫合されたステッチ(11)と接合部(14)が示され、側壁(17)と底壁(18)が取り付けられている。側壁(17)及び底壁(18)の織物折畳み部(15)は、バッグの内側に示されている。一般的に、最小の織物折畳み部(15)は、各面で奥行2インチ(5.08cm)である。これは、縫製された平均シームは、重ねられた織物を4インチ(10.16cm)有することを意味する。
【0145】
本発明の熱融着シームは織物を重ねることによって形成され、シームには、強度向上のための広い剪断領域がもたらされる。本発明の一実施形態において、熱融着シームは、元の強度の95%を有する。望ましい実施形態において、重なり部は、1−1/2インチ〜2インチ(3.81cm〜5.08cm)である。従来の縫製方法では、シームの両面の重なり部は2インチであるので、本発明の方法では、全ての接合部において少なくとも2インチ(5.08cm)削減できることになる。
【0146】
図10は、本発明の熱融着シームを示す。図10において、織物(13)は実線で示されている。織物のコーティング又は積層(19)は破線で示されている。線(20)は、シール又は接合された織物の領域を示しており、1−1/2インチ〜2インチ(3.81cm〜5.08cm)である。
【0147】
本発明の一実施形態において、重なり部の幅は遙かに小さく、例えば0.5インチ(1.25cm)であり、より多くの織物を削減することができる。
【0148】
シームは、バッグのどの外部シームについても把持可能な縁部を残さないようにシールされることが望ましい。これにより、シームを、融着接合部の強度が弱い剥離位置の方向へ引き裂こうとする力が抑制される。
【0149】
本発明の一実施形態における望ましい方法では、織物の重なりは1−1/2インチ(3.817cm)であり、例えば図11に示される2インチ(5.08cm)幅のシールバー(21)の下で該シールバーの中央部にある。図11において、線(20)は、シールされた領域を示し、例えば、幅1−1/2インチ(3.817cm)である。これは、接合部又はシール領域(20)の何れか一方に、矢印(22)で示される1/4インチ(0.64cm)の隙間又は移行領域を意図的に残すものである。これにより、シールの2つの半体の終端縁は、確実に、その際(きわ)にまでシールされることができる。このため、簡単に剥離される得る領域となる把持可能な縁部が残されることはない。
【0150】
1/4インチの移行領域は、単一層のより少ない材料量を熱による損傷から防止するのに十分に小さく、織物縁部ラインアップ時の多少の位置ずれを許容する。
【0151】
本発明の方法の一実施形態において、パルス加熱方法が用いられる。衝撃加熱を用いることにより、上面温度が制御され、所定時間、所望の熱量に保持されることができる。これにより、工程中、材料温度は織物が損傷されるほどの高温ではない所望レベルまで昇温され、その温度にて、接合部領域が十分かつ均一に加熱されるのに十分長い時間、保持されることができる。
【0152】
また、これは、シールの下の材料量を常に等しく維持するのに有用な方法である。衝撃加熱法は、シーリング工程中、等しい熱を注入する。シールバーの下の材料量が均一でなくバラツキがあまりに大きいと、材料が少ない領域は、必要以上に多くの熱を吸収して、材料の損傷が起こり得る。
【0153】
図10において、1箇所だけにシールが形成されるとき、加えられる熱量は十分に小さく、1/4インチ(0.64cm)の移行領域又は隙間(22)は十分な熱分散が行われ、周囲材料を損傷することなく非常に良好なシールが形成される。
【0154】
本発明の一実施形態は、この工程を重ねて、複数のシールを同時に作成することを含む。工程を重ねるとき、材料の配置が考慮されるべきであり、工程を通じて材料の量を等しく維持することにより、シーリング工程の安全な反復性が可能となる。
【0155】
ここまでは、ポリプロピレン織物を用いた素縫いシーム作成において、縫製と熱シーリングとの違いについて説明した。次は、例えば、1トンの流動性を有する乾材料を日常的に運搬するためのバルクバッグの製造について説明する。
【0156】
本発明の目的は、一般的に、バルクバッグ、柔軟な中間バルク容器(Flexible Intermediate Bulk Containers)、FIBC’s、ビッグバッグ又はスーパーサック(B.A.G. Corporationの登録商標)等の名称で呼ばれる製品の製造費用を低減する方法を見出すことである。この明細書では、その製品名称を、主としてバルクバッグと言うものとする。
【0157】
本発明は、バルクバッグの製造に有用な用途を有すると共に、例えば25〜100ポンド(11〜45キログラム)を運搬するのに用いられる小型バッグ等のその他多くのパッケージ又は製品にも有用である。本発明が利点をもたらす他の製品として、好ましくは無菌で気密のパッケージである柔軟性織物パッケージングの中に収納され輸送される製品がある。
【0158】
現在のバルクバッグ技術で行われている縫製機械では、一般的には、バッグのあらゆる部位のシームは、ほぼ隅から隅まで個別に一針ずつ縫われる。本発明の一実施形態における生産システムは、この工程を簡素化して、導入口から上面シート、上シートからバッグ本体、底シートからバッグ本体、底部排出口から底シートまで、単一動作又はステップでシール又は接合することができる。このシステムにより、労働と時間を大幅に削減できる。
【0159】
さらに、本発明の一実施形態において、どの熱融着シームも、縫着シームよりも強度が約50%大きい。本発明の織物バッグの接合部の布地量は、縫着シームの場合よりも少ないから、製造費用を大幅に削減でき、経済的である。
【0160】
熱シーリング法は当該分野で知られている。製造されるシームの形状の如何に拘わらず、加熱バーは、そのシーム及びその形状を達成できる形状である。本発明の一実施形態において、四角形状の加熱バー及び構造が、織物を適当位置に保持し、バッグの底部を側壁に接合することができ、接合部を形成するのに用いられる。しかしながら、このような装置は、大きく、かさばり、費用が高い。製品を完成させるのに追加の工程及び機械が必要になるかもしれない。
【0161】
本発明の一実施形態における方法は、バルクバッグを製造するための本発明の熱融着方法を使用することを含み、個々の接合部は、次々に、順次シールされる。本発明の他の実施形態において、バルクバッグの熱融着は、少ない工程及び機械を用いて行われる。本発明の目的は、バルクバッグの製造において、従来の縫製方法に比べて、工程の数を簡素化させることである。
【0162】
バルクバッグ市場において、従来、多くのタイプがあるが、これら構造の大部分は2つの基本的カテゴリーに含まれる。バッグの本体が数多くの平らなパネル片を縫製して作られるものと、垂直方向にシームのない単一の筒状織物から作られるものである。
【0163】
基本的タイプの全ては、本発明のシステムを用いて作られることができる。本発明の望ましい実施形態の製造は、筒状の織物本体で開始する。
【0164】
多くのバルクバッグは、導入口、トップパネル、円筒形の織物本体パネル、ボトムパネル及び排出口を有する。導入口と排出口は、シームのない筒状織物で作られることができる。バッグの本体は、シームのない筒状織物として作られることもできる。トップパネルとボトムパネルは、ほぼ四角形の平らなパネルで、該パネルに取り付けられる導入口と排出口に適合する形状の穴がカットされる。図12Aは、導入口又は排出口(23)を示している。線(24)は、導入又は排出口筒体用の織物で平らにしたときの幅(例えば22インチ(55.88cm))を示している。線(25)は、導入又は排出口の長さ(例えば18インチ(45.72cm))を示している。
【0165】
図12Bは、トップパネル又はボトムパネル(26)の例を示している。図12Bにおいて、トップパネル又はボトムパネル(26)は、ほぼ正方形であり、例えば、線(29)で示される辺は、例えば41インチ(104.14cm)である。領域(30)は、導入口又は排出口の接続領域を示しており、線(28)は、例えば11インチ(27.94cm)である。
【0166】
図12Cは、シームのない筒状織物(27)を示している。線(31)は、筒状織物を平らにしたときの高さを示し、例えば45インチ(114.30cm)、線(32)は幅を示し、例えば74インチ(187.96cm)である。
【0167】
このように、図12A図12Cは、5つの織物片の例を示しており、導入口(23)、排出口(23)、トップパネル(26)、ボトムパネル(26)及び筒状織物片(27)である。
【0168】
本発明の一実施形態におけるバルクバッグは、熱融着方法を用いて、1回の工程で作製されることができる。望ましい実施形態において、織物片は、ガセットが付けられ、熱融着工程のための適当な位置に置かれる。図13A図13Dは、望ましい実施態様における織物の最終形態で、基本のバッグを製造する直前の状態を示している。
【0169】
望ましい実施形態において、織物のコーティング側は、筒体の外側で、平らなパネルの内側であるので、コーティングは、バッグが形成されるときに互いに面することになる。
【0170】
これらのコーティングの位置は、裏返しにして、筒体の内側で平らなトップパネル及びボトムパネルの外側にすることができるが、筒状織物の外側にあるのが自然であるので、図面に示される位置が望ましい。
【0171】
図13A図13Cは、1回の工程で熱シーリングする前のバルクバッグパーツが折り畳まれた状態を示している。図13A図13Cに示されるように、どの織物片も折り畳まれた形状は基本的に同じ形状である。図13Aは、折り畳まれた導入又は排出口(23)の端面図を表しており、コーティング又は積層(19)は外側にある。線(33)は、幅領域を表し、例えば11インチ(27.94cm)である。図13Bは、トップパネル又はボトムパネル(26)の端面図を表しており、コーティング又は積層(19)は内側にある。線(45)は、例えば41インチ(104.14cm)である。図13Cは、折り畳まれた筒状バッグ本体(27)の端面図を表しており、コーティング又は積層(19)は外側にある。線(46)は、例えば37インチ(93.98cm)である。図13Dは、折り畳まれたトップパネル及びボトムパネルの側面図を表しており、コーティング(19)は内側にある。破線(34)は、後で折り畳まれる線を表す。コーナー部のスリット(35)も示されている。約45度の角度が形成されることができる。
【0172】
前述した折畳み配置は、各織物片を、製造工程中に接続される織物片の中又は周りに適合させることができる。
【0173】
織物片の形状が合わされると、バッグは図14に示されるように、シールできる状態にある。4箇所の熱融着領域又は接合部(41)では、配置されたパーツは、外側パーツが内向きに面するコーティング(19)を有し、内側パーツが図15及び図16に示されるように外向きに面するコーティング(19)を有する。
【0174】
この結果、下から上までの全ての位置で合計8層の織物となる。図15及び図16において、層(1)〜(8)が示されている。
【0175】
バッグの上層と本体の接続例は次のとおりである。
1.第1層/トップパネル/フラット面
2.第2層/本体パネル/フラット面
3.第3層/本体パネル/ガセット面
4.第4層/トップパネル/ガセット面
5.第5層/トップパネル/ガセット面
6.第6層/本体パネル/ガセット面
7.第7層/本体パネル/フラット面
8.第8層/トップパネル/フラット面
【0176】
複数の層をこのように配置することにより、本発明の熱融着方法は、1回の動作でトップパネルを本体パネルとの完全な接合が可能である。図15及び図16に示される構造が折り畳まれると、構造は、コーティング(19)とコーティング(19)が接合部を形成するが、織物(13)と織物(13)は接合部を形成しない。図面中、ガセットは製造中に合わさるように配置されるが、織物は落り畳まれると平らな状態になる。
4つの接合部は全て同じように作られる。
【0177】
本発明の方法は、安全な温度限界を超えることなく、複数の層の接合部を形成するために衝撃シーリングを用いるもので、ポリプロピレン織物の融点よりも低い所定温度を超えないように制御しながら加熱することを含む。
【0178】
望ましい実施形態において、目的とする接合部の全体が、織物の強度を損傷しない正しい温度に到達できるようにするために、8層の材料全体を通じて共通となるように加熱時間が設定される。
【0179】
また、加熱メカニズムがトップパネルとボトムパネルで対称にすると、熱は全厚さの50%だけに伝達させることが必要になる場合に有効である。この工程はまた、織物の層全体を加熱する場合、加熱時間を長くすることによって1つの加熱要素で達成できる。望ましい方法では、積層のトップパネルとボトムパネルの両方を加熱する加熱要素を用いる。
【0180】
本発明の一実施形態において、トップパネルに4つの加熱要素、ボトムパネルに4つの加熱要素を有する1台の機械により、1回の動作で、図14に示される完成されたバッグの4つの接合部を全て有効にシールすることができる。
【0181】
織物は、シーリング機構の下に配置され、該機構は、熱シーリングバー が、接合される領域と重なり部(例えば1/4インチ(0.64cm))を覆うことができ、全ての縁部をシールすることができ、縁部を把持出来ないようにするものが用いられる。本発明の一実施形態において、前記機構は、熱、時間及び圧力を制御することができる。これが行われると、バッグは、完全に繰返し可能な信頼性をもって接合されることができ、この製造段階では1台の自動可能機械を必要とするだけである。
【0182】
このようにしてバルクバッグを製造するとき、単に本体パネルの長さを変えるだけで、異なるサイズのバッグを作ることができる。これは、2つの加熱要素の移動を、トップパネルとボトムパネルのアタッチメント間の新たな距離に合わしさえすればよい。導入口、排出口、トップパネル及びボトムパネルの関係に変更はない。
【0183】
本発明の方法はまた、異なるデザインのバルクバッグ、例えばリフティングループを有し、シーム又は接合部が熱融着されたバッフルバッグの製造に用いられることができる。
【0184】
このシステムは、糸を必要としないので、糸の切れ端がバッグ内に残ったときに起こり得る汚染を生じることはない。また、縫製機械がバッグの様々な部品と接触することによって生じる汚染も低減される。また、バッグの内表面と人体との接触も低減される。
【0185】
シームは針穴のないソリッドであるので、このシステムでは、ステッチのあるバルクバッグでしばしば必要とされるふるい分けは必要でない。本発明の方法は、ほとんど気密のバッグを提供することができる。
【0186】
気密性及び清浄性により、この生産システムは、これまで清浄性及び/又は水分制御のためにバルクバッグの内側にしばしば設けられていたポリエチレンライナーの必要性をなくすことができる。これは当該産業におけるプラスチックの使用量を低減することができ、結果的に埋立られてしまう材料を低減することができる。
【0187】
とりわけ、望ましい実施形態に示される4箇所のシームは全て、最終シームが、バルクバッグが運搬する重量物の力に耐え得る剪断位置におかれる。さらに、重量物の運搬作業は、剪断位置にあるときだけこれらシームに応力が作用する。
【0188】
このように、柔軟性バッグ、パッケージ又は容器の製造を自動化するための本発明の方法において、この方法は、あらゆる種類の柔軟性バッグ、パッケージ又は容器をカバーできることは理解されるべきである。
【0189】
前記したように、バルクバッグ産業は、方向性の大きなポリプロピレン織物を使用する。これは、コストと、強度マトリックスとの関係に基づく。ポリプロピレンは、歴史的に、ポンド(キログラム)当たりのコストが低く、歴史的に、同様なポリエチレンよりも引張強度が約30%大きかった。バルクバッグを作製するのに厚肉のポリエチレン材料を用いることはできるが、必要な強度を得るために要する費用の点で、ポリエチレン材料を用いることへの関心には限界があった。さらに、ポリエチレン織物はポリプロピレン織物よりも融点が低いため、この産業では、ポリプロピレンが40年近くに亘って好ましい材料であった。ポリプロピレンはまた、非常に不活性の材料である。ほとんどどの化学剤にも影響を受けない。これはまた、パッケージング用バッグの製造に良い選択となっている。これらの全てが産業に対する利点であるが、ポリプロピレンがポリエチレンに及ばない領域は、ポリプロピレンの不活性さと高い方向性による強度であった。
【0190】
この不活性さのゆえに、容器製造に際しては、材料の物理的接続に依存していた。100%近くが製造方法として縫製に委ねられていた。
【0191】
縫製の一般的な代替方法の1つで自動化可能な方法は、接合部を形成するのに熱を利用することであった。PE織物が用いられるとき、これは極く普通に行われる。しかし、ポリプロピレンは、接合部を形成するのに必要とされる加熱温度では結晶化する。この結晶化は接合部の強度を損なうので、これまで、この方法は用いられていなかった。バルクバッグ等のポリプロピレンバッグの構造に使用可能なシームを作るために、ポリプロピレン織物を熱融着する方法は現在でも知られていない。
【0192】
前述したように、縫製工程は労働集約型であり、あらゆる形態の自動化には全く適していない。縫製機械は、部品が超高速で移動してステッチ工程が行われ、毎分数千ものステッチが形成される。このような速度では、機械が自動運転されたとしても、針や糸が絶えず破損するため、作業に復帰させるために人手による修理が必要となる。それゆえ、常時人員のサポート無しで作業することはできず、効率的かる費用効率の高い製造の自動化ができなかった。これら作業の全てが損失となるため、製造は、労働賃金が低い外国工場で行われるようになった。
【0193】
それゆえ、現在のバルクバッグの製造で必要とされている多大な労働を低減できるバッグ製造自動化システムへの要請がある。これはまた、最終消費者に近い場所での製造が可能となり、現在の縫製による製造の下で問題となっている長いリードタイム(lead time)及び多くの在庫の必要性を解消させることができる。
【0194】
本発明の方法に一実施形態は、新規で独自の熱融着方法を用いて、織物バッグを製造する方法を含む。熱融着方法は、ポリエチレン織物の接合では広く知られ、かなり一般的である。結合効率が80%〜85%であれば、非常に良好な結合効率レベルであると一般的に理解されている。しかしながら、多くの場合、その結合効率は70%台に低下する。
【0195】
縫製によるシームでは、結合効率は65%しか得られないこともある。最終容器の製造において織物の強度を選択するとき、ポリプロピレン織物の強度には、これらの結合強度が考慮に入れられる。
【0196】
熱融着の現在の方法では、通常、ベースの織物を溶融して両者を接合するのに十分に高い温度と圧力が加えられる。この方法は、付加された全てのコーティングを溶融させ、溶融したものを高圧によって押しやることにより、ベースの織物どうしを接合するものである。この方法は、数十年も前から、例えばポリエチレン織物に適用され、成功を収めている。これが必要とされてきたのは、強度が織物に依存するからである。このとき用いられるコーティングは、汚れ及び/又は水分を抑制することを目的とするものであった。
【0197】
ポリプロピレンは不活性であるので、付加されるコーティングは、織物に対する取付強度が低い。それゆえ、付加されたコーティングが、溶接により取付位置として用いられた場合、得られる強度は織物の強度と実質的な関係はない。得られた接合部の強度は、織物に対するコーティング取付部の強度にのみ関係する。コーティングの取付強度に依存する接合部を形成する本発明の方法に関して試験を行なったとき、試験した材料の具体的強度の約27%の結合強度を示した。これらの試験において、破損した織物はなかった。常に、接合不良を生じた織物からのコーティング分離によるものであった。
【0198】
本発明において、標準の押出コーティング方法で適用され得るコーティングでは、ポリプロピレン織物に完全に取り付けられるので、コーティングをシーリング機構の加熱されたあご部から押し出すような高圧を加える必要はない。本発明の目的は、例えば10psi(68.9キロパスカル)よりも小さい圧力でシーリングすることにより、付加されたコーティングの強度を最終熱シールの強度の一部として利用することである。この熱シーリング方法では、織物自体は殆んど損傷されることはない。本発明の一実施形態では、コーティングだけが溶融されて接合部が形成される。試験結果では、接合部は90%を超える強度が達成される。試験結果の中には、シールされなかったコーティング材料の強度の100%を達成したものもある。しかしながら、得られた接合部の強度は、コーティングされる前の織物自体の強度を何度も超えている。
【0199】
それゆえ、本発明の方法の一実施形態において、熱シーリング方法は、あらゆる工程が開始する前に、元の織物よりも強度が実際に高いシームを形成する。現在の方法による結合効率が65%であることを考慮すると、本発明の熱シーリング方法による接合部は、元の織物に対する悪影響は最小であり、自動化による労働コストの低減だけでなく、シーム効率の向上により、同じ全体強度では織物の重量及び厚さを低減することができる。実施例を次に挙げる。縫織物の引張強度が200ポンド/インチ(3572キログラム/メートル)のとき、縫製された後、シームの強度は200ポンド/インチ(3572キログラム/メートル)の65%であり、130ポンド(58キログラム)である。結合効率が90%であると、織物の元の強度が150ポンド/インチ(2678キログラム/メートル)でもシーム強度は135ポンド/インチ(2410キログラム/メートル)となる。これは、織物の強度が25%低下しても同じシームが得られることになる。このシステムを用いた場合、同じ強度を有するバッグを作るのに必要な織物材料の量は、長期間に亘って低減されることができる。
【0200】
全てのシームが成功に至るには、少なくとも2つの測定が重要である。これらの測定は,一般的に、剪断試験と剥離試験と称される。
【0201】
剪断試験では、接合部は、材料の2つの端部が接合部領域の対向する端部で接合される。材料の自由端部が反対方向に引っ張られると、シールされた領域の全体が接合部を効率的に支持する。これは、シールされた接合部で最も高い結合効率が得られる。
【0202】
剥離試験では、試験材料の2つの自由端部は、接合部の同じ側にある。この場合、2つの自由端部が離れる方向に引っ張られると、接合部の一方の縁部だけが離れる方向に引っ張られる。これは、一般的には、結合効率は最も低くなる。
【0203】
本発明の一実施形態は、図17図19に示されている。図17は、T字形状が逆さまで、織物壁が二重の接合部を示している。織物は端部壁と接触し、脚が夫々、側面となるので、片側からの圧力がその剪断強度により反対側の側面を保護する。図18において、熱融着シールされたバルクバッグ(10)は、図示のようにシームが重なるように構成される。製品は、図19の矢印(44)で示されるように、接合部を常に剪断方向に押しており、バッグ内に収容された製品から圧力が加えられている。
【0204】
<部品リスト>
(1) 層
(2) 層
(3) 層
(4) 層
(5) 層
(6) 層
(7) 層
(8) 層
(10) 熱融着シームバルクバッグ
(11) ステッチシーム
(12) ヘムを保持するためのステッチ
(13) 織物
(14) 縫製接合部
(15) 織物折畳み部
(16) 熱融着シーム
(17) 側壁
(18) 底壁
(19) コーティング/積層
(20) 線
(21) 熱シールバー
(22) 移行隙間
(23) 導入/排出口
(24) 線
(25) 線
【0205】
(26) トップ/ボトムパネル
(27) 本体
(28) 縫着シーム
(29) 線
(30) 領域
(31) 線
(32) 線
(33) 線
(34) 後で折り畳まれる線
(35) コーナー部のスリット
(36) ガセット導入口
(37) ガセットトップパネル
(38) ガセット本体
(39) ガセットボトムパネル
(40) ガセット排出口
(41) 融着シール領域
(42) 二重織物壁
(43) 重なりシーム
(44) バッグ中身からの圧力
(45) 線
(46) 線
【0206】
ここに開示した全ての測定値は、特に指定しない限り、標準温度及び海面気圧での値である。人間に使用される材料又は使用が意図される材料は全て、特に指定しない限り、生体適合性である。
【0207】
前述の実施例は、例示のみを目的として提供されるものであり、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲によってのみ限定される。
平成30年9月19日付手続補正書に記載された請求項15及び16の内容を以下に記載する。
[15]
ポリプロピレン織物バルクバッグであって、
ポリプロピレン織物からなる第1のバッグ部であって、ポリプロピレン織物の融点よりも低い融点を有するプロピレンプラストマー、プロピレンエラストマー又はそれらの混合物を含む第1のコーティングが一部にコートされた第1のバッグ部と、
ポリプロピレン織物からなる第2のバッグ部であって、前記第1のコーティングとは異なる材料からなり、大部分がポリプロピレンを含む第2のコーティングが一部にコートされた第2のバッグ部と、
前記第1のバッグ部の第1のコーティングと前記第2のバッグ部の第2のコーティングとの重なり領域に、前記第1のバッグ部の第1のコーティングが前記第2のバッグ部の第2のコーティングに熱融着された継ぎ目を有する接合部を含むバッグ継ぎ目と、を含み、
前記バッグ継ぎ目が、(a)第1のバッグ部のポリプロピレン織物、(b)第1のコーティング、(c)第2のコーティング、(d)第2のバッグ部のポリプロピレン織物、からなる4つの層が隣接している、ポリプロピレン織物バルクバッグ。
[16]
前記第1のコーティング及び前記第2のコーティングが一部にコートされたポリプロピレン織物からなる少なくとも1つの追加のバッグ継ぎ目をさらに含み、
前記追加のバッグ継ぎ目は、前記追加のバッグ部の第1のコーティングが前記第2のバッグ部の第2のコーティングに熱融着された継ぎ目を有する接合部、又は前記第1のバッグ部の第1のコーティングが前記追加のバッグ部の第2のコーティングに熱融着された継ぎ目を有する接合部を含む追加のバッグ継ぎ目を有し、
前記追加のバッグ継ぎ目が、(a)追加のバッグ部のポリプロピレン織物、(b)追加のバッグ部の第1のコーティング、(c)第2のバッグ部の第2のコーティング、(d)第2のバッグ部のポリプロピレン織物、からなる4つの層、又は、(a)追加のバッグ部のポリプロピレン織物、(b)追加のバッグ部の第2のコーティング、(c)第1のバッグ部の第1のコーティング、(d)第1のバッグ部のポリプロピレン織物、からなる4つの層が隣接している、前記15のポリプロピレン織物バルクバッグ。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C
図13D
図14
図15
図16
図17
図18
図19