(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6557663
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】蒸発器出口の温度制御のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
F22B 35/10 20060101AFI20190729BHJP
G05D 23/00 20060101ALI20190729BHJP
F22B 35/18 20060101ALI20190729BHJP
F22B 29/06 20060101ALN20190729BHJP
【FI】
F22B35/10
G05D23/00 F
F22B35/18
!F22B29/06
【請求項の数】18
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-541216(P2016-541216)
(86)(22)【出願日】2014年11月18日
(65)【公表番号】特表2017-502246(P2017-502246A)
(43)【公表日】2017年1月19日
(86)【国際出願番号】EP2014074850
(87)【国際公開番号】WO2015096937
(87)【国際公開日】20150702
【審査請求日】2017年11月13日
(31)【優先権主張番号】14/139,483
(32)【優先日】2013年12月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】オリア,ハミッド
(72)【発明者】
【氏名】シェノイ,シュレッシュ
(72)【発明者】
【氏名】マギー,ジェフェリー・エフ
【審査官】
佐々木 訓
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−099587(JP,A)
【文献】
特開2006−153349(JP,A)
【文献】
特表平06−511077(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0180474(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0324742(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0040299(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22B 1/00 − 37/78
F25B 1/00 − 7/00
G05D 23/00 − 23/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の蒸発器管束を有する、蒸発器の出口温度を制御するための方法であって、
複数の蒸発器管束のそれぞれの出口温度に基づいて、蒸発器の出口温度設定値を計算する工程と、
蒸発器管束の少なくとも1つを介して流体流量を調整して、蒸発器の出口温度と蒸発器の出口温度設定値との間の誤差を減少させる工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
1以上の蒸発器管束を介して流体流量を調整する工程が、1以上の蒸発器管束について蒸発器の出口温度設定値を調節することによって1以上の蒸発器管束の制御弁の位置を変更する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
出口温度設定値を調節する工程が、
1以上の蒸発器管束の測定出口温度と、複数の蒸発器管束の中における最も高い出口温度とを比較する工程と、
比較から生ずるデルタ値を蒸発器の出口温度設定値に加算する工程と
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
デルタ値に増幅率を乗算する工程を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
1以上の蒸発器管束について弁制御信号を生成する工程を含む、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
蒸発器への給水の入力温度及び入力圧、蒸発器の出力圧、それぞれの制御弁の特性及び蒸発器の全流量需要と蒸発器管束の総数との比の1以上の関数である、フィードフォワード信号として、1以上の蒸発器管束の制御弁の初期位置を生成する工程を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
複数の蒸発器管束を有する蒸発器の出口温度を制御する方法であって、
各蒸発器管束の測定出口温度を受信する工程と、
測定出口温度に基づいて蒸発器の出口温度設定値を計算する工程と、
各蒸発器管束の出口温度と、複数の蒸発器束の中において最も高い出口温度とを比較する工程と、
比較から生ずるデルタ値を出口温度設定値に加算する工程によって蒸発器管束ごとに調節された出口温度設定値を計算する工程と、
を含む、方法。
【請求項8】
調節された出口温度設定値に基づいて、蒸発器束の少なくとも1つについてそれぞれの制御弁の位置を調節する工程を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
比較のデルタ値が所定の閾値より上にある場合に、デルタ値に増幅率を乗算して、それぞれの制御弁の位置決めを安定させる工程を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
複数の蒸発器管束を有する蒸発器の出口温度を制御するためのシステムであって、
蒸発器管束の測定出口温度に基づいて、蒸発器管束の出口温度設定値を計算するとともに、蒸発器の出口温度設定値と1以上の蒸発器管束の測定出口温度との間のそれぞれのデルタ値に基づいて、1以上の蒸発器管束の制御弁の位置を定めるように、制御器を構成するコンピュータプログラムを非一時的に格納するためのメモリを有している制御器を備える、
システム。
【請求項11】
コンピュータプログラムは、1以上の蒸発器管束の測定出口温度と、複数の蒸発器管束の中における最も高い測定出口温度との間のそれぞれのデルタを計算することによって、1以上の蒸発器管束の出口温度設定値を調節するように、制御器を構成する、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
コンピュータプログラムは、制御器からそれぞれの弁の位置制御信号を受信する、1以上の蒸発器管束の調節された出口温度設定値に基づいて、1以上の蒸発器管束の制御弁の位置を定めるためのそれぞれの制御信号を生成するように、制御器を構成する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
蒸発器管束の出口温度設定値は、複数の蒸発器管束の出口温度の平均である、請求項10から12のいずれかに記載のシステム。
【請求項14】
コンピュータプログラムは、蒸発器への給水の入力温度及び入力圧、蒸発器の出力圧、それぞれの制御弁の特性及び蒸発器の全流量需要と蒸発器管束の総数との比に基づいて、1以上の蒸発器管束の弁の初期位置を計算するように、制御器を構成する、請求項10から13のいずれかにに記載のシステム。
【請求項15】
弁の初期位置が、フィードフォワード信号として1以上の蒸発器管束に動作中に送信されるように構成された、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
複数の蒸発器管束及び1以上の蒸発器管束の制御弁を有する蒸発器と結合する、請求項10から15のいずれかに記載のシステム。
【請求項17】
複数の蒸発器管束を有する蒸発器の出口温度を制御するための制御器であって、
複数の蒸発器管束それぞれの出口温度に基づいて蒸発器の出口温度設定値を計算するとともに、1以上の蒸発器管束の出口温度と蒸発器の出口温度設定値との間の誤差を縮小させるために、蒸発器管束の少なくとも1つを介して流体流量を調整するように、プロセッサを構成するコンピュータプログラムを非一時的に格納するためのメモリを有しているプロセッサを備える、
制御器。
【請求項18】
コンピュータに方法を実行させるためのプログラムコードを非一時的に格納するためのコンピュータ可読媒体であって、上記方法が、
複数の蒸発器管束のそれぞれの出口温度に基づいて、蒸発器の出口温度設定値を計算する工程と、
蒸発器管束の少なくとも1つを介して、流体流量を調整して、1以上の蒸発器管束の出口温度と蒸発器の出口温度設定値との間の誤差を減少させる工程と、
を含む、コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蒸発器の出口温度を制御することに関し、詳細には、複数の蒸発器管束を有する、蒸発器の出口温度を制御することに関する。
【背景技術】
【0002】
公知のプラントエンジニアリングシステムにおいて、出口蒸発器の温度制御は、複数の蒸発器管束を含むように設計された、蒸気蒸発器をもたらした。蒸発器の出口において温度を制御する公知の方法は、各蒸発器管束を介して流量を個々に測定すること、次に、所望の出口温度を得るために各束を介して制御流量を個別に制御することを含む。理論的には、本プロセスは、適切な温度制御を提供する。しかしながら、実際には、システムは、センサの数及び収集及び処理されるデータ量が大きい場合において、維持が複雑で高価である可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/180474(A1)号明細書
【発明の概要】
【0004】
複数の蒸発器管束を有する、蒸発器の出口温度を制御するための例示的な方法が開示され、本方法は、複数の蒸発器管束のそれぞれの出口温度に基づいて、蒸発器の出口温度設定値を計算すること及び1以上の蒸発器管束を介して流体流量を調整して、蒸発器の出口温度と蒸発器の出口温度設定値との間の誤差を減少させることを含む。
【0005】
複数の蒸発器管束を有する、蒸発器の出口温度を制御するための例示的な方法が開示され、各蒸発器管束の測定出口温度を受信すること、測定出口温度に基づいて蒸発器の出口温度設定値を計算すること、各蒸発器管束の出口温度と複数の蒸発器束の中で最も高い出口温度とを比較すること及び比較から生ずるデルタ値を出口温度設定値に加算することによって蒸発器管束ごとに調節された出口温度設定値を計算することを備える。
【0006】
複数の蒸発器管束を有する、蒸発器の出口温度を制御するための例示的な方法が開示され、本システムは、蒸発器管束の測定出口温度に基づいて、蒸発器管束の出口温度設定値を計算するとともに、蒸発器の出口温度設定値と1以上の蒸発器管束の測定出口温度との間のそれぞれのデルタ値に基づいて、1以上の蒸発器管束の制御弁の位置を定めるように、制御器を構成するコンピュータプログラムを、非一時的に格納するためのメモリを有している制御器を備える。
【0007】
複数の蒸発器管束を有する、蒸発器の出口温度を制御するための例示的な制御器が開示され、本制御器は、複数の蒸発器管束のそれぞれの出口温度に基づいて、蒸発器の出口温度設定値を計算するとともに、1以上の蒸発器管束を介して流体流量を調整して、1以上の蒸発器管束の出口温度と蒸発器の出口温度設定値との間の誤差を減少させる、プロセッサを構成するコンピュータプログラムを、非一時的に格納するためのメモリを有しているプロセッサを備える。
【0008】
コンピュータに以下の方法を実行させるためのプログラムコードを非一時的に格納するための例示的なコンピュータ可読媒体が開示され、本方法は、複数の蒸発器管束のそれぞれの出口温度に基づいて、蒸発器の出口温度設定値を計算すること及び1以上の蒸発器管束の出口温度と蒸発器の出口温度設定値との間の誤差を減少させるために、1以上の蒸発器管束を介して流体流量を調整することを含む。
【0009】
下記において、開示は、以下の添付図面を参照しながら、例示的な実施形態によって更に詳細に説明されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の例示的な実施形態に従って、蒸発器の概要を例示する。
【
図2】本開示の例示的な実施形態に従って、蒸発器の出口温度設定値の調節手段を例示しているグラフである。
【
図3】本開示の例示的な実施形態に従って、プロセッサのプロセス構成を例示している図である。
【
図4】本開示の例示的な実施形態に従って、蒸発器管束の制御弁の位置を定めるための制御ロジックの図である。
【
図5】本開示の例示的な実施形態に従って、蒸発器の温度制御のためのプロセスを例示する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の例示的な実施形態は、複数の蒸発器管束又は蒸発器管部を有する蒸発器の出口温度を制御するためのシステム及び方法を対象とする。特に、本明細書に開示される例示的な実施形態は、複数の蒸発器管束の出口にわたって、温度のばらつきを実質的に減少させ及び/又は取り除くことができる。加えて、各蒸発器管束内の温度は、管のスタックの高さにわたって温度の差異が小さくなるように、制御できる。複数の蒸発器管束の出口における温度差を小さく保つことによって、出口ヘッダの長さにわたる、相対的に一定な温度が維持できる。さらに、この方法で温度を制御することは、蒸発器出口ヘッダに対する機械的応力を減少させる。
【0012】
図1は、本開示の例示的な実施形態に従って、貫流蒸発器の概要を例示する。
【0013】
蒸発器システム100は、エコノマイザ(図示せず)から給水を受け取って、蒸気タービン(図示せず)に過熱蒸気を出力するように構成される。
図1に示すように、蒸発器システム100は、入口102、蒸発器部104及び出口106を含む。入口102は、蒸発器システム100を介して給水の全流量を調整する、主制御弁(CV
M)108を含む。入口ヘッダ110は、CV
M108の下流側に配置され、給水を蒸発器部104に分配する。蒸発器部104は、複数の蒸発器管束112
1〜112
nを含む。各蒸発器管束112
nは、入口ヘッダ116
nと出口ヘッダ120
nとの間に平行に配列される、蒸発器管118
Tyのスタックを含む。本開示の例示的な実施形態に従って、各蒸発器管束112
nの蒸発器管118
Tyの数(y)は、スタックの最上部における蒸発器管118
T1の温度がスタックの最低部の蒸発器管118
Tyと実質的に同一であるように、選択される。各蒸発器管束112
nの入口ヘッダ116
nは、制御弁(CV
ET)114の下流側に接続される。各CV
ET114は、蒸発器の入口ヘッダ110から連結された蒸発器管束112
nへの給水の流量を調整する。
【0014】
蒸発器部104の出口106は、各蒸発器管束112
1〜112
nの合成流量である。出口106からの流量は、分離器122に供給される。分離器122の分離プロセスから生ずる蒸気は、過熱システム124の入口に供給される。過熱蒸気は、蒸気タービン(図示せず)によって使用される、過熱システム124の出口に供給できる。
【0015】
図1に示すように、複数のセンサ125は、蒸発器100からいくつかの温度及び圧力の測定値を得るために、提供される。例えば、センサ125
T1〜
Tnは、各蒸発器管束112の出口において温度を測定するために、提供できる。さらに、センサ(125
TSEP-out、125
TSteam)は、分離器122及び過熱システム124において、出口温度を測定するために提供できる。加えて、センサ(125
Tin、125
Pin、125
TEVA-out、125
Pout)は、入口ヘッダ110の上流で(例えば、少なくとも、入口ヘッダ110と主制御弁108との間の位置)及び蒸発器の出口106のすぐ下流で(例えば、出口106と分離器122の入口との間の位置で)温度及び圧力を測定するために提供できる。
【0016】
蒸発器システム100は、プロセッサ126をさらに含む。プロセッサ126は、複数のセンサ125のそれぞれの出力を受信する。例えば、プロセッサ126は、各蒸発器管束112
1〜112
nの測定出口温度T
1〜T
n、蒸発器出口温度T
out、分離器122の蒸気出口温度T
SEP-OUT、過熱蒸気システム124の蒸気出口温度T
STEAM、蒸発器100の入口ヘッダ110のすぐ上流の(例えば、蒸発器100の入口ヘッダ110と主制御弁108との間の位置の)流量の入口温度T
in、入口圧P
in及び蒸発器100の出力圧P
EVA-OUTを受信できる。測定値は、所望により、プロセッサ126の常駐メモリに及び/又は外部記憶装置に格納できる。
【0017】
プロセッサ126は、蒸発器管束112
1〜112
nの制御弁114
1〜114
nの1つの位置を制御するための複数の制御器128を含むように、構成できる。プロセッサ126は、蒸発器システム100の主制御弁108の位置を制御するための主制御器130をさらに含むことができる。本開示の例示的な実施形態に従って、プロセッサ126は、複数の蒸発器管束112
1〜112
nの測定出口温度T
1〜T
nに基づいて、蒸発器100のための出口温度設定値T
EVA-SETを計算するとともに、蒸発器部104の出口温度設定値と、1以上の蒸発器管束112
nの測定出口温度との間のそれぞれのデルタ値に基づいて、複数の蒸発器管束112
1〜112
nの少なくとも1つに関する制御弁114
nの位置を定めるか又は調整するように、構成できる。プロセッサ126は、蒸発器管束112
nの少なくとも1つに関する制御弁114
nの位置を調整でき、そのため、蒸発器管束112
nの出口温度T
nと蒸発器部104の出口温度設定値T
EVA-SETとの間の誤差(例えば、ΔT≦?)を小さくすることができる。蒸発器部104の出口温度設定値T
EVA-SETは、複数の蒸発器管束112
1〜112
nの測定出口温度T
1〜T
nの平均(T
AVR)として計算される。
【0018】
図2は、本開示の例示的な実施形態に従って、蒸発器の出口温度設定値の調節手段を例示しているグラフである。
【0019】
プロセッサ126は、1以上の蒸発器管束112
nについて出口温度設定値TBUNDLE−SET−nを得るために、1以上の蒸発器管束112nの測定出口温度Tn対して、蒸発器部104の出口温度設定値TEVA−SETを調節することによって、複数の蒸発器管束112nの少なくとも1つに関する制御弁114nの位置を調節する。例示的な実施形態では、プロセッサ126は、1以上の蒸発器管束112nの測定出口温度T
nと複数の蒸発器管束112
1〜112
nの中で最も高い測定出口温度T
MAXとを比較する。デルタ値又は比較から生ずる補正値ΔT
CORR-nは、蒸発器部104の出口温度設定値T
EVA-SET(又はT
AVR)に加算される。最も高い測定出口温度T
MAXは、蒸発器部104の出口温度設定値T
EVA-SETより高い複数の蒸発器管束112
1〜112
nの中の温度値であるので、説明されているように、各蒸発器管束112
nの対応する出口温度設定値T
BUNDLE-SET-nを得るように各蒸発器管束112
1〜112
nの出口温度T
nを調節することは、各蒸発器管束の出口温度と蒸発器部104の出口温度設定値T
EVA-SETとの間の誤差が小さくなり、最も高い出口温度設定値が減少することを保証する。
【0020】
各蒸発器管束112
1〜112
nと関連する、調節された温度設定値に基づいて、プロセッサ126は、1以上の蒸発器管束112
nの制御弁114
nの位置を定めるためにそれぞれの制御信号を生成する。例えば、蒸発器管束112
nの1つと関連する調節された温度設定値
TBUNDLE-SET-nが以前の温度値より増加する場合、制御弁114
nは、蒸発器管束112
nを介して流量を制限するようにさらに閉じた位置に調節される。一方、蒸発器管束112
nの1つと関連する調節された温度設定値T
BUNDLE-SET-nが以前の温度値より減少する場合、制御弁114
nは、蒸発器管束112
nを介して流量を増大させるようにさらに開いた位置に調節される。
【0021】
図3は、本開示の例示的な実施形態に従ってプロセッサのプロセス構成を例示している図である。
図3に示すように、プロセッサ126は、複数の蒸発器管束112
1〜112
nの中で最も高い測定出口温度T
MAXを決定するための制御ロジックを含むように構成される。一旦、T
MAXが得られると、プロセッサ126は、各蒸発器管束112nの調節された出口温度Tnを計算することができ、上述したように、蒸発器管束112
1〜112
nのそれぞれに対応する出口温度設定値
TBUNDLE-SET-nを得る。
【0022】
制御システムの安定性は、プロセスにおいて、過渡状態及び/又は他の大きな変化又は変動の発生に遭遇する、プラントエンジニアリングシステムの公知の関心事である。本開示の例示的な実施形態に従って、制御弁の位置が特定されている場合、増幅率WFは制御システムの安定性を維持するために使用できる。
図2に示すように、プロセッサ126は、補正値ΔT
CORRに増幅率WFを乗ずるように構成できる。
図3において提供される挿入グラフは、増幅率WFが、制御弁114
nの位置変化の間の移動量xに反比例することを示す。例えば、複数の蒸発器管束112
1〜112
nの中で最も高い測定出口温度T
MAXと、蒸発器100の出口温度設定値T
EVA-SET(又はT
AVR)との間に、大きな差異が存在する場合、そのとき、弁は、大きな距離にわたって急速に移動するように制御される。このタイプの移動は、システムを不安定にする可能性があり、WF<<1が補正値に乗ぜられると、安定化を提供する。一方、複数の蒸発器管束112
1〜112
nの中で最も高い測定出口温度T
MAXと、蒸発器100の出口温度設定値T
EVA-SET(又はT
AVR)との間に、小さな差異が存在する場合、そのとき、弁は、1に近いか又は等しいWF値が好ましいように、より短い距離にわたって急速に移動するように制御される。増幅率のテーブルは、補正率ΔT
CORRの決定に基づいて、プロセッサ126によって、メモリに格納でき、アクセスでき又は選択できる。
【0023】
図4は、本開示の例示的な実施形態に従って、蒸発器管束の制御弁の位置を定めるための制御ロジックの図である。
【0024】
プロセッサ126は、複数の蒸発器管束112
1〜112
nの制御弁114
1〜114
nの位置を決定するために、制御ロジックを実行するように構成される。
図4に示すように、プロセッサ126は、1以上の蒸発器管束112
nの制御弁114
nの初期位置を確立するために、フィードフォワード制御信号FF
nを生成する。制御信号FF
nは、蒸発器100の入口ヘッダ110の流量の入口温度T
in及び入口圧P
in、蒸発器システム100の出力圧P
EVA-OUT、1以上の制御弁114
nの特性及び蒸発器の全流量需要EVA−FLOW
TOTと蒸発器管束の総数nとの比の少なくとも1つ関数として生成される。なお、各制御弁114
1〜114
nは、それぞれの制御弁の特性及び/又は動作中の性能を特定する、固有の特徴を有することができる。制御弁114
nの位置及び蒸発器の全流量需要EVA−FLOW
TOTを認識することによって、蒸発器管束112
nを介した流量は、公知の計算を介して決定できる。
図1に示すように、プロセッサ126は、計算された制御信号FF
1〜FF
nを管束制御器128
1〜128
nに、それぞれ、分配するように構成される。
【0025】
本開示の例示的な実施形態によれば、プロセッサ126は、蒸発器出口温度T
out、分離器122の蒸気出口温度T
SEP-OUT及び過熱蒸気システム124の蒸気出口温度T
STEAMを含む、測定システム値の1つに基づいて、蒸発器部101を介して、流体の流量(例えば、エコノマイザ(図示せず)からの給水)を調整するように構成できる。
図1に示すように、測定値(T
OUT、T
SEP-OUT、T
STEAM)の少なくとも1つは、プロセッサ126の主弁制御器130に提供される。第1工程において、主弁制御器130は、蒸発器の全流量需要EVA−FLOW
TOTを計算するために、蒸発器100の出口温度設定値T
EVA-SET(又はT
AVR)と、測定値(T
OUT、T
SEP-OUT、T
STEAM)の1つとを比較する。次に、蒸発器の全流量需要EVA−FLOW
TOTは、流量需要に関する主制御弁の適切な位置を決定するために、エコノマイザ(図示せず)からの主流量の測定値と比較される。
【0026】
図5は、本開示の例示的な実施形態に従って、蒸発器の温度制御のためのプロセスを例示する。本開示の例示的な実施形態によれば、温度制御プロセスは、所望により、下記のシステム起動、システム障害又は他の適切なプラントエンジニアリング又はシステムイベントを始動できる、連続プロセスである。プロセッサ126は、中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)などの任意の公知の汎用プロセッサ又は集積回路又は所望により、他の適切なプログラム可能な処理又は計算装置又は回路であり得る。プロセッサ126は、コード化され又はプロセッサに記録され又は所望により、例えば、読取り専用メモリ(ROM)、消去及びプログラム可能読取り専用メモリ(EPROM)又は他の適切なメモリ装置又は回路など、不揮発性メモリ装置に格納されるプログラムコードを介して、本開示の例示的な実施形態の機能を含み実行するように構成できる。例示的な実施例において、プログラムコードは、コンピュータ可読媒体がプロセッサと容易に伝達できるように接して配置される場合、例えば、磁気記憶媒体(例えばハードディスク、フロッピーディスク又は磁気テープ)、光学媒体(例えば、所望により、任意のタイプのコンパクトディスク(CD)又は任意のタイプのディジタルビデオディスク(DVD)又は他の互換性のある不揮発性メモリ装置)など、非一時的なコンピュータ可読媒体に記録でき、所望により実行のためにプロセッサにダウンロードできる。
【0027】
工程500において、プロセッサ126は、蒸発器出口温度T
out、分離器122の蒸気出口温度T
SEP-OUT及び過熱蒸気システム124の蒸気出口温度T
STEAMを含む測定値の1つに基づいて、制御弁の初期位置を決定し、蒸発器100を介して、流体の流量(例えば、エコノマイザ(図示せず)からの給水)を調整する。プロセッサ126は、蒸発器の全流量需要EVA−FLOW
TOTを計算するために、測定値の1つを使用する。
【0028】
工程502において、プロセッサ126は、各蒸発器管束112
1〜112
nの測定出口温度T
1〜T
nを受信する。プロセッサ126は、次に、複数の蒸発器管束112
1〜112
nの測定出口温度に基づいて、蒸発器部101の出口温度設定値T
EVA-SETを計算する(工程504)。工程506において、プロセッサ126は、1以上の蒸発器管束112
nの出口温度T
nに関する補正値ΔT
CORRを得るために、1以上の蒸発器管束112
nの測定出口温度T
nと、複数の蒸発器管束112
1〜112
nの中で最も高い測定出口温度T
MAXとを比較する。工程508において、1以上の蒸発器管束112
nの出口温度設定値T
BUNDLE-SET-nを得るために、1以上の蒸発器管束112
nの測定出口温度T
nに対して、蒸発器部101の出口温度設定値T
EVA-SETを調節する。すなわち、プロセッサ126は、T
BUNDLE-SET-nを得るために、1以上の蒸発器管束112
nと関連する補正値ΔT
CORRを、蒸発器部101の出口温度設定値T
EVA-SETに加算する。工程510において、プロセッサ126は、1以上の蒸発器管束112
nの調節された温度設定値T
BUNDLE-SET-nに基づいて、1以上の蒸発器管束112
nの制御弁114
nの位置を調節する。
【0029】
本開示で一貫している技術は、他の機能の中で、複数の蒸発器管束を有する蒸発器の出口温度を制御するためのシステム及び方法を提供する。開示されたシステム及び方法のいくつかの例示的な実施形態が上記で説明されたが、それらが、限定ではなく、単に例のために示されたことは理解されるべきである。それは、網羅的ではなく、開示された厳密な形式に開示を限定しない。多くの修正形態及び変形形態は、上記説明に照らせば実現可能であり又は広がり又は範囲から逸脱することなく開示を実践することから取得されてもよい。