(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6557672
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】伝熱指向性UHMWPE製品の調製プロセスとこれより取得される製品
(51)【国際特許分類】
B29C 55/02 20060101AFI20190729BHJP
C08J 5/18 20060101ALI20190729BHJP
C08J 3/20 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
B29C55/02
C08J5/18CES
C08J3/20 Z
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-554444(P2016-554444)
(86)(22)【出願日】2015年2月27日
(65)【公表番号】特表2017-506696(P2017-506696A)
(43)【公表日】2017年3月9日
(86)【国際出願番号】IB2015051459
(87)【国際公開番号】WO2015128843
(87)【国際公開日】20150903
【審査請求日】2018年2月26日
(31)【優先権主張番号】701/MUM/2014
(32)【優先日】2014年2月27日
(33)【優先権主張国】IN
(31)【優先権主張番号】3106/MUM/2014
(32)【優先日】2014年9月29日
(33)【優先権主張国】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】513202971
【氏名又は名称】リライアンス インダストリーズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】RELIANCE INDUSTRIES LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】マツール,アジット ベハリ
(72)【発明者】
【氏名】カダム,シヴァジ ヴィジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ガンダム,サチャ スリニヴァーサ ラオ
(72)【発明者】
【氏名】サトパシー,ウマ サンカー
(72)【発明者】
【氏名】サルマ,クリシュナ レンガナス
(72)【発明者】
【氏名】パテル,ナヌブハイ フルジブハイ
(72)【発明者】
【氏名】メタ,ガウラン マニラル
(72)【発明者】
【氏名】アミン,ヨギーニ マヘシュブハイ
(72)【発明者】
【氏名】シャー,アミット クマル プナムシャンド
(72)【発明者】
【氏名】パテル,ヴィラルクマル
(72)【発明者】
【氏名】ジャスラ,ラクシュ ヴィル
(72)【発明者】
【氏名】シュクラ,デヴェッシュ クマル
(72)【発明者】
【氏名】パレク,アシシュクマル インドラヴァダン
【審査官】
北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】
特表2011−516308(JP,A)
【文献】
特開昭63−041512(JP,A)
【文献】
特開平11−179798(JP,A)
【文献】
特開2010−242025(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/135860(WO,A1)
【文献】
特開2002−030212(JP,A)
【文献】
特表2010−532800(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 55/00−55/30
B29C 61/00−61/10
B29C 43/00−43/34
B29C 43/44−43/48
B29C 43/52−43/58
C08J 3/00−3/28
C08J 5/00−5/02
C08J 5/12−5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝導性と熱容量が高い指向性超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)製品の調製プロセスであって、前記プロセスは次の手順から構成される:
a. プレラミネートを得るために第一の所定のローラースピードで回る、第一の所定温度にされた一セット以上の第一のローラー先端にUHMWPEを投入する
b. 前記プレラミネートを第二の所定のローラースピードで第二の所定温度の一セット以上の第二のローラーを使用して熱延し、熱伝導性と熱容量が高い指向性UHMWPE製品を得る。
ここに、プレラミネートの熱延時のローラースピードは10〜80mm/minの範囲とし、
熱延製品とプレラミネートの長さ延伸比の範囲が30〜250であり、
前記UHMWPEの分子量分布は、少なくとも12.3である。
【請求項2】
請求項1で請求されるプロセスであって、ここに、指向性UHMWPE製品の熱伝導性は70〜200W/mKの範囲である。
【請求項3】
請求項1で請求されるプロセスであって、ここに、指向性UHMWPE製品の熱容量が6〜25 MJ/m3Kの範囲である。
【請求項4】
請求項1で請求されるプロセスであって、ここに、UHMWPEは縺れの解けたものであり、縺れが解かれたUHMWPEは、エチレンの単独重合体または共重合体である超高分子量ポリエチレンを意味し、そのモル質量は30万〜2000万の範囲であり、結晶度は75%より高く、融解熱が200 J/gより高く、嵩密度が0.01〜0.3 g/ccの範囲であって、かつ、ポリエチレン鎖の縺れ度が低いまたは完全に縺れが解かれたものを指す。
【請求項5】
請求項1で請求されるプロセスであって、ここに、UHMWPEは、UHMWPE粉末及び圧縮UHMWPE原形材のうちの一形態のものである。
【請求項6】
請求項1で請求されるプロセスであって、ここに、前記第一の所定温度と前記第二の所定温度はUHMWPEの融点より低く、前記第一の所定温度は140℃以下であり、前記第二の所定温度は、130〜155℃である。
【請求項7】
請求項1で請求されるプロセスであって、さらに、少なくとも一つの添加剤を、一対以上のローラのニップに投入されるUHMWPEポリマーに混合することを含む。
【請求項8】
請求項7で請求されるプロセスであって、ここに、前記の添加剤はカーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンブラック、アルミニウム粉末、窒化ホウ素からなる群から選択される少なくとも一つのものである。
【請求項9】
請求項1で請求されるプロセスであって、ここに、熱延製品とプレラミネートの長さ延伸比の範囲が30〜130である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高度な伝熱指向性を有する超高分子量ポリエチレン製品とそれらの調製に関する。
【0002】
本発明で使用される以下の用語は一般的に次の定義の意味を持つものとして意図されており、文脈上別段の意味を示す場合を除く。
縺れが解かれた:「縺れが解かれた」という用語はエチレンの単独重合体または共重合体である超高分子量ポリエチレンを意味し、そのモル質量は30万〜2000万の範囲であり、結晶度は75%より高く、融解熱が200 J/gより高く、嵩密度が0.01〜0.3 g/ccの範囲であって、ここに、ポリエチレン鎖の縺れ度が低いまたは完全に縺れが解かれたものを指す。
指向性製品:「指向性製品」という用語は、指向性ポリマー鎖を含む繊維、シート、フィルム、テープ又はその他の形態のポリマー製品を意味する。
延伸比:「延伸比」という用語は、熱延フィルムやカレンダー加工シートの単位重量と体積に基づく比を意味する。
プレラミネート:「プレラミネート」という用語は、UHMWPEをローラーの間に通し、これをさらに熱延して指向性UHMWPE製品を取得した後に得られるシートを意味する。
【背景技術】
【0003】
ポリマーは低質量密度、化学的安定性、高い強度対質量比等の多くの優位性がある物性を有する。ポリマー材料は典型的に、熱伝導性が低く、アモルファス(無定形)ポリマーから調製されたフォーム材等のポリマー物質は断熱材として幅広く応用されている。この反面、熱交換器や熱管理用素材は高い熱伝導性が必要であり、これは銅、アルミニウム、チタン等のこの専門分野では既知の導体と共通に関連づけられる。
【0004】
ポリエチレンナノ繊維や天然生体ポリマーの高い熱伝導性が近年報告されてきたことで、研究者らの熱伝導性ポリマーに対する興味が改めて盛り上がっている。高度な結晶性があり鎖の整列度が高いポリマーがより高い熱伝導性を有することは周知である。ポリマー内の熱は分子共有結合による鎖の方向に伝達され、指向性製品の場合、この伝導性は結晶度、指向性、結晶のサイズ、分子鎖、化学的架橋点、結晶性又は無定形の境界、欠陥、終端、分子鎖の縺れ、結晶と無定形からなる形態的特徴に依存する。折り重なる超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)鎖からなるランダムな指向性を有する結晶領域は拡張鎖から成る指向性が高い結晶領域に変化する。結晶領域にある共有結合鎖の軸方向に向かって拡張する鎖の熱伝導は、高い熱伝導性に寄与している。
【0005】
UHMWPEテープやシートを調製する従来式UHMWPE繊維の調製において、ポリマー鎖の縺れを解くために大量の適切な溶媒を使用して延長鎖から成る高度な指向性を有する結晶領域を取得するというゲル調製手順を伴う。さらに従来報告されてきたプロセスは極めてエネルギー集約的で手間がかかり、商用には限界がある。
【0006】
従って、本発明は従来のプロセスにあった不利な点を軽減できる熱伝導性が高いUHMWPEを調製するプロセスを目的としている。
【0007】
本発明の一部の目的について次に説明する。
【0008】
本発明の目的は、軸方向熱伝導性が高く、熱容量が高い指向性UHMWPE製品を調製するプロセスを提供することである。
【0009】
軸方向の熱伝導性と熱容量が高い指向性UHMWPE製品の、簡素であり商業的に合理性があり、環境に優しい調製プロセスを提供することが本発明のさらに一つの目的である。
【0010】
本発明のさらに一つの目的は、軸方向熱伝導性が高く、熱容量が高い指向性UHMWPE製品を提供することである。
【0011】
先行技術の持つ1つまたは複数の課題を改善するまたは少なくとも有用な代替手段を提供することが本発明のさらに一つの目的である。
【0012】
本発明の他の目的と優位性は以下の説明によってさらに明らかになる。
【発明の概要】
【0013】
本発明は一つの局面においては、熱伝導性と熱容量が高い指向性超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)製品の調製プロセスに関する。このプロセスは、プレラミネートを得るために所定の
ローラースピードで回る、第一の所定温度にされた一対以上のローラー先端にUHMWPEを投入することを含む。このようにして得たプレラミネートを所定
ローラースピードで第二の所定温度下で熱延して熱伝導性と熱容量が高い指向性UHMWPE製品を得る。本明細書に開示されたUHMWPEは大概が縺れの解けたものとすることができる。プレラミネートと熱延の調製温度はUHMWPEの融点未満であってよい。
【0014】
もう一つの局面において熱伝導性と熱容量が高い本発明のプロセスによって調製される指向性UHMWPE製品を提供する。本発明の熱伝導性と熱容量が高い指向性UHMWPE製品は、軸方向熱伝導性範囲が70〜200W/mK、横方向の熱伝導性範囲が0.022〜0.045W/mK、熱容量範囲が6〜25MJ/m
3Kであることを特徴とする。
【0015】
有機ポリマーは室温での熱伝導性が通常<1 W/mKであることが判明している断熱材であることは周知である。しかし、ポリマー鎖の整列方向に沿って測定される指向性ポリエチレンポリマーの軸方向熱伝導性は指向性に比例して増加する。微結晶間の結晶度と接続性の度合いが高いと、ポリエチレンの熱伝導性はさらに高くなる。UHMWPEを使用してゲルから紡糸された繊維によって従来法で調製されるポリエチレン指向性製品はポリマー樹脂の30〜100倍の熱伝導性を示す。しかし、ゲル押出によって熱伝導性の高いUHMWPE製品を生産するプロセスは大量の溶媒を要する。
【0016】
本発明は溶媒を使用しないプロセスと高度な伝熱指向性を有するUHMWPE製品を使用したポリエチレン指向性製品の調製プロセスを目的としている。
【0017】
本発明の他の一つの局面に従って、熱伝導性と熱容量が高い指向性UHMWPE製品の調製プロセスを提供する。このプロセスには限定されることなく、下記に説明される手順を含む。
【0018】
本発明の第一手順において、UHMWPE粉末又は圧縮成形UHMWPE原形材を、プレラミネートを得るために所定の
ローラースピードで回る、第一の所定温度にされた一対以上のローラー先端に投入する。一実施形態において、圧縮成形UHMWPE原形材の厚みは1〜3 mmである。本発明に従うローラーは一対又はそれ以上の対から構成されていてよい。二対以上のローラーを使用する場合、ローラーを直列又は並列に配置することができる。
【0019】
ローラ温度は重合体の融点より低め又は近似して維持する。本発明の代表的実施形態においては温度を125
oCに維持した。
【0020】
もう一つの実施形態において、
所定のローラースピード範囲は、径150mmのローラーを使用してローラースピード比が0.80〜3.0の場合、20〜200cm/minである。ローラースピード比はローラーの対での
ローラースピードの比である。
【0021】
プレラミネートの幅は必要な隙間をローラーと平行に設定することによって調整できる。一実施形態において、プレラミネートの幅と厚みをそれぞれ50〜55 mm、0.05〜0.20 mmに維持する。プレラミネートの幅はスペーサー間のギャップを変更することによってさらに調整でき、要件に従ってプレラミネートをスライドさせて仕様幅のテープ/帯を取得する。
【0022】
次の手順では、上記のようにして取得されたプレラミネートを所定温度、所定
ローラースピードで熱延し、指向性UHMWPE製品を得る。特定の温度とスピードで圧延することによりポリマー鎖の圧延方向への整列を起こし、これによって得られる産物に異方性を発生させ、熱伝導性を高められる。一実施形態において、ローラーの温度範囲は130〜155
oCである。UHMWPEの温度が融点を超えないように注意する。温度がUHMWPEの融点(約140
oC)を超えたらローラースピードを上げる。ローラースピードを上げることで、UHMWPEとローラーの接触時間が減り、UHMWPEが高温に暴露されないようにできる。
ローラースピードは10〜80 mm/minの範囲に維持する。延伸比が異なると断面が薄いラミネートを取得できる。
【0023】
本発明プロセスで使用したUHMWPEには、ある所定の物性がある。UHMWPEは大概が縺れの解けたものであって、分子量範囲が30万〜2000万 g/モルであり、これは発明WO2013076733、PCT/IN2013/000016、1440/MUM/2013に説明される適正な触媒を使用して調製される。粉末も、ASTM-D 4020-1aの方法によって測定される換算比粘度(RSV)、次の方程式を用いるMark-Houwink法によって測定される分子量等、異なるパラメーターについて定性される: M = K[η]α ここに、Kとαは定数であり、K = 53700、α = 1.37、η-固有粘度、ASTM D-1895により測定された嵩密度(BD)、分子量分布はOrchestratorソフトウェアを使用して、T A InstrumentsのRDA-IIIにより溶融流動性を測定し、密度はASTM D 792に従い、Mettler Toledoの測定装置を使用し、融点(Tm)と融解中の融解熱(ΔHTm)は示差走査熱量計を使用して測定した。ポリマー粉末の分子量分布は限定されることなく温度、圧力、RSV>17 dl/g、 ΔH > 200 J/gや嵩密度<0.3 g/ccといった他の特性を含むプロセス条件を操作することにより実験条件に適合した。前記プロセスによって形成されるUHMWPE粉体は結晶度が高く、大幅に縺れが解かれた。
【0024】
本発明のプロセスはさらに、添加剤の投入手順も含む。本発明に従い使用された添加剤は、限定されることなく、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンブラック、アルミニウム粉末、窒化ホウ素を含む。添加剤は粉末又は微粒子の形をとることができる。ポリマーをローラーに投入する前に添加剤を混合又は分散によってポリマーに添加することができる。添加剤は得られる産物の熱伝導性をさらに改善し、純UHMWPEで達成可能な熱伝導性の限界を拡大することができる。
【0025】
本発明の他の一つの局面に従って、前記プロセスによって調製される熱伝導性と熱容量が高い指向性UHMWPE製品を提供する。一実施形態において、前記のプロセスで調製される製品は、軸方向熱伝導性範囲が70〜200W/mK、横方向熱伝導性範囲が0.022〜0.045W/mK、熱容量範囲が6〜25 MJ/m
3Kであることを特徴とする。同製品の軸方向熱伝導性はシートの延伸比に依存する。本発明のプロセスに従って調製される製品は熱伝導性も熱容量も高い。このため本発明のプロセスは従来プロセスとは差別化される。さらに本発明のプロセスに従って調製される製品は見通せる透明度を具備する。
【0026】
本発明は、簡素で環境に優しく溶媒を使用しないプロセスを提供し、ここに、巨大分子鎖の縺れが高度に解かれた高度結晶性UHMWPEポリマーを処理して熱伝導性が高い製品を取得する。従って、その結果得られる製品は、印刷回路や電子デバイス、コンピュータ、プリンター、自動車内外装、器具、電池、バッテリー、超伝導コイル、冷凍システム、ビル建設、筐体内部温度の制御、化学光学用デバイス、太陽熱利用デバイス等の熱交換器/ヒートシンク等熱管理システム用に幅広い用途に応用できる。本発明の製品は限定されることなく、テープ、帯、繊維、膜を含む。UHMWPEフィルム/テープ/帯/繊維を応用した熱伝導性商品は単層又は複層の複合材料(添加剤添加、無添加両方が可能)の形をとり、フィルム/テープ/帯/繊維の整列に沿って得ることができ、熱伝導経路を特定することができる。
【0027】
本発明を以下の限定されることのない実施形態によって説明する。但し、以下の例は説明のためにのみ記述され、本発明の範囲を限定するものと解釈することはできない。
【0028】
例1:
以下の物性(表1)を有する三種類のポリマー試料を使用して延伸比の異なる薄膜を調製した。試料1と2のRSVと分子量(MW)は近似範囲に収まっていたが、試料2の分子量分布は試料1より高かった。試料3のRSV、MW、MWDは試料1と試料2より高かった。
【0029】
【表1】
熱延フィルム試料の調製条件とこれらの引張強度及び熱特性を表2に纏めた。延伸比の最大値はこれを超えると薄膜が破断点に達する限界値である。
【0030】
上記のようにして調製した熱延フィルムの軸方向熱伝導性は、引張強度の増加に伴い増加することが判明した。引張強度は試料1 (表2)に認められるように延伸比に比例する。ポリマー試料2は熱伝導性128.2 W/mKにおいて128.6倍まで熱延できたが、引張強度は、ポリマー試料1の延伸比が低めの熱延フィルムより低いことが判明した。この原因として、試料2の分子量分布(MWD)のほうがポリマー試料1より広いので圧延性が高い試料2のポリマー鎖では整列がより優れていることによるのではないかと見られる。同様に、MWDが広いポリマー試料3も熱伝導性77 W/mKでは100倍に圧延できた。試料2の場合に観察されたのと同様、引張強度は試料3のほうが低い。従って、MWDが広く引張強度が増加するのではなく延伸比の増加によってより高い軸方向熱伝導性を実現することができる。
【0031】
ポリマー試料2から調製されたフィルムの軸方向熱伝導性は49.4
oCで130.1 W/mKであることは判明したが、これは文献において報告された中では最高値である(表5)。ポリマーフィルムの熱伝導性が分析した温度範囲には、即ち-21.5
oC〜約50
oC (表3〜 5)において依存することは判明しなかった。
【0032】
ポリマーフィルムの横方向熱伝導性は0.022〜0.045 W/mKの範囲であることが判明した。
【0033】
熱容量(Cp)もフィルムの延伸比に伴って約7.0 MJ/m
3Kから24 MJ/m
3K(温度範囲約-20
oC〜50
oC)の範囲で増加し、試料1の延伸比は31から85へ、試料2は約128へ増加した(表3〜5)。熱延ポリマーフィルムの個体物理的熱特性が、熱伝導性もCpも極めて高いことから固有のものになっている。
【0034】
シートの処理スピードは二つのローラー延伸器の
ローラースピードと温度を適正に調整することによって制御することができる。さらに、シートの延伸比は延伸器の設定温度に依存することが判明した。
【0035】
UHMWPEの単軸方向熱伝導性フィルム/帯/テープ/繊維を複合材料の形にした場合、複合材料層における単位形態の方向に依存し、圧縮するために圧縮圧を印加することによって製品を獲得することに依存して、多軸方向制御された熱伝導性を具備することができることも判明した。
【0040】
- 本発明のプロセスは簡素で溶媒を使用せず、容易に入手可能な市販の処理ツールで可能である。
- 本発明のUHMWPE製品は単軸方向及び多軸方向の熱伝導性を示した。
- UHMWPEフィルム/テープ/帯/繊維の高い単軸方向熱伝導性は、印刷回路や電子デバイス、コンピュータ、プリンター、自動車内外装、器具、電池、バッテリー、超伝導コイル、冷凍システム、ビル建設、筐体内部温度の制御、化学光学用デバイス、太陽熱利用デバイス等の熱交換器/ヒートシンク等の用途向けに柔軟な設計を可能にする。
- この製品は高い軸方向熱伝導性と高い電気的絶縁性が固有に結合されているので、ケーブル、電気的接続部等の効率の良い電気製品開発に用途を見出すことができる。
【0041】
本明細書を一貫して用語「成す」「構成する」やその類語としての「組成する」または「なしている」は記載されている要素、整数または手順または要素、整数または手順の群を含むがその他の要素、整数または手順またはその他の要素、整数または手順の群を除くことなくこれらを含むことを含意している。
【0042】
本明細書に含まれている文書、行為、素材、デバイス、商品または同類のものについての議論は本発明開示のための文脈を成す目的のためにのみ含まれている。任意のまたはすべての以上の事項が既知の発明技術の基礎の一部を構成するまたは本出願優先日以前に任意の場所に存在していた本発明関連分野における共有されている一般的知識であるという是認と解釈されてはならない。
【0043】
前記の具体的実施例は本発明の実施例が持つ一般的性質をじゅうぶんに明らかにしているので、現状の知識を適用することにより他者は前記の一般的概念から乖離することなく前記の具体的実施例を異なる用途のために変更および/または適合することができる。従って、同適合や変更は本発明の実施例と同等の物としての意味およびその範囲で理解されることが意図されるべきであり、意図されている。本明細書に使用されている句節の用法や用語は説明目的のためであって限定するために使用されてはいない。従って、本明細書に記載された実施例は優先的実施例に基いて説明されていると同時に、同分野の技能を有する者は本明細書に記載された実施例が本明細書で説明された実施例の意図および範囲で変更しても実践可能であることが認められる。