特許第6557673号(P6557673)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6557673生理学的データセットにおけるトレンドおよび変動を表示するための方法およびデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6557673
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】生理学的データセットにおけるトレンドおよび変動を表示するための方法およびデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20190729BHJP
   A61B 5/087 20060101ALI20190729BHJP
   A61B 5/05 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
   A61B5/00 DZDM
   A61B5/087
   A61B5/05 B
【請求項の数】22
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-555724(P2016-555724)
(86)(22)【出願日】2015年3月6日
(65)【公表番号】特表2017-517286(P2017-517286A)
(43)【公表日】2017年6月29日
(86)【国際出願番号】US2015019196
(87)【国際公開番号】WO2015134880
(87)【国際公開日】20150911
【審査請求日】2017年10月3日
(31)【優先権主張番号】61/948,964
(32)【優先日】2014年3月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514016740
【氏名又は名称】レスピラトリー・モーション・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブライヤノフ,ジョーダン
(72)【発明者】
【氏名】ボック,マルコム
(72)【発明者】
【氏名】ラリ,マイク
(72)【発明者】
【氏名】フリーマン,ジェニー
(72)【発明者】
【氏名】マクナブ,コリン・エム
【審査官】 清水 裕勝
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−509764(JP,A)
【文献】 特開平08−131408(JP,A)
【文献】 特開2010−272031(JP,A)
【文献】 特開2010−057552(JP,A)
【文献】 特表2007−502670(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02018825(EP,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0292180(US,A1)
【文献】 特開2013−039375(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0160740(US,A1)
【文献】 特開2010−082008(JP,A)
【文献】 特開平04−348747(JP,A)
【文献】 特開2000−060803(JP,A)
【文献】 特表2010−508065(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0137482(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00−5/05
A61B 5/06−5/22
G08B 19/00−31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理学的データセットにおけるトレンドおよび変動を表示する方法であって、プロセッサ上で、
生理学的データセットを取得することと、
平滑化アルゴリズムを生理学的データセットに適用して生理学的データセットのトレンドを取得することと、
変動アルゴリズムを生理学的データセットに適用して生理学的データセットの変動を取得することと、
生理学的データセットのトレンドのリアルタイムグラフを出力することと、
生理学的データセットのトレンドのグラフに重ねられた生理学的データセットの変動のリアルタイムグラフを出力することであって、生理学的データセットの変動のグラフが、変動アルゴリズムにより識別される最大値のプロットの頂部で境界を接し、変動アルゴリズムにより識別される最小値のプロットと底部で境界を接するエンベロープを備え、前記最大値と最小値が、変動が推定される各時間ウィンドウ内で識別されることと、
生理学的データセットの変動またはトレンドにおいて所定の条件が満たされると可聴または視覚的アラームの少なくとも1つを作動することであって、所定の条件が、(1)変動およびトレンドの値の間の比、(2)1つのウィンドウから次への時間ウィンドウ内の最大値および最小値の間の差における変化、または(3)最大値エンベロープおよび最小値エンベロープ内の領域の少なくとも1つに基づくことと
を備える、方法。
【請求項2】
生理学的データセットが、患者の呼吸器系から取得されるデータに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
平滑化アルゴリズムが、移動平均アルゴリズムおよびデジタルフィルタアルゴリズムのうちの1つである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
境界の間の空間に陰がつけられる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
生理学的データセットの変動のグラフが、無呼吸を評価し診断するために使用される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
生理学的データセットが呼吸間隔データである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
生理学的データセットの変動のグラフが、データセットの様々な時点において、および様々な時間ウィンドウにわたって計算されるフラクタルスケーリング係数に応じたものである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
生理学的データセットの変動のグラフが、エラーバー、折れ線グラフ、モメンタムバー、曲線の下の陰がつけられた領域、および確率プロットのうちの1つまたは複数を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
生理学的データセットの変動のグラフにより表示される変動の大きさが、生のデータセット、平滑化されたデータセット、複数の平滑化されたデータセット、データセットのフラクタルスケーリング係数、またはデータセットの確率係数のうちの少なくとも1つに応じて計算される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
生理学的データセットを取得するための経胸壁インピーダンス測定デバイスと、
生理学的データセットを測定デバイスから受信するプロセッサであって、
平滑化アルゴリズムを生理学的データセットに適用して生理学的データセットのトレンドを取得し、
変動アルゴリズムを生理学的データセットに適用して生理学的データセットの変動を取得する
ように構成されたプロセッサと、
プロセッサに接続され、
生理学的データセットのトレンドのリアルタイムグラフを出力し、
生理学的データセットのトレンドのグラフに重ねられた生理学的データセットの変動のリアルタイムグラフであって、生理学的データセットの変動のグラフが、変動アルゴリズムにより識別される最大値のプロットの頂部で境界を接し、変動アルゴリズムにより識別される最小値のプロットと底部で境界を接するエンベロープを備え、前記最大値と最小値が、変動が推定される各時間ウィンドウ内で識別されるグラフ、および可聴または視覚的アラームの少なくとも1つであって、アラームが生理学的データセットの変動またはトレンドにおいて所定の条件が満たされると作動され、所定の条件が、(1)変動およびトレンドの値の間の比、(2)1つのウィンドウから次への時間ウィンドウ内の最大値および最小値の間の差における変化、または(3)最大値エンベロープおよび最小値エンベロープ内の領域の少なくとも1つに基づく可聴または視覚的アラームの少なくとも1つを出力する
ように構成された出力デバイスと
を備える、デバイス。
【請求項11】
生理学的データセットにおけるトレンドおよび変動を表示するためのシステムであって、
患者モニタリングデバイスと、
患者モニタリングデバイスに接続された少なくとも1つのセンサと、
患者モニタリングデバイス内に含まれ、患者データを少なくとも1つのセンサから受信するプロセッサと、
患者モニタリングデバイス内に含まれ、表示情報をプロセッサから受信するスクリーンと、
可聴または視覚的アラームの少なくとも1つであって、アラームが生理学的データセットの変動またはトレンドにおいて所定の条件が満たされると作動され、所定の条件が、(1)変動およびトレンドの値の間の比、(2)1つのウィンドウから次への時間ウィンドウ内の最大値および最小値の間の差における変化、または(3)最大値エンベロープおよび最小値エンベロープ内の領域の少なくとも1つに基づく可聴または視覚的アラームの少なくとも1つと
を備え、プロセッサが、
生理学的データセットを少なくとも1つのセンサから取得し、
平滑化アルゴリズムを生理学的データセットに適用して生理学的データセットのトレンドを取得し、
変動アルゴリズムを生理学的データセットに適用して生理学的データセットの変動を取得し、
生理学的データセットのトレンドのリアルタイムグラフをスクリーンに出力し、
生理学的データセットのトレンドのグラフに重ねられた生理学的データセットの変動のリアルタイムグラフであって、生理学的データセットの変動のグラフが、変動アルゴリズムにより識別される最大値のプロットの頂部で境界を接し、変動アルゴリズムにより識別される最小値のプロットと底部で境界を接するエンベロープを備え、前記最大値と最小値が、変動が推定される各時間ウィンドウ内で識別されるグラフをスクリーンに出力する、
システム。
【請求項12】
生理学的データセットが、患者の呼吸器系から取得されるデータに基づく、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
平滑化アルゴリズムが、移動平均アルゴリズムおよびデジタルフィルタアルゴリズムのうちの1つである、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
境界の間の空間に陰がつけられる、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
生理学的データセットの変動のグラフが、無呼吸を評価し診断するために使用される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
生理学的データセットが呼吸間隔データである、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
生理学的データセットの変動のグラフが、データセットの様々な時点において、および様々な時間ウィンドウにわたって計算されるフラクタルスケーリング係数に応じたものである、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
生理学的データセットの変動のグラフが、エラーバー、折れ線グラフ、モメンタムバー、曲線の下の陰がつけられた領域、および確率プロットのうちの1つまたは複数を備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項19】
生理学的データセットの変動のグラフにより表示される変動の大きさが、生のデータセット、平滑化されたデータセット、複数の平滑化されたデータセット、データセットのフラクタルスケーリング係数、またはデータセットの確率係数のうちの少なくとも1つに応じて計算される、請求項11に記載のシステム。
【請求項20】
プロセッサをIVポールに取り付けるステップをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
デバイスがIVポールに接続されるように適合される、請求項10に記載のデバイス。
【請求項22】
患者モニタリングデバイスがIVポールに接続されるように適合される、請求項11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体が本明細書に組み込まれている、2014年3月6日に出願された「METHODS AND DEVICES FOR DISPLAYING TREND AND VARIABILITY IN A PHYSIOLOGICAL DATASET」と題する米国仮特許出願第61/948964号に対する優先権を主張する。
【0002】
本発明は、生理学的データセットをグラフィカルに表示するためのデバイスおよび方法を対象とする。詳細には、本発明は、生理学的データセットのトレンドおよび変動をグラフィカルに表示するためのデバイスおよび方法を対象とする。
【背景技術】
【0003】
医療専門家は、患者の看護にとって重要な決断を下すために、生理学的データのチャートを定期的に用いる。患者情報のチャートは歴史的に見て紙に書かれているかまたは印刷されているが、電子ディスプレイの出現と共に、患者のデータのチャートはますます電子的な形態で見られるようになっている。患者の健康情報からリアルタイムの生理学的データまでの全てが、紙から電子的な形態に移行している。コンピュータまたは他のプログラム可能な機器にリンクされた電子的な形態への移行によって、新規かつ改良された描出(visualization)を患者データ、特に生理学的データに適用することが可能となる。
【0004】
生理学的データは、典型的には、患者から種々のセンサによって取得される。データは、患者の人生にわたって定期検査において、もしくは数時間、数分にわたって、または継続的なモニタリングの場合にはリアルタイムで取得され得る。
【0005】
病院の患者は、生理学的信号のリアルタイムのトレース(trace)、生理学的パラメータのリアルタイムおよびほぼリアルタイムの計算値を生成する種々のセンサ、モニタおよびデバイスに接続され得る。たとえば、ICUの患者は、ECG、EMG、EEG、カプノグラフィ、パルス酸素測定、呼吸記録、血圧などを記録して、心拍数、呼気終末CO2濃度(end−tidal CO2)または呼気終末CO2濃度(end−expiratory CO2)、O2飽和度、呼吸数、1回換気量、および分時換気量を含む過度に多くの生理学的パラメータを生成するデバイスに同時に接続され得る。病院の患者から測定された非常に多数の生理学的データセットは、容易に情報過多につながり得る。
【0006】
情報過多によって、医療提供者が、患者の容体または患者の状態の重要な側面を示し得るデータの側面を見落とす可能性がある。したがって、情報過多を削減する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、現在の戦略および設計に関する問題および欠点を克服し、生理学的データセットをグラフィカルに表示する新たなツールおよび方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態は、生理学的データセットにおけるトレンドおよび変動を表示する方法を対象とする。方法は、生理学的データセットを取得するステップと、平滑化アルゴリズムを生理学的データセットに適用して生理学的データセットのトレンドを取得するステップと、変動アルゴリズムを生理学的データセットに適用して生理学的データセットの変動を取得するステップと、生理学的データセットのトレンドのグラフを出力するステップと、生理学的データセットの変動のグラフを出力するステップとを備える。
【0009】
好ましい実施形態では、生理学的データセットは、患者の呼吸器系から取得されるデータに基づく。好ましくは、平滑化アルゴリズムが、移動平均アルゴリズムおよびデジタルフィルタアルゴリズムのうちの1つである。好ましくは、生理学的データセットのトレンドのグラフと生理学的データセットの変動のグラフとが重ねられること、および隣接してグラフ化されることのうちの1つが行われる。好ましくは、生理学的データセットの変動のグラフが、変動アルゴリズムにより識別される最大値のプロットと頂部で境界を接し、変動アルゴリズムにより識別される最小値のプロットと底部で境界を接するエンベロープを備える。好ましくは、境界の間の空間に陰がつけられ、好ましくは、生理学的データセットの変動のグラフが、無呼吸を評価し診断するために使用される。
【0010】
好ましい実施形態では、生理学的データセットは呼吸間隔データである。好ましくは、生理学的データセットの変動のグラフが、データセットの様々な時点において、および様々な時間ウィンドウにわたって計算されるフラクタルスケーリング係数に応じたものである。好ましくは、生理学的データセットの変動のグラフが、エラーバー、折れ線グラフ、モメンタムバー(momentum bar)、曲線の下の陰がつけられた領域、および確率プロットのうちの1つまたは複数を備える。好ましい実施形態では、生理学的データセットの変動のグラフにより表示される変動の大きさが、生のデータセット、平滑化されたデータセット、複数の平滑化されたデータセット、データセットのフラクタルスケーリング係数、またはデータセットの確率係数のうちの少なくとも1つに応じて計算される。
【0011】
本発明の他の実施形態は、生理学的データセットを取得するための経胸壁インピーダンス測定デバイスと、生理学的データセットを測定デバイスから受信するプロセッサと、プロセッサに接続された出力デバイスとを備える、デバイスを対象とする。プロセッサは、平滑化アルゴリズムを生理学的データセットに適用して生理学的データセットのトレンドを取得し、変動アルゴリズムを生理学的データセットに適用して生理学的データセットの変動を取得するように構成される。出力デバイスは、生理学的データセットのトレンドのグラフを出力し、生理学的データセットの変動のグラフを出力するように構成される。
【0012】
本発明の他の実施形態は、生理学的データセットにおけるトレンドおよび変動を表示するためのシステムを対象とする。システムは、患者モニタリングデバイスと、患者モニタリングデバイスに接続された少なくとも1つのセンサと、患者モニタリングデバイス内に含まれ、患者データを少なくとも1つのセンサから受信するプロセッサと、患者モニタリングデバイス内に含まれ、表示情報をプロセッサから受信するスクリーンとを備える。プロセッサは、生理学的データセットを少なくとも1つのセンサから取得し、平滑化アルゴリズムを生理学的データセットに適用して生理学的データセットのトレンドを取得し、変動アルゴリズムを生理学的データセットに適用して生理学的データセットの変動を取得し、生理学的データセットのトレンドのグラフをスクリーンに出力し、生理学的データセットの変動のグラフをスクリーンに出力する。
【0013】
好ましい実施形態では、生理学的データセットが、患者の呼吸器系から取得されるデータに基づく。好ましくは、平滑化アルゴリズムが、移動平均アルゴリズムおよびデジタルフィルタアルゴリズムのうちの1つである。好ましくは、生理学的データセットのトレンドのグラフと生理学的データセットの変動のグラフとが重ねられること、および隣接してグラフ化されることのうちの1つが行われる。好ましくは、生理学的データセットの変動のグラフが、変動アルゴリズムにより識別される最大値のプロットと頂部で境界を接し、変動アルゴリズムにより識別される最小値のプロットと底部で境界を接するエンベロープを備える。好ましくは、境界の間の空間に陰がつけられ、好ましくは、生理学的データセットの変動のグラフが、無呼吸を評価し診断するために使用される。
【0014】
好ましい実施形態では、生理学的データセットは呼吸間隔データである。好ましくは、生理学的データセットの変動のグラフが、データセットの様々な時点において、および様々な時間ウィンドウにわたって計算されるフラクタルスケーリング係数に応じたものである。好ましくは、生理学的データセットの変動のグラフが、エラーバー、折れ線グラフ、モメンタムバー、曲線の下の陰がつけられた領域、および確率プロットのうちの1つまたは複数を備える。好ましい実施形態では、生理学的データセットの変動のグラフにより表示される変動の大きさが、生のデータセット、平滑化されたデータセット、複数の平滑化されたデータセット、データセットのフラクタルスケーリング係数、またはデータセットの確率係数のうちの少なくとも1つに応じて計算される。
【0015】
本発明の他の実施形態および利点は、部分的に以下の説明に示されており、部分的にこの説明から自明となる場合があり、または本発明を実施することから分かる場合がある。
【0016】
本発明は、ほんの一例として、添付された図面を参照しながら、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】MVトレンドの例の図である。(A)生データ。大きく変動する信号によって全体の呼吸状況を決定することが困難になっていることに留意されたい。(B)データのトレンドの描出。平均トレンドは、測定値における全体的なドリフトを識別するのに役立つ。(C)データの変動の描出。変動のエンベロープは、データのトレンドと共に適用された場合に、生の信号からの全ての重要な情報を含むが、これを理解しやすいように提示する。
図2】種々の呼吸信号(MV、TV、RR)に適用される平均トレンドおよび変動のエンベロープの例の図である。
図3】安定したトレンドおよび安定したエンベロープにより描出された、時間経過に伴う十分な換気(MV)の例の図である。
図4】医薬品投与不足であり得る激越状態にある患者の例の図である。データのトレンドがわずかに増加している一方で、エンベロープは時間と共に大幅に増加していることに留意すべきであり、これはおそらく痛みおよび不快感の増加により生じた呼吸変動の増加を示す。
図5】呼吸困難へ向かう患者の例の図である。平均MVトレンドが系統的に減少しており、MVデータの変動も同様である。
図6】無呼吸性呼吸パターンを有する患者の例の図である。全体的なトレンドの減少を伴う変動の増加(エンベロープがMV=0の線に迫っている)に留意されたい。これは、呼吸の一時停止が著しく、大きな「人工(rescue)」呼吸が散在した反復的な呼吸パターンを示す。
図7】オピオイド投与の結果として無呼吸性呼吸パターンを有する患者の例の図である。全体的なトレンドの減少を伴う変動の増加(エンベロープがMV=0の線に迫っている)に留意されたい。これは、呼吸の一時停止が著しく、大きな「人工」呼吸が散在した反復的な呼吸パターンを示す。
図8】オピオイド投与後に呼吸困難へ向かう患者の例の図である。平均MVトレンドが系統的に減少しており、MVデータの変動も同様である。
図9】医薬品投与不足であり得る患者の例の図である。オピオイドの投与を受けたにもかかわらず、データのトレンドは実質的に不変のままであり、その一方でエンベロープは時間と共に増加していることに留意すべきであり、これはおそらく痛みおよび不快感の増加により生じた呼吸変動の増加を示す。
図10】オピオイド投与後の低呼吸の呼吸を呈している患者の例の図である。データのトレンドおよび変動の両方の減少は、より低い換気量および速度における規則的な呼吸パターンを示す。
図11】トレンドの小さな変化(オピオイド投与の期待される結果)および安定したエンベロープにより描出された、時間経過に伴う十分な換気(MV)の例の図である。
図12】本明細書で開示されたデバイスの構造の実施形態の例の図である。
図13】患者モニタリングデバイスの実施形態の例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書で具現化され大まかに説明されるように、本明細書の開示は、本発明の詳細な実施形態を提供する。しかしながら、開示された実施形態は、様々な形態および代替的な形態で具現化され得る本発明の例示にすぎない。したがって、特定の構造的および機能的詳細が限定的であるように意図しておらず、むしろ意図することは、これらが特許請求の範囲についての基礎を、本発明を様々に利用する方法を当業者に教示するための代表的な基礎として与えることである。
【0019】
驚くべきことに、生理学的データの描出は、記録されるデータセットの知覚される複雑性を低下させることにより、医療提供者がモニタリングされる生理学的パラメータの重要な特徴を迅速に評価するのに役立つことが分かった。本発明は、生理学的パラメータのトレンドおよび変動ならびにそれらの経時的な変化を同時に表示することでこれを実現する。これは、一般的に様々なフィルタリング(平滑化)アルゴリズムの適用を含む、生理学的データセットを表示するための既存の方法と対照的である。一般的に、フィルタはデータセットの知覚される複雑性を低下させて、データのトレンドのより良い評価を可能とするが、それらが変動を低下させる過程で、データの変動の変化を評価する能力を損なう。変動は、生理学的信号の重要な特徴であることが分かっている。たとえば、心拍数の変動が低下すると、心臓発作による死亡が予測され得る。
【0020】
介護者(caregiver)は、データセットがフィルタリングされた心拍数のチャートから心拍数の変動を評価することができないであろう。この問題の解決策は、フィルタリングされた信号を、変動の表示と重ねることである。
【0021】
本明細書に記載の方法は、生理学的データセットをグラフィカルユーザインターフェース内に表示する手段である。データセットは、独立した変数、たとえば時間に対して計算され、および/またはモニタリングされる。データセットは、組織、器官、器官系または生理学系に関する測定値、計算値、または導出値である。データセットの値、値のトレンドおよびデータセットの変動を含む時系列分析の特徴は、モニタリングされる組織、器官または器官系に関する特定の病状と相関する。また、時系列分析の特徴は、患者の健康全体と相関する。データセットを表示する方法により、医療介護者がデータセットの重要な時系列の特徴を迅速に評価することが可能になる。
【0022】
方法は、具体的には、独立した変数、たとえば時間に対するデータセットのトレンドおよび変動を識別するのに役立つ。トレンドと組み合わせられた変動の評価は、患者の健康を評価する、または病状を診断するもしくは予測するのに役立つ。
【0023】
データセットは、アナログまたはデジタルセンサによって患者から取得することができる。データセットは、生理学的信号、または、計算、推定もしくは導出された生理学的パラメータもしくは健康指標を表すことができる。健康指標は、1つもしくは複数の生理学的パラメータ、またはそれらの信号の特徴に基づく数値表現である。健康指標は、患者の健康、病状、または患者の全体的な状況と相関する。本発明の一実施形態では、データセットは、経胸壁インピーダンス測定値から導出される呼吸パラメータである。一実施形態では、データセットは、経胸壁インピーダンスの測定値に基づいて計算される分時換気量の計算値である。一実施形態では、データセットは、1回換気量の変動と、分時換気量のトレンドと、呼吸数のデューティサイクルとの組み合わせに基づく呼吸の健康指標である。本発明の他の実施形態では、データセットは、時間にわたる患者の呼吸パラメータから導出される、速く浅い呼吸の指標である。
【0024】
本発明の一実施形態では、生理学的パラメータは分時換気量(MV:Minute Ventilation)である。MVの変動の評価と組み合わせられたMVのトレンドは、医療介護者が、無呼吸の期間、低呼吸、過換気、切迫した呼吸不全/停止、麻酔薬への反応、痛みの程度、および/または麻酔の深さを識別するのを補助することができる。
【0025】
本明細書に記載の方法は、まず、データセットの知覚される複雑性を削減するためのフィルタを実装することで、データセットに適用されることが好ましい。フィルタにより、介護者が、データセット全体の情報過多の影響を受けずに、データのトレンドを迅速に評価することが可能になる。データセットに適用されるフィルタは、ソフトウェアまたは電気ハードウェアで適用することができる。データセットに適用されるフィルタは、時間領域フィルタまたは周波数領域フィルタとすることができる。フィルタは、移動平均、加重移動平均、平滑化アルゴリズム、チェビシェフフィルタ、バターワースフィルタ、ベッセルフィルタ、楕円フィルタ、定k形フィルタ、誘導m形フィルタ、特殊フィルタ、トップハットフィルタ、または他のフーリエ変換ベースのフィルタとすることができる。フィルタのウィンドウは、2分、5分、10分、1時間、カスタムの時間フレーム、または他の時間フレームとすることができ、トレンドがデータに出現しやすいレートに対応することが好ましい。
【0026】
本発明の一実施形態は、2分間のウィンドウにわたる平滑化平均を実施する。この平滑化されたデータは、次いで、時間経過に伴うトレンドとして表示される。図1の中央のパネルは、データセットに重ねられた平滑化されたトレンド線の一例を示している。
【0027】
フィルタがデータのトレンドを強調した後、方法は変動の視覚的表示をグラフに追加することが好ましい。変動の視覚的表示は、平滑化されたトレンドに重ねたエンベロープからなることが好ましい。描出は、モニタリングされるパラメータについてリアルタイムで更新することが好ましいが、過去のデータに対して遡及的に適用されてもよい。
【0028】
本発明の一実施形態では、各ウィンドウ内の最小点および最大点が決定され、ピークの配列に格納される。最小点および最大点が各ウィンドウ位置において決定されると、全てのピークがグラフ上にプロットされることが好ましい。そして、ピーク間の点が補間されて、最大ピークが線分により接続されることが好ましい。また、最小ピーク間の点が補間されて、最小点が線分により接続されることが好ましい。図1の下のパネルは、このエンベロープの一例である。この実施形態では、最大エンベロープおよび最小エンベロープの中の領域は、陰がつけられる(shaded)ことができる。
【0029】
変動の定量的な係数が、チャートの各点について計算され、表示されることが好ましい。変動の係数は、グラフ上の点の総数より少ないデータ点のウィンドウから計算されることが好ましい。変動の係数は、ウィンドウ内で計算されるデータセットの統計量に基づくことが好ましい。変動の係数は、統計分散、標準偏差、またはエントロピーに応じたものであることが好ましい。
【0030】
一実施形態では、エラーバーが、平滑化されたデータセットの背後に用いられる。エラーバーは、たとえば2分間のウィンドウ内のデータセットの標準偏差に応じたものであることが好ましい。エラーバーは、ウィンドウ内の最後の点、ウィンドウ内の中央の点、またはウィンドウ内の最初の点において、グラフに重ねられることが好ましい。
【0031】
一実施形態では、1つまたは複数のフラクタルスケーリング係数の関数、または少なくとも2つのフラクタルスケーリング係数の比の関数が利用され、グラフに重ねられる。一実施形態では、フラクタルスケーリング係数のセットが、データセット全体について計算され(FC1)、そしてさらにウィンドウについて計算される(FC2)。変動の係数は、FC2と比較したFC1のセットからの1つまたは複数の係数に応じて計算されることが好ましい。描出の一実施形態は、データセットに適用される2つ以上の平滑化アルゴリズムの差または差の絶対値に応じて変動を表示するものである。本発明の一実施形態では、2つの移動平均アルゴリズムがデータセットに適用され、1つは10分のウィンドウを有し、1つは2分のウィンドウを有する。好ましくは、描出は、2つの移動平均のグラフからなり、これらは互いに重ねられるか、または両方が、平滑化されたまたは平滑化されていないデータセットに重ねられる。これにより、介護者が、平滑化されたデータからトレンドを見ることが可能になり、また、平滑化されたデータトレンド同士の絶対差を識別することが可能になる。2つの平均が交差した、すなわち2つの平均の絶対差がゼロに達した場合、データのトレンドは方向が変化したことは理解されよう。これにより、状態の急激な変化を予測し、アラーム信号をトリガすることができる。
【0032】
他の実施形態では、2つの平滑化アルゴリズムの結果の差が計算され、グラフに表示される。グラフは、平滑化されたデータセットのグラフに重ねられるか、またはそれ自体の空間に表示されることが好ましい。この描出がトレンドの勢いの指標を提供することが好ましく、結果の差が大きいことはトレンドが強いことを示し、結果の差が小さいことはトレンドが安定していることを示す。しかしながら、符号の変化は、以前のトレンドの逆転を示す。
【0033】
データに適用可能な他の描出は、確率プロットである。確率プロットは、生のデータセットまたは平滑化されたデータセットに重ねることができる。確率プロットを、介護者が解釈して、患者の今後の状況を予測することができる。
【0034】
本発明の一実施形態では、平滑化成分と変動の表示とを含む描出が、呼吸器系に関する1つまたは複数のデータセットに適用される。ユーザは、患者の状態、健康状態、呼吸状況、病状もしくは医学的介入への反応を評価または予測するために、描出を解釈することができる。また、ユーザは、変動の描出を用いて病気を診断することもできる。ユーザは、オピオイドへの患者の反応の評価、呼吸停止、呼吸不全、無呼吸もしくは心停止の診断または予測を含めて、描出から結論を導くことができる。ユーザは、患者の呼吸充足性(respiratory sufficiency)、抜管の成功の可能性、または挿管の必要性を評価することができる。
【0035】
図3は、分時換気量データセットへの描出アルゴリズムの表示の一例を示している。この例における患者は、時間経過に伴う同様の分時換気量および分時換気量変動を維持している。介護者は、患者が良い状況にあり、様々な病状にないという結論を導き得る。図11は、オピオイド投与に対する健康的な反応の一例を示しており、MVデータセットにおいてわずかな下降トレンドのみを有しており、信号変動にほとんど変化がない。このタイプの反応によって、介護者が、患者が正しく投与されたと結論付けることになる。
【0036】
図4は、激越状態にある患者の一例を示している。この例では、描出に示されたMV変動およびMVトレンドの増加によって、介護者が、患者が医薬品投与不足であると結論付けることになり得、それに従って患者の鎮痛薬の投与を調整し得る。図9は、オピオイド投与に特異的に反応した患者の一例である。変動が増加しており、これは、落ち着きのなさおよび不快感、ならびに鎮痛薬の全体的な無効性を示し得る。
【0037】
介護者が呼吸困難の徴候に可能な限り迅速に対応することが重要であることが多い。図5の例は、介護者が描出を用いて呼吸困難を診断し、医学的介入を受けることで、患者の状態が悪化するのを防ぐことが可能な場合である。介入は、患者を起こすこと、ナロキソンなどのオピオイド拮抗薬を投与すること、または患者に挿管し換気することを含み得る。図8は、オピオイドの投与の結果として呼吸困難になっている患者のMVデータセットに適用された描出の一例である。
【0038】
無呼吸とは、呼吸が中断している状態である。これは、オピオイド毒性を含む、種々の原因から生じ得る。麻酔薬の毒性(opiate toxicity)を早く識別できるほど、介護者が患者の容体が悪化するのを防ぐための措置を早く行うことができる。通常、無呼吸の期間に人工呼吸の期間が続き、人工呼吸は通常より大きいまたは通常より速い呼吸を含むことがあり、これらの呼吸は時間をかけて正常化する。これらの期間中の呼吸の差は、呼吸器系に関するデータセットにおける高い変動の指標に変わる。無呼吸は、分時換気量における下降トレンド、呼吸数または呼吸間隔の高い変動、および1回換気量および分時換気量の高い変動により識別することができる。図6は、無呼吸の発生を示す分時換気量における増加した変動およびトレンドの減少の一例を示している。図7は、オピオイド鎮痛薬の投与に反応したオピオイド毒性の徴候である無呼吸の発生の一例を示している。
【0039】
図10は、低呼吸、または浅い呼吸となっている患者のMVデータセットの描出の一例を示している。トレンドに関しては、低呼吸を無呼吸と区別することは難しいが、各場合の変動は大きく異なる。低呼吸の患者のデータセットの変動ははるかに低く、これにより介護者は2つの場合を区別することが可能になる。
【0040】
本明細書で開示する方法は、心拍数、またはその逆の、心拍間の間隔の測定値を含む循環系に関連するパラメータに適用することもできる。心拍数の変動が小さい場合、心筋梗塞、鬱血性心不全、糖尿病性神経障害、鬱病またはSIDSにかかりやすいことを含む多数の容体の進行が予測され得、もしくは指示され得、または定量化され得る。この実施形態では、エンベロープは、心拍数変動の描出を提供して、介護者が上述の容体の危険性を識別するまたは評価するのを補助する。
【0041】
図13は、生理学的パラメータのトレンドおよび変動ならびにそれらの経時的な変化を計算し表示するように構成された患者モニタリングシステム1300の好ましい実施形態を示している。患者モニタリングシステム1300は、IVポールに取り付けるか、ベッドに取り付けるか、壁に取り付けるか、表面に配置するか、または別の方法で配置することが可能なポータブルデバイスであることが好ましい。患者モニタリングシステム1300は、医療処置、回復の間に使用するように、および/または患者をモニタリングするように構成することができる。患者モニタリングシステム1300は、バッテリー駆動である、および/または電源ケーブルを有することが好ましい。患者モニタリングシステム1300は、少なくとも1つの入力ポート1305を有することが好ましい。各入力ポート1305は、患者モニタリングシステム1300から離れている1つまたは複数のセンサから信号を受信するように構成されることが好ましい。加えて、患者モニタリングシステム1300は、リモートおよびワイヤレスのセンサから信号を受信するためのワイヤレス通信技術をさらに含むことができる。センサは、特定の患者の特性または複数の特性についてモニタリングするように構成することができる。患者モニタリングシステム1300は、センサから受信されたデータを評価し、本明細書に記載のアルゴリズムをデータに適用するように構成されることが好ましい。さらに、患者モニタリングシステム1300は、カスタムアルゴリズムを受信し、カスタムアルゴリズムを用いてデータを評価することができてもよい。
【0042】
患者モニタリングシステム1300は、スクリーンまたは表示デバイス1310をさらに含むことが好ましい。スクリーン1310は、患者モニタリングシステム1300とモニタリング中の患者とに関する情報を表示できることが好ましい。スクリーン1310は、本明細書に記載されたように、患者の容体の少なくとも1つのグラフまたはウィンドウを表示することが好ましい。各グラフは、固定サイズまたは調整可能とすることができる。たとえば、グラフは、データ点の数、所望の測定の長さおよび/または時間、あるいは一定数の特徴(すなわち、呼吸、呼吸休止、または閉塞呼吸)に基づいてカスタマイズすることができる。加えて、グラフのスケールは調整可能とすることができる。さらに、患者または介護者(または臨床医)は、スクリーン1310に表示されるものを選択することができてもよい。たとえば、スクリーン1310は、モニタリング中のデータの平均、中央値、および/または標準偏差、モニタリング中のデータの最大値、最小値、および/または範囲、トレンドの履歴に基づく適応的アルゴリズム、類似の患者(すなわち、容体、年齢、体重、およびイベント)の大集団に基づく適応アルゴリズム、ならびに/あるいは患者の呼吸パラメータ(すなわち、血圧、呼吸数、CO、および/またはOレート)を表示することができてもよい。
【0043】
患者モニタリングシステム1300は、アラームを備えることが好ましい。アラームは、音声アラームおよび/または視覚的アラームとすることができる。アラームは、特定の条件を満たすことに基づいて作動することができる。たとえば、トレンド、リアルタイムの容体、または患者パラメータ変動に基づく。アラームは、音/描出および目的の両方をカスタマイズすることができる。患者および/または介護者は、異なる情報を表示する複数のウィンドウを通して操作することができてもよい。たとえば、特定のウィンドウは、本明細書に記載のグラフを表示することができ、特定のウィンドウは、患者の個人データを表示することができ、特定のウィンドウは、システムのステータスを表示することができる。加えて、カスタムウィンドウを、(たとえば患者、介護者により、またはシステムにより自動的に)追加することができる。たとえば、カスタムウィンドウは、臨床用のもの、イベントをマークするためのもの、または患者の容体を表示するためのものとすることができる。
【0044】
好ましい実施形態では、患者モニタリングシステム1300は、複数の構成を有する。構成は、患者についての関連する情報を、患者の現在の容体に基づいて、介護者または患者に表示するように構成されることが好ましい。たとえば、手術を受ける患者について、看護師または医師は、病気から回復した患者とは異なる情報を必要とする場合がある。患者のモニタリングの開始時に、患者モニタリングシステム1300は、患者または介護者に構成を選択させることが好ましい。選択可能な構成は、限定はされないが、特定の処置、特定の病気、特定の苦痛、特定の患者の状況、特定の患者の容体、一般的な処置、一般的な病気、一般的な苦痛、一般的な患者の状況、および/または一般的な患者の容体を含むことができる。選択がおこなわれたときに、患者モニタリングシステム1300は、選択に関連するデータを自動的に表示することが好ましい。他の実施形態では、患者モニタリングシステム1300は、患者から受信されたデータに基づいて適切な構成を自動的に決定することができる。患者または介護者は、構成が選択されると、その構成をカスタマイズすることができてもよい。
【0045】
図12を参照すると、一例示的システムは、処理装置(CPU)1220と、読み出し専用メモリ(ROM)1240およびランダムアクセスメモリ(RAM)1250などのシステムメモリを含む様々なシステム構成要素を処理装置1220に接続するシステムバス1210とを含む、たとえば図13に示されたシステムに含まれる、コンピューティングデバイス1200を少なくとも含む。他のシステムメモリ1230もまた使用可能であり得る。本発明が、より優れた処理能力を提供するために、2つ以上のCPU1220を有するコンピューティングデバイス上で、または共にネットワーク接続されたコンピューティングデバイスのグループもしくはクラスタ上で動作し得ることは理解されよう。システムバス1210は、メモリバスまたはメモリコントローラ、周辺機器用バス、および種々のバスアーキテクチャのいずれかを用いたローカルバスを含むいくつかのタイプのバス構造のいずれかとすることができる。ROM1240などに記憶された基本入出力(BIOS)は、起動時などにコンピューティングデバイス1200内の要素間で情報を転送するのを補助する基本ルーチンを提供することができる。コンピューティングデバイス1200は、ハードディスクドライブ1260、磁気ディスクドライブ、光ディスクドライブ、テープドライブなどの記憶デバイスをさらに含む。記憶デバイス1260は、ドライブインターフェースによりシステムバス1210に接続される。ドライブおよび関連するコンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、およびコンピューティングデバイス1200用の他のデータの不揮発性の記憶を提供する。基本構成要素は当業者により知られており、デバイスのタイプに応じて、たとえばデバイスが、小型のハンドヘルドコンピューティングデバイス、デスクトップコンピュータ、コンピュータサーバ、ハンドヘルドスキャンデバイス、またはワイヤレスデバイス、たとえばワイヤレス携帯情報端末(「PDA:Personal Digital Assistant」)、タブレットデバイス、ワイヤレスウェブ対応もしくは「スマート」フォン(たとえば、Research in MotionのBlackberry、Androidデバイス、AppleのiPhone(登録商標))、他のワイヤレスフォン、ゲームコンソール(たとえば、Playstation、Xbox、もしくはWii)、スマートTV、ウェアラブルインターネット接続デバイスなどのいずれであるかに応じて適切な変形例を企図することができる。システムは技術に依存しないことが好ましい。
【0046】
本明細書に記載の例示的な環境ではハードディスクを採用しているが、コンピュータによりアクセス可能なデータを格納できる他のタイプのコンピュータ可読媒体、たとえば磁気カセット、フラッシュメモリカード、デジタル多用途ディスク、カートリッジ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、ビットストリームを含むケーブルまたはワイヤレス信号なども、例示的動作環境において使用できることを当業者には理解されたい。
【0047】
コンピューティングデバイス1200とのユーザインタラクションを可能にするために、入力デバイス1290は、任意数の入力メカニズム、たとえば発話用のマイクロフォン、ジェスチャまたはグラフィカル入力のためのタッチ感応スクリーン、キーボード、マウス、モーション入力、発話、ゲームコンソールコントローラ、TVリモコンなどを表す。出力デバイス1270は、当業者に知られているいくつかの出力メカニズム、たとえばプリンタ、モニタ、プロジェクタ、スピーカ、およびプロッタのうちの1つまたは複数とすることができる。いくつかの実施形態では、出力は、たとえば、ウェブサイトにアップロードする、電子メールを送る、他の電子ファイルに添付するまたはその中に配置する、およびSMSまたはMMSメッセージを送信するなど、ネットワークインターフェースを介することができる。いくつかの例では、マルチモーダルなシステムにより、ユーザが、複数のタイプの入力を与えてコンピューティングデバイス1200と通信することが可能になる。通信インターフェース1280は、一般的に、ユーザ入力およびシステム出力を統制し管理する。本発明が任意の特定のハードウェア構成で動作することに対する制限はなく、したがって、本明細書での基本的な特徴は、改良されたハードウェアまたはファームウェア構成により、これらが開発されたときに容易に置き換えることができる。
【0048】
説明を明確にするために、例示的なシステムの実施形態は、個別の機能ブロック(「プロセッサ」とラベル付けされた機能ブロックを含む)を備えるものとして提示されている。これらのブロックが表す機能は、限定はされないがソフトウェアを実行可能なハードウェアを含む共有または専用のハードウェアを用いて提供することができる。たとえば、図12に提示された1つまたは複数のプロセッサの機能は、単一の共有プロセッサまたは複数のプロセッサにより提供することができる。(「プロセッサ」という用語の使用は、ソフトウェアを実行可能なハードウェアを排他的に指すように解釈されるべきではない。)例示的実施形態は、マイクロプロセッサおよび/またはデジタルシグナルプロセッサ(DSP)ハードウェア、以下で論じられる動作を実施するソフトウェアを記憶するための読み出し専用メモリ(ROM)、ならびに結果を記憶するためのランダムアクセスメモリ(RAM)を備えることができる。超大規模集積(VLSI)ハードウェアの実施形態、ならびに汎用DSP回路と組み合わせたカスタムVLSI回路もまた、提供することができる。
【0049】
本発明の範囲内の実施形態は、コンピュータ実行可能命令またはデータ構造を担うまたは格納するためのコンピュータ可読媒体をさらに含むことができる。そのようなコンピュータ可読媒体は、汎用または専用コンピュータによりアクセス可能な任意の利用可能な媒体とすることができる。例として、限定はしないが、そのようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROMもしくは他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージもしくは他の磁気ストレージデバイス、またはコンピュータ実行可能命令もしくはデータ構造の形態の所望のプログラムコード手段を担うまたは格納するために使用可能な任意の他の媒体を備えることができる。ネットワークまたは他の通信接続(有線、ワイヤレス、またはこれらの組み合わせ)を介してコンピュータに情報が転送または提供される場合、コンピュータは適切にその接続をコンピュータ可読媒体とみなす。したがって、任意のそのような接続は、適切に、コンピュータ可読媒体と呼ばれる。上記の組み合わせもまた、コンピュータ可読媒体の範囲に含まれるべきである。
【0050】
コンピュータ実行可能命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または専用処理デバイスに、特定の機能または機能のグループを実施させる命令およびデータなどを含む。コンピュータ実行可能命令は、スタンドアローンまたはネットワーク環境のコンピュータにより実行されるプログラムモジュールをさらに含む。一般的には、プログラムモジュールは、特定のタスクを実施するまたは特定の抽象データタイプを実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、およびデータ構造などを含む。コンピュータ実行可能命令、関連するデータ構造、およびプログラムモジュールは、本明細書で開示された方法のステップを実行するためのプログラムコード手段の例を表す。そのような実行可能命令または関連するデータ構造の特定のシーケンスは、そのようなステップに記載された機能を実行するための対応する行為の例を表す。
【0051】
本発明の好ましい実施形態が、パーソナルコンピュータ、ハンドヘルドデバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースまたはプログラム可能な家庭用電化製品、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータなどを含む、多数のタイプのコンピュータシステム構成を有するネットワークコンピューティング環境で実施できることを当業者は理解するであろう。ネットワークは、インターネット、1つまたは複数のローカルエリアネットワーク(「LAN」)、1つまたは複数のメトロポリタンエリアネットワーク(「MAN」)、1つまたは複数のワイドエリアネットワーク(「WAN」)、1つまたは複数のイントラネットなどを含むことができる。実施形態は、たとえば「クラウド」などで、通信ネットワークを介して(有線リンク、ワイヤレスリンク、またはこれらの組み合わせにより)リンクされたローカルおよびリモートの処理デバイスによりタスクが実施される分散コンピューティング環境において実施することもできる。分散コンピューティング環境では、プログラムモジュールは、ローカルおよびリモート両方のメモリストレージデバイスに配置することができる。
【0052】
本発明の他の実施形態および用途は、当業者にとって、本明細書を考察し、本明細書で開示された本発明を実施することから明らかとなろう。全ての刊行物、米国および外国の特許および特許出願を含む、本明細書で引用された全ての参考文献は、具体的かつ完全に引用により組み込まれている。明細書および例が単に例示的なものとみなされるように意図されており、本発明の真の範囲および趣旨は以下の特許請求の範囲により示される。さらに、「から構成される(comprising of)」という用語は、「からなる(consisting of)」および「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語を包含する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
図13