【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、冒頭で挙げられたタイプのレーザ走査型顕微鏡によって達成され、これは、
− 選択可能な動作モードのそれぞれに対して使用するようにそれぞれ設計されている、レーザ光源、照射及び検出ビーム経路、検出装置、ならびに少なくとも1つの対物レンズを含み、
− 照射及び検出ビーム経路は、レーザ照射の構成のための光学的手段と、レーザ照射によって試料を走査するための少なくとも1つのスキャナーと、照射光と検出光とを分離するためのビームスプリッターとを含み、かつ、
− 検出ビーム経路には、それぞれの場合に選択された動作モードに依存してビーム案内を変更するための制御可能な光学素子が設けられる。
【0013】
制御可能な光学アセンブリは、コマンド入力装置を介して制御回路に接続され、その制御回路は、現在の動作モードを別の所望の動作モードに切り替えるように設計され、かつ、検出装置によって発せられた電子画像信号から試料の画像を生成するためのハードウェア及びソフトウェアが存在する。
【0014】
本発明の意義の範囲内で、レーザ照射という用語は、検査される試料または試料の領域の点、ライン、及びまたフィールド照射を含む。照射光の点、ライン、またはフィールドの構成は、それぞれの場合に予め決められている動作モードに依存して制御可能な光学素子によって生じる。
【0015】
上述の特徴を備える本発明によるレーザ走査型顕微鏡は、単純に個々の動作モードに切り替えることにより、モジュール構成を回避することによって、
− 迅速にかつ試料を損傷させることなく、検査される試料領域の全体像を取得すること、
− 30fpsまでの画像キャプチャーレートで、または試料への負荷を最小限にして高信号対雑音比で、分光イメージングによって共焦点像キャプチャーをもたらすこと、
− 100fpsを上回る画像キャプチャーレートで、分光イメージングによって超高速画像キャプチャーを生成すること、または
− 試料内の所望の領域の平行の2次元画像をキャプチャーすること
を可能にする。
【0016】
30fpsまでのまたは100fpsを上回る上述の画像キャプチャーレートは、それぞれの場合に、画像当たり512本のラインに関し、ライン速度に起因して、画像キャプチャーレートが制限されると仮定する。平行の2次元画像の生成における画像キャプチャーレートは、イメージセンサーの特定の幾何学的形状によって初めに決定されるが、試料のより大きい領域も、モザイク法によってキャプチャーされ得る。
【0017】
それぞれの場合に選択された動作モードに依存するビーム案内の変更は、制御可能な光学的なスイッチング素子により検出ビームを異なる検出経路に結合することによってもたらされる。検出経路は、ビーム経路に位置する光学アセンブリによって、及び/または、少なくとも1つの像平面及び1つの瞳平面の位置によって異なる。それぞれの場合に、1つの検出経路が1つの動作モードに永久的に割り当てられている。
【0018】
第1の検出経路では、検出放射線の伝達及び影響は、ビーム経路に固定して配置された少なくとも1つの光学アセンブリによってもたらされる一方、第2の検出経路では、この光学アセンブリの周りでの検出放射線のルートが変更されて、影響を回避するようにする。それにより、像平面が第1の検出経路の規定した位置において生成される。瞳平面が、第2の検出経路の像平面の代わりに形成される。レンズアレイは、例えば、固定光学アセンブリとして提供される。
【0019】
第1の検出経路は、好ましくは、共焦点動作モードに割り当てられ、第2の検出経路は、ライン動作モード及び広視野動作モードに割り当てられる。
【0020】
検出ビーム経路のさらなる進路には、第2の光学的なスイッチング素子が存在し得、それを用いて − 切替位置に依存して − それぞれの検出経路を介して到来する検出放射線は、共通の検出装置に結合される。切替ミラーが、例えば、第1のスイッチング素子として存在し、可動プリズムが第2のスイッチング素子として提供され得る。
【0021】
光学的なスイッチング素子は、それぞれの動作モードに依存して切替位置を予め決める制御回路に接続される。制御回路は、動作モードを切り替えるために、コマンド入力装置に結合される。
【0022】
本発明によるレーザ走査型顕微鏡の照射ビーム経路は、対物レンズの瞳にわたってレーザ照射を動かすための、及び/または、それぞれの場合に設定された動作モードへの照射ビーム案内を調整するための照射スキャナーを含む。動きのパターンまたは動きのシーケンスは、それぞれの場合に選択された動作モードに依存する、すなわち、照射スキャナーの作動は、動作モードに依存して起こる。さらに、照射ビーム経路にもまた、制御可能な光学アセンブリが、それぞれの場合に選択された動作モードに依存してビーム案内を変更するために設けられるとともに、制御回路に接続されている。
【0023】
本発明によるレーザ走査型顕微鏡の好ましい実施形態では、
− 共焦点動作モード中、レンズアセンブリが照射ビーム経路へと旋回され、
− ライン動作モード中、レンズアセンブリ及び円柱レンズが旋回され、かつ、
− 広視野動作モード中、レンズアセンブリ及び円柱レンズの代わりに、望遠鏡が旋回される。
【0024】
実施形態の例を参照して、旋回可能なアセンブリの機能及び目的を以下に詳細に説明する。内側及び外側への旋回は、予め決められている動作モードに依存して制御回路によってもたらされる。
【0025】
さらに、空間光変調器(SLM)によって、対物レンズの瞳と共役の平面にあるレーザビームの位相を操作することによって、個々の動作モードのためにビーム付形を実行することが考えられるとともに、このことは本発明の範囲内にある。
【0026】
特に好ましい実施形態では、全ての動作モードに共通の検出装置は、光電子イメージセンサーを有し、そのセンサーピクセルは、作動及び作動停止のために個別に制御可能である。イメージセンサーまたは個々のセンサーピクセルの制御は、予め決められている動作モードに依存して制御回路によってもたらされる。
【0027】
イメージセンサーは、センサーピクセルの2次元の配置構成を有し、その結果、スピニングディスク技術によって、試料を損傷させることなく、励起及び検出の並列処理により複数のスポットを備える共焦点像を迅速に取得することが可能となる。有利な実施形態では、各センサーピクセルは、制御回路によって個別に作動または作動停止されることができ、いくつかのセンサーピクセルは、グループで様々に組み合わせられることができるとともに、互いに個別に読み取られるセンサー面上の複数のピクセル領域は、自由にプログラム可能である。
【0028】
広視野走査動作モードの場合、2次元センサーマトリクスの各ピクセルは、1つの試料の位置に割り当てられた放出光の強度を記録する。そのため、センサーから読み取られたデータは、白黒の部分的画像を生じる。共焦点及びライン照射の動作モードでは、規定されたスペクトル帯内の、割り当てられた試料の位置から放出された光の強度は、追加のレンズ系配置構成を介して各センサーピクセルから知り得る。ここでは、スペクトル情報は、センサー面にわたって分布する位置情報に対して本質的に直交している。そのため、分光イメージングは、これらの動作モードにおいて可能になる。
【0029】
これに基づいて、アバランシェフォトダイオードのマトリクスは、好ましくは、イメージセンサーとして考慮されるようになる。しかしながら、さらに、例えば、ハイブリッド型検出器または光電子増倍管のマトリクス配置構成もイメージセンサーとして好適である。
【0030】
光電子増倍管の配置構成を上回るアバランシェフォトダイオードアレイの利点は、
− より小型の高感度素子であり、カメラ型の動作を可能にすること、
− 特定の表面領域上に、より多くの素子が存在することを可能にすること
− 後方照射によって100%までのフィルファクターが達成され得ること
である。
【0031】
この点において、本発明の概念は、とりわけ、同一のイメージセンサーを用いて、多焦点イメージング、ラインイメージング、ならびに広視野イメージングを実現することにある。いくつかの可変光学アセンブリが作動され、かつイメージセンサーもダイレクトリプログラミングによって調整されるため、これらのモードを単純にかつ迅速に切り替えることが可能である。
【0032】
本発明によるレーザ走査型顕微鏡は、好ましくは、照射光を励起放射線として、かつ、それにより生じる蛍光を検出放射線として備える蛍光顕微鏡法のために設計されている。
【0033】
本発明は、図面を参照して、下記で例としてより詳細に説明される。