特許第6557686号(P6557686)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6557686動物腸内有用菌増加剤及びこれを用いた家畜腸内環境改善方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6557686
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】動物腸内有用菌増加剤及びこれを用いた家畜腸内環境改善方法
(51)【国際特許分類】
   A23K 20/158 20160101AFI20190729BHJP
   A61K 31/20 20060101ALI20190729BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
   A23K20/158
   A61K31/20
   A61P43/00 111
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-574594(P2016-574594)
(86)(22)【出願日】2015年2月13日
(86)【国際出願番号】JP2015053961
(87)【国際公開番号】WO2016129100
(87)【国際公開日】20160818
【審査請求日】2017年12月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】393004085
【氏名又は名称】油化産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】304026696
【氏名又は名称】国立大学法人三重大学
(74)【代理人】
【識別番号】100124349
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 圭啓
(72)【発明者】
【氏名】山田 豊
(72)【発明者】
【氏名】松井 宏樹
【審査官】 坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5259905(JP,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0037698(US,A1)
【文献】 特開2005−270101(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23K 10/00 − 50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプリル酸、カプリン酸及びラウリン酸の脂肪酸又はその塩を含有し、カプリル酸:カプリン酸:ラウリン酸の重量比が20:20:60である動物腸内有用菌増加剤。
【請求項2】
脂肪酸の塩がカルシウム塩である請求項1に記載の動物腸内有用菌増加剤。
【請求項3】
腸内有用菌がBifidobacterium 属に属する菌である請求項1又は2に記載の動物腸内有用菌増加剤。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の動物腸内有用菌増加剤が0.1〜2重量%配合された飼料を家畜に給与することを特徴とする家畜腸内環境改善方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は動物の腸内に存在する有用菌を増加させる動物腸内有用菌増加剤に関する。また、本発明は、本発明の動物腸内有用菌増加剤を用いて、家畜が有する腸内細菌叢のうち有用菌を増加させ、かつ有害菌を減少させることで家畜の腸内環境を改善させ、もって消化生理機能や免疫機能の改善と維持を図り、疾病の発生を未然に防ぎ、家畜の効率的生産性を改善させる家畜腸内環境改善方法にも関する。
本発明における「動物」とは、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類などの脊椎動物であり、例えば、ヒト、家畜、霊長類(サル、チンパンジーなど)、実験動物(マウス、ラットなど)などである。また、本発明における「家畜」とは、人がその生産物(乳、肉、卵など)を利用するために馴致ないし飼育している産業動物、ペットや鑑賞用の愛玩動物、競技用動物であり、例えば、牛、豚、緬羊、山羊、馬、家禽、犬、猫、小鳥、養魚などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
近年、家畜は、大規模飼育形態が一層進み、個体ではなく群管理が余儀なくされている。その現状において高飼育密度(頭又は羽/面積)による短期間飼育や、栄養や形態の異なる飼料への切り替え、暑熱、寒冷、離乳、飼育場での人本位による群移動、家畜の長距離輸送などの様々な管理ストレスにさらされるようになっている。とくに夏季には、地球温暖化によるこれまでに無い気温上昇によって家畜が受けるストレスは著しく増大し、一方で寒冷期におけるストレスについても変わらず、これら要因が家畜に与えるマイナスの影響は増す一方である。その結果、疾病の発生や成長(増体)の低下などの生産性低下、および生産物の品質への影響が大きな問題となっている。
【0003】
ストレスが家畜の生産性を低下させる間接的要因として、消化管等の内臓が虚弱化し、飼料摂取量の低下または栄養成分の消化と吸収を著しく低下、腸内細菌叢の撹乱や免疫力の低下によって、細菌や原虫などの病原体に感染しやすくなることが挙げられる。腸内細菌叢には有用菌と有害菌が含まれ、有用菌としてLactobacillus 属やBifidobacterium 属に属する菌などが挙げられ、一方で有害菌としてEscherichia Coli、Salmonella属に属する菌、Campylobacter jejuni、Clostridium perfingers等の菌が挙げられる。これら有用菌と有害菌との競争的な増殖のバランスが崩れて有害菌優勢の腸内細菌叢となることで、免疫機能の低下や消化生理機能の低下を引き起こし、結果的に疾病の発生や生産性の低下につながると考えられている。
【0004】
ストレスを受けた家畜への対処法として、例えば、高級脂肪酸トリグリセライドと中鎖脂肪酸トリグリセライドを含有する家畜用栄養補給剤(特許文献1)、動植物性油脂と食物繊維を含有し、幼畜の下痢・軟便の改善及びストレスの軽減を目的とする幼畜用代用乳組成物(特許文献2)、主成分として脱脂粉乳及び/又は大豆ミールを含み、かつ中鎖脂肪酸又はその塩を含有する子畜用代用乳組成物(特許文献3)、中鎖脂肪酸混合物を含み、大腸菌による汚染等を阻害するための医薬(特許文献4)などが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−153812号公報
【特許文献2】特開平10−127232号公報
【特許文献3】特許第2723961号公報
【特許文献4】特許第5259905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、高級脂肪酸トリグリセライドと中鎖脂肪酸トリグリセライドの補給だけ、または食物繊維との併用だけでは、家畜の活力が向上するまでに時間を要するので、病原体が感染する時間的余裕ができてしまい、生産性低下の改善が困難となってしまう。その上、栄養的、飼養管理的及び飼育環境的ストレスによって生じる生体調整機能や免疫機能の低下を改善すると共に、腸管粘膜、とくに絨毛などを修復しなければ、十分な成長、飼料効率などの生産性の改善や下痢などの疾病発生の改善は望めないなどの問題点がある。また、中鎖脂肪酸の混合物についても栄養補給効果や腸内大腸菌の抑制効果はあるが、他の有害菌の抑制やビフィズス菌などの有用菌に与える影響については知られていない。
【0007】
本発明は、上記の一連の事柄に着目し、家畜等の動物の腸内環境を改善させ、もって疾病の発生を未然に防ぎ、家畜の生産性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、特定の酸又はその塩が家畜等の動物が有する腸内細菌叢のうち有用菌を増加させ、かつ有害菌を低下させることで腸内環境を改善させ、疾病の発生や生産性低下を防ぐことができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち本発明は、カプリル酸、カプリン酸及びラウリン酸の脂肪酸又はその塩を含有し、カプリル酸:カプリン酸:ラウリン酸の重量比が20:20:60である動物腸内有用菌増加剤である。
また本発明は、本発明の動物腸内有用菌増加剤が0.1〜2重量%配合された飼料を家畜に給与することを特徴とする家畜腸内環境改善方法である。
【発明の効果】
【0010】
動物の腸管内には多数の細菌群が存在し腸内細菌叢を形成している。本発明の動物腸内有用菌増加剤は、家畜等の動物が有する腸内細菌叢のうち有用菌を増加させ、かつ有害菌を低下させて、動物の腸内環境を有用菌優勢の細菌叢へ改善し、疾病の発生を未然に防ぎ、生産性を向上させることができる。その上、主成分であるカプリル酸、カプリン酸及びラウリン酸は、本来吸収速度と代謝速度が極めて速い物質であり、摂取することで活力がすばやく得られるという点でも有効である。
また、本発明の家畜腸内環境改善方法は、家畜の腸内環境を改善し、疾病の発生を未然に防ぎ、生産性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の動物腸内有用菌増加剤(以下、単に「有用菌増加剤」ともいう。)は、カプリル酸、カプリン酸及びラウリン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種類の脂肪酸又はその塩(以下、「脂肪酸等」ともいう。)を含有する。カプリル酸、カプリン酸及びラウリン酸からなる群から選ばれる2種類の脂肪酸又は塩を含有するのが好ましく、これら3種類の脂肪酸又は塩を含有するのが特に好ましい。
【0012】
上記脂肪酸の塩としては、家畜に対する必須ミネラル成分である点から、上記の各種脂肪酸のカルシウム塩及びマグネシウム塩が好適であり、これらは一種で用いてもよく、二種を組み合わせて用いてもよい。これら脂肪酸の金属塩は常温では固体であり、取り扱いの容易さ及び飼料に混和し易さの点で、また、反芻動物のルーメンへの影響を考慮して、脂質の中ではこれらの脂肪酸金属塩が好ましい。特に固体粉末状あるいは顆粒状の脂肪酸カルシウムや脂肪酸マグネシウムを用いることがより好ましい。
【0013】
本発明の有用菌増加剤は、牛、豚、鶏等の家畜に適用でき、例えば高飼育密度(頭又は羽/面積)による短期間飼育や、栄養や形態の異なる飼料への切り替え、暑熱、寒冷、離乳、飼育場での人本位による群移動、家畜の長距離輸送などの様々な管理ストレスを受ける時期において、腸内の有害菌を減少させ、有用菌を増加させることで、疾病を未然に防ぎ、飼料摂取量の維持や成長を促進させ、生産性を維持することができる。
【0014】
本発明の有用菌増加剤が配合された家畜用飼料(以下、本発明の家畜用飼料ともいう。)の給与によって減少することのできる有害菌は、例えば、Escherichia Coli、Salmonella属、Clostridium perfingers等が挙げられ、特にEscherichia Coli、Clostridium perfingersに対して強い効果を示す。また本発明の家畜用飼料の給与によって増加することのできる有用菌は、例えば、Lactobacillus 属やBifidobacterium 属に属する菌などが挙げられる。
【0015】
本発明の有用菌増加剤は、担体、賦形剤などの公知の添加剤を含有していてもよい。本発明の有用菌増加剤における上記の脂肪酸等の含有量は、好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上、更に好ましくは95重量%以上である。含有量が70重量%未満では、動物の腸内細菌叢を改善するには不十分となる場合があり、また長鎖脂肪酸やミネラル等の他成分も給与することになり、非効率である。
【0016】
本発明の有用菌増加剤及び家畜用飼料は、食品添加剤、医薬品として、また家畜用飼料の添加剤としても使用することができる。
家畜用飼料は、例えば、トウモロコシ粉、米粉、糠などの穀粉、無機物、アミノ酸、タンパク質、ビタミン類、脂質などを含んでいてもよい。例えば、日本標準飼料成分表(2009年版、独立行政法人 農業・ 食品産業技術総合研究機構編)に記載された成分を含んでいてもよい。
本発明の有用菌増加剤及び家畜用飼料の形態としては、液状、ペースト状、粉状、粒状、ペレットなどいずれの形態でもよく、所望する形態に応じて、公知の方法にて調製することができる。
【0017】
本発明の家畜腸内環境改善方法においては、本発明の有用菌増加剤が0.1〜2重量%、好ましくは0.10〜1.5重量%、特に好ましくは0.5〜1重量%配合された飼料を家畜に給与することを特徴とする。家畜に対する給与量が、飼料中0.1重量%未満では本発明の効果が得られないことがある。
なお、本発明の有用菌増加剤が配合された飼料の給与頻度や給与量は、飼料の物性、家畜の種類や体重(年齢)などにより異なり、当該飼料の通常の給与頻度や給与量を採用することができる。
【実施例】
【0018】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限りこれらに限定されない。
【0019】
実施例に使用する家畜用飼料として、カプリル酸Ca、カプリン酸Ca、ラウリン酸Ca、カプリル酸・カプリン酸・ラウリン酸混合脂肪酸Caの4種類の家畜用飼料を用意した。なお、「カプリル酸・カプリン酸・ラウリン酸混合脂肪酸Ca」は、カプリル酸:カプリン酸:ラウリン酸=20:20:60(重量比)からなる混合脂肪酸のカルシウム塩であり、油化産業株式会社製の商品である。家畜用飼料の脂肪酸含有率を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
〔実施例1〜5、比較例1〜5〕
水および表2に示した基礎飼料を飽食給与しているホルスタイン搾乳牛50頭を実施例及び比較例ごとに5頭用いて、表3及び表4に示した家畜用飼料を3週間給与した。給与3週間後に糞をサンプリングし、分析まで凍結保存した。糞中細菌数はリアルタイムPCR法によりBifidobacterium 属、Escherichia coli 、Salmonella 属、Campylobacter jejumi. 、Clostridium perfringens について調査した。具体的には、1)検体からDNAを抽出、2)そのDNAを用いて各PCR法で分析、3)遺伝子量と細菌数との比例関係に基づき細菌数を定量、の手順によって細菌数を求めた。そして、給与する前の細菌数を1とした相対値として算出した。また、マルチプレックスPCR法により、糞便中のLactobacillus 属細菌9種類、つまりLactobacillus acidophilus 、Lactobacillus casei-group 、Lactobacillus delbrueckii 、Lactobacillus gasseri 、Lactobacillus plantarum 、Lactobacillus rhamnosus 、Lactobacillus reuteri の検出を行った。さらに給与期間中の下痢発生率、給与3週間後の乳生産量、乳脂率、乳タンパク質率を調査した。各実施例の結果を表5、表7、表9及び表10に、各比較例の結果を表6、表8、表9及び表10にそれぞれ示す。
【0022】
【表2】
【0023】
【表3】
【0024】
【表4】
【0025】
【表5】
【0026】
【表6】
【0027】
【表7】
【0028】
【表8】
【0029】
【表9】
【0030】
【表10】
【0031】
表5に示すように、本発明に係る実施例1〜5の有用菌増加剤を給与したウシの糞中Bifidobacterium 属菌数は無給与牛の1.02倍から1.18倍に増加し、Escherichia coliは0.77倍から0.16倍に減少し、Clostridium perfringens は0.89倍〜0.70倍に減少した。
これに対し、表6に示すように、比較例1〜5ではBifidobacterium 属及びEscherichia coliに大きな増減は無く、Clostridium perfringens は最大1.22倍に増加した。実施例1〜5ではSalmonella属菌数が0.98倍〜0.93倍と大きな変化は無く、Campylobacter jejumiが1.13倍〜1.16倍とわずかに増加したのに対し、比較例1〜5ではSalmonella属が1.01〜1.10倍、Campylobacter jejumiが1.17〜1.26倍となっており、実施例では両者の菌数の増加を抑制したことが分かる。
【0032】
表7に示すように、実施例1〜5の糞中Lactobacillus 属の検出頭数の割合は、L. Casei-groupが20%〜40%、L. gasseriが40%〜60%であった。
これに対して、表8に示すように、比較例1〜5では何れの菌も検出された個体は無かった。
【0033】
また、表9に示すように実施例1〜5の下痢発生率は0〜20%であった。
これに対し、比較例1〜5では40〜80%と実施例1〜5よりも下痢発生率が高かった。
【0034】
表10に示すように実施例1〜5では乳生産量が37〜39kg/日と高かった。
これに対し、比較例1〜5では33〜35kg/日と実施例1〜5よりも乳生産量が低かった。
【0035】
〔実施例6〜10、比較例6〜10〕
水および表11に示した基礎飼料を飽食給与しているLWD種去勢子ブタ50頭を実施例及び比較例ごとに5頭用いて、表12及び表13に示した家畜用飼料を2週間給与した。給与2週間後に糞をサンプリングし、分析まで凍結保存した。糞中細菌数はリアルタイムPCR法によりBifidobacterium 属、Escherichia coli、Salmonella属、Campylobacter jejumi. 、Clostridium perfringens
について調査した。具体的には、1)検体からDNAを抽出、2)そのDNAを用いて各PCR法で分析、3)遺伝子量と細菌数との比例関係に基づき細菌数を定量、の手順によって細菌数を求めた。そして、給与する前のブタの細菌数を1とした相対値として算出した。また、マルチプレックスPCR法により、糞便中のLactobacillus 属細菌9種類、つまりLactobacillus acidophilus 、Lactobacillus casei-group 、Lactobacillus delbrueckii 、Lactobacillus gasseri 、Lactobacillus plantarum 、Lactobacillus rhamnosus 、Lactobacillus reuteri の検出を行った。さらに給与期間中の下痢発生率と、給与2週間の飼料摂取量と体重から飼料効率を算出した。各実施例の結果を表14、表16、表18及び表19に、各比較例の結果を表15、表17、表18及び表19にそれぞれ示す。
【0036】
【表11】
【0037】
【表12】
【0038】
【表13】
【0039】
【表14】
【0040】
【表15】
【0041】
【表16】
【0042】
【表17】
【0043】
【表18】
【0044】
【表19】
【0045】
表14に示すように、実施例6〜10では、糞中Bifidobacterium 属が1.16倍〜1.35倍に増加し、Escherichia coliが0.79倍〜0.26倍、Salmonella属が0.84倍〜0.21倍、Campylobacter jejumiが0.88倍〜0.60倍、Clostridium pefringensが0.89倍〜0.66倍に減少した。
これに対して、表15に示すように、比較例6〜10の場合、Biffidobacterium属が0.93〜1.00倍と大きな変化は無く、Escherichia Coliが1.00倍〜1.11倍、Salmonella属が1.05倍〜1.16倍、Campylobacter jejumiが1.15〜1.27倍、Clostridium perfringens が1.08〜1.29倍と増加した。
【0046】
表16に示すように、実施例6〜10の糞中Lactobacillus 属の検出頭数の割合(検出率)は、L. acidophilusが40%〜60%、L. delbrueckiiが20%〜80%、L. gasseriが60%〜80%、L. rhamnosusが40%〜60%であった。
これに対し、表17に示すように、比較例6〜10ではL. acidophilusが0%〜20%、L. delbrueckiiで0%〜20%、L. gasseriで0%〜20%、L. rhamnosusで0%〜20%と検出率は低く、また他の菌については検出されなかった。
【0047】
また、表18に示すように実施例6〜10の下痢発生率は0〜20%であった。
これに対し、比較例6〜10では40〜80%と実施例6〜10よりも下痢発生率が高かった。
【0048】
また、表19に示すように実施例6〜10の飼料効率は0.81〜0.84と高かった。
これに対し、比較例6〜10では0.77から0.79と実施例6〜10よりも飼料効率が低かった。
【0049】
〔実施例11〜15、比較例11〜15〕
水および表20に示した基礎飼料を飽食給与している3週齢のブロイラー1000羽を実施例及び比較例ごとに100羽用いて、表21及び表22に示した家畜用飼料を5週間給与した。給与2週間後に各区5羽ずつから糞をサンプリングし、分析まで凍結保存した。糞中細菌数はリアルタイムPCR法によりBifidobacterium 属、Escherichia coli、Salmonella属、Campylobacter jejumi. 、Clostridium perfringens について調査した。具体的には、1)検体からDNAを抽出、2)そのDNAを用いて各PCR法で分析、3)遺伝子量と細菌数との比例関係に基づき細菌数を定量、の手順によって細菌数を求めた。そして、給与する前のブロイラーの細菌数を1とした相対値として算出した。また、マルチプレックスPCR法により、糞便中のLactobacillus 属細菌9種類、つまりLactobacillus acidophilus 、Lactobacillus casei-group 、Lactobacillus delbrueckii 、Lactobacillus gasseri 、Lactobacillus plantarum 、Lactobacillus rhamnosus 、Lactobacillus reuteri の検出を行った。また、給与5週間後の育成率を調査した。各実施例の結果を表23、表25及び表27に、各比較例の結果を表24、表26及び表27にそれぞれ示す。
【0050】
【表20】
【0051】
【表21】
【0052】
【表22】
【0053】
【表23】
【0054】
【表24】
【0055】
【表25】
【0056】
【表26】
【0057】
【表27】
【0058】
表23に示すように、実施例11〜15では、糞中Bifidobacterium 属が1.16倍〜1.31倍に増加し、Escherichia coliが0.77倍〜0.40倍、Salmonella属が0.68倍〜0.23倍、Campylobacter jejumiが0.80倍〜0.63倍、Clostridium pefringensが0.85倍〜0.64倍に減少した。
これに対して、表24に示すように、比較例11〜15の場合、Biffidobacterium属が0.98〜1.01倍と大きな変化は無く、Escherichia Coliが0.99倍〜1.11倍、Salmonella属が1.04倍〜1.11倍、Campylobacter jejumiが1.00〜1.16倍、Clostridium perfringens が0.99〜1.10倍と大きな変化が無いか、又は増加した。
【0059】
表25に示すように、実施例11〜15の糞中Lactobacillus 属の検出羽数の割合(検出率)は、L. acidophilusが40%〜60%、L. delbrueckiiが40%〜60%、L. gasseriが40%〜80%、L. rhamnosusが40%〜80%検出された。
これに対し、表26に示すように、比較例11〜15ではL. delbrueckiiが0%〜20%、L. gasseriで0%〜20%と検出率は低く、また他の菌については検出されなかった。
【0060】
また、表27に示すように実施例11〜15の育成率は99〜100%であった。
これに対し比較例11〜15では95〜97%と実施例11〜15よりも育成率が低かった。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の動物腸内有用菌増加剤は、動物の腸内に存在する有用菌を増加させ、かつ有害菌を減少させることで動物の腸内環境を改善させることができるので、食品添加剤、医薬品として、また家畜用飼料の添加剤としても使用することができる。特に、本発明の動物腸内有用菌増加剤が特定量配合された飼料を家畜に給与することによって、家畜が有する腸内細菌叢のうち有用菌を増加させ、かつ有害菌を減少させることで家畜の腸内環境を改善させ、もって疾病の発生を未然に防ぎ、家畜の生産性を向上させることができる。