特許第6557687号(P6557687)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6557687
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】球形フラン樹脂粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 16/02 20060101AFI20190729BHJP
【FI】
   C08G16/02
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-576078(P2016-576078)
(86)(22)【出願日】2015年6月26日
(65)【公表番号】特表2017-519886(P2017-519886A)
(43)【公表日】2017年7月20日
(86)【国際出願番号】KR2015006534
(87)【国際公開番号】WO2015199481
(87)【国際公開日】20151230
【審査請求日】2018年6月18日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0079750
(32)【優先日】2014年6月27日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】509148935
【氏名又は名称】テウォン ファーム カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】515283839
【氏名又は名称】ピュアスフィア カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094570
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼野 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】カン セヨン
(72)【発明者】
【氏名】ソン ウンジン
(72)【発明者】
【氏名】ソン セヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ソン セイル
(72)【発明者】
【氏名】イ フンウ
(72)【発明者】
【氏名】パク チャンス
(72)【発明者】
【氏名】ナム ウグン
(72)【発明者】
【氏名】イ ジング
【審査官】 佐久 敬
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−228119(JP,A)
【文献】 特開平04−371343(JP,A)
【文献】 特開昭50−017459(JP,A)
【文献】 米国特許第06077883(US,A)
【文献】 米国特許第04487868(US,A)
【文献】 特開2011−157464(JP,A)
【文献】 特開2007−063377(JP,A)
【文献】 特開昭57−088943(JP,A)
【文献】 特開昭57−134234(JP,A)
【文献】 特表2014−501175(JP,A)
【文献】 特開2014−091132(JP,A)
【文献】 特開2011−140034(JP,A)
【文献】 特開2014−001356(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G4/00−16/06
C08L1/00−101/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次のステップを含むフラン樹脂の製造方法であって、
(a)尿素、アルデヒド類、水の混合溶液を反応器で混合するステップと、
(b)前記混合溶液をpH7.5乃至pH9.5に調整するpH調整ステップと、
(c)フルフリルアルコールと酸触媒、ガム(Gum)を前記反応器に投入する投入ステップと、
(d)フラン樹脂を硬化させる硬化ステップ
前記混合ステップにおいて、アルデヒド類はフルフリルアルコールに対して、モル比率1を基準として0.01モル〜0.25モル、
尿素はフルフリルアルコールに対して、モル比率1を基準として0.02モル〜0.26モルで混合されることを特徴とするフラン樹脂の製造方法。
【請求項2】
前記混合ステップにおいて、アルデヒド類はフルフリルアルコールに対して、モル比率1を基準として0.01〜0.25モル、尿素はフルフリルアルコールに対して、モル比率1を基準として0.02〜0.26モル、水はフルフリルアルコール100重量部に対して、0.5重量倍〜15重量倍で混合されることを特徴とする請求項1に記載のフラン樹脂の製造方法。
【請求項3】
前記酸触媒は、ベンゼン環を含まない炭素数3〜4を有することを特徴とする請求項1に記載のフラン樹脂の製造方法。
【請求項4】
前記酸触媒は、フルフリルアルコール100重量部に対して、0.1重量部〜10重量部であることを特徴とする請求項1に記載のフラン樹脂の製造方法。
【請求項5】
前記アルデヒド類は、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、テトラオキサン、アセタールからなる群から1種以上が選択されるものであることを特徴とする請求項1に記載のフラン樹脂の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球形フラン樹脂粒子の製造方法に係り、さらに詳しくは、フルフリルアルコール、アルデヒド類、尿素を用いた3者混合による球形フラン樹脂粒子の製造方法と、それによって得られた球形フラン樹脂に関する。
【背景技術】
【0002】
フラン樹脂(furan resin)とは、フルフラール(furfural)、またはフルフリルアルコール(furfuryl alcohol)から得られるフェノール−フルフラール樹脂、フルフラールアセトン樹脂、フルフリルアルコール樹脂などを言う。フルフラール(furfural)は、近年精密化学中間体物質、溶媒、特殊な用途の樹脂原料物質などで幅広く用いられている非常に有用な汎用性化学物質である。フルフラールは、環状構造のフラン環にアルデヒド基CHOが結合した芳香族アルデヒドで、化学式はCであり、フラン−2−カルボアルデヒド(furan−2−carbaldehyde)またはα−フランアルデヒドフルフロールとも言う。
【0003】
フラン樹脂(furan resin:フルフラール樹脂、フルフリルアルコール樹脂)は、フラン環を含有した熱硬化性プラスチックで、見た目は液体であるが、熱によって硬化されて耐水性接着剤として用いられる。例えば、ニトリルゴムと組み合わせれば柔軟なフラン樹脂を得ることができ、油、酸、アルカリ、溶剤に対して優れた耐久力を持ち、エポキシ樹脂とともに粘着用塗装をすれば、両者の欠点を互いに補い、フラン樹脂の耐食性、耐熱性と、エポキシ樹脂の接着性、変形に優れた特性を持つ素材を得ることができる。
【0004】
また、黒鉛製品にフルフリルアルコールを含浸させてから1,000℃以上で炭化させると透過性の低い製品になるが、これはフラン樹脂の特殊な用例である。工業的に製造されているのはフェノール−フルフラール樹脂とフルフリルアルコール樹脂の2種であり、前者は、アルカリ触媒の存在下においてフェノール(phenol)とフルフラール(furfural)を加熱して生成し、生成樹脂に木粉、ヘキサメチレンテトラミンを加えて成形材料として用いる。後者は、酸触媒の存在下においてフルフリルアルコール溶液を加熱して液状の初期縮合物を合成し、使用する際にさらに酸触媒を加えて硬化させる。
【0005】
フラン樹脂の各種配合物は酸触媒を使用し、比較的低温で、加熱して中間体を生成し、最終的には高温で加熱硬化させる。優れた耐酸耐アルカリ性を有するので、樹脂セメントとしてガラス繊維を補強して酸アルカリを用いる反応容器や、貯蔵タンクの内側に塗る裏打ちに用いられる。フルフリルアルコール(furfuryl alcohol)の初期縮合物である粘度の低いフラン樹脂はアルコールには溶け、粘度の高いものはアルコールに一部が溶け、酢酸エチル、アセトン、芳香族炭化水素、フルフラール、フルフリルアルコールに溶け、中性にしておけば長期間保存しても安定する。ここに酸を添加すれば不溶性の硬化樹脂が得られ、酸の種類や添加量によっては常温硬化も可能である。硬化樹脂は酸、アルカリ、有機溶剤などにも強いが、硬化に伴って弱くなるので、成形品にする場合は適切な充填材、または補強材を併用して使用しなければならない。硬化剤として強酸を用いる場合は充填材の選択が必要になり、カーボン・ブラック、石綿、珪藻土、ガラス繊維などは酸に侵食されないので問題ないが、木粉(おがくず)、職布、紙などは使用できない。フルフリルアルコールの初期縮合物は、多様な可塑剤、熱可塑性及び熱硬化性樹脂、天然樹脂、合成ゴム、アスファルトなどとの相溶性に富むため、変性させて用いる場合もある。
【0006】
フラン樹脂は、フルフラールの水素添加によって得られたフルフリルアルコールに酸触媒の存在下において加熱すると、耐薬品性に優れた熱硬化性フラン樹脂が生成される。従来の日本公開特許公報第2011−157463号には、フルフリルアルコールを単独で使用し、保護コロイドの存在下において、pKaが1.5未満のアルキルベンゼンスルホン酸などの酸触媒を用いて自己縮合反応させ、球状のフルフリルアルコール樹脂粒子の製造方法が開示されており、アルデヒド類の使用が排除されているが、使用する酸触媒のpKaを限定しなければならないという問題点がある。
【0007】
また、日本公開特許公報第2011−157464号には、フルフリルアルコール及びアルデヒド類を保護コロイドの存在下において、アルキルベンゼンスルホン酸などの酸触媒を用いて球状のフラン‐アルデヒド樹脂粒子を製造する方法が開示されており、日本公開特許公報第2013−035781号には、フルフリルアルコール及びアルデヒド類を、触媒及び保護コロイドの存在下において反応させて得られる球状フラン樹脂粒子を炭素化して形成された球状活性炭粒子に関して開示されているが、目と呼吸器、肌に刺激を与えるなど、人体に有害なアルデヒド類を過量使用しているという欠点がある。
【0008】
また、フルフリルアルコールを単独、或いは混合使用して樹脂を製造する場合、無機酸またはベンゼン環が含まれたアルキルベンゼンスルホン酸のような分子量が大きい有機酸の使用を強調しており、主に液状なので保管及び使用の際は注意を要する。
【0009】
鋳型産業分野においても、フルフリルアルコールとアルデヒド類、尿素を用いて粘結剤組成物として用いる技術が提示されているが、分子量が大きい樹脂状の酸や、前記無機酸、または分子量の大きい有機酸を硬化剤として過量使用するという問題があり、さらに硬化促進剤を添加した後、シランカップリング剤をさらに混合し、最終的には珪砂のような耐火性粒状材料に混合して用いるという点において、球形樹脂粒子を製造し、用いる本発明とは相違している。
【0010】
よって、本発明者は、従来のフルフリルアルコールからフラン樹脂の製造方法において見られる技術的及び安全性の問題点を解決するために研究していたところ、より安全なフラン樹脂の製造方法を開発し、本発明を完成させた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、従来の技術の問題点を解決するために発案されたものであり、本発明の目的は、毒性の強いアルデヒドの使用量を著しく低下させるだけでなく、酸触媒のpKaを限定することなく、人体に有害な影響を与えるベンゼン環が含まれておらず、取り扱いやすい単純な構造を持つ低分子量の酸触媒を用いることによって作業性を向上させることができ、さらに、高い強度が得られる球形フラン樹脂粒子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記及びその他の目的を達成するために、本発明は(a)尿素、アルデヒド類、水の混合溶液を反応器で混合する混合ステップと、(b)前記混合溶液をpH7.5乃至pH9.5に調整するpH調整ステップと、(c)フルフリルアルコールと酸触媒、ガム(Gum)を前記反応器に投入する投入ステップと、(d)フラン樹脂を硬化させる硬化ステップとを含むフラン樹脂粒子の製造方法である。
【0013】
前記混合ステップにおいて、アルデヒド類はフルフリルアルコールに対して、モル比率1を基準として0.01〜0.25モル、尿素はフルフリルアルコールに対して、モル比率1を基準として0.02〜0.26モル、水はフルフリルアルコール100重量部に対して、0.5重量倍〜15重量倍で混合できる。
【0014】
また、前記酸触媒はベンゼン環を含まない炭素水3〜4を有することができ、前記酸触媒は、フルフリルアルコール100重量部に対して、0.1重量部〜10重量部である。
【0015】
上記の製造方法によって、球形フラン樹脂粒子が得られる。
【0016】
本発明の別の一例は、製造済みの前記球形フラン樹脂粒子に対する炭化及び水蒸気活性化工程により球形活性炭素粒子を得ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、球形フラン樹脂粒子を製造する際、尿素を少量混合することによって、アルデヒド類の使用を著しく減少させることができ、従来の無機酸やアルキルベンゼンスルホン酸類を使用せずに、酸触媒のpKa値を限定することがないため、これによって製造されたフラン樹脂粒子及びこれによって得られる球形活性炭素の圧縮強度も高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施例1において合成した球形フラン樹脂を100倍率に拡大して撮影した写真である。
【0019】
図2】実施例2において合成した球形フラン樹脂を100倍率に拡大して撮影した写真である。
【0020】
図3】実施例3において合成した球形フラン樹脂を100倍率に拡大して撮影した写真である。
【0021】
図4】比較例1において合成した球形フラン樹脂を40倍率に拡大して撮影した写真である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
別の形で定義されない限り、本明細書において用いられた全ての技術的及び科学的用語は、本発明の属する技術分野において熟練された専門家によって通常理解されるのと同じ意味を持つ。一般的に、本明細書において用いられた命名法は、本技術分野においてよく知られており、通常用いられているものである。
【0023】
本願明細書の全体において、ある部分がある構成要素を『含む』とする場合、これは特に反対する記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができるとの意味である。
【0024】
本発明は、既存のフェノールの代替物質としてフルフリルアルコールを選定し、尿素を添加して反応させることによって、毒性の強いアルデヒド類の使用を著しく減らし、硫酸、塩酸のような強酸ではなく、アルキルベンゼンスルホン酸のようなベンゼン環が含まれた酸類ではない単純な構造の有機酸(例えばマレイン酸、マロン酸)を用いて容易にフラン樹脂粒子を製造する方法に関するものである。
【0025】
樹脂粒子の球形を保ちながらアルデヒド類の使用量を減らすために、尿素を少量添加することによって、既存に提示された技術に比べてアルデヒド類の使用量を著しく減らすことができることが分かった。
【0026】
さらに、こうしてアルデヒド類の使用量を著しく減らした製造方法によって、pKaの範囲を限定しなくてもよく、通常強酸として知られた無機酸やベンゼン環が含まれたアルキルベンゼンスルホン酸類のような高分子量の有機酸ではなく、炭素数3〜4水準の有機酸、例えば、マレイン酸(maleic acid、pKa=1.9)、マロン酸(malonic acid、pKa=2.8)のような低分子量の有機酸触媒類を用いて反応が可能であるということを発見したが、この類の有機酸は液状ではなく固体状態で保管及び使用が容易であるというメリットもある。
【0027】
本発明において用いられるアルデヒド類とは、アルデヒド基が含まれている化合物、またはこのような化合物を製造する際に用いられたり、このような化合物から反応させて製造した物質を意味する。このようなアルデヒド類としてはホルムアルデヒドが好適に用いられる。また、このホルムアルデヒドは、反応性や原料価格などの観点から、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、テトラオキサン、アセタールなどのホルムアルデヒド供給物質が好適に用いられる。
【0028】
本発明に用いられる尿素は固体の粒状であり、反応のために特に溶かしたり、粉末にしたりする必要はなく、反応に添加されるため、作業性がよく、コスト面でも有利である。
【0029】
アルデヒド類と尿素の配合比率は、アルデヒド類はモルを基準として、フルフリルアルコール1モルに対して0.01モル〜0.25モル(フルフリルアルコール100重量部に対して35重量%ホルムアルデヒド水溶液1〜22重量部)、好ましくは、0.07モル〜0.18モル(フルフリルアルコール100重量部に対して35重量%ホルムアルデヒド水溶液6〜16重量部)である。
【0030】
尿素はモルを基準として、フルフリルアルコール1モルに対して0.01モル〜0.26モル(フルフリルアルコール100重量部に対して0.6〜16重量部)、好ましくは、0.08モル〜0.19モル(フルフリルアルコール100重量部に対して5〜11.6重量部)である。フルフリルアルコール1モルに対して、アルデヒド類と尿素の使用量が多くなると、粒子の生成が進まなかったり、求める粒子が得られなかったり、反応の速度が遅くなるという問題がある。
【0031】
本発明に用いられる水の量は、フルフリルアルコール100重量部に対して、0.5重量倍〜15重量倍程度の割合で用いられる。水の量が0.5重量倍未満だと、反応物が卵形に固まる恐れがあり、また、15重量倍より使用量が多くなると、反応時間が長くなって製造に用いられにくいという問題が起こる。
【0032】
本発明において、分散安定剤は粒子の分散過程で表面に作用し、凝集に対する遅延のために使用し、水溶性高分子タイプのガム類、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなど、1種または2種以上を選択して用いることができ、アラビアガムが好適に用いられる。
【0033】
本発明に用いられる酸触媒は、一般的にフルフリルアルコール100重量部に対して、0.1重量部〜10重量部を使用し、好ましくは、0.5重量部〜4重量部の割合で用いられる。本発明において言及された酸触媒は固状で、別途に水に溶かして溶液状態にする必要はなく、製造の際、攪拌の過程で混合すればいい。酸触媒の使用量が少なくなると、反応時間が長くなったり、生成された粒子の硬化が難しくなる恐れがあり、使用量が多くなると、塊が生成されたり、求める微小粒子を得難くなるという問題が生じる。
【0034】
本発明に用いられる塩基は、初期反応物の雰囲気を塩基性雰囲気にするためであり、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウムなどの塩基が用いられ、好適には水酸化ナトリウムが用いられる。
【0035】
本発明において用いられる塩基性雰囲気はpH7.5〜9.5であり、好ましくはpH8〜9が好適に用いられる。pHが塩基性ではないと初期反応が進まず、pHが高すぎると、アルデヒド類が反応に望ましくない副反応を引き起こす恐れがある。
【0036】
本発明の反応温度は、50℃以上の温度が用いられるが、好ましくは70℃以上である。反応時間は反応温度、中間生成物の状態、粒子硬化の状態などを考慮して適宜に適用されるが、一般的には2〜30時間程度を適用することになる。
【0037】
上記方法によって生成された反応物をろ過、洗浄してから乾燥させることにより、球形のフラン樹脂粒子が得られる。
【0038】
本発明によって製造された球形フラン樹脂粒子を炭化及び水蒸気活性化させると、強度が増加された多孔性球形活性炭素が得られる。強度が増加された多孔性活性炭素とは、球形フラン樹脂を炭化及び水蒸気活性化(500℃の温度で1時間加熱して炭化させ、ロータリー式外熱炉を用いて、水蒸気下において900℃の温度で140分加熱)した時、少なくとも10N/sphere以上の圧縮強度を有する多孔性活性炭素を意味する。この多孔性活性炭素の強度は、ピッチを原料にして製造した活性炭素の強度に比べて、最小2倍〜最大10倍以上の強度を有する。
【0039】
特に、従来のピッチを原料とする多孔性活性炭素の場合、圧縮強度が著しく低いため、医薬品として固形の単位剤形に製剤化しようとする場合、例えば、カプセルに充填させる場合は、充填過程で活性炭素が損なわれるという問題点があった。ところが、経口吸着剤は、1回の服用量が数gに近いので、これを散剤で服用する場合、嘔吐など投薬の不便さを誘発することが多く、このため、実際の投薬現場では、オブラートなどの補助手段を用いた投与が行われている実情である。従って、投薬の利便性を大幅に増進させられる単位固形製剤に対する必要性があるため、本発明においては、圧縮強度の大きい球形フラン樹脂を製造し、炭化及び水蒸気活性化の後、結果物として多孔性球形活性炭素を得る計画である。
【0040】
従来のピッチを原料とする多孔性活性炭素の場合、圧縮強度が著しく低いため、化学防護服の内皮に接着しても破損の恐れがある。故に、圧縮強度の大きい球形フラン樹脂製造の必要性が高いと言える。
【0041】
本発明による球形活性炭素の平均粒子径、圧縮強度は、下記のような方法によって測定する。
【0042】
(1)平均粒子径
【0043】
レーザー回折式粒度分布粒度測定装置(Sympatec社製、HELOS Particle Size Analysis)を用いて体積基準の粒度累積線図を作成し、Volume Mean Diameter(VMD)に該当する粒子径を平均粒子径とした。
【0044】
(2)強度測定
【0045】
球形活性炭素の強度は、圧縮強度機(Digitech社製、AFK−500TE)を用いて、下記のように測定した。
【0046】
測定しようとする球形活性炭素試料1粒を、圧縮強度機Tipの中間に来るように置いた後、圧縮強度機を20mm/minの速度で下降させ、最初の球形活性炭素が破壊される強度を圧縮強度値とした。上記のような方法で球形活性炭素試料22粒を各々測定してから、最大値と最小値を除いた20粒の測定値を平均として圧縮強度値を求めた。
【0047】
以下、本発明は下記の実施例及び比較例に基づいて説明される。下記実施例及び比較例は、本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明が下記の実施例及び比較例に限定されるものではない。
【発明を実施するための形態】
【0048】
実施例1
【0049】
フルフリルアルコール100重量部を基準として、35wt%ホルムアルデヒド水溶液14重量部、尿素10.5重量部、水130重量部を混合して攪拌し、5wt%水酸化ナトリウム水溶液を少量入れて、pH8.5に合わせた後、70℃で2時間攪拌する。2時間後、フルフリルアルコール100重量部、アラビアガム0.2重量部、マレイン酸1.5重量部を混合して70℃に加熱して添加した後、さらに2時間攪拌する。2時間の攪拌後、98℃に昇温させ、8時間後反応を終了させる。終了後、反応物を室温まで冷却し、ろ過、洗浄することによって球形フラン樹脂粒子が得られる。得られた球形フラン樹脂を、イメージ分析プログラムのi−Solution(IMT i−Solution Inc.製)を用いて100倍率で測定し、図1に示した。
【0050】
実施例2
【0051】
フルフリルアルコール100重量部を基準として、35wt%ホルムアルデヒド水溶液6.5重量部、尿素5重量部、水130重量部を混合して攪拌し、5wt%水酸化ナトリウム水溶液を少量入れて、pH8.5に合わせた後、70℃で2時間攪拌する。2時間後、フルフリルアルコール100重量部、アラビアガム0.2重量部、マレイン酸1.5重量部を混合して70℃に加熱して添加した後、さらに2時間攪拌する。2時間の攪拌後、98℃に昇温させ、8時間後反応を終了させる。終了後、反応物を室温まで冷却し、ろ過、洗浄することによって球形フラン樹脂粒子が得られる。得られた球形フラン樹脂を、イメージ分析プログラムのi−Solution(IMT i−Solution Inc.製)を用いて100倍率で測定し、図2に示した。
【0052】
実施例3
【0053】
フルフリルアルコール100重量部を基準として、35wt%ホルムアルデヒド水溶液14重量部、尿素10.5重量部、水130重量部を混合して攪拌し、5wt%水酸化ナトリウム水溶液を少量入れて、pH8.5に合わせた後、70℃で2時間攪拌する。2時間後、フルフリルアルコール100重量部、アラビアガム0.2重量部、マロン酸1.5重量部を混合して70℃に加熱して添加した後、さらに3時間攪拌する。3時間の攪拌後、98℃に昇温させ、10時間後反応を終了させる。終了後、反応物を室温まで冷却し、ろ過、洗浄することによって球形フラン樹脂粒子が得られる。得られた球形フラン樹脂を、イメージ分析プログラムのi−Solution(IMT i−Solution Inc.製)を用いて100倍率で測定し、図3に示した。
【0054】
比較例1
【0055】
フルフリルアルコール100重量部を基準として、35wt%ホルムアルデヒド水溶液30重量部、尿素22重量部、水130重量部を混合して攪拌し、5wt%水酸化ナトリウム水溶液を少量入れて、pH8.5に合わせた後、70℃で4時間攪拌する。4時間後、フルフリルアルコール100重量部、アラビアガム0.2重量部、マレイン酸1.5重量部を混合して70℃に加熱して添加した後、さらに3時間攪拌する。3時間の攪拌後、98℃に昇温させ、15時間後反応を終了させる。終了後、反応物を室温まで冷却し、ろ過、洗浄することによって球形フラン樹脂粒子が得られる。得られた球形フラン樹脂を、イメージ分析プログラムのi−Solution(IMT i−Solution Inc.製)を用いて40倍率で測定し、図4に示した。
【0056】
比較例2
【0057】
フルフリルアルコール100重量部を基準として、35wt%ホルムアルデヒド水溶液55重量部、尿素40重量部、水130重量部を混合して攪拌し、5wt%水酸化ナトリウム水溶液を少量入れて、pH8.5に合わせた後、70℃で4時間攪拌する。4時間後、フルフリルアルコール100重量部、アラビアガム0.2重量部、マレイン酸1.5重量部を混合して70℃に加熱して添加した後、さらに5時間攪拌する。5時間の攪拌後、98℃に昇温させ、24時間後反応を終了させたが、生成された物質はなかった。
【0058】
上記実施例1,2,3において得られた球形フラン樹脂粒子を、外熱式ロータリーキルンを用いて、窒素雰囲気下において500℃の温度で1時間加熱して炭化させ、ここで得られた球形炭素粒子を、外熱式ロータリーキルンを用いて、窒素雰囲気下において水蒸気を注入し、900℃の温度で140分加熱することによって球形活性炭素を得た。これを活性化工程と言う。各々の実施例に対する平均粒子径及び圧縮強度の結果は下記の表に記した。
【0059】
【表1】
【0060】
上記の表から明らかなように、尿素を少量混合することによって、アルデヒド類を著しく少量用いることができ、既存に提示された無機酸やアルキルベンゼンスルホン酸類を用いることなく、酸触媒のpKaが高くても圧縮強度の高い球形フラン樹脂粒子を得ることができた。さらに、本発明によって製造された球形フラン樹脂粒子から得られる球形活性炭素の圧縮強度も高くて取り扱いやすい。
【0061】
以上、本発明の内容の特定の部分を詳細に記述したところ、図面に例示されたものに限定されるものではなく、当業界における通常の知識を有する者にとって、このような具体的な技術はただの好ましい実施様態に過ぎず、これによって本発明の範囲が制限されるものではないことは明白である。よって、本発明の実質的範囲は、添付された請求項と、それらの等価物によって定義されるものである。
図1
図2
図3
図4