(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記上布団は上布団本体及びこの上布団本体を収容した上布団カバーから構成され、前記下布団は下布団本体及びこの下布団本体を収容した下布団カバーから構成されていて、
前記上布団カバーと前記下布団カバーが着脱可能に連結されていることを特徴とする請求項1記載の掛け布団。
前記上布団カバーの長手方向の一端部で、幅方向の少なくとも一端部の上面には、前記利用者が手を掛けるための手掛け部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の掛け布団。
【背景技術】
【0002】
就寝時などに利用者が掛け布団を掛けて利用した場合、前記掛け布団の上端と、利用者の身体の、とくに襟元の部分に隙間が生じ易いということがある。しかも、その隙間は利用者が寝返りを打って寝姿勢を上向きから横向きに変えた場合にはさらに大きくなるから、前記隙間によって前記掛け布団による保温性が大幅に低下するということがある。
【0003】
そこで、前記掛け布団を、上布団と、この上布団よりも幅寸法が小さく形成され前記上布団の下側にこの上布団と一体的に設けられた下布団によって構成することが提案されている。
【0004】
このような構成の掛け布団によれば、前記上布団と前記下布団との二層構造であること、利用時には幅寸法の小さな前記下布団が前記上布団よりも大きく湾曲して垂れ下がり易いために利用者の身体を覆い易くなることなどによって保温性の向上を図ることができるということがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、
図12に示すように上述した構成の掛け布団1を、幅方向の両側に側柵2を有する介護用のベッド3に用い、ベッド3上に仰臥する利用者Uに前記掛け布団1を掛けたとき、その掛け布団1の上布団1aの幅方向の両端部が前記側柵2の上端部に乗り上げた状態になり易いということがある。
【0007】
その場合、前記掛け布団1の下布団1bは利用者Uの身体を覆うものの、上布団1aは両端部が前記側柵によって持ち上げられたままの状態となり、利用者Uの身体を良好に覆わない状態となるから、掛け布団1の二層構造の利点が発揮できず、保温性が低下するということになる。
【0008】
さらに、前記上布団1aの幅方向の両端部が前記側柵2の上端部に乗り上げた状態で、
図12に示すように利用者Uが上向きの状態から、横向きになる状態に寝返りを打つと、前記上布団1aの幅方向の一端部は側柵2からずれ落ちて利用者Uの身体を覆うものの、他端部側は側柵2上に乗り上げた状態のままになるから、その場合も良好な保温性が得られないということになる。
【0009】
この発明は、上布団と下布団との二層構造の掛け布団において、上布団の幅方向の両端部を屈曲し易くすることで、前記上布団の幅方向の両端部がベッドの側柵に乗り上げた状態になり難くいようにした掛け布団を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、幅方向の両側に側柵を有するベッドに横臥した利用者を覆う掛け布団であって、
幅寸法が前記ベッドの幅寸法よりも大きく形成された上布団と、
幅寸法が前記上布団の幅寸法よりも小さく形成され、前記上布団の下面の幅方向の中央部分に上面の幅方向中央部分を連結して設けられる下布団と、
前記上布団の少なくとも幅方向の両端部に、前記幅方向と交差する長手方向に沿って設けられ前記幅方向の両端部を屈曲し易くするキルティングラインと
を具備したことを特徴とする掛け布団にある。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、上布団の幅方向の少なくとも両端部に長手方向に沿うキルティングラインを設け、その幅方向の両端部を屈曲し易くしたから、ベッドに仰臥した利用者に掛け布団を掛けたとき、その上布団の両端部がベッドの側柵の上端に掛かっても、その両端部は屈曲し易いため、側柵の上端部に掛かったままの状態になるのが防止される。
【0014】
そのため、上布団は利用者の身体を確実に覆うことになるから、掛け布団による保温性が低下するのを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の一実施の形態を
図1乃至
図10を参照しながら説明する。
図1に示す掛け布団11は上布団12と下布団13を有する。前記上布団
12は
図2に示す上布団本体14と、
図4に示す前記上布団本体14を収容する上布団カバー15によって構成されている。前記上布団本体14は布地がたとえばシングルサイズの幅寸法(1500mm)を有する袋状に縫製され、その内部には
図6に示すように羽毛などの保温材14aが充填されている。
【0018】
前記上布団
12には、前記上布団本体14の内部空間を複数の空間部に隔別するために、
図2に示すようにキルティングライン16が格子状に施されている。つまり、前記上布団本体14には、長手方向に沿う複数の前記キルティングライン16と、幅方向に沿う複数の前記キルティングライン16が設けられている。
【0019】
前記上布団本体14の長手方向(縦方向)に沿う複数の前記キルティングライン16は、前記上布団本体14の幅方向(横方向)に所定間隔で設けられ、幅方向外側の一対の前記キルティングライン16は前記上布団本体14の幅方向の両端部に設けられている。
【0020】
前記上布団本体14にキルティングライン16を設けることで、この上布団本体14を有する前記上布団
12は、前記キルティングライン16の箇所で上下方向に屈曲し易い状態となる。とくに、前記上布団
12の幅方向の両端部に前記キルティングライン16が設けられていることで、前記上布団
12の幅方向の両端部が長手方向全長にわたって上下方向に屈曲し易い状態となっている。
【0021】
なお、
図2では前記キルティングライン16を前記上布団本体14の幅方向に対してほぼ等間隔で設けるようにしたが、幅方向両端部に行くにつれて前記キルティングライン16の間隔と小さくして設けるようにしてもよい。そうすれば、前記上布団本体14の幅方向の両端部を、さらに上下方向に屈曲し易い状態とすることができる。
【0022】
前記下布団13は
図3に示す下布団本体17と、
図5に示す前記下布団本体17を収容する下布団カバー18によって構成されている。前記下布団本体17は布地を前記上布団本体14の幅寸法よりも小さな幅寸法で、シングルベッドの幅寸法と同等或いはわずかに小さな幅寸法、たとえば1100mmの幅寸法を有する袋状に縫製され、その内部には
図7に示すように羽毛などの保温材17aが充填されている。
【0023】
前記下布団13には、前記下布団本体17の内部空間を複数の空間部に隔別するために、
図3に示すようにキルティングライン19が格子状に施されている。つまり、前記下布団本体17には、長手方向に沿う複数の前記キルティングライン19と、幅方向に沿う複数の前記キルティングライン19が設けられている。
【0024】
前記下布団本体17にキルティングライン19を設けることで、この下布団本体17を有する前記下布団13は前記キルティングライン19の箇所で上下方向に屈曲し易い状態となっている。
【0025】
図4に鎖線で示すように、前記上布団12の下面となる前記上布団カバー15の面には、その面の幅方向中央部分に、左右一対のオスホック22が長手方向に沿って所定間隔で設けられている。
【0026】
図5に示すように、前記下布団13の上面となる前記下布団カバー18の面には、その面の幅方向中央部分に、前記オスホック22に対応して左右一対のメスホック23が長手方向に沿って所定間隔で設けられている。
【0027】
そして、前記オスホック22に前記メスホック23を係着させることで、前記上布団12に前記下布団13を着脱可能に連結することができる。つまり、前記オスホック22と前記メスホック23とで前記上布団12に前記下布団13を着脱可能に連結する連結手段を構成している。連結手段としてはホックに限られず、面状ファスナーなど、他の手段であっても差し支えない。
【0028】
さらに、
図4と
図5に示すように前記上布団12と、前記下布団13との利用者の頭部側となる長手方向の一端部には、それぞれ複数本、この実施の形態ではそれぞれ3本の連結紐24a,24bが一端を各布団カバー15,18に連結して延出されている。
【0029】
そして、前記上布団12の下面に前記下布団13の上面を前記ホック22,23によって連結した後、各連結紐24a,24bを結ぶことで、前記上布団12と前記下布団13の一端部側がずれ動かないよう連結することができるようになっている。
【0030】
図4に示すように、前記上布団12の上布団カバー15の上面の、利用者の頭部側となる長手方向の一端部の幅方向の両端部には、それぞれ利用者が手を掛けて前記掛け布団11を上下方向に動かすためなどに用いられる手掛け部26が設けられている。
【0031】
図8(a),(b)に示すように前記手掛け部26は布地や樹脂などのシート状の材料によって所定長さの帯状に形成された手掛け部材27を有する。この手掛け部材27の両端部にはオスホック28が設けられている。
【0032】
前記上布団カバー15の上面の長手方向の一端部の幅方向の両端部には、4つのメスホック29が千鳥状に設けられている。
図8(a),(b)に示すように、前記上布団カバー15の幅方向に離間する一対のメスホック29の3箇所の間隔dは、前記手掛け部材27に設けられた一対の前記オスホック28の間隔と同等或いはわずかに小さく設定されている。
【0033】
それによって、前記手掛け部26の手掛け部材27は、
図8(a)、(b)に実線で示す位置或いは
図8(b)に鎖線で示す位置に着脱可能に取り付けることができるようになっている。つまり、前記手掛け部材27は取り付け位置の変更可能に設けられている。
【0034】
前記上布団12の前記上布団カバー15に一対の前記手掛け部26を設けることで、後述するようにベッド3に仰臥した利用者U(
図9に示す)が前記手掛け部材27と前記上布団カバー15との間に手を差し込むことで、前記上布団12を引き上げることができる。
【0035】
つまり、手指が不自由で、握力がないなどの利用者Uであっても、前記手掛け部材27を利用して前記上布団12を引っ張り、利用者Uに対する掛け位置を変えることができる。
【0036】
しかも前記手掛け部材27は前記上布団カバー15に対する取付け位置を変更することができるから、取付け位置を利用者Uの使い易い位置にすることができるばかりか、洗濯時などには前記上布団カバー15から取り外すこともできる。
【0037】
なお、上述した一実施の形態では前記手掛け部26は、前記オスホック28を有する前記手掛け部材27及び前記上布団カバー15に設けたメスホック29によって構成したが、前記上布団カバー15の幅方向両端部に、前記上布団カバー15と一体的に布地を袋状などの手を掛けることができる形状に形成して手掛け部材としてもよい。また、ホックに代わり面状ファスナーを用いて前記手掛け部材27を前記上布団カバー15に着脱可能に設けるようにしてもよい。
【0038】
上述した構成の掛け布団11は、たとえば
図9に示すように側柵2を有するシングルのベッド3で用いられる。前記掛け布団11の上布団12は保温性の向上を図るため、ベッド3の幅寸法よりも大きな幅寸法に形成されている。
【0039】
そのため、前記ベッド3に仰臥した利用者Uに前記掛け布団11を掛けるとき、その上布団12の幅方向の両端部が前記側柵2の上端に掛かることがある。従来では
図11に示すように、掛け布団1の幅方向の両端部が前記側柵2の上端に掛かった状態のままとなることがあるため、上布団1aと下布団1bとの間に隙間が生じ、利用者Uに対する保温性が低下するということがあった。
【0040】
これに対し、この発明の前記掛け布団11の上布団12には、少なくとも幅方向の両端部にキルティングライン19を設け、このキルティングライン19によって前記掛け布団11の幅方向の両端部を屈曲し易い状態にしている。
【0041】
そのため、前記ベッド3に仰臥した利用者Uに前記掛け布団11を掛けるとき、その上布団12の幅方向の両端部が前記側柵2の上端に当たると、その両端部は上方に屈曲し易いため、前記側柵2の上端に掛かった状態のままになるのが防止され、前記ベッド3の上面に落下する。
【0042】
その結果、
図9に示すように前記上布団12と前記下布団13との間に隙間が生じるのが防止されるから、前記掛け布団11による保温性が低下するということがない。
【0043】
つまり、たとえば介護者がベッド3上の利用者Uに前記掛け布団11を掛ける際、その状態を介護者が確認し忘れたり、確認を怠るようなことがあっても、前記上布団12は利用者Uを確実に覆うことになるから、保温性の低下を招くことのない状態となる。
【0044】
前記上布団12の幅方向の両端部が
図9に示すように前記側柵2の上端からずり落ちた状態にあれば、その状態でベッド3上の利用者Uが
図10に示すように寝返りを打ったとき、前記上布団12の寝返り方向の幅方向の一端部が浮き上がった状態のままになるということがないから、前記上布団12による良好な保温性が維持される。
【0045】
前記上布団12の前記上布団カバー15の幅方向両端部にはそれぞれ手掛け部26が設けられている。そのため、ベッド3に仰臥した利用者Uの手指が不自由であっても、一対の前記手掛け部26の手掛け部材27に両手の手首をそれぞれ差し込むことで、前記上布団12を容易に引き上げることができる。
【0046】
つまり、前記掛け布団11がベッド3上に仰臥した利用者Uの身体の下方へづれているような場合、手指が不自由な利用者Uであっても、介護者の手を煩わすことなく、前記掛け布団11を比較的容易に引き上げることができる。
【0047】
なお、上述した実施の形態では、掛け布団は側柵を有するベッドに用いることを例に挙げて説明したが、ベッドでない寝具、たとえば畳の上に敷かれた布団などの寝具で寝る場合であっても、利用することができる。
【0048】
その場合、掛け布団の上布団の幅方向の両端部が下方に折れ曲がり易いことによって、その幅方向の両端部が畳などの寝具の上面に隙間が生じ難い状態で接触するから、そのことによって保温性を高めることができる。
【0049】
また、上布団に設けられる手掛け部材の両端をホックによって取付けるようにしたが、一方をホックによって着脱可能とし、他方を上布団カバーに逢着してもよい。
【0050】
また、実施の形態では上布団カバーと下布団カバーとをホックによって着脱可能に連結した構成を例に挙げて説明したが、前記上布団カバーと下布団カバーとは一体的に縫製した構造であっても差し支えない。そのような構成によれば、使用中に下布団が上布団から外れて落下するのを防止することができる。
【0051】
また、手掛け部は掛け布団の上面の長手方向一端部の幅方向の両端部にそれぞれ設ける場合を例に挙げて説明したが、手掛け部は幅方向の両端部以外の箇所に2つあるいは中央部分に1つ設けるようにしてもよく、要はその数や設ける位置は限定されるものではない。