特許第6557691号(P6557691)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6557691
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】腰掛作業用台車
(51)【国際特許分類】
   A01B 75/00 20060101AFI20190729BHJP
   A01B 69/00 20060101ALI20190729BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
   A01B75/00
   A01B69/00 302
   B60L15/20 S
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-29162(P2017-29162)
(22)【出願日】2017年2月20日
(65)【公開番号】特開2018-134006(P2018-134006A)
(43)【公開日】2018年8月30日
【審査請求日】2017年12月7日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成28年11月11日、平成28年11月12日にアミューズ豊田に於いて開催された第6回いわた産業振興フェアにて発表
(73)【特許権者】
【識別番号】000106944
【氏名又は名称】シナノケンシ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】特許業務法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】板橋 頼行
(72)【発明者】
【氏名】丸山 和幸
【審査官】 後藤 慎平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−236695(JP,A)
【文献】 特開2013−066395(JP,A)
【文献】 特開2006−256401(JP,A)
【文献】 特開2014−125191(JP,A)
【文献】 特開2010−119199(JP,A)
【文献】 特開平10−023613(JP,A)
【文献】 特開2017−012546(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 71/00−79/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者が座る座部が設けられた車体フレームと、
前記車体フレームの長手方向一端側に設けられた操舵車輪と、
前記車体フレームの長手方向他端側に設けられ正逆回転駆動可能なモータのモータ軸に車輪が連結された一対の駆動車輪と、
前記各モータに対して電源を供給する電源部と、
前記各モータの駆動時間やモータ出力を含む回転動作を制御する制御部と、を備え、
作業者が前記車体フレームの座部に座ったまま地面をけり出す作業動作に伴って前記駆動車輪を回転させると、前記制御部は前記各モータに内蔵されたセンサ素子若しくは前記モータに発生する逆起電力から回転動作及び回転方向を検出し、前記モータを駆動制御して前記車体フレームを作業者が移動したい方向に追従して移動させることを特徴とする腰掛作業用台車。
【請求項2】
前記操舵車輪は、前記車体フレームに対して回動可能に軸支された自在車輪である請求項1記載の腰掛作業用台車。
【請求項3】
前記モータはモータ基板を内蔵した金属ケース体に収納され、前記モータ基板と電気的に接続され、モータ情報を送受信可能な無線通信装置が前記金属ケース体に重ねて組み付けられた樹脂ケース体に収納されている請求項1又は請求項2記載の腰掛作業用台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば作業者が台車に腰を掛けたまま移動しながら農作業を行なえる腰掛作業用台車に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、畑やビニールハウス内等で畝と畝との間に沿って移動しながら種まき、草取り、収穫等の農作業を行う場合、作業者がしゃがみ込んだ状態で畝間を移動しながら手作業を行う必要がある。この農作業の作業効率を高め、楽な姿勢で作業を行えるようにするため腰掛作業用台車が提案されている。
【0003】
車体フレームに装着された前車輪軸と後車輪軸との間にモータ及びバッテリーを搭載しモータと後車輪軸との間にクラッチを含む回転伝達機構が設けられている。作業者は車体フレームの前側に設けられた足台に足をのせて制御ペダルを踏むことによりモータ駆動を制御するようになっている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−66395号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した腰掛作業用台車は、作業者が車体に腰掛けるだけでなく足台に足を乗せて制御ペダルを踏むことによりモータを駆動制御して移動するようになっている。よって、作業者が作業姿勢と移動姿勢とで向きが異なるため、作業姿勢のまま移動することができない。よって、台車を移動するには逐一制御ペダルを踏む必要があるため同じ姿勢で継続した作業が行い難いという課題がある。また、車体フレームの前側に設けられた足台に制御ペダルが設けられており台車の移動方向が決まっているため、臨機応変に台車を進退移動することができない。
また、腰掛作業用台車には、モータの駆動を伝達する回転伝達機構やクラッチが設けられているため、複雑な機構で重量も重くなり製造コストも嵩むうえに、作業者の作業動作に追従して台車を移動させることは困難である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はこれらの課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、入力操作を無くして作業者の作業動作に追従して台車の進退移動を行うことができ、作業性と使い勝手を向上させ、かつ小型軽量で安価に製造可能な腰掛作業用台車を提供することにある。
【0007】
本発明に係る腰掛作業用台車は、上記目的を達成するため、次の構成を備える。
作業者が座る座部が設けられた車体フレームと、前記車体フレームの長手方向一端側に設けられた操舵車輪と、前記車体フレームの長手方向他端側に設けられ正逆回転駆動可能なモータのモータ軸に車輪が連結された一対の駆動車輪と、前記各モータに対して電源を供給する電源部と、前記各モータの駆動時間やモータ出力を含む回転動作を制御する制御部と、を備え、作業者が前記車体フレームの座部に座ったまま地面をけり出す作業動作に伴って前記駆動車輪を回転させると、前記制御部は前記各モータに内蔵されたセンサ素子若しくは前記モータに発生する逆起電力から回転動作及び回転方向を検出し、前記モータを駆動制御して前記車体フレームを作業者が移動したい方向に追従して移動させることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、車体フレームに座ったまま作業を行う作業者が地面をけり出していずれかの方向に駆動車輪を回転させると、制御部はモータを駆動制御して車体フレームを作業者が移動したい方向に追従して移動させる。具体的には、作業者が台車に腰掛けたまま格別な入力操作を行わずに車体フレームを所定方向にわずかに移動させるだけで制御部はモータを所定出力、所定時間、所定距離のいずれか若しくはこれらの組み合わせによりモータを駆動制御して車体フレームに座ったまま移動することができる。
よって、作業者が作業姿勢のまま入力操作を行わずに移動したい方向に車体フレームを移動させて作業を継続することができる。また、駆動車輪にモータが連結された簡素な構造であるため、車体重量も軽く、小型軽量で安価に製造することができる。
【0010】
前記操舵車輪は、前記車体フレームに対して回動可能に軸支された自在車輪であることが好ましい。これにより、台車の進行方向を自在に変更することができる。また、モータは、前輪側若しくは後輪側の少なくともいずれか一対の車輪軸に設けられていればよいが、4輪すべてにモータが設けられていてもよい。
【0011】
前記モータはモータ基板を内蔵した金属ケース体に収納され、前記モータ基板と電気的に接続され、モータ情報を送受信可能な無線通信装置が前記金属ケース体に重ねて組み付けられた樹脂ケース体に収納されていることが好ましい。
これにより、携帯端末、タブレット端末等から予め無線通信装置を通じてブルートゥース(登録商標)等の近距離無線通信規格を用いて制御部とデータ通信を行うことで、モータの制御動作に必要なパラメータの設定を行うことができる。パラメータの設定例として、モータ出力、モータ動作時間、動作速度、停止時間、動作開始検出感度等を設定することができる。例えばモータの出力を弱めに設定することで、台車の移動をアシストとして利用することができ、また動作検出感度を鈍らせることで、作業者の作業動作に追従して台車が頻繁に移動してしまうのを防ぐことができる。
【0012】
尚、無線通信機能を使うまでもなく、制御部に対して有線通信によりデータ入力を行なってパラメータ設定を行なうようになっていてもよい。
また、金属ケース体及び樹脂ケース体は使用環境を考慮して防水構造(シール構造)を備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
入力操作を無くして台車の進退移動を行うことができ、作業性と使い勝手を向上させ、かつ小型軽量で安価に製造可能な腰掛作業用台車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】腰掛作業用台車の正面図である。
図2図1の腰掛作業用台車の左側面図である。
図3図1の腰掛作業用台車の右側面図である。
図4図1の腰掛作業用台車の制御系のブロック構成図である。
図5】モータの側面図である。
図6】モータの斜視図である。
図7】他例に係る腰掛作業用台車の正面図及び左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る腰掛作業用台車の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。本実施例は、インナーロータ型モータに送受信機能を有する無線通信モジュールを搭載したモータが駆動車輪に同軸に設けられた腰掛作業用台車を例示して説明する。
【0016】
先ず、腰掛作業用台車の概略構成について図1乃至図6を参照して説明する。
図1に示すように、車体フレーム1は、金属フレーム材(アルミニウム材、ステンレススチール材等)を例えば矩形状に組み合わせて形成され、車体フレーム1の上面には作業者が座る座部2(椅子)が設けられている。座部2は、背もたれがついている椅子のような形態であってもよい。この場合には、車体フレーム1の進行方向と直交する向きに座って作業することができるように回転式の椅子であることが好ましい。
【0017】
また、車体フレーム1の長手方向一端側には一対の操舵車輪3が設けられている。
操舵車輪3は、車体フレーム1に対して回動可能に軸支された自在車輪が用いられる。操舵車輪3は、門形に形成された軸受部材3aの対向する一対の側面部3b操舵車輪3が回転自在に軸支されている。軸受部材3aの天面部3cに回動軸3dの一端が一体に連結されており、回動軸3dの他端は車体フレーム1に回動自在に軸支されている。これにより、台車の進行方向を自在に変更することができる。尚、操舵車輪3は、必ずしも一対設ける必要はなく一輪であってもよい。
【0018】
また、車体フレーム1の長手方向他端側には一対の側板1aが垂下して設けられている。この側板1aの外側面には駆動車輪4が各々軸支されている。また、側板1aの内側面には、正逆回転駆動可能なモータ5がモータ軸に駆動車輪4が連結されて各々一体に軸支されている。車体フレーム1には、各モータ5に対して電源を供給するバッテリー6(電源部)が搭載されている。
【0019】
各モータ5には、後述するようにモータ駆動回路12(図4モータドライバー12参照:制御部)が設けられており、モータ5の駆動動作(駆動時間、駆動速度、出力トルク等)を制御する。モータ駆動回路12には、車体フレーム1の座部2に座った作業者の作業動作に伴って駆動車輪4が回転するとモータ5の回転子5a(図5参照)の回転動作及び回転方向を検出した検出信号が入力される。このとき、モータ駆動回路12は、モータ5を所定時間起動運転して車体フレーム1をモータ5の回転方向に移動させるようになっている。
【0020】
上記構成によれば、車体フレーム1に座ったまま例えば作業者がいずれかの方向に移動しようと駆動車輪4を回転させると、モータ駆動回路12(図4参照)は各モータ5の回転子5aの回転動作及び回転方向を検出して、各モータ5を所定出力、所定時間、所定距離のいずれか若しくはこれらの組み合わせにより駆動制御して車体フレーム1を移動させる。
よって、作業者が作業姿勢のまま入力操作を行わずに移動したい方向に車体フレーム1を追従させて移動させ作業を継続することができる。また、駆動車輪4にモータ5が連結された簡素な構造であるため、車体重量も軽く、小型軽量で安価に製造することができる。
【0021】
上述したモータ駆動回路12には、各モータ5に内蔵されたセンサ素子(ホールIC7a等)若しくはコイルに発生する逆起電力により回転子5aの回転動作及び回転方向を検出して各モータ5を所定出力、所定時間、所定距離のいずれか若しくはこれらの組み合わせで駆動制御して車体フレーム1を走行させるようになっている。
これにより、作業者が格別な入力操作を行わずに重心の移動や作業姿勢の変更により車体フレーム1を所定方向にわずかに移動させるだけで台車に腰掛けたまま移動することができる。
また、座部2に前進若しくは後退に対応する複数の荷重センサ15(図4参照:ロードセル等)を設けて車体フレーム1に作用する荷重変動(作業者の重心移動)を検出した場合に、モータ駆動回路12(図4参照)がモータ5を起動して台車の移動を行うようにしてもよい。
更には、作業者が地面をけり出す強度に応じてモータ駆動回路12に検出される検出信号の大きさ、速度、時間等も変わることから、これらに応じてモータ5の制御動作を変更してもよい。例えば、作業者が地面を強くけり出せば車体フレーム1の移動する距離が延び、弱くけり出せば移動する距離が短縮するように、モータ駆動回路12はモータ5を駆動制御するようにしてもよい。
【0022】
操舵車輪3は、車体フレーム1に対して回動可能に軸支された自在車輪であることが好ましい。これにより、台車の進行方向を自在に変更することができる。
また、モータ5は、前輪側若しくは後輪側の少なくともいずれか一対の車輪軸に設けられていればよいが、4輪すべてにモータ5を設けてもよい。この場合には、車体フレーム1より側板1aを前後輪に対応して各々一対ずつ設けて、モータ5及び駆動車輪4を各々支持することが望ましい。
【0023】
図5に示すように、各モータ5はモータ基板7を内蔵した金属ケース体8を備えている。金属ケース体8には樹脂ケース体9が重ねて一体に組み付けられている。樹脂ケース体9には、無線通信モジュール10(無線通信装置)が収納されている。無線通信モジュール10はモータ基板7と電気的に接続されており、モータ情報を無線によりデータ通信できるようになっている。
【0024】
図5に示すように金属ケース体8は、第1ケース体8aと第2ケース体8bを重ね合わせて組み付けられている。具体的には、第1ケース体8aと第2ケース体8bとはシール材を介して重ね合わせてねじ11によりねじ止めされている。金属ケース体8としては、例えばアルミ材が用いられる。金属ケース体8内には、インナーロータ型のモータ5が組み付けられている。また、第2ケース体8b内には駆動伝達機構として減速機5eが設けられている。
【0025】
図5において、モータ5は、インナーロータ型の回転子5aとその周囲に固定子5bを備えている。回転子5aは、回転子軸5cと一体に組み付けられた図示しない回転子ヨークと回転子ヨークの外周に固定された環状の回転子磁石を備えている。また、回転子ヨークの天板部には、回転子5aの位置を検出するための環状のセンサ磁石5dが設けられている。センサ磁石5dは、モータ基板7に設けられたホールIC7a等に対向して配置されている。
【0026】
図5に示すように、固定子5bは、環状の固定子コア(図示せず)が第1ケース体8a及び第2ケース体8bの内周面に位置決めされて一体に組み付けられている。固定子コアは、径方向内側に向かって極歯が突設されている。各極歯にはインシュレータを介してコイルが巻かれている。各極歯は、先端部を回転子5aの回転子磁石と対向配置されている。回転子軸5cの一端側は、回転子ヨークと一体に連結されている。回転子軸5cの他端側は、減速機5eと連結され第2ケース体8bの外方に延設されている。回転子軸5cは、車体フレーム1の側板1aに回転可能に軸支され、駆動車輪4と一体に連結されている(図2参照)。
【0027】
モータ基板7の回転子ヨークに対向する基板面には、センサ磁石5dの磁極位置を検出するセンサ素子(ホールIC7a等)が実装されている。また、モータ基板7の第1ケース体8aに対向する基板面には、CPU、MPU、スイッチング回路等のモータドライバー(モータ駆動回路12:図4参照)が設けられている。
【0028】
図6に示すように、樹脂ケース体9は、第1ケース体8aを覆って重ね合わせてねじ13により一体に固定される。第1ケース体8aの外側面には、無線通信モジュール10が設けられる。無線通信モジュール10とモータ基板7とは電気的に接続されモータ情報を送受信可能となっている。樹脂ケース体9は、例えば難燃性、耐薬品性、耐熱老化性などに優れたPBT(Poly Butylene Terephtalate)樹脂が好適に用いられる。樹脂製であるため、無線電波の障害となることはなく、しかも外部環境から無線通信モジュール10を保護することができる。尚、樹脂ケース体9の一部には、バッテリー6から外部給電用の配線孔としてグロメット9aが設けられている。
【0029】
尚、無線通信機能を使うまでもなく、モータ基板7に対して有線通信によりデータ入力を行なってパラメータ設定を行なうようになっていてもよい。
また、金属ケース体8及び樹脂ケース体9は使用環境を考慮して防水構造(シール材,グロメット等)を備えていることが好ましい。
【0030】
ここで、腰掛作業用台車の制御系について図4のブロック構成図を参照して説明する。モータ基板7に設けられたモータ駆動回路(モータドライバー)12には、モータ5のコイル、或いはホールIC7a等のセンサ素子、エンコーダ等から回転動作及び回転方向を検出する検出信号が入力される。例えば、作業者が車体フレーム1の座部2に座ったまま作業を行い、重心の移動と共に駆動車輪4が回転すると、モータコイルに逆起電力が発生し、この誘起電圧パルスがモータ駆動回路12に入力される。或いは、ホールIC7a、エンコーダ等から検出パルスがモータ駆動回路12に入力される。これらの検出信号をトリガ信号としてモータ5を所定出力、所定時間、所定距離のいずれか若しくはこれらの組み合わせで駆動制御することができる。
【0031】
また、モータ駆動回路12は、送信部10a及び受信部10bを有する無線通信モジュール10とデータ通信するようになっている。また、携帯端末、タブレット端末等の外部端末14から予め無線通信モジュール10を通じてブルートゥース等の近距離無線通信規格を用いてモータ駆動回路(モータドライバー)12とデータ通信を行うこともできる。これにより、モータ5の制御動作に必要なパラメータの設定を行うことができる。パラメータの設定例として、モータ出力(出力トルク)、モータ動作時間、動作速度、停止時間、動作開始検出感度等を設定することができる。例えばモータ出力を弱めに設定することで、台車の移動をアシストとして利用することができ、また動作検出感度を鈍らせることで、作業者の作業動作に追従して台車が頻繁に移動してしまうのを防ぐことができる。
また、座部2に作業者の重心移動(前進若しくは後退)を検出する複数の荷重センサ15を設けて作業者の重心の偏りを検出した場合にモータ駆動回路12がモータ5を駆動制御して台車の移動を行うようにしてもよい。或いは荷重センサ15の検出と駆動車輪4の回転動作の双方を検出したときに各モータ5を駆動制御するようにしてもよい。
【0032】
以上説明したように、作業者が作業姿勢のまま入力操作を行わずに移動したい方向に車体フレーム1を追従させて移動させ作業を継続することができる。また、駆動車輪4にモータ5が連結された簡素な構造であるため、車体重量も軽く、小型軽量で安価に製造することができる。
【0033】
また、図7A,Bに示すように、車体フレーム1から垂下した一対の側板1aの外側面に、モータ5及び駆動車輪4を接続した状態で支持するようにしてもよい。
【0034】
また、モータ5は、ブルートゥース等の近距離無線通信規格を用いて送受信可能となるため、畑やビニールハウス等に台車を配置しておいて、作業を開始する前に外部端末14を使用して遠隔操作により予めモータ出力、モータ動作時間、動作速度、停止時間、動作開始検出感度等のパラメータを設定しておくことが可能となる。また、外部端末14の遠隔操作により、モータ5を起動させて腰掛作業用台車を所望の位置まで自走させるようにしてもよい。
【0035】
上述した実施例は、インナーロータ型のモータ5を例示して説明したが、アウターロータ型のモータであってもよい。
また、モータ5と無線通信モジュール10の配置構成や減速機5eの構成等は適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 車体フレーム 1a 側板 2 座部 3 操舵車輪 3a 軸受部材 3b 側面部 3c 天面部 3d 回動軸 4 駆動車輪 5 モータ 5a 回転子 5b 固定子 5c 回転子軸 5d センサ磁石 5e 減速機 6 バッテリー 7 モータ基板 7a ホールIC 8 金属ケース体 8a 第1ケース体 8b 第2ケース体 9 樹脂ケース体 10 無線通信モジュール 10a 送信部 10b 受信部 11,13 ねじ 12 モータ駆動回路 14 外部端末 15 荷重センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7