(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
撮影時刻および画像データを取得することができる店舗の入り口若しくはゲートから入店する来店者の撮影を行う第1の撮像手段および購入する商品の代金を支払う来店者を撮影する第2の撮像手段と、
前記撮像手段によって取得した画像データに含まれる来店者の顔画像を解析することによって当該来店者に固有の顔識別情報を取得する顔認識手段と、
前記来店者が購入した商品、価格および販売時刻を含む販売履歴情報を前記店舗に設置したキャッシュレジスタを介して取得し管理する商品管理手段と、
前記顔識別情報に関連づけられた販売履歴情報を抽出可能に構成した顧客データベースと、
前記撮像手段によって取得した画像から来店者の顔識別情報を取得するとともに、当該顔識別情報を取得した来店者の画像を選択可能に一覧表示する表示手段を有し、
前記一覧表示された来店者の画像から任意の来店者を選択した場合に、前記顔識別情報に基づいて前記顧客データベースに記録されている前記顔識別情報に関連づけられた販売履歴情報を検索し、記録がある場合には当該顔識別情報に関連づけられた販売履歴情報を表示するように構成し、
前記商品管理手段から当該来店者画像を撮影した時刻若しくは当該時刻を基準として一定時間経過後にキャッシュレジスタを介して取得し記録された販売履歴情報と店舗の棚割りデータを取得して表示するように構成し、
顔認識手段によって特定した同一の来店者における入店から退店に至る店内滞在時間を前記第1の撮像手段による撮影時刻および第2の撮像手段による撮影時刻に基づいて取得して前記顧客データベースに記録する構成したことを特徴とする顧客分析システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
常連客やその店舗に来店する客層に応じて、どのような品揃えをすべきかという分析を行うことは売り上げの向上に欠かすことができないものである。すなわち、どのような商品を仕入れて陳列するのか、どのような商品と組み合わせて品揃えをしたときに売り上げが向上するのか等を客観的な情報として取得できることが好ましい。
【0006】
本発明は当該事情に鑑み発明したものであって、来店者に対する過去の販売履歴をデータベースとして蓄積し分析することにより、所謂常連客の嗜好に沿った品揃えによる売り上げの向上を図ることができる顧客分析システムを提供することを目的とするものである。
また、商品の品揃えや配置(棚割データ)と販売履歴の関係を把握することにより売り上げの向上を図ることが出来る顧客分析システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は以下の構成を有する。すなわち、
店舗に設置した少なくとも一つの撮像手段と、
前記撮像手段によって取得した画像データに含まれる来店者の顔画像を解析することによって当該来店者に固有の顔識別情報を取得する顔認識手段と、
前記来店者が購入した商品、価格および時刻を含む販売履歴情報を前記店舗に設置したキャッシュレジスタを介して取得し管理する商品管理手段と、
前記顔識別情報に関連づけられた販売履歴情報を抽出可能に構成した顧客データベースと、
前記撮像手段によって取得した画像から来店者の顔識別情報を取得するとともに、当該顔識別情報を取得した来店者の画像を選択可能に一覧表示する表示手段を有し、
前記一覧表示された来店者の画像から任意の来店者を選択した場合に、前記顔識別情報に基づいて前記顧客データベースに記録されている販売履歴情報を検索し、記録がある場合には当該販売履歴情報を表示するように構成したことを特徴とする顧客分析システム。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る顧客分析システムは、データベースとして蓄積する来店者の販売履歴を、顔識別情報を取得した画像の撮影時刻を基準とした一定の時間帯における複数のPOSレジの情報(販売履歴データ)の中から選択して得ることが可能になっている。このため、来店者と販売履歴の関連づけが行いやすいという効果を有している。
また、来店者の販売履歴データに販売時の棚割りデータを含めるようになっているので、どのような品揃えの時にどのような商品を購入したのかという来店者の購買分析に使用することができ、品揃えを行う上で貴重な情報を取得できるという効果を有している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態を図を用いて説明する。
図1は、本発明を実施するための一形態である顧客分析システム(以下「本システム」という)1の概要を表した構成図である。
顧客分析システム(本システム)1は、コンビニエンスストア等の店舗Tに設置される店舗設置機器Aと、インターネットIを介して接続された本部に設置される本部設置機器Bによって構成されている。なお、本実施例では一例として本システム1を店舗設置機器Aと本部設置機器Bに分けて設けているが、両機器に相当する手段を同一店舗に全て配置したスタンドアローン型として構成しても差し支えないものである。
【0011】
店舗設置機器Aには、インターネットへの接続機能を有したモデム等の接続装置2が設けられている。本実施の形態に用いる接続装置2は、ルーター機能を備えたハブとして形成されたおり、接続装置2に接続した他の機器を有線若しくは無線によって接続する機能を有している。
接続装置2には、撮像手段として機能する動画撮影カメラ3、顔認識手段として機能する顔認識サーバー4、顧客データ等を処理および記憶する機能を有したWEB/DBサーバー5、POSレジ12に接続された商品管理システム(商品管理手段)6が接続されている。
なお、動画撮影カメラ3および顔認識サーバー4をはじめとした各機器は、接続装置2を中継せずに直接接続するように構成してもよい。また、動画撮影カメラ3は一台に限らず、2台の動画撮影カメラ(3a、3b)若しくは2台以上設けてもよい。
【0012】
本部設置機器Bには、モデム等のインターネットへの接続機能を有した接続装置10が設けられており、接続装置10には情報の表示手段および情報の付加や編集等の操作手段を構成する操作端末11が接続されている。
店舗設置機器Aと本部設置機器BはインターネットIを介して接続されており、両者間でデータの送受信が行われるようになっている。
【0013】
以下、改めて各手段の詳細を説明する。
[撮像手段]
撮像手段として設けた動画撮影カメラ3は、一例として店舗T内に設置した監視カメラを用いることができる。監視カメラには、動画若しくは連続した静止画(以下これらを単に「画像」という)を撮影時刻とともに記録するものを用いている。本実施の形態では、一例として
図2に示すように、出入り口から入店する来店者を撮影する入り口カメラ3a、レジカウンターで商品の購入代金を支払う来店者を撮影するレジカメラ3bを有している。その他、店舗T内を撮影する複数のカメラを加えても良い。
【0014】
[画像記録手段]
撮影した画像は、動画撮影カメラ3に接続された画像記録手段に記録されるようになっている。画像記録手段は、一例として画像データを記録するハードディスクや半導体メモリ等の記録デバイスおよびこれらの制御手段等によって構成される。画像記録手段は画像記録専用の独立した装置として構成する場合の他、コンピュータや所謂クラウドとしてインターネット上に設けられた記憶ドライブを用いることができる。本実施の形態では、顔認識サーバー4若しくはWEB/DBサーバー5が有するデータ記憶手段を画像記録手段として用いている。画像記録手段は、動画撮影カメラ3による撮影中の画像、撮影完了後の画像を、各装置による処理内容に応じて適宜出力・記録可能に構成されている。
【0015】
[顔認識手段]
顔認識手段として機能する顔認識サーバー4は、画像記録手段から画像データを取得し、画像データに含まれる人物の顔画像を解析することによって、その解析した人物固有の特徴を顔識別情報として取得するようになっている。
また、顔識別情報は目、口、鼻の配置といった個人を識別することができる個人固有の情報であり、このような個人毎に異なる顔識別情報を、来店者を特定するための情報としてWEB/DBサーバー5に構築した顧客データベースDBに記録するようになっている。
【0016】
[顔識別情報]
画像データの解析による顔識別情報の取得は、解析する画像ファイルを指定した後は、自動的な処理によって行われるようになっている。画像中に複数の来店者が含まれている場合には、来店者個々に顔識別情報の取得が行われる。なお、このような自動モードによる処理の他、手動操作によって顔認識サーバー4を操作することで特定の人物画像を選定し顔識別情報を取得する手動モードも設けられている。
このような方法で取得した顔識別情報は、顔登録データとして顔画像とともにWEB/DBサーバー5上に構築された顧客データベースDBに記録される。また、顔識別情報は、他の顔識別情報との比較が可能となるように、所定の検索可能な所定のフォーマットで記録されている。
【0017】
[WEB/DBサーバー]
WEB/DBサーバー5は、前述した顔識別情報を検索および抽出可能に構成した顧客データベースDBを構築する手段(顧客データベース構築手段)であり、自装置若しくは他装置からの命令に基づいてデータを検索した結果の一覧を生成し所定のフォーマットで出力する装置であり、その他データの追加、編集等を行う装置ともなっている。また、顧客データベースDBには、顔識別情報に加え販売履歴情報を含む来店者に関する情報が含まれている。この販売履歴情報は、後述する方法によって顧客データベースDBに加えられるようになっている。
【0018】
[顧客データ]
顧客データは、前述した各顧客の顔識別情報と分析対象となる店舗Tでの商品等販売履歴を対応させて記録した情報であり、これらの情報に加えて常連客であるか否かの判定基準となる店舗Tの利用頻度、利用金額に関する情報、主な利用時間等、推定性別、推定年齢等の個人に関連づけられる各種の情報が含まれている。
[顔識別情報]
顔識別情報は、顔認識手段によって生成された情報であり、目、口、鼻等の配置といった個人を識別することができる個人固有の情報である。所定の検索アルゴリズムを利用して、同一若しくは近似する顔識別情報を検索および抽出可能となるように形成された情報である。
【0019】
[商品管理システム]
商品管理システム6は、店舗Tにおける販売履歴情報、棚割りデータ、商品マスタデータ等の商品の管理に関する情報を記憶および処理するものである。また、POSレジ12と接続しており、ジャーナル情報として販売時における商品コード、商品名、代金等に関する各種のデータを取得し記憶、管理するものである。
[棚割りデータ]
棚割りデータは、店舗T内に配置されている複数の棚什器に展示されている商品等に関する情報である。店内に設置された棚什器を特定する番号や記号等の棚情報と、棚情報によって特定される棚什器に陳列されていた商品を日時とともに記録した情報である。
[商品マスタデータ]
商品マスタは、POSレジ12と連動した管理システムによって、バーコード等の識別情報によって商品を特定可能な商品コード、この使用品に関する原価、販売価格、仕入れ、在庫等の総合的な商品の情報である。
【0020】
[販売履歴情報]
販売履歴情報は、店舗Tに設置されているPOSレジ12によって入力された商品、サービスの販売履歴を記憶した情報である。販売履歴情報は、商品等の販売金額、販売時刻、現金による支払い若しくは非現金(クレジットカード、プリペイドカード等)による支払いであるか等の支払い方法の種別、レジ担当者氏名、その他販売に関わる情報がジャーナルデータとして記録されるものである。
【0021】
図2は、上記各手段を有するシステム1を適用する店舗Tの概要図である。店舗Tの形態は様々であるが、入り口若しくはゲートから入店する来店者を撮影する入り口カメラ3aと、POSレジ12の後方から来店者側を撮影するレジカメラ3bを設置している。入り口カメラ3aは店舗Tに入店する来店客の画像を取得し、レジカメラ3bは購入する商品の代金を支払う来店者の画像を取得するものである。
入り口カメラ3aとレジカメラ3bは、一例として店舗Tのバックヤードに設置された動画のストレージを兼ねた顔認識サーバー4に接続されており、店舗内の撮影画像を記録し所定の処理を行うようになっている。また、POSレジ12も同様に店舗Tのバックヤードに設置された商品管理システム(商品管理手段)6を構成するサーバー装置に接続され、顔認識サーバー4および商品管理システム6はWEB/DBサーバー5に接続されることで店舗設置機器Aを構成している。
【0022】
以下、
図3に示したフローチャートを用いて、本システム1に係る情報処理の概要を説明する。
図3に示した処理は、予め動画撮影カメラ3による撮影によって来店者の画像が画像記録手段(顔認識サーバー4若しくはWEB/DBサーバー5)に記録され、顧客データベースDBが構築されている状態からの説明である。
本部設置機器Bの操作端末11を起動(S1)すると、表示手段である操作端末11のディスプレイ上に、来店者の個々の画像を一覧表示する(S2)。この来店者の一覧表示は、動画撮影カメラ3が撮影し画像記録手段に記録した情報を顔認識サーバー4が自動処理することによって生成したものである。この一覧表示は、顔認識が行われ顔識別情報が取得された個々の来店者を、撮影した画像とともに表示するものである。
【0023】
一覧表示された各来店者に関する情報は、来店者を認識した時刻と関連付けられている。例えば入り口カメラ3aの画像によって来店者を認識した場合には、この画像の撮影時刻を入店時刻と看做して、この来店者に関する撮影画像の基準時刻とすることができる。
また、来店者の一覧表示とともに、来店者の店舗T滞在時間を特定し、当該特定時間における撮影画像を見られるようにしてもよい。例えばレジカメラ3bの画像によって来店者を認識した場合には、この画像の撮影時刻を退店時刻と看做すことができる。
上記のように、入店時刻と退店時刻を取得しておくと、来店者の一覧表示において来店者を選択すると、店舗T内における来店者の滞在時間が取得できるので、来店者の行動予測などのマーケティングに有用な情報として使用することができるようになる。
また、レジカメラ3bや別途設けたカメラの撮影画像を指定した時間帯を特定して閲覧可能に構成しておくことができる。このように構成すると、一覧表から来店者を特定することによって、店内滞在時間における来店者の様子を閲覧することができ、例えば来店者の店舗内における動線や、関心を示した棚什器、滞在時間が長い棚什器といった来店者の動向を知ることが出来るようになる。
【0024】
操作端末11では、顔認識サーバー4によって顔識別情報を取得した来店者の画像が時系列的に並べられた状態で一覧表示されるようになっている。この一覧表示されるデータは、店舗Tにおける任意の時間帯で撮影した画像データに基づいて顔認識サーバー4によって自動生成されたものである。
また、操作端末11上に一覧表示する情報が生成されると、表示された一覧から任意の来店者の選択が可能になる。一覧から来店者を選択(S3)すると、この選択された来店者についてWEB/DBサーバー5上に構築された顧客データベースDBに登録されているか否かの判定(登録判定)が行われる(S4)。
【0025】
上記登録判定(S4)において顧客データベースDBに顔識別情報(顔登録データ20)を含む顧客情報が登録されている場合、この顧客データベースDBから顔履歴取得処理(S5)および販売履歴取得処理(S6)として、顔登録データ20および販売履歴データ21の取得が行われる。
次いで、これら顔履歴(顔登録データ20)および販売履歴(販売履歴データ21)の有無が判定され(S7)、顔履歴および販売履歴が無ければ来店者の一覧表示(S2)に戻る。
【0026】
また、顔履歴および販売履歴の有無の判定(S7)において、来店者の顔履歴および販売履歴が有る場合には、この来店者の顔識別情報が取得された時刻(例えば前述した入店時刻)を基準として、約10分程度後の時刻を中心時間帯として販売履歴データ21を一覧表示する(S8)。
この一覧表示された販売履歴データ21の中から、該当する販売履歴を選択(S9)すると、商品管理システム6から棚割りデータ22、商品マスタデータ23等の商品の管理に関する情報が取得され表示される(S10)。
【0027】
上記登録判定(S4)において顧客データベースDBに顔識別情報(顔登録データ)が登録されていない場合、操作端末11の操作者によって顔識別情報の登録を行うか否かが判断される(S11)。
顔識別情報の登録(顔登録)を行わない場合には、顧客データベースDBから顔履歴取得(S5)、および販売履歴取得(S6)が行われ、次いで前述した履歴確認S7以降の処理が実行される。
【0028】
顔識別情報の登録(顔登録)を行うか否かの判断(S11)において顔識別情報の登録を行うと判断した場合には、操作者によって顔識別情報登録(S12)が行われる。この処理が実行されると顔識別情報(顔登録データ)20として登録が行われる(S13)。
【0029】
図4は、本発明を実施するための他の形態である顧客分析システム(以下「システム」という)100の概要を表した構成図である。
システム100の基本的な事項は前述した本システム1と同様であり、主要な構成要素についても同一である。本システム1と異なる点は、店舗設置機器Aとして配置していたWEB/DBサーバー5を、クラウド設置機器Cとして所謂クラウドと称されるインターネット上に配置されたストレージやサーバー出構成されるシステム上に配置した点である。このように所謂クラウド上にWEB/DBサーバー5を設置すると、チェーン店のような複数の店舗を管理するような場合、同一のデータベースを使用して情報の共有・集約をすることができ、効率的なマーケティングを行うことが可能になっている。
【0030】
以上説明した顧客分析システムは、データベースとして蓄積する来店者の販売履歴を、顔識別情報を取得した画像の撮影時刻を基準とした一定の時間帯における複数のPOSレジの情報(販売履歴データ)の中から選択して得ることが可能になっている。このため、来店者と販売履歴の関連づけが行いやすくなっている。
また、来店者の販売履歴データに販売時の棚割りデータを含めるようになっている。これは、どのような品揃えの時にどのような商品を購入したのかという来店者の購買分析に使用することができ、品揃えを行う上で貴重な情報を取得できるものとなっている。