(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
シート状の光学部材を被検査物として光源部と撮像部とを有する検査装置に供給し、前記光学部材を前記光源部と前記撮像部との間を通過させながら該光学部材の一面側に前記光源部から光を照射し且つ該光の照射された箇所を前記光学部材の他面側から前記撮像部で撮像して前記光学部材の欠陥を検出する光学部材の検査方法であって、
前記光学部材を水平方向に対して傾斜させた状態で前記光源部と前記撮像部との間を通過させ、
前記光源部と前記撮像部との間を通過する前記光学部材を移動方向に向けて仰角60°以下の角度で先上りする傾斜状態とし、
前記光源部と前記撮像部との内、前記光学部材の上側に位置するものを前記撮像部による光学部材の撮像箇所の直上よりも該光学部材の移動方向上流側に位置させ、且つ、前記光源部と前記撮像部とを結ぶ線分が、前記光学部材の移動方向に対して直交する方向となるように前記光源部と前記撮像部とを配置して、
前記撮像箇所の直上には前記光源部及び前記撮像部の何れもが存在しない状態で、前記欠陥の検出を実施し、
前記欠陥の検出には、前記光学部材への付着物の検出が含まれることを特徴とする光学部材の検査方法。
前記光学部材が、最表面に粘着層を有し且つ該粘着層の背面側に偏光フィルムが積層された積層体であり、該光学部材を、前記粘着層を上面側にして前記光源部と前記撮像部との間を通過させる請求項1記載の光学部材の検査方法。
シート状の光学部材を検査すべく用いられ、光源部と撮像部とを有し、該光源部と前記撮像部との間を通過する前記光学部材の一面側に前記光源部から光が照射され、該光の照射された箇所が前記光学部材の他面側から前記撮像部で撮像されて欠陥が検出される光学部材の検査装置であって、
前記光源部と前記撮像部との間を通過する光学部材が水平方向に対して傾斜した状態となり、前記光源部と前記撮像部との間を前記通過する光学部材が移動方向に向けて仰角60°以下の角度で先上りする傾斜状態となるように前記光学部材の移動経路が形成されており、前記光源部と前記撮像部との内、前記光学部材の上側に位置するものが前記撮像部による光学部材の撮像箇所の直上よりも該光学部材の移動方向上流側に位置し、且つ、前記光源部と前記撮像部とを結ぶ線分が前記移動経路に対して直交する方向となるように前記光源部と前記撮像部とが配置されており、前記撮像箇所の直上には前記光源部及び前記撮像部の何れもが存在しておらず、
前記欠陥の検出には、前記光学部材への付着物の検出が含まれることを特徴とする光学部材の検査装置。
【背景技術】
【0002】
従来、画像表示装置などの光学製品に適用される光学フィルムとして偏光フィルム(偏光板)が用いられている。
この偏光フィルムは、その少なくとも一方の面上に粘着層を介して保護フィルムが積層され、フィルム積層体として光学フィルムメーカーから光学製品メーカーに向けて出荷され、該光学製品メーカーにおいては、当該保護フィルムが剥離されて画像表示装置に組み込まれたりしている。
【0003】
ところで偏光フィルムは、通常、連続的に作製されて長尺な帯状となっている。
そして、偏光フィルムは、粘着層を介して少なくとも一方の面に前記保護フィルムが積層されたフィルム積層体とされ、さらにこのフィルム積層体がロール状に巻き取られた原反ロールと呼ばれる形で一旦保管される。
その後、打抜きなどにより前記原反ロールから所定形状を有するシート片へと加工され、該シート片が光学製品に組み込むための製品として出荷されている。
【0004】
なお、前記原反ロールは、必ずしも、全面にわたって良品となっているとは限らず、通常、前記打抜き前に検査装置にかけられて欠陥箇所の検出が行われる。
この原反ロールのようなシート状の光学部材を検査する検査装置としては、光源部と撮像部とを有するものが知られており、上下に対向配置された撮像部と光源部との間を被検査物たる光学部材を水平方向に通過させながら該光学部材に下面側から前記光源部により光照射し、該光照射箇所を光学部材の上側から前記撮像部で撮像して欠陥を検出するタイプのものが知られている(下記特許文献1参照)。
また、光学部材を水平にして検査を行うのではなく、光学部材の移動方向が垂直方向となるような検査方法も知られている(下記特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記のような検査装置を用いた検査方法においては、当然ながら撮像部による撮像箇所を通過した後に光学部材に付着した付着物は当該検査装置によって検知することができない。
従って、付着物が最終的な光学製品に持ち込まれて光学製品の歩留まりが低下することを防止する上において、前記撮像箇所を通過した後に付着物を生じさせないことが求められる。
【0007】
特に、光学部材が、最表面に粘着層を有し且つ該粘着層の背面側に前記偏光フィルムが積層された積層体であり、前記光源部と前記撮像部との間を該粘着層を上面側にして通過されるような態様においては、粘着層の表面粘着力により、撮像箇所を通過した後に付着した付着物が自然に光学部材から脱落することを期待することが困難である。
従って、このような態様においては、前記撮像箇所を通過した後に付着物を生じさせないことが特に強く求められる。
このような要望に対し、前記の特許文献2(特開2009−069142)に示されているように、粘着層と偏光フィルムとの積層体の移動方向を垂直方向として検査を行い、撮像箇所を通過した後の付着物の発生を防止することが考えられる。
しかし、その様な検査方法は、積層体の移動方向が垂直となることから装置高さが高くなり、作業性を低下させるおそれがあるために採用することが難しい。
【0008】
なお、撮像箇所を通過した後に付着物を生じさせないことが求められるのは、粘着層付で使用される偏光フィルムに限られるものではなく、その他の光学フィルムについても同様である。
【0009】
しかし、従来の光学部材の検査方法においては、上記のような要望が十分に満足されておらず、光学製品の製造において従来以上に歩留まりを向上させることが困難になっている。
本発明は、このような問題を解決することを課題としており、検査装置自体、或いは、該検査装置を含む光学部材の製造ラインの設備高さが高くなることを抑制しながらも前記撮像箇所を通過した後に光学部材に付着物が生じることを抑制させ得る光学部材の検査方法を提供し、ひいては光学製品の製造における歩留まりを向上させることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討したところ、撮像部や光源部から微小な異物が発生されることがあり、このことが撮像箇所を通過した後の光学部材への付着物の原因となる場合があること、及び、光学部材の上側に位置する撮像部又は光源部を撮像箇所の直上よりも上流側に位置させることが前記付着物の抑制に有効であることを見出し本発明を完成させるに至ったものである。
【0011】
即ち、上記課題を解決するための光学部材の検査方法に係る本発明は、シート状の光学部材を被検査物として光源部と撮像部とを有する検査装置に供給し、前記光学部材を前記光源部と前記撮像部との間を通過させながら該光学部材の一面側に前記光源部から光を照射し且つ該光の照射された箇所を前記光学部材の他面側から前記撮像部で撮像して前記光学部材の欠陥を検出する光学部材の検査方法であって、前記光学部材を水平状態又は水平方向に対して傾斜させた状態で前記光源部と前記撮像部との間を通過させ、且つ、前記光源部と前記撮像部との内、前記光学部材の上側に位置するものを前記撮像部による光学部材の撮像箇所の直上よりも該光学部材の移動方向上流側に位置させて前記欠陥の検出を実施することを特徴としている。
【0012】
また、上記課題を解決するための光学製品の製造方法に係る本発明は、シート状の光学部材から該光学部材よりも小型のシート片を切り出し、該シート片を用いて光学製品を製造する光学製品の製造方法であって、上記検査方法が実施された光学部材を用い、前記検査方法で欠陥が見出されなかった部分から前記シート片を切り出すことを特徴としている。
【0013】
さらに、上記課題を解決するための検査装置に係る本発明は、シート状の光学部材を検査すべく用いられ、光源部と撮像部とを有し、該光源部と前記撮像部との間を通過する前記光学部材の一面側に前記光源部から光が照射され、該光の照射された箇所が前記光学部材の他面側から前記撮像部で撮像されて欠陥が検出される光学部材の検査装置であって、前記光源部と前記撮像部との間を通過する光学部材が水平状態又は水平方向に対して傾斜した状態となるように前記光学部材の移動経路が形成されており、且つ、前記光源部と前記撮像部との内、前記光学部材の上側に位置するものが前記撮像部による光学部材の撮像箇所の直上よりも該光学部材の移動方向上流側に位置していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、検査装置の撮像部及び光源部の内、光学部材の上側に位置するものが前記撮像部による光学部材の撮像箇所の直上よりも光学部材の移動方向上流側に位置される。
従って、本発明によれば撮像箇所で検知されなかった付着物が最終的な光学製品に持ち込まれることを抑制し得る。
そして、本発明は、その事によって光学製品の歩留まりが低下することを抑制し得る。
また、本発明によれば、撮像部と光源部との間において光学部材を垂直方向に移動させないため検査装置自体や光学部材の製造設備の高さが高くなってしまうことを抑制することができる。
【0015】
なお、本発明においては上記のような効果をより顕著に発揮させる上において、前記光源部と前記撮像部との間を前記通過する光学部材を移動方向に向けて先上りする傾斜状態として前記欠陥の検出を実施することが好ましい。
また、本発明においては、前記光源部や前記撮像部を光学部材に接近した配置にさせ易く省スペース化に有効となる上において、前記光源部と前記撮像部とを結ぶ線分が、前記光学部材の移動方向に対して直交する方向となるように前記光源部と前記撮像部とを配置して前記欠陥の検出を実施することが好ましい。
さらに、本発明においては、前記光学部材が、最表面に粘着層を有し且つ該粘着層の背面側に前記偏光フィルムが積層された積層体であり、前記光源部と前記撮像部との間を該粘着層を上面側にして前記通過させる場合に、撮像箇所で検知されなかった付着物が最終的な光学製品に持ち込まれることを抑制する効果をより顕著に発揮させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
まず、本発明の検査方法が適用される光学部材の構成を示した
図1を参照しつつ当該光学部材について説明する。
【0018】
本発明の実施形態に係る前記光学部材は、少なくとも光学フィルムを備えたシート状の光学部材であり、前記光学フィルムを含む複数のフィルムからなるフィルム積層体である。
該フィルム積層体は、
図1に示されているように、長尺な帯状の光学フィルムfxと、該光学フィルムfxの両面を保護するための2枚の保護フィルムfy,fzとを有する。
該フィルム積層体f0における2枚の前記保護フィルムfy,fzは、光学フィルムfxと同形状を有し、それぞれ粘着層a1,a2を介して光学フィルムfxに接着されている。
従って、本実施形態におけるフィルム積層体f0は、平面形状が光学フィルムfxと同形状で、厚みが光学フィルムfxよりも厚く、
図1の上から、保護フィルムfy、粘着層a1、光学フィルムfx、粘着層a2、及び、保護フィルムfzの順となる層構成を有している。
【0019】
なお、本実施形態においては、2枚の前記保護フィルムfy,fzは、両方とも検査装置での検査前に光学フィルムfxから剥離される。
より詳しく説明すると、前記保護フィルムfy,fzの内、上側の保護フィルムfyは、光学フィルムfxとの間の粘着層a1(以下、「第1粘着層a1」ともいう)の表面から検査前に剥離される。
一方で、下側の保護フィルムfzは、光学フィルムfxとの間の粘着層a2(以下、「第2粘着層a2」ともいう)を伴って粘着層付保護フィルムfbとなって検査前に光学フィルムf0の表面から剥離される。
なお、以下において、単に「保護フィルム」と称する場合は、特段のことわりがない限りにおいて粘着層付保護フィルムfbとなって光学フィルムfxから剥離される下側の保護フィルムfzを意味するものとし、第1粘着層a1の表面から剥離される上側の保護フィルムfyは、「第1保護フィルムfy」、又は、「セパレータfy」と称して下側の保護フィルムfzと区別することとする。
また、以下においては、より区別が明確になるように、下側の保護フィルムfzを「第2保護フィルムfz」と称することがある。
【0020】
上記のように本実施形態においては、光学フィルムfxから粘着層付保護フィルムfbとセパレータfyとが除去されて検査装置での検査が実施される。
従って、本実施形態において検査装置で検査される被検査物は、前記第1粘着層を最表面に備え、該第1粘着層a1の背面側に前記光学フィルムfxが積層された積層体faとなる。
【0021】
本実施形態の検査方法を実施する積層体faを構成する前記光学フィルムfxは、例えば、ポリマーフィルム間に偏光子が挟まれてなる偏光フィルムとすることができる。
【0022】
次いで、この光学フィルムfxと粘着層とが積層されてなる積層体faの欠陥箇所を検査するための設備について
図2、3を参照しつつ説明する。
図2は、前記積層体faの移動方向に対して側方から設備を見た様子を示すもので、該設備には、フィルム積層体f0がロール状に巻き取られてなる原反ロールが装着され、該原反ロールの外側から前記フィルム積層体f0が繰り出される送出機1が備えられている。
また、当該設備には、前記送出機1から繰り出されたフィルム積層体f0から前記第2保護フィルムfzと前記第2粘着層a2との積層体たる粘着層付保護フィルムfbを剥離して巻き取る保護フィルム巻取機2が備えられている。
さらに、当該設備には、前記フィルム積層体f0からセパレータfyをさらに剥離して巻き取るためのセパレータ巻取機3、及び、粘着層付保護フィルムfbとセパレータfyとがフィルム積層体f0から剥離除去されて得られた積層体faを被検査物として検査を行う検査装置10が備えられている。
また、図示していないが、前記設備は、該検査装置10によって見出された欠陥箇所をマーキングして明示するためのマーキング装置を前記検査装置10の下流側に備えている。
【0023】
前記検査装置10は、積層体faの欠陥箇所を見出すための撮像部11と、該撮像部11による撮像箇所に背面側から光を照射するための光源部12とを有している。
【0024】
前記検査装置10は、本実施形態においては、傷付箇所、薄肉箇所、ピンホール箇所、異物付着箇所、これら以外を原因として許容範囲を超えて周囲と偏光特性が異なる箇所などを欠陥箇所として検知し得るように構成されている。
【0025】
該検査装置10の前記撮像部11は、例えば、ラインセンサカメラやエリアセンサカメラなどにより構成させることができる。
該ラインセンサカメラやエリアセンサカメラは、単独で用いられる必要はなく、複数台を積層体faの幅方向(略水平方向)に並べて配置して撮像部11を形成させるようにしてもよい。
また、要すれば前記撮像部11は、異なる機能を有する複数台の機器により構成されてもよい。
【0026】
前記光源部12は、蛍光灯、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、LED等を用いて形成させることができる。
該光源部12も、前記撮像部11と同様に、蛍光灯、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、LED等が積層体faの幅方向に複数並べられて形成されてもよく、その場合に同じ光源を並べて配置する必要が無い点についても撮像部11と同じである。
【0027】
本実施形態の検査装置10は、前記撮像部11と前記光源部12とが垂直方向に高低差を設けて設置され、より詳しくは、前記撮像部11が前記光源部12よりも上位に配置されている。
そして、本実施形態の検査装置10は、前記撮像部11と前記光源部12とが水平方向に位置ズレして設けられている。
即ち、前記撮像部11は、前記光源部12の直上に配置されているのではなく、前記光源部12の斜め上側に配置されている。
そして、本実施形態の検査装置10には、被検査物たる前記積層体faが前記撮像部11と前記光源部12との間を通過するように前記積層体faの移動経路が形成されており、該移動経路は、撮像部11と光源部12との間を前記通過する積層体faを移動方向に向けて先上りする傾斜状態とし得るように構成されている。
【0028】
そして、前記撮像部11と前記光源部12とは、これらを結ぶ線分が撮像部11と前記光源部12との間を通る前記積層体faと直交する形で配されている。
即ち、前記撮像部11による前記積層体faの撮像箇所は、前記撮像部11から積層体表面に対して垂線になるように描いた仮想線(
図2のX1)と当該積層体faとの交点が積層体faの幅方向に描く直線状の領域(
図3のA)となる。
なお、
図3においては、撮像箇所を細い直線状のものとして例示しているが、本実施形態における撮像箇所は、このような形状に限定されるものではない。
即ち、撮像される領域は、当然ながら、前記撮像部11を構成する機器によって広さや形状等が異なり、例えば、前記ラインセンサカメラで前記撮像部11を構成した場合には
図3に示すような細線状の領域となり、前記エリアセンサカメラで撮像部11を構成した場合にはラインセンサカメラを用いた場合よりも幅広に形成されることになるが本実施形態においては、当該領域の形状が特に限定されるものではない。
前記光源部12は、その光照射が、少なくともこの撮像箇所Aの裏側に対して十分な照度で実施されるように検査装置10に配されている。
【0029】
この検査装置10を用いての積層体faの検査方法においては、該積層体faを被検査物として前記検査装置10に供給し、前記積層体faを前記光源部12と前記撮像部11との間を通過させながら該積層体faの下面側に前記光源部12から光を照射し且つ該光の照射された箇所を逆側から前記撮像部11で撮像して前記積層体faの欠陥が検出される。
しかも、光源部12と撮像部11との間を前記通過する積層体faを移動方向に向けて先上りする傾斜状態とすることにより、該積層体faの上側に位置する前記撮像部11を当該撮像部11による積層体faの撮像箇所Aの直上よりも前記移動方向Dの上流側に位置させて前記欠陥が検出される。
【0030】
ここでは、前記撮像部11が、前記撮像箇所Aの直上(
図3の仮想線X2)よりも前記積層体faの移動方向上流側BWに位置されており、下流側FWには一部分も存在していない。
このことにより、仮に、撮像部11を構成しているラインセンサカメラに付着していた塵埃等が落下したり、該ラインセンサカメラから微小異物が発生してこれが落下するようなことがあっても、これらは積層体faに対して撮像箇所Aよりも上流側において落下する可能性が高くなる。
従って、本実施形態の検査方法は、従来の積層体を水平に移動させつつ該積層体を真上から撮像するような検査方法に比べ、検知されない欠陥が最終製品たる光学製品に持ち込まれるおそれを低減することができる。
【0031】
なお、このような効果を発揮は、撮像部11と光源部12とが入れ替わるような場合においても同じく発揮され得る。
即ち、上記効果は、光源部と撮像部との間を前記通過する積層体を移動方向に向けて先上りする傾斜状態とし、該積層体の上側に位置する光源部を前記撮像部による積層体の撮像箇所の直上よりも前記移動方向の上流側に位置させて前記欠陥を検出させた場合も同様に発揮され得る。
【0032】
なお、上記効果を得る上において、積層体の上側に位置する撮像部又は光源部を前記撮像部による積層体の撮像箇所の直上よりも前記積層体の移動方向上流側に位置させることとともに前記積層体を先上がり傾斜としていることが有効になる。
このことについて説明すると、撮像部と光源部との間を通過する積層体の移動経路を、移動方向に向けて先下がりする傾斜状態や水平状態としても積層体の上側に位置する撮像部又は光源部を前記撮像部による積層体の撮像箇所の直上よりも前記積層体の移動方向上流側に位置させることで検知されない欠陥が最終製品たる光学製品に持ち込まれるおそれを低減させることができるが、前記積層体を先上がり傾斜とする場合には、撮像部と光源部とを積層体に対して直交する配置にすることで撮像箇所の直上よりも前記積層体の移動方向の上流側に撮像部や光源部を配置することができる。
従って、前記積層体を先上がり傾斜とする場合には、撮像部や光源部を積層体に対して接近した配置としつつ撮像箇所の直上よりも前記積層体の移動方向の上流側に撮像部や光源部を配置させ易い。
即ち、積層体を先上がり傾斜とすることで、検査のためのスペースを省スペース化させることができる。
なお、積層体の移動方向を垂直方向とした場合でも、撮像部による撮像箇所の直上に当該撮像部や前記光源部が位置させずに撮像部と光源部とを積層体に対して接近した配置とすることができる。
しかし、保護フィルムやセパレータが取り除かれた後の前記積層体に対してローラー等を当接させて移動方向の転換を行うのは好ましいものではなく、特に粘着層の表面に対しては何等かの部材を接触させることが極めて困難である。
従って、積層体の移動方向を垂直方向とした場合、検査装置前後に配される装置類を垂直方向に配置する必要性が高くなる結果として設備の高さが高くなってしまうおそれがあり作業性を低下させてしまうおそれを有する。
【0033】
このようなことから前記撮像部と前記光源部との間を通過する際の積層体の角度(仰角)は、装置高さを抑制する効果をより顕著に発揮させる上において、70°以下とすることが好ましく、60°以下とすることが特に好ましい。
【0034】
なお、このような検査方法が実施された後は、再び、前記粘着層付保護フィルムとセパレータとを検査後の積層体faに貼り合せ、元と同じようなフィルム積層体を形成させた後に前記マーキング装置により欠陥箇所を明示させて外形加工を行い、光学製品への組み込みに使用すればよい。
【0035】
即ち、光学製品の製造方法においては、本実施形態の光学部材の検査方法が実施された後のフィルム積層体から、該フィルム積層体よりも小型のシート片を切り出して偏光板とし、しかも、検査により見出された欠陥部分以外から前記シート片を切り出した偏光板をその他の部材とともに組み込んで光学製品を製造することができる。
前記偏光板の切り出しは、トムソン刃型やパンチングプレスなどによる打抜方法をはじめとして従来公知の方法を適用することができる。
【0036】
また、光学製品の製造方法においては、切り出した前記偏光板は、さらに位相差層を形成させたり、防眩処理を施したり、反射フィルムと組み合わせるなどして画像表示装置の構成部材とすることができる。
なお、前記偏光板が組み込まれる光学製品としては、例えば、液晶表示装置、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置、プラズマディスプレイパネルなどの画像表示装置やタッチパネルなどの入力装置が挙げられる。
【0037】
このようにして作製される光学製品は、偏光板の原反となるフィルム積層体の欠陥箇所が少なくなることから当該フィルム積層体の製品化割合が高くなり、コスト面においても有利となる。
また、本実施形態において製造される光学製品は、検査で認識されなかった欠陥を有する偏光板が組み込まれるおそれが抑制されることから、従来に比べて歩留まり向上を期待することができるとともに前記偏光板とともに組み込んだ位相差フィルムや反射フィルムが無駄になってしまったり、組込みのための手間が無駄になってしまうことを防止することができる。
従って、光学製品の製造効率を従来よりも向上させ得る。
【0038】
なお、本実施形態においては、偏光フィルムに粘着層を積層した積層体に対して検査を行う場合を例にしている。
そして、撮像箇所を通過した後に付着した付着物が自然に脱落することを期待することが困難で、本発明の効果をより顕著に発揮させ得る点において、光学部材が前記ような積層体で、且つ、前記光源部と前記撮像部との間を前記粘着層を上面側にして通過させるような態様を例示しているが、該粘着層を下面側にして検査を実施する場合も本発明の光学部材の検査方法として意図する範囲のものである。
【0039】
また、本発明の検査方法は、その対象を偏光フィルムと粘着層との2層構造のものに限定するものでもなく、偏光フィルム単層の場合や、さらに、他の光学フィルムが積層されたものなどについて実施される検査方法も、本発明の意図する範囲のものである。
【0040】
即ち、本実施形態においては、セパレータfyと保護フィルムfzとの両方を剥離して偏光フィルムの検査を行う場合を例示しているが、例えば、保護フィルムfzを剥離することなく検査を行うような場合も本発明の意図する範囲のものである。
さらには、本発明の検査方法は、光学部材が備える光学フィルムを偏光フィルムに限定するものではなく、位相差フィルム、輝度向上フィルム、又は、これらを積層した積層フィルムなどに対して実施される場合も本発明の意図する範囲のものである。
【0041】
また、上記例示においては、撮像部と光源部との配置を、光学部材の通過方向と直交するように配置しているが、撮像部と光源部とを結ぶ線分が、光学部材の通過方向に対して直角以外になるように実施してもよい。