特許第6557714号(P6557714)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6557714
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】排気ガスターボチャージャ
(51)【国際特許分類】
   F02B 37/18 20060101AFI20190729BHJP
【FI】
   F02B37/18 M
【請求項の数】10
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-236564(P2017-236564)
(22)【出願日】2017年12月11日
(62)【分割の表示】特願2015-510313(P2015-510313)の分割
【原出願日】2013年4月22日
(65)【公開番号】特開2018-59516(P2018-59516A)
(43)【公開日】2018年4月12日
【審査請求日】2018年1月10日
(31)【優先権主張番号】102012008910.4
(32)【優先日】2012年5月3日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500124378
【氏名又は名称】ボーグワーナー インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司
(74)【代理人】
【識別番号】100129218
【弁理士】
【氏名又は名称】百本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】ダーク・エレンベルガー
【審査官】 齊藤 彬
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−166704(JP,U)
【文献】 特開2009−179319(JP,A)
【文献】 特開2004−124992(JP,A)
【文献】 特表2007−522372(JP,A)
【文献】 特開平10−184755(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0150458(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 37/18
F16F 15/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
− ハウジング(2)と、
− 前記ハウジング(2)に取り付けられたシャフト(3)と、
− 前記シャフト(3)に配置されたコンプレッサホイール(5)及び前記シャフト(3)に配置されたタービンホイール(4)と、
− ウェイストゲートフラップ又は可変タービン形状から選択された制御要素(7)と、
− アクチュエータ(8)と、
− 前記アクチュエータ(8)を前記制御要素(7)に接続する調節ロッド(9)とを備える排気ガスターボチャージャ(1)において
− 磁界発生要素(14)と、
− 閉電気回路(17)を有する第1のコイル(15)とを有し、
− 前記磁界発生要素(14)又は前記第1のコイル(15)のいずれかが前記調節ロッド(9)に締結される振動減衰装置(10)を備え
前記磁界発生要素(14)と前記第1のコイル(15)は互いに前記調節ロッドの軸方向に配置され、前記磁界発生要素(14)と前記第1のコイル(15)との間の動きは、前記ハウジングに対する前記調節ロッドの動きと同じ方向であり、
前記磁界発生要素(14)は、前記調節ロッド(9)の軸方向に第1の磁界を発生し、
前記第1のコイル(15)が前記磁界の中で移動した場合、電圧が前記第1のコイル(15)で誘発され、次に、前記第1のコイルの前記電圧は、レンツの法則に従って第1のコイル(15)に反極性の磁界を発生し、
磁界は、前記調節ロッド(9)の振動減衰をもたらす、
排気ガスターボチャージャ(1)。
【請求項2】
− ハウジング(2)と、
− 前記ハウジング(2)に取り付けられたシャフト(3)と、
− 前記シャフト(3)に配置されたコンプレッサホイール(5)及び前記シャフト(3)に配置されたタービンホイール(4)と、
− 制御要素(7)と、
− アクチュエータ(8)と、
− 前記アクチュエータ(8)を前記制御要素(7)に接続する調節ロッド(9)とを備える排気ガスターボチャージャ(1)において、
減衰装置(10)であって、
− 閉電気回路(17)を有する第1のコイル(15)と、
− 電気的に付勢される第2のコイルの形態である磁界発生要素(14)とを有し、
− 前記磁界発生要素(14)又は前記第1のコイル(15)のいずれかが前記調節ロッド(9)に締結される減衰装置(10)をさらに備える、
排気ガスターボチャージャ(1)。
【請求項3】
前記磁界発生要素(14)が永久磁石の形態である請求項1に記載の排気ガスターボチャージャ。
【請求項4】
抵抗(18)が、前記第1のコイル(15)の前記閉電気回路(17)に配置される、請求項1に記載の排気ガスターボチャージャ。
【請求項5】
前記第1のコイル(15)及び/又は前記磁界発生要素(14)が、前記調節ロッド(9)の周りを取り囲んで配置される、請求項1に記載の排気ガスターボチャージャ。
【請求項6】
前記磁界発生要素(14)が前記調節ロッド(9)に締結され、前記第1のコイル(15)が前記ハウジング(2)に対して位置固定して配置され、又は前記第1のコイル(15)が前記調節ロッド(9)に締結され、前記磁界発生要素(14)が前記ハウジング(2)に対して位置固定して配置される、請求項1に記載の排気ガスターボチャージャ。
【請求項7】
前記アクチュエータ(8)が、圧力制御される制御カプセルの形態である、請求項1に記載の排気ガスターボチャージャ。
【請求項8】
前記制御要素(7)が、ウェイストゲートフラップ又は可変タービン形状を調整するために設計される、請求項1に記載の排気ガスターボチャージャ。
【請求項9】
調節可能な抵抗(18)が、前記第1のコイル(15)の前記閉電気回路(17)に配置される、請求項1に記載の排気ガスターボチャージャ。
【請求項10】
前記磁界発生要素(14)が前記調節ロッド(9)に締結され、前記第1のコイル(15)が、前記アクチュエータ(8)上で前記ハウジング(2)に対して位置固定して配置され、又は前記第1のコイル(15)が前記調節ロッド(9)に締結され、前記磁界発生要素(14)が、前記アクチュエータ(8)上で前記ハウジング(2)に対して位置固定して配置される、請求項1に記載の排気ガスターボチャージャ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載の排気ガスターボチャージャに関する。
【背景技術】
【0002】
排気ガスターボチャージャでは、アクチュエータと調節ロッドとによって作動される例えばウェイストゲートフラップ又は可変タービン形状などの様々な制御要素がある。調節ロッド及び制御要素の機構は、事実上減衰なしに、外部励起によって振動を実行するように励起することができる。非共振の場合でも、前記振動は、可動部品の摩耗増大をもたらし得る。特に、アクチュエータが一体化されたばねを有する制御カプセルの形態である場合、外部励起によって非常に容易に振動を実行するように励起することができるばね質量系が形成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、製造が廉価である一方で、ほとんど保守なしにかつほとんど摩耗なしに操作することができる、請求項1の前提部に記載の排気ガスターボチャージャを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、請求項1の特徴によって達成される。従属請求項は、本発明の有利な発展形態に関する。
【0005】
本発明によれば、電磁気的減衰装置は調節ロッドに配置される。減衰装置の動作モードは、レンツの法則の適用に基づいている。減衰装置は、磁界発生要素及び第1のコイルから構成される。磁界発生要素又は第1のコイルは、調節ロッドに締結される。それぞれの他の構成要素は位置固定される。第1のコイルは、特に抵抗を有する閉電気回路を備える。
【0006】
磁界発生要素は、電気的に付勢されたコイルの形態であることが好ましい。磁界発生要素は、代わりに永久磁石の形態でもよい。
【0007】
減衰は磁気作用によって実現され、減衰装置と調節ロッドとの間の摩耗によって悪影響を受ける機械的な接触がない。
【0008】
磁界発生要素は、調節ロッドの軸方向に磁界を発生する。第1のコイルは、電圧が第1のコイルに誘発されるように前記磁界で移動する。第1のコイルの前記電圧は、次に磁界を発生し、この磁界は、レンツの法則に従って元の原因に対抗する。すなわち、反対極性の磁界が第1のコイルに発生され、その結果、調節ロッドの移動が制動されるか又は減衰される。調節ロッドの移動が速くなるほど、制動力が強くなる。減衰の強度は、第1のコイルの電気回路の抵抗によって調節できることが好ましい。
【0009】
本発明に従って提案された減衰は、摩耗の影響をなんら受けず、この結果、減衰作用は、例えば機械的な減衰装置に当てはまるようには、経時的に弱くならない。
【0010】
本発明のさらなる詳細、利点及び特徴は、図面を参照して例示的な実施形態の以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】例示的な実施形態による本発明による排気ガスターボチャージャの図面である。
図2】例示的な実施形態による本発明による排気ガスターボチャージャの概略詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
排気ガスターボチャージャ1の例示的な実施形態について、図1及び図2に基づき以下に詳細に説明する。
【0013】
図1は、排気ガスターボチャージャ1の部分切り取り図を示している。排気ガスターボチャージャ1は、シャフト3が取り付けられるハウジング2を備える。タービンホイール4及びコンプレッサホイール5は、共に回転するようにシャフト3に着座している。タービンホイール4は、流入ダクト6を介して排気ガスの流れによって衝突される。タービンホイール4は、このように回転させられる。シャフト3を介して、コンプレッサホイール5が同様に回転させられ、したがって、内燃機関用の給気を圧縮する。
【0014】
ウェイストゲートダクトは、タービンホイール4を迂回して、流入ダクト6から排気ガス出口に直接至る。ウェイストゲートダクトは、ウェイストゲートフラップによって開閉することができる。ウェイストゲートフラップは、制御要素7によって移動させられる。
【0015】
同様に、制御カプセルの形態のアクチュエータ8が、ハウジング2に取り付けられる。圧力ライン20は前記アクチュエータ8内に出る。アクチュエータ8は、前記の圧力ライン20を介して作動される。アクチュエータ8は、調節ロッド9を介して制御要素7に接続される。アクチュエータ8で発生された移動は、前記調節ロッド9を介して制御要素7に伝達される。
【0016】
減衰装置10は、調節ロッド9の移動を減衰するために設けられる。図1は、前記減衰装置10の位置を示しているに過ぎない。
【0017】
減衰装置10の正確な構造が図2に示されている。図2は、アクチュエータ8、調節ロッド9、制御要素7及び減衰装置10の単純化した概略図を示している。
【0018】
制御カプセルの形態のアクチュエータ8は、調節ロッド9に接続されるばね11を備える。ばね11は、一方の端部で調節ロッド9に対して支持され、他方の端部でアクチュエータ8のハウジングに対して支持される。ばね11及び調節ロッド9は、ダイヤフラム12とダイヤフラムプレート13とによって移動させられる。
【0019】
減衰装置10は、第1のコイル15及び磁界発生要素14を備える。磁界発生要素14は、第2のコイルの形態である。第1のコイル15は、抵抗18が配置される閉電気回路17を備える。第2のコイルの形態の磁界発生要素14は、電圧供給部19によって電気的に付勢される。
【0020】
調節ロッド9は、第1のコイル15を通して、かつ第2のコイルの形態の磁界発生要素14を通して延びる。
【0021】
第1のコイル15は、第1のコイル15が調節ロッド9と同一の移動16を実行するように、調節ロッド9に固定接続される。
【0022】
磁界発生要素14は、ハウジング2に対して位置固定して配置される。図示した例示的な実施形態では、磁界発生要素14は、アクチュエータ8に直接取り付けられる。
【0023】
磁界発生要素14は第1の磁界を発生する。調節ロッド9の移動の結果、第1のコイル15は前記第1の磁界で移動する。この結果、電圧が第1のコイル15で誘発される。次に、前記電圧はコイル15に別の磁界を発生する。前記別の磁界はその元の原因に対抗し、この結果、調節ロッド9の移動の減衰が行われる。
【0024】
図示した例示的な実施形態の代わりとして、磁界発生要素14は、永久磁石の形態であることが可能である。さらに、磁界発生要素14を調節ロッド9に固定して取り付け、したがって、移動16を実行させることも可能である。この場合、第1のコイル15は、ハウジング2に対して位置固定して取り付けられる。
【0025】
本発明の上述の説明に加えて、本発明の追加の開示のために図1及び図2の本発明の概略図が本明細書により明示的に参照される。
【符号の説明】
【0026】
1 排気ガスターボチャージャ
2 ハウジング
3 シャフト
4 タービンホイール
5 コンプレッサホイール
6 流入ダクト
7 制御要素
8 アクチュエータ
9 調節ロッド
10 減衰装置
11 ばね
12 ダイヤフラム
13 ダイヤフラムプレート
14 第2のコイルとして形成された磁界発生要素
15 第1のコイル
16 移動
17 電気回路
18 抵抗
19 電圧供給部
20 圧力ライン
図1
図2