特許第6557715号(P6557715)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6557715
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】ゲームプログラムおよびゲームシステム
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/655 20140101AFI20190729BHJP
   A63F 13/69 20140101ALI20190729BHJP
   A63F 13/213 20140101ALI20190729BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20190729BHJP
   G06T 7/60 20170101ALI20190729BHJP
【FI】
   A63F13/655
   A63F13/69
   A63F13/213
   G06T7/00 250
   G06T7/60 150S
【請求項の数】2
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-237477(P2017-237477)
(22)【出願日】2017年12月12日
(65)【公開番号】特開2019-103592(P2019-103592A)
(43)【公開日】2019年6月27日
【審査請求日】2018年3月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000129149
【氏名又は名称】株式会社カプコン
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 武
【審査官】 上田 泰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−034318(JP,A)
【文献】 特開2016−087349(JP,A)
【文献】 特開2017−074162(JP,A)
【文献】 特開2006−326021(JP,A)
【文献】 特開2006−271657(JP,A)
【文献】 特開2009−273859(JP,A)
【文献】 特開2005−169062(JP,A)
【文献】 特開2006−061418(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/24,13/00−13/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のゲーム画面を表示する表示部と、ゲームを進行させるコンピュータとを備えたゲーム装置において前記コンピュータに実行させるゲームプログラムであって、
前記コンピュータを、
ユーザが取得した画像データから所定の複数種類のパラメータの数値を抽出する画像数値化手段、および
前記画像データに基づいてユーザに所定の付与対象を付与する付与手段、として機能させ、
前記付与対象の特性は、前記画像データから抽出された前記数値に基づいて決定され、
前記画像数値化手段は、前記画像データを、2値化し、2値化後の画像データにおいて少なくとも何れかの値の領域に複数種類および/または複数サイズの多角形を当て嵌めることにより当該領域を近似する多角形照合処理を行い、当該領域に当て嵌められた多角形の種類および/またはサイズの前記画像データに占める割合に基づいて当該多角形の種類および/またはサイズ毎に数値化する、ゲームプログラム。
【請求項2】
請求項1に記載のゲームプログラムを記憶したプログラム記憶部と、
前記プログラム記憶部に記憶されたプログラムを実行するコンピュータと、を備えたゲームシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームプログラムおよびゲームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ゲームで使用可能なキャラクタ、アイテム等の付与対象を複数種類の中から抽選によりユーザに付与するゲーム要素を含むゲームがある(例えば特許文献1参照)。このようなゲーム要素においては、付与対象に設定される能力値(体力、攻撃力、属性値、特殊能力等)が高い付与対象ほどユーザに付与される確率が低く設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−35236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような抽選によりユーザに付与対象を付与するゲーム要素は、継続的にユーザの興趣を得ることが難しい。上述の通り、能力値が高い付与対象は、ユーザにはなかなか付与されない。付与対象の付与の際にゲーム内通貨等を消費するゲームも多く、ゲーム内通貨を多く消費してもユーザが希望する付与対象が付与されないことにより、ゲームへの興味を失ってしまう可能性がある。
【0005】
上記特許文献1では、抽選についての興趣を高めるために、付与対象を選択するための主抽選に加えて抽選設定の内容の教示または変更を選択する副抽選を行うことが提案されている。しかし、特許文献1の構成では、ユーザが主体的に付与対象の選択に何らの関与も行うことができず、所望の付与対象が得られないことについて納得感が得られ難い。このため、結果としてユーザの興趣が減退してしまう恐れがある。
【0006】
また、従来、製品の包装に付されたバーコードをバーコードリーダにより読み取り、読み取ったバーコードの情報に基づいてキャラクタまたはアイテムのデータを生成するゲームも存在する。しかし、このようなゲームでは、一度能力値の高いキャラクタ等が得られるバーコードが複数のユーザ間で知られると、複数のユーザが当該バーコードを比較的容易に入手または再現可能であり、ゲーム性が損なわれる恐れがある。
【0007】
そこで本発明は、ユーザが主体的に付与対象の選択に関与することができ、しかも、複数のユーザ間で同じ付与対象が入手できることを抑制することができるゲームプログラムおよびゲームシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係るゲームプログラムは、所定のゲーム画面を表示する表示部と、ゲームを進行させるコンピュータとを備えたゲーム装置において前記コンピュータに実行させるゲームプログラムであって、前記コンピュータを、ユーザが取得した画像データから所定の複数種類のパラメータの数値を抽出する画像数値化手段、および前記画像データに基づいてユーザに所定の付与対象を付与する付与手段、として機能させ、前記付与手段は、前記画像データから抽出された前記数値に基づいて前記付与対象の特性を決定する。
【0009】
前記画像データは、現実空間を前記コンピュータに接続された撮像装置で撮像することにより得られた画像データであってもよい。
【0010】
前記画像データは、前記ゲーム画面に表示される仮想空間を仮想カメラで撮像することにより得られた画像データであってもよい。
【0011】
前記画像数値化手段は、前記画像データを、色に基づく複数種類のグループに分類し、各グループの前記画像データに占める割合に基づいてグループ毎に数値化してもよい。
【0012】
前記画像数値化手段は、前記画像データを、グレースケールの濃淡に基づく複数種類のグループに分類し、各グループの前記画像データに占める割合に基づいてグループ毎に数値化してもよい。
【0013】
前記画像数値化手段は、前記画像データを、2値化し、2値化後の画像データにおいて少なくとも何れかの値の領域に複数種類および/または複数サイズの多角形を当て嵌めることにより当該領域を近似する多角形照合処理を行い、当該領域に当て嵌められた多角形の種類および/またはサイズの前記画像データに占める割合に基づいて当該多角形の種類および/またはサイズ毎に数値化してもよい。
【0014】
また、本発明の他の態様に係るゲームシステムは、上記ゲームプログラムを記憶したプログラム記憶部と、前記プログラム記憶部に記憶されたプログラムを実行するコンピュータと、を備えている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ユーザが主体的に付与対象の選択に関与することができ、しかも、複数のユーザ間で同じ付与対象が入手できることを抑制することができるゲームプログラムおよびゲームシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の一実施の形態におけるゲームプログラムが適用されるゲームシステムのハードウェア構成を示すブロック図である。
図2図2は、本実施の形態におけるゲームシステムの機能的な構成を示すブロック図である。
図3図3は、本実施の形態における画像数値化処理の第1の例を示す図である。
図4図4は、本実施の形態における画像数値化処理の第1の例を示す図である。
図5図5は、本実施の形態における画像数値化処理の第2の例を示す図である。
図6図6は、本実施の形態における画像数値化処理の第3の例を示す図である。
図7図7は、本実施の形態における多角形照合処理の流れを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態に係るゲームプログラムおよびゲームシステムについて、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
[ハードウェア構成]
図1は、本発明の一実施の形態におけるゲームプログラムが適用されるゲームシステムのハードウェア構成を示すブロック図である。ゲームシステム1は、コンピュータ装置として構成されるゲーム装置2と、サーバ装置3とが、インターネットやLAN等のネットワークNWを介して互いに通信可能に接続された構成になっている。このうちゲーム装置2は、その動作を制御するCPU10を備え、このCPU10にはバス11を介して操作入力部12、記憶装置14、ROM15、およびRAM16が接続されている。
【0019】
ゲーム装置2は、表示部であるモニタ19が設けられた移動筐体をユーザが把持するように構成される。当該移動筐体には操作入力部12が設けられている。本実施の形態において、ゲーム装置2の各構成は、移動筐体内に収められている。
【0020】
ROM15は、マスクROMまたはPROM等の半導体メモリであり、ゲーム装置2を起動する起動プログラム等が記憶されている。RAM16は、DRAMまたはSRAM等により構成され、CPU10が実行するべきゲームプログラム30aや、その実行の際に必要となるゲームデータ30b等を、ゲームのプレイ状況に応じて読み込んで一時的に記憶する。
【0021】
さらに、CPU10には、バス11を介してグラフィック処理部17、オーディオ合成部20、ネットワークインタフェイス25、および撮像部28が接続されている。
【0022】
このうち、グラフィック処理部17は、CPU10の指示に従って仮想ゲーム空間や各キャラクタ等を含むゲーム画像を描画する。また、グラフィック処理部17にはビデオ変換部18を介してゲーム装置2に内蔵されたモニタ19が接続されており、グラフィック処理部17にて描画されたゲーム画像はビデオ変換部18において動画形式に変換され、モニタ19にて表示されるようになっている。
【0023】
オーディオ合成部20は、CPU10の指示に従ってデジタルのゲーム音声を再生および合成する。また、オーディオ合成部20にはオーディオ変換部21を介して外部のスピーカ22が接続されている。したがって、オーディオ合成部20にて再生および合成されたゲーム音声は、オーディオ変換部21にてアナログ形式にデコードされ、スピーカ22から外部へ出力されるようになっている。
【0024】
撮像部28は、移動筐体のモニタ19の表示面とは反対側および/または表示面側に設けられ、外部の風景(現実の画像)を撮像する。撮像された画像データは、記憶装置14に記憶される。
【0025】
操作入力部12は、モニタ19上に設けられたタッチパネルで構成され、モニタ19上に表示された操作ボタン等をユーザが触れることにより、対応する操作入力が行われる。
【0026】
一方、サーバ装置3は、その動作を制御する高性能のCPU40を備え、このCPU40には高速バス41を介して記憶装置42、ROM43、RAM44およびネットワークインタフェイス45が接続されている。
【0027】
サーバ装置3のROM43は、マスクROMまたはPROM等の半導体メモリであり、サーバ装置3と他のゲーム装置2との間の通信を制御するプログラム等、サーバ装置3の基本的な動作を実現するための基本プログラムが記憶されている。
【0028】
また、RAM44は、DRAMまたはSRAM等から構成され、CPU40が実行するべきプログラムや、その実行の際に必要になるデータ等を、記憶装置42等から読み込んで一時的に記憶する。
【0029】
本実施の形態において、ゲームシステム1は、いわゆるネイティブアプリによって動作する。
【0030】
サーバ装置3の記憶装置42は、サーバ装置3が内蔵する大容量記憶媒体である。サーバ装置3は、記憶装置42にゲームプログラム42aおよびゲームデータ42bを記憶している。CPU40は、各ゲーム装置2(アカウント)のセーブデータ42cを管理する。サーバ装置3とゲーム装置2とは、通信ネットワークNWを介して互いに通信を行う。
【0031】
ゲーム装置2は、ユーザの操作に基づいて所定のゲームを実行(プレイ)するために、ゲーム装置2を介してサーバ装置3の記憶装置42に記憶されたゲームプログラム42aおよびゲームデータ42bを受信する(ダウンロードおよびインストールする)。さらに、ゲーム装置2は、サーバ装置3からアップデート用のゲームプログラムおよびゲームデータを受信する(ダウンロードおよびインストールする)。
【0032】
ゲーム装置2は、インストールしたゲームプログラムおよびゲームデータに基づいて、ゲーム装置2にてゲーム進行を行い、これらのゲーム進行に伴うゲーム演出(ゲーム画像、音声)を後述するモニタ19およびスピーカ22等に出力する。
【0033】
なお、各ゲーム装置2および各ユーザには、それぞれ異なるアカウント情報(固有の識別情報)が付与される。そして、アカウント情報ごとにID(識別符号)が付与される。
【0034】
サーバ装置3は、各ユーザのアカウント情報を管理し、各アカウントのゲーム進行状況に関するデータなどをゲーム装置2から受信して記憶装置42に記憶する。
【0035】
例えば、ゲーム装置2は、ユーザによってゲームを開始する操作が行われたとき、各ゲーム装置2が通信ネットワークNWを介してサーバ装置3と通信を行い、このゲーム装置2からアカウント情報が送信される。サーバ装置3は、送信されたアカウント情報に基づいて所定の認証を行い、ゲーム装置2にゲーム進行に必要なデータ(ゲーム進行状況に関するデータ)を送信する。
【0036】
ゲーム装置2は、このアカウントのゲーム進行状況に関するデータ等を受信して、ゲーム装置2にてゲーム進行を行う。また、ゲーム装置2は、ゲームの開始時のみならず、ゲーム進行の所定のタイミング(アイテム消費またはゲーム課題クリア等のデータ更新時)でサーバ装置3にゲーム進行状況に関するデータを送信する。このように、ネイティブアプリ型のゲームシステムは、所定のタイミングでサーバ装置3とゲーム装置2とで相互に通信を行い、サーバ装置3とゲーム装置2とで同期をとってゲームを進行させる。
【0037】
[ゲーム装置の機能的構成]
図2は、本実施の形態におけるゲームシステムの機能的な構成を示すブロック図である。図2に示すように、ゲームシステム1を構成するゲーム装置2は、CPU10、記憶装置14、ROM15、RAM16、グラフィック処理部17、オーディオ合成部20等を含む制御部5aを備えたコンピュータとして動作する。また、サーバ装置3は、CPU40、記憶装置42、ROM43、およびRAM44等を含む制御部5bを備えたコンピュータとして動作する。そして、図2に示すように、ゲーム装置2の制御部5aとサーバ装置3の制御部5bとが協動することにより構成されるゲームシステム1の制御部5は、ゲームプログラム30a,42aを実行することで、画像数値化手段51、特性決定手段52、付与手段53、ゲーム制御手段54、およびゲーム画面生成手段55等の機能を発揮する。
【0038】
このうち、ゲーム画面生成手段55は、所定のゲーム画面(例えば、後述する図3等)を生成する。例えば、ゲーム画面生成手段55は、後述する装備アイテムの付与画面をゲーム画面として表示する。また、ゲーム画面生成手段55は、プレイヤキャラクタが移動可能な所定の仮想空間を生成し、当該仮想空間に配置した仮想カメラで撮影した画像をゲーム画面として表示可能である。
【0039】
ゲーム制御手段54は、ユーザの操作入力等に基づいて仮想空間に配置されたプレイヤキャラクタの行動を制御し、ゲームを進行させる。また、ゲーム制御手段54は、敵キャラクタ等のノンプレイヤキャラクタの行動を制御する。
【0040】
付与手段53は、ユーザが取得した画像データに基づいて所定の付与対象を付与する。本実施の形態において、付与対象は、プレイヤキャラクタが装備可能な装備アイテム(武器または防具等)である。画像数値化手段51は、ユーザが取得した画像データから後述する態様で所定の複数種類のパラメータの数値を抽出する。特性決定手段52は、画像データから得られた数値に基づいて付与対象の特性を決定する。
【0041】
[ゲームの概要]
本実施の形態におけるゲームの概要について説明する。本実施の形態におけるゲームでは、ゲーム開始に際し、ユーザが操作するプレイヤキャラクタが作成され、ユーザは、当該プレイヤキャラクタを操作して、敵キャラクタを討伐するアクションゲームとして構成される。また、本ゲームにおいては、プレイヤキャラクタが装備する装備アイテム(武器および防具)を取得して、プレイヤキャラクタに装備させることにより、装備アイテムが有する特性に応じてプレイヤキャラクタの能力(例えば、体力、攻撃力、属性値、特殊能力等)が強化または変更される。すなわち、プレイヤキャラクタの能力は、装備アイテムの特性に応じて強化または変更される。
【0042】
[装備アイテムの取得態様]
本ゲームにおいて、装備アイテムは、撮像部28でユーザが撮像した画像に基づいて取得することができる。例えば、本ゲームにおいては、ユーザが所定の操作を行うことにより、通常のゲームモードから撮像モードに切り替えられる。撮像モードにおいては、ユーザがゲーム装置2の撮像部28を用いて外部(現実空間)の風景等を撮像することが可能となる。
【0043】
撮像モードによって撮像された画像データは、記憶装置14のゲーム専用フォルダ内にゲームデータ30bとして記憶される。このように、本実施の形態において、ゲームデータ30bとして記憶される画像データは、現実空間を撮像部28で撮像することにより得られた画像データである。画像データは、コピー防止のため、ゲームデータ30bとして記憶される際に、ID登録される。
【0044】
撮像モードにおいて撮像され、記憶装置14に記憶された画像データは、他のゲーム装置2に移動またはコピーすることができないようになっている。これにより、同じ画像データに基づく装備アイテムが複数のユーザのゲーム装置2の間で共有されることを防止することができる。
【0045】
通常のゲームモードにおいて、ユーザが所定の操作を行った場合、ゲーム画面生成手段55は、装備アイテムの付与画面(生成画面)を生成し、モニタ19に表示する。装備アイテム付与画面が表示されている場合、ゲーム制御手段54は、ゲームデータ30bとして記憶されている画像データを読み出す。画像データが複数ある場合には、ユーザが選択した一の画像データが読み出される。
【0046】
本実施の形態において、ゲーム装置2の制御部5aは、ゲームプログラム30aにより画像数値化手段51、付与手段53、ゲーム制御手段54、およびゲーム画面生成手段55として機能する。また、サーバ装置3の制御部5bは、ゲームプログラム42aにより特性決定手段52として機能する。
【0047】
ゲーム装置2において、画像数値化手段51は、後述する画像数値化処理により読み出された画像データから複数種類のパラメータの数値を抽出する。例えば、画像数値化手段51は、画像データを複数種類のグループに分け、各グループに含まれる領域の多寡を数値化する。画像データに基づいて抽出された複数種類のパラメータの数値は、ゲーム装置2からサーバ装置3に送られる。サーバ装置3において、特性決定手段52は、画像データから得られた数値に基づいて付与対象である装備アイテムを決定する付与対象決定処理を行う。付与対象決定処理において、まず、特性決定手段52は、画像データから得られた数値に基づいて付与対象である装備アイテムの特性を決定する特性決定処理を行う。例えば、各装備アイテムには、装備アイテムの属性として火、地、光、木、風、水、毒の7つの属性が設定され、各属性についてそれぞれ属性値が設定される。
【0048】
属性値は、値が大きいほどその属性に属する攻撃による攻撃力が大きくなる(相手に与えるダメージが大きくなる)、または、その属性に属する攻撃による防御力が大きくなる(プレイヤキャラクタが受けるダメージが小さくなる)ことを示す。7つの属性のうち数値(属性値)が高い属性がその装備アイテムの属性を示すことになる。例えば、上記の属性順において、各属性値が30、30、15、15、5、3、2の場合、付与される装備アイテムは、火属性および地属性の武器または防具となる。
【0049】
さらに、付与対象決定処理において、サーバ装置3の制御部5bは、画像から得られた数値に基づいて決定された特性(属性値)に応じた装備アイテムの外観および名称を決定する。例えば、予めゲームデータ30b,42bとして用意された複数の装備アイテムの外観および名称の中から、決定された属性値に応じた外観および名称が設定される。例えば、火属性の属性値が大きい武器の場合、外観が炎を模した剣に設定され、名称がフレイムソードに設定される。
【0050】
サーバ装置3で決定された装備アイテムの情報は、対応するゲーム装置2に送られる。そして、ゲーム装置2において、付与手段53は、決定された特性を備えた装備アイテムをユーザに付与する。この際、付与手段53は、装備アイテムが生成された画像をゲーム画面に表示する。また、サーバ装置3は、対応するユーザのアカウントに、当該装備アイテムを付与したことを記憶装置42に記憶する。ゲーム装置2は、ゲームを再開するときに、サーバ装置3から既に付与されている装備アイテムの情報を受信することにより、プレイヤキャラクタが装備アイテムを所持している状態でのゲームの再開が可能となる。
【0051】
上記態様によれば、ユーザが取得した画像データに基づいてユーザに付与される付与対象である装備アイテムの特性(属性値)が決定される。このため、例えば同じ場所で撮像した画像であっても構図の違いで異なる装備アイテムが付与される。したがって、画像の独自性(非同一性)によってランダムな能力値が設定された装備アイテムをユーザに付与することができる。これにより、複数のユーザ間で同じ装備アイテムが入手できることを抑制することができる。
【0052】
また、どのような画像を撮像すれば所望の特性を備えた装備アイテムが付与されるのかを探求するというゲーム性をユーザに提供することができる。このように、装備アイテムが単に付与されるのではなく、ユーザが工夫して画像を撮像することによってユーザが、付与される装備アイテムの選択に主体的に関与することができる。したがって、付与された装備アイテムに設定される特性が、ユーザが所望するものではなかった場合であっても、ユーザが自分で撮像した画像に基づく装備アイテムであることから、ユーザに納得感を与えることができる。
【0053】
また、本実施の形態においては、画像データが、現実空間を撮像部28で撮像することにより得られた画像データであるため、ゲームの進捗状況によらずユーザが様々な画像を撮像可能であり、画像の独自性(付与される装備アイテムのランダム性)をより高めることができる。
【0054】
[画像数値化処理の例1]
以下、画像数値化手段51が行う画像数値化処理について例示する。図3および図4は、本実施の形態における画像数値化処理の第1の例を示す図である。図3は、黒いベンチの上に、赤いリンゴと黄色いバナナが入った橙色のバスケットが置かれている画像データの画像数値化処理のイメージ図である。図4は、青空の下、緑色の芝生に茶色ないし橙色の毛並の動物が立っている画像データの画像数値化処理のイメージ図である。
【0055】
本例において、画像数値化手段51は、画像データを、色に基づく複数種類のグループに分類し、各グループの画像データに占める割合に基づいてグループ毎に数値化する。本例において、画像数値化手段51は、画像データを所定の領域単位(例えば所定のドット単位)で所定の複数種類(例えば256色)の色データに分解する。画像数値化手段51は、分解した色データを、予め定められた複数(例えば7つ)のグループに区分けし、各グループに含まれる色データの量(ドット数または領域の画像に占める面積)を算出する。
【0056】
なお、複数のグループに区分けする際には、画像数値化手段51は、例えば、元の画像に対してぼかし処理を行ってから色データに分解する。また、本例において、色データを区分けする7つのグループは、全ての色相をカバーしていない。言い換えると、数値化されない色相が存在する。例えば、黒および白等の7つのグループ以外の色は、数値化されない領域として設定される。
【0057】
図3のS31は、元の画像を示している。図3のS32は、元の画像データS31にぼかし処理(モザイク化)を行った後の画像である。図3のS33は、ぼかし処理後の画像S32における色データを、7つのグループ(赤、橙、黄、緑、水色、青、紫)に区分けした場合の各グループに属するおおよその領域を示している。図3の例において、リンゴ部分が「赤」グループの領域R3となり、バナナ部分が「黄」グループの領域Y3となり、バスケット部分が「橙」グループの領域O3となる。ぼかし処理後の画像S32における他の部分は、黒ないし灰色であり、7つのグループ外の領域(数値化されない領域)となる。
【0058】
S34は、元の画像データS31において、各グループに含まれる色データの量から得られる数値化データを示している。本例においては、画像全体を100とした各グループの占有面積によって数値化されている。上述したように、本例においては、数値化されない領域(色相)が存在するため、全てを足しても必ずしも100にならない。図3の例では、橙、黄、赤の各グループについて有意の値(装備アイテムのパラメータに反映される値)を有する数値化データS34が生成されている。
【0059】
図4についても、同様である。図4の区分け領域S43に示されるように、元の画像データS41から得られたぼかし処理後の画像S42における動物の体部分が「橙」グループの領域O4となり、山および芝生部分が「緑」グループの領域G4となり、青空部分が「水色」グループの領域L4となる。ぼかし処理後の画像S42における他の部分は、灰色であり、7つのグループ外の領域(数値化されない領域)となる。図4の例では、緑、水色、橙の各グループについて有意の値を有する数値化データS44が生成されている。
【0060】
このようにして画像数値化手段51は、画像データから複数種類のパラメータの数値を抽出する。特性決定手段52は、得られた数値化データS34,S44に基づいて装備アイテムの能力値を決定する。本例において、各グループの値は、火、地、光、木、風、水、毒の各属性値として設定される。また、数値化データS34,S44において最も数値の高いグループにおける数値が所定のしきい値(例えば31)以上である場合には、対応する属性に基づく特殊能力が付与される。
【0061】
例えば、図3の画像データS31から得られる装備アイテムは、火、地、光の各属性を有し、特殊能力は備えていない。図4の画像データS41から得られる装備アイテムは、地、木、風の各属性を有し、木属性の特殊能力を備えている。
【0062】
このように、画像データを色によって分解することにより、簡単に画像データを数値化できる。また、グループの数の変更が簡単に行えるため、ゲームの内容(属性の数等)によって数値化データの生成態様を適切に調整することができる。また、「赤」グループの領域を火属性に割り当てる等、色のグループと、対応するパラメータ(属性値)との関係をユーザに直感的に分かり易く設定することができる。したがって、ユーザが所望する特性を備えた装備アイテムをユーザに付与させ易くすることができる。
【0063】
[画像数値化処理の例2]
次に、画像数値化手段51が行う画像数値化処理の他の例について説明する。図5は、本実施の形態における画像数値化処理の第2の例を示す図である。図5の元の画像データS51は、図3の元の画像データS31と同じである。
【0064】
本例において、画像数値化手段51は、画像データを、グレースケールの濃淡に基づく複数種類のグループに分類し、各グループの画像データに占める割合に基づいてグループ毎に数値化する。図5のS52は、元の画像データS51のグレースケールの諧調分布を示すグラフである。本例において、画像数値化手段51は、画像データにおける諧調(例えば256諧調)を所定の諧調領域(グループ)A1〜A7に分類し、各諧調領域における最大レベルを算出する。本例において、諧調領域A1〜A7は、256諧調を7等分したものである。
【0065】
なお、画像数値化手段51は、各諧調領域A1〜A7のうち、最大レベルが所定のしきい値Vt以下である場合には当該諧調領域の値は0とする。この結果、図5の例では、4つの諧調領域A1,A2,A3,A4について有意の値を有する数値化データS53が生成されている。
【0066】
このようにして画像数値化手段51は、画像データから複数種類のパラメータの数値を抽出する。特性決定手段52は、第1の例と同様に、得られた数値化データS53に基づいて装備アイテムの能力値を決定する。図5の画像データS51から得られる装備アイテムは、火、地、光、木の各属性を有し、火属性の特殊能力を備えている。
【0067】
このように、画像データをグレースケールの濃淡によって分解することにより、簡単に画像データを数値化できる。また、分類する諧調領域の数の変更が簡単に行えるため、ゲームの内容によって数値化データの生成態様を適切に調整することができる。また、画像データを濃淡によって分解するため、元の画像データS51から装備アイテムのパラメータがどのように振り分けられるのかを分かり難くすることができる。したがって、ユーザに意外性のある装備アイテムを付与することができる。
【0068】
[画像数値化処理の例3]
図6は、本実施の形態における画像数値化処理の第3の例を示す図である。図6の元の画像データS61は、図3の元の画像データS31と同じである。
【0069】
本例において、画像数値化手段51は、画像データを、2値化し(白領域および黒領域に分け)、2値化後の画像データにおいて複数種類の多角形を当て嵌める多角形照合処理を行う。多角形照合処理において、画像数値化手段51は、2値化後の画像データにおいて少なくとも何れかの値の領域(白領域または黒領域)に複数種類および/または複数サイズの多角形を当て嵌めることにより当該領域を近似する。さらに、画像数値化手段51は、当該領域に当て嵌められた多角形の種類および/またはサイズの画像データに占める割合に基づいて当該多角形の種類および/またはサイズ毎に数値化する。
【0070】
本ゲームにおける多角形照合処理には、公知の態様を適宜採用可能である。例えば、以下のような態様が例示できる。図7は、本実施の形態における多角形照合処理の流れを例示するフローチャートである。以下の例では、2値化後の画像データにおいて白領域に多角形を当て嵌める態様について説明する。
【0071】
本例において、当て嵌める多角形は、正六角形ないし正三角形である。正六角形ないし正方形については一辺の長さ(大Lおよび小S)によってそれぞれ2種類設定される。正三角形については一辺の長さは1種類(大のみ)設定される。
【0072】
画像数値化手段51は、角の数nが大きい多角形から、角の数が同じ多角形については一辺の長さが大きい方から順に当て嵌めを行う。このため、まず、初期値として、角の数n=6、一辺の長さa=Lが設定されている(ステップS1)。画像数値化手段51は、当該多角形(大きい六角形)を2値化後の画像データの白領域に当て嵌める(ステップS2)。白領域の全域について当て嵌めが行われた後、画像数値化手段51は、当て嵌められた個数Cを計算し、角の数nおよび一辺の長さaとともに記憶する(ステップS3)。
【0073】
画像数値化手段51は、正三角形まで当て嵌めが終了したか否か、すなわち、角の数nが3であるか否かを判定する(ステップS4)。角の数nが3より大きい場合(ステップS4でNo)、画像数値化手段51は、当て嵌めを行った多角形の大きさ(一辺の長さa)が大Lであるか否かを判定する(ステップS5)。大Lである場合(ステップS5でYes)、画像数値化手段51は、同じ多角形で大きさ(一辺の長さa)を小Sに変更する(ステップS6)。画像数値化手段51は、変更後の多角形(角の数n、一辺の長さa=S)で再度当て嵌めを行う(ステップS2〜S3)。
【0074】
一辺の長さaが小Sである場合(ステップS5でNo)、角の数nが1つ少なく一辺の長さaが大Lである多角形に設定変更する(ステップS7)。画像数値化手段51は、変更後の多角形(角の数n−1、一辺の長さa=L)で再度当て嵌めを行う(ステップS2〜S3)。そして、画像数値化手段51は、角の数nが3になった場合(ステップS4でYes)、多角形照合処理を終了する。
【0075】
このようにして、大きい正六角形、小さい正六角形、大きい正五角形、小さい正五角形、…、大きい正三角形まで順に当て嵌めが行われ、角の数nと一辺の長さaとの組み合わせC(n,a)毎に当て嵌められた数が計数される。
【0076】
図6におけるS62は、2値化後の画像データ上に各多角形が当て嵌められた状態を示している。また、図6におけるS63は、当て嵌め後の状態S62に基づいて得られる数値化データを示している。数値化データS63においてカテゴリは、多角形の角の数nと一辺の長さaとの組み合わせC(n,a)を示している。S63において形状・サイズは、当該角の数nと一辺の長さaとを表記naで示している。S63において個数は、カテゴリ毎に当て嵌められた数を示している。
【0077】
S63において面積は、2値化後の画像に占める多角形の面積をカテゴリ毎に示したものである。この面積は、各カテゴリに対応する多角形の1個あたりの面積に当て嵌められた個数を掛けて算出される。本例において、画像数値化手段51は、カテゴリC(n,a)毎の面積を元の画像データS61から数値化される数値化データとして算出する。この結果、図6の例では、C3を除くカテゴリについて有意の値を有する数値化データS63が生成されている。
【0078】
特性決定手段52は、第1および第2の例と同様に、得られた数値化データS63に基づいて装備アイテムの能力値を決定する。図6の画像データS61から得られる装備アイテムは、火、地の各属性値が大きく、地属性の特殊能力を備えている。
【0079】
このように、画像データを2値化し、一方の領域に多角形を当て嵌めることにより、画像データの数値化を、ユーザからはパラメータ値の割り当ての仕組みを把握し難くすることができる。したがって、ユーザに意外性のある装備アイテムを付与することができる。
【0080】
[他の実施形態]
以上、本実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更、修正が可能である。
【0081】
例えば、上記実施の形態では、ゲーム内の撮像モードで撮像された画像データに基づいてユーザに付与する装備アイテムの特性が決定される態様を説明したが、これに加えてまたはこれに代えて、ゲーム外(当該ゲームを起動していない状態)で撮像された画像データに基づいてユーザに付与する装備アイテムの特性が決定されてもよい。また、ゲーム装置2の撮像部28を用いて撮像された画像に限らず、ゲーム装置2に記憶されている画像に基づいてユーザに付与する装備アイテムの特性が決定されてもよい。
【0082】
また、上記実施の形態では、画像から得られた数値に基づいて設定されたパラメータの値に応じた装備アイテムの外観および名称が決定される態様について説明したが、装備アイテムの外観および/または名称は決定される特性によらず同一でもよい。
【0083】
また、上記実施の形態では、画像データが、現実空間を撮像部28で撮像することにより得られた画像データである場合を例示した。これに代えて、画像データは、ゲーム画面に表示される仮想空間を仮想カメラで撮像することにより得られた画像データであってもよい。例えば、プレイヤキャラクタが3次元の仮想空間を行動するゲームにおいて、プレイヤキャラクタ視点におけるゲーム画面のスクリーンショットが画像データとして記憶される。これにより、例えば火山のステージより前にある森のステージまでしか到達していないユーザに対しては「緑」グループの領域に対応する特性は得られるが「赤」グループの領域に対応する特性は得られない等、ゲーム製作者がユーザに付与する装備アイテムの特性をある程度意図的に設定することができる。
【0084】
また、上記実施の形態では、画像データに基づいて、装備アイテムの特性として7種類の属性の各値の割り当ておよび特殊能力の付与を行う態様について説明したが、これらに限られない。例えば、画像データに基づいて、装備アイテムの攻撃力、防御力、耐久力等の値の割り当てが行われてもよい。
【0085】
また、後述するように、付与対象がキャラクタの場合、画像データに基づいて、付与されるキャラクタの体力、攻撃力、防御力、敏捷性等の能力値の割り当てが行われてもよい。これに加えてまたはこれに代えて、付与されるキャラクタの性別、体型、服装、性格等が決定されてもよい。例えば、第1の例において、「赤」グループの領域が所定値以上か否かで男性キャラクタとなるか女性キャラクタとなるかが決定されてもよい。また、「橙」グループの領域の多寡で身長が決定され、「黄」グループの領域の多寡で体重が決定されてもよい。また、「緑」グループの領域の多寡で戦士風の服装または導師風の服装が決定されてもよい。また、「水色」グループの領域の多寡で攻撃的な性格または保守的な性格が決定されてもよい。
【0086】
また、特性決定手段52は、画像数値化手段51により得られた数値化データに基づいてユーザに付与する装備アイテムの種類を決定してもよい。例えば、付与手段53は、画像数値化処理の第1の例において、「赤」グループの領域が「橙」グループの領域より大きい場合、ユーザに武器を付与し、「橙」グループの領域が「赤」グループの領域より大きい場合、ユーザに防具を付与してもよい。
【0087】
また、特性決定手段52は、画像数値化手段51により得られた数値化データを多段階的に装備アイテムの特性決定に用いてもよい。例えば、特性決定手段52は、第1の段階として、画像データを数値化することにより得られた上記7項目の各数値を、対応する7種類の属性値として割り振り、属性値の高い順に1または複数の属性を付与する装備アイテムの属性として決定してもよい。次に、特性決定手段52は、第2の段階として、7項目の各数値のうち、属性の決定に採用されなかった数値のそれぞれを、耐久値または攻撃値等の能力値として割り振ってもよい。さらに、特性決定手段52は、第3の段階として、第2の段階で割り振った能力値の最も高い項目に応じて装備アイテムの種類を決定してもよい。
【0088】
また、特性決定手段52は、画像データに基づく数値化データと、他のデータとを組み合わせてユーザに付与する装備アイテムの特性を決定してもよい。例えば、特性決定手段52は、まず、上記実施の形態と同様に、画像データを数値化することにより得られた上記7項目の各数値を、対応する7種類の属性について割り振る。さらに、特性決定手段52は、各属性に対する補正値が定められた補正テーブルを複数の補正テーブルの中から抽選等により選出し、各属性に割り振られた数値に、選出された補正テーブルにおいて対応する属性の補正値を加えるまたは掛けることにより、7種類の属性値を決定してもよい。なお、複数の補正テーブルには、例えば、各属性に対する補正値の組み合わせが互いに異なる(例えば、火属性の補正値が高い補正テーブル、水属性の補正値が高い補正テーブル等)、および/または、同じ属性でも補正値が互いに異なる(補正値が2の補正テーブル、補正値が5の補正テーブル等)が含まれ得る。
【0089】
また、装備アイテムの付与タイミングに応じて装備アイテムの特性の決定態様が変更されてもよい。例えば、ゲーム制御手段54は、装備アイテムの付与画面において、画像データが読み出される際、サーバ装置3と通信を行い、サーバ装置3から特性の決定態様についての情報を取得してもよい。これにより、同じ画像データであっても装備アイテムの付与タイミングに応じて異なる特性を有する装備アイテムが付与され得る。この場合、一の画像データを何度でも装備アイテムの付与に使用可能としてもよいし、一の画像データに基づいて装備アイテムが付与される回数が1以上の所定回数に制限されてもよい。
【0090】
また、画像データに撮像時の位置情報が含まれるようにし、当該位置情報とユーザに付与する装備アイテムの特性とを関連付けてもよい。
【0091】
また、上記実施の形態では、画像数値化処理に関して3つの例を示したが、画像数値化処理は、これらに限られない。また、一の装備アイテムを付与するために、複数の画像数値化処理を組み合わせてもよい。複数の画像数値化処理を組み合わせることにより、装備アイテムの特性決定態様を複雑化することができる。例えば、第1の例が属性値の割り当てに用いられ、第2の例が基本能力値(攻撃力、防御力等の値)の割り当てに用いられてもよい。
【0092】
また、複数種類の装備アイテムに応じて画像数値化処理の態様が異なってもよい。例えば、武器を付与する場合には第1の例が用いられ、防具を付与する場合には第2の例が用いられてもよい。また、より有利にゲームを進められる(高い能力値を有する、または、優れた特殊能力が付与される)装備アイテム(従来の抽選処理におけるレアアイテム等)を付与するための画像数値化処理が第1の例により行われ、通常の装備アイテムを付与するための画像数値化処理が第2の例により行われてもよい。
【0093】
また、上記実施の形態における画像数値化処理の第2の例において、画像数値化手段51は、画像データにおける諧調を所定の諧調領域A1〜A7に分類し、各諧調領域における最大レベルを算出する態様について説明した。これに加えてまたはこれに代えて、画像数値化手段51は、各諧調領域において有意な値を有する幅(例えば半値幅等)を算出し、各諧調領域における幅に基づいて数値化を行ってもよい。
【0094】
また、上記実施の形態における画像数値化処理の第3の例においては、正三角形ないし正六角形を白領域に当て嵌める態様について説明したが、当て嵌める平面形状の組み合わせはこれに限られない。正七角形以上または円が含まれてもよいし、正多角形以外の多角形(長方形、二等辺三角形)等が含まれていてもよい。また、正三角形等が含まれていなくてもよい。また、平面形状を当て嵌める領域は、黒領域でもよい。
【0095】
また、画像数値化処理に代えて、制御部5は、ユーザが取得した画像データから直接数値の抽出を行ってもよい。例えば、画像数値化手段51は、画像における複数の所定位置(所定座標)のそれぞれにおける色情報(数値)を取得し、各色情報に応じた数値に基づいて付与対象の特性を決定してもよい。例えば、制御部5は、画像データの第1座標(x1,y1)における色情報に対応する数値を付与対象の攻撃値とし、第2座標(x1,y2)における色情報に対応する数値を付与対象の耐久値とし、第3座標(x2,y1)における色情報に対応する数値を付与対象の属性値(属性毎に予め数値範囲が割り当てられている)とし、第4座標(x2,y2)における色情報に対応する数値を付与対象の種類(武器、または防具毎に予め数値範囲が割り当てられている)とすることにより、付与対象の特性を決定してもよい。
【0096】
また、画像数値化処理に代えて、制御部5は、ユーザが取得した画像データを記憶装置14または42に予め記憶されている付与対象のデータと照らし合わせ、画像データに合ったデータを有する付与対象をユーザに付与してもよい。この場合、例えば、ゲーム装置2においてユーザが取得した画像データがゲーム装置2からサーバ装置3に送信される。サーバ装置3の記憶装置42には、予め複数の付与対象のデータが記憶されている。サーバ装置3は、受信した画像データとの付与対象のデータとのマッチングを行ってユーザに付与する付与対象を決定する。例えば、マッチングにおいて、制御部5は、画像の色、明るさ、質感等の特徴点(例えば、赤い、つやがある等)を画像データから抽出し、付与対象のデータに当該特徴点に近い情報を備えた付与対象(例えばリンゴをモチーフとするキャラクタ)をユーザに付与する付与対象として決定してもよい。
【0097】
また、画像数値化処理により得られた数値化データに基づいて装備アイテムの特性を決定する態様は、上記実施の形態において説明した例に限られない。例えば、画像数値化処理の第1の例において最も多い色グループの領域の値のみを用いて付与する装備アイテムの特性が決定されてもよい。
【0098】
また、上記実施の形態において、装備アイテムの付与画面において画像データを読み出す際、画像データが複数ある場合には、ユーザが選択した一の画像データが読み出される態様について例示した。これに代えて、ゲームデータ30bとして記憶されている複数の画像データの中からランダムで選出された一の画像データが読み出されてもよい。
【0099】
また、複数の画像データから得られる複数の装備アイテムの中からユーザが所望する装備アイテムを選択可能としてもよい。また、ユーザが選択した一の画像データから得られる装備アイテムの内容が当該装備アイテムの付与前にゲーム画面に表示され、ユーザが所望しない場合には、他の画像データを再選択可能としてもよい。この場合、一の装備アイテムの付与に対して再選択可能な画像アイテムの数を制限してもよい。また、複数の画像データから得られる複数の装備アイテムの中から抽選でユーザに付与される装備アイテムが決定されてもよい。
【0100】
また、上記実施の形態においては、付与対象が、ユーザが操作するプレイヤキャラクタが装備する装備アイテム(武器、防具等)である場合を例示したが、これに限られない。例えば、使用アイテム、魔法、キャラクタ、トレーディングカードゲームにおけるカード等が付与対象として設定され得る。
【0101】
また、上記実施の形態においては、1つのゲーム装置2とサーバ装置4とがネットワークNWを介して通信する態様のみ説明したが、例えば、複数のゲーム装置2とサーバ装置4とがネットワークNWを介して相互に接続され、互いに異なるゲーム装置2を操作する複数のユーザに対応する複数のユーザキャラクタを同一の仮想ゲーム空間に登場させ、これらを協力させて行動させるオンラインゲームについても適用可能である。また、サーバ装置3を介さないオフラインゲームにおいても適用することができる。
【0102】
また、上記実施の形態においては、ゲームの進行が、ゲーム装置2側で行われる態様について例示した。これに代えて、ゲームの進行をサーバ装置3側で管理してもよい。
【0103】
上記実施の形態においては、ゲーム装置2の制御部5aが、画像数値化処理を実行し、サーバ装置3の制御部5bが、付与対象決定処理を実行する態様について説明したが、ゲームプログラム30a,42aは、ゲーム装置2およびサーバ装置3の少なくとも1つにより構成される制御部5に、上記各手段51から55の機能を発揮させればよい。例えば、画像数値化処理に加えて付与対象決定処理も、ゲーム装置2の制御部5aが実行してもよい。この場合、決定した付与対象の情報がゲーム装置2からサーバ装置3に送信される。
【0104】
また、サーバ装置3の制御部5bが、画像数値化処理および付与対象決定処理の何れをも実行してもよい。この場合、ゲーム装置2で取得された画像データがサーバ装置3に送られ、サーバ装置3の制御部5bが、画像数値化手段51として、画像数値化処理を実行する。さらに、サーバ装置3の制御部5bが、特性決定手段52として機能して付与対象決定処理を実行し、決定した付与対象の情報をゲーム装置2に送信する。
【0105】
また、サーバ装置3の制御部5bが、画像数値化処理を実行し、ゲーム装置2の制御部5aが、付与対象決定処理を実行してもよい。この場合、ゲーム装置2で取得された画像データがサーバ装置3に送られ、サーバ装置3の制御部5bが、画像数値化手段51として、画像数値化処理を実行する。画像数値化処理により得られた複数種類のパラメータの数値がサーバ装置3から対応するゲーム装置2に送られる。ゲーム装置2の制御部5aが、特性決定手段52として機能して付与対象決定処理を実行する。
【0106】
また、上記実施の形態ではゲーム装置2として、スマートフォン、タブレットPC等の携帯型の情報端末や携帯型のゲーム専用機器を想定して説明したが、ゲーム装置2は、これらに限られず、据え置き型のゲーム装置やパーソナルコンピュータ等のコンピュータ装置についても、本発明を好適に適用することができる。この場合、コントローラ(操作入力部12)がゲーム装置本体に対して無線接続され、コントローラにモニタ19が設けられているような構成であってもよい。このような構成において、ゲーム装置2は、コントローラを構成する移動筐体に操作入力部12、モニタ19、および、後述する撮像部28等が設けられ、ゲーム装置本体である他の筐体(設置筐体)にその他の構成が設けられる。なお、移動筐体にも設置筐体に設けられるゲーム装置2のメインのCPU10、ROM15等とは別にサブのCPU、ROM等が設けられていてもよい。
【0107】
また、ゲーム装置2は、ディスクドライブ、メモリカードスロットまたはHDD等を備えていてもよい。ディスクドライブを備えるゲーム装置においては、当該ディスクドライブにDVD−ROM等のディスク型記記憶体を装填することにより、ゲームプログラムおよびゲームデータをゲーム装置2が取得することとしてもよい。また、メモリカードスロットを備えるゲーム装置においては、カード型記憶媒体を装填することにより、当該カード型記憶媒体に、セーブデータを格納可能としてもよい。
【0108】
また、上記実施の形態において、操作入力部12がモニタ19上に設けられたタッチパネルを有する構成を例示したが、操作入力部12としてタッチパネルの代わりに、ゲーム装置2に設けられた操作ボタン等を操作することにより操作入力を行うこととしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明は、ユーザが主体的に付与対象の選択に関与することができ、しかも、複数のユーザ間で同じ付与対象が入手できることを抑制することができるゲームプログラムおよびゲームシステムを提供するために有用である。
【符号の説明】
【0110】
1 ゲームシステム
2 ゲーム装置
5 制御部(コンピュータ)
19 モニタ(表示部)
28 撮像部(撮像装置)
30a,42a ゲームプログラム
51 画像数値化手段
52 付与手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7