【実施例】
【0036】
以下、第1の本発明のカーテンエアバッグ装置と当該本発明のカーテンエアバッグ装置の車両への取付け構造を、
図1〜
図5を用いて説明する。
【0037】
本発明のカーテンエアバッグ装置1は、インフレータ4(
図9参照)から噴出するガスにより、サイドウインドウ6(
図9参照)に沿ってカーテン状に展開するエアバッグ5を備えている。そして、エアバッグ5の展開により、着座した乗員の頭部を保護し、かつ、乗員が車外に放出されるのを防止する。
【0038】
前記エアバッグ5は、略上下方向に例えばロール形状に巻かれた長尺状態となされている。そして、ロール形状に巻かれた本体部分5aの外周側の端部に本体部分5aの巻き方向とは逆向きに折り返した第2折り返し部5bを設け、前記本体部分5aの外周側の一部を覆っている。
【0039】
7は前記ロール形状に巻かれた長尺状態のエアバッグ5のフロントピラーFP(
図9参照)部分に配置するカバー布である。このカバー布7は、例えば自動車用のシートベルトに用いられるウエビング、もしくは、エアバッグ5を形成する基布5dよりも厚みの厚い布地で形成されている。
【0040】
前記カバー布7は、ロール形状に巻かれたエアバッグ5の本体部分5aの外周を周回することが可能な長さを有し(
図3参照)、前記エアバッグ5の長手方向と直交する断面の外周の周方向における一方端部側を折り返した第1折り返し部7aとしている。そして、当該第1折り返し部7aを、エアバッグ5の第2折り返し部5bの折り返し位置5cから本体部分5aと第2折り返し部5bの間に挿入する。これにより、カバー布7の他方端部側7bと前記第1折り返し部7aとで前記折り返し位置5cを挟み込み、エアバッグ5の本体部分5aの外周に巻き付ける。その後は、テープ8で固定する(
図4(a)(b)参照)。
【0041】
前記カバー布7の第1折り返し部7aの挿入長さL、及び、前記カバー布7の折り返し位置7cと前記エアバッグ5の折り返し位置5cの間隔dは、
図1(a)〜(c)に示す範囲であれば、特に限定されない。
【0042】
すなわち、
図1(a)はカバー布7の第1折り返し部7aの挿入長さLが最大で、カバー布7の折り返し位置7cとエアバッグ5の折り返し位置5cの間隔dが最小の場合を示している。
【0043】
また、
図1(b)はカバー布7の第1折り返し部7aの挿入長さLが最小で、カバー布7の折り返し位置7cとエアバッグ5の折り返し位置5cの間隔dが最大の場合を示している。
【0044】
また、
図1(c)はカバー布7の第1折り返し部7aの挿入長さL、カバー布7の折り返し位置7cとエアバッグ5の折り返し位置5cの間隔dが
図1(a)と(b)の中間の場合を示している。
【0045】
また、前記カバー布7は、他方端部側7bをエアバッグ5の上端部に位置する基布5dに例えば縫製して取付けている。そして、この基布5dに取付けたカバー布7の例えば長手方向の中央部に、基布5d及びカバー布7と一体にタブ9を縫製している(
図3参照)。なお、
図3中の10は基布5dとカバー布7とタブ9を一体に縫製した縫製部、5aaはエアバッグ5のロール形状に巻かれた本体部分5aの上端縁を示す。
【0046】
上記カーテンエアバッグ装置1は、エアバッグ5の上端部に位置する基布5dに取付けたタブ9を用いて、前記インフレータ4と共に、例えば車室のフロントピラーFP及びルーフサイドレールRSRに、車両の前後方向に延在するように取付ける(
図9参照)。その際、カバー布7の取付け位置では、前記タブ9に取付けたブラケット3を用いてフロントピラーFPに取付ける。
【0047】
このカーテンエアバッグ装置1の取付け構造では、カバー布7の少なくとも一部分が、フロントピラーガーニッシュFPGのルーフガーニッシュRG側の端部とオーバーラップするように設置している(
図4(c)参照)。
図4(c)に示した例ではカバー布7の全部がフロントピラーガーニッシュFPGのルーフガーニッシュRG側の端部とオーバーラップしている。
【0048】
カバー布7は、ガーニッシュに比べるとはるかに柔らかく変形しやすいので、フロントピラーガーニッシュFPGを押し開く際に、前記カバー布7がフロントピラーガーニッシュFPGの下端をなめらかに覆う。従って、カバー布7はフロントピラーガーニッシュFPGの下端から延長するように展開し、エアバッグ5のスムーズな展開を助ける。
【0049】
また、このカーテンエアバッグ装置1の取付け構造では、
図5に示すように、フロントピラーガーニッシュFPGとルーフサイドレール側のルーフガーニッシュRGとの継ぎ目部Sを跨ぐようにカバー布7を設置してもよい。
【0050】
この継ぎ目部Sを跨ぐようにカバー布7を設けた場合、エアバッグ5の展開時に開き方が異なるフロントピラーガーニッシュFPGとルーフガーニッシュRGの継ぎ目の開口下端部をカバー布7がなめらかに覆うことになる。従って、前記開口下端位置において生じる段差が無くなって、エアバッグ5の引っ掛かりを防止することが可能となる。
【0051】
これらの取付け構造により、エアバッグ5の展開時、フロントピラーガーニッシュFPGのルーフガーニッシュRG側の端部に加えられる直接的なダメージを小さくすることができ、フロントピラーガーニッシュFPGの割れを防止できる。
【0052】
上記本発明では、側面衝突や横転によって車体側部に所定値以上の高荷重が作用した場合、センサからの信号を受け、インフレータ4から噴出したガスがダクトを通ってチャンバーに供給され、エアバッグ5がカーテン状に展開する。
【0053】
このエアバッグ5の展開時、
図2(a)に示した格納状態から、
図2(b)〜(d)に示す順に第2折り返し部5bが展開する。この第2折り返し部5bの展開により、エアバッグ5の本体部分5aと第2折り返し部5bの間に挿入したカバー布7の第1折り返し部7aが確実に解けることになる。
【0054】
図2(a)は、エアバッグ5がフロントピラーFP内に格納されている状態を示す。インフレータが作動してエアバッグ5が展開を始めると、エアバッグ5の車内側に配置されている第2折り返し部5bが展開を始め、フロントピラーガーニッシュFPGを車内側に押し始める(
図2(b))。
【0055】
膨張展開が進むと、フロントピラーFPとフロントピラーガーニッシュFPGの間に形成される開口部Oが、押し広げられる。カバー布7の下端付近は、開口部Oが広がっても、まだフロントピラーガーニッシュFPGの下端部から更にフロントピラー方向に延びて開口部内に残っている(
図2(c))。
【0056】
開口部Oが完全に開いて、エアバッグ5の本体部分5aがフロントピラーガーニッシュFPGから出てくる状態でも、カバー布7の下端付近は、フロントピラーガーニッシュFPGの下端部を覆っている(
図2(d))。
【0057】
この後、エアバッグ5の展開が進むと、カバー布7の第1折り返し部7aの端部7aaが下方に垂れ下がり、フロントピラーガーニッシュFPGの下端部の出っ張りを無くすように変形する。従って、エアバッグ5がフロントピラーガーニッシュFPGの下端で引っ掛かることがなくなり、展開がスムーズに行われる。
【0058】
上記本発明では、エアバッグ5は所期の展開方向に展開し、フロントピラーガーニッシュFPGの端部が割れて飛び散ることがない。
【0059】
本発明は上記の例に限らず、各請求項に記載された技術的思想の範疇に含まれるものであれば、適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。
【0060】
すなわち、
図1〜
図5で説明した実施例は、本発明の好ましい例であって、これ以外の実施態様も、各種の方法で実施または遂行できる。特に本願明細書中に限定する主旨の記載がない限り、本発明は添付図面に示した詳細な部品の形状、大きさ、および構成配置等に制約されるものではない。また、本願明細書の中に用いられた表現および用語は、説明を目的としたもので、特に限定される主旨のない限り、それに限定されるものではない。
【0061】
例えば、
図1〜
図5の実施例では、ロール形状に折り畳んだエアバッグ5を示している。しかしながら、
図6に示したように、エアバッグ5を蛇腹形状に折り畳み、エアバッグ5の一方の端部を折り返した第3折り返し部5eで、前記エアバッグ5の外側の一部を覆うようにしたものでも良い。
【0062】
また、ロール形状に折り畳んだエアバッグ5の場合、
図7(a)に示したような第2折り返し部5bを設けないものでも良い。また、蛇腹形状に折り畳んだエアバッグ5の場合、
図7(b)に示したような第3折り返し部5eを設けないものでも良い。
【0063】
また、上記の実施例は、フロントピラーガーニッシュFPGの破損防止について説明した。しかしながら、
図8に示すように、リアピラーRPにまでエアバッグ5が配置されている場合は、リアピラーガーニッシュについても同様の構成を採用することでエアバッグ5の展開時における破損を防止することができる。
【0064】
また、上記の実施例は、エアバッグ5を形成する基布5dよりも厚みの厚い布地もしくはウエビング等の硬い布地でカバー布7を形成したものについて説明した。しかしながら、カバー布7の素材は、エアバッグ5を形成する基布5dよりも硬くかつガーニッシュよりも柔軟な素材であれば、どのような素材を使用してもよい。