【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)一実施形態に係る揚鉱システムは、
ポンプと、
鉱石回収部と、
前記ポンプから水底まで延在する往路配管と、
前記水底から前記鉱石回収部まで延在する復路配管と、
前記水底で採取された鉱石を前記復路配管に投入するための鉱石投入装置と、
を備え、
前記鉱石投入装置は、外部の水から遮断された密閉容器を含み、
前記密閉容器は、
前記鉱石を貯留するための鉱石貯留空間と、
前記往路配管および前記復路配管に連通する鉱石投入空間と、
を内部に含み、
前記鉱石投入空間は、鉱石投入口を介して前記鉱石貯留空間から前記鉱石の供給を受けるように構成される。
【0007】
上記(1)の構成において、外部の水から遮断された密閉容器の内部は、鉱石投入空間を介して往路配管及び復路配管と連通しているため、上記ポンプが非稼働の時には低圧状態となる。従って、この時に集鉱機で採取した鉱石を密閉容器に容易に供給できるため、上記問題を解決できる。密閉容器の鉱石貯留空間に貯留された鉱石は、鉱石投入口を介して往路配管及び復路配管に連通した鉱石投入空間に移送されるため、揚鉱時には、上記ポンプを稼働させることで、復路配管を介して水上の鉱石回収部まで移送できる。こうして、ポンプの吐出圧などに起因した揚鉱管内の圧力に関係なく、円滑な揚鉱が可能になる。また高圧のポンプ内部に鉱石を通すことなく鉱石を移送することが可能になる。なお、鉱石回収部は、例えば、水上に浮かぶ母船などの水上基地や水辺近くの陸上に設けることができる。
【0008】
(2)一実施形態では、前記(1)の構成において、
前記鉱石投入空間は、前記鉱石貯留空間の下方に位置する。
上記(2)の構成によれば、鉱石投入空間が鉱石貯留空間の下方に位置するため、鉱石に加わる重力を利用して鉱石を鉱石貯留空間から鉱石投入空間まで移送できる。従って、この移送のために余分な動力を必要としない。
【0009】
(3)一実施形態では、前記(2)の構成において、
前記鉱石貯留空間と前記鉱石投入口との間に、前記鉱石投入空間に向けて先細りした錐形空間が形成されている。
上記(3)の構成によれば、鉱石貯留空間と鉱石投入空間との間に上記錐形空間が形成されるため、鉱石貯留空間の鉱石は重力による鉱石投入空間への移動が容易になる。
【0010】
(4)一実施形態では、前記(1)〜(3)の何れかの構成において、
複数の前記鉱石投入装置を備え、
前記往路配管および前記復路配管は前記複数の鉱石投入装置に選択的に接続可能に構成される。
上記(4)の構成によれば、往路配管及び復路配管を複数の鉱石投入装置に順々に接続することで、複数の鉱石投入装置から順々に鉱石を揚鉱できる。このように、複数の鉱石投入装置を用いることで、鉱石の採取量を増加でき、かつ採取効率を向上できる。
【0011】
(5)一実施形態では、前記(1)〜(4)の何れかの構成において、
水底で前記鉱石を採取するための集鉱機と、
前記密閉容器と前記集鉱機とに接続され、前記集鉱機で採取された前記鉱石を前記密閉容器に移送するための鉱石供給ホースと、
前記鉱石供給ホースに設けられた遮断弁と、
を備える。
上記(5)の構成によれば、ポンプ非稼働時に低圧状態の密閉容器に集鉱機で採取した鉱石を鉱石供給ホースを介して供給するために、鉱石を密閉容器の鉱石貯留空間に容易に供給できる。ポンプが稼働する時は上記遮断弁を閉じておくことで、鉱石を含む水が集鉱機側へ逆流するのを防止できる。
【0012】
(6)一実施形態では、前記(1)〜(5)の何れかの構成において、
前記鉱石投入空間に回転軸が上下方向に沿うように設けられた羽根車と、
前記復路配管を流れる水に含まれる前記鉱石の濃度、前記復路配管の水底部と水上部との差圧、または、前記復路配管を流れる前記鉱石を含む水の流量を検出するセンサと、
を備え、
前記センサの検出値に応じて前記羽根車の回転数が制御可能に構成されている。
上記(6)の構成によれば、上記センサの検出値に応じて羽根車の回転数を制御することで、復路配管を流れる水に含まれる鉱石の濃度や流量を制御できる。これによって、復路配管の詰まりを抑制でき、揚鉱を円滑に行うことができる。
【0013】
(7)一実施形態では、前記(1)〜(6)の何れかの構成において、
前記ポンプは2MPa以上15MPa以下の吐出圧を形成可能に構成される。
上記(7)の構成によれば、上記ポンプの吐出圧を2〜15MPaとすることで、ポンプの高揚程が可能になり、水深が深い水底からでも揚鉱が可能になる。
【0014】
(8)一実施形態に係る鉱石投入装置は、
水底で採取された鉱石を配管に投入するための鉱石投入装置であって、
外部の水から遮断された密閉容器を含み、
前記密閉容器は、
前記鉱石を貯留するための鉱石貯留空間と、
前記配管に連通する鉱石投入空間と、
を内部に含み、
前記鉱石投入空間は、鉱石投入口を介して、前記鉱石貯留空間から前記鉱石の供給を受けるように構成される。
【0015】
上記(8)の構成において、上記密閉容器は外部の水から遮断され、かつ鉱石投入空間を介して往路配管及び復路配管を連通しているため、上記ポンプが非稼働の時には低圧状態を保持できる。従って、この時に集鉱機で採取した鉱石を密閉容器に容易に供給できる。密閉容器の鉱石貯留空間に貯留された鉱石は、鉱石投入口を介して往路配管及び復路配管に連通した鉱石投入空間に移送されるため、揚鉱時には、上記ポンプを稼働させることで、復路配管を介して水上の鉱石回収部まで移送できる。
【0016】
(9)一実施形態では、前記(8)の構成において、
前記密閉容器が耐圧構造を有する。
上記(9)の構成によれば、密閉容器が耐圧構造を有するために、揚鉱管に設けられたポンプの吐出圧を増加し、揚鉱管系が高圧となっても、密閉容器が耐久性を保持できる。従って、深い水底での揚鉱作業が可能になる。
【0017】
(10)一実施形態では、前記(8)又は(9)の構成において、
前記鉱石投入空間に回転軸が上下方向に沿うように設けられた羽根車を備える。
上記(10)の構成によれば、密閉容器の鉱石貯留空間に貯留された鉱石を鉱石投入口を介して鉱石投入空間へ投入する際に、上記羽根車の攪拌及び掻き出し作用により鉱石投入空間における鉱石の片寄りを抑制できるため、鉱石投入口の詰まりを抑制できる。これによって、鉱石を含む水を円滑に水上の鉱石回収部まで移送できる。
【0018】
(11)一実施形態では、前記(10)の構成において、
前記鉱石投入空間において前記羽根車の外周側に環状流路が形成され、該環状流路に前記配管が連通している。
上記(11)の構成によれば、鉱石投入口から鉱石投入空間へ投入される鉱石を含む水は、羽根車の攪拌及び掻き出し作用及び遠心力によって片寄りなく上記環状流路に押し出されるため、詰まりを生じることなく上記配管に移送される。
【0019】
(12)一実施形態では、前記(10)又は(11)の構成において、
前記羽根車を回転させる駆動部を備える。
上記(12)の構成によれば、上記駆動部で羽根車を回転することで、羽根車の攪拌及び掻き出し作用により、鉱石貯留空間の鉱石は鉱石投入口から片寄りなく鉱石投入空間へ移送されるので、鉱石投入口での鉱石の詰まりを抑制でき、これによって、鉱石を上記配管へ円滑に移送できる。また、上記駆動部が羽根車の回転数を制御できるものであれば、上記配管から流入する搬送水と鉱石投入口から投入される鉱石を含む水との混合割合を制御することで鉱石投入口での詰まりを抑制できる。
【0020】
(13)一実施形態では、前記(10)又は(11)の構成において、
前記羽根車は、前記鉱石投入口から前記鉱石投入空間に投入される前記鉱石を含む水の動圧によって回転するように構成されている。
上記(13)の構成によれば、羽根車は鉱石投入口から鉱石投入空間に投入される鉱石を含む水の動圧によって回転されるので、羽根車を回転する駆動部及びその動力を必要としない。
【0021】
(14)一実施形態では、前記(8)又は(9)の構成において、
前記鉱石投入空間において中心軸が上下方向に沿うように設けられた環状流路が形成されると共に、前記鉱石投入口は前記環状流路の一部に連通し、
前記配管は、前記環状流路の外周に対して接線方向に沿った向きで連通する往路配管および復路配管で構成されている。
上記(14)の構成において、往路配管及び復路配管は環状流路の外周に対して接線方向に沿った向きで連通するので、往路配管から流入する搬送水は環状流路の外周側を積極的に流れて環状流路を通って復路配管に流出する。かかる搬送水流の中に鉱石が鉱石投入口から重力落下で投入されるため、鉱石投入口及び環状流路で鉱石の詰まりなく円滑に復路配管へ移送できる。