【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の空気分離装置は、
その塔頂部(113)の上方から離された位置にある第一凝縮器(121、122)を備える第一精留塔(11)と、
前記第一精留塔(11)よりも低圧の精留塔であって、前記第一精留塔(11)に隣接配置される第二精留塔(21)と、
前記第一精留塔(11)の塔頂部(113)の上方に配置される、少なくとも粗アルゴン精留塔の一部(31)または粗アルゴン精留塔の全部(30)と、を備える。
【0008】
上記発明において、
前記粗アルゴン精留塔の一部が前記塔頂部(113)の上方に配置される場合に、
前記粗アルゴン精留塔は、前記塔頂部(113)の上方に配置される下部精留塔(31)と、前記第二精留塔(21)および/または前記第一精留塔(11)に隣接配置され、第二凝縮器(324)をその塔頂部(323)内あるいはその上方に備える上部精留塔(32)とを有してもよい。
上記発明において、
前記粗アルゴン精留塔の全部が前記塔頂部(113)の上方に配置される場合に、前記粗アルゴン精留塔は、第二凝縮器(324)をその塔頂部(323)内あるいはその上方に備え、前記塔頂部(113)の上方にのみ配置されてもよい。
【0009】
上記発明において、
前記第一凝縮器(121)は、前記塔頂部(113)の斜め上方に配置されてもよい。
【0010】
上記発明において、
前記第一凝縮器(122)は、前記第二精留塔(21)の下部あるいは底部(211)に配置されてもよい。
【0011】
上記発明において、
前記第一精留塔(11)は、前記第一凝縮器(
121)を含みあるいは含まず、第一コールドボックス(
10a)内に配置されてもよい。
【0012】
上記発明において、
前記第一精留塔(11)および前記少なくとも粗アルゴン精留塔の一部または粗アルゴン精留塔の全部が、第一コールドボックス(10)内に配置されてもよく、または、
前記第一精留塔(11)が、第一コールドボックス(10)内に配置され、かつ前記少なくとも粗アルゴン精留塔の一部または粗アルゴン精留塔の全部が、前記第一コールドボックス(10)とは別のコールドボックス内に配置されてもよい。
【0013】
上記発明において、
前記第一精留塔(11)、前記第二精留塔(21)、前記粗アルゴン精留塔の内一つまたは二つ以上に隣接配置される、純アルゴン精留塔を、さらに備えていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
上記発明によれば、従来の空気分離装置と比較して製品製造効率を低下させることなく、設置面積を大きくすることなく、かつ低圧精留塔を分割することなく、高圧精留塔の頂部に設置される凝縮器に係る高さ分を低くすることができる。この削減高さは、例えば5〜10mとなることがあり、高純度ガスを製造するような非常に高い精留塔の設置の際に、大規模なクレーンの利用などで発生する設置コストを大幅に削減できる。
【0015】
本発明の第一実施形態の空気分離装置(1)は、
第一コールドボックス(
10a)内に配置され、かつ第一凝縮器(121)をその塔頂部(113)の斜め上方に備える第一精留塔(11)と、
第二コールドボックス(20)内に配置され、かつ前記第一精留塔(11)よりも低圧の精留塔であって、前記第一精留塔(11)に隣接配置される第二精留塔(21)と、
第一コールドボックス(
10a)内または第三コールドボックス(30a)内に配置され、かつ前記第一精留塔(11)の塔頂部(113)の上方(好ましくは垂直上方)に設置される下部精留塔(31)と、第四コールドボックス(30b)内に配置され、かつ前記第二精留塔(21)および/または前記第一精留塔(11)に隣接配置され、第二凝縮器(324)をその塔頂部(323)内あるいはその上方に備える上部精留塔(32)とを有する粗アルゴン精留塔(31、32)と、を備える。
第一実施形態の空気分離装置(1)は、前記第四コールドボックス(30b)内に配置され、かつ前記上部精留塔(32)に隣接配置される純アルゴン精留塔(36)を、さらに備えていてもよい。
第一実施形態の空気分離装置(1)は、前記第一凝縮器(121)から前記第二精留塔(21)の底部(211)へ第一酸素富化ガスが送られる第一酸素富化ガス送りライン(L1)と、
前記第二精留塔(21)の底部(211)から前記第一凝縮器(121)へ第一酸素富化液が第一液送ポンプ(5)で送られる第一酸素富化液送りライン(L2)と、
前記第二精留塔(21)のカラム中間部(213)(あるいは中間よりも下方のカラム
(212)位置)から前記下部精留塔(31)の底部(311)へ第二酸素富化ガスを送る第二酸素富化ガス送りライン(L3)と、
前記下部精留塔(31)の底部(311)から前記第二精留塔(21)のカラム中間部(213)(あるいは中間よりも下方のカラム
(212)位置)へ第二酸素富化液を送る第二酸素富化液送りライン(L4)と、
前記下部精留塔(31)の塔頂部(313)から前記上部精留塔(32)の底部(321)へ第一アルゴン富化ガスが送られる第一アルゴン富化ガス送りライン(L5)と、
前記上部精留塔(32)の底部(321)から前記下部精留塔(31)の塔頂部(313)へ第一アルゴン富化液が第二液送ポンプ(6)で送られる第一アルゴン富化液送りライン(L6)と、をさらに備えていてもよい。
【0016】
第一実施形態の空気分離装置(1)によれば、前記下部精留塔(31)の底部(311)は、前記第二精留塔(21)のカラム中間部(213)よりも高い位置となるように構成する。これにより、ポンプを用いずに第二酸素富化液をその高低差を利用して送ることができる。
また、第一精留塔(高圧塔)、第二精留塔(低圧塔)と、空間的に分離された1つ以上の部分(少なくともそれぞれにカラムを含む、上部精留塔、下部精留塔など)から構成された粗アルゴン精留塔を有し、第二精留塔(低圧塔)は第一精留塔(高圧塔)の少なくとも高さ方向の部分的な位置で隣接配置され、粗アルゴン精留塔の下部精留塔(底部)は少なくとも第一精留塔(高圧塔)の上方に配置される。これによって、空気分離装置の高さを低くできる。
また、第一精留塔(高圧塔)の斜め上方に凝縮器を設置する場合は、つまり、第一精留塔の塔頂部に設置される第一凝縮器に係る高さ分を低くすることができる。
また、例えば第二精留塔(低圧塔)や原料空気を冷却するための主熱交換器(不図示)を収めた第五コールドボックス(50)の一部を支持サポートとして使用することによって、新たな支持脚を接地することがなく、第一精留塔(高圧塔)の斜め上方に第一凝縮器を設置することができる。
また、粗アルゴン精留塔の下部精留塔の底部から第二精留部(低圧塔)の中間部に酸素富化液体が供給されるラインと、第二精留部(低圧塔)の中間部から粗アルゴン精留塔の下部精留塔の下部に酸素富化ガスが供給されるラインが設けられる。つまり、粗アルゴン精留塔の下部精留塔が第一精留塔(高圧塔)の上部に設置されることにより、第二精留塔(低圧塔)の返送点に対して液ヘッドで液返送することが可能となり、特許文献3の構成におけるポンプで2分割された低圧塔下部に返送するような複雑で高価な工程を必要としなくて済む。
また、第一凝縮器(121)は、第一精留塔(高圧塔)の頂部ガスを、第二精留塔(低圧塔)の底部液を冷熱源として使用することで凝縮するように構成される。第二精留塔(低圧塔)の底部液は、例えばポンプ(5)によって第二精留塔(低圧塔)の底部(下部)から第一凝縮器(
121)に送られる。
【0017】
本発明の第二実施形態の空気分離装置(1)は、
第一コールドボックス(
10a)内に配置され、かつ第一凝縮器(121)をその塔頂部(113)の斜め上方に備える第一精留塔(11)と、
第二コールドボックス(20)内に配置され、かつ前記第一精留塔(11)よりも低圧の精留塔であって、前記第一精留塔(11)に隣接配置される第二精留塔(21)と、
第一コールドボックス(
10a)内または第三コールドボックス内に配置され、第二凝縮器(304)をその塔頂部(303)内あるいはその上方に備える粗アルゴン精留塔(30)と、を備える。
第二実施形態の空気分離装置(1)は、粗アルゴン精留塔(30)に隣接配置される純アルゴン精留塔を、さらに備えていてもよい。
第二実施形態の空気分離装置(1)は、前記第一凝縮器(121)から前記第二精留塔(21)の底部(211)へ第一酸素富化ガスが送られる第一酸素富化ガス送りライン(L1)と、
前記第二精留塔(21)の底部(211)から前記第一凝縮器(121)へ第一酸素富化液が第一液送ポンプ(5)で送られる第一酸素富化液送りライン(L2)と、
前記第二精留塔(21)のカラム中間部(213)(あるいは中間よりも下方のカラム
(212)位置)から前記粗アルゴン精留塔(30)の底部(301)へ第二酸素富化ガスを送る第二酸素富化ガス送りライン(L3)と、
前記粗アルゴン精留塔(30)の底部(301)から前記第二精留塔(21)のカラム中間部(213)(あるいは中間よりも下方のカラム
(212)位置)へ第二酸素富化液を送る第二酸素富化液送りライン(L4)と、をさらに備えていてもよい。
第三実施形態では、粗アルゴン精留塔が分割されておらず、第一精留塔の上方にそのまま配置されているので、高さ方向のサイズが大きくなるが設置面積は小さくできる。
【0018】
第三実施形態の空気分離装置(1)は、
第一コールドボックス(
10a)内に配置される第一精留塔(11)と、
第二コールドボックス(20)内に配置され、かつ前記第一精留塔(11)よりも低圧の精留塔であって、前記第一精留塔(11)に隣接配置され、かつ前記第一精留塔(11)の塔頂部(113)と配管を介して接続される第一凝縮器(122)をその下部あるいは底部(211)に備える第二精留塔(21)と、
第一コールドボックス(
10a)内または第三コールドボックス(30a)内に配置され 、かつ前記第一精留塔(11)の塔頂部(113)の上方に設置される下部精留塔(31)と、第四コールドボックス(30b)内に配置され、かつ前記第二精留塔(21)および/または前記第一精留塔(11)に隣接配置され、第二凝縮器(324)をその塔頂部(323)内あるいはその上方に備える上部精留塔(32)とを有する粗アルゴン精留塔(31、32)と 、を備える。
第三実施形態の空気分離装置(1)は、前記第四コールドボックス(30b)内に配置され、かつ前記上部精留塔(32)に隣接配置される純アルゴン精留塔(36)をさらに備えていてもよい。
第三実施形態の空気分離装置(1)は、前記第一精留塔(11)の塔頂部(113)から前記第一凝縮器(122)へ第一窒素富化ガスが送られる第一窒素富化ガス送りライン(L11)と、
前記第一凝縮器(122)から前記第一精留塔(11)の塔頂部(113)へ第一窒素富化液が第一液送ポンプ(5)で送られる第一窒素富化液送りライン(L21)と、
前記第二精留塔(21)のカラム中間部(213)から前記下部精留塔(31)の底部(311)へ第一酸素富化ガスを送る第一酸素富化ガス送りライン(L3)と、
前記下部精留塔(31)の底部(311)から前記第二精留塔(21)のカラム中間部(213)へ第一酸素富化液を送る第一酸素富化液送りライン(L4)と、
前記下部精留塔(31)の塔頂部(313)から前記上部精留塔(32)の底部(321)へ第一アルゴン富化ガスが送られる第一アルゴン富化ガス送りライン(L5)と、
前記上部精留塔(32)の底部(321)から前記下部精留塔(31)の塔頂部(313)へ第一アルゴン富化液が第二液送ポンプ(6)で送られる第一アルゴン富化液送りライン(L6)と、をさらに備えていてもよい。
【0019】
第三実施形態の空気分離装置(1)によれば、前記下部精留塔(31)の底部(311)は、前記第二精留塔(21)のカラム中間部(213)よりも高い位置となるように構成する。これにより、ポンプを用いずに第二酸素富化液をその高低差を利用して送ることができる。
また、第一精留塔(高圧塔)、第二精留塔(低圧塔)と、空間的に分離された1つ以上の部分(少なくともそれぞれにカラムを含む、上部精留塔、下部精留塔など)から構成された粗アルゴン精留塔を有し、第二精留塔(低圧塔)は第一精留塔(高圧塔)の少なくとも高さ方向の部分的な位置で隣接配置され、粗アルゴン精留塔の下部精留塔(底部)は少なくとも第一精留塔(高圧塔)の上方に配置される。これによって、空気分離装置の高さを低くできる。
また、第一凝縮器(122)は第二精留塔(21)の下部に設置される。つまり、第一精留塔の塔頂部に設置される第一凝縮器に係る高さ分を低くすることができる。
第一凝縮器(122)は、第一精留塔(11)の塔頂部ガスを、第二精留塔(21)の底部液を冷熱源として使用することで凝縮するように構成される。
第一凝縮器(122)で液化された第一精留塔(11)の塔頂部ガス液は、例えば、ポンプ(5)によって第一精留塔(11)の塔頂部(113)に還流液として送られる。
【0020】
本発明の第四実施形態の空気分離装置(1)は、
第一コールドボックス(
10a)内に配置される第一精留塔(11)と、
第二コールドボックス(20)内に配置され、かつ前記第一精留塔(11)よりも低圧の精留塔であって、前記第一精留塔(11)に隣接配置され、かつ前記第一精留塔(11)の塔頂部(113)と配管を介して接続される第一凝縮器(122)をその下部あるいは底部(211)に備える第二精留塔(21)と、
第一コールドボックス(
10a)内または第三コールドボックス内に配置され 、第二凝縮器(304)をその塔頂部(303)内あるいはその上方に備える粗アルゴン精留塔(30)と、を備える。
第四実施形態の空気分離装置(1)は、粗アルゴン精留塔(30)に隣接配置される純アルゴン精留塔を、さらに備えていてもよい。
第四実施形態の空気分離装置(1)は、前記第一精留塔(11)の塔頂部(113)から前記第一凝縮器(122)へ第一窒素富化ガスが送られる第一窒素富化ガス送りライン(L11)と、
前記第一凝縮器(122)から前記第一精留塔(11)の塔頂部(113)へ第一窒素富化液が第一液送ポンプ(5)で送られる第一窒素富化液送りライン(L21)と、
前記第二精留塔(21)のカラム中間部(213)から前記下部精留塔(31)の底部(311)へ第一酸素富化ガスを送る第一酸素富化ガス送りライン(L3)と、
前記下部精留塔(31)の底部(311)から前記第二精留塔(21)のカラム中間部(213)へ第一酸素富化液を送る第一酸素富化液送りライン(L4)と、をさらに備えていてもよい。
第四実施形態では、粗アルゴン精留塔が分割されておらず、第一精留塔の上方にそのまま配置されているので、高さ方向のサイズが大きくなるが設置面積は小さくできる。