【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の技術的課題は、本発明によれば、請求項1に記載の特徴を有するプレスフィッティング用のプレスデバイスを駆動する機械力を伝達するためのデバイスにより解決される。
【0010】
本発明によれば、プレス機械と旋回されるプレスジョーとの間に設けられる液圧力伝達デバイスとしてのデバイスが提案される。このデバイスは、作動流体用の貯蔵容器が提供され、ポンプピストンを備えたポンプシリンダを有し、作動ピストンを備えた作動シリンダを有し、貯蔵容器をポンプシリンダに接続するための第一ラインを有し、ポンプシリンダを作動シリンダに接続するための第二ラインを有し、作動シリンダを貯蔵容器に接続するための第三ラインを有し、第一ラインに、ポンプシリンダから貯蔵容器内への作動流体の戻り流を防ぐための手段が提供され、第二ラインに、作動シリンダからポンプシリンダ内への作動流体の戻り流を防ぐための手段が提供され、第三ラインを開閉するための切換手段が提供され、作動シリンダのピストン変位は、ポンプシリンダのピストン変位よりも大きくなるように構成される。
【0011】
記載されたデバイスは、プレス機械への接続のためのポンプピストンに接続されたポンプピストンロッド、および、プレスデバイスを駆動するための作動ピストンに接続された作動ピストンロッドも有する。プレス機械に連結するためのレセプタクルがポンプピストンロッドに接続される。デバイスの反対側では、作動ピストンロッドがプレスジョーレセプタクルに接続され、プレスジョーが公知のダブルローラプランジャにより駆動されて旋回運動し、プレスフィッティングまたはプレスループを圧縮する。
【0012】
以下では、記載されたデバイスを用いて実施されうるプレスサイクル全体が例として説明される。
【0013】
プレスサイクルの開始時には、作動流体、好ましくは作動油が第一ラインを介して貯蔵容器からポンプシリンダに押し込まれ、戻り流を防ぐために第一ラインに設けられた手段が、ポンプシリンダのストローク中に作動流体が貯蔵容器に逆流するのを防ぐ。
【0014】
ポンプシリンダの第一ストローク中には、作動流体が加圧され、第二ラインを介して作動シリンダに流入する。作動シリンダ内では、作動流体の圧力により作動ピストンが前進する。ポンプシリンダの第一ストロークの終了時に、ポンプピストンがポンプシリンダの壁に接するためにプレス機械のプレス力が急激に上昇し、これによりオフ切換され、プレス圧力が減少する。戻り流を防ぐために第二ラインに設けられた手段により、作動シリンダ内の作動ピストンに対する圧力が維持され、ピストンロッドと、したがってプレスジョーに加えられるプレス力も維持される。
【0015】
その後、作動流体が再び貯蔵容器から出てポンプシリンダに押し込まれ、その結果、ポンプピストンが押し戻される。ポンプシリンダの次のサイクル、および任意にさらなるサイクルでは、その後再び上述のように作動流体が作動シリンダに押し込まれ、作動シリンダ内の圧力が維持される。したがって、本発明によれば、作動シリンダのピストン変位は、ポンプシリンダのピストン変位よりも大きくなるように構成されるものとされる。作動シリンダのピストン変位は、好ましくは、ポンプシリンダのピストン変位の少なくとも二倍、特に数倍大きい。したがって、作動シリンダを満たすためにポンプシリンダの二回以上のストローク、好ましくは複数回のストロークが使用されうる。
【0016】
作動ピストンのストロークが所定の終端に達すると、それにより作動シリンダ内の圧力が既定値を超え、その後、フィッティングのプレス工程が終了する。作動ピストンのこの位置で第三ラインの切換手段が開き、作動流体が貯蔵容器に流れて戻るのを可能にする。その結果、デバイスが初期位置に戻される。切換手段は、液圧的、機械的または電子的に切換されうる。
【0017】
したがって、一般に、上に示した技術的課題は、プレスフィッティング用のプレスデバイスを駆動する機械力を伝達するための方法であって、作動流体がポンプシリンダにより二回以上のストロークで作動シリンダに送り込まれ、作動シリンダ内の圧力がポンプシリンダの各二回のストロークの合間に維持され、作動シリンダ内の終端圧力に達した後に作動流体が作動シリンダから排出される、方法によっても解決される。
【0018】
液圧力伝達デバイスとしての記載されたデバイスおよび記載された方法を利用して、特に大きなプレスフィッティングをプレスするために、プレス機械の二回以上のストロークを用いて、作動シリンダ内の十分に高い圧力で作動シリンダの十分に大きなストロークを達成することが可能である。
【0019】
したがって、本デバイスは、任意の数のプレス機械のストロークを一つのプレスストロークに変換する。動作原理は液圧式であり、その結果、作動シリンダの力およびストローク長さが可変的に調節されうる。作動シリンダの力の大きさおよびストローク長さは、一方ではポンプシリンダにより生成される圧力に依存し、他方では作動シリンダの長さおよび直径の正確な構造に依存する。これらは、それぞれの用途に適合されうる。例えば、32kN×40mmのストロークの作業能力を有する従来のプレス機械で、32kN×80mmのストロークまたは35kN×100mmのストロークの仕事が行われうる。
【0020】
プレスフィッティング用のプレスデバイスを駆動する機械力を伝達するための記載されたデバイスの一つの利点は、プレスループおよびプレスジョーがプレス機械の作動ストロークの合間に、すなわちポンプシリンダの二回のストロークの合間に機械的にテンションがかけられたままであるため、プレス中に変形仕事の損失がないことにある。したがって、プレスジョーの新たな使用が有利に防止される。
【0021】
さらに、液圧サニタリープレスにおいて通例のように、力伝達デバイスとしての記載されたデバイスにより、プレス工程全体も広範に保護される。プレス工程が圧力制御されたやり方で実行され、緊急解放によってのみ終了されうるという点で保護が確保される。
【0022】
さらなる利点は、記載されたデバイスがプレス機械とプレスジョーとの間に設けられ、プレス機械のプレス力が少なくとも二つのステップでプレスジョーに伝達されるため、本デバイスが市販のプレス機械に適合することである。
【0023】
上述のデバイスは、好ましくは、貯蔵容器が少なくとも一つの圧力要素によりプリテンションがかけられた蓋を有するように開発される。蓋は、この目的のために移動可能に設計され、圧縮バネにより作動流体の排出方向に変位する。少なくとも一つの圧力要素は、少なくとも一つの圧縮バネとして、またはダイアフラムとガス容積とからなる蓄圧器として実施されうる。プリテンションの結果として、油貯蔵容器は全体として気泡がなく、その結果、デバイスが全ての位置で操作されうる。バネ付勢のないポンプシリンダは、貯蔵容器内の静圧を利用して満たされ、そのためポンプシリンダを満たすためにポンプシリンダを通じて油を吸引する必要はない。したがって、貯蔵容器およびポンプシリンダ内に負圧は生じない。作動流体は静圧により流れるにすぎない。
【0024】
さらに、有利には、作動シリンダ内の作動ピストンは、圧縮バネによりプリテンションがかけられるものとされる。プレスサイクルが完了した後、単動式作動シリンダが圧縮バネにより油容積を貯蔵容器に押し込む。作動シリンダ内の圧縮バネの圧力の力は、第三ラインの作動流体に生成される圧力が、貯蔵容器内に設けられた少なくとも一つの圧力要素の圧力の力を上回るのに十分であるように設計される。
【0025】
ポンプシリンダの底部には通気穴も有利に提供され、これにより、作動ピストンが押し戻される結果として作動シリンダ内に負圧が発生することが防止される。
【0026】
さらなる好ましいやり方では、第一ラインおよび第二ラインにおける戻り流を防ぐための手段は、逆止弁として設計され、第三ラインの切換手段は、切換弁として設計される。プレスサイクル全体の過程の全体的制御は、発生する圧力により制御される。逆止弁および切換弁の設計は、それぞれの用途に依存する。
【0027】
あるいは、戻り流を防ぐための手段は、対応する穴がシリンダ内に設けられ、対応するラインをピストンの適切な位置で解放し、作動流体の流れを可能にすることで、経路制御されたものとすることもできる。
【0028】
本デバイスのさらなる有利な実施形態は、第二ラインに設けられた逆止弁の後に圧力制限弁を備えた第四ラインが流れ方向に分岐する点、および、制御ラインが圧力制限弁を切換弁に接続する点にある。したがって、バネ付勢圧力制限弁は、逆止弁の後のポンプシリンダと作動シリンダとの間の接続ライン、すなわち第二ラインに接続される。この弁は定義されたオフ切換圧力p
Aから開き、ライン圧力により、二つの切換位置を有する三方弁として設計された切換弁を制御する。この弁は、第三ラインに、好ましくは作動シリンダの底部に位置し、圧力制限弁から発する液圧切換信号により第三ライン、すなわち作動シリンダと貯蔵容器との間の接続を開く。その結果、作動シリンダ内の油容積が貯蔵容器内に排出され、プレス工程が終了する。
【0029】
切換弁を初期位置に戻すことができるように、特に、切換弁は機械プランジャを有し、作動ピストンは、戻りストローク中に作動ピストンがプランジャを作動させて切換弁を閉じるように設けられものとされる。
【0030】
記載されたデバイスのさらなる具体的開発は、第三ラインが絞り弁を有することにある。
【0031】
第三ラインに絞り弁を設ける理由は、以下の通りである。一般に、公知のプレス機械におけるプレス圧力は、ポンプシリンダのストロークの終端について上述したように、プレス工程を終結させるための切換信号として使用される。したがって、これらのプレス機械は、力伝達デバイスとして機能する記載されたデバイスと全く同様に、力制御される。したがって、プレス機械がポンプシリンダ内のプレスストロークを終了する前に、デバイスまたは力伝達デバイスがプレス工程を終了すれば有利である。このため、第三ライン、すなわち切換弁から貯蔵容器への排出ラインが絞られる。その結果、作動シリンダおよびポンプシリンダ内の圧力降下が一時的に遅延される。この遅延の結果として、対応する高い残留圧力または十分に高い残留力がポンプシリンダ内に維持され、そのためプレス機械が尚早にオフにならず、上述のようにストロークがポンプシリンダに接してはじめてオフになる。したがって、プレス機械の最後のストロークでのオフ切換は、第一ストロークまたは最後から二番目のストロークまでの全てのさらなるストロークでのオフ切換と等しい。
【0032】
加えて、作動シリンダ側の絞り弁の入力とポンプシリンダとの間に第五ラインが提供され、ここにポンプシリンダから第三ライン内への作動流体の戻り流を防ぐための手段、特に逆止弁が提供されうる。特に作動流体の貯蔵容器への排出開始時には、結果として作動流体の一部、特に比較的大きな一部がポンプシリンダ内に排出される。これにより、ポンプシリンダ内の圧力降下が早すぎず、接続されたプレス機械がオフに切り換わらないことが確保される。したがって、ポンプシリンダ内の圧力は、プレス機械のストロークの最後まで維持され、プレス機械のエラーのないオフ切換が確保されうる。
【0033】
作動流体の流れは、第一ライン、第二ラインおよび第三ラインを備えたポンプシリンダ、作動シリンダおよび貯蔵容器を含む大きな回路、または第二ライン、第三ラインおよび第五ラインを備えたポンプシリンダおよび作動シリンダを含む小さな回路を意味するものとも理解されうる。
【0034】
記載されたデバイスのさらなる好ましい実施形態は、ポンプシリンダが作動シリンダとは反対方向に動作することにある。その結果、適切に設計された機械デバイスによりプレス運動が引張運動に変換されるプレス機械が使用されうる。この構成は、記載されたデバイスの設置空間がポンプシリンダの領域で短く保たれうる利点を有する。
【0035】
加えて、ポンプシリンダと作動シリンダとが直列に設けられれば有利であり、その結果、両方のシリンダを収容するハウジングの有利な回転機械加工が可能となる。
【0036】
以下で本発明を、図面を参照しながら例示的な実施形態を用いて説明する。