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特許6557791決済システム、決済方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6557791
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】決済システム、決済方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/32 20120101AFI20190729BHJP
【FI】
   G06Q20/32 300
【請求項の数】13
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2018-546989(P2018-546989)
(86)(22)【出願日】2016年10月26日
(86)【国際出願番号】JP2016081744
(87)【国際公開番号】WO2018078745
(87)【国際公開日】20180503
【審査請求日】2018年12月26日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】399037405
【氏名又は名称】楽天株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 剛士
(72)【発明者】
【氏名】赤鹿 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】芝元 誠一
【審査官】 今井 悠太
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−513158(JP,A)
【文献】 特開2015−060262(JP,A)
【文献】 特表2017−539026(JP,A)
【文献】 特表2014−527658(JP,A)
【文献】 特開2016−040668(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗端末の位置を示す店舗端末位置情報と、顧客が支払操作をする可搬型の顧客端末の位置を示す顧客端末位置情報と、を取得する位置情報取得手段と、
前記顧客端末において支払操作がなされた場合に、前記店舗端末位置情報が示す前記店舗端末の位置と、前記顧客端末位置情報が示す前記顧客端末の位置と、の距離が閾値未満であるかを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果に基づいて、決済処理を実行可能な決済処理実行手段と、
を含み、
前記店舗端末は、店舗を識別するコード情報を表示手段に表示させ、
前記支払操作は、前記表示手段に表示された前記コード情報を、前記顧客端末の読取手段に読み取らせるための操作を含み、
前記位置情報取得手段は、前記支払操作により読み取られた前記コード情報が示す店舗の前記店舗端末位置情報を取得し、
前記判定手段は、前記支払操作により読み取られた前記コード情報が示す店舗の前記店舗端末の位置と、前記顧客端末の位置と、の距離が前記閾値未満であるかを判定し、
前記決済処理実行手段は、前記支払操作により読み取られた前記コード情報が示す店舗に対する決済処理を実行可能である、
ことを特徴とする決済システム。
【請求項2】
店舗端末の位置を示す店舗端末位置情報と、顧客が支払操作をする可搬型の顧客端末の位置を示す顧客端末位置情報と、を取得する位置情報取得手段と、
前記顧客端末において支払操作がなされた場合に、前記店舗端末位置情報が示す前記店舗端末の位置と、前記顧客端末位置情報が示す前記顧客端末の位置と、の距離が閾値未満であるかを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果に基づいて、決済処理を実行可能な決済処理実行手段と、
を含み、
前記店舗端末と前記顧客端末とは近距離無線通信が可能であり、
前記店舗端末位置情報と前記顧客端末位置情報の少なくとも一方が取得不可能である場合に、前記店舗端末と前記顧客端末との間での近距離無線通信が可能かを判定する通信可否判定手段を更に含み、
前記決済処理実行手段は、前記店舗端末位置情報と前記顧客端末位置情報の少なくとも一方が取得不可能である場合は、前記通信可否判定手段の判定結果に基づいて、前記決済処理を実行可能である、
ことを特徴とする決済システム。
【請求項3】
前記決済処理実行手段は、前記判定手段により前記距離が前記閾値未満であると判定された場合は、前記決済処理の実行を許可し、前記判定手段により前記距離が前記閾値以上であると判定された場合は、前記決済処理の実行を禁止する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の決済システム。
【請求項4】
前記決済処理実行手段は、前記判定手段により前記距離が前記閾値未満であると判定された場合は、前記決済処理の実行を許可し、前記判定手段により前記距離が前記閾値以上であると判定された場合は、前記決済処理の実行を保留し、
前記決済システムは、前記決済処理実行手段により前記決済処理の実行が保留された場合に、前記店舗端末と前記顧客端末の少なくとも一方の端末において、所定の通知をする通知手段を更に含み、
前記少なくとも一方の端末は、前記通知手段による前記通知が行われた場合に、保留された前記決済処理の承認操作又は否認操作を受け付け、
前記決済処理実行手段は、前記承認操作が受け付けられた場合は、保留された前記決済処理の実行を許可し、前記否認操作が受け付けられた場合は、保留された前記決済処理の実行を禁止する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の決済システム。
【請求項5】
前記支払操作は、複数の店舗の中から支払先の店舗を選択する操作を含み、
前記位置情報取得手段は、前記支払操作により選択された店舗の前記店舗端末位置情報を取得し、
前記判定手段は、前記支払操作により選択された店舗の前記店舗端末の位置と、前記顧客端末の位置と、の距離が前記閾値未満であるかを判定し、
前記決済処理実行手段は、前記支払操作により選択された店舗に対する決済処理を実行可能である、
ことを特徴とする請求項2に記載の決済システム。
【請求項6】
前記店舗端末と前記顧客端末の各々は、GPSセンサを含み、
前記位置情報取得手段は、前記店舗端末のGPSセンサが検知した位置情報を前記店舗端末位置情報として取得し、前記顧客端末のGPSセンサが検知した位置情報を前記顧客端末位置情報として取得する、
ことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の決済システム。
【請求項7】
前記決済システムは、前記店舗端末のGPSセンサが受信した信号の強度と、前記顧客端末のGPSセンサが受信した信号の強度と、に基づいて前記閾値を決定する閾値決定手段を更に含む、
ことを特徴とする請求項6に記載の決済システム。
【請求項8】
前記店舗端末と前記顧客端末の各々は、少なくとも一つの種類の位置検知手段を含み、
前記決済システムは、前記店舗端末位置情報を検知した前記店舗端末の位置検知手段の種類と、前記顧客端末位置情報を検知した前記顧客端末の位置検知手段の種類と、に基づいて、前記閾値を決定する閾値決定手段を更に含む、
ことを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の決済システム。
【請求項9】
前記決済システムは、前記店舗端末位置情報と前記顧客端末位置情報の少なくとも一方が取得不可能である場合に、前記店舗端末と前記顧客端末の少なくとも一方の端末において、前記決済処理の実行可否を問い合わせる問い合わせ手段を更に含み、
前記少なくとも一方の端末は、前記問い合わせ手段による問い合わせが行われた場合に、前記決済処理の承認操作又は否認操作を受け付け、
前記決済処理実行手段は、前記承認操作が受け付けられた場合は、前記決済処理の実行を許可し、前記否認操作が受け付けられた場合は、前記決済処理の実行を禁止する、
ことを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の決済システム。
【請求項10】
コンピュータが、
店舗端末の位置を示す店舗端末位置情報と、顧客が支払操作をする可搬型の顧客端末の位置を示す顧客端末位置情報と、を取得する位置情報取得ステップと、
前記顧客端末において支払操作がなされた場合に、前記店舗端末位置情報が示す前記店舗端末の位置と、前記顧客端末位置情報が示す前記顧客端末の位置と、の距離が閾値未満であるかを判定する判定ステップと、
前記判定ステップの判定結果に基づいて、決済処理を実行可能な決済処理実行ステップと、
実行し
前記店舗端末は、店舗を識別するコード情報を表示手段に表示させ、
前記支払操作は、前記表示手段に表示された前記コード情報を、前記顧客端末の読取手段に読み取らせるための操作を含み、
前記位置情報取得ステップは、前記支払操作により読み取られた前記コード情報が示す店舗の前記店舗端末位置情報を取得し、
前記判定ステップは、前記支払操作により読み取られた前記コード情報が示す店舗の前記店舗端末の位置と、前記顧客端末の位置と、の距離が前記閾値未満であるかを判定し、
前記決済処理実行ステップは、前記支払操作により読み取られた前記コード情報が示す店舗に対する決済処理を実行可能である、
ことを特徴とする決済方法。
【請求項11】
コンピュータが、
店舗端末の位置を示す店舗端末位置情報と、顧客が支払操作をする可搬型の顧客端末の位置を示す顧客端末位置情報と、を取得する位置情報取得ステップと、
前記顧客端末において支払操作がなされた場合に、前記店舗端末位置情報が示す前記店舗端末の位置と、前記顧客端末位置情報が示す前記顧客端末の位置と、の距離が閾値未満であるかを判定する判定ステップと、
前記判定ステップの判定結果に基づいて、決済処理を実行可能な決済処理実行ステップと、
実行し
前記店舗端末と前記顧客端末とは近距離無線通信が可能であり、
前記コンピュータは、前記店舗端末位置情報と前記顧客端末位置情報の少なくとも一方が取得不可能である場合に、前記店舗端末と前記顧客端末との間での近距離無線通信が可能かを判定する通信可否判定ステップを更に実行し
前記決済処理実行ステップは、前記店舗端末位置情報と前記顧客端末位置情報の少なくとも一方が取得不可能である場合は、前記通信可否判定ステップの判定結果に基づいて、前記決済処理を実行可能である、
ことを特徴とする決済方法。
【請求項12】
店舗端末の位置を示す店舗端末位置情報と、顧客が支払操作をする可搬型の顧客端末の位置を示す顧客端末位置情報と、を取得する位置情報取得手段、
前記顧客端末において支払操作がなされた場合に、前記店舗端末位置情報が示す前記店舗端末の位置と、前記顧客端末位置情報が示す前記顧客端末の位置と、の距離が閾値未満であるかを判定する判定手段、
前記判定手段の判定結果に基づいて、決済処理を実行可能な決済処理実行手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記店舗端末は、店舗を識別するコード情報を表示手段に表示させ、
前記支払操作は、前記表示手段に表示された前記コード情報を、前記顧客端末の読取手段に読み取らせるための操作を含み、
前記位置情報取得手段は、前記支払操作により読み取られた前記コード情報が示す店舗の前記店舗端末位置情報を取得し、
前記判定手段は、前記支払操作により読み取られた前記コード情報が示す店舗の前記店舗端末の位置と、前記顧客端末の位置と、の距離が前記閾値未満であるかを判定し、
前記決済処理実行手段は、前記支払操作により読み取られた前記コード情報が示す店舗に対する決済処理を実行可能である、
プログラム。
【請求項13】
店舗端末の位置を示す店舗端末位置情報と、顧客が支払操作をする可搬型の顧客端末の位置を示す顧客端末位置情報と、を取得する位置情報取得手段、
前記顧客端末において支払操作がなされた場合に、前記店舗端末位置情報が示す前記店舗端末の位置と、前記顧客端末位置情報が示す前記顧客端末の位置と、の距離が閾値未満であるかを判定する判定手段、
前記判定手段の判定結果に基づいて、決済処理を実行可能な決済処理実行手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
前記店舗端末と前記顧客端末とは近距離無線通信が可能であり、
前記店舗端末位置情報と前記顧客端末位置情報の少なくとも一方が取得不可能である場合に、前記店舗端末と前記顧客端末との間での近距離無線通信が可能かを判定する通信可否判定手段として前記コンピュータを更に機能させ、
前記決済処理実行手段は、前記店舗端末位置情報と前記顧客端末位置情報の少なくとも一方が取得不可能である場合は、前記通信可否判定手段の判定結果に基づいて、前記決済処理を実行可能である、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、決済システム、決済方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報処理技術の発達に伴い、顧客が自分で端末を操作して支払いをする技術が検討されている。例えば、特許文献1には、店舗などに配置された自動販売機の表示部に、支払先の店舗などの情報を含む2次元コードを表示させ、顧客がスマートフォンなどの顧客端末を使って2次元コードを読み取った場合に、サーバに登録されたクレジットカードを利用して決済をするシステムが記載されている。また例えば、特許文献2には、モバイルPOS端末の緯度経度情報が、店舗の敷地の範囲内に含まれるかを判定し、その判定結果に基づいて決済を許可するかを制御することで、監視の届かない場所における不正な決済を防止するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4417226号
【特許文献2】特許第5788126号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような技術では、店舗又はその近隣に顧客がいることが決済の前提となっている。この点、特許文献1の技術は、顧客が自動販売機に近づいて2次元コードを撮影する必要があり、店舗内の好きな場所で決済可能なわけではないので、場所的な制約が大きく顧客にとって不便である。特許文献2のモバイルPOS端末は可搬なので、特許文献1よりも場所的な自由度は高いが、店舗によって敷地の形状や広さは異なるため、店舗ごとに決済可能な範囲を定義した情報を用意する必要があり、情報管理が非常に煩雑である。このため、特許文献2の技術では、店舗又はその近隣における自由度の高い支払いを実現するための構成が複雑化してしまう。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、店舗又はその近隣における自由度の高い支払いを実現するための構成を簡易化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る決済システムは、店舗端末の位置を示す店舗端末位置情報と、顧客が支払操作をする可搬型の顧客端末の位置を示す顧客端末位置情報と、を取得する位置情報取得手段と、前記顧客端末において支払操作がなされた場合に、前記店舗端末位置情報が示す前記店舗端末の位置と、前記顧客端末位置情報が示す前記顧客端末の位置と、の距離が閾値未満であるかを判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果に基づいて、決済処理を実行可能な決済処理実行手段と、を含むことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る決済方法は、店舗端末の位置を示す店舗端末位置情報と、顧客が支払操作をする可搬型の顧客端末の位置を示す顧客端末位置情報と、を取得する位置情報取得ステップと、前記顧客端末において支払操作がなされた場合に、前記店舗端末位置情報が示す前記店舗端末の位置と、前記顧客端末位置情報が示す前記顧客端末の位置と、の距離が閾値未満であるかを判定する判定ステップと、前記判定ステップの判定結果に基づいて、決済処理を実行可能な決済処理実行ステップと、を含むことを特徴とする。
【0008】
本発明に係るプログラムは、店舗端末の位置を示す店舗端末位置情報と、顧客が支払操作をする可搬型の顧客端末の位置を示す顧客端末位置情報と、を取得する位置情報取得手段、前記顧客端末において支払操作がなされた場合に、前記店舗端末位置情報が示す前記店舗端末の位置と、前記顧客端末位置情報が示す前記顧客端末の位置と、の距離が閾値未満であるかを判定する判定手段、前記判定手段の判定結果に基づいて、決済処理を実行可能な決済処理実行手段、としてコンピュータを機能させる。
【0009】
また、本発明に係る情報記憶媒体は、上記のプログラムが記憶されたコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体である。
【0010】
また、本発明の一態様では、前記決済処理実行手段は、前記判定手段により前記距離が前記閾値未満であると判定された場合は、前記決済処理の実行を許可し、前記判定手段により前記距離が前記閾値以上であると判定された場合は、前記決済処理の実行を禁止する、ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様では、前記決済処理実行手段は、前記判定手段により前記距離が前記閾値未満であると判定された場合は、前記決済処理の実行を許可し、前記判定手段により前記距離が前記閾値以上であると判定された場合は、前記決済処理の実行を保留し、前記決済システムは、前記決済処理実行手段により前記決済処理の実行が保留された場合に、前記店舗端末と前記顧客端末の少なくとも一方の端末において、所定の通知をする通知手段を更に含み、前記少なくとも一方の端末は、前記通知手段による前記通知が行われた場合に、保留された前記決済処理の承認操作又は否認操作を受け付け、前記決済処理実行手段は、前記承認操作が受け付けられた場合は、保留された前記決済処理の実行を許可し、前記否認操作が受け付けられた場合は、保留された前記決済処理の実行を禁止する、ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一態様では、前記支払操作は、複数の店舗の中から支払先の店舗を選択する操作を含み、前記位置情報取得手段は、前記支払操作により選択された店舗の前記店舗端末位置情報を取得し、前記判定手段は、前記支払操作により選択された店舗の前記店舗端末の位置と、前記顧客端末の位置と、の距離が前記閾値未満であるかを判定し、前記決済処理実行手段は、前記支払操作により選択された店舗に対する決済処理を実行可能である、ことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の一態様では、前記店舗端末は、前記店舗を識別するコード情報を表示手段に表示させ、前記支払操作は、前記表示手段に表示された前記コード情報を、前記顧客端末の読取手段に読み取らせるための操作を含み、前記位置情報取得手段は、前記支払操作により読み取られた前記コード情報が示す店舗の前記店舗端末位置情報を取得し、前記判定手段は、前記支払操作により読み取られた前記コード情報が示す店舗の前記店舗端末の位置と、前記顧客端末の位置と、の距離が前記閾値未満であるかを判定し、前記決済処理実行手段は、前記支払操作により読み取られた前記コード情報が示す店舗に対する決済処理を実行可能である、ことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の一態様では、前記店舗端末と前記顧客端末の各々は、GPSセンサを含み、前記位置情報取得手段は、前記店舗端末のGPSセンサが検知した位置情報を前記店舗端末位置情報として取得し、前記顧客端末のGPSセンサが検知した位置情報を前記顧客端末位置情報として取得する、ことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の一態様では、前記決済システムは、前記店舗端末のGPSセンサが受信した信号の強度と、前記顧客端末のGPSセンサが受信した信号の強度と、に基づいて前記閾値を決定する閾値決定手段を更に含む、ことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の一態様では、前記店舗端末と前記顧客端末の各々は、少なくとも一つの種類の位置検知手段を含み、前記決済システムは、前記店舗端末位置情報を検知した前記店舗端末の位置検知手段の種類と、前記顧客端末位置情報を検知した前記顧客端末の位置検知手段の種類と、に基づいて、前記閾値を決定する閾値決定手段を更に含む、ことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の一態様では、前記決済システムは、前記店舗端末位置情報と前記顧客端末位置情報の少なくとも一方が取得不可能である場合に、前記店舗端末と前記顧客端末の少なくとも一方の端末において、前記決済処理の実行可否を問い合わせる問い合わせ手段を更に含み、前記少なくとも一方の端末は、前記問い合わせ手段による問い合わせが行われた場合に、前記決済処理の承認操作又は否認操作を受け付け、前記決済処理実行手段は、前記承認操作が受け付けられた場合は、前記決済処理の実行を許可し、前記否認操作が受け付けられた場合は、前記決済処理の実行を禁止する、ことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の一態様では、前記店舗端末と前記顧客端末とは近距離無線通信が可能であり、前記決済システムは、前記店舗端末位置情報と前記顧客端末位置情報の少なくとも一方が取得不可能である場合に、前記店舗端末と前記顧客端末との間での近距離無線通信が可能かを判定する通信可否判定手段を更に含み、前記決済処理実行手段は、前記店舗端末位置情報と前記顧客端末位置情報の少なくとも一方が取得不可能である場合は、前記通信可否判定手段の判定結果に基づいて、前記決済処理を実行可能である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、店舗又はその近隣における自由度の高い支払いを実現するための構成を簡易化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】決済システムのハードウェア構成を示す図である。
図2】アプリケーション起動後の画面遷移を示す図である。
図3】実施形態1の決済システムで実現される機能の一例を示す機能ブロック図である。
図4】店舗データベースの一例を示す図である。
図5】顧客データベースの一例を示す図である。
図6】決済システムにおいて実行される処理の一例を示すフロー図である。
図7】コードペイでの支払いにおける画面遷移を示す図である。
図8】実施形態2の機能ブロック図である。
図9】実施形態2において実行される処理の一例を示すフロー図である。
図10】変形例の機能ブロック図である。
図11】通知部により行われる通知の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[1.実施形態1]
以下、本発明に関わる決済システムの実施形態の例を説明する。
【0022】
[1−1.決済システムのハードウェア構成]
図1は、決済システムのハードウェア構成を示す図である。図1に示すように、決済システムSは、店舗端末10、顧客端末20、及び決済サーバ30を含み、これらは、インターネットなどのネットワークに接続可能である。なお、図1ではこれらを1台ずつ示しているが、複数台ずつあってよい。
【0023】
店舗端末10は、店舗において用いられるコンピュータであり、例えば、携帯電話機(スマートフォンを含む)、携帯情報端末(タブレット型コンピュータを含む)、POS端末、又はパーソナルコンピュータ等である。店舗端末10は、制御部11、記憶部12、通信部13、操作部14、表示部15、及びGPSセンサ16を含む。
【0024】
制御部11は、少なくとも一つのマイクロプロセッサを含む。制御部11は、記憶部12に記憶されたプログラムやデータに従って処理を実行する。記憶部12は、主記憶部及び補助記憶部を含む。例えば、主記憶部はRAMなどの揮発性メモリであり、補助記憶部は、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ、又はハードディスクなどの不揮発性メモリである。
【0025】
通信部13は、有線通信又は無線通信用の通信インタフェースであり、ネットワークを介してデータ通信を行う。無線通信用の通信インタフェースは、無線LAN用のインタフェースであってもよいし、携帯電話の基地局と通信可能なインタフェースであってもよいし、近距離無線通信可能なインタフェースであってもよい。なお、通信インタフェースの個体識別情報や店舗端末10の個体識別情報は、記憶部12に記憶されていてよい。
【0026】
操作部14は、ユーザが操作を行うための入力デバイスであり、例えば、タッチパネルやマウス等のポインティングデバイス、キーボード、又はボタン等である。操作部14は、ユーザによる操作内容を制御部11に伝達する。表示部15は、例えば、液晶表示部又は有機EL表示部等である。表示部15は、制御部11の指示に従って画面を表示する。GPSセンサ16は、衛星からの信号を受信する受信機を含み、地球上の絶対位置である緯度経度情報を検知する。
【0027】
顧客端末20は、顧客が操作する可搬型のコンピュータであり、例えば、携帯電話機(スマートフォンを含む)、携帯情報端末(タブレット型コンピュータを含む)、又はラップトップ型のパーソナルコンピュータ等である。なお、可搬型とは、持ち運びが可能なことを意味し、例えば、把持できる程度の大きさの端末である。顧客端末20は、電池が内蔵されており、電源ケーブルに接続していなくても動作可能である。
【0028】
顧客端末20は、制御部21、記憶部22、通信部23、操作部24、表示部25、及びGPSセンサ26を含む。これらの物理的構成は、制御部11、記憶部12、通信部13、操作部14、表示部15、及びGPSセンサ16と同様であってよい。また、顧客端末20は、カメラ27を含むようにしてよい。カメラ27は、例えば、CCDイメージセンサ又はCMOSイメージセンサを含み、静止画又は動画を撮影する。
【0029】
決済サーバ30は、サーバコンピュータである。決済サーバ30は、制御部31、記憶部32、及び通信部33を含む。制御部31、記憶部32、及び通信部33の物理的構成は、それぞれ制御部11、記憶部12、及び通信部13と同様であってよい。
【0030】
なお、記憶部12,22,32に記憶されるものとして説明するプログラム及びデータは、ネットワークを介して供給されるようにしてもよい。また、上記説明した各コンピュータのハードウェア構成は、上記の例に限られず、種々のハードウェアを適用可能である。例えば、コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体を読み取る読取部(例えば、光ディスクドライブやメモリカードスロット)や外部機器とデータの入出力をするための入出力部(例えば、USBポート)が含まれていてもよい。例えば、情報記憶媒体に記憶されたプログラムやデータが読取部や入出力部を介して、各コンピュータに供給されるようにしてもよい。
【0031】
[1−2.実施形態1の概要]
実施形態1では、顧客端末20において、顧客が支払先の店舗を選択して支払金額を入力することによって、店舗への支払いが行われる場合を例に挙げて説明する。以降、この支払方法を、セルフペイと記載する。顧客は、セルフペイで支払う場合、顧客端末20において専用のアプリケーションを起動させる。
【0032】
図2は、アプリケーション起動後の画面遷移を示す図である。図2に示すように、アプリケーションが起動すると、支払先の店舗を選択するための支払先選択画面G1が表示部25に表示される。例えば、決済サーバ30に、セルフペイで支払い可能な店舗が予め登録されており、支払先選択画面G1には、当該店舗の一覧が表示されるようにしてよい。
【0033】
支払先選択画面G1には、複数の店舗がスクロール可能に表示される。例えば、決済サーバ30に登録された全ての店舗が表示可能であってもよいし、一部の店舗のみが表示可能であってもよい。一部の店舗のみを表示可能とする場合には、顧客端末20の近隣の店舗のみが表示されるようにしてよい。この場合、顧客に現在地の住所を入力させてもよいし、GPSセンサ26が検知した緯度経度情報を利用して近隣の店舗が特定されてもよい。
【0034】
支払先選択画面G1において顧客が支払先の店舗を選択すると、支払金額を入力するための金額入力画面G2に遷移する。金額入力画面G2から入力可能な金額は、特に制限が設けられていなくてもよいし、下限値及び上限値の少なくとも一方が設けられていてもよい。顧客は操作部24を操作して支払金額を入力する。
【0035】
金額入力画面G2において顧客が支払金額を入力すると、支払内容を確認するための確認画面G3に遷移する。確認画面G3において、ユーザが所定の決済開始操作を行うと、顧客端末20から決済サーバ30に対して、所定の決済要求が送信される。決済開始操作は、予め定められた操作であればよく、例えば、確認画面G3に表示された画像をタッチしたまま所定方向にスライドさせる操作であってよい。
【0036】
実施形態1の決済サーバ30は、決済要求を受信すると、店舗端末10の緯度経度情報と、顧客端末20の緯度経度情報と、の距離を取得し、当該距離が近ければ決済を許可し、遠ければ決済を禁止する。決済サーバ30が決済処理を完了すると、支払いが完了した旨を通知するための決済完了画面G4に遷移する。顧客は、退店時などのタイミングで決済完了画面G4を店員に見せる。これにより、店員は、顧客の支払いが完了したことを確認できる。なお、決済完了画面G4と同様の通知が店舗端末10に表示されるようにしてもよく、この場合は、店員は店舗端末10に表示された通知により、顧客の支払いが完了したことを確認できる。
【0037】
以上のように、セルフペイでは、原則として支払いのための操作は全て顧客側で行うようになっている。そして、決済システムSは、店舗端末10の緯度経度情報と顧客端末20の緯度経度情報との距離を利用して決済の可否を決定することで、従来のような煩雑な情報管理を不要とし、店舗又はその近隣における自由度の高い支払いを提供するための構成を簡易化したり、顧客の誤操作によって選択された店舗に代金が支払われてしまうことを防止したりしている。以降、この技術の詳細を説明する。
【0038】
[1−3.実施形態1において実現される機能]
図3は、実施形態1の決済システムSで実現される機能の一例を示す機能ブロック図である。
【0039】
[1−3−1.店舗端末において実現される機能]
店舗端末10では、位置検知部100が実現される。実施形態1の位置検知部100は、GPSセンサ16を主として実現される。位置検知部100は、店舗端末10の位置を示す店舗端末位置情報を検知する。例えば、位置検知部100は、衛星から受信信号又は外部端末との通信結果に基づいて、店舗端末位置情報を検知する。店舗端末位置情報は、地球上の位置を特定可能な情報であればよく、例えば、緯度経度情報や無線通信の基地局情報であってよい。無線通信の基地局は、例えば、無線LANのアクセスポイントであってもよいし、携帯電話の通信基地局であってもよい。店舗端末位置情報は、緯度経度情報のような詳細な位置に限られず、あるエリア内のどこかにいる程度の大まかな位置であってよい。
【0040】
[1−3−2.顧客端末において実現される機能]
顧客端末20では、位置検知部200及び操作受付部201が実現される。位置検知部200は、GPSセンサ26を主として実現され、操作受付部201は、制御部21及び操作部24を主として実現される。
【0041】
[位置検知部]
位置検知部200は、顧客端末20の位置を示す顧客端末位置情報を検知する。例えば、位置検知部200は、衛星から受信信号又は外部端末との通信結果に基づいて、顧客端末位置情報を検知する。顧客端末位置情報は、地球上の位置を特定可能な情報であればよく、例えば、緯度経度情報や無線通信の基地局情報であってよい。無線通信の基地局は、例えば、無線LANのアクセスポイントであってもよいし、携帯電話の通信基地局であってもよい。顧客端末位置情報は、緯度経度情報のような詳細な位置に限られず、あるエリア内のどこかにいる程度の大まかな位置であってよい。
【0042】
[操作受付部]
操作受付部201は、顧客による各種操作を受け付ける。例えば、操作受付部201は、アプリケーションの起動操作や顧客による支払操作を受け付ける。支払操作は、決済の開始を指示するために予め定められた操作であればよく、1つの操作により完結してもよいし、複数の操作を含んでいてもよい。セルフペイの場合、支払操作は、支払先の店舗を選択する操作、支払金額を入力する操作、及び決済開始を指示する操作の3ステップからなるものとする。
【0043】
[1−3−3.決済サーバにおいて実現される機能]
決済サーバ30では、データ記憶部300、位置情報取得部301、判定部302、及び決済処理実行部303が実現される。データ記憶部300は、記憶部32を主として実現され、位置情報取得部301、判定部302、及び決済処理実行部303は、制御部31を主として実現される。
【0044】
[データ記憶部]
データ記憶部300は、決済に必要なデータを記憶し、例えば、店舗データベースと、顧客データベースと、を記憶する。図4は、店舗データベースの一例を示す図である。図4に示すように、店舗データベースには、店舗に関する各種情報が格納される。例えば、店舗データベースには、店舗を一意に識別する店舗IDに関連付けて、店舗名、店舗のアカウント、メールアドレス、店舗端末10の個体識別情報(製造番号又はシリアル番号)、及び支払いの受取口座などが格納される。なお、店舗データベースに格納される情報は、上記の例に限られず、店舗に関する他の情報が格納されるようにしてよい。例えば、ログインの際に必要なパスワード、住所、電話番号、及び店舗の画像などが店舗データベースに格納されるようにしてよい。
【0045】
図5は、顧客データベースの一例を示す図である。図5に示すように、顧客データベースには、顧客に関する各種情報が格納される。例えば、顧客データベースには、顧客を一意に識別する顧客IDに関連付けて、顧客の氏名、顧客のアカウント、メールアドレス、顧客端末20の個体識別情報(製造番号又はシリアル番号)、及び決済情報などが格納されるようにしてよい。決済情報は、決済に必要な情報であり、例えば、クレジットカード番号、デビットカード番号、又は引き落とし口座の番号などである。なお、顧客データベースに格納される情報は、上記の例に限られず、顧客に関する他の情報が格納されるようにしてよい。例えば、ログインの際に必要なパスワードなどが顧客データベースに格納されるようにしてよい。
【0046】
なお、データ記憶部300に記憶されるデータは、上記の例に限られない。例えば、データ記憶部300は、図2の画面を表示させるための画像データを記憶してもよい。また例えば、データ記憶部300は、無線基地局によって位置を推定するためのデータを記憶してもよい。この場合、データ記憶部300は、無線LANアクセスポイントの識別情報と、位置情報(例えば、緯度経度情報や住所など)と、の関連付けを示すデータを記憶してもよいし、携帯電話基地局の識別情報と、位置情報(例えば、緯度経度情報や住所など)と、の関連付けを示すデータを記憶してもよい。
【0047】
[位置情報取得部]
位置情報取得部301は、店舗端末10の位置を示す店舗端末位置情報と、顧客が支払操作をする可搬型の顧客端末20の位置を示す顧客端末位置情報と、を取得する。位置情報取得部301は、ネットワークを介して、店舗端末10の位置検知部100が検知した店舗端末位置情報を取得し、顧客端末20の位置検知部200が検知した顧客端末位置情報を取得する。
【0048】
本実施形態では、GPSセンサ16,26が利用されるので、位置情報取得部301は、店舗端末10のGPSセンサ16が検知した位置情報を店舗端末位置情報として取得し、顧客端末20のGPSセンサ26が検知した位置情報を顧客端末位置情報として取得することになる。なお、位置情報取得部301は、決済処理時にリアルタイムで店舗端末位置情報及び顧客端末位置情報を取得してもよいが、予め店舗端末位置情報を取得しておいて店舗データベースに登録しておいてもよい。同様に、位置情報取得部301は、決済処理の所定時間以内(長距離移動ができない程度の時間。例えば、5分以内。)に、予め顧客端末位置情報を取得しておいて顧客データベースに登録しておいてもよい。これら登録された店舗端末位置情報及び顧客端末位置情報は、定期的に最新の情報に更新されるようにしてよい。
【0049】
本実施形態では、支払操作は、複数の店舗の中から支払先の店舗を選択する操作を含むので、位置情報取得部301は、支払操作により選択された店舗の店舗端末位置情報を取得する。即ち、位置情報取得部301は、予め登録された全店舗の中から、顧客が選択した店舗を特定し、当該店舗の店舗端末位置情報を取得することになる。位置情報取得部301は、操作受付部201が受け付けた支払操作により選択された店舗を特定する。
【0050】
[判定部]
判定部302は、顧客端末20において支払操作がなされた場合に、店舗端末位置情報が示す店舗端末10の位置と、顧客端末位置情報が示す顧客端末20の位置と、の距離が閾値未満であるかを判定する。閾値は、固定値であってもよいし可変値であってもよい。閾値が可変値である場合には、例えば、店舗、顧客、又は決済内容に応じて、閾値が異なってもよい。決済内容に応じて異なる場合には、金額によって異なってもよい。なお、閾値は、予めデータ記憶部300に記憶されているものとする。更に、閾値は、メートル、キロメートル、又はマイルなどの任意の単位で表現されるようにすればよい。
【0051】
判定部302は、店舗端末位置情報と顧客端末位置情報とに基づいて、判定対象となる距離を取得する。距離は、店舗端末10の位置と顧客端末20の位置との正確な間隔を示すものでなくてもよく、大まかな間隔を示すものであってもよい。例えば、本実施形態のように、緯度経度情報が用いられる場合には位置の精度が高いので、判定部302が取得する距離は精度が高いが、無線基地局情報が用いられる場合には、大まかな位置しか推定できないので、判定部302が取得する距離は、精度がそれほど高くはなく、大まかな間隔を示すことになる。
【0052】
本実施形態では、支払操作により店舗が選択されるので、判定部302は、支払操作により選択された店舗の店舗端末10の位置と、顧客端末20の位置と、の距離が閾値未満であるかを判定する。即ち、判定部302は、予め登録された全店舗の中から、顧客が選択した店舗を特定し、当該店舗の位置と顧客端末20との距離が閾値未満であるかを判定することになる。判定部302は、操作受付部201が受け付けた支払操作により選択された店舗を特定する。
【0053】
[決済処理実行部]
決済処理実行部303は、判定部302の判定結果に基づいて、決済処理を実行可能である。決済処理実行部303は、判定部302の判定結果次第で、決済処理を実行したり実行しなかったりする。なお、決済処理は、店舗に対する支払いをするためのソフトウェア処理である。決済処理自体は、公知の処理を適用可能であり、例えば、クレジットカード決済処理であってもよいし、銀行口座の引き落とし処理であってもよい。クレジットカード決済処理であれば、クレジットカード会社のサーバに対して与信問い合わせが送信されることで決済処理が実行され、引き落とし処理であれば顧客が口座を保有する銀行のサーバに対して引き落とし依頼が送信されることで決済処理が実行される。
【0054】
本実施形態では、決済処理実行部303は、判定部302により距離が閾値未満であると判定された場合は、決済処理の実行を許可し、判定部302により距離が閾値以上であると判定された場合は、決済処理の実行を禁止する。別の言い方をすれば、決済処理実行部303は、判定部302により距離が閾値未満であると判定されたことに応じて決済処理を実行し、判定部302により距離が閾値以上であると判定された場合は、決済処理を実行しない。本実施形態では、判定部302により距離が閾値以上であると判定された場合、決済処理実行部303は、特に、決済処理を保留したり店舗又は顧客に問い合わせたりすることなく、問答無用で決済処理を実行しないことになる。
【0055】
[1−4.本実施形態において実行される処理]
図6は、決済システムにおいて実行される処理の一例を示すフロー図である。図6に示す処理は、制御部11,21,31が、それぞれ記憶部12,22,32に記憶されたプログラムに従って動作することによって実行される。下記に説明する処理は、図3に示す機能ブロックにより実行される処理の一例である。
【0056】
図6に示すように、まず、顧客端末20において、制御部21は、記憶部22に記憶されたアプリケーションを起動し、決済サーバ30に対し、店舗の一覧を示す店舗一覧データを要求する(S1)。なお、顧客端末20が決済サーバ30と通信する場合には、顧客端末20を識別する情報(例えば、IPアドレス、顧客アカウント、個体識別情報、セッションIDなど)が送信され、決済サーバ30は、どの顧客がアクセスしているかを特定可能となっている。また、アプリケーションの起動後、決済サーバ30にログインさせるために、顧客アカウント及びパスワードの入力を求めるようにしてもよい。
【0057】
決済サーバ30においては、店舗一覧データの要求を受信すると、制御部31は、店舗データベースに基づいて、顧客端末20に対し、店舗一覧データを送信する(S2)。S2においては、制御部31は、全ての店舗に関する情報を店舗一覧データに含めてもよいし、近隣の店舗に関する情報のみを店舗一覧データに含めてもよい。近隣の店舗に関する情報のみとする場合には、S1の時点で顧客端末20から決済サーバ30に対して顧客端末位置情報が送信されるようにしてよい。なお、店舗一覧データには、支払先選択画面G1を表示させるための情報が含まれており、例えば、店舗ID、店舗名、及び店舗の画像などの情報が含まれているものとする。
【0058】
顧客端末20においては、店舗一覧データを受信すると、制御部21は、店舗一覧データに基づいて、支払先選択画面G1を表示部25に表示させる(S3)。制御部21は、顧客が操作部24を操作して支払先の店舗を選択すると、選択された店舗の店舗IDを記憶部22に保持し(S4)、金額入力画面G2を表示部25に表示させる(S5)。金額入力画面G2を表示させるためのデータは、決済サーバ30から送信されてもよいが、ここでは、アプリケーションとともに記憶部22に記憶されているものとする。この点は、確認画面G3も同様である。
【0059】
制御部21は、顧客が操作部24を操作して入力した金額を記憶部22に保持し(S6)、顧客が選択した店舗と入力した支払金額に基づいて、確認画面G3を表示部25に表示させる(S7)。制御部21は、顧客が操作部24から決済開始操作をすると、GPSセンサ26の検知信号に基づいて、顧客端末位置情報を取得する(S8)。なお、先述したように、顧客端末位置情報は、決済開始操作以前(例えば、アプリケーション起動時など)に予め取得されて記憶部22に保持されているようにしてもよい。制御部21は、記憶部22に保持された店舗ID及び支払金額と、S9において取得された顧客端末位置情報と、を含む決済要求を決済サーバ30に送信する(S9)。
【0060】
決済サーバ30においては、決済要求を受信すると、制御部31は、店舗データベースに基づいて、決済要求に含まれる店舗IDが示す店舗の店舗端末10に対し、店舗端末位置情報を要求する(S10)。S10においては、制御部31は、決済要求に含まれる店舗IDに関連付けられた個体識別情報に基づいて、対象となる店舗端末10を特定し、当該店舗端末10に対して店舗端末位置情報を要求する。なお、当該要求は、所定のデータ形式で行われるようにすればよく、店舗端末10においては、店舗端末位置情報を提供するための設定がなされているものとする。
【0061】
店舗端末10においては、要求を受信すると、制御部11は、GPSセンサ16の検知信号に基づいて、店舗端末位置情報を取得する(S11)。なお、店舗端末位置情報は、予め取得されて記憶部12に保持されているようにしてもよい。制御部11は、決済サーバ30に対し、店舗端末位置情報を送信する(S12)。なお、店舗端末10が決済サーバ30と通信する場合にも、店舗端末10を識別する情報(例えば、IPアドレス、店舗アカウント、個体識別情報、セッションIDなど)が送信され、決済サーバ30は、どの店舗がアクセスしているかを特定可能となっている。
【0062】
決済サーバ30においては、店舗端末位置情報を受信すると、制御部31は、店舗端末位置情報が示す店舗端末10の位置と、顧客端末位置情報が示す顧客端末20の位置と、の距離が閾値未満であるかを判定する(S13)。S13においては、制御部31は、店舗端末10から取得した緯度経度情報と、顧客端末20から取得した緯度経度情報と、の間隔を計算し、記憶部32に記憶された閾値と比較することになる。
【0063】
距離が閾値未満であると判定された場合(S13;Y)、制御部31は、店舗データベースと顧客データベースとに基づいて、決済処理を実行し(S14)、所定の完了通知を店舗端末10と顧客端末20とに送信する(S15)。S14においては、制御部31は、店舗データベースを参照して決済先情報を取得し、顧客データベースを参照して顧客のクレジッドカード情報を取得し、決済要求が示す支払金額を店舗に支払うクレジットカード決済処理を実行する。S15において送信される完了通知には、完了した決済の内容が含まれるものとする。
【0064】
顧客端末20においては、完了通知を受信すると、制御部21は、決済完了画面G4を表示部25に表示させる(S16)。以降、顧客は、決済完了画面G4を店員に見せて退店する。なお、店舗端末10も完了通知を受信しているので、店員は店舗端末10から完了通知を確認できる状態となる。
【0065】
一方、S14において、距離が閾値以上であると判定された場合(S13;N)、制御部31は、決済処理を実行せず、所定のエラー通知を顧客端末20に送信する(S17)。顧客端末20においては、エラー通知を受信すると、制御部21は、所定のエラーメッセージが表示部25に表示される。なお、その後に、顧客による決済操作のやり直しが可能であってもよい。
【0066】
以上説明した決済システムSによれば、店舗端末位置情報が示す店舗端末10の位置と、顧客端末位置情報が示す顧客端末20の位置と、の距離に基づいて決済処理が実行可能となっているので、2つの端末の位置を取得するという簡易な処理によって、店舗又はその近隣における自由度の高い支払いを実現することができ、構成を簡易化することができる。例えば、店舗ごとにその敷地の形状や広さを準備する必要がなくなるので、膨大な情報を管理する必要がなくなり、情報管理が容易となる。また例えば、店舗端末10の位置や顧客端末20の位置は取得しやすい情報なので、複雑な処理をする必要がなく処理を簡易化することができる。その結果、決済システムSのリソースを有効活用することができる。
【0067】
また、実施形態1のように、店舗端末10と顧客端末20との距離が閾値以上である場合に問答無用で決済を禁止することで、より確実に、店舗又はその近隣での支払いを徹底させることができる。
【0068】
また、実施形態1のように、セルフペイで支払われる場合には、顧客が自分で支払先を選択するので誤選択の可能性があるが、支払先の店舗を誤選択した場合には、店舗端末10と顧客端末20との距離が閾値以上となり、決済が禁止されるので、顧客の誤選択による誤決済を防止することができる。例えば、顧客端末位置情報を利用して近隣の店舗のみを選択可能にしたとしても、チェーン店などでは似た名前の複数の店舗が1つの地域に存在することがあるので、顧客が誤選択をする懸念があるが、実施形態1のように距離に基づいて判定することで、より確実に誤選択を防止できる。更に、店舗に対するいたずらや嫌がらせなどの目的で、遠隔地から少額の決済を繰り返すことも考えられるが、そのような決済も禁止されるので、いたずらや嫌がらせを防止することができる。
【0069】
また、GPSを利用して店舗端末位置情報と顧客端末位置情報を取得することにより、より精度の高い情報が取得できるので、店舗又はその近隣における自由度の高い支払いを実現する確実性を高めることができる。
【0070】
[2.実施形態2]
実施形態1では、顧客が支払先の店舗と支払金額を自分で入力するセルフペイを例に挙げたが、顧客がこれらの情報を入力することなく、店舗端末10の表示部15に表示されたコード情報を顧客端末20が読み取ることで、店舗への支払いが行われるようにしてもよい。以降、この支払方法を、コードペイと記載する。
【0071】
[2−1.実施形態2の概要]
図7は、コードペイでの支払いにおける画面遷移を示す図である。例えば、店員が支払金額を店舗端末10に入力すると、店舗IDと支払金額を含むコード情報が表示部15に表示される。図7に示すように、顧客は、顧客端末20でアプリケーションを起動させ、支払先選択画面G1の「コードペイ」タブを選択すると、カメラ27が起動する。
【0072】
カメラ27が起動すると、カメラ27の撮影画像を示す撮影画面G5に遷移する。顧客は、カメラ27の撮影範囲内に、表示部15に表示されたコード情報が含まれるように、顧客端末20の姿勢を調整して静止させる。コード情報の読み取りが成功すると、コード情報に含まれる店舗IDと支払金額が抽出され、確認画面G6に遷移する。確認画面G6は、セルフペイの確認画面G3(図2)と同様であり、以降の流れもセルフペイと同じである。ユーザが確認画面G6から決済開始操作をすると、店舗端末10の位置と顧客端末20の位置との距離が近ければ決済処理が実行され、完了画面G7に遷移する。
【0073】
上記のようなコードペイでは、例えば、悪意のある顧客が顧客端末20でコード情報を撮影し、クレジットカード会社のサーバなどに不正アクセスをするための専用端末を操作する協力者に送信し、不正な決済を実行して決済完了画面の表示データだけを受け取り、店員に決済完了画面を見せて正当な決済をしたふりをすることが考えられる。例えば、このような不正を簡易な構成によって防止するために、実施形態2の決済システムSは、コードペイにおいて、店舗端末10の位置と顧客端末20の位置との距離に基づいて決済を許可するか禁止するかを制御するようにしている。以降、実施形態2の処理の詳細を説明するが、決済システムSのハードウェア構成等、実施形態1と同様の部分については説明を省略する。
【0074】
[2−2.実施形態2において実現される機能]
図8は、実施形態2の機能ブロック図である。図8に示すように、実施形態2では、実施形態1で説明した機能に加えて、店舗端末10において表示制御部101が実現され、顧客端末20においてコード解析部202が実現される。なお、決済サーバ30の機能ブロックは、実施形態1(図3)と同様であるが処理内容は実施形態1と異なる。
【0075】
店舗端末10の表示制御部101は、制御部11を主として実現される。表示制御部101は、店舗を識別するコード情報を表示部15に表示させる。コード情報は、画像解析が可能な画像であればよく、例えば、バーコードであってもよいし2次元コードであってもよい。入力した情報をコード化するコード生成アルゴリズムは、店舗端末10の記憶部12に記憶されており、表示制御部101は、店舗IDと支払金額をコード生成アルゴリズムに渡すことでコード情報を生成する。コード生成アルゴリズム自体は、公知の種々のアルゴリズムを適用可能である。
【0076】
顧客端末20のコード解析部202は、制御部21を主として実現される。コード解析部202は、表示部15に表示されたコード情報を撮影した画像を解析し、コード情報に含まれる店舗IDと支払金額を抽出する。コードから情報を抜き出すコード解析アルゴリズムは、顧客端末20の記憶部22に記憶されており、コード解析部202は、カメラ27で撮影したコード情報をコード解析アルゴリズムに渡すことで、コード情報に含まれる内容を特定する。コード解析アルゴリズム自体は、公知の種々のアルゴリズムを適用可能である。
【0077】
なお、実施形態2では、支払操作は、表示部15に表示されたコード情報を、顧客端末20のカメラに読み取らせるための操作を含むことになる。このため、支払操作は、カメラ27を起動して撮影するための操作と、表示部15に表示されたコード情報をカメラ27の撮影範囲内に含めるために顧客端末20の姿勢を変える操作と、を含むようにしてよい。
【0078】
また、実施形態2では、支払先の店舗はコード情報によって特定されるので、決済サーバ30の位置情報取得部301は、支払操作により読み取られたコード情報が示す店舗の店舗端末位置情報を取得する。位置情報取得部301は、コード解析部202により特定された店舗の店舗端末位置情報を取得することになる。
【0079】
判定部302は、支払操作により読み取られたコード情報が示す店舗の店舗端末10の位置と、顧客端末20の位置と、の距離が閾値未満であるかを判定する。判定部302は、コード解析部202により特定された店舗の店舗端末位置情報に基づいて判定処理を実行することになる。また、決済処理実行部303は、支払操作により読み取られたコード情報が示す店舗に対する決済処理を実行可能となる。判定部302による判定方法と決済処理は、実施形態1と同様である。
【0080】
[2−3.実施形態2において実行される処理]
図9は、実施形態2において実行される処理の一例を示すフロー図である。図9に示す処理は、制御部11,21,31が、それぞれ記憶部12,22,32に記憶されたプログラムに従って動作することによって実行される。下記に説明する処理のうち、決済サーバ30の処理は、図8に示す機能ブロックにより実行される処理の一例である。
【0081】
図9に示すように、まず、店舗端末10において、制御部11は、店舗IDと、店員が操作部14を操作して入力した支払金額と、に基づいてコード情報を生成して表示部15に表示させる(S20)。店舗IDは、予め記憶部12に記憶されているようにしてもよいし、操作部14から入力されてもよい。S20においては、制御部11は、店舗IDと支払金額をコード生成アルゴリズムに渡し、コード生成アルゴリズムが返すコード情報を表示部15に表示させることになる。
【0082】
顧客端末20において、制御部21は、アプリケーションを起動し、カメラ27による撮影を開始する(S21)。なお、アプリケーションが起動した後に、S1〜S3と同様の処理が実行されて、支払先選択画面G1が表示されてもよい。この場合、支払先選択画面G1のコードペイのタブが選択されることでS21の処理が実行されてもよい。
【0083】
制御部21は、コード解析アルゴリズムに基づいて、カメラ27の撮影画像を解析し、コード情報を読み取れたかを判定する(S22)。例えば、2次元コードであれば、制御部21は、コードの端部付近にあるファインダパターンが検知されたかを判定するようにしてよい。コード情報を読み取れたと判定された場合(S22;Y)、制御部21は、コード情報に含まれる店舗IDと支払金額を抽出する(S23)。S23においては、制御部21は、カメラ27で撮影したコード情報をコード解析アルゴリズムに渡し、コード解析アルゴリズムが返す店舗IDと支払金額を取得することになる。
以降のS24〜S34の処理は、S7〜S17と同様である。
【0084】
実施形態2の決済システムSによれば、コードペイで支払いが行われる場合に、店舗又はその近隣における自由度の高い支払いを実現するための構成を簡易化することができる。更に、コードペイでは、先述したように、悪意のある顧客が協力者にコード情報を送信することで不正を働く可能性があるが、そのような不正を防止することもできる。
【0085】
[3.変形例]
なお、本発明は、以上に説明した実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更可能である。
【0086】
図10は、変形例の機能ブロック図である。図10に示すように、以降説明する変形例では、実施形態1−2で説明した各機能の他に、通知部304、閾値決定部305、問い合わせ部306、及び通信可否判定部307が実現される。
【0087】
(1)例えば、実施形態1−2では、店舗端末10の位置と顧客端末20の位置との距離が閾値以上であれば問答無用で決済処理が禁止されたが、いったん決済処理を保留にして、店員及び顧客の少なくとも一方に対し、決済を実行するかどうかを問い合わせてもよい。そして、店員及び顧客の少なくとも一方による回答に基づいて、保留した決済処理が実行されてもよい。
【0088】
本変形例の決済処理実行部303は、判定部302により距離が閾値未満であると判定された場合は、決済処理の実行を許可し、判定部302により距離が閾値以上であると判定された場合は、決済処理の実行を保留(待機)する。例えば、保留された決済のリストをデータ記憶部300に記憶させておき、決済処理実行部303は、保留した決済の内容をリストに追加するようにしてよい。
【0089】
本変形例の決済システムSは、通知部304を含む。通知部304は、制御部31を主として実現される。通知部304は、決済処理実行部303により決済処理の実行が保留された場合に、店舗端末10と顧客端末20の少なくとも一方の端末において、所定の通知をする。通知は、店舗端末10及び顧客端末20の両方に対して行われてもよいし、店舗端末10又は顧客端末20の何れかに対してのみ行われてもよい。ここでは、店舗端末10に対して通知が行われる場合を説明する。
【0090】
図11は、通知部304により行われる通知の一例を示す図である。図11に示すように、保留された決済の内容を示す通知G8が店舗端末10の表示部15に表示される。通知のための画像データは、通知部304から店舗端末10に送信されるようにすればよい。例えば、通知G8は、決済が保留されたことを示す警告メッセージとともに、保留された決済を指示した顧客、支払先の店舗、及び支払金額などの情報を含んでよい。更に、通知G8には、決済を承認するための承認ボタンG8Aと、決済を否認するための否認ボタンG8Bと、が表示される。店員は、保留された決済が問題ないと判断すれば、承認ボタンG8Aを選択し、身に覚えのない不正な決済であると判断すれば、否認ボタンG8Bを選択する。
【0091】
通知が行われた少なくとも一方の端末(ここでは、店舗端末10)は、通知部304による通知が行われた場合に、保留された決済処理の承認操作又は否認操作を受け付ける。ここでは、当該端末が店舗端末10である場合を説明するので、店舗端末10は、操作部24の検知信号に基づいて、承認ボタンG8A又は否認ボタンG8Bが選択されたかを判定することになる。なお、承認操作及び否認操作は、ボタンを選択する操作に限られず、予め定められた操作であればよい。そして、店舗端末10は、承認ボタンG8A又は否認ボタンG8Bのうち選択された方を識別する情報を決済サーバ30に送信する。
【0092】
決済処理実行部303は、承認操作が受け付けられた場合は、保留された決済処理の実行を許可し、否認操作が受け付けられた場合は、保留された決済処理の実行を禁止する。決済処理実行部303は、店舗端末10から受信した情報に基づいて、承認ボタンG8A又は否認ボタンG8Bの何れが選択されたかを判定する。決済処理実行部303は、承認操作が受け付けられた場合は、実施形態1−2において距離が閾値未満であった場合と同様の決済処理を実行する。一方、決済処理実行部は、否認操作が受け付けられた場合は、実施形態1−2において距離が閾値以上であった場合と同様に決済処理を実行せず、例えば、保留した決済内容を示すデータをデータ記憶部300のリストから削除する。なお、決済処理実行部303は、一定期間の間、承認操作が受け付けられなかった場合は、保留された決済処理の実行を禁止するようにしてもよい。
【0093】
変形例(1)によれば、店員及び顧客の少なくとも一方による操作に基づいて、保留した決済処理を実行することができる。例えば、セルフペイにおいて通知を顧客端末20に表示させると、顧客が支払先の店舗を誤選択したことを通知によって気付くことができる。また例えば、店舗端末10に通知を表示させると、決済の実行可否を店舗に委ねることができるので、通信不具合などにより、正当な顧客までも決済できなくなってしまうことを防止することができる。
【0094】
(2)また例えば、店舗によってはGPSの信号強度が弱く、緯度経度情報の精度が低いことがある。このため、全ての店舗で共通の閾値を用いたとすると、GPSの信号強度が弱い店舗では、顧客が店内にいるにも関わらず、店舗端末10と顧客端末20との距離が閾値を超えてしまい、セルフペイやコードペイで支払えない可能性がある。このため、GPSの信号強度に応じて、距離の閾値を変えるようにしてもよい。
【0095】
変形例(2)の決済システムは、閾値決定部305を含む。閾値決定部305は、制御部31を主として実現される。閾値決定部305は、店舗端末10のGPSセンサ16が受信した信号の強度と、顧客端末20のGPSセンサ26が受信した信号の強度と、に基づいて閾値を決定する。GPSの信号強度は、公知の計測方法を適用可能であるが、例えば、所定のノイズフィルタリングに基づいて受信機の受信結果から信号成分とノイズ成分を抽出し、S/N比を計算することで算出されるようにしてよい。
【0096】
例えば、店舗端末10の位置検知部100は、GPSセンサ16の信号の強度を取得可能であり、位置情報取得部301は、店舗端末位置情報とともに信号の強度を取得する。また例えば、顧客端末20の位置検知部200は、GPSセンサ26の信号の強度を取得可能であり、位置情報取得部301は、顧客端末位置情報とともに信号の強度を取得する。閾値決定部305は、位置情報取得部301が取得した信号の強度に基づいて閾値を決定する。
【0097】
例えば、信号の強度と閾値の関係を示す情報は、データ記憶部300に記憶されていてよい。この関係は、数式形式であってもよいし、テーブル形式であってもよいし、プログラムコードの一部として記述されていてもよい。閾値決定部305は、店舗端末10のGPSセンサが受信した信号の強度と、顧客端末20のGPSセンサが受信した信号の強度と、が強いほど閾値を小さくし、これらの強度が弱いほど閾値を大きくする。なお、閾値を大きくしすぎると、店舗から遠い場所での決済を認めることになるので、閾値には上限値を設けてもよい。
【0098】
変形例(2)によれば、GPSの信号強度に応じた閾値を設定することで、通信環境が良くない場合に顧客が支払いできなくなってしまうような状況を防止することができ、システムの利用環境に応じたサービスを提供することができる。
【0099】
(3)また例えば、実施形態1−2では、GPSを利用して店舗端末位置情報及び顧客端末位置情報が取得される場合を説明したが、先述したように、GPS以外の方法を利用して端末の位置が取得されてもよい。ただし、無線LANアクセスポイント情報や携帯基地局情報を利用した場合には、GPSほどの位置の精度がないため、位置検知の方法に応じて距離の閾値を変えるようにしてもよい。
【0100】
店舗端末10と顧客端末20の各々は、少なくとも一つの種類の位置検知部100,200を含む。本変形例の位置検知部100,200は、それぞれ、GPS以外にも、通信部13,23の無線通信インタフェースにより実現されてもよい。複数種類の検知方法を利用可能である場合には、どの検知方法を利用するかを店舗又は顧客が設定可能であってもよい。
【0101】
変形例(3)の閾値決定部305は、店舗端末位置情報を検知した店舗端末10の位置検知部100の種類(位置検知方法)と、顧客端末位置情報を検知した顧客端末20の位置検知部200の種類(位置検知方法)と、に基づいて、閾値を決定する。閾値決定部305は、位置検知部100,200の種類を識別する情報を取得可能である。例えば、位置検知部100の種類は、店舗端末10の記憶部12に記憶され、位置検知部200の種類は、顧客端末20の記憶部22に記憶されていてもよい。
【0102】
例えば、店舗端末10の位置検知部100は、店舗端末位置情報を検知するのに使用した種類を示す情報を取得し、位置情報取得部301は、店舗端末位置情報とともに当該種類を示す情報を取得する。また例えば、顧客端末20の位置検知部200は、顧客端末位置情報を検知するのに使用した種類を示す情報を取得し、位置情報取得部301は、顧客端末位置情報とともに当該種類を示す情報を取得する。閾値決定部305は、位置情報取得部301が取得した位置検知部100,200の種類に基づいて閾値を決定する。
【0103】
例えば、位置検知部100,200の種類と閾値の関係を示す情報は、データ記憶部300に記憶されていてよい。この関係は、数式形式であってもよいし、テーブル形式であってもよいし、プログラムコードの一部として記述されていてもよい。例えば、閾値決定部305は、店舗端末10の位置検知部100がGPSセンサであり、顧客端末20の位置検知部200がGPSセンサである場合は、位置の精度が高いので、最も小さい第1の閾値とする。また例えば、閾値決定部305は、店舗端末10の位置検知部100が無線LAN用のインタフェースであり、顧客端末20の位置検知部200が無線LAN用のインタフェースである場合は、位置の精度が中程度なので、第1の閾値よりも大きい第2の閾値とする。また例えば、閾値決定部305は、店舗端末10の位置検知部100が携帯電話用のインタフェースであり、顧客端末20の位置検知部200が携帯電話用のインタフェースである場合は、位置の精度が低いので、第2の閾値よりも大きい第3の閾値とする。なお、店舗端末10の位置検知部100の種類と、顧客端末20の位置検知部200の種類と、は同じでなくてもよく、これらの種類が異なっていてもよい。
【0104】
変形例(3)によれば、位置検知部100,200の精度に応じた閾値を設定することで、通信環境や端末の性能により顧客が支払いできなくなってしまう状況を防止することができ、システムの利用環境に応じたサービスを提供することができる。
【0105】
(4)また例えば、店舗端末10及び顧客端末20の利用環境によっては、店舗端末位置情報と顧客端末位置情報の少なくとも一方が全く取得できないことがある。この場合、顧客が決定を利用できなくなってしまうので、店舗又は顧客に対し、決済を実行するかを問い合わせるようにしてもよい。
【0106】
例えば、決済処理実行部303は、店舗端末位置情報と顧客端末位置情報の少なくとも一方が取得不可能である場合に、決済処理を保留する。決済処理実行部303は、一定時間の間、店舗端末位置情報及び顧客端末位置情報の少なくとも一方が取得されなかった場合に取得不可能であると判定する。ここでの一定時間とは、顧客端末20から決済要求を受け付けてから一定時間であってもよいし、店舗端末10に対して店舗端末位置情報の要求をしてから一定時間であってもよい。なお、決済処理を保留する方法は、変形例(1)で説明した方法と同様であってよい。
【0107】
変形例(4)の決済システムSは、問い合わせ部306を含む。問い合わせ部306は、制御部31を主として実現される。問い合わせ部306は、店舗端末位置情報と顧客端末位置情報の少なくとも一方が取得不可能である場合に、店舗端末10と顧客端末20の少なくとも一方の端末において、決済処理の実行可否を問い合わせる。問い合わせは、店舗端末10及び顧客端末20の両方に対して行われてもよいし、店舗端末10又は顧客端末20の何れかに対してのみ行われてもよいが、ここでは、店舗端末10に対して行われるものとする。
【0108】
問い合わせは、図11と同様の画面で行われてよく、保留されている決済の内容を示す問い合わせが店舗端末10の表示部15に表示される。例えば、問い合わせは、保留された決済を指示した顧客に関する情報や支払金額などを含むようにしてもよい。表示部15には、決済を承認するための承認ボタンと、決済を否認するための否認ボタンと、が表示されるようにしてよい。
【0109】
上記少なくとも一方の端末(ここでは、店舗端末10)は、問い合わせ部306による問い合わせが行われた場合に、決済処理の承認操作又は否認操作を受け付ける。ここでは、当該端末が店舗端末10である場合を説明するので、店舗端末10は、操作部24の検知信号に基づいて、承認ボタン又は否認ボタンが選択されたかを判定することになる。なお、承認操作及び否認操作がボタンの選択に限られない点は、変形例(1)と同様である。
【0110】
決済処理実行部303は、承認操作が受け付けられた場合は、決済処理の実行を許可し、否認操作が受け付けられた場合は、決済処理の実行を禁止する。決済処理実行部303は、承認操作が受け付けられた場合は、実施形態1−2において距離が閾値未満であった場合と同様の決済処理を実行する。一方、決済処理実行部は、否認操作が受け付けられた場合は、実施形態1−2において距離が閾値以上であった場合と同様に決済処理を実行せず、例えば、保留した決済内容を示すデータをデータ記憶部300から削除する。
【0111】
変形例(4)によれば、GPSを受信できない場所などの通信環境の悪い場所であったとしても、顧客による支払いを可能とすることができる。
【0112】
(5)また例えば、店舗端末位置情報と顧客端末位置情報の少なくとも一方が全く取得できない場合に、変形例(4)のように問い合わせを行うのではなく、近距離無線通信によって、店舗端末10と顧客端末20が近くにいるかを確認してもよい。即ち、店舗端末位置情報と顧客端末位置情報の少なくとも一方が取得不可能である場合には、店舗端末10と顧客端末20が近くにいるかどうかの確認方法を切り替えるようにしてもよい。
【0113】
例えば、店舗端末10と顧客端末20とは近距離無線通信が可能である。近距離無線通信自体は、国際標準規格で定められた種々の通信を適用可能であってよい。変形例(5)の決済システムSは、通信可否判定部307を含む。通信可否判定部307は、店舗端末位置情報と顧客端末位置情報の少なくとも一方が取得不可能である場合に、店舗端末10と顧客端末20との間での近距離無線通信が可能かを判定する。
【0114】
例えば、店舗端末10は、店舗端末位置情報が取得不可能であった場合、その旨を通信可否判定部307に通知する。また例えば、顧客端末20は、顧客端末位置情報が取得不可能であった場合、その旨を通信可否判定部307に通知する。通信可否判定部307は、これらの通知を受信したことによって取得不可能であるかを判定するようにしてもよいし、一定時間の間、何の応答もなかった場合に取得不可能であると判定してもよい。
【0115】
通信可否判定部307は、店舗端末位置情報と顧客端末位置情報の少なくとも一方が取得不可能である場合に、店舗端末10と顧客端末20の各々に対して、近距離無線通信での接続を指示する。例えば、通信可否判定部307は、店舗端末10の個体識別情報や近距離無線通信インタフェースの個体識別情報(例えば、MACアドレスやシリアル番号など)を取得して顧客端末20に送信する。また例えば、通信可否判定部307は、顧客端末20の個体識別情報や近距離無線通信インタフェースの個体識別情報(例えば、MACアドレスやシリアル番号など)を取得して店舗端末10に送信する。このようにすれば、店舗端末10と顧客端末20は、相手方を識別する情報を取得することができ、近距離無線通信によってお互いを探すことができる。店舗端末10及び顧客端末20は、近距離無線通信インタフェースを起動し、お互いの個体識別情報を検索し、合致するものがあれば、近距離無線通信が可能である旨の通知を通信可否判定部307に送信する。なお、当該通知は、店舗端末10及び顧客端末20の少なくとも一方により送信されるようにすればよい。通信可否判定部307は、その旨の通知を受信した場合は、近距離無線通信が可能であると判定し、一定時間の間に通知を受信できなかった場合は、近距離無線通信が不可能であると判定する。
【0116】
本変形例の決済処理実行部303は、店舗端末位置情報と顧客端末位置情報の少なくとも一方が取得不可能である場合は、通信可否判定部307の判定結果に基づいて、決済処理を実行可能である。例えば、決済処理実行部303は、通信可否判定部307により接続可能であると判定された場合に、決済処理の実行を許可し、通信可否判定部307により接続可能であると判定されない場合に、決済処理の実行を禁止してもよい。あるいは、決済処理実行部303は、通信可否判定部307により接続可能であると判定されない場合に、変形例(4)のような問い合わせをしてもよい。
【0117】
変形例(5)によれば、近距離無線通信によって、店舗端末10と顧客端末20とが近くにいることが証明されるので、通信環境の悪い場所であったとしても、店舗端末10と顧客端末20とが近くにいることを判定する方法を切り替えることで、決済を可能とすることができる。
【0118】
(6)また例えば、実施形態1と2を組み合わせてもよい。セルフペイとコードペイの何れを利用するかを顧客又は店舗が指定可能であってよい。更に、上記変形例の2つ以上を組み合わせてもよい。
【0119】
また例えば、決済処理は、クレジットカードや銀行引き落としに限られず、電子バリューを利用した決済であってもよい。この場合、顧客端末20に電子バリューを記録したICチップが備えられていてもよい。ICチップは、制御部、記憶部、及び通信部を含み、記憶部に電子バリューの残高情報や残高情報を変化させるためのプログラムが記憶されている。そして、決済サーバ30又は他のサーバからの指示に応じて、自身が記憶する残高情報を変化させるようにしてよい。
【0120】
また例えば、判定部302、位置情報取得部301、及び決済処理実行部303は、決済サーバ30ではなく、店舗端末10又は顧客端末20で実現されてもよい。この場合、店舗端末10と顧客端末20とが直接的な通信(P2P通信)をすることで、店舗端末10と顧客端末20との間で処理に必要なデータが送受信されるようにしてよい。例えば、判定部302、位置情報取得部301、及び決済処理実行部303が店舗端末10で実現される場合には、これらは制御部11を主として実現されることになる。また例えば、判定部302、位置情報取得部301、及び決済処理実行部303が顧客端末20で実現される場合には、これらは制御部21を主として実現されることになる。
図1
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図11