(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6557802
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】障子風難燃フスマ
(51)【国際特許分類】
E06B 3/70 20060101AFI20190729BHJP
E06B 5/16 20060101ALI20190729BHJP
【FI】
E06B3/70 B
E06B5/16
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-194851(P2017-194851)
(22)【出願日】2017年10月5日
(65)【公開番号】特開2019-65666(P2019-65666A)
(43)【公開日】2019年4月25日
【審査請求日】2017年11月6日
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】599058420
【氏名又は名称】山下 勲
(72)【発明者】
【氏名】山下 勲
【審査官】
小澤 尚由
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭55−132286(JP,U)
【文献】
特開平07−004150(JP,A)
【文献】
特開平08−291673(JP,A)
【文献】
特開平11−287073(JP,A)
【文献】
実開昭57−150193(JP,U)
【文献】
実開昭60−083190(JP,U)
【文献】
実開昭64−019792(JP,U)
【文献】
実開平03−108781(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/70
E06B 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
難燃性を有するボ―ドと、
前記ボ−ドの周囲に設けられる難燃性を有する枠材と、
前記ボ―ドの表面を覆う表装部材と、を有し、
前記表装部材は障子紙であり、
前記表装部材は、表面に障子風の格子柄を描くとともに、
前記表装部材は、透過性を有し、前記障子風の格子柄を描いた面の裏面に風景画を描いてなる、
障子風難燃フスマ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は難燃化住宅の生活環境を改善する障子風難燃襖に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(実開平2−130987号公報 )には、和室の仕切りに用いる防火襖に関する技術が 示されている。
【0003】
特許文献2(特開平11−131912号公報)には、不燃障子及び不燃障子併設のサッシ窓の構成が記載されている。障子自体を不燃化することによって安全性を向上させ、ガラスサッシ窓との密着構成が可能となって、建築コスト削減につながる背景技術が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平2−130987号公報
【特許文献2】特開平11−131912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の技術を用いて、難燃性を有した障子空間を創出することは困難であった。金属製の障子枠を用いる等の技術では、重量が極めて大きくなり、実用性に欠けるという欠点があった。
【0006】
本発明の課題は、和風を代表する障子空間を難燃性もしくは不燃性の素材で構成することであり、安全性が高く、不燃性等が要求される高層建築においても障子空間を創出することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、難燃性を有するボ―ドと、ボ−ドの周囲に設けられる難燃性を有する枠材と、ボ―ドの表面を覆う表装部材と、を有し、表装部材は、表面に障子風の格子柄を描いたことを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の表装部材は、透過性を有し、障子風の格子柄を描いた面の裏面に絵柄を描いてなるものである。
【0009】
また、本発明の表装部材は、透過性を有し、表装部材とボ−ドの間に絵柄を描いた第2表装部材を挿入してなるものである。
【0010】
また、本発明の第2表装部材は薬品を含浸させることにより、難燃性を保有させたことを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明は、難燃性を有するボ―ドと、ボ―ドの表面を覆い、障子様開孔部を有する障子状パネルと、ボ−ド及び障子状パネルの周囲に設けられる難燃性を有する枠材と、を有し、障子状パネルとボ−ドの間に絵柄を描いた第2表装部材を挿入してなるものである。
【0012】
また、本発明の障子状パネルは、難燃性を有するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の技術を用いることにより、難燃化が要求される高層建築等においても、和風空間を代表する障子空間を創出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の障子風難燃フスマの正面図である。(実施例1)
【
図2】本発明の障子風難燃フスマの縦断面図である。(実施例1)
【
図3】本発明の表装紙表面の絵柄を示す模様図である。(実施例2)
【
図4】本発明の表装紙裏面の絵柄を示す模様図である。(実施例2)
【
図5】本発明の障子風難燃フスマの縦断面図である。(実施例3)
【
図6】本発明の障子風難燃フスマの表装紙の絵柄を示す模様図である。(実施例3)
【
図7】本発明の障子風難燃フスマの第2表装紙の絵柄を示す模様図である。(実施例3)
【
図8】本発明の障子風難燃フスマの正面図である。(実施例4)
【
図9】本発明の障子風難燃フスマの縦断面図である。(実施例4)
【
図10】本発明の障子風難燃フスマの障子状パネルの斜視図である。(実施例4)
【
図11】本発明の障子風難燃フスマの第2表装紙の絵柄を示す模様図である。 (実施例4)
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態について、以下の実施例1から実施例4において説明を行う。
【実施例1】
【0016】
以下本発明の実施例1について、
図1及び
図2を用いて説明する。
【0017】
図1は本発明の実施例1に係る障子風難燃フスマ1の正面図である。また、
図2は実施例1に係る障子風難燃フスマ1の縦断面図である。障子風難燃フスマ1は、ボード2の片面に表装紙3を貼り付け、それらの全周を枠材4で取り囲んで構成されている。
【0018】
また、下部の枠材4には戸車5が取り付けられており、敷居上での滑りをよくするようになっている。
【0019】
ボード2は、ダンボールにアルミ箔を両面から貼り付けたものであり、難燃性を有する材料である。また、不燃材として厚さ10mm程度のセッコーボードを使用しても実現可能である。
【0020】
表装紙3は、障子紙を使用し、表面に障子風の格子柄と遠景風景を描いたものである。
【0021】
枠材4は、難燃性合成樹脂をC型断面となるように押し出し成形したものであり、自己消火性を有する材料である。また、枠材4は、アルミ材を断面形状がC型となるように押し出し成形した不燃材を使用することも可能である。
【0022】
以上のように、ボード2及び枠材4の主要構成材を難燃材料としたため、フスマ全体の難燃化が実現でき、かつ、表装紙の表面に障子風の格子柄と遠景風景を描いたことにより、障子空間の創出が可能となる。
【実施例2】
【0023】
以下本発明の実施例に2について、
図3、
図4を用いて説明する。
図3は、本発明の実施例2に係る障子風難燃フスマの表装紙3の表面の絵柄を示す模様図である。
図4は、本発明の実施例2に係る障子風難燃フスマの表装紙3の裏面の絵柄を示す模様図である。
【0024】
表装紙3は障子紙であり、かつ、透過性を有するため、裏面の絵柄が表面に透き通って見え、表面の格子柄の遠景として裏面の風景画を確認することができる。
【0025】
これにより、この実施例2の障子風難燃フスマを間仕切りとした場合、ほんものの障子空間と同様の空間を創出することができ、かつ、空間の難燃化を容易に実現できる。
【実施例3】
【0026】
以下本発明の実施例3について、
図5、
図6、
図7を用いて説明する。
図5は、実施例3に係る障子風難燃フスマ1の縦断面図である。
図6は、本発明の実施例3に係る障子風難燃フスマ1の表装紙3の絵柄を示す模様図である。
図7は、本発明の実施例3に係る障子風難燃フスマ1の第2表装紙6の絵柄を示す模様図である。
【0027】
図5に示すように、実施例3においては難燃性を有するボード2と表装紙3との間に難燃性を有する第2表装紙6が挿入されており、表装紙3と第2表装紙6とボード2の全周を取り囲むように難燃性の枠材4が設けられている。第2表装紙6は薬品を含浸させることにより紙を難燃化したものである。当該薬品は難燃化溶液であり、珪酸カリウム溶液もしくは珪酸ナトリウム溶液等が好ましい。
【0028】
表装紙3は透過性を有するため、表面から表装紙3を見たとき、内部の第2表装紙6が透けて見え、障子の格子柄を通して遠景が見えるように見せることができる。
【0029】
これにより、この実施例3の障子風難燃フスマ1を間仕切りとした場合、間仕切りの向こう側に美しい自然の山・海・川等が在る様に薄く見え、ほんものの障子空間と同様の空間を創出することができ、かつ、空間の難燃化を容易に実現できる。
【0030】
また、薬品を含浸させた第2表装紙6は表装紙3の内部に設けられるため、第2表装紙6に含浸された人体に有害な薬品が露出せず、安全性が高まるものである。
【実施例4】
【0031】
以下本発明の実施例4について、
図8、
図9、
図10、
図11を用いて説明する。
図8は、本発明の実施例4に係る障子風難燃フスマ1の正面図である。
図9は、本発明の実施例4に係る障子風難燃フスマ1の縦断面図である。
図10は、本発明の実施例4に係る障子風難燃フスマ1に用いる障子状パネル7の斜視図である。
図11は、本発明の実施例4に係る障子風難燃フスマ1の第2表装紙の絵柄を示す模様図である。
【0032】
図9に示すように、難燃性を有するボード2に第2表装紙6を合わせ、さらに障子状パネル7をあわせて、それらを難燃材の枠材4で固定している。
障子状パネル7は、
図10に示すように、厚みが2mmのアルミプレートを障子の枠材の様にカットしたものであり、桟以外の部分は障子様開孔部8の孔が開いている。
【0033】
第2表装紙6は、
図11に示すように、障子紙に絵を描いたものである。
また、第2表装紙6は、樹脂でできた透明パネルに風景画などを印刷したものでも同様の効果を得ることができる。
【0034】
ボード2に第2表装紙6と障子状パネル7を重ね合わすことで、
図8のように、障子の桟木ごしに風景を鑑賞できる障子風難燃フスマ1が構成される。
【0035】
以上のように、実施例4においては、不燃材であるアルミプレートを障子状パネル7に用いているため、難燃性のボード2及び難燃の枠材4と合わせ、障子風難燃フスマ1が燃えにくいものと成り、難燃性を有する間仕切りにて障子空間を創出することができる。
【0036】
上記実施例4では、障子状パネル7を格子状に障子様開孔部8を設けたもので説明したが、その障子様開孔部形状に限ったものではなく、欄間の様な種々の障子様開孔部形状を有する障子状パネルとしても同様の効果を奏するものである。
【0037】
上記実施例4では、障子状パネル7をアルミプレートを切り抜いたもので説明したが、障子状パネル7と第2表装紙は極めて薄いものであり、難燃性を有しない樹脂材等で構成されていても全体の難燃性に与える影響は少ない。
【符号の説明】
【0038】
1 障子風難燃フスマ
2 ボ−ド
3 表装紙
4 枠材
5 戸車
6 第2表装紙
7 障子状パネル
8 障子様開孔部