(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6557804
(24)【登録日】2019年7月19日
(45)【発行日】2019年8月7日
(54)【発明の名称】定規
(51)【国際特許分類】
B43L 7/00 20060101AFI20190729BHJP
【FI】
B43L7/00 B
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-27458(P2018-27458)
(22)【出願日】2018年2月20日
【審査請求日】2018年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】504474323
【氏名又は名称】宇野 公二
(72)【発明者】
【氏名】宇野 公二
【審査官】
槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−178003(JP,A)
【文献】
実開平01−112990(JP,U)
【文献】
実開昭63−131637(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43L 1/00−13/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の定規であって、長手方向に沿う両幅縁部の一方から他方に向かっておよそテーパー状に前記定規の厚み方向に広がる外殻を備え、
前記外殻を指先で押して前記両幅縁部の一方を滑らかな水平面に押し当てた第1状態で前記両幅縁部の一方に沿う先端をガイドに定規として使用可能であり、
前記両幅縁部の一方に沿い前記先端の少なくとも一部を成し、他方に向かって延び前記外殻の一部を成す長尺状の蓋を備え、前記蓋を開けた状態で内部の空間へ被収納物を出し入れ可能であり、
前記蓋を分離した状態では前記蓋単体で定規として使用可能である、
定規。
【請求項2】
長尺状の定規であって、長手方向に沿う両幅縁部の一方から他方に向かっておよそテーパー状に前記定規の厚み方向に広がる外殻を備え、
前記外殻を指先で押して前記両幅縁部の一方を滑らかな水平面に押し当てた第1状態で前記両幅縁部の一方に沿う先端をガイドに定規として使用可能であり、
前記両幅縁部の一方を前記水平面に押し当てるのをやめることで、前記両幅縁部の他方に配置される前記定規の重心が前記第1状態よりも前記水平面に近づくように動き、前記両幅縁部の一方が前記水平面から離れた第2状態と、
を有し、
前記長手方向の一端部から他端部に向かっておよそテーパー状に前記定規の幅方向に広がる前記外殻を備える、又は、前記両幅縁部の一方よりも他方の方が短い前記外殻を備える、
の少なくともどちらかの特徴を持つ、
定規。
【請求項3】
前記両幅縁部の一方の前記蓋に目盛りを備える、
請求項1に記載の定規。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定規に関する。
【背景技術】
【0002】
定規においては、特許文献1の実施例のように、用紙面に置かれた定規を指先が僅かに貫通して直接用紙面に触れることができるような複数の穴を備えるアイデアが知られている。
【0003】
また、定規においては、特許文献2の実施例のように、長尺状の定規の一端部に用紙面から離れる部分を備え、その部分を用紙面に向けて指先で押圧することで定規の他端部が用紙面から離れるので、定規を用紙面から容易に摘み上げることができるアイデアが知られている。
【0004】
また、定規においては、特許文献3の実施例のように、長尺状の両幅縁部の一方に重心を偏らせることで、指先で押圧することをやめると滑らかな水平面において自動的に両幅縁部の他方が水平面から離れるようなアイデアが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−051784号公報
【特許文献2】実用新案登録第3132748号公報
【特許文献3】特開2011−178003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
定規においては、用紙面に置いて線引き作業や切断作業を行う際に、筆記具やナイフの先端から定規の縁部に加わる力によって定規がずれ動きにくく、且つ用紙面から摘み上げ易いアイデアが求められているが、特許文献1のようなアイデアでは様々な人の指先形状や手の大きさに貫通穴の形状やピッチが対応できないし、特許文献2のようなアイデアでは指先で押圧する部分が限定的で小さく、指先に痛みが伴うような強い圧力が加わる恐れがあり、特許文献3のようなアイデアでは重心が配置された部分が邪魔になって指先で定規を用紙面に押圧する妨げになることが考えられる。
また、定規においては、使用したくなった際にナイフや消しゴムや筆記具等と一緒に在ってほしい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態図等を用いて以下に説明するが、これは本発明の内容をより把握しやすいようにする為で、添付の特許請求の範囲を縮小するものではない。
【0008】
発明1に係る定規は、例えば
図3及び4の組み、
図5の組み、のいずれかの組みのように、
長尺状の
定規であって、長手方向に沿う両幅縁部の一方1から他方2に向かっておよそテーパー状に
前記定規の厚み方向に広がる外殻3を備え
、
外殻3を指先で押して両幅縁部の一方1を滑らかな水平面5に押し当てた例えば
図2右図のような第1状態で
両幅縁部の一方1に沿う先端22をガイドに定規として使用可能であり、
両幅縁部の一方1に沿い
先端22の少なくとも一部を成し、他方2に向かって延び外殻3の一部を成す長尺状の蓋6を備え、蓋6を開けた状態で内部4の空間へ被収納物を出し入れ可能であ
り、
蓋6を分離した状態では蓋6単体で定規として使用可能である、
定規である。
【0009】
発明2に係る定規は、例えば
図1及び2の組み、
図3及び4の組み、
図5の組み、のいずれかの組みのように、
長尺状の
定規であって、長手方向に沿う両幅縁部の一方1から他方2に向かっておよそテーパー状に
前記定規の厚み方向に広がる外殻3を備え
、
外殻3を指先で押して両幅縁部の一方1を滑らかな水平面5に押し当てた例えば
図2右図のような第1状態で
両幅縁部の一方1に沿う先端22をガイドに定規として使用可能であり、
両幅縁部の一方1を水平面5に押し当てるのをやめることで、両幅縁部の他方2に配置される前記定規の重心17が前記第1状態よりも水平面5に近づくように動き、両幅縁部の一方1が水平面5から離れた例えば
図1、
図2左図、
図3から5のいずれかのような第2状態と、
を有
し、
前記長手方向の一端部25から他端部26に向かっておよそテーパー状に前記定規の幅方向に広がる外殻3を備える、又は、両幅縁部の一方1よりも他方2の方が短い外殻3を備える、
の少なくともどちらかの特徴を持つ、
定規である。
【0010】
発明3に係る定規は、発明1の定規において、例えば
図3及び4の組み、
図5の組み、のいずれかの組みのように、
両幅縁部の一方1の蓋6に目盛り9又は10の少なくともどちらかを備える、
定規である。
【発明の効果】
【0011】
以上のように本発明では、複雑な形状に邪魔されずテーパー状に広がる外殻3を指先で気軽に押圧するだけで正確に線引き作業等が行え、且つ外殻3構造によって定規全体の剛性を保ちながら比較的軽量で、且つ厚みのある他方2を転がすように操作することで楽に定規を摘み上げることができるような定規の設計が容易となる。
【0012】
また発明1では、本発明の効果に加えて、蓋6を開けて内部4の空間にナイフや消しゴムや筆記具等の一緒に在って欲しい被収納物を収納しておけるような定規の設計が容易となる。
【0013】
加えて、蓋6を開け本体部18と分離した状態では、本体部18への被収納物の出し入れ可能な状態で本体部18をペントレーのように使用して効率的に蓋6単体で定規として用紙に線を引いたりナイフで切ったりする作業が可能となるような定規の設計が容易となる。
【0014】
また発明2では、本発明の効果に加えて、外殻3構造で一方1側が比較的軽量となったので重心17を他方2側に偏らせるのに必要な重りも比較的軽量にでき、定規全体としての軽量化を図ることが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】第1実施形態の動作を2段階で表した定規長手方向中央断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の第1実施形態を
図1及び2に基づいて説明する。
【0017】
外形は長さ16cmの長尺状であり両幅縁部の一方1は薄くその表面12及び裏面13にはそれぞれ同様の目盛り9及び10が印刷されている。一方1から他方2に向けてテーパー状に広がる外殻3はおよそ厚み1mmのプラスチック製で本体部18は両端が開口した筒状となっており、両幅縁部の他方2に沿う軸線16を中心とする円形殻がテーパー状の外殻3と滑らかにつながっており、軸線16と定規の底11の間に半円形断面棒状で金属製の重り15が固定されており、本体部18の開口した両端にはそれぞれゴム製の蓋6及び7が開け閉め可能に嵌合されている。
図2左図では、定規全体の重心17が水平面5に近づく位置で底11と水平面5が接して静止している。ここで、裏面13を指先で押して水平面5上で他方2の円形の外周8を転がすようにしてから水平面5に表面12を押し当てることで
図2右図のようになり、一方1の先端22をガイドに目盛り10を確認しながら筆記具で水平面5に所定の長さの直線を引くことが可能である。
図2右図では
図2左図よりも重心17が水平面5から遠ざかっており、裏面13を押していた指先を離すと、外周8が水平面5上を転がるようにして
図2左図のように自動的に戻る。また、
図2左図から表面12を指先で押して水平面5上で円形の外周14を転がすようにしてから水平面5に裏面13を押し当てることで、先端22をガイドに目盛り9を確認しながら筆記具で水平面5に所定の長さの直線を引くことが可能であり、表面12を押していた指先を離すと、外周14が水平面5上を転がるようにして
図2左図のように自動的に戻る。
【0018】
また、内部4の空間に筆記具等の被収納物を入れない場合は、外殻3を更に薄くして内部4に比重の小さい発砲プラスチック等を充填して補強するような案も考えられる。
また、底11を少し削って平面にしておけば、
図1や
図2左図の直立状態でより安定するし、重り15を取り去る案でも
図2右図の他方2を丸棒を転がすような感覚で右回りに操作して
図2左図まで回転させれば定規は直立状態で安定する。
【0019】
本発明の第2実施形態は第1実施形態と共通する部分が多いので、主に違いについて
図3及び4に基づいて説明する。
【0020】
第1実施形態と第2実施形態の外形はほぼ同じであるが、本体部18は両端の閉じた筒状になっており、筒状の外周には大きな挿入口が設けられ、その挿入口を塞ぐように本体部18の嵌合形状19に嵌合する蓋6は表面12側の外殻3の大部分を占めており、一方1に沿う本体部18の直線状の一端部20に掛け止められてから底11に巻き回されるように素材の弾力性を利用してスナップフィットし、スナップフィットに逆らって蓋6を開けると本体部18の挿入口から筆記具等の被収納物を出し入れできる。また蓋6を開け本体部18と分離した状態では、蓋6単体で定規として先端22をガイドに目盛り10を確認しながら筆記具で水平面5に所定の長さの直線を引くことが可能であるので、本体部18への被収納物の出し入れ可能な状態で本体部18をペントレーのように使用して効率的に用紙に線を引いたりナイフで切ったりする作業が可能となるし、蓋6を閉じた状態でも気軽に定規として使えるのである。
【0021】
本発明の第3実施形態は第2実施形態と共通する部分が多いので、主に違いについて
図5に基づいて説明する。
【0022】
第3実施形態の外形は長手方向の一端部25から他端部26に向けてテーパー状に広がっており、細くなった一端部25は更に他方2から大きく削り取られたような空間24があり、一方1の目盛り9及び10を維持したままできるだけ先端22を水平面5に近づけ、他方2周辺の外殻3も無くして空間24にすることで外殻3による重心17の上昇を抑え必要な重り15の量を減らし、定規全体としての軽量化を図りながらも指先で押さえる面のゆとりは他端部26側に確保している。
また蓋6は先端22を中心に対称形になっており、本体部18を裏表両側から挟み込むようにスナップフィットしている。また、蓋6単体で定規として先端22をガイドに目盛り9又は10を確認しながら筆記具で水平面5に所定の長さの直線を引くことが可能である
また底11には小さな凸形状23が2脚設けられており、一端部25側の底11とこの2脚による3点接地構造を備えている。
【符号の説明】
【0023】
1. 一方
2. 他方
3. 外殻
4. 内部
5. 水平面
6,7. 蓋
8,14. 外周
9,10. 目盛り
11. 底
12. 表面
13. 裏面
15. 重り
16. 軸線
17. 重心
18. 本体部
19. 嵌合形状
20,25. 一端部
21. 直線部
22. 先端
23. 凸形状
24. 空間
26. 他端部
【要約】 (修正有)
【課題】定規を用紙面に置いて線引き作業や切断作業を行う際に、筆記具やナイフの先端から定規の縁部に加わる力によって定規がずれ動きにくく、且つ用紙面から摘み上げ易いアイデアが求められている。特別なテクニックや指先の痛みに耐える力がない人が、ゆとりを持って作業に励めるような定規を提供する。
【解決手段】長尺状の両幅縁部の一方1から他方2に向かっておよそテーパー状に広がる外殻3を備える。
【選択図】
図1