特許第6557881号(P6557881)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6557881皮膚用粘着剤及び貼付材並びに皮膚用粘着剤の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6557881
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】皮膚用粘着剤及び貼付材並びに皮膚用粘着剤の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 201/00 20060101AFI20190805BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20190805BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20190805BHJP
   A61F 13/02 20060101ALI20190805BHJP
   A61L 15/58 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
   C09J201/00
   C09J11/08
   C09J7/38
   A61F13/02 Z
   A61L15/58 300
【請求項の数】7
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2015-561010(P2015-561010)
(86)(22)【出願日】2015年2月4日
(86)【国際出願番号】JP2015053123
(87)【国際公開番号】WO2015119160
(87)【国際公開日】20150813
【審査請求日】2018年1月15日
(31)【優先権主張番号】特願2014-20562(P2014-20562)
(32)【優先日】2014年2月5日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000151380
【氏名又は名称】アルケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 亮太
(72)【発明者】
【氏名】奥山 亘
【審査官】 佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−056805(JP,A)
【文献】 特開平06−108018(JP,A)
【文献】 特開2011−182847(JP,A)
【文献】 特開2014−114331(JP,A)
【文献】 特開2006−288690(JP,A)
【文献】 特開2005−261453(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/080954(WO,A1)
【文献】 特表2002−531171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
A61F13/02
A61L15/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線硬化型樹脂に放射線を照射して形成された、開口率が5〜90%である多孔膜状の皮膚用粘着剤であり、
前記多孔膜状の皮膚用粘着剤が、前記放射線硬化型樹脂を含む繊維状樹脂及び/又は粒状樹脂が、該繊維状樹脂及び/又は粒状樹脂の間に空隙を有して集合することで形成され、
前記放射線硬化型樹脂を含む前記繊維状樹脂の線維径が1〜1000μmであり、
前記放射線硬化型樹脂を含む前記粒状樹脂の粒径が1〜1000μmであり、
前記放射線硬化型樹脂として紫外線硬化型樹脂35〜95質量%と、
親水性高分子1〜30質量%と、
無官能基型のアクリルポリマー1〜20質量%と、を含み、
前記親水性高分子が、前記放射線硬化型樹脂中に分散され、
前記無官能型のアクリルポリマーが、常温(20〜30℃)において液状である、皮膚用粘着剤。
【請求項2】
前記放射線硬化型樹脂を含む皮膚用粘着剤組成物を繊維状及び/又は粒状に吐出し、吐出された皮膚用粘着剤組成物に前記放射線を照射して形成された、請求項1に記載の皮膚用粘着剤。
【請求項3】
更に、反応性希釈剤1〜20質量%を含み、
前記反応性希釈剤が、前記放射線硬化型樹脂と反応する、請求項1又は2に記載の皮膚用粘着剤。
【請求項4】
基材と、
該基材に設けられた、請求項1〜3の何れか1項に記載の皮膚用粘着剤と、を備える貼付材。
【請求項5】
放射線硬化型樹脂を含む皮膚用粘着剤組成物を、皮膚用粘着剤が多孔膜状となるように被着体に塗工する塗工工程と、
塗工された皮膚用粘着剤組成物に放射線を照射する照射工程と、を含む、多孔膜状の皮膚用粘着剤の製造方法であり、
前記多孔膜状の皮膚用粘着剤が、放射線硬化型樹脂に放射線を照射して形成された、開口率が5〜90%である、皮膚用粘着剤であり、
前記多孔膜状の皮膚用粘着剤が、前記放射線硬化型樹脂を含む繊維状樹脂及び/又は粒状樹脂が、該繊維状樹脂及び/又は粒状樹脂の間に空隙を有して集合することで形成され、
前記放射線硬化型樹脂を含む前記繊維状樹脂の線維径が1〜1000μmであり、
前記放射線硬化型樹脂を含む前記粒状樹脂の粒径が1〜1000μmであり、
前記放射線硬化型樹脂として紫外線硬化型樹脂35〜95質量%と、
親水性高分子1〜30質量%と、
無官能基型のアクリルポリマー1〜20質量%と、を含み、
前記親水性高分子が、前記放射線硬化型樹脂中に分散され、
前記無官能型のアクリルポリマーが、常温(20〜30℃)において液状である、皮膚用粘着剤の製造方法。
【請求項6】
前記塗工工程は、メルトブロー方式により、前記皮膚用粘着剤組成物を加熱した状態で繊維状及び/又は粒状に吐出する吐出工程を含む、請求項5に記載の皮膚用粘着剤の製造方法。
【請求項7】
前記塗工工程は、前記皮膚用粘着剤組成物を複数に繊維化及び/又は粒状化して吐出し、吐出された皮膚用粘着剤組成物に100〜300℃の熱風を当てながら塗工する工程を含む、請求項5又は6に記載の皮膚用粘着剤の製造方法。





【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、皮膚用粘着剤及びその皮膚用粘着剤を用いた貼付材、並びに皮膚用粘着剤の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガーゼ、包帯、絆創膏、カテーテル、オストミー装具等の医療材料及び器具の皮膚への固定、並びに皮膚、傷、ストーマ周囲等に対する保護及び治療等のために、貼付材が従来から用いられている。
【0003】
貼付材に用いられる皮膚用粘着剤においては、粘着剤を形成する樹脂成分のほか、所望の機能を付与する成分を添加することが行われている。
例えば、特許文献1には、エラストマー、吸水性化合物、セラミド及び乳化剤をそれぞれ所定量含有する皮膚貼付用粘着剤組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−263042号公報
【発明の概要】
【0005】
本発明に係る皮膚用粘着剤は、放射線硬化型樹脂に放射線を照射して形成された多孔膜状のものである。
本発明に係る貼付材は、基材と、該基材に設けられた前記多孔膜状の皮膚用粘着剤と、を備えるものである。
本発明に係る多孔膜状の皮膚用粘着剤の製造方法は、放射線硬化型樹脂を含む皮膚用粘着剤組成物を、皮膚用粘着剤が多孔膜状となるように被着体に塗工する塗工工程と、塗工された皮膚用粘着剤組成物に放射線を照射する照射工程と、を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本技術の実施形態の一例に係る皮膚用粘着剤を模式的に表した部分平面図及びそのさらに一部分の拡大図である。
図2】本技術の実施形態の一例に係る皮膚用粘着剤で、繊維状樹脂や粒状樹脂が潰れた場合の皮膚用粘着剤を模式的に表した部分平面図及びそのさらに一部分の拡大図である。
図3】試験例1における皮膚用粘着剤の状態を撮影した図面代用写真である。
図4】試験例2における皮膚用粘着剤の状態を撮影した図面代用写真である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
粘着剤には様々な種類があるが、本発明者等は、安全性、環境負荷、生産性等を考慮して、粘着剤を形成する樹脂の主成分として、放射線硬化型樹脂を用いた皮膚用粘着剤について鋭意検討を行った。
【0008】
ところで、粘着剤やそれを用いた貼付材の生産性をあげるためには、粘着剤の塗工時に粘着剤の粘度を下げ、塗工スピードや取扱い性を高めることが重要である。さらに、放射線硬化型樹脂は放射線照射により硬化させることから、未硬化部分が発生しない確実な照射と生産性の両立を図る必要がある。
【0009】
一方、皮膚用の粘着剤や貼付材は、長時間皮膚に貼付することもあるので、カブレや痒みの原因となる蒸れを軽減する必要がある。蒸れを軽減するために、貼付材の粘着剤層に通気性をもたせたり、吸水性成分を配合したりすることが行われる。
ここで、本発明者等は、粘着剤層に通気性をもたせるために、粘着面に所定の開口パターンを形成するよう塗工した場合、粘度の低い粘着剤を用いると粘着剤の流動や液垂れが生じ、それにより開口部分が塞がれてしまうという問題があることに気が付いた。
【0010】
そこで、本技術は、粘着剤を形成する樹脂成分として放射線硬化型樹脂を用いた場合でも、カブレや痒みの原因となる蒸れを軽減し、且つ生産性の高い皮膚用粘着剤を提供する。また、本技術は、前記皮膚用粘着剤を備える貼付材及び前記皮膚用粘着剤の製造方法を提供する。
【0011】
本技術によれば、カブレや痒みの原因となる蒸れを軽減することが可能で且つ生産性の高い皮膚用粘着剤、及びその皮膚用粘着剤を備える貼付材、並びに前記皮膚用粘着剤の製造方法を提供することができる。
【0012】
以下、本技術を実施するための好適な形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。
【0013】
<皮膚用粘着剤>
本技術に係る実施形態の皮膚用粘着剤は、放射線硬化型樹脂に放射線を照射して形成された多孔膜状のものである。
この皮膚用粘着剤は、少なくとも放射線硬化型樹脂を含む皮膚用粘着剤組成物から形成することができる。皮膚用粘着剤は、放射線硬化型樹脂のみから形成されてもよいが、好ましくは、皮膚用粘着剤を形成する樹脂成分として放射線硬化型樹脂を含むと共に他の成分を含む皮膚用粘着剤組成物から形成される。このことから、本開示において、放射線硬化型樹脂に放射線を照射して形成された多孔膜状の構成には、放射線硬化型樹脂を含む皮膚用粘着剤組成物に放射線を照射して形成された多孔膜状の構成も含まれる。
【0014】
本開示において、多孔膜状とは、多孔性を有する膜(層)の状態であることを意味する。また、多孔性とは、規則的又はランダムに、貫通孔及び/又は非貫通孔が形成されている性状を表す。本実施形態の皮膚用粘着剤では、その形成が比較的容易であることから、ランダムな孔が形成された多孔膜状の構成であることが好ましい。また、そのように構成された膜が層状に重なっていてもよい。
粘着剤から形成される多孔膜のパターンとしては、例えば、粘着剤部分が繊維状、粒子状、ドッド状、格子状、ネット状、縞模様、唐草模様等の任意の粘着剤形状の集合体、又はこれら形状を組み合わせた模様等を挙げることができる。とりわけ、繊維状及び粒子状粘着剤がランダムに存在している形状を含む粘着剤が好ましい。開口部の形状は円形や多角形であってもよく、四角形であれば略台形、略平行四辺形であってもよい。この多孔膜のパターンは厚さ方向に積層され、その間に空隙を有していてもよい。皮膚用粘着剤の厚さ方向に繊維状樹脂がランダムに重なっているように形成されていると、皮膚用粘着剤の厚さ方向における内部に空隙が形成され易くなり、それにより、水分に対する吸収性と触感が良好になりやすい。
【0015】
多孔膜状の皮膚用粘着剤は、皮膚用粘着剤自体で形状を保持し得るフィルム状又はシート状のものでもよく、また、皮膚用粘着剤自体ではフィルム状又はシート状として形状を保持し難いもので、基材に設けられたものでもよい。
この多孔膜状の皮膚用粘着剤は、放射線硬化型樹脂に放射線を照射して形成されることから、放射線硬化型樹脂が硬化反応を生じて形成された膜(硬化膜)にて構成される。
【0016】
多孔膜状の皮膚用粘着剤の開口率は、皮膚用粘着剤に良好な通気性と皮膚に対する良好な粘着性をもたらす観点から、5〜90%が好ましく、10〜70%がより好ましく、15〜50%がさらに好ましい。本開示において、開口率は、後記実施例で示すように、皮膚用粘着剤の表面の画像を光学顕微鏡にて取得し、その画像解析により測定された値である。
また、皮膚用粘着剤に良好な通気性をもたらす観点から、開口率の下限は、5%が好ましく、10%がより好ましく、15%がさらに好ましい。皮膚用粘着剤に皮膚に対する良好な粘着性をもたらす観点から、開口率の上限は、80%が好ましく、60%がより好ましく、40%がさらに好ましい。
【0017】
皮膚用粘着剤は、放射線硬化型樹脂を含む繊維状樹脂が、その繊維状樹脂間に空隙を有して集合した多孔膜状の構成をとることが好ましい。このような多孔膜状の構成により、皮膚用粘着剤に良好な通気性と、皮膚に対する良好な触感をもたらすことが可能となる。なお、この繊維状樹脂は、皮膚用粘着剤を構成するものであることから、繊維状の粘着剤ともいえる。
【0018】
多孔膜状の皮膚用粘着剤を形成する繊維状樹脂は、少なくとも放射線硬化型樹脂を含むものである。皮膚用粘着剤が樹脂成分として放射線硬化型樹脂を含むと共に、他の成分を含む皮膚用粘着剤組成物から形成される場合、繊維状樹脂は、放射線硬化型樹脂のほか、当該他の成分を含んで構成されていてもよい。
【0019】
繊維状樹脂間に空隙を有して集合した多孔膜状の皮膚用粘着剤は、一又は複数の繊維状樹脂から形成される(図1及び後記実施例で得られた図3参照)。一の繊維状樹脂により多孔膜状の皮膚用粘着剤が形成される場合、当該一の繊維状樹脂が絡まり合ったような状態によって当該一の繊維状樹脂間に空隙を有して集合した多孔膜状の皮膚用粘着剤を形成することができる。複数の繊維状樹脂により多孔膜状の皮膚用粘着剤が形成される場合、繊維状樹脂間の空隙は、一の繊維状樹脂間の空隙であってもよく、複数の繊維状樹脂間の空隙であってもよい。繊維状樹脂間に空隙を有して集合した多孔膜状の皮膚用粘着剤は、生産効率の観点から、複数の繊維状樹脂により形成されることが好ましい。
【0020】
上記繊維状樹脂による多孔膜状の皮膚用粘着剤には、放射線硬化型樹脂を含む粒状樹脂を有していてもよい(図1及び後記実施例で得られた図3参照)。この粒状樹脂は、皮膚用粘着剤中に複数存在していてもよい。皮膚用粘着剤中に複数(多数)の粒状樹脂を含むことで、粒状樹脂間に空隙を形成することができる。このような空隙を形成することで、皮膚用粘着剤に良好な通気性をもたらすことが可能となる。なお、この粒状樹脂は、皮膚用粘着剤を構成するものであることから、粒状の粘着剤ともいえる。
【0021】
また、皮膚用粘着剤は、放射線硬化型樹脂を含む繊維状樹脂及び/又は粒状樹脂が、その繊維状樹脂及び/又は粒状樹脂間に空隙を有して集合した多孔膜状の構成をとることも好ましい。この場合、「繊維状樹脂及び/又は粒状樹脂間」には、繊維状樹脂間(繊維状樹脂と繊維状樹脂との間)、粒状樹脂間(粒状樹脂と粒状樹脂との間)、並びに繊維状樹脂と粒状樹脂との間が含まれる。
【0022】
ここで、図1を参照して、上述の繊維状樹脂や粒状樹脂を含む皮膚用粘着剤の形態面での構成を補足的に説明する。
図1は、本実施形態の一例に係る皮膚用粘着剤1を模式的に表した部分平面図及びそのさらに一部分の拡大図である。図1では、放射線硬化型樹脂を含む繊維状樹脂2と、放射硬化型樹脂を含む粒状樹脂3と、空隙4とを備える多孔膜状の皮膚用粘着剤1を例示している。
【0023】
図1に示すように、皮膚用粘着剤1は、一の繊維状樹脂(2a)が絡まり合ったような状態によって当該一の繊維状樹脂(2a)間に空隙(4a)を含むことができる。また、皮膚用粘着剤1は、一の繊維状樹脂(2b)と他の一の繊維状樹脂(2c)との間の関係のように、複数の繊維状樹脂(2b,2c)間に空隙(4b)を含むことができる。さらに、皮膚用粘着剤1は、一の粒状樹脂(3a)と一の繊維状樹脂(2d)との間の関係のように、粒状樹脂(3a)と繊維状樹脂(2d)との間に空隙(4c)を含むことができる。また、皮膚用粘着剤1は、一の粒状樹脂(3b)と他の一の粒状樹脂(3c)との間に空隙(4d)を含むことができる。
【0024】
このように、皮膚用粘着剤1は、繊維状樹脂2及び/又は粒状樹脂3間に空隙4を含むことができる。そして、皮膚用粘着剤1は、空隙4を含んで、繊維状樹脂2及び/又は粒状樹脂3が集合した多孔膜状の構成をとることができる。
【0025】
また、図1に示すように、皮膚用粘着剤1は、粒状樹脂3よりも繊維状樹脂2を多く含むことが好ましい。粒状樹脂3に比べて繊維状樹脂2を多く含む皮膚用粘着剤1であれば、その繊維状樹脂2によって不織布状の多孔膜をなす皮膚用粘着剤1が得られ易い。そのため、皮膚に対する適度な粘着力を有しながら、肌触りの良い皮膚用粘着剤1を得ることができる。
【0026】
繊維状樹脂の繊維径(繊維幅ともいい、例えば図1中のL参照。)は、特に限定されないが、1〜1000μmが良く、5〜500μmが好ましく、10〜300μmがより好ましく、15〜100μmがさらに好ましい。繊維状樹脂が、上記範囲の繊維径を有することで、皮膚に対する良好な触感及び密着性と、良好な凝集性を有する皮膚用粘着剤を得ることが可能となる。
皮膚に対して良好な触感と密着性を得る観点から、繊維状樹脂の繊維径の上限は、1000μmが良く、400μmが好ましく、200μmがより好ましく、80μmがさらに好ましい。また、良好な凝集性を有する皮膚用粘着剤を得る観点から、繊維状樹脂の繊維径の下限は、0.1μmが良く、15μmが好ましく、20μmがより好ましく、25μmがさらに好ましい。
本開示において、繊維状樹脂の繊維径は、後記実施例で示すように、皮膚用粘着剤の表面の画像を光学顕微鏡にて取得し、その画像における繊維状樹脂の部分から無作為に3つの測定点を抽出し、画像の寸法から測定した3点の繊維径(繊維幅)のデータの平均値である。
【0027】
繊維状樹脂の長さ(繊維長ともいい、例えば図1中のL参照。)は、特に限定されないが、0.1〜10mmが好ましく、より好ましくは0.5〜9mm、さらに好ましくは1〜7mmである。繊維状樹脂が、かかる範囲の長さを有することで、一の繊維状樹脂が絡み合いやすく、当該一の繊維状樹脂間に空隙を形成しやすい。
本開示において、繊維状樹脂の長さは、後記実施例で示すように、皮膚用粘着剤の表面の画像を光学顕微鏡にて取得し、その画像から無作為に3つの繊維状樹脂を抽出し、画像の寸法から測定した3つの繊維状樹脂の長さのデータの平均値である。なお、1つの繊維状樹脂において、その繊維長は、繊維自体の長さを折れ線(図1中のL参照。)で近似してその折れ線を辿った長さで測定される。
【0028】
粒状樹脂の粒径(図1中のD参照)は、特に限定されないが、1〜1000μmが良く、5〜500μmが好ましく、10〜300μmがより好ましく、15〜100μmがさらに好ましい。粒状樹脂が、上記範囲の粒径を有することで、皮膚に対する良好な触感及び密着性と、良好な凝集性を有する皮膚用粘着剤を得ることが可能となる。粒状樹脂の粒径は、上記繊維径と同様、皮膚用粘着剤の表面の画像を光学顕微鏡にて取得し、その画像における粒状樹脂の部分から無作為に3つの測定点を抽出し、画像の寸法から測定した3点の粒径のデータの平均値である。
【0029】
前記繊維状樹脂、前記粒状樹脂、及び前記空隙を含む多孔膜状の皮膚用粘着剤は、好ましくはブロー方式、より好ましくはメルトブロー方式、さらに好ましくはカーテンスプレー塗工により、形成することができる。これらの方式では、放射線硬化型樹脂を含む皮膚用粘着剤組成物を繊維状及び/又は粒状に吐出し、吐出された皮膚用粘着剤組成物に放射線を照射する。この手法により、前記繊維状樹脂、前記粒状樹脂及び前記空隙を含む多孔膜状の皮膚用粘着剤を容易に形成することができる。
【0030】
なお、皮膚用粘着剤を基材シートにラミネートする過程や、転写用のシートから基材に転写する等の製造過程において、皮膚用粘着シートの皮膚用粘着剤の繊維状又は粒状の形状が潰れることがある。あるいは、皮膚用粘着シートを製造後、保存している過程で自重や他の製品等の荷重によって、皮膚用粘着シートの皮膚用粘着剤の繊維状又は粒状の形状が潰れることがある。
繊維状又は粒状の形状が潰れた場合の皮膚用粘着剤の一例を図2に示す。図2に例示されるように、皮膚用粘着剤11は、繊維状又は粒状の形状が潰れた後においても、繊維状樹脂21と、空隙41と、繊維状樹脂及び粒状樹脂が潰れて結合したような連続部5とを備えた多孔膜状の構成をとることができる。図2に示す皮膚用粘着剤11には、図示しないが、粒状樹脂が存在していてもよい。
【0031】
皮膚用粘着剤は、その皮膚用粘着剤を基材シートに設けた皮膚用粘着シートの状態で測定された場合に、JIS L1096に準拠したB法(ガーレ形法)により測定される通気性(空気透過度)が、1.5秒以下であることが好ましく、1.3秒以下であることがより好ましく、1.0秒以下がさらに好ましい。かかる範囲の空気透過度を有することにより、通気性が良く、カブレや痒みの原因となる蒸れを軽減し易い皮膚用粘着剤を得ることができる。
【0032】
皮膚用粘着剤は、吸水率が50〜300%であることが好ましく、60〜200%であることがより好ましく、70〜150%であることがさらに好ましい。この範囲の吸水率は、皮膚用粘着剤の多孔膜状の構成と、皮膚用粘着剤中に含まれてもよい後述の親水性高分子の含有により、もたらすことが可能である。吸水率が上記範囲内にあることにより、汗及び滲出液等の水分を速やかに吸収することが可能となる。
本開示において、吸水率は、JIS T9233の4.5.1「質量変化の測定」に準拠して、以下の計算式から、生理食塩水(0.9%NaCl水溶液)に皮膚用粘着剤を24時間浸漬した後の皮膚用粘着剤の質量(浸漬後の質量)と、その浸漬前の皮膚用粘着剤の質量(浸漬前の質量)とに基づき、算出された値である。
吸水率(%)=[(浸漬後の質量−浸漬前の質量)/浸漬前の質量]×100
なお、上記吸水率は、皮膚用粘着剤を基材シートに設けた皮膚用粘着シートの状態で測定された値であるが、基材シートに例えばPETフィルム等の吸水性をほとんど示さないシートを用いた場合、皮膚用粘着剤の吸水率と略同等と考えられる。
【0033】
皮膚用粘着剤の厚さは、特に限定されないが、放射線硬化型樹脂に放射線を照射して形成される性質上、放射線の照射により、放射線硬化型樹脂が硬化反応を充分に生じ得る厚さとすることが好ましい。この観点から、皮膚用粘着剤の厚さは、5〜500μmが好ましく、10〜300μmがより好ましく、20〜200μmがさらに好ましい。
皮膚用粘着剤の粘着力と後述する親水性高分子等の他の成分の皮膚用粘着剤中の絶対量を高める観点から、皮膚用粘着剤の厚さの下限は、10μmが好ましく、20μmがより好ましく、30μmがさらに好ましい。
また、放射線硬化型樹脂の硬化不良を生じ難くする観点からは、皮膚用粘着剤の厚さの上限は、300μmが好ましく、250μmがより好ましく、200μmがさらに好ましい。
【0034】
[放射線硬化型樹脂]
次に本実施形態の皮膚用粘着剤に用いられる放射線硬化型樹脂について説明する。本開示において、「放射線硬化型樹脂」とは、放射線の照射により硬化(又は架橋)し、成分として、ポリマー、オリゴマー及びモノマーのうち少なくとも何れかを含む樹脂組成物をいう。
【0035】
「放射線」は、その照射により、放射線硬化型樹脂に、ラジカル重合、カチオン重合又はアニオン重合等による硬化(架橋)反応を起こさせるエネルギーを付与することができるものであれば、特に限定されない。そのような放射線としては、例えば、電子線、紫外線、赤外線、レーザー光線、可視光線、電離放射線(X線、α線、β線、γ線など)、マイクロ波、及び高周波等が挙げられる。
これらの放射線種のうち、本実施形態に用いられる放射線硬化型樹脂は、電子線、可視光線、及び紫外線からなる群から選ばれる1種又は2種以上により硬化(架橋)反応を生じるものであることが好ましい。
【0036】
放射線硬化型樹脂は、電子線硬化型樹脂、可視光線硬化型樹脂、及び紫外線硬化型樹脂からなる群から選ばれる1種又は2種以上であることが好ましく、紫外線硬化型樹脂であることがより好ましく、ホットメルト型紫外線硬化型樹脂であることがさらに好ましい。
また、放射線硬化型樹脂の硬化反応機構は、特に限定されないが、ラジカル重合型、カチオン重合型又は光二量化反応が好ましく、ラジカル重合型又は光二量化反応がより好ましい。
【0037】
放射線硬化型樹脂の樹脂種としては、(メタ)アクリレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン(メタ)アクリレート系樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂、及びエポキシ(メタ)アクリレート系樹脂等が挙げられる。これらの放射線硬化型樹脂は、1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよく、また、2種以上を含む混合物であってもよい。
放射線硬化型樹脂は、上記樹脂種のうち、(メタ)アクリレート系樹脂、シリコーン(メタ)アクリレート系樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂、及びエポキシ(メタ)アクリレート系樹脂からなる群から選ばれる1種又は2種以上であることが好ましく、紫外線硬化型(メタ)アクリレート系樹脂であることがより好ましい。
なお、本開示において、「(メタ)アクリレート」との記載は、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を意味する。
【0038】
放射線硬化型樹脂としては、炭素数1〜20、より好ましくは2〜10、さらに好ましくは4〜8のアルキル基、又は炭素数4〜8のシクロアルキル基を有する(メタ)アクリレートに由来する構造単位(繰り返し単位)を有する重合体及び/又は共重合体を用いることが好ましい。このアルキル基又はシクロアルキル基は置換基を有していてもよく、その置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アリール基、アルコキシ基、フェノキシ基、エポキシ基、ノルボルニル基、及びアダマンチル基等が挙げられる。
このような構造単位を有する放射線硬化型樹脂としては、ブチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位、及び/又は2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートに由来する構造単位を有する重合体及び/又は共重合体がより好ましい。さらに好ましくは、ブチルアクリレートに由来する構造単位、及び/又は2−エチルヘキシルアクリレートに由来する構造単位を有する重合体及び/又は共重合体である。
なお、このような構造単位を有する重合体及び/又は共重合体は、高分子よりも分子量の低い後述のオリゴマーであってもよい。
【0039】
放射線硬化型樹脂の質量平均分子量Mwは、1000〜250000であることが好ましく、1000〜200000であることがより好ましい。放射線硬化型樹脂のMwが上記範囲であることにより、生産性を高めつつ塗布後のパターンが均一な皮膚用粘着剤組成物を得ることが可能になり、放射線の照射後は、硬化反応により、質量平均分子量が大きくなり、凝集力のある粘着剤を得ることが可能となる。なお、本開示において、Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定され、ポリスチレン換算により算出された値である。
【0040】
放射線硬化型樹脂には、市販品を使用することができる。
放射線硬化型樹脂の市販品としては、例えば、株式会社スリーボンド製の商品名「3000シリーズ」及び「3100シリーズ」、DIC株式会社製の商品名「ユニディック」シリーズ及び「タイフォース」シリーズ、三菱化学株式会社製の商品名「ユピマー」シリーズ、日立化成工業株式会社製の商品名「ヒタロイド」シリーズ、荒川化学工業株式会社製の商品名「ビームセット」シリーズ、BASF社製の商品名「acResin」シリーズ、東亞合成株式会社製の商品名「UVA−2000シリーズ」等が挙げられる。
【0041】
放射線硬化型樹脂は、上述の(メタ)アクリレートに由来する構造単位を有する重合体及び/又は共重合体に加えて、若しくはその替わりに、成分として、重合性のオリゴマー及び/又はモノマーを1種以上含有する樹脂組成物として構成されていてもよい。この重合性のオリゴマー及び/又はモノマーの重合形態は、ラジカル重合又はカチオン重合が好ましく、ラジカル重合がより好ましい。
【0042】
ラジカル重合が可能なオリゴマーとしては、例えば、(メタ)アクリレート系オリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー、シリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、及びエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマー等が挙げられる。
【0043】
ラジカル重合が可能なモノマーとしては、(メタ)アクリロイル基を有するモノマーが挙げられる。(メタ)アクリロイル基の数は特に限定されず、(メタ)アクリロイル基が1つの単官能(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイル基が2つの二官能(メタ)アクリレート、及び(メタ)アクリロイル基が3つ以上の多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0044】
カチオン重合が可能なオリゴマー又はモノマーとしては、例えば、エポキシ環、オキセタン環、オキソラン環、ジオキソラン環、及びビニルエーテル構造、並びにこれらの構造を有する官能基を有するオリゴマー又はモノマーが挙げられる。
カチオン重合が可能なオリゴマー又はモノマーとしては、例えば、巴工業株式会社から市販されているリモネンオキサイド系化合物、共栄社化学株式会社製の商品名「エポライト」シリーズとして市販されているグリシジルエーテル系化合物、東亜合成株式会社製の商品名「アロンオキセタン」として市販されているオキセタン系化合物等が挙げられる。
【0045】
本実施形態に用いられる放射線硬化型樹脂は、上記重合性オリゴマーとして、(メタ)アクリレート系オリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー、及びシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマーからなる群から選ばれる1種又は2種以上を含むことが好ましい。
オリゴマーの分子量は特に限定されないが、放射線硬化型樹脂又はそれを含む皮膚用粘着剤組成物を塗工し易くするために、数平均分子量Mnは10000未満(例えば、1000以上10000未満)であることが好ましい。なお、数平均分子量が10000以上のポリマー程度の高分子量の重合性オリゴマーが用いられてもよい。本開示において、Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定され、ポリスチレン換算により算出された値である。
【0046】
放射線硬化型樹脂には、重合開始剤、添加剤及び溶剤等が含まれていてもよい。
重合開始剤は、特に限定されず、放射線硬化型樹脂の分野において公知の重合開始剤を用いることができ、例えば、アセトフェノン系開始剤、ベンゾフェノン系化合物、α−ケトエステル系化合物、及びベンゾイン系化合物等が挙げられる。
【0047】
放射線硬化型樹脂は、重合開始剤を含む代わりに、放射線硬化型樹脂の成分のポリマー又はオリゴマー等の分子鎖に重合開始剤が結合されていることが好ましい。分子鎖に重合開始剤が結合された放射線硬化型樹脂を用いることで、重合開始剤を添加する必要がなくなり、より安全性の高い皮膚用粘着剤を得ることができる。
このような分子鎖に重合開始剤が導入された放射線硬化型樹脂としては、例えば、ケーエスエム株式会社製の商品名「UV−H」シリーズ、及びBASF社製の商品名「acResin」シリーズ等が挙げられる。
なお、重合開始剤が既に結合している放射線硬化型樹脂に、さらに別の重合開始剤を付加するか、又は別の重合開始剤と置換するようにしてもよい。
【0048】
光二量化反応が可能なオリゴマー又はポリマーとしては、例えば、マレイミド基を有するオリゴマー又はポリマーが挙げられる。
光二量化反応のオリゴマー又はポリマーとしては、例えば、東亞合成株式会社製の商品名「UVA−2000」シリーズとして市販されている末端マレイミドポリエステル樹脂又は末端マレイミドポリエーテル樹脂等が挙げられる。
【0049】
皮膚用粘着剤組成物中の放射線硬化型樹脂の含有割合は、30〜100質量%が好ましく、35〜95質量%がより好ましく、40〜90質量%がさらに好ましく、55〜85質量%がさらに好ましい。
放射線硬化型樹脂の含有割合が上記範囲であることにより、放射線硬化型樹脂に放射線を照射して形成された皮膚用粘着剤に良好な凝集性をもたせることが可能となる。また、後述する親水性高分子が放射線硬化型樹脂中に分散したハイドロコロイドを形成し易くすることができる。
【0050】
本実施形態の皮膚用粘着剤は、上述の通り、少なくとも放射線硬化型樹脂を含む皮膚用粘着剤組成物から形成することができる。
この皮膚用粘着剤組成物は、放射線硬化型樹脂のほか、本技術の目的を損なわない範囲で、親水性高分子、放射線硬化型樹脂と反応する反応性希釈剤、軟化剤(可塑剤)、粘着付与剤、充填剤、pH調整剤、及び薬効成分等を含有してもよい。
【0051】
[親水性高分子]
本実施形態の皮膚用粘着剤は、親水性高分子を含有していることが好ましく、放射線硬化型樹脂中に分散した親水性高分子を含有していることがより好ましい。親水性高分子を含有する皮膚用粘着剤は、放射線硬化型樹脂と共に親水性高分子を含有する皮膚用粘着剤組成物により形成することができる。
【0052】
皮膚用粘着剤中に親水性高分子を含有することにより、皮膚用粘着剤を皮膚に設けた際に、汗及び滲出液等の水分を吸収し易く、蒸れによるカブレ及び掻痒感の軽減に寄与することが可能となる。この観点から、皮膚用粘着剤組成物中の親水性高分子の含有割合は、1〜30質量%であることが好ましく、5〜25質量%であることがより好ましく、5〜20質量%であることがさらに好ましい。また、親水性高分子の含有割合が上記範囲内にあることにより、皮膚浸軟等による皮膚刺激の軽減に寄与することが可能となり、皮膚用粘着剤の皮膚に対する長時間の貼付が可能となる。
【0053】
本実施形態で用いられる親水性高分子は、特に限定されず、天然、半合成又は合成の親水性高分子を用いることができる。なお、「半合成」とは、部分化学合成とも称され、例えば植物材料、微生物又は細胞培養物等の天然資源から単離された化合物を出発物質として使用する化学合成をいう。
【0054】
天然親水性高分子の具体例としては、例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、及びデンプン(例えば、コメ、トウモロコシ、バレイショ並びにコムギのデンプン)等の植物系高分子;キサンタンガム、デキストリン、デキストラン、サクシノグルカン、マンナン、ローカストビーンガム、及びプルラン等の微生物系高分子;カゼイン、アルブミン、及びゼラチン等の動物系高分子等が挙げられる。
【0055】
半合成親水性高分子化合物の具体例としては、例えば、デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等);セルロース系高分子(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム等);アルギン酸系高分子(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等);等が挙げられる。
【0056】
合成親水性高分子化合物の具体例としては、ビニル系高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等);アクリル系高分子(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド等);ポリエチレンイミン;等が挙げられる。
【0057】
親水性高分子は、1種を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
上述の各親水性高分子のうち、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム、ペクチン、カラヤガム、マンナン、ローカストビーンガム、及びゼラチンからなる群から選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましく、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム、マンナン及びローカストビーンガムからなる群から選ばれる1種又は2種以上を用いることがより好ましい。これらの親水性高分子を用いることにより、いわゆるハイドロコロイドを形成し易くすることができる。
【0058】
[反応性希釈剤]
反応性希釈剤は、放射線硬化型樹脂と反応し得ると共に、皮膚用粘着剤組成物の粘度を低下させる液体又は皮膚用粘着剤組成物中の樹脂分を低下させる液体である。
皮膚用粘着剤組成物中に反応性希釈剤を含有すれば、例えば、塗工等の加工を行い易い皮膚用粘着剤組成物とすることが可能となり、また、放射線が照射された後においては、反応性希釈剤が放射線硬化型樹脂と反応して架橋することから、凝集性が良好でブリードし難い皮膚用粘着剤を得ることが可能となる。
【0059】
反応性希釈剤は、1分子中に官能基として1〜3の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含むものが好ましい。ここで、「(メタ)アクリロイル基」との記載は、「アクリロイル基」(HC=CH−C(=O)−)及び「メタクリロイル基」(HC=C(CH)−C(=O)−)の両方を意味する。
また、(メタ)アクリロイル基を有する化合物の分子量は、特に限定されないが、1000以下が好ましく、800以下がより好ましく、600以下がさらに好ましい。
【0060】
反応性希釈剤として用いられる(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリレート系化合物、及び(メタ)アクリルアミド系化合物等が挙げられる。ここで、「(メタ)アクリレート系化合物」とは、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基又はシクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルであり、そのアルキル基及びシクロアルキル基に置換基を有していてもよい化合物をいう。「(メタ)アクリルアミド系化合物」とは、(メタ)アクリロイル基を有するアミド化合物であり、(メタ)アクリルアミドのアミノ基に置換基を有していてもよい化合物をいう。なお、「(メタ)アクリル」との記載は、「アクリル」及び「メタクリル」の両方を意味する。
「(メタ)アクリレート系化合物」及び「(メタ)アクリルアミド系化合物」における上記置換基としては、特に限定されないが、例えば、ヒドロキシル基、アルコキシ基、及びフェノキシ基等が挙げられる。
【0061】
反応性希釈剤としては、(メタ)アクリロイル基を有する化合物のうちの1種又は2種以上のモノマー、又はそれらのモノマーを構成モノマーとして含むオリゴマーを用いることができる。
【0062】
反応性希釈剤としては、アクリロイルモルホリン、ヒドロキシエチルアクリルアミド、フェノキシエチルアクリレート、1,3−ジオキソラン系アクリレート、イソボルニルアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、プロピレンオキサイド(PO)変性トリメチロールプロパントリアクリレート、及びメトキシポリエチレングリコールアクリレートからなる群から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
より好ましくは、アクリロイルモルホリン、ポリエチレングリコールジアクリレート、及びPO変性トリメチロールプロパントリアクリレートからなる群から選ばれる1種又は2種以上である。
【0063】
反応性希釈剤として用いることができる(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば(メタ)アクリロイル基が1つの単官能(メタ)アクリレート系化合物、(メタ)アクリロイル基が2つの二官能(メタ)アクリレート系化合物、及び(メタ)アクリロイル基が3以上の三官能以上の多官能(メタ)アクリレート系化合物が挙げられる。
【0064】
単官能(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、及びシクロヘキサンスピロ−2−(1,3−ジオキソラン−4−イル))メチルアクリレート等が挙げられる。
【0065】
二官能(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、及び1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0066】
三官能以上の多官能(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記「アルキレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート」の「アルキレンオキサイド変性」としては、エチレンオキサイド(EO)変性、及びプロピレンオキサイド(PO)変性等が挙げられる。
【0067】
反応性希釈剤として用いることができる(メタ)アクリレート系化合物としては、第4級炭素原子を有し、その第4級炭素において対称性を有するような、トリメチロールプロパン骨格を有する(メタ)アクリレートを用いることも好ましい。このトリメチロールプロパン骨格を有する(メタ)アクリレートとしては、上述のトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート及びアルキレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0068】
反応性希釈剤は、25℃における粘度が、好ましくは1000mPa・s以下、より好ましくは500mPa・s以下であり、その下限は好ましくは1mPa・s以上である。
反応性希釈剤の25℃における粘度が上記範囲にあることにより、放射線硬化型樹脂と混ぜやすく、塗工等の加工を行い易くすることができる。なお、本明細書において、反応性希釈剤の25℃下の粘度(定常流粘度)は、JIS Z8803に準拠した単一円筒形回転粘度計により、25℃において測定された値である。
【0069】
皮膚用粘着剤組成物中の反応性希釈剤の含有割合は、特に限定されないが、皮膚用粘着剤組成物の全質量中、1〜30質量%であることが好ましい。皮膚用粘着剤組成物の粘度を効果的に低下させ、かつ粘着力の高い皮膚用粘着剤を得る観点から、反応性希釈剤の含有量は、皮膚用粘着剤組成物の全質量中、1〜20質量%であることが好ましく、2〜15質量%であることがより好ましく、2〜8質量%がさらに好ましい。
反応性希釈剤の含有割合が上記範囲にあることにより、皮膚用粘着剤組成物の粘度が低下し、生産効率を向上させ、塗工等の加工を行い易くさせることができる。また、ブリードし難く、凝集性の高い皮膚用粘着剤が得られ易い。さらに、硬化に必要な積算光量を減じることができるため、生産性の向上や、塗工後の粘着剤形状を維持することにも資する。
【0070】
[無官能基型のアクリルポリマー]
皮膚用粘着剤組成物は、反応性希釈剤と組み合わせて無官能基型のアクリルポリマーを含有することが好ましい。
無官能基型のアクリルポリマーにおける「アクリルポリマー」は、ポリアクリレート又はポリメタクリレートであり、アクリレート及び/又はメタクリレートに由来する構造単位を50モル%以上の主たる構造単位として有する重合体又は共重合体をいう。なお、アクリルポリマー中のアクリレート及び/又はメタクリレートに由来する構造単位の含有割合(モル%)は、NMR(核磁気共鳴装置)により測定された値である。
【0071】
無官能基型のアクリルポリマーにおける「無官能基型」とは、アクリロイル基以外に、他の官能基を実質的に有していないことをいう。この場合における他の官能基としては、例えば、OH、COOH、エポキシ基、及びアルコキシシリル基等が挙げられる。
【0072】
無官能基型のアクリルポリマーの質量平均分子量(Mw)は、皮膚用粘着剤組成物の粘度を効果的に低下させ、かつ凝集力のある粘着剤を得易い観点から、1000〜9000が好ましく、1500〜8000がより好ましく、2000〜6000がさらに好ましい。ここで、Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定され、ポリスチレン換算により算出された値である。
【0073】
また、無官能基型のアクリルポリマーは、皮膚用粘着剤組成物の粘度を効果的に低下させる観点から、常温(20〜30℃)において液状であることが好ましい。この常温で液状の無官能基型アクリルポリマーの固形分濃度は、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、さらに好ましく98%以上である。
無官能基型のアクリルポリマーの25℃における粘度は、300〜10000mPa・sが好ましく、400〜6000mPa・sがより好ましく、500〜5000mPa・sがさらに好ましい。なお、本開示において、無官能基型のアクリルポリマーの25℃下の粘度(定常流粘度)は、JIS Z8803に準拠した単一円筒形回転粘度計により、25℃において測定された値である。
【0074】
無官能基型のアクリルポリマーは、皮膚用粘着剤組成物の粘度を効果的に低下させる観点から、ガラス転移点(Tg)が、−100〜−20℃であることが好ましく、−90〜−40℃であることがより好ましく、−80〜−60℃であることがさらに好ましい。このTgは、示差走査熱量計(DSC)にて測定される値である。
【0075】
無官能基型のアクリルポリマーの含有量は、特に限定されないが、皮膚用粘着剤組成物の全質量中、1〜20質量%であることが好ましく、5〜18質量%であることが好ましく、7.5〜15質量%であることがさらに好ましい。無官能基型のアクリルポリマーの含有量を上記範囲とすることで、前述の反応性希釈剤との併用によって、皮膚用粘着剤組成物の粘度を効果的に低下させ、かつ粘着剤の凝集性を効果的に高めることが可能となる。
【0076】
[軟化剤]
皮膚用粘着剤組成物に用いることが可能な軟化剤(可塑剤)としては、例えば、鉱油、植物油、動物油、及び合成油等の油類が挙げられる。鉱油としては例えば、パラフィン及びナフテン油等を用いることができる。植物油としては、例えば、オリーブ油、ひまし油及びヤシ油等を用いることができ、動物油としては、例えば、ラノリン、タートル油及びミツロウ等を用いることができる。また、合成油としては、例えば、シリコーン系オイル及びエステル系オイル等を用いることができる。
【0077】
[粘着付与剤]
皮膚用粘着剤組成物に用いることが可能な粘着付与剤としては、例えば、ロジン誘導体、テルペン系樹脂、及びクマロン−インデン樹脂等が挙げられる。
皮膚用粘着剤組成物に粘着付与剤を含有する場合、その含有割合は、皮膚用粘着剤組成物の全質量中、1〜20質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましい。粘着付与剤の含有割合が上記範囲にあることにより、皮膚用粘着剤に適度な粘着力を付与することができる。
【0078】
[充填剤]
皮膚用粘着剤組成物に用いることが可能な充填剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、及びタルク等が挙げられる。これらの充填剤は、例えば、皮膚用粘着剤組成物に対してチクソ性を付与させる目的等で含有される。
【0079】
[pH調整剤]
皮膚用粘着剤組成物に用いることが可能なpH調整剤としては、例えば、無水クエン酸、アルカリ金属水酸化物、及び有機酸の緩衝液等が挙げられる。
【0080】
[薬効成分]
本実施形態に係る皮膚用粘着剤組成物に用いることが可能な薬効成分の種類は、本技術の目的を損なわなければ特に限定されない。この薬効成分の一例としては、生理活性剤、抗菌剤、消炎鎮痛剤、ステロイド剤、麻酔剤、抗真菌剤、気管支拡張剤、鎮咳剤、冠血管拡張剤、抗高血圧剤、降圧利尿剤、抗ヒスタミン剤、催眠鎮静剤、精神安定剤、ビタミン剤、性ホルモン剤、抗うつ剤、脳循環改善剤、制吐剤、及び抗腫瘍剤等の薬剤が挙げられる。これらの薬剤は、経皮吸収により全身又は局所においてその効果を発揮したり、あるいは貼付された部位において、局所的に効果を発揮する。
【0081】
本実施形態の皮膚用粘着剤の形成に用いられる皮膚用粘着剤組成物は、115℃、1Hzにおける動的粘度が、好ましくは500Pa・s以下、より好ましくは300Pa・s以下、さらに好ましくは250Pa・s以下に調製される。
皮膚用粘着剤組成物の粘度が上記範囲にあることにより、皮膚用粘着剤組成物を塗工し易くなり、例えば、ホットメルト加工装置による塗工に好適である。
【0082】
<皮膚用粘着剤の製造方法>
次に本実施形態の皮膚用粘着剤の製造方法について説明する。
本実施形態の皮膚用粘着剤の製造方法は、放射線硬化型樹脂又は放射線硬化型樹脂を含む皮膚用粘着剤組成物を被着体に塗工する工程(以下、「塗工工程」ともいう。)と、塗工された皮膚用粘着剤組成物に放射線を照射する工程(以下、「照射工程」ともいう。)と、を含む。ここで、塗工工程では、形成される皮膚用粘着剤が多孔膜状となるように皮膚用粘着剤組成物を塗工する。
なお、皮膚用粘着剤組成物を塗工する対象となる被着体としては、特に限定されず、例えば、後述する貼付材において用いられる基材、及び剥離シート等を用いることができる。
【0083】
多孔膜状の皮膚用粘着剤を形成し得る塗工工程としては、例えば、多孔形状が施された印刷版を用いた印刷方式、多孔形状が施された転写材を用いた転写方式、皮膚用粘着剤組成物を繊維化して塗工するブロー方式、及びディスペンサ方式等を用いることができる。これらのうち、放射線硬化型樹脂を含む繊維状又は粒状樹脂が該繊維状又は粒状の樹脂間に空隙を有して集合した多孔膜状の皮膚用粘着剤を形成し易いことから、上記ブロー方式が好ましく、皮膚用粘着剤組成物を加熱した状態で繊維状及び/又は粒状に吐出して塗工するメルトブロー方式がより好ましい。皮膚用粘着剤組成物中の放射線硬化型樹脂としてホットメルト型紫外線硬化型樹脂を用いる場合、メルトブロー方式がより好適である。
【0084】
メルトブロー方式のより具体的な塗工方式としては、皮膚用粘着剤組成物を複数に繊維化又は粒状化して吐出するカーテンスプレー塗工、当該組成物をらせん状に繊維化して吐出するスパイラルスプレー、及び当該組成物を繊維化して線状(ビード状)に吐出するビード塗工が好適である。メルトブロー方式によって皮膚用粘着剤組成物を塗工する際の温度は、60〜150℃が好ましく、70℃〜140℃がより好ましく、80℃〜130℃がさらに好ましい。なお、メルトブロー方式による塗工は、市販のホットメルト加工装置により行うことが可能である。
このメルトブロー方式による塗工の際、吐出した樹脂(皮膚用粘着剤組成物)に熱風を当てながら塗工すると適度に樹脂が繊維状又は粒状になり、生産性を保ったうえで均一な不織布状パターンの形成が可能になることから好適である。熱風の温度は特に限定されないが、100〜300℃が好ましく、150℃〜270℃がより好ましい。
【0085】
塗工工程では、前記被着体の単位面積当たりの皮膚用粘着剤組成物の塗布量(g/m)は、多孔膜状の皮膚用粘着剤が形成されれば特に限定されない。良好な通気性と良好な粘着性をもつ多孔膜状の皮膚用粘着剤を得られ易いことから、前記塗布量は、5〜500g/mが好ましく、より好ましくは10〜300g/m、さらに好ましくは20〜200g/mである。また、塗布量が上記範囲にあることで、前述したような皮膚用粘着剤における繊維状樹脂や粒状樹脂が潰れた形状になった後も多孔膜状の形状を維持しやすいため、塗布量は上記範囲であることが好ましい。
【0086】
照射工程における放射線の照射量は、放射線硬化型樹脂が硬化反応を生じ得るエネルギー量であれば、特に限定されない。
例えば、放射線硬化型樹脂として厚さ100μmの紫外線硬化型樹脂が用いられる場合、波長200〜400nmの紫外線の積算光量は、10〜1000mJ/cmの範囲で適宜設定することが可能である。この場合の紫外線の積算光量は、好ましくは100〜400mJ/cmの範囲である。この紫外線量は、Electronic Instrumentation and Technology Inc.製のUV POWER PUCK II(商品名)を用いて測定した値である。
また、放射線硬化型樹脂として電子線硬化型樹脂が用いられる場合、電子線の積算照射量は、例えば、1〜100kGyの範囲で適宜設定することが可能である。
【0087】
本実施形態の皮膚用粘着剤の製造に際し、前記塗工工程及び前記照射工程の前に、皮膚用粘着剤組成物を混合する混合工程を経ることが好ましい。混合方法は特に限定されず、例えば、攪拌機、ニーダ及びロール等を用いて混合を行うことが可能である。この混合工程における時間、温度等も特に限定されず、皮膚用粘着剤組成物中に含まれる成分に応じて、適宜設定される。
【0088】
皮膚用粘着剤組成物中に放射線硬化型樹脂として好適なホットメルト型紫外線硬化型樹脂を含む場合、皮膚用粘着剤組成物を50〜180℃に加熱して混合工程を行うことが、皮膚用粘着剤組成物を混合し易いため好ましい。皮膚用粘着剤組成物を混合し易い観点から、混合工程における温度は、好ましくは70〜160℃、より好ましくは80〜140℃、さらに好ましくは80℃〜100℃である。皮膚用粘着剤組成物の混合の際、皮膚用粘着剤組成物の温度が低いとシェアがかかるため、良く混合できる。一方で、温度が低すぎると混合機に負荷がかかる。そのため、上述の温度範囲にあることが製造上の観点から好ましい。また、この場合、ホットメルト型紫外線硬化型樹脂以外の成分を配合する前に、当該ホットメルト型紫外線硬化型樹脂を好ましくは50〜180℃、より好ましくは70〜160℃、さらに好ましくは80〜140℃に加熱しておくことが好ましい。かかる温度範囲でホットメルト型紫外線硬化型樹脂を加熱しておくことで、ホットメルト型紫外線硬化型樹脂とそれ以外の成分とを混ぜ易くなる。
【0089】
以上詳述したように、本実施形態の皮膚用粘着剤は、放射線硬化型樹脂に放射線を照射して形成された多孔膜状の構成をとるため、通気性が良く、カブレや痒みの原因となる蒸れを軽減することが可能である。
放射線硬化型樹脂を用いた皮膚用粘着剤の場合、放射線硬化型樹脂の硬化不良が生じないように、形成する皮膚用粘着剤の厚さを比較的薄くする必要がある。しかし、皮膚用粘着剤の厚さを薄くすると、皮膚用粘着剤中に水分を吸収する作用を有する親水性高分子を含有させても、皮膚用粘着剤の厚さが薄いために親水性高分子の絶対量が少なくなり、満足な吸水特性が得られ難いことを本発明者等は見出した。そこで、本発明者等は、放射線硬化型樹脂に放射線を照射して形成された多孔膜状の皮膚用粘着剤とすることで、カブレや痒みの原因となる蒸れを軽減することを可能とした。
【0090】
本実施形態の皮膚用粘着剤は、粘着剤を形成する樹脂の主成分として、放射線硬化型樹脂を用いているため、溶剤を含まずとも、比較的容易に塗布、形成することができ、皮膚に対して安全な皮膚用粘着剤を得ることが可能である。
【0091】
また、放射線硬化型樹脂を含む繊維状樹脂が、その繊維状樹脂間に空隙を有して集合した多孔膜状の皮膚用粘着剤とすることにより、皮膚用粘着剤に良好な通気性をもたらすだけでなく、皮膚に対する良好な触感をもたらすことが可能となる。よって、使用者に対して快適な使用が提供され、皮膚に対して皮膚用粘着剤を長時間貼付することも可能となる。
さらに、多孔膜状の皮膚用粘着剤により、多孔膜状に形成されていない、べた塗りの粘着剤層に比べて、表面積が大きくなる分、吸水性を向上することが可能となる。
【0092】
本実施形態の皮膚用粘着剤は、後述する貼付材として用いることができ、その具体的用途は貼付材の実施形態の説明において詳述する。
【0093】
<貼付材>
本技術に係る実施形態の貼付材は、基材と、その基材に設けられた皮膚用粘着剤(以下、「粘着剤層」ということがある。)と、を備える。この粘着剤層は、上述の本技術に係る実施形態の皮膚用粘着剤である。
【0094】
本実施形態の貼付材は、例えば、生体に貼付される創傷被覆材、サージカルテープ、カテーテル及び点滴チューブ等の固定用テープ、オストミー装具用貼付材、湿布材、心電図電極及び磁気治療器等の固定用貼付材、並びにスキンケア及び美容等を目的とした貼付材等における粘着剤として好適に使用される。上述の実施形態に係る皮膚用粘着剤は、多孔膜状に形成され、良好な通気性を有することから、創傷被覆材やオストミー装具用貼付材としてより好適に使用される。
本実施形態の貼付材を創傷被覆材に具現化することで、汗や創傷からの浸出液等の水分を効果的に吸収し、創傷の治癒に適した湿潤環境を整えることができ、創傷治癒効果の向上に寄与することが可能である。また、本実施形態の貼付材をオストミー装具用貼付材に具現化することで、汗や排泄物からの水分を効果的に吸収し、皮膚に対して違和感や刺激の少ない環境を整えることが可能となる。
【0095】
貼付材に用いられる基材は、粘着剤層を支持できるものであれば、特に限定されない。基材としては、例えば、フィルム状、シート状、及び板状等(以下、これらを総称して「シート」という。)の平面的な形状物のほか、プラスチックやゴム等の立体的な形状を有する成形体などを用いることができる。
【0096】
基材として基材シートを用い、貼付材を皮膚用粘着シートとすることができる。この皮膚用粘着シートの形態は、特に限定されず、例えば、三角形、四角形、菱形等の多角形、円形、楕円形、又はこれらの形状を適宜組み合わせたシート状の形態、特定の方向に連続的に形成したテープ状、及びロール状の形態等とすることが可能である。また、皮膚用粘着シートには、貼付する部位に合わせて立体的に形成することができ、切り込みやスリット等を設けることも可能である。
【0097】
基材シートの厚みは特に限定されないが、基材シートが薄い場合、放射線の照射を粘着剤層側からのみならず基材シート側から行い、生産性を高めることが可能となることから好ましい。この観点から、基材シートの厚みは、例えば、1〜200μmが好ましく、5〜100μmがより好ましく、10〜50μmがさらに好ましい。基材シートが薄くなると皮膚への追従性が向上するだけでなく、放射線照射で硬化させる際に基材シート側からの照射も可能となり、生産性がより向上する。
【0098】
基材シートとしては、例えば、不織布、編布、織布、プラスチックシート、ゴムシート、フォームシート、及び紙等が挙げられる。これらの基材シートのうち、柔軟性、伸縮性、適度の水蒸気透過性、及び菌バリヤー性等の観点から、プラスチックシートを用いることが好ましい。
【0099】
プラスチックシートの材質としては、例えば、ポリウレタン;ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;ナイロン6及びナイロン66等のポリアミド;ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン;エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)及びエチレン・アルキル(メタ)アクリレート系共重合体等のオレフィン系共重合体;ポリジメチルシロキサン等のシリコーン等が挙げられる。
本実施形態においては、上記各プラスチックシートのうち、水蒸気透過性が良好で、不感蒸散等を妨げることが少ないことから、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリエステル、及びポリアミド等が好ましい。なお、これらの材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上が混合されたものでもよく、2種以上が積層されたものでもよい。
【0100】
皮膚用粘着シートは、通気性を備えることが好ましい。皮膚用粘着シートのJIS L1096に準拠したB法(ガーレ形法)により測定される通気性(空気透過度)が、1.5秒以下であることが好ましく、1.3秒以下であることがより好ましく、1.0秒以下がさらに好ましい。かかる範囲の空気透過度を有することにより、通気性が良く、カブレや痒みの原因となる蒸れを軽減し易い皮膚用粘着シートを得ることができる。
【0101】
また、皮膚用粘着シートは、透湿性を備えることが好ましい。透湿度は、皮膚用粘着シートの使用時に身体から生じる水蒸気及びその他の水分を、皮膚用粘着シートの外に排出する能力を示すものである。透湿度はJIS K6404、及びJIS L1099 A−2「ウォーター法」に準じて測定された値で、下限は100g/m・24hr以上とするのが好ましく、150g/m・24hr以上とするのがより好ましく、200g/m・24hr以上とするのがさらに好ましい。また、透湿度の上限は10000g/m・24hr以下とするのが好ましく、3000g/m・24hr以下とするのがより好ましく、2000g/m・24hr以下とするのがさらに好ましい。かかる範囲の透湿度を有することにより、水蒸気透過性が良く、カブレや痒みの原因となる蒸れを軽減し易い皮膚用粘着シートを得ることができる。
空気透過度及び透湿度を上述の好ましい範囲とすることで、通気性及び水蒸気透過性が良く、カブレや痒みの原因となる蒸れをより軽減し易い粘着シートを得ることができる。
【0102】
本実施形態の貼付材には、基材シート及び粘着剤層の他に、基材シートと対向するように粘着剤層上に剥離シートを設けてもよい。この剥離シートを備えることにより、粘着剤層を汚染等から保護し、皮膚用粘着シートの取り扱い性を簡便にすることができる。
なお、剥離シートとしては、シリコーン樹脂処理やフッ素樹脂処理等を施したもの、及びエンボス加工を施したもの等が挙げられる。
【0103】
なお、本技術は次の〔1〕〜〔13〕の構成をとることもできる。
〔1〕 放射線硬化型樹脂に放射線を照射して形成された多孔膜状の皮膚用粘着剤。
〔2〕 開口率が5〜90%である前記〔1〕に記載の皮膚用粘着剤。
〔3〕 前記放射線硬化型樹脂を含む、繊維状樹脂又は粒状樹脂若しくは繊維状樹脂及び粒状樹脂の両方が、繊維状樹脂間、粒状樹脂間、又は繊維状樹脂と粒状樹脂との間に空隙を有して集合し、前記多孔膜状に形成された前記〔1〕又は〔2〕に記載の皮膚用粘着剤。
〔4〕 前記放射線硬化型樹脂を含む皮膚用粘着剤組成物を、繊維状に又は粒状に若しくは繊維状及び粒状に吐出し、吐出された皮膚用粘着剤組成物に前記放射線を照射して形成された、前記〔1〕〜〔3〕の何れか一つに記載の皮膚用粘着剤。
〔5〕 前記放射線硬化型樹脂中に分散した親水性高分子を含有する前記〔1〕〜〔4〕の何れか一つに記載の皮膚用粘着剤。
〔6〕 前記放射線硬化型樹脂35〜95質量%と、前記親水性高分子1〜30質量%と、を含む、前記〔5〕に記載の皮膚用粘着剤。
〔7〕 前記放射線硬化型樹脂として紫外線硬化型樹脂35〜95質量%と、前記親水性高分子1〜30質量%と、前記放射線硬化型樹脂と反応する反応性希釈剤1〜20質量%と、無官能基型のアクリルポリマー1〜20質量%と、を含む、前記〔6〕に記載の皮膚用粘着剤。
〔8〕 基材と、該基材に設けられた、前記〔1〕〜〔7〕の何れか一つに記載の皮膚用粘着剤と、を備える貼付材。
〔9〕 放射線硬化型樹脂を含む皮膚用粘着剤組成物を、皮膚用粘着剤が多孔膜状となるように被着体に塗工する塗工工程と、塗工された皮膚用粘着剤組成物に放射線を照射する照射工程と、を含む、多孔膜状の皮膚用粘着剤の製造方法。
〔10〕 前記塗工工程は、メルトブロー方式により、前記皮膚用粘着剤組成物を加熱した状態で繊維状又は粒状若しくは繊維状及び粒状に吐出する吐出工程を含む、前記〔9〕に記載の皮膚用粘着剤の製造方法。
〔11〕 前記塗工工程は、前記皮膚用粘着剤組成物を複数に繊維化して又は粒状化して若しくは繊維化及び粒状化して吐出し、吐出された皮膚用粘着剤組成物に100〜300℃の熱風を当てながら塗工する工程を含む、前記〔9〕又は〔10〕に記載の皮膚用粘着剤の製造方法。
〔12〕 前記皮膚用粘着剤組成物は、前記放射線硬化型樹脂35〜95質量%と、親水性高分子1〜30質量%と、を含む、前記〔9〕〜〔11〕の何れか一つに記載の皮膚用粘着剤の製造方法。
〔13〕 前記皮膚用粘着剤組成物は、前記放射線硬化型樹脂として紫外線硬化型樹脂35〜95質量%と、前記親水性高分子1〜30質量%と、前記放射線硬化型樹脂と反応する反応性希釈剤1〜20質量%と、無官能基型のアクリルポリマー1〜20質量%と、を含む、前記〔9〕〜〔12〕の何れか一つに記載の皮膚用粘着剤の製造方法。
【実施例】
【0104】
以下、本技術に関する試験例を説明する。なお、以下に説明する試験例は、本技術の代表的な試験例の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。また、以下の試験例において、「質量%」の記載は、特に断りのない限り、粘着剤組成物の全質量に対する質量%を表す。
【0105】
<試験例1>
まず、皮膚用粘着剤を得るため、次に述べる各成分を配合し、混合することで皮膚用粘着剤組成物を調製した。
放射線硬化型樹脂の一例として紫外線硬化型樹脂(BASF社製のブチルアクリレートに由来する構造単位を有する重合体である、商品名「acResin A260UV」)を75.5質量%となる量にて用い、120℃に加熱した。
そこに、反応性希釈剤の一例としてPO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(第一工業製薬株式会社製の商品名「TMP−3P」、25℃下の粘度:60mPa・s))を2.5質量%となる量にて添加し、さらに、25℃下で液状である無官能基型のアクリルポリマー(東亞合成株式会社製の商品名「ARUFON(登録商標) UP−1000」、Mw:3000、25℃下の粘度:1000mPa・s、Tg:−77℃、固形分濃度:98%以上)を10.0質量%となる量にて添加した。また、親水性高分子の一例として、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム(以下、「CMC・Na」。日本製紙株式会社製)を10.0質量%、充填剤の一例としてシリカ(東ソー・シリカ株式会社製)を1.0質量%、生理活性物質の一例としてセラミドを1.0質量%となる量にて添加し、攪拌した。このようにして、試験例1で用いる皮膚用粘着剤組成物を得た。
【0106】
次にメルトブロー方式により、調製した皮膚用粘着剤組成物を加熱した状態で繊維状及び/又は粒状に吐出して塗工する工程を行った。
具体的には、カーテンスプレー塗工機を用いて、厚さ25μmのPETフィルム(東レ株式会社製、ルミラー(登録商標)−25−S10)に、調製した皮膚用粘着剤組成物を塗布量50g/m、厚さ100μmとなるように塗工した。その際、カーテンスプレー塗工機におけるタンク温度を130℃、ホース温度及び押し出し機温度をそれぞれ140℃、ヘッド温度を150℃、エアー(熱風)温度を230℃、エアー圧力を0.2MPaに設定してカーテンスプレー塗工を行った。このカーテンスプレー塗工機を用いた塗工工程では、皮膚用粘着剤組成物が加熱された状態で複数に繊維化及び粒状化して吐出されたことが確認された。
【0107】
塗工された皮膚用粘着剤組成物に対して、積算光量が約100mJ/cmとなるように設定した紫外線照射装置にて紫外線を照射して、PETフィルム上に試験例1の皮膚用粘着剤を形成し、試験例1の皮膚用粘着シートを得た。試験例1の皮膚用粘着剤は、紫外線硬化型樹脂等を含む皮膚用粘着剤組成物により繊維状樹脂及び粒状樹脂が、その繊維状樹脂及び/又は粒状樹脂間に空隙を有して集合した多孔膜状であった(図3参照)。
【0108】
試験例1で得た皮膚用粘着剤の表面を光学顕微鏡(株式会社キーエンス製、デジタルマイクロスコープVH−8000(商品名))で撮影した図面代用写真を図3に示す。この画像から、画像解析ソフト(三菱商事株式会社製、Winroof(商品名))を用いて、試験例1の皮膚用粘着剤の開口率、繊維状樹脂の繊維径、及び粒状樹脂の粒径を求めた。この際、開口率は、画像解析ソフトの画像解析モードの一つである「細胞抽出」モードを使用し、開口部分(図3の黒色部分)の、画像全体に対する面積率を算出することにより測定した。また、繊維状樹脂の繊維径は、光学顕微鏡により撮影した画像(図3)を用い、その画像における繊維状樹脂の部分から無作為に3つの測定点を抽出し、画像における寸法から3点の繊維径(繊維幅)を測定し、それらの平均値をとった。繊維状樹脂の繊維長も繊維径と同様に測定し、平均値をとった。粒状樹脂の粒径も、光学顕微鏡により撮影した画像(図3)を用い、その画像における粒状樹脂の部分から無作為に3つの測定点を抽出し、画像における寸法から3点の粒径を測定し、それらの平均値をとった。
その結果、開口率は約19.1%、繊維径は約53μm、繊維長は約2.4mm、粒径は約74μmであった。
【0109】
(通気性)
試験例1の皮膚用粘着剤を用いて、JIS L1096のB法(ガーレ形法)に準拠した方法により、通気性(空気透過度)の測定を行った。この通気性(空気透過度)の測定においては、上述の試験例1の皮膚用粘着シートにおける「PETフィルム」を、「スパンボンド不織布(ユニチカ製、エルベス(登録商標)S0403)に替えて、試験例1の皮膚用粘着シートと同様に製造した通気性試験用皮膚用粘着シートを用いて測定した。
【0110】
(粘着力)
試験例1の皮膚用粘着シートを用いて、JIS Z0237に準拠して、引張試験機(インストロン社製の製品名「INSTRON5564」)を用いて、引張速度300mm/minにて粘着力(剥離力)を測定した。なお、この測定の試験片は、皮膚用粘着剤を被着体としてのベークライト板に貼付して行った。上述の製造条件と同様の紫外線を照射して粘着剤を形成したものとし、試験片の寸法は、幅1inch(25.4mm)及び長さ100mmとした。
また、この粘着力の測定において、試験片の粘着剤と被着体との剥離する際の形態(剥離モード)について、粘着剤と被着体との界面で剥離する「界面剥離」であるか、粘着剤が破壊される「凝集破壊」であるかを確認した。
【0111】
(吸水率)
生理食塩水(0.9%NaCl水溶液)に試験例1の皮膚用粘着シートを24時間浸漬した後の質量(浸漬後の質量)と、浸漬前の試験例1の皮膚用粘着シートの質量(浸漬前の質量)とを測定し、以下の計算式から、吸水率を算出した。
吸水率(%)=[(浸漬後の質量−浸漬前の質量)/浸漬前の質量]×100
【0112】
<試験例2>
試験例2では、まず皮膚用粘着剤を得るため、次に述べる各成分を配合し、混合することで皮膚用粘着剤組成物を調製した。
放射線硬化型樹脂の一例として紫外線硬化型樹脂(BASF社製のブチルアクリレートに由来する構造単位を有する重合体である、商品名「acResin A260UV」)を75.5質量%となる量にて用い、120℃に加熱した。
そこに、25℃下で液状である無官能基型のアクリルポリマー(東亞合成株式会社製の商品名「ARUFON(登録商標) UP−1000」、Mw:3000、25℃下の粘度:1000mPa・s、Tg:−77℃、固形分濃度:98%以上)を12.5質量%となる量にて添加した。また、親水性高分子の一例として、CMC・Na(日本製紙株式会社製)を10.0質量%、充填剤の一例としてシリカ(東ソー・シリカ株式会社製)を1.0質量%、生理活性物質の一例としてセラミドを1.0質量%となる量にて添加し、攪拌した。このようにして、試験例2で用いる皮膚用粘着剤組成物を得た。
【0113】
次にメルトブロー方式により、調製した皮膚用粘着剤組成物を加熱した状態で繊維状及び/又は粒状に吐出して塗工する工程を行った。
具体的には、カーテンスプレー塗工機を用いて、厚さ25μmのPETフィルム(東レ株式会社製、ルミラー(登録商標)−25−S10)に、調製した皮膚用粘着剤組成物を塗布量50g/m、厚さ100μmとなるように塗工した。その際、カーテンスプレー塗工機におけるタンク温度を90℃、ホース温度を100℃、押し出し機温度を170℃とし、ヘッド温度を170℃、エアー(熱風)温度を250℃、エアー圧力を0.3MPaに設定してカーテンスプレー塗工を行った。このカーテンスプレー塗工機を用いた塗工工程では、皮膚用粘着剤組成物が加熱された状態で複数に繊維化及び粒状化して吐出されたことが確認された。
【0114】
塗工された皮膚用粘着剤組成物に対して、積算光量が約400mJ/cmとなるように設定した紫外線照射装置にて紫外線を照射して、PETフィルム上に試験例2の皮膚用粘着剤を形成し、試験例2の皮膚用粘着シートを得た。試験例2の皮膚用粘着剤は、紫外線硬化型樹脂等を含む皮膚用粘着剤組成物により繊維状樹脂及び粒状樹脂が、その繊維状樹脂及び/又は粒状樹脂間に空隙を有して集合した多孔膜状であった。
【0115】
試験例2で得た皮膚用粘着剤シートにおける皮膚用粘着剤上に、さらにPETフィルムをラミネートし、そのラミネートしたPETフィルムを剥がした後の当該皮膚用粘着剤の表面を光学顕微鏡(株式会社キーエンス製、デジタルマイクロスコープVH−8000(商品名))で撮影した図面代用写真を図4に示す。図4に示すように、試験例2の皮膚用粘着剤は、繊維状樹脂と、繊維状樹脂及び粒状樹脂が潰れて結合したような連続部とを備えた多孔膜状であった。
その試験例2の皮膚用粘着剤について、試験例1と同様の方法により、空気透過度、粘着力、吸水率を測定した。このうち、空気透過度測定の際には目付けが130g/mの不織布を用いた。
なお、試験例1と同様の方法で試験例2の皮膚用粘着剤の開口率、繊維長、繊維径を測定したところ、開口率は約25.7%、繊維長は約2.7mm、繊維径は約60μmであった。
【0116】
<試験例3>
試験例3では、コンマコータ―を用いて、厚さ25μmのPETフィルム(東レ株式会社製、ルミラー(登録商標)−25−S10)に、試験例1で調製した皮膚用粘着剤組成物を120℃の条件にて、塗布量300g/m、厚さ100μmとなるように塗工した。PETフィルムに塗工した皮膚用粘着剤組成物に対して、積算光量が約200mJ/cmとなるように設定した紫外線照射装置にて紫外線を照射して、PETフィルム上に試験例3の皮膚用粘着剤を形成し、試験例3の皮膚用粘着シートを得た。試験例3の皮膚用粘着剤は、PETフィルム上に略面一なべた塗り状に形成されたものであった。
試験例3の皮膚用粘着剤について、試験例1と同様の方法により、空気透過度、粘着力、吸水率を測定した。
【0117】
以上の試験例で用いた皮膚用粘着剤組成物の組成、及び皮膚用粘着剤の通気性、粘着力、及び吸水率の各試験結果を表1に示す。
【0118】
【表1】
【0119】
表1に示す通り、試験例1及び試験例2の皮膚用粘着剤は、適度な粘着力と吸水率を有し、かつ試験例3のべた塗り状の皮膚用粘着剤に比べて、優れた通気性(空気透過度)を有することが確認された。これは、試験例1及び試験例2の皮膚用粘着剤の多孔膜状の形態によるものと考えられる。試験例1及び試験例2の皮膚用粘着剤では、皮膚用粘着剤を形成する皮膚用粘着剤組成物を繊維化及び粒状化して塗工し、紫外線硬化型樹脂を含む繊維状樹脂及び粒状樹脂が、その繊維状樹脂間並びに繊維状樹脂と粒状樹脂との間に空隙を有して集合した多孔膜状の構成であった。そのため、その構成に基づき、適度な粘着力と、良好な通気性及び吸水率を示したことが確認された。
【符号の説明】
【0120】
1、11 皮膚用粘着剤
2、21 繊維状樹脂
3 粒状樹脂
4、41 空隙
5 連続部
図1
図2
図3
図4