特許第6557890号(P6557890)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6557890通信システム、無線端末装置、通信制御方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6557890
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】通信システム、無線端末装置、通信制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 74/08 20090101AFI20190805BHJP
   H04W 84/18 20090101ALI20190805BHJP
【FI】
   H04W74/08
   H04W84/18
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-216654(P2016-216654)
(22)【出願日】2016年11月4日
(65)【公開番号】特開2018-74548(P2018-74548A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2019年2月26日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500112146
【氏名又は名称】サイレックス・テクノロジー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】下地 龍二
【審査官】 齋藤 浩兵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−325183(JP,A)
【文献】 特開2005−328515(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/043954(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/127597(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24−7/26
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに無線通信を実行することが可能な複数の無線端末装置を備える通信システムであって、
前記複数の無線端末装置に固有の識別番号を付与する識別番号付与部と、
前記複数の無線端末装置のうちのいずれか1つの第1無線端末装置が、他の第2無線端末装置から第1情報を受信した後、前記第1情報に対応する第2情報を前記第2無線端末装置へ送信するまでの第2情報送信待機時間を、前記第1無線端末装置に付与された第1識別番号と前記第2無線端末装置に付与された第2識別番号との差分絶対値に基づいて設定する待機時間設定部と、を備える、
通信システム。
【請求項2】
前記待機時間設定部は、前記第1無線端末装置が前記第1情報を送信した後、次に前記第1情報を送信するまでの第1情報送信待機時間を、前記通信システムに備わる前記無線端末装置の数に基づいて設定する、
請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記識別番号付与部は、前記複数の無線端末装置それぞれが起動したタイミングに基づいて、前記複数の無線端末装置それぞれ互いに異なる番号として付与される識別番号を決定する、
請求項1または2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記識別番号付与部は、前記複数の無線端末装置それぞれが起動したタイミングに基づいて、前記複数の無線端末装置それぞれに連続した番号として付与される識別番号を決定する、
請求項1または2に記載の通信システム。
【請求項5】
前記識別番号付与部は、前記複数の無線端末装置それぞれの起動時に乱数を付与し、前記複数の無線端末装置の全てに乱数を付与した後、前記複数の無線端末装置それぞれに付与された乱数の大小関係に基づいて前記複数の無線端末装置それぞれに連続した番号として付与される識別番号を決定する、
請求項1または2に記載の通信システム。
【請求項6】
前記複数の無線端末装置それぞれが管理する時刻を同期させる同期制御部を更に備える、
請求項1から5のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項7】
互いに無線通信を実行することが可能な複数の無線端末装置のうちの1つである無線端末装置であって、
前記複数の無線端末装置に固有の識別番号を付与する識別番号付与部と、
他の無線端末装置から第1情報を受信した後、前記第1情報に対応する第2情報を前記他の無線端末装置へ送信するまでの待機時間を、自装置に付与された第1識別番号と前記他の無線端末装置に付与された第2識別番号との差分絶対値に基づいて設定する待機時間設定部と、を備える、
無線端末装置。
【請求項8】
互いに無線通信を実行することが可能な複数の無線端末装置を備える通信システムにおける通信制御方法であって、
前記複数の無線端末装置に固有の識別番号を付与するステップと、
前記複数の無線端末装置のうちのいずれか1つの第1無線端末装置が、他の第2無線端末装置から第1情報を受信した後、前記第1情報に対応する第2情報を前記第2無線端末装置へ送信するまでの待機時間を、前記第1無線端末装置に付与された第1識別番号と前記第2無線端末装置に付与された第2識別番号との差分絶対値に基づいて設定するステップと、を含む、
通信制御方法。
【請求項9】
請求項8に記載の通信制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、無線端末装置、通信制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の無線端末が基地局と任意のタイミングで通信を実行する無線通信システムが提案されている(例えば特許文献1参照)。この無線通信システムでは、無線端末が、基地局への送信権を獲得してデータフレームを基地局へ送信し基地局から送信成功を示す確認応答を受信した後、予め設定された期間だけ基地局へのデータフレーム送信を行わずに待機する。これにより、複数の無線端末から送信されるデータフレームの衝突を回避し、遅延特性の性能を向上させるというものである。
【0003】
この特許文献1に記載された通信システムと同様の技術をアドホックネットワークに適用しようとした場合、アドホックネットワークを構成する無線端末のいずれか1つを上記基地局として機能させることになる。但し、この場合、基地局として機能する無線端末がアドホックネットワークから離脱した場合、各無線端末の送信権の制御が困難になる。従って、特許文献1に記載された技術をアドホックネットワークにそのまま適用することは困難である。
【0004】
また、アドホックネットワークにおいて、複数の無線端末に一定周期でビーコンが送信され、ビーコンインターバル毎に送信されるトラフィック表示メッセージ(ATIM:Announcement Traffic Indication message)を用いて各無線端末の送信権を制御することによりデータフレームの衝突を回避する無線通信システムも提供されつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−35744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この無線通信システムでは、各無線端末の送信権の制御を行うために、ビーコンが一定周期で定期的に送信される必要があり、その分、通信量が増大し通信の輻輳が生じる虞がある。従って、ビーコンが定期的に送信されないアドホックネットワークにおいて、各無線端末の送信権の制御が適切に行われることによりデータフレームの衝突を回避することが望まれている。
【0007】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、ビーコンが定期的に送信されないアドホックネットワークにおいてデータフレームの衝突が回避できる通信システム、無線端末装置および通信制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る通信システムは、互いに無線通信を実行することが可能な複数の無線端末装置を備える通信システムであって、複数の無線端末装置に固有の識別番号を付与する識別番号付与部と、複数の無線端末装置のうちのいずれか1つの第1無線端末装置が、他の第2無線端末装置から第1情報を受信した後、第1情報に対応する第2情報を第2無線端末装置へ送信するまでの第2情報送信待機時間を、第1無線端末装置に付与された第1識別番号と第2無線端末装置に付与された第2識別番号との差分絶対値に基づいて設定する待機時間設定部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る通信システムによれば、待機時間設定部が、複数の無線端末装置のうちのいずれか1つの第1無線端末装置が他の第2無線端末装置から第1情報を受信した後、第1情報に対応する第2情報を第2無線端末装置へ送信するまでの第2情報送信待機時間を、第1無線端末装置に付与された第1識別番号と第2無線端末装置に付与された第2識別番号との差分絶対値に基づいて設定する。これにより、データフレームの衝突を回避するための第2情報送信待機時間が各無線端末装置に付与された識別番号に基づいて設定されるので、第2情報送信待機時間を設定するための基準となるビーコンが不要となる。従って、ビーコンが定期的に送信されないアドホックネットワークにおいてデータフレームの衝突が回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態に係る通信システムの構成を示す図である。
図2】実施の形態に係る無線端末装置の構成を示す図である。
図3】実施の形態に係る制御部および記憶部の構成を示す図である。
図4】実施の形態に係る通信システムにおける無線端末装置間の処理シーケンスの一例を示す図である。
図5】実施の形態に係る通信システムにおける無線端末装置間の処理シーケンスの一例を示す図である。
図6】(A)は実施の形態に係る送信制御を実施しない場合の通信システムにおけるタイムアウトの発生状況を示す図であり、(B)は実施の形態に係る送信制御を実施する場合の通信システムにおけるタイムアウトの発生状況を示す図である。
図7】変形例に係る制御部および記憶部の構成を示す図である。
図8】変形例に係る通信システムにおける無線端末装置間の処理シーケンスの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態に係る通信システムについて図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
本実施の形態に係る無線通信システムは、図1に示すように、互いに無線通信を実行することが可能な複数(図1では4つ)の無線端末装置1A、1B、1C、1Dを備える。無線端末装置1A、1B、1C、1Dは、例えばIEEE802.11で規定された無線LAN規格に従って無線通信を実行する。無線端末装置1A、1B、1C、1Dは、互いに無線通信を実行することが可能であり、アドホックネットワーク100を構成する。
【0013】
無線端末装置1A、1B、1C、1Dは、図2に示すように、アンテナ11と、サーキュレータ12と、無線受信部13と、無線送信部14と、信号処理部15と、制御部18と、記憶部19と、を備える。信号処理部15は、受信信号処理部16と、送信信号処理部17と、を有する。信号処理部15および制御部18は、CPU(Central Processing Unit)またはDSP(Digital Signal Processor)等によって構成されている。記憶部19は、RAM(Random Access Memory)またはROM(Read Only Memory)等によって構成されている。
【0014】
サーキュレータ12は、アンテナ11で受信した他の無線端末装置1A、1B、1C、1Dからのアナログ信号を無線受信部13へ出力し、また、無線送信部14から受けたアナログ信号をアンテナ11へ出力する。
【0015】
無線受信部13は、サーキュレータ12から受けたアナログ信号をディジタル信号に変換して受信信号処理部16へ出力する。
【0016】
受信信号処理部16は、無線受信部13から受けたディジタル信号に対して所定の信号処理を行い、この信号処理後のディジタル信号を所定のフォーマットのディジタル信号(各種データフレーム、制御情報またはステータス情報)に変換して制御部18へ出力する。
【0017】
また、制御部18は、ディジタル信号(各種データフレーム、制御情報またはステータス情報)を送信信号処理部17へ出力する。ここで、制御情報は、無線端末装置を制御するための情報であり、ステータス情報は、無線端末装置の動作状態を示す情報である。
【0018】
送信信号処理部17は、制御部18から受けた各種データフレーム、制御情報またはステータス情報を示すディジタル信号を所定のフォーマットのディジタル信号に変換してから所定の信号処理を行い、この信号処理後のディジタル信号を無線送信部14へ出力する。
【0019】
無線送信部14は、送信信号処理部17から受けたディジタル信号をアナログ信号に変換してからサーキュレータ12へ出力する。
【0020】
また、制御部18は、記憶部19から所定のプログラムを読み出して実行することにより、図3に示すように、識別番号付与部181、待機時間設定部182、送信制御部183および同期制御部184として機能する。また、記憶部19は、プログラムの他に、無線端末装置1A、1B、1C、1Dそれぞれに付与されるID番号を記憶する識別番号記憶部191を有する。
【0021】
識別番号付与部181は、無線端末装置1A、1B、1C、1Dそれぞれに固有の識別番号を付与する。識別番号付与部181は、無線端末装置1A、1B、1C、1Dそれぞれが起動したタイミングに基づいて、無線端末装置1A、1B、1C、1Dそれぞれに付与されるID番号(識別番号)を決定する。具体的には、識別番号付与部181は、無線端末装置1A、1B、1C、1Dについて、起動したタイミングが早いものほどID番号が小さくなるように、無線端末装置1A、1B、1C、1DそれぞれのID番号を決定する。なお、このID番号は、本発明の実施の形態では連番(連続した番号)として説明するが、必ずしも連番でなくてもよい。ID番号は、無線端末装置の起動したタイミングが早いものほどID番号が小さく、かつ互いに異なる番号であればよい。また、ID番号は、必ずしも「1」から付与されなくてもよい。例えば、付与されるID番号は、無線端末装置の起動したタイミングが最も早いものを「2」とし、以降順次、連番ではない「4」や「5」などのように互いに異なる番号であればよい。
【0022】
待機時間設定部182は、無線端末装置1A、1B、1C、1Dが他の無線端末装置からデータフレーム(第1情報)を受信した後、そのデータフレームに対応するステータス情報(第2情報)を他の無線端末装置へ送信するまでの待機時間(第2情報送信待機時間)を設定する。ここで、待機時間設定部182は、データフレームを受信した無線端末装置(例えば無線端末装置1D)(第1無線端末装置)に付与されたID番号(第1識別番号)とデータフレームの送信元の無線端末装置(例えば無線端末装置1A)(第2無線端末装置)に付与されたID番号(第2識別番号)との差分絶対値に基づいて、待機時間を設定する。例えば、無線端末装置1AのID番号が「0」、無線端末装置1DのID番号が「3」であるとする。この場合、待機時間設定部182は、無線端末装置1Dが無線端末装置1Aからデータフレームを受信した後ステータス情報を送信するまでの待機時間を、予め設定された基準時間間隔△TにID番号の差分絶対値「3」を乗じて得られる時間△T×3に設定する。
【0023】
また、待機時間設定部182は、無線端末装置1A、1B、1C、1Dがデータフレームを送信した後、次にデータフレームを送信するまでの待機時間(第1情報送信待機時間)を、無線端末装置1A、1B、1C、1Dの数に基づいて設定する。待機時間設定部182は、無線端末装置1A、1B、1C、1Dがデータフレームを送信した後、次にデータフレームを送信するまでの待機時間を、例えば基準時間間隔△Tに無線端末装置1A、1B、1C、1Dの数「4」を乗じて得られる時間△T×4に設定する。
【0024】
送信制御部183は、待機時間設定部182により設定された待機時間に基づいて、データフレームまたはステータス情報の送信タイミングを制御する。
【0025】
同期制御部184は、無線端末装置1A、1B、1C、1Dそれぞれが管理する時刻を同期させる。
【0026】
次に、本実施の形態に係る通信システムにおいて実行される、無線端末装置1A、1B、1C、1Dが起動したタイミングに基づいて、無線端末装置1A、1B、1C、1DそれぞれのID番号を付与する処理について図4を参照しながら説明する。なお、図4では、無線端末装置1A、1B、1C、1Dの順に無線端末装置1A、1B、1C、1Dが起動するものとして説明する。
【0027】
無線端末装置1Aが起動すると(ステップS1)、無線端末装置1Aの設定情報を含む設定通知が、無線端末装置1Aから他の無線端末装置1B、1C、1Dに対してブロードキャスト送信される(ステップS2乃至S4)。設定情報には、無線端末装置1Aに付与されるBSSID(Basic Service Set Identifier)や無線端末装置1Aが使用するチャネル、無線端末装置1Aの動作モード等に関する情報と、無線端末装置1Aがデータフレームを送信する時間間隔の基準となる基準時間間隔を示す情報と、が含まれる。無線端末装置1B、1C、1Dから送信される設定通知に含まれる設定情報も同様である。ここにおいて、無線端末装置1B、1C、1Dは未だ起動していないので、無線端末装置1B、1C、1Dから無線端末装置1Aへ送信される設定通知は発生しない。無線端末装置1Aは、他の無線端末装置1B、1C、1Dからの設定通知を受信しない場合、自装置のID番号を最小の番号「0」に設定する(ステップS5)。そして、無線端末装置1Aは、設定した自装置のID番号「0」を自装置の識別番号記憶部191に記憶させる。
【0028】
次に、無線端末装置1Bが起動すると(ステップS6)、無線端末装置1Bの設定情報を含む設定通知が、無線端末装置1Bから他の無線端末装置1A、1C、1Dに対してブロードキャスト送信される(ステップS7乃至S9)。ここにおいて、無線端末装置1C、1Dは未だ起動していないので、無線端末装置1C、1Dから無線端末装置1Bへ送信される設定通知は発生しない。無線端末装置1Aは、無線端末装置1Bから設定通知を受信すると、その設定通知の送信元である無線端末装置1BのID番号を、自装置のID番号よりも「1」だけ大きい「1」に設定する。そして、無線端末装置1Aは、設定した無線端末装置1BのID番号「1」を自装置の識別番号記憶部191に記憶させる。
【0029】
一方、無線端末装置1Aは既に起動しているので、無線端末装置1Aの設定情報および無線端末装置1AのID番号を含む設定通知が、無線端末装置1Aから無線端末装置1B宛に送信(ユニキャスト送信)される(ステップS10)。続いて、無線端末装置1Bは、無線端末装置1Aから設定通知を受信すると、自装置のID番号を、設定通知に含まれる無線端末装置1AのID番号「0」よりも「1」だけ大きい番号「1」に設定する(ステップS11)。そして、無線端末装置1Bは、設定通知に含まれる無線端末装置1AのID番号「0」と、設定した自装置のID番号「1」と、を、自装置の識別番号記憶部191に記憶させる。
【0030】
その後、無線端末装置1Cが起動すると(ステップS12)、無線端末装置1Cの設定情報を含む設定通知が、無線端末装置1Cから他の無線端末装置1A、1B、1Dに対してブロードキャスト送信される(ステップS13乃至S15)。ここにおいて、無線端末装置1Dが未だ起動していないので、無線端末装置1Dから無線端末装置1Cへ送信される設定通知は発生しない。無線端末装置1Aは、無線端末装置1Cから設定通知を受信すると、その設定通知の送信元である無線端末装置1CのID番号を、自装置のID番号「0」および無線端末装置1BのID番号「1」の最大値「1」より「1」だけ大きい番号「2」に設定する。そして、無線端末装置1Aは、設定した無線端末装置1CのID番号「2」を自装置の識別番号記憶部191に記憶させる。また、無線端末装置1Bは、無線端末装置1Cから設定通知を受信すると、その設定通知の送信元である無線端末装置1CのID番号を、自装置のID番号「1」よりも「1」だけ大きい番号「2」に設定する。そして、無線端末装置1Bは、設定した無線端末装置1CのID番号を自装置の識別番号記憶部191に記憶させる。
【0031】
一方、無線端末装置1A、1Bは既に起動しているので、無線端末装置1A、1Bの設定情報および無線端末装置1A、1BのID番号を含む設定通知が、無線端末装置1A、1Bから無線端末装置1C宛に送信(ユニキャスト送信)される(ステップS16、S17)。続いて、無線端末装置1Cは、無線端末装置1A、1Bから設定通知を受信すると、自装置のID番号を、無線端末装置1A、1BのID番号「0」、「1」の最大値「1」よりも「1」だけ大きい番号「2」に設定する(ステップS18)。そして、無線端末装置1Cは、設定通知に含まれる無線端末装置1A、1BのID番号と、設定した自装置のID番号と、を自装置の識別番号記憶部191に記憶させる。
【0032】
最後に、無線端末装置1Dが起動すると(ステップS19)、無線端末装置1Dの設定情報を含む設定通知が、無線端末装置1Dから他の無線端末装置1A、1B、1Cに対してブロードキャスト送信される(ステップS20乃至S22)。ここにおいて、無線端末装置1A、1B、1Cは既に起動しているので、無線端末装置1A、1B、1Cの設定情報および無線端末装置1A、1B、1CのID番号を含む設定通知が、無線端末装置1A、1B、1Cから無線端末装置1D宛に返信(ユニキャスト送信)される(ステップS23乃至S25)。無線端末装置1Aは、無線端末装置1Dから設定通知を受信すると、その設定通知の送信元である無線端末装置1DのID番号を、自装置、無線端末装置1B、1CのID番号の最大値「2」よりも「1」だけ大きい番号「3」に設定する。そして、無線端末装置1Aは、設定した無線端末装置1DのID番号を自装置の識別番号記憶部191に記憶させる。また、無線端末装置1Bは、無線端末装置1Dから設定通知を受信すると、その設定通知の送信元である無線端末装置1DのID番号を、自装置のID番号「1」および無線端末装置1CのID番号「2」の最大値「2」よりも「1」だけ大きい番号「3」に設定する。そして、無線端末装置1Bは、設定した無線端末装置1DのID番号を自装置の識別番号記憶部191に記憶させる。更に、無線端末装置1Cは、無線端末装置1Dから設定通知を受信すると、その設定通知の送信元である無線端末装置1DのID番号を、自装置のID番号「2」よりも「1」だけ大きい番号「3」に設定する。そして、無線端末装置1Cは、設定した無線端末装置1DのID番号を自装置の識別番号記憶部191に記憶させる。
【0033】
続いて、無線端末装置1Dは、無線端末装置1A、1B、1Cから設定通知を受信すると、自装置のID番号を、無線端末装置1A、1B、1CのID番号「0」、「1」、「2」の最大値「2」よりも「1」だけ大きい番号「3」に設定する(ステップS26)。
【0034】
以上説明したように、ステップS1乃至S26の一連の処理が実行されることにより、無線端末装置1A、1B、1C、1DそれぞれにID番号が付与されるとともに、各無線端末装置1A、1B、1C、1Dが全ての無線端末装置1A、1B、1C、1DのID番号を識別番号記憶部191に記憶させる。また、ステップS1乃至S26の一連の処理は、無線端末装置1A、1B、1C、1Dの識別番号付与部181により実行される。
【0035】
次に、本実施の形態に係る通信システムにおいて、無線端末装置1A、1B、1C、1Dそれぞれがデータフレームを送信する際に実行する送信制御の処理について図5を参照しながら説明する。なお、図5では、無線端末装置1A、1B、1C、1DにそれぞれID番号「0」、「1」、「2」、「3」が付与されているものとして説明する。また、図5におけるハッチング部分は、無線端末装置1A、1B、1C、1Dが、データフレームまたはステータス情報を送信した後における待機時間を示している。
【0036】
まず、データフレームD1が無線端末装置1Aから無線端末装置1Dへ送信されると(ステップS27)、無線端末装置1Aは、予め設定された時間間隔△Tに無線端末装置1A、1B、1C、1Dの総数「4」を乗じて得られる長さの時間△T×4を経過するまで待機状態(図4中のハッチング部分参照)となる。無線端末装置1Aは、待機状態中においてデータフレームの送信を実行しない。一方、無線端末装置1Dは、無線端末装置1Aからデータフレームを受信した後、データフレームの送信元の無線端末装置1AのID番号「0」と自装置のID番号「3」との差分絶対値に相当する数「3」を算出する。そして、時間間隔△Tに算出した数「3」を乗じて得られる長さの時間△T×3だけ経過した後、無線端末装置1Dのステータス情報SD1が、無線端末装置1Dから無線端末装置1Aへ送信される(ステップS28)。そして、無線端末装置1Dは、ステータス情報SD1を送信後、時間間隔△Tに無線端末装置1A、1B、1C、1Dの総数「4」を乗じて得られる長さの時間△T×4だけ経過するまで待機状態となる。
【0037】
データフレームD1が無線端末装置1Aから無線端末装置1Dへ送信されてから時間△T×4だけ経過した後、データフレームD2が無線端末装置1Aから無線端末装置1Cへ送信されると(ステップS29)、無線端末装置1Aは、再び時間△T×4だけ経過するまで待機状態となる。一方、無線端末装置1Cは、無線端末装置1AからデータフレームD2を受信した後、データフレームD2の送信元の無線端末装置1AのID番号「0」と自装置のID番号「2」との差分絶対値に相当する数「2」を算出する。そして、時間間隔△Tに算出した数「2」を乗じて得られる長さの時間△T×2だけ経過した後、無線端末装置1Cのステータス情報SC2が、無線端末装置1Cから無線端末装置1Aへ送信される(ステップS30)。そして、無線端末装置1Cは、ステータス情報SC2を送信後、時間△T×4だけ経過するまで待機状態となる。
【0038】
データフレームD2が無線端末装置1Aから無線端末装置1Cへ送信されてから時間△T×4だけ経過した後、データフレームD3が無線端末装置1Aから無線端末装置1Bへ送信されると(ステップS31)、無線端末装置1Aは、再び時間△T×4だけ経過するまで待機状態となる。一方、無線端末装置1Bは、無線端末装置1AからデータフレームD3を受信した後、データフレームD3の送信元の無線端末装置1AのID番号「0」と自装置のID番号「1」との差分絶対値に相当する数「1」を算出する。そして、時間間隔△Tに算出した数「1」を乗じて得られる長さの時間△Tだけ経過した後、無線端末装置1Bのステータス情報SB3が、無線端末装置1Bから無線端末装置1Aへ送信される(ステップS32)。そして、無線端末装置1Bは、ステータス情報SB3を送信後、時間間隔△Tに無線端末装置1A、1B、1C、1Dの総数「4」を乗じて得られる長さの時間△T×4だけ経過するまで待機状態となる。
【0039】
また、ステータス情報SB3が無線端末装置1Bから無線端末装置1Aへ送信されてから時間△T×4だけ経過した後、データフレームD4が無線端末装置1Bから無線端末装置1Dへ送信されると(ステップS33)、無線端末装置1Bは、再び時間△T×4だけ経過するまで待機状態となる。一方、無線端末装置1Dは、無線端末装置1BからデータフレームD4を受信した後、データフレームD4の送信元の無線端末装置1BのID番号「1」と自装置のID番号「3」との差分絶対値に相当する数「2」を算出する。そして、時間間隔△Tに算出した数「2」を乗じて得られる長さの時間△T×2だけ経過した後、無線端末装置1Dのステータス情報SD4が、無線端末装置1Dから無線端末装置1Bへ送信される(ステップS34)。そして、無線端末装置1Dは、ステータス情報SD4を送信後、時間△T×4だけ経過するまで待機状態となる。
【0040】
データフレームD4が無線端末装置1Bから無線端末装置1Cへ送信されてから時間△T×4だけ経過した後、データフレームD5が無線端末装置1Bから無線端末装置1Cへ送信されると(ステップS35)、無線端末装置1Bは、再び時間△T×4だけ経過するまで待機状態となる。一方、無線端末装置1Cは、無線端末装置1BからデータフレームD5を受信した後、データフレームD5の送信元の無線端末装置1BのID番号「1」と自装置のID番号「2」との差分絶対値に相当する数「1」を算出する。そして、時間間隔△Tに算出した数「1」を乗じて得られる長さの時間△Tだけ経過した後、無線端末装置1Cのステータス情報SC5が、無線端末装置1Cから無線端末装置1Bへ送信される(ステップS36)。そして、無線端末装置1Cは、ステータス情報SC5を送信後、時間△T×4だけ経過するまで待機状態となる。
【0041】
また、ステータス情報SC5が無線端末装置1Cから無線端末装置1Bへ送信されてから時間△T×4だけ経過した後、データフレームD6が無線端末装置1Cから無線端末装置1Aへ送信されると(ステップS37)、無線端末装置1Cは、再び時間△T×4だけ経過するまで待機状態となる。一方、無線端末装置1Aは、無線端末装置1CからデータフレームD6を受信した後、データフレームD6の送信元の無線端末装置1CのID番号「2」と自装置のID番号「0」との差分絶対値に相当する数「2」を算出する。そして、時間間隔△Tに算出した数「2」を乗じて得られる長さの時間△T×2だけ経過した後、無線端末装置1Aのステータス情報SA6が、無線端末装置1Aから無線端末装置1Cへ送信される(ステップS38)。
【0042】
このように、無線端末装置1A、1B、1C、1Dは、他の無線端末装置からデータフレームを受信すると、そのデータフレームの送信元の無線端末装置に付与されたID番号と自装置に付与されたID番号との差分絶対値を算出する。そして、無線端末装置1A、1B、1C、1Dは、算出した差分絶対値に時間間隔△Tを乗じて得られる長さの時間だけ経過した後、データフレームの送信元の無線端末装置へステータス情報を送信する。また、無線端末装置1A、1B、1C、1Dは、データフレームを送信した後、次にデータフレームを送信するまで、アドホックネットワーク100を構成する無線端末装置1A、1B、1C、1Dの総数「4」に時間間隔△Tを乗じて得られる長さの時間△T×4だけ待機する。また、以上説明したステップS27乃至S38の一連の処理は、無線端末装置1A、1B、1C、1Dの送信制御部183が、データフレームまたはステータス情報を送信し、待機時間設定部182が、データフレーム受信後の待機時間またはステータス情報送信後の待機時間を設定する。
【0043】
また、この通信システムでは、定期的に、時刻情報を含む設定通知が、最小のID番号が付与された無線端末装置1Aから他の無線端末装置1B、1C、1Dに対してブロードキャスト送信される(ステップS41乃至S43)。そして、各無線端末装置1B、1C、1Dは、受信した設定通知に含まれる時刻情報を用いて、自装置の時刻を無線端末装置1Aの時刻に同期させる。このステップS41乃至S43の一連の処理は、無線端末装置1A、1B、1C、1Dの同期制御部184により実行される。
【0044】
次に、本実施の形態に係る通信システムにおけるデータフレームの衝突によるタイムアウトの発生頻度について説明する。図6(A)および(B)は、4つの無線端末装置1A、1B、1C、1Dから構成されるアドホックネットワーク100についてデータフレームを送信してからステータス情報を受信するまでの時間RTT(グラフの縦軸は任意単位、横軸は試行回数)を示しており、タイムアウトが発生した場合、RTTを「0」と表している。そして、図6(A)は、前述の送信制御を実施しない場合についての結果を示し、図6(B)は、前述の送信制御を実施した場合の結果を示す。なお、図6(A)および(B)の横軸は、データフレーム送信の試行回数を示す。図6(A)に示すように、前述の送信制御を実施しない場合、データフレーム送信を2000回試行すると、そのうちの134回でタイムアウト(RTT=0)が発生した。これに対して、図6(B)に示すように、前述の送信制御を実施した場合、データフレーム送信を2000回試行してもタイムアウトは全く発生しない。このことから、アドホックネットワーク100において、前述の送信制御を実施することにより、データフレームの衝突を確実に抑制できることが判る。
【0045】
以上説明したように、本実施の形態に係る通信システムによれば、待機時間設定部182が、無線端末装置1A、1B、1C、1Dのうちのいずれか1つの無線端末装置(例えば無線端末装置1D)が他の無線端末装置(例えば無線端末装置1A)からデータフレームを受信した後そのデータフレームに対応するステータス情報を無線端末装置1Aへ送信するまで待機時間を、無線端末装置1Dに付与されたID番号と無線端末装置1Aに付与されたID番号との差分絶対値に基づいて設定する。これにより、データフレームの衝突を回避するための第2情報送信待機時間が各無線端末装置に付与された識別番号に基づいて設定されるので、第2情報送信待機時間を設定するための基準となるビーコンが不要となる。従って、ビーコンが定期的に送信されないアドホックネットワークにおいてデータフレームの衝突が回避できる。
【0046】
また、本実施の形態に係る待機時間設定部182は、無線端末装置1A、1B、1C、1Dのうちのいずれか1つの無線端末装置(例えば無線端末装置1A)がデータフレーム(例えばデータフレームD1)を送信した後、次にデータフレーム(例えばデータフレームD2)を送信するまでの待機時間を、無線端末装置1A、1B、1C、1Dの数に基づいて設定する。これにより、データフレームの衝突回避の確実性を向上させることができる。
【0047】
更に、本実施の形態に係る識別番号付与部181は、無線端末装置1A、1B、1C、1Dそれぞれが起動したタイミングに基づいて、無線端末装置1A、1B、1C、1Dそれぞれに付与されるID番号を決定する。これにより、無線端末装置1A、1B、1C、1Dそれぞれに付与されるID番号を簡単に決定することができる。
【0048】
また、本実施の形態に係る通信システムは、無線端末装置1A、1B、1C、1Dそれぞれが管理する時刻を同期させる同期制御部184を備える。これにより、無線端末装置1A、1B、1C、1D間でそれぞれが管理する時刻が同期しなくなったことに起因したデータフレームの衝突の発生を抑制できる。
【0049】
(変形例)
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は前述の実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば、識別番号付与部181が、まず、無線端末装置1A、1B、1C、1Dそれぞれの起動時に乱数を付与する。そして、識別番号付与部181が、無線端末装置1A、1B、1C、1Dの全てに乱数を付与した後、無線端末装置1A、1B、1C、1Dそれぞれに付与された乱数の大小関係に基づいて無線端末装置1A、1B、1C、1Dそれぞれに付与される識別番号を決定する構成であってもよい。
【0050】
本変形例に係る制御部18は、図7に示すように、乱数生成部185としても機能する点が実施の形態に係る制御部18とは相違する。乱数生成部185は、例えば線形帰還シフトレジスタやメルセンヌ・ツイスタ等に基づいて生成されるM系列の疑似乱数を生成するものであってもよい。また、本変形例に係る記憶部19は、乱数生成部185が生成した乱数を示す乱数情報を記憶する乱数記憶部192を有する。
【0051】
本変形例に係る通信システムにおいて実行される、乱数を用いて無線端末装置1A、1B、1C、1DそれぞれにID番号を付与する処理について図8を参照しながら説明する。なお、図8では、無線端末装置1A、1B、1C、1Dの順に、無線端末装置1A、1B、1C、1Dが起動するものとして説明する。また、無線端末装置1A、1B、1C、1Dのうち最初に起動したものが乱数を生成するものとする。
【0052】
無線端末装置1Aが起動すると(ステップS201)、無線端末装置1Aの設定情報を含む設定通知が、無線端末装置1Aから他の無線端末装置1B、1C、1Dに対してブロードキャスト送信される(ステップS202乃至S204)。そして、無線端末装置1Aは、自装置に対応づける乱数を生成し(ステップS205)、生成した乱数を示す乱数情報を自装置に対応づけて乱数記憶部192に記憶させる。
【0053】
次に、無線端末装置1Bが起動すると(ステップS206)、無線端末装置1Bの設定情報を含む設定通知が、無線端末装置1Bから他の無線端末装置1A、1C、1Dに対してブロードキャスト送信される(ステップS207乃至S209)。無線端末装置1Aは、無線端末装置1Bから設定通知を受信すると、無線端末装置1Bに対応づける乱数を生成し(ステップS210)、生成した乱数を示す乱数情報を無線端末装置1Bに対応づけて乱数記憶部192に記憶させる。続いて、無線端末装置1Aの設定情報と無線端末装置1A、1Bに対応づけられた乱数を示す各乱数情報とを含む設定通知が、無線端末装置1Aから無線端末装置1Bへ送信される(ステップS211)。無線端末装置1Bは、設定通知を受信すると、その設定通知に含まれる乱数情報を無線端末装置1A、自装置それぞれに対応づけて乱数記憶部192に記憶させる。
【0054】
その後、無線端末装置1Cが起動すると(ステップS212)、無線端末装置1Cの設定情報を含む設定通知が、無線端末装置1Cから他の無線端末装置1A、1B、1Dに対してブロードキャスト送信される(ステップS213乃至S215)。無線端末装置1Aは、無線端末装置1Cから設定通知を受信すると、無線端末装置1Cに対応づける乱数を生成し(ステップS216)、生成した乱数を示す乱数情報を無線端末装置1Cに対応づけて乱数記憶部192に記憶させる。続いて、無線端末装置1Aの設定情報と無線端末装置1A、1Cに対応づけられた乱数を示す各乱数情報とを含む設定通知が、無線端末装置1Aから無線端末装置1Cへ送信される(ステップS217)。無線端末装置1Cは、無線端末装置1Aから設定通知を受信すると、その設定通知に含まれる乱数情報を無線端末装置1A、自装置それぞれに対応づけて乱数記憶部192に記憶させる。また、無線端末装置1Bの設定情報と無線端末装置1Bに対応づけられた乱数を示す乱数情報とを含む設定通知が、無線端末装置1Bから無線端末装置1Cへ送信される(ステップS218)。無線端末装置1Cは、無線端末装置1Bから設定通知を受信すると、その設定通知に含まれる乱数情報を無線端末装置1Bに対応づけて乱数記憶部192に記憶させる。そして、自装置に対応づけられた乱数を示す乱数情報を含む設定通知が、自装置に対応づけられた乱数情報を含まない設定通知の送信元である無線端末装置1Bへ送信される(ステップS219)。無線端末装置1Bは、無線端末装置1Bから設定通知を受信すると、その設定通知に含まれる乱数情報を無線端末装置1Cに対応づけて乱数記憶部192に記憶させる。
【0055】
次に、無線端末装置1Dが起動すると(ステップS220)、無線端末装置1Dの設定情報を含む設定通知が、無線端末装置1Dから他の無線端末装置1A、1B、1Cに対してブロードキャスト送信される(ステップS221乃至S223)。無線端末装置1Aは、無線端末装置1Dから設定通知を受信すると、無線端末装置1Dに対応づける乱数を生成し(ステップS224)、生成した乱数を示す乱数情報を無線端末装置1Dに対応づけて乱数記憶部192に記憶させる。続いて、無線端末装置1Aの設定情報と無線端末装置1A、1Dに対応づけられた乱数を示す各乱数情報とを含む設定通知が、無線端末装置1Aから無線端末装置1Dへ送信される(ステップS225)。無線端末装置1Dは、無線端末装置1Aから設定通知を受信すると、その設定通知に含まれる乱数情報を無線端末装置1A、自装置それぞれに対応づけて乱数記憶部192に記憶させる。また、無線端末装置1Bの設定情報と無線端末装置1Bに対応づけられた乱数を示す乱数情報とを含む設定通知が、無線端末装置1Bから無線端末装置1Dへ送信される(ステップS226)。無線端末装置1Dは、無線端末装置1Bから設定通知を受信すると、その設定通知に含まれる乱数情報を無線端末装置1Bに対応づけて乱数記憶部192に記憶させる。更に、無線端末装置1Cの設定情報と無線端末装置1Cに対応づけられた乱数を示す乱数情報とを含む設定通知が、無線端末装置1Cから無線端末装置1Dへ送信される(ステップS227)。無線端末装置1Dは、無線端末装置1Cから設定通知を受信すると、その設定通知に含まれる乱数情報を無線端末装置1Cに対応づけて乱数記憶部192に記憶させる。そして、自装置に対応づけられた乱数を示す乱数情報を含む設定通知が、自装置に対応づけられた乱数情報を含まない設定通知の送信元である無線端末装置1B、1Cへ送信される(ステップS228、S229)。無線端末装置1B、1Cは、無線端末装置1Dから設定通知を受信すると、その設定通知に含まれる乱数情報を無線端末装置1Dに対応づけて乱数記憶部192に記憶させる。
【0056】
その後、無線端末装置1A、1B、1C、1Dは、それぞれ、自装置が記憶する無線端末装置1A、1B、1C、1Dに対応づけられた乱数の大小関係に基づいて、各無線端末装置1A、1B、1C、1DのID番号を設定する(ステップS230、S231、S232、S233)。
【0057】
以上説明したように、ステップS201乃至S233の一連の処理が実行されることにより、無線端末装置1A、1B、1C、1DそれぞれにID番号が付与される。ここで、ステップS205、S210、S216およびS224における乱数生成処理は、無線端末装置1Aの乱数生成部185により実行される。そして、各無線端末装置1A、1B、1C、1Dが、全無線端末装置1A、1B、1C、1Dそれぞれに付与されたID番号を識別番号記憶部191に記憶させることができる。
【0058】
本構成によれば、乱数生成部185が、無線端末装置1A、1B、1C、1Dそれぞれの起動時に乱数を付与し、無線端末装置1A、1B、1C、1Dの全てに乱数を付与した後、識別番号付与部181が、無線端末装置1A、1B、1C、1Dそれぞれに付与された乱数の大小関係に基づいて無線端末装置1A、1B、1C、1Dそれぞれに付与されるID番号を決定する。これにより、無線端末装置1A、1B、1C、1Dの起動順に関係無く時刻同期用のビーコンを送信する無線端末装置が無作為に選択される。従って、例えば常に最初に起動する無線端末装置に処理負荷が集中してしまうことを防止できる。
【0059】
なお、図1では、アドホックネットワーク100における4つの無線端末装置を代表的に示しているが、更に少数または多数の無線端末装置が設けられてもよい。
【0060】
また、本発明に係る無線端末装置1A、1B、1C、1Dの各種機能は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、ネットワークに接続されているコンピュータに、上記動作を実行するためのプログラムを、コンピュータシステムが読み取り可能な非一時的な記録媒体(CD−ROM)に格納して配布し、当該プログラムをコンピュータシステムにインストールすることにより、上述の処理を実行する無線端末装置1A、1B、1C、1Dを構成してもよい。
【0061】
また、コンピュータにプログラムを提供する方法は任意である。例えば、プログラムは、通信回線の掲示版(BBS)にアップロードされ、通信回線を介してコンピュータに配信されてもよい。そして、コンピュータは、このプログラムを起動して、OSの制御の下、他のアプリケーションと同様に実行する。これにより、コンピュータは、上述の処理を実行する無線端末装置1A、1B、1C、1Dとして機能する。
【0062】
また、本発明の実施形態の説明においては、無線端末装置の個数増減はないものとして説明したが、実際はシステム稼働中に、新たな無線端末装置が参加したり、参加していた無線端末装置が離脱したりすることが生じ得る。この場合、システムにおいて、各端末装置のID番号がそのまま使用されてもよいが、特に無線端末装置の個数が複数減ったときは各端末装置のID番号が連続番号となるよう新たに振り直されることが好ましい。このようにすると、減った無線端末装置のID番号の数分(差分絶対値)に時間間隔△Tを乗じて得られる長さの時間だけ、他の無線端末装置は不要な待機時間を強いられるからである。
【0063】
具体的には、前段の起動順にID番号を付与する方式でも、後段の乱数発生をさせる方式でも、新たな端末の参加の際は、参加順に番号が付与され、待機時間(第1情報待機時間)の設定の再計算を行うこととすればよい。一方、端末の離脱の際は、その時のID番号の大小関係はそのままに、番号の再付与、および待機時間(第1情報待機時間)の設定の再計算が行われる。番号の再付与では、例えば、ID番号が0、1、2、3の4つの端末装置において「1」の端末が離脱すると、順序(大小関係)を変えることなく、「0」の端末は「0」のまま、「2」の端末は「1」に、「3」の端末は「2」に付与し直される。
【0064】
以上、本発明の実施の形態および変形例(なお書きに記載したものを含む。以下、同様。)についてアドホックネットワークを例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、無線アクセスポイントを介して複数の無線端末装置との間で通信が行われるインフラストラクチャー形式の通信環境下でも適用でき、各装置から送信されるデータフレームの衝突が回避できる。また、本発明は、実施の形態および変形例が適宜組み合わされたもの、それに適宜変更が加えられたものを含む。
【符号の説明】
【0065】
1A,1B,1C,1D:無線端末装置、11:アンテナ、12:サーキュレータ、13:無線受信部、14:無線送信部、15:信号処理部、16:受信信号処理部、17:送信信号処理部、18:制御部、19:記憶部、100:アドホックネットワーク、181:識別番号付与部、182:待機時間設定部、183:送信制御部、184:同期制御部、185:乱数生成部、191:識別番号記憶部、192:乱数記憶部、D1、D2、D3、D4、D5、D6:データフレーム、SD1、SC2、SB3、SD4、SC5、SA6:ステータス情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8