(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0012】
<A.概要>
まず、本実施の形態に係る建物用の情報記録装置の概要について説明する。
【0013】
図1は、本実施の形態に係る建物用の情報記録装置の通常動作時の状態を示す模式図である。
図2は、本実施の形態に係る建物用の情報記録装置の災害発生後の状態を示す模式図である。
【0014】
図1を参照して、本実施の形態に係る建物用の情報記録装置100は、ビル、集合住宅、戸建住宅、事務所といった任意の建物1の内部または近接した位置に配置される。情報記録装置100は、想定される災害に対して、損傷を受けにくい場所に配置されることが好ましい。通常動作時において、情報記録装置100は、建物1内に配置された各種センサーからの情報を逐次またはイベント発生毎に収集する。情報記録装置100は、収集した情報を適宜解析して、建物1内の状況(特に、建物1内に存在する人の情報)を適宜更新する。
【0015】
図2を参照して、何らかの災害が発生した後には、情報記録装置100に格納されている情報を読み出し、その読み出した情報を用いて、建物1内に取り残されている人などを救助または捜索することになる。比較的大きな災害が発生した場合には、建物1自体も損傷を受けている可能性もあるが、情報記録装置100が完全に損傷している場合を除いて、多くの場合、情報記録装置100に格納されている情報を読み出すことができる。後述するように、情報記録装置100は、電源を内蔵しているため、外部電源(通常は、商用電源)の供給が遮断されたとしても、情報記録装置100の位置を特定するとともに、格納されている情報を読み出すことができる。
【0016】
すなわち、本実施の形態に係る建物用の情報記録装置100は、いわば、建物用の「ブラックボックス」として機能する。この「ブラックボックス」を用いることで、救助者や捜索者などは、災害発生直前の建物内の状況を容易に把握することができ、より迅速かつ確実な救助および探索を実現できる。
【0017】
<B.情報記録装置の装置構成>
次に、本実施の形態に係る情報記録装置100の装置構成について説明する。
【0018】
図3は、本実施の形態に係る情報記録装置100の装置構成を示す模式図である。
図3を参照して、情報記録装置100は、筐体10内に配置された、処理装置2と、電源切換部4と、蓄電部6と、発信器8とを含む。
【0019】
処理装置2は、情報記録装置100における情報収集、記録、解析処理といった一連の情報処理を実行する処理主体である。
【0020】
電源切換部4は、処理装置2および発信器8などに供給される電源を外部電源(商用電源20)と蓄電部6との間で切り換える。典型的には、電源切換部4は、商用電源20からの電力供給が途絶えると、蓄電部6から放電される電力を処理装置2および発信器8へ供給する。電源切換部4は、外部電源から供給される交流電力を直流電力へ変換する電力変換部と、電力変換動作によって得られた直流電力の電圧を蓄電部6での充電に適した値に調整するとともに、蓄電部6から放電された電力を処理装置2および発信器8での消費に適した値に調整する電圧変換部(いずれも図示せず)とを含んでいてもよい。
【0021】
蓄電部6は、外部電源からの電力供給が途絶えた後に、情報記録装置100を動作させるための電力を蓄える。蓄電部6の容量や種類などは、情報記録装置100での消費電力や耐久年数などに応じて、適宜選択される。
【0022】
このように、電源切換部4および蓄電部6を配置することによって、外部電源の供給が継続している間は、蓄電部6は外部電源により充電されるとともに、外部電源の供給が停止すると、外部電源に代わって蓄電部6が電源を供給する。
【0023】
発信器8は、情報記録装置100の存在を通知するための電波を発信する。より具体的には、発信器8は、配置されていた建物の崩壊などによって、情報記録装置100ががれきなどに埋もれてしまった場合であっても、情報記録装置100を容易に探索できるように、所定パターンの電波(典型的には、ビーコン)を連続的、周期的、または間欠的に放射する。
【0024】
筐体10は、比較的大きな災害によって情報記録装置100が配置されていた建物が崩壊しても、その内部にある装置が損傷しないような材質で構成される。また、浸水などが想定される場合には、防水、防湿、防塵の各耐性を有する構造を採用することが好ましいい。さらに、筐体10の外表面(露出面)の一部または全部には、耐衝撃性の緩衝部材(例えば、ゴムや発泡ウレタンなど)が設けられることが好ましい。
【0025】
処理装置2は、一種のコンピュータ装置であり、以下のようなコンポーネントを有している。具体的には、処理装置2は、プロセッサ102と、主記憶部104と、通信モジュール106と、入力部108と、出力部110と、外部装置インターフェイス112と、フィールドバスインターフェイス116と、二次記憶部120とを含む。これらの各コンポーネントは、バス118を介して互いに通信可能に接続されている。
【0026】
プロセッサ102は、二次記憶部120に格納されている処理プログラム122を主記憶部104に読み出して実行することで、後述するような処理を実現する。プロセッサ102としては、汎用のCPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)を用いてもよいし、デジタル信号処理に向けられたDSP(Digital Signal Processor)を用いてもよい。処理プログラム122については、各種の記録媒体を介して、ア
ップデータできるように構成されてよい。そのため、処理プログラム122自体も本発明の技術的範囲に含まれ得る。処理装置2については、FPGA(Field-Programmable Gate Array)を用いて構成してもよい。FPGAを採用する場合には、処理プログラム12
2を用いる必要は必ずしもない。
【0027】
主記憶部104には、SRAM(Static Random Access Memory)などの揮発性記憶装
置が用いられる。二次記憶部120には、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモ
リなどの不揮発性記憶装置が用いられる。二次記憶部120には、処理プログラム122に加えて、後述するような処理によって得られるスナップショット124が格納される。
【0028】
通信モジュール106は、他の情報記録装置100といった外部装置との間で、データを遣り取りする機能を提供する。入力部108には、キーボード、マウス、各種ボタン、タッチパネルといったユーザ操作を受け付ける装置が用いられる。出力部110には、液晶ディスプレイ、各種インジケータといったユーザに情報を提示する装置が用いられる。
【0029】
外部装置インターフェイス112は、例えば、USB(Universal Serial Bus)、パラレルバス、シリアルバスなどの通信手段を介して、外部装置(典型的には、パーソナルコンピュータ)などとの間で通信を実現する。外部装置は、筐体10に配置されたコネクタ114を介して外部装置と接続される。
【0030】
フィールドバスインターフェイス116は、情報記録装置100の監視対象である建物内に配置された1または複数のセンサー(以下、「センサー群」とも称す。)からの情報を取得する。
【0031】
図3には、センサー群の各々からの情報が情報記録装置100へ直接入力される構成を示すが、センサー群と情報記録装置100との接続構成については、これに限られるものではない。例えば、1または複数のセンサー群と接続されるターミナル(中継装置)を1または複数配置し、これらのターミナルを介して、センサー群と情報記録装置100とを接続してもよい。
【0032】
図4は、本実施の形態に係る情報記録装置100とセンサー群との接続構成の一例を示す模式図である。
図4を参照して、ネットワーク160を介して、1または複数のターミナル150−1,150−2,…,150−N(以下、「ターミナル150」とも総称する。)が情報記録装置100に接続されている。
【0033】
例えば、ターミナル150は、建物の各フロアーに配置されるとともに、対応するフロアーに配置されたセンサー群からの情報を収集する。ターミナル150は、センサー群からの情報を、ネットワーク160を介して情報記録装置100へ送信する。例えば、ターミナル150−1は、建物の1階に配置されたセンサー群からの情報を収集し、収集した情報を、所定周期毎、または、何らかのイベント発生毎に、情報記録装置100へ送信する。ターミナル150から送信される情報には、いずれのセンサーから収集された情報であるかを特定するための識別情報を付与することが好ましい。
【0034】
さらに、ターミナル150と情報記録装置100との間は、一方向ではなく、双方向の通信を可能にしてもよい。この場合には、情報記録装置100からターミナル150に対してリクエストを送信し、ターミナル150が、このリクエストに応答して、必要な情報を応答するようにしてもよい。さらに、センサー群に加えて、表示装置およびアクチュエータ(例えば、スプリンクラーおよび非常扉の閉塞装置など)をターミナル150に接続しておくことで、情報記録装置100で何らかの異状を検知したときに、必要な対処を実施することができる。
【0035】
<C.センサー群>
次に、本実施の形態に係る情報記録装置100へ情報を提供するセンサー群について説明する。本実施の形態において、センサー群は、主として、建物1内に存在する人の数、存在する位置、各人の行動などを検出する。本明細書において、「センサー群」は、何らかの情報や物理量を現実に検出するデバイスそのものだけではなく、業務管理システムや入退室管理システムといった、建物1内に存在する人の情報を取得できる任意の情報源を包含する。なお、このような用途以外に用いられるセンサーからの情報を情報記録装置100へ格納するようにしてもよい。
【0036】
このようなセンサー群から得られる情報としては、例えば、以下のようなものが考えられる。
【0037】
・監視カメラが撮像した画像データを画像認識することで取得される、監視エリア内に存在する人の数
・赤外線などを利用したエリアセンサーによって取得される、エリア毎に存在する人の数
・エレベータの制御装置が管理する、エレベータの稼働状況や各機に生じている荷重(搭乗している人員を示すと推定される)
・各室の照明の点灯状況
・入退室管理システムが管理する、各室での入退室人数
・各室のドアの開閉された日時
・グループウェアが管理する、各ユーザの動静、行動予定
・電子メールの送信、SNS(Social Network Service)への投稿、チャットへの発言といった各ユーザのネットワーク上での活動状況
以上のような様々な情報を収集して、情報記録装置100は、建物1内に存在する人の所在などを示す状況を逐次更新する。
【0038】
図5は、本実施の形態に係る情報記録装置100で利用されるエリアセンサー200の概要を説明するための模式図である。
図5を参照して、エリアセンサー200は、一種の赤外線アレイセンサーであり、監視対象のエリア202を複数の区画に分割し、いずれの区画に人が存在しているのかを検出することができる。なお、より小さい区画の単位で、人の存在を検出するためには、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を利用したアレイセンサーを用いることが好ましい。
【0039】
図5に示す例では、3つの区画群204−1,204−2,204−3から放出される赤外線が検出されており、これらの区画群204−1,204−2,204−3のそれぞれに人が存在していると判断できる。
【0040】
エリアセンサー200は、人が存在していると判断された1または複数の区画の位置を含む情報を、検出結果として、情報記録装置100へ送信する。情報記録装置100は、エリアセンサー200からの情報を逐次受信し、格納する。
【0041】
建物1内に存在する人の所在などを示す状況を検出する方法としては、
図5に示す光学的な構成に代えて、人が存在することにより生じる変位を利用する方法を採用することもできる。
【0042】
図6は、本実施の形態に係る情報記録装置100で利用されるエリアセンサー220の概要を説明するための模式図である。
図6を参照して、エリアセンサー220は、光源222と、光ファイバ224と、受光部226と、検出部228とを含む。
【0043】
光ファイバ224は、FBG(Fiber Bragg Grating)の構造を有しており、外部から
の変位(外力/応力)によって、内部の光学伝搬路の特性が変化する。光ファイバ224は、人が存在し得る床面に張り巡らされている。光ファイバ224の敷設パターン(敷設間隔および敷設長さなど)は、必要な検出精度に応じて、適宜定められる。
【0044】
光源222は、周期的に強度が変化する光を発生し、光ファイバ224の一端に与える。受光部226は、光ファイバ224の他端と光学的に接続され、光源222からの入射光を受光する。検出部228は、受光部226で検出された光の変化に基づいて、いずれの位置に人が存在しているのかを示す検出結果を出力する。すなわち、受光部226での検出結果に基づいて、光ファイバ224のいずれの位置において、変位(外力/応力)が与えられたのかを判断する。
【0045】
以上のような検出原理によって、エリアセンサー220は、人が存在していると判断された1または複数の位置を含む検出結果を情報記録装置100へ送信する。
【0046】
<D.情報記録装置における処理>
次に、情報記録装置100がセンサー群から情報を収集する処理について説明する。
【0047】
図7は、本実施の形態に係る情報記録装置100へ送信されるデータフォーマットの一例を説明するための模式図である。
【0048】
図7(A)を参照して、データフォーマット300は、宛先部302と、送信元部304と、タグ名部306と、値格納部308とを含む。
図7(B)に示すように、宛先部302には、センサーから送信される情報の宛先を特定するための情報(典型的には、ネットワークアドレス)が格納される。送信元部304には、情報の送信元であるセンサーを特定するための情報(典型的には、ネットワークアドレス)が格納される。タグ名部306は、センサーから送信される値に関連付けられたタグ名(典型的には、いずれのセンサーからの情報であるかといった識別情報)が格納される。なお、1種類の情報のみを送信するセンサーを用いた場合には、送信元部304に格納される情報を利用すれば十分であるので、タグ名部306に格納される情報を用いないようにしてもよい。
【0049】
値格納部308には、センサーにより取得された情報の実体が格納される。例えば、値格納部308には、センサーによる検出値そのもの、センサーの検出値を前処理して得られた結果値、暗号化された情報などが格納される。
【0050】
センサー群の各々は、所定周期毎、または、何らかのイベント発生毎に、取得した情報を、
図7に示すようなデータフォーマットに従って、情報記録装置100へ送信する。一般的に、センサー群から情報記録装置100への情報送信は、自律的に(すなわち、情報記録装置100からの要求がなくても)実行されるが、情報記録装置100は、必要に応じて、指定したセンサーに対して、情報の取得および送信を指示するようにしてもよい。
【0051】
さらに、セキュリティの観点から、各センサーと情報記録装置100との間で、予め所定の認証手続きを実行し、その認証手続きが成功したか否かの情報を、各センサーからの情報に含めるようにしてもよい。なお、認証手続きにおいて、各センサーに対して、一意の認証情報(一種の鍵)を割り当てておき、この割り当てられた認証情報を各センサーから送信するようにしてもよい。このような認証手続きを付加することで、センサーに対するクラッキングなどを防止することができる。
【0052】
さらに、各センサーと情報記録装置100との間で遣り取りされるデータを暗号化する
ことが好ましい。先に認証手続きを行っている場合には、認証手続きによって決定された鍵をこの暗号化処理に利用してもよい。
【0053】
図8は、本実施の形態に係る情報記録装置100で受信される情報のログの一例を示す図である。
図8を参照して、情報記録装置100は、センサー群の各センサーから何らかの情報を受信すると、当該受信した情報の送信元、すなわちいずれのセンサーからの情報であるかという情報と関連付けて、その値を順次格納する。
【0054】
さらに、情報記録装置100は、センサー群から受信した情報に対して解析処理を実行して、建物内に存在する人の数や位置などを更新する。
【0055】
図9は、本実施の形態に係る情報記録装置100によって提供される建物内の状況の表示例を示す図である。
図9(A)を参照して、情報記録装置100は、建物の各階に存在する人物の人数を一覧表示することができる。また、
図5に示すエリアセンサー200などを用いる場合には、
図9(B)に示すように、各階のいずれの位置に人が存在しているのかについても情報を提示することができる。
【0056】
このような一覧表示を参照することで、救助者や捜索者などは、いずれの階を捜索すればよいのかを即座に把握することができる。建物内の状況は、センサー群のいずれかのセンサーからの情報を受信する度に更新されることになる。すべてのセンサーから周期的に情報を受信している場合には、ほぼリアルタイムで建物内の状況を更新することができる。但し、センサーからの情報送信の周期が相対的に長い場合には、建物内の状況を更新する周期は相対的に長くなる。
【0057】
図10は、本実施の形態に係る情報記録装置100における情報処理を示す機能ブロック図である。
図10を参照して、情報記録装置100は、その機能モジュールとして、情報特定モジュール158と、状況推定モジュール152と、表示モジュール154と、記録モジュール156とを含む。
図10に示す機能ブロックは、典型的には、情報記録装置100のプロセッサ102が処理プログラム122を実行することで実現される。
【0058】
図10を参照して、情報特定モジュール158は、いずれかのセンサーから情報を受信すると、当該受信した情報がいずれのセンサーからの情報であるかを特定する。より具体的には、情報特定モジュール158は、
図7(A)に示すデータフォーマット300内の送信元部304またはタグ名部306に格納されている情報に基づいて、受信した各情報の取得源を特定する。この特定された取得源を示す識別情報とともに、その取得された値が状況推定モジュール152へ与えられる。
【0059】
状況推定モジュール152は、識別情報および取得された値を用いて、建物内の状況を推定する。そして、状況推定モジュール152は、記録モジュール156に記録されている建物内の状況を都度更新する。すなわち、状況推定モジュール152は、センサー群から取得した情報に基づいて、建物内に存在する人の状況を推定する。
【0060】
状況推定モジュール152は、
図5および
図9(B)に示すように、人が存在している建物内の位置についての情報を建物内の状況として推定する。
【0061】
記録モジュール156は、推定された人の状況(状況情報)を連続的に記録する。なお、記録モジュール156は、主記憶部104または二次記憶部120(いずれも
図3)の領域の一部に形成される。建物内の状況は、スナップショット方式で順次格納されるようにしてもよい。
【0062】
表示モジュール154は、記録モジュール156に記録されている建物内の状況、および、状況推定モジュール152からの状況情報に基づいて、
図9に示すような画面を表示するための情報を生成する。すなわち、表示モジュール154は、建物に存在していたと推定される人数を階層別に表示する(
図9(A)参照)。なお、表示モジュール154の機能については、情報記録装置100に設けてもよいが、情報記録装置100に記録されている情報を読み出す外部装置(典型的には、パーソナルコンピュータ)に実装されるようにしてもよい。表示機能は、情報記録装置100から読み出した情報を利用する際に必要になるからである。
【0063】
<E.他の情報記録装置との連携>
本実施の形態に係る情報記録装置100は、単独で、建物用の「ブラックボックス」として機能するが、機能を多重化・冗長化する観点からは、複数の情報記録装置100が連携するように構成することが好ましい。
【0064】
図11は、本実施の形態に係る複数の情報記録装置100が連携する状態の一例を示す図である。
図11を参照して、例えば、隣接する建物1−1,1−2,1−3にそれぞれ配置された情報記録装置100−1,100−2,100−3の間で、情報を遣り取りできる(有線または無線)リンクが構成される。このようなリンクを用いることで、例えば、建物1−1の建物内の状況を情報記録装置100−1だけではなく、情報記録装置100−2および/または情報記録装置100−3に記録することができる。あるいは、情報記録装置100−1から情報記録装置100−2にアクセスするようなこともできる。
【0065】
このように、同一の情報を複数の情報記録装置100で共有して保持することで、情報記録の冗長性を向上でき、いずれかの建物またはその建物に配置されている情報記録装置100が災害によって損傷した場合であっても、健全な情報記録装置100から必要な情報を取得することができる。
【0066】
<F.防災ネットワーク>
本実施の形態に係る情報記録装置100は、建物用の「ブラックボックス」として機能するため、情報記録装置100が記録している情報を消防署および警察といった公共機関400との間で共有することが好ましい。
【0067】
図12は、本実施の形態に係る複数の情報記録装置100を含む防災ネットワークの一例を示す図である。
図12を参照して、例えば、複数の建物1−1,1−2,1−3にそれぞれ配置された情報記録装置100−1,100−2,100−3は、それぞれ公共機関400との間で、情報を遣り取りできる(有線または無線)リンクを構成される。このようなリンクを用いることで、例えば、情報記録装置100−1に格納されている建物1−1の建物内の状況を、公共機関400からアクセスすることもできる。
【0068】
説明の便宜上、
図12には、1つの公共機関400を例示するが、複数の公共機関400と情報記録装置100−1との間で双方向または一方向のリンクを構成し、複数の公共機関400の間で、建物内の状況を共有するようにしてもよい。
【0069】
このように、公共機関が1または複数の建物内の状況を早期に把握することで、何らかの災害が発生したときに、建物内に取り残された人などの救助や探索をより迅速かつ効率的に行なうことができる。
【0070】
さらに、あるエリア内に存在する複数の建物にそれぞれ情報記録装置100を配置するとともに、複数の情報記録装置100と1または複数の公共機関400との間でリンクを確立することで、エリア防災ネットワークを構成できる。
【0071】
<G.利点>
本実施の形態に係る情報記録装置100によれば、建物内の状況を都度取得できるので、災害が発生した後に、建物内に取り残された人などの状況を把握することができ、このような情報を利用することで、迅速かつ確実な救助および探索を実現できる。
【0072】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。