(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御ユニットが、前記操作ユニットの非操作が前記所定時間以上継続すると、使用者が前記車体の近くに前記所定時間以上いないと判断するようにプログラムされている、請求項1または2に記載の電動車両。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、インジケータランプ等で押し歩きスイッチのオン/オフ状態を表示することについての記載がある(特許文献1の段落0055)。しかし、インジケータ等による表示を使用者が見逃した場合には、使用者は押し歩きスイッチのオフ操作を忘れるおそれがある。この場合、押し歩きスイッチがオンの状態のままで使用者が車両から離れるおそれがある。
【0005】
そこで、この発明の一実施形態は、電動モータが駆動力を直ちに発生可能な状態での放置を回避可能な電動車両を提供する。
また、この発明の一実施形態は、使用者の意図を反映して駆動力の発生を適切に制御することができる電動車両を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の一実施形態は、車体と、前記車体に備えられた電動モータと、前記車体に備えられた車輪と、前記電動モータの動力で車輪を回転駆動するために使用者によって操作される操作ユニットと、前記操作ユニットの操作に応じて、前記電動モータを制御する制御ユニットとを含む電動車両を提供する。前記制御ユニットは、基本状態と、前記基本状態との間で遷移可能な駆動待機状態と、前記駆動待機状態との間で遷移可能で前記電動モータの動力を前記車輪に伝達させる駆動状態とを含む複数の制御状態を有し、前記駆動待機状態で前記操作ユニットが操作されると前記駆動状態に遷移し、前記駆動待機状態で使用者が前記車体の近くに所定時間以上いないと判断すると前記基本状態に遷移するようにプログラムされている。
【0007】
制御ユニットの制御状態が駆動待機状態のときに操作ユニットが操作されると、制御ユニットの制御状態が駆動状態に遷移し、電動モータの動力が車輪に伝達される。一方、駆動待機状態のときに使用者が所定時間以上車体の近くから離れていると判断されると、制御ユニットの制御状態が基本状態に遷移する。基本状態からは、駆動待機状態を経なければ駆動状態に遷移できない。したがって、操作ユニットが操作されても、電動モータの動力が車輪に直ちには伝達されない。
【0008】
このように、使用者が所定時間以上車体の近く(たとえば、操作ユニットを使用者自らが操作できる範囲)から離れている場合には、操作ユニットが操作されても電動モータの動力が直ちには伝達されない状態、すなわち、基本状態に自動的に遷移する。これにより、電動モータの動力によって直ちに駆動可能な状態で車両が放置されることがない。その一方で、使用者が車体の近くにいれば、駆動待機状態が維持されるので、操作ユニットの操作によって、電動モータの動力を車輪に直ちに伝達させて車両を駆動できる。
【0009】
こうして、使用者の意図を反映して、適切に駆動力を発生することができる電動車両を提供できる。
この発明の一実施形態では、前記制御ユニットが、前記基本状態で前記操作ユニットが操作されると前記駆動待機状態に遷移するようにプログラムされている。この構成によれば、基本状態で操作ユニットが操作されると、駆動待機状態に遷移し、その遷移後に操作ユニットが操作されると駆動状態に遷移する。そして、駆動待機状態では、使用者が所定時間以上車体の近くを離れると、基本状態に自動的に遷移する。したがって、使用者が車体の近くにいない状況では、自動的に基本状態となるから、操作ユニットが操作されても、車両が直ちに駆動されることがない。
【0010】
この発明の一実施形態では、前記制御ユニットが、前記操作ユニットが操作されている間、前記駆動状態に保持され、前記駆動状態において前記操作ユニットの非操作が検出されると前記駆動待機状態に遷移するようにプログラムされている。
この構成では、駆動待機状態において操作ユニットが操作されると駆動状態に遷移し、その後、操作ユニットが操作されている間、駆動状態に保たれて、車両が駆動される。使用者が操作ユニットの操作を中止すると、駆動待機状態に遷移し、車両の駆動が中止される。よって、操作ユニットが操作されていないときには、駆動待機状態となり、さらに使用者が所定時間以上車体の近くを離れると、基本状態に自動遷移する。
【0011】
この発明の一実施形態では、前記制御ユニットが、前記操作ユニットの非操作が前記所定時間以上継続すると、使用者が前記車体の近くに前記所定時間以上いないと判断するようにプログラムされている。この構成によれば、操作ユニットの非操作によって使用者の不在を検出できるので、使用者の不在を検出するための特別な検出ユニットを設ける必要がない。
【0012】
この発明の一実施形態では、使用者が前記車体の近くにいるかどうかを検出する使用者検出ユニットをさらに含み、前記制御ユニットが、前記使用者検出ユニットが使用者を検出せず、かつ前記操作ユニットに対する操作入力がない状態が前記所定時間以上継続すると、使用者が前記車体の近くに前記所定時間以上いないと判断するようにプログラムされている。
【0013】
この構成によれば、操作ユニットの非操作に加えて、使用者検出ユニットを用いて使用者の不在を判断できるので、使用者が車体の近くにいるか否かを確実に判断できる。それにより、制御ユニットの制御状態を一層適切に遷移させることができるので、使用者の意図を適切に反映して、駆動力の発生を制御できる。
この発明の一実施形態では、前記使用者検出ユニットが、前記電動車両が走行しているかどうかを検出する車速検出ユニットを含む。これにより、操作ユニットが操作されず、かつ車両が停止している状態が所定時間以上継続すると、制御ユニットの制御状態が、駆動待機状態から基本状態へと自動遷移する。
【0014】
この発明の一実施形態では、前記車体に設けられ、使用者が入力する人力を前記車輪に伝達する人力駆動系をさらに含み、前記使用者検出ユニットが、前記人力駆動系への人力の入力を検出する人力入力検出ユニットを含む。
この構成によれば、人力入力系への入力が人力入力検出ユニットによって検出され、その検出結果に基づいて、使用者が車体の近くにいるかどうかが判断される。これにより、より確実な判断が可能となり、使用者の意思に基づいて適切に駆動力を発生させることができる。
【0015】
この発明の一実施形態では、前記電動車両は、前記駆動待機状態を使用者に報知する報知ユニットをさらに含む。この構成によれば、駆動待機状態が使用者に報知されることにより、使用者は、操作ユニットの操作によって駆動状態に遷移して駆動力が発生することを認識できる。また、使用者は、報知ユニットの報知状態に基づいて、駆動待機状態でないことを知ることもできるから、制御状態を知ったうえで、適切な操作を行える。
【0016】
この発明の一実施形態では、前記報知ユニットが、前記車体に支持される表示ユニットを含む。この構成によれば、駆動待機状態が表示ユニットによる表示によって使用者に報知される。表示ユニットによる報知は、使用者が車体の近く(たとえば表示ユニットの表示を視認可能な範囲)にいるときにとくに有効である。使用者が車体の近くから離れると、駆動待機状態から基本状態へと自動遷移するので、使用者が車体の近くから離れた状況では報知の必要性は低い。したがって、表示ユニットによる報知が適切かつ十分である。
【0017】
この発明の一実施形態では、前記車体が、使用者が跨がって乗車する鞍乗り型の車体である。この場合、鞍乗り型の車両が構成される。電動モータの駆動力は、使用者が鞍乗り型車両に乗車しているときに車輪に伝達させてもよい。また、電動モータの駆動力は、使用者が鞍乗り型車両を押し歩きしているときに車輪に伝達させてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る電動車両の一例である電動二輪車の構成を説明するための側面図である。以下の説明では、前後左右の方向は、サドルに着座した使用者から見た方向をいう。すなわち、
図1には、電動二輪車1の右側面が表れている。
電動二輪車1は、電動モータの駆動力を車輪に伝達する構成を備えた電動車両であり、より具体的には、鞍乗り型電動車両である。電動二輪車1は、前輪3および後輪4を備えている。さらに、電動二輪車1は、人力によって後輪4を駆動するための人力駆動系を備えている。
【0020】
電動二輪車1は、鞍乗り型の車体を構成する車体フレーム2を備えている。車体フレーム2に、前輪3および後輪4が取り付けられている。車体フレーム2は、ヘッドパイプ5、メインパイプ6、シートパイプ8、左右一対のリヤパイプ9、および左右一対の下部パイプ10を備えている。ヘッドパイプ5から斜め下後方に延びるように、メインパイプ6が設けられている。メインパイプ6の後端部から上方に延びるようにシートパイプ8が設けられている。シートパイプ8の上端部にサドル11が取り付けられている。サドル11の下方において、シートパイプ8の後側にバッテリ12が取り付けられている。
【0021】
シートパイプ8の上端部から後方かつ斜め下方に延びるように、一対のリヤパイプ9が互いにほぼ平行に設けられている。一方、メインパイプ6の後端部から後方にほぼ水平に延びるように一対の下部パイプ10が互いにほぼ平行に設けられている。一対のリヤパイプ9の後端部と一対の下部パイプ10の後端部とが、それぞれ互いに結合されている。リヤパイプ9と下部パイプ10との結合部分に、後輪スプロケット15および後輪4が回転自在に取り付けられている。
【0022】
メインパイプ6とシートパイプ8との結合部には、左右に水平に延びるようにクランク軸16が回転自在に取り付けられている。クランク軸16には、駆動スプロケット17が取り付けられている。駆動スプロケット17と後輪スプロケット15とに、無端のチェーン18が巻き掛けられている。したがって、クランク軸16の回転は、駆動スプロケット17からチェーン18を介して後輪スプロケット15に伝達される。クランク軸16の両端部には、一対のクランクアーム19がそれぞれ取り付けられている。クランク軸16および一対のクランクアーム19は、クランク23を構成している。一対のクランクアーム19に一対のペダル20がそれぞれ取り付けられている。運転者がペダル20を操作することにより、クランク軸16を回転することができ、それによって、人力によって後輪4を駆動することができる。
【0023】
クランク23の近傍には、駆動ユニット30が配置され、メインパイプ6および下部パイプ10に支持されている。駆動ユニット30は、電動モータ31と、電動モータ31の駆動軸に結合されたモータ駆動スプロケット32と、チェーン18にテンションを与えながら従動回転するテンションスプロケット33とを含む。駆動スプロケット17と後輪スプロケット15との間において、下側のチェーン18にモータ駆動スプロケット32がチェーン18の外側(下方側)から係合している。モータ駆動スプロケット32と後輪スプロケット15との間において、下側のチェーン18にテンションスプロケット33がチェーン18の内側(上方側)から係合している。テンションスプロケット33はモータ駆動スプロケット32よりも下方にあって、チェーン18に張力を与えている。
【0024】
この構成により、電動モータ31を駆動すると、その駆動力がチェーン18に伝達され、さらにチェーン18から後輪4に駆動力が伝達される。それによって、電動モータ31の駆動力によって電動二輪車1を駆動できる。後輪4は、電動モータ31の動力によって回転駆動される車輪である。
ヘッドパイプ5には、ステアリング軸25が回転自在に挿入されている。ステアリング軸25の下端部には、一対のフロントフォーク26が互いにほぼ平行に取り付けられている。一対のフロントフォーク26の下端部には、前輪3が回転自在に取り付けられている。ステアリング軸25の上端にはハンドルバー27が取り付けられている。
【0025】
図2は、ハンドルバー27の近傍の平面図である。ハンドルバー27は、ほぼ水平に延びており、運転者の左手および右手によってそれぞれ握持される左右一対のグリップ28L,28Rを有している。運転者がハンドルバー27を左右に回動操作することによって、ステアリング軸25がヘッドパイプ5の軸心を中心に回動し、それに伴って、フロントフォーク26および前輪3が一体的に左右に回動する。それによって、電動二輪車1が操舵される。
【0026】
左右のグリップ28L,28Rの近くに、それぞれ、後輪ブレーキレバー29Rおよび前輪ブレーキレバー29Fが配置され、ハンドルバー27に結合されている。運転者が後輪ブレーキレバー29Rを操作すると、その操作力は、後輪ブレーキワイヤ35を介して、後輪ブレーキユニット36(
図1参照)に伝達される。後輪ブレーキユニット36は、後輪4の車軸付近に配置され、後輪4に対して制動力を与える制動装置である。後輪ブレーキユニット36は、ローラブレーキユニットであってもよい。運転者が前輪ブレーキレバー29Fを操作すると、その操作力は、前輪ブレーキワイヤ37を介して、前輪ブレーキユニット38(
図1参照)に伝達される。前輪ブレーキユニット38は、フロントフォーク26の上端部に取り付けられ、前輪3に対して制動力を与える制動装置である。前輪ブレーキユニット38は、キャリパーブレーキユニットであってもよい。
【0027】
図3は、ハンドルバー27に取り付けられたリモートコントロールユニット40の構成例を示す平面図である。リモートコントロールユニット40は、スイッチユニット41と表示ユニット42とを含む。スイッチユニット41と表示ユニット42とは、ケーブル43を介して接続されている。また、スイッチユニット41は、ケーブル44を介して、駆動ユニット30に備えられた制御ユニット70(
図4参照)に接続されている。
【0028】
スイッチユニット41は、電源スイッチ51と、自走スイッチ52と、走行モード切換スイッチ53U,53Dとを有している。電源スイッチ51は、駆動ユニット30およびリモートコントロールユニット40に電源を投入したり、その電源を遮断したりするために使用者によって操作される操作スイッチである。
自走スイッチ52は、使用者がサドル11に着座している場合に電動モータ31の駆動力で電動二輪車1を走行させるために操作される操作スイッチである。すなわち、自走スイッチ52は、ペダル20に踏力を加えずに電動二輪車1を電動モータ31の駆動力で駆動(自走)させるために使用者によって操作されるスイッチである。自走スイッチ52は、この発明の一実施形態における操作ユニットの一例である。
【0029】
走行モード切換スイッチ53U,53Dは、使用者がペダル20に踏力を加えて電動二輪車1を走行させているときに、駆動ユニット30から発生させる補助力の大きさを調整させるための操作スイッチである。走行モード切換スイッチは、補助力を大きくするためのアシストアップスイッチ53Uと、補助力を小さくするためのアシストダウンスイッチ53Dとを含む。
【0030】
表示ユニット42は、たとえば、液晶表示パネル等の二次元表示装置である。表示ユニット42の表示画面は、車速表示部55、走行モード表示部56、バッテリ残量表示部57、走行距離表示部58、状態表示部59などを含む。
走行モード表示部56は、走行モード切換スイッチ53U,53Dの操作によって選択可能な走行モードを表示する。この実施形態では、走行モード切換スイッチ53U,53Dの操作によって標準アシスト状態(STD)、強アシスト状態(HIGH)、弱アシスト状態(ECO)、およびアシスト無し状態のうちのいずれかを走行モードとして選択可能である。
【0031】
状態表示部59は、自走スイッチ52の操作により駆動力が発生する状態(自走可能状態)かどうかを表示して、そのことを使用者に報知する。自走スイッチ52の操作によって駆動力が発生する自走可能状態は、たとえば、“RUN”、“READY”などの文字表示であってもよい。
車速表示部55は、電動二輪車1の走行速度を表示する。バッテリ残量表示部57は、バッテリ12の残容量を表示する。走行距離表示部58は、電動二輪車1が走行した距離を表示する。
【0032】
表示ユニット42は、ハンドルバー27に固定される端子付台座45(
図4参照)に対して着脱自在に構成されていてもよい。
図4は、電動二輪車1の制御システムの構成を説明するためのブロック図である。電動二輪車1は、運転者(使用者)によりペダル20に加えられた踏力を所定の変速比で変速して後輪4に供給する人力駆動系61と、電動モータ31の駆動力を後輪4に供給する電動駆動系62とを有している。
【0033】
人力駆動系61は、ペダル20に加えられた踏力によって回転するクランク23と、増速機構65と、ワンウェイクラッチ66とを含む。増速機構65は、駆動スプロケット17、チェーン18および後輪スプロケット15を含む。駆動スプロケット17と後輪スプロケット15との歯数比に応じて、クランク23の回転が増速される。ワンウェイクラッチ66は、後輪スプロケット15の一方向(前進方向)の回転力を後輪4に伝達し、他方向(後退方向)の回転力は伝達しない。したがって、クランク23に加えられる前進方向の回転力(人力トルク)が、増速機構65によって増速された後に、ワンウェイクラッチ66を介して後輪4に伝達される。
【0034】
電動駆動系62は、トルクセンサ71、クランクセンサ72および車速センサ73の出力に応じて、電動モータ31を駆動する。また、電動駆動系62は、自走スイッチ52の操作に応じて、電動モータ31を駆動する。
トルクセンサ71は、クランク23に加えられるトルク(踏力)を検出し、そのトルクに応じたトルク信号を出力する。クランクセンサ72は、クランク23の回転角を検出し、その回転角を表す回転角信号を出力する。トルクセンサ71およびクランクセンサ72は、使用者の人力の入力を検出する人力入力検出ユニットの例である。車速センサ73は、電動二輪車1の速さを検出し、その速さを表す車速信号を出力する。車速センサ73は、前輪3または後輪4の回転速度(車輪速)を検出するセンサであってもよい。車速センサ73は、電動二輪車1が走行しているかどうかを検出する車速検出ユニットの一例である。
【0035】
電動駆動系62は、電動モータ31、減速機構68、および制御ユニット70(モータコントローラ)を含む。制御ユニット70は、リモートコントロールユニット40、トルクセンサ71、クランクセンサ72および車速センサ73の出力信号に応じて、電動モータ31を駆動する。電動モータ31の回転は、減速機構68によって減速された後、ワンウェイクラッチ66を介して、後輪4に伝達される。減速機構68は、モータ駆動スプロケット32、チェーン18および後輪スプロケット15を含む。
【0036】
制御ユニット70は、トルク指令値演算ユニット75を備えている。より具体的には、制御ユニット70は、マイクロコンピュータを含み、複数の機能を実現するようにプログラムされている。その複数の機能が、トルク指令値演算ユニット75としての機能を含む。
トルク指令値演算ユニット75は、リモートコントロールユニット40、トルクセンサ71、クランクセンサ72および車速センサ73の出力信号に応じて、トルク指令値を演算する。そのトルク指令値で、モータ駆動ユニット76が制御される。モータ駆動ユニット76は、トルク指令値に応じて電動モータ31に電流を供給する駆動回路を含む。
【0037】
トルク指令値は、電動モータ31が発生すべき駆動トルクの指令値である。モータ駆動ユニット76は、トルク指令値に対応するデューティー比でバッテリ12からの駆動電圧をPWM(パルス幅変調)制御する。このPWM制御された駆動電圧が電動モータ31に印加される。それによって、電動モータ31に、トルク指令値に対応した駆動電流が流れる。
【0038】
バッテリ12は、セル78と、バッテリコントローラ79とを含む。セル78が発生する電流が、制御ユニット70を介して電動モータ31に供給される。また、セル78から供給される電力によって、制御ユニット70およびリモートコントロールユニット40が作動する。バッテリコントローラ79は、制御ユニット70と通信して、バッテリ残量等の情報を制御ユニット70に伝達する。
【0039】
リモートコントロールユニット40は、バッテリ12から制御ユニット70を介して供給される電力によって作動する。制御ユニット70にケーブル44を介してスイッチユニット41が接続されており、スイッチユニット41にケーブル43を介して表示ユニット42が接続されている。制御ユニット70は、スイッチユニット41および表示ユニット42と通信する。それにより、制御ユニット70は、スイッチユニット41からの指令信号を受信し、かつ表示ユニット42に対して表示制御信号を与える。表示ユニット42は、端子付台座45を介してケーブル43に接続される。表示ユニット42は、端子付台座45に対して着脱自在である。
【0040】
図5は、制御ユニット70の制御状態の遷移を説明するための状態遷移図である。制御ユニット70は、複数の制御状態をとることができる。制御ユニット70がいずれの制御状態にあるかは、たとえば、制御ユニット70が内部に保持する状態変数によって表される。制御ユニット70は、制御状態に応じて、すなわち状態変数の値に応じて、異なる内容の制御を実行する。
【0041】
より具体的には、制御ユニット70は、次のような複数の制御状態をとり得る。
Off/未装着状態:表示ユニット42が端子付台座45に装着されておらず、したがって未接続の状態であり、制御ユニット70の電源が遮断されている状態。
Off/装着状態:表示ユニット42が端子付台座45に装着されて制御ユニット70に接続されており、制御ユニット70の電源が遮断されている状態。
【0042】
標準状態:制御ユニット70の電源が投入されて、ペダル踏力に対する標準補助力が電動モータ31から発生される標準アシスト状態。電源投入直後の初期状態。
高出力状態:制御ユニット70の電源が投入されており、ペダル踏力に対して標準補助力よりも大きな補助力を電動モータ31から発生させる強アシスト状態。
省エネルギー状態:制御ユニット70の電源が投入されており、ペダル踏力に対して標準補助力よりも小さな補助力を電動モータ31から発生させる弱アシスト状態。
【0043】
自走可能状態:自走スイッチ52の操作によって電動モータ31から駆動力を発生させることができる駆動待機状態。
自走状態:自走スイッチ52が操作されていて、電動モータ31から駆動力が発生されている駆動状態。
アシストOff状態:制御ユニット70の電源が投入されているが、電動モータ31から駆動力が発生されないアシスト無し状態。
【0044】
表示ユニット42が装着されているときに、使用者が電源スイッチ51を操作することによって制御ユニット70に電源が投入されると、Off/装着状態から標準状態に遷移し、走行モードが標準アシスト状態となる。したがって、使用者がペダル20を踏んで人力を入力すると、それに応じた補助力が電動モータ31から発生する。また、制御ユニット70は、表示ユニット42の走行モード表示部56に、標準アシスト状態(STD)を表示させる。
【0045】
標準状態においてアシストアップスイッチ53Uが操作されると、高出力状態に遷移して、走行モードが強アシスト状態となる。したがって、電動モータ31が発生する補助力のペダル踏力に対する割合が大きくなり、電動モータ31はより強力にペダル操作を補助する。制御ユニット70は、表示ユニット42の走行モード表示部56に、強アシスト状態(HIGH)を表示させる。高出力状態においてアシストダウンスイッチ53Dが操作されると、標準状態に遷移して、走行モードは標準アシスト状態となり、それに応じて、走行モード表示部56の表示も切り換わる。
【0046】
標準状態においてアシストダウンスイッチ53Dが操作されると、省エネルギー状態に遷移して、走行モードが弱アシスト状態(ECO)となる。したがって、電動モータ31が発生する補助力のペダル踏力に対する割合が小さくなり、電動モータ31による補助が弱められ、省エネルギー化が図られる。また、制御ユニット70は、表示ユニット42の走行モード表示部56に、弱アシスト状態(ECO)を表示させる。省エネルギー状態においてアシストダウンスイッチ53Dが操作されると、アシストOff状態に遷移して、走行モードはアシスト無し状態となり、電動モータ31が停止状態となる。すなわち、専ら人力による駆動力が車体に与えられる状態となる。アシストOff状態からアシストアップスイッチ53Uが操作されると省エネルギー状態に遷移して走行モードが弱アシスト状態(ECO)となり、それに応じて走行モード表示部56の表示が切り換わる。省エネルギー状態からアシス
トアップ
スイッチ53Uが操作されると標準状態に遷移して、走行モードが標準アシスト状態(STD)となり、それに応じて走行モード表示部56の表示が切り換わる。
【0047】
標準状態、高出力状態および省エネルギー状態のいずれかのアシスト状態において自走スイッチ52が操作されると、自走可能状態(駆動待機状態)に遷移する。これにより、制御ユニット70は、表示ユニット42の状態表示部59に、“RUN”、“READY”などと表示して、自走スイッチ52の操作によって駆動力が発生する自走可能状態となったことを使用者に報知する。
【0048】
自走可能状態では、電動モータ31は駆動しない。自走可能状態において、所定時間(たとえば5秒間)、自走スイッチ52の操作がない場合には、遷移前のアシスト状態(基本状態)に自動的に復帰する。基本状態への自動復帰は、自走スイッチ52の非操作だけを条件としてもよく、さらに別の条件を判断してもよい(後述の
図6参照)。また、所定時間の経過前であっても、自走可能状態において、トルクセンサ71またはクランクセンサ72がペダル操作を検出した場合にも、遷移前のアシスト状態(基本状態)に自動復帰する。基本状態に復帰すると、状態表示部59の“RUN”、“READY”などの自走可能状態表示は消去される。
【0049】
自走可能状態において、自走スイッチ52が操作されると、自走状態(駆動状態)に遷移し、制御ユニット70は、自走用に設定されたトルク指令値に基づいて電動モータ31を駆動する。その駆動力によって、乗車状態の電動二輪車1を走行させることができる。自走状態において、自走スイッチ52の操作が解除されると、自走可能状態に戻る。つまり、自走スイッチ52が操作されている間だけ、自走状態となって、電動モータ31が駆動力を発生する。制御ユニット70は、車速センサ73によって検出される車速を検出して、所定の上限車速以下の車速範囲で自動二輪車1が走行するように、電動モータ31を駆動してもよい。上限車速は、たとえば25km/h〜45km/hの範囲内の値に設定されてもよい。
【0050】
また、自走状態において、トルクセンサ71またはクランクセンサ72がペダル操作を検出すると、自走可能状態に遷移する前の元のアシスト状態(基本状態)に遷移する。この遷移は、自走可能状態を介しない直接遷移である。したがって、ペダル20が操作されると、直ちにその踏力に応じた補助力を発生させることができる。
電源が投入されているときに、電源スイッチ51が操作されると、いずれの状態からも、Off/装着状態に遷移して、制御ユニット70の電源が遮断される。また、所定のオートパワーオフ条件が充足されたときも同様に、いずれの状態からも、Off/装着状態に遷移する。オートパワーオフ条件は、たとえば、所定時間(たとえば300秒)に渡って、トルクセンサ71、クランクセンサ72、車速センサ73、スイッチユニット41などのいずれからの入力も検出されないことであってもよい。
【0051】
また、電源が投入されているときに、表示ユニット42が端子付台座45から取り外されると、いずれの状態からも、Off/未装着状態に遷移して、制御ユニット70の電源が遮断される。
図6は、自走スイッチ52の操作に関連する制御ユニット70の制御状態の遷移を説明するためのフローチャートである。制御ユニット70がいずれかのアシスト状態にあるとき、その現在のアシスト状態を基本状態とする。すなわち、基本状態とは、標準状態、高出力状態または省エネルギー状態である。この基本状態から、自走スイッチ52が操作されると(ステップS2:YES)、制御ユニット70は、その制御状態を自走可能状態に遷移させ(ステップS3)、表示ユニット42に自走可能状態であることを表示させる(ステップS4)。この実施形態では、
図3に示すように、“RUN”の表示によって、自走可能状態であることが表示され、そのことが使用者に報知される。
【0052】
制御ユニット70は、自走可能状態において、自走スイッチ52の操作の有無を監視する(ステップS5)。自走スイッチ52が操作されると(ステップS5:YES)、制御ユニット70は、その制御状態を自走状態に遷移させ(ステップS6)、予め定めた自走用のトルク指令値に基づいてモータ駆動ユニット76を制御する。それにより、電動モータ31が駆動し、その駆動力が後輪4に伝達される。
【0053】
自走可能状態における自走スイッチ52の操作の判断(ステップS5)は、基本状態から自走可能状態に遷移する原因となった自走スイッチ52の操作が一旦解除された後の新たな操作の有無の判断(第1の判断)を含んでいてもよい。この場合、基本状態から自走スイッチ52を2回操作することによって、自走可能状態を経て自走状態に遷移する。また、自走可能状態における自走スイッチ52の操作の判断(ステップS5)は、基本状態から自走可能状態に遷移する原因となった自走スイッチ52の操作が所定時間(たとえば1秒)以上継続したかどうかの判断(第2の判断)を含んでいてもよい。この場合、基本状態から自走スイッチ52を長押し操作することによって、自走可能状態を経て自走状態に遷移する。ステップS5における判断は、少なくとも上記第1の判断を含むことが好ましく、上記第1および第2の判断の両方を含んでいてもよい。第1および第2の判断の両方を行うことにより、自走スイッチ52の2回操作および長押し操作のいずれによっても、基本状態から自走可能状態を経て自走状態へと遷移させることができる。
【0054】
自走状態において、自走スイッチ52の操作が解除されると(ステップS7:YES)、制御ユニット70は、その制御状態を自走可能状態に遷移させる。すなわち、自走スイッチ52が操作されている間だけ(ステップS7:NO)、電動モータ31は、自走のための駆動力を発生する。
一方、自走可能状態において、自走スイッチ52の操作が検出されないときには(ステップS5:NO)、制御ユニット70は、使用者が所定時間(この実施形態では5秒間)以上、電動二輪車1の近くにいない状態が続いたかどうかを判断する。具体的には、制御ユニット70は、自走スイッチ52が非操作状態かどうかを判断する(ステップS5)。また、制御ユニット70は、車速センサ73が検出する車速が所定の走行判定閾値(たとえば2km/h)を超えているかどうかを判断する(ステップS8)。すなわち、電動二輪車1が走行しているか否かを判断する。さらに、制御ユニット70は、トルクセンサ71またはクランクセンサ72の出力を参照して、ペダル20から人力が入力されているかどうかを判断する(ステップS9)。制御ユニット70は、自走スイッチ52が非操作状態であり(ステップS5:NO)、車速が走行判定閾値以下であり(ステップS8
:NO)、ペダル20からの人力入力がなければ(ステップS9:NO)、使用者が電動二輪車1の近くにいないと判断する。その状態が所定時間(たとえば5秒間)に渡って継続すると(ステップS10:YES)、制御ユニット70は、使用者が所定時間以上電動二輪車1の近くにいない状態であると判断して、制御状態を、元のアシスト状態(基本状態)に自動遷移させる(ステップS11)。
【0055】
自走スイッチ52が非操作状態であっても(ステップS5:NO)、車速が走行閾値を超えていれば(ステップS8:YES)、自走可能状態が維持される。また、自走可能状態の継続中にペダル20からの人力入力が検出されると(ステップS9:YES)、制御ユニット70は、ステップS10の判断を経ることなく、元のアシスト状態(基本状態)にその制御状態を直ちに遷移させる。自走スイッチ52が非操作状態で(ステップS5:NO)、車速が走行閾値以下であり(ステップS8:NO)、かつ人力入力が検出されなくても(ステップS9:NO)、その状態が所定時間以上継続する前は(ステップS10:NO)、自走可能状態(ステップS3)に維持される。
【0056】
以上のように、この実施形態によれば、制御ユニット70の制御状態が自走可能状態のときに自走スイッチ52が操作されると、制御ユニット70の制御状態が自走状態に遷移し、電動モータ31の動力が後輪4に伝達される。一方、自走可能状態のときに使用者が所定時間以上車体の近くから離れていると判断されると、制御ユニット70の制御状態が自走可能状態に遷移する前の元のアシスト状態(基本状態)に遷移する。この実施形態では、アシスト状態で自走スイッチ52が操作されると自走可能状態に遷移し、その遷移後に自走スイッチ52が操作されると自走状態に遷移する。したがって、アシスト状態(基本状態)からは、自走可能状態を経なければ自走状態に遷移できないから、自走スイッチ52が操作されても、電動モータ31の動力が後輪4に直ちには伝達されない。すなわち、アシスト状態(基本状態)では自走スイッチ52が操作されても駆動力が発生しないので、使用者に駆動力を発生させる明確な意図がない限りは、駆動力が発生しない。
【0057】
このように、使用者が所定時間以上車体の近くから離れている場合には、自走スイッチ52が操作されても電動モータ31の動力が直ちには伝達されない状態、すなわち、アシスト状態に自動的に遷移する。これにより、自走スイッチ52の操作によって電動モータ31が直ちに駆動する状態で電動二輪車1が放置されることがない。その一方で、使用者が車体の近くにいれば、自走可能状態が維持されるので、自走スイッチ52の操作によって、電動モータ31の動力を後輪4に直ちに伝達させて電動二輪車1を駆動できる。こうして、使用者の意図を反映して、適切に駆動力を発生することができる電動二輪車1を提供できる。
【0058】
また、この実施形態では、
自走可能状態において自走スイッチ52が操作されると
自走状態に遷移し、その後、自走スイッチ52が操作されている間、
自走状態に保たれて、電動モータ31が駆動される。使用者が自走スイッチ52の操作を解除すると、
自走可能状態に遷移し、電動モータ31の駆動が中止される。よって、自走スイッチ52の操作を解除すると
自走可能状態となり、さらに使用者が所定時間以上車体の近くを離れると、基本状態に自動遷移する。よって、自走スイッチ52の操作によって電動モータ31の駆動力が直ちに発生する状態で電動二輪車1が放置されることがない。
【0059】
この実施形態では、制御ユニット70は、自走スイッチ52の非操作が所定時間(たとえば5秒)以上継続することを条件に、使用者が車体の近くに所定時間以上いないと判断する。これにより、特別な検出ユニットを設けることなく、操作ユニットの非操作を利用して使用者の不在を検出できる。
また、この実施形態では、電動モータ31の駆動制御のために用いられるセンサ類、すなわち、トルクセンサ71、クランクセンサ72および車速センサ73を使用者検出ユニットとして利用している。より具体的には、トルクセンサ71またはクランクセンサ72の出力に基づいて、ペダル20への人力の入力の有無を判断し、それによって使用者が車体の近くにいるかどうかを検出している。また、車速センサ73の出力に基づいて、電動二輪車1が走行中かどうかを判断し、それに基づいて、使用者が車体の近くにいるかどうかを検出している。このように、電動モータ31の駆動制御のために用いられるセンサ類の出力と、自走スイッチ52の操作状態とを監視することによって、使用者の不在を確実に判断できる。それにより、制御ユニット70の制御状態を適切に遷移させることができるので、使用者の意図を適切に反映して、電動モータ31からの駆動力の発生を制御できる。
【0060】
仮に、使用者が車体の近くにいるにも拘わらず、誤った判断によって、
自走可能状態から基本状態への自動遷移が生じても大きな問題はない。自走スイッチ52を繰り返し操作したり、操作し続けたりすることによって、
自走可能状態を経て
自走状態へと速やかに制御状態を遷移させることができるので、使用者の意思に基づいて、大きな遅延を生じることなく、駆動力を発生させることができるからである。
【0061】
また、この実施形態では、制御ユニット70の制御状態が自走可能状態であるときに、表示ユニット42の状態表示部59での表示によって、そのことが使用者に報知される。これにより、使用者は、自走スイッチ52の操作によって電動モータ31の駆動力が後輪4に伝達されることを認識できる。また、使用者は、状態表示部59の表示に基づいて、
自走可能状態でないことを知ることもできるから、現在の制御状態を知ったうえで、適切な操作を行える。
【0062】
車体に支持された表示ユニット42による表示は、使用者が車体の近くにいるときにとくに有効である。使用者が車体の近くから離れると、制御ユニット70の制御状態が
自走可能状態からアシスト状態(基本状態)へと自動遷移するので、使用者が車体の近くから離れた状況では報知の必要性は低い。したがって、表示ユニット42による報知が適切かつ十分である。
【0063】
前述のとおり、使用者が電動二輪車1に乗車しているときに自走スイッチ52を操作することにより、ペダル20に踏力を加えることなく、電動モータ31の駆動力によって、電動二輪車1を
自走させることができる。
以上、この発明の一実施形態について説明したけれども、以下に例示的に列挙するとおり、この発明は、さらに他の形態で実施することも可能である。
【0064】
1.前述の実施形態では、自走スイッチ52の非操作だけでなく、車速に関する条件(ステップS8)およびペダル20への踏力の入力に関する条件(ステップS9)を判断して、使用者の不在を検出している。しかし、これらの3つの条件のうちの一つだけ、または任意の2つの組み合わせに基づいて使用者の不在を判断してもよい。たとえば、自走スイッチ52の非操作だけに基づいて使用者不在を判断しても差し支えない。また、車速が零の状態が所定時間継続すると、使用者が不在であると判断してもよい。また、前記3つの条件のうち、自走スイッチ52の非操作および車速に関する条件の2つを用いたり、自走スイッチ52の非操作およびペダル踏力に関する条件の2つを用いたりしてもよい。また、サドル11(シート)に使用者が着座しているか否かを検出する着座検出ユニットや、ハンドル(グリップ28L、28R)に使用者が触れているか否かを検出する検出ユニットを、使用者検出ユニットとして機能させてもよい。すなわち、使用者の着座が所定時間以上検出されない場合や、使用者がハンドルに触れていることが所定時間以上検出されない場合、使用者が車体の近くにいないと判断してもよい。これにより、使用者が乗車していない状態では、
自走可能状態からアシスト状態に自動遷移させることができる。
【0065】
2.前述の実施形態では、電動二輪車1の乗車状態での走行のための自走について説明したが、主として使用者がサドル11から降りて電動二輪車1を押し歩きするときのことを想定した押し歩きモードを備えてもよい。このような押し歩きモードは、たとえば、自走のときよりも低速で電動二輪車1を走行させるための駆動力を電動モータ31から発生させる走行モードであってもよい。
【0066】
3.電動二輪車1は、制動装置(後輪ブレーキユニット36、前輪ブレーキユニット38)の作動を検出するブレーキ検出ユニットを備えていてもよい。この場合には、制御ユニット70は、ブレーキ検出ユニットが制動装置の作動を検出すると、自走スイッチ52が操作されているときであっても、
自走状態を解除して
自走可能状態に遷移するようにプログラムされていてもよい。ブレーキ検出ユニットは、ブレーキ操作部材としてのブレーキレバー29R,29Fの操作を検出するブレーキスイッチであってもよい。
【0067】
4.ブレーキ検出ユニットを使用者検出ユニットとして利用してもよい。すなわち、所定時間内のブレーキ操作非検出を、使用者不在検出のための一条件としてもよい。
5.後輪駆動用の電動モータ31に代えて、またはそれに加えて、前輪3を駆動するための前輪駆動用の電動モータが設けられてもよい。
6.スイッチユニット41および表示ユニット42は、別体である必要はなく、それらを一体的に統合した一つのユニットでリモートコントロールユニット40を構成してもよい。
【0068】
7.電動モータ31の駆動力を発生させるための操作ユニットの形態は、ボタン型の自走スイッチ52に限られない。たとえば、グリップ28L,28Rのいずれかをハンドルバー27に対して回動可能なアクセルグリップとして、そのアクセルグリップを操作ユニットとして用いてもよい。その場合に、アクセルグリップの操作量に応じて電動モータ31を駆動するためのトルク指令値を可変してもよい。その他、レバー型等の任意の形態の操作ユニットを用いることができる。
【0069】
8.前述の実施形態では、自走可能状態の報知は、表示ユニット42の状態表示部59の表示による。しかし、自走可能状態の報知は、LED等が発生する光学信号によって行ってもよいし、ブザー等が発生する聴覚信号によって行ってもよい。
9.この発明が適用される車両は、ペダルを備えていない電動二輪車であってもよい。また、二輪車以外の鞍乗り型電動車両や、さらには鞍乗り型以外の電動車両にこの発明が適用されてもよい。たとえば、複数個の前輪または後輪を有する鞍乗り型車両の一例である、ATV(All Terrain Vehicle:全地形対応車)にこの発明が適用されてもよい。
【0070】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。