特許第6558021号(P6558021)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6558021
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】衛生洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 9/08 20060101AFI20190805BHJP
【FI】
   E03D9/08 B
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-66630(P2015-66630)
(22)【出願日】2015年3月27日
(65)【公開番号】特開2016-186176(P2016-186176A)
(43)【公開日】2016年10月27日
【審査請求日】2018年3月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】矢岡 寿成
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 陽一
(72)【発明者】
【氏名】雨森 博彰
【審査官】 油原 博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−122195(JP,A)
【文献】 特開2009−118918(JP,A)
【文献】 特開2000−096675(JP,A)
【文献】 特開2001−259622(JP,A)
【文献】 特開2007−031983(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/016389(WO,A1)
【文献】 特開2010−084334(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2009−0084036(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/08
C02F 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体局部に向けて水を吐出するノズルと、
給水源から前記ノズルに至る管路を有し、前記給水源から供給された水を前記ノズルに導く導水部と、
前記導水部の経路上に設けられ、前記導水部に水の流れが無い時に、前記管路内に空気を取り込むバキュームブレーカと、
前記導水部の経路上において前記バキュームブレーカと前記ノズルとの間に設けられ、水を流す流路と、前記流路を流れる水に紫外線を照射する発光部と、を有する紫外線照射部と、
前記紫外線照射部を制御する制御部と、
を備え
前記制御部は、人体洗浄の指示が入力されると、前記ノズルを収納した状態で前記流路に水を流す前洗浄モードと、前記前洗浄モードの後であって、前記ノズルを進出した状態で前記流路に水を流して人体局部に水を吐出する人体洗浄モードと、を実行可能であり、
前記前洗浄モードを実行している際に、前記紫外線照射部によって前記流路を流れる水に紫外線を照射する
ことを特徴とする衛生洗浄装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記人体洗浄モードを実行している際に、前記紫外線照射部によって前記流路を流れる水に紫外線を照射することを特徴とする請求項1記載の衛生洗浄装置。
【請求項3】
前記導水部の経路上に設けられた流路切替部をさらに備え、
前記ノズルは、複数の吐水口を有し、
前記流路切替部は、前記管路に連通させた状態と、前記管路に連通させない状態と、を前記複数の吐水口のそれぞれについて切り替え、
前記紫外線照射部は、前記バキュームブレーカと前記流路切替部との間に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の衛生洗浄装置。
【請求項4】
前記流路は、本体部と、前記本体部の内側に設けられ前記紫外線を反射させる反射部と、を有し、
前記紫外線に対する前記反射部の反射率は、前記本体部の反射率よりも高いことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の衛生洗浄装置。
【請求項5】
前記流路の少なくとも一部は、直管状であり、
前記発光部は、発光素子であり、
前記発光素子の前記紫外線を照射する方向は、前記流路の前記少なくとも一部の延びる方向と同じであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の衛生洗浄装置。
【請求項6】
前記発光部は、一方向に延びた水銀灯であり、
前記流路は、前記水銀灯の前記一方向に沿う形で形成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の衛生洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、衛生洗浄装置に関し、具体的には洋式腰掛便器に腰掛けた使用者の「おしり」などを水で洗浄する衛生洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
衛生洗浄装置の洗浄水として使用される水道水では、病気や腐敗を起こす可能性のある菌(微生物)を塩素によって死滅又は不活性化させることにより、菌を減らすことが行われている。しかしながら、塩素の混入のみで水道水中に含まれる菌を完全に取り除けるわけではない。このため、衛生洗浄装置では、洗浄水に紫外線を照射する紫外線照射部を設け、洗浄水に含まれる菌をより低減させることが提案されている(特許文献1)。
【0003】
また、衛生洗浄装置では、身体に向けて洗浄水を噴射するノズルからの水の逆流を抑制するため、流路にバキュームブレーカを設ける場合がある。こうしたバキュームブレーカを有する衛生洗浄装置において、紫外線照射部を適切な位置に配置し、より安全な洗浄水を供給できるようにすることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平05−004499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、安全な洗浄水を供給できる衛生洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、人体局部に向けて水を吐出するノズルと、給水源から前記ノズルに至る管路を有し、前記給水源から供給された水を前記ノズルに導く導水部と、前記導水部の経路上に設けられ、前記導水部に水の流れが無い時に、前記管路内に空気を取り込むバキュームブレーカと、前記導水部の経路上において前記バキュームブレーカと前記ノズルとの間に設けられ、水を流す流路と、前記流路を流れる水に紫外線を照射する発光部と、を有する紫外線照射部と、前記紫外線照射部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、人体洗浄の指示が入力されると、前記ノズルを収納した状態で前記流路に水を流す前洗浄モードと、前記前洗浄モードの後であって、前記ノズルを進出した状態で前記流路に水を流して人体局部に水を吐出する人体洗浄モードと、を実行可能であり、前記前洗浄モードを実行している際に、前記紫外線照射部によって前記流路を流れる水に紫外線を照射することを特徴とする衛生洗浄装置である。
第2の発明は、第1の発明において、前記制御部は、前記人体洗浄モードを実行している際に、前記紫外線照射部によって前記流路を流れる水に紫外線を照射することを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0007】
この衛生洗浄装置によれば、バキュームブレーカの取り込んだ空気に菌が含まれていたとしても、バキュームブレーカよりも下流側に配置された紫外線照射部によって、水に含まれる菌を減らすことができる。これにより、より安全な洗浄水を供給することができる。
【0008】
また、第の発明は、第1または第2の発明において、前記導水部の経路上に設けられた流路切替部をさらに備え、前記ノズルは、複数の吐水口を有し、前記流路切替部は、前記管路に連通させた状態と、前記管路に連通させない状態と、を前記複数の吐水口のそれぞれについて切り替え、前記紫外線照射部は、前記バキュームブレーカと前記流路切替部との間に設けられることを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0009】
この衛生洗浄装置によれば、流路切替部よりも上流側に紫外線照射部を設けることで、複数の吐水口のどの吐水口から吐出される洗浄水でも菌を減らすことができる。従って、1つの紫外線照射部で複数の吐水口に対応することができる。
【0010】
の発明は、第1〜第3のいずれか1つの発明において、前記流路は、本体部と、前記本体部の内側に設けられ前記紫外線を反射させる反射部と、を有し、前記紫外線に対する前記反射部の反射率は、前記本体部の反射率よりも高いことを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0011】
この衛生洗浄装置によれば、流路内において紫外線を反射させ易くすることができる。流路内面での光の吸収を抑えることができる。例えば、流路の細部まで光を行き渡らせ、水に含まれる菌を効率良く減らすことができる。
【0012】
の発明は、第1〜第のいずれか1つの発明において、前記流路の少なくとも一部は、直管状であり、前記発光部は、発光素子であり、前記発光素子の前記紫外線を照射する方向は、前記流路の前記少なくとも一部の延びる方向と同じであることを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0013】
この衛生洗浄装置によれば、紫外線が水に当たる時間を長くすることができ、より確実に菌を減らすことができる。
【0014】
の発明は、第1〜第のいずれか1つの発明において、前記発光部は、一方向に延びた水銀灯であり、前記流路は、前記水銀灯の前記一方向に沿う形で形成されていることを特徴とする衛生洗浄装置である。
【0015】
この衛生洗浄装置によれば、紫外線が水に当たる時間を長くすることができ、より確実に菌を減らすことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の態様によれば、安全な洗浄水を供給できる衛生洗浄装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態にかかる衛生洗浄装置を備えたトイレ装置を表す斜視模式図である。
図2】本実施形態にかかる衛生洗浄装置の要部構成を表すブロック図である。
図3図3(a)及び図3(b)は、本実施形態にかかる紫外線照射部を模式的に表す断面図及び分解断面図である。
図4】本実施形態にかかる衛生洗浄装置の動作の具体例を例示するタイミングチャートである。
図5】本実施形態にかかる衛生洗浄装置の変形例を表すブロック図である。
図6】本実施形態にかかる衛生洗浄装置の動作の変形例を例示するタイミングチャートである。
図7図7(a)及び図7(b)は、本実施形態にかかる紫外線照射部の変形例を模式的に表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる衛生洗浄装置を備えたトイレ装置を表す斜視模式図である。
図1に表したように、トイレ装置は、洋式腰掛便器(以下説明の便宜上、単に「便器」と称する)800と、その上に設けられた衛生洗浄装置100と、を備える。衛生洗浄装置100は、ケーシング400と、便座200と、便蓋300と、を有する。便座200と便蓋300とは、ケーシング400に対して開閉自在にそれぞれ軸支されている。
【0019】
ケーシング400の内部には、便座200に座った使用者の「おしり」などの洗浄を実現する身体洗浄機能部などが内蔵されている。また、例えばケーシング400には、使用者が便座200に座ったことを検知する着座検知センサ404が設けられている。着座検知センサ404が便座200に座った使用者を検知している場合において、使用者が例えばリモコンなどの操作部500を操作すると、洗浄ノズル(以下説明の便宜上、単に「ノズル」と称する)473を便器800のボウル801内に進出させることができる。なお、図1に表した衛生洗浄装置100では、ノズル473がボウル801内に進出した状態を表している。
【0020】
ノズル473は、人体局部に向けて水を吐出し、人体局部の洗浄を行う。ノズル473の先端部には、ビデ洗浄吐水口474a及びおしり洗浄吐水口474bが設けられている。ノズル473は、その先端に設けられたビデ洗浄吐水口474aから水を噴射して、便座200に座った女性の女性局部を洗浄することができる。あるいは、ノズル473は、その先端に設けられたおしり洗浄吐水口474bから水を噴射して、便座200に座った使用者の「おしり」を洗浄することができる。なお、本願明細書において「水」という場合には、冷水のみならず、加熱されたお湯も含むものとする。
【0021】
「おしり」を洗浄するモードのなかには、例えば、「おしり洗浄」と、「おしり洗浄」よりもソフトな水流で優しく洗浄する「やわらか洗浄」と、が含まれる。ノズル473は、例えば、「ビデ洗浄」と、「おしり洗浄」と、「やわらか洗浄」と、を実行することができる。
【0022】
なお、図1に表したノズル473では、ビデ洗浄吐水口474aがおしり洗浄吐水口474bよりもノズル473の先端側に設けられているが、ビデ洗浄吐水口474aおよびおしり洗浄吐水口474bの設置位置は、これだけに限定されるわけではない。ビデ洗浄吐水口474aは、おしり洗浄吐水口474bよりもノズル473の後端側に設けられていてもよい。また、図1に表したノズル473では、2つの吐水口が設けられているが、3つ以上の吐水口が設けられていてもよい。
【0023】
図2は、本実施形態にかかる衛生洗浄装置の要部構成を表すブロック図である。
図2では、水路系と電気系の要部構成を併せて表している。
図2に表したように、衛生洗浄装置100は、導水部20を有する。導水部20は、水道や貯水タンクなどの給水源10からノズル473に至る管路20aを有する。導水部20は、管路20aにより、給水源10から供給された水をノズル473に導く。管路20aは、例えば、以下に説明する電磁弁431、熱交換器ユニット440、流路切替部472などの各部と、これらの各部を接続する複数の配管と、によって形成される。
【0024】
導水部20の上流側には、電磁弁431が設けられている。電磁弁431は、開閉可能な電磁バルブであり、ケーシング400の内部に設けられた制御部405からの指令に基づいて水の供給を制御する。換言すれば、電磁弁431は、管路20aを開閉する。電磁弁431を開状態にすることにより、給水源10から供給された水が、管路20aに流れる。
【0025】
電磁弁431の下流には、調圧弁432が設けられている。調圧弁432は、給水圧が高い場合に、管路20a内の圧力を所定の圧力範囲に調整する。調圧弁432の下流には、逆止弁433が設けられている。逆止弁433は、管路20a内の圧力が低下した場合などに、逆止弁433よりも上流側への水の逆流を抑制する。
【0026】
逆止弁433の下流には、熱交換器ユニット440が設けられている。熱交換器ユニット440は、ヒータを有し、給水源10から供給された水を加熱して例えば規定の温度まで昇温する。すなわち、熱交換器ユニット440は、温水を生成する。
【0027】
本実施形態の熱交換器ユニット440は、例えばセラミックヒータなどを用いた瞬間加熱式(瞬間式)の熱交換器であり、貯湯タンクを用いた貯湯加熱式熱交換器と比較すると、短い時間で水を規定の温度まで昇温させることができる。なお、熱交換器ユニット440は、瞬間加熱式の熱交換器には限定されず、貯湯加熱式の熱交換器であってもよい。
【0028】
熱交換器ユニット440は、制御部405と接続されている。制御部405は、例えば、使用者による操作部500の操作に応じて熱交換器ユニット440を制御することにより、操作部500で設定された温度に水を昇温する。
【0029】
熱交換器ユニット440の下流には、流量センサ442が設けられている。流量センサ442は、熱交換器ユニット440から吐出された水の流量を検知する。すなわち、流量センサ442は、管路20a内を流れる水の流量を検知する。流量センサ442は、制御部405に接続されている。流量センサ442は、流量の検知結果を制御部405に入力する。
【0030】
流量センサ442の下流には、電解槽ユニット450が設けられている。電解槽ユニット450は、内部を流れる水道水を電気分解することにより、水道水から次亜塩素酸を含む液(機能水)を生成する。電解槽ユニット450は、制御部405に接続されている。電解槽ユニット450は、制御部405による制御に基づいて、機能水の生成を行う。
【0031】
電解槽ユニット450において生成される機能水は、例えば、銀イオンや銅イオンなどの金属イオンを含む溶液であってもよい。あるいは、電解槽ユニット450において生成される機能水は、電解塩素やオゾンなどを含む溶液であってもよい。あるいは、電解槽ユニット450において生成される機能水は、酸性水やアルカリ水であってもよい。
【0032】
電解槽ユニット450の下流には、バキュームブレーカ(VB)452が設けられている。バキュームブレーカ452は、例えば、水を流すための流路と、流路内に空気を取り込むための吸気口と、吸気口を開閉する弁機構と、を有する。弁機構は、例えば、流路に水が流れている時に吸気口を塞ぎ、水の流れの停止とともに吸気口を開放して流路内に空気を取り込む。すなわち、バキュームブレーカ452は、導水部20に水の流れが無い時に、管路20a内に空気を取り込む。弁機構には、例えば、フロート弁が用いられる。
【0033】
バキュームブレーカ452は、上記のように管路20a内に空気を取り込むことにより、例えば、管路20aのバキュームブレーカ452よりも下流の部分の水抜きを促進させる。バキュームブレーカ452は、例えば、ノズル473の水抜きを促進する。このように、バキュームブレーカ452は、ノズル473内の水を抜いてノズル473内に空気を取り込むことにより、例えば、ノズル473内の洗浄水やボウル801内に溜まった汚水などが、給水源10(上水)側に逆流してしまうことを抑制する。
【0034】
バキュームブレーカ452の下流には、圧力変調装置454が設けられている。圧力変調装置454は、導水部20の管路20a内の水の流れに脈動または加速を与え、ノズル473のビデ洗浄吐水口474a及びおしり洗浄吐水口474bやノズル洗浄室478の吐水部から吐水される水に脈動を与える。すなわち、圧力変調装置454は、管路20a内を流れる水の流動状態を変動させる。圧力変調装置454は、制御部405に接続されている。圧力変調装置454は、制御部405による制御に基づいて、水の流動状態を変動させる。
【0035】
圧力変調装置454の下流には、紫外線照射部460が設けられている。紫外線照射部460は、管路20a内を流れる水に紫外線を照射する。紫外線照射部460は、例えば、紫外線の照射により、管路20a内を流れる水に含まれる菌の少なくとも一部を死滅又は不活性化させる。これにより、紫外線照射部460は、管路20a内を流れる水に含まれる生きた菌を減らす。紫外線照射部460は、例えば、紫外線の照射により、洗浄水を除菌する。紫外線照射部460は、制御部405に接続されている。紫外線照射部460は、制御部405による制御に基づいて、紫外線の照射を行う。
【0036】
紫外線照射部460の下流には、流量調整部471が設けられている。流量調整部471は、水勢(流量)の調整を行う。流量調整部471の下流には、流路切替部472が設けられている。流路切替部472は、ノズル473やノズル洗浄室478への給水の開閉や切替を行う。流量調整部471及び流路切替部472は、1つのユニットとして設けてもよい。流量調整部471及び流路切替部472は、制御部405に接続されている。流量調整部471及び流路切替部472の動作は、制御部405によって制御される。
【0037】
流路切替部472の下流には、ノズル473、ノズル洗浄室478、及び噴霧ノズル479が設けられている。ノズル473は、ノズルモータ476からの駆動力を受け、便器800のボウル801内に進出したり後退したりする。つまり、ノズルモータ476は、制御部405からの指令に基づいてノズル473を進退させる。
【0038】
ノズル洗浄室478は、その内部に設けられた吐水部から機能水あるいは水を噴射することにより、ノズル473の外周表面(胴体)を洗浄する。噴霧ノズル479は、洗浄水や機能水をミスト状にしてボウル801に噴霧する。この例では、人体を洗浄するためのノズル473とは別に噴霧ノズル479を設けている。これに限ることなく、ミスト状の液体をボウル801に噴霧するための吐水口をノズル473に設けてもよい。
【0039】
また、流路切替部472の下流には、おしり洗浄流路21と、やわらか洗浄流路22と、ビデ洗浄流路23と、が設けられている。おしり洗浄流路21及びやわらか洗浄流路22は、導水部20を介して給水源10から供給された水や電解槽ユニット450において生成された機能水をおしり洗浄吐水口474bへ導く。ビデ洗浄流路23は、導水部20を介して給水源10から供給された水や電解槽ユニット450において生成された機能水をビデ洗浄吐水口474aへ導く。
【0040】
また、流路切替部472の下流には、表面洗浄流路24と、噴霧用流路25と、が設けられている。表面洗浄流路24は、導水部20を介して給水源10から供給された水や電解槽ユニット450において生成された機能水をノズル洗浄室478の吐水部へ導く。噴霧用流路25は、導水部20を介して給水源10から供給される水や電解槽ユニット450において生成された機能水を噴霧ノズル479に導く。
【0041】
制御部405は、流路切替部472を制御することにより、おしり洗浄流路21、やわらか洗浄流路22、ビデ洗浄流路23、表面洗浄流路24と、及び噴霧用流路25の各流路の開閉を切り替える。このように、流路切替部472は、ビデ洗浄吐水口474a、洗浄吐水口474b、ノズル洗浄室478、及び噴霧ノズル479などの複数の吐水口のそれぞれについて、管路20aに連通させた状態と、管路20aに連通させない状態と、を切り替える。
【0042】
制御部405は、電源回路401から電力を供給され、人体検知センサ403や、着座検知センサ404や、流量センサ442や、操作部500などからの信号に基づいて、電磁弁431や、熱交換器ユニット440や、電解槽ユニット450や、圧力変調装置454や、紫外線照射部460や、流量調整部471や、流路切替部472や、ノズルモータ476などの動作を制御する。
【0043】
人体検知センサ403は、図1に表したように、ケーシング400の上面に形成された凹設部409に埋め込まれるように設けられ、便座200に近づいた使用者(人体)を検知する。また、便蓋300の後部には透過窓310が設けられている。そのため、便蓋300が閉じた状態において、人体検知センサ403は、透過窓310を介して使用者の存在を検知することができる。制御部405は、例えば、人体検知センサ403による使用者の検知に応答して、便蓋300を自動的に開く。
【0044】
また、ケーシング400には、便座200に座った使用者の「おしり」などに向けて温風を吹き付けて乾燥させる「温風乾燥機能」や「脱臭ユニット」や「室内暖房ユニット」などの各種の機構が適宜設けられていてもよい。この際、ケーシング400の側面には、脱臭ユニットからの排気口407及び室内暖房ユニットからの排出口408が適宜設けられる。ただし、本発明においては、衛生洗浄機能部やその他の付加機能部は必ずしも設けなくてもよい。
【0045】
図3(a)及び図3(b)は、本実施形態にかかる紫外線照射部を模式的に表す断面図及び分解断面図である。
図3(a)及び図3(b)に表したように、紫外線照射部460は、流路461と、発光素子462(発光部)と、を有する。流路461は、例えば、圧力変調装置454から送られた水を内部に流し、流量調整部471に送る。発光素子462は、流路を流れる水に紫外線を照射する。発光素子462の照射する紫外線の波長は、例えば、200nm以上400nm以下である。好ましくは、250nmである。これにより、流路461を流れる水に含まれる菌を適切に減らすことができる。発光素子462は、例えば、LED(Light Emitting Diode)である。発光素子462は、LEDに限ることなく、例えば、LD(Laser Diode)やOLED(Organic Light Emitting Diode)などでもよい。
【0046】
流路461は、直管状である。流路461の一端には、開口461aが設けられている。流路461の他端には、開口461bが設けられている。流路461は、開口461aと開口461bとの間に水を流す。開口461aは、例えば、圧力変調装置454に接続される。開口461bは、例えば、流量調整部471に接続される。これにより、圧力変調装置454を出た水が、開口461aから流路461内に入り、開口461bを介して流量調整部471に流れる。すなわち、流路461は、管路20aの一部を形成する。流路461において、水は、開口461aから開口461bに向かって流れる。これとは反対に、開口461bから開口461aに向かって水を流してもよい。
【0047】
開口461bは、流路461の延びる方向と同じ方向を向く。一方、開口461aは、流路461の延びる方向に対して直交する方向を向く。すなわち、この例において、流路461は、略L字状の管路である。流路461の形状は、これに限ることなく、内部に水を流すことが可能な任意の形状でよい。
【0048】
また、流路461の開口461aが設けられた一端には、開口461cがさらに設けられている。開口461cは、流路461の延びる方向と同じ方向を向く。開口461cの外縁には、凹部461dが設けられている。凹部461dには、紫外線照射窓463が嵌め込まれる。紫外線照射窓463の形状は、凹部461dの形状と実質的に同じである。紫外線照射窓463は、発光素子462の照射する紫外線に対して透過性である。紫外線照射窓463は、流路461の外部に配置される発光素子462の紫外線を流路461の内部に入射させる。紫外線照射窓463には、例えば、石英ガラスなどの無機ガラスが用いられる。
【0049】
このように、この例では、発光素子462が流路461の外側に設けられている。これに限ることなく、例えば、発光素子462が樹脂や金属などのパッケージで封止されている場合には、発光素子462の少なくとも一部を流路461内に配置してもよい。この場合、紫外線照射窓463は、発光素子462のパッケージに設けられたものでもよい。このように、発光素子462(発光部)は、紫外線照射窓463を有してもよい。
【0050】
凹部461dには、さらに凹部461eが設けられている。凹部461eは、開口461cの外縁を囲む環状である。凹部461eには、パッキン464が嵌め込まれる。パッキン464には、ゴムなどの弾性のある材料が用いられる。パッキン464は、凹部461eに入り込み、流路461と紫外線照射窓463とに挟まれて僅かに弾性変形し、流路461と紫外線照射窓463との間に空く隙間を塞ぐ。これにより、パッキン464は、紫外線照射窓463からの水漏れを抑制する。
【0051】
また、流路461の一端には、蓋部465が取り付けられる。蓋部465は、流路461の一端に取り付けられ、流路461とともに紫外線照射窓463及びパッキン464を挟む。これにより、蓋部465は、紫外線照射窓463及びパッキン464を保持する。蓋部465には、紫外線照射窓463と対向する位置に、開口465aが設けられている。
【0052】
発光素子462は、基板466に実装されている。基板466は、流路461と反対側から蓋部465に取り付けられる。発光素子462は、基板466が蓋部465に取り付けられた状態で、蓋部465の開口465aに入り込む。これにより、発光素子462が、紫外線照射窓463と対向し、発光素子462から照射された紫外線が、紫外線照射窓463を介して流路461内に入射する。発光素子462は、例えば、基板466を介して制御部405に接続され、制御部405からの指示に応じて紫外線の照射を行う。発光素子462の点灯及び消灯は、制御部405によって制御される。
【0053】
このように、発光素子462は、直管状の流路461の一端に取り付けられる。従って、発光素子462の紫外線を照射する方向は、流路461の延びる方向と同じである。例えば、発光素子462の光軸は、流路461の延びる方向と略平行である。
【0054】
発光素子462の紫外線の照射方向は、上記に限ることなく、流路461を流れる水に対して紫外線を照射可能な任意の方向でよい。但し、上記のように、発光素子462の紫外線を照射する方向を、流路461の延びる方向と同じとする。例えば、発光素子462から照射される紫外線の方向が、少なくとも流路461の延びる方向と同じ方向に向かう成分を有するようにする。これにより、紫外線が水に当たる時間が長くなり、水に含まれる菌をより適切に減らすことができる。
【0055】
この例では、直管状の流路461を示しているが、流路461の形状は、水を流すことが可能な任意の形状でよい。流路461の少なくとも一部に直管状の部分を設け、この直管状の部分の延びる方向が、発光素子462の紫外線の照射方向と同じになるようにしてもよい。
【0056】
流路461は、本体部467と、反射部468と、を有する。反射部468は、本体部467の内側に設けられる。反射部468は、流路461の内面の少なくとも一部を形成する。反射部468は、発光素子462から照射される紫外線に対して反射性である。発光素子462から照射される紫外線に対し、反射部468の反射率は、本体部467の反射率よりも高い。本体部467には、例えば、樹脂材料が用いられる。反射部468には、例えば、アルミニウム、ステンレス、銀などの金属材料が用いられる。反射部468の材料は、金属材料に限ることなく、例えば、誘電体多層膜などでもよい。反射部468の材料は、発光素子462から照射される紫外線に対して反射性であり、かつ本体部467よりも高い反射率を有する任意の材料でよい。
【0057】
次に、本実施形態にかかる衛生洗浄装置の動作の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
図4は、本実施形態にかかる衛生洗浄装置の動作の具体例を例示するタイミングチャートである。
図4に表したように、着座検知センサ404が使用者を検知する前の待機状態では、ノズル473は、ケーシング400に収納されている(タイミングt0〜t1)。
【0058】
人体検知センサ403がトイレ室に入室した使用者を検知すると、制御部405は、電磁弁431を開くとともに、噴霧ノズル479のみを導水部20の管路20aに連通させるように流路切替部472を駆動することにより、上水をボウル801の表面に噴霧する(タイミングt1)。上水が噴霧される時間は、例えば約4秒間程度である(タイミングt1〜t2)。このように、使用者が便器800を使用する前に、ボウル801の表面を濡らすことで、ボウル801の表面に付着する汚物を軽減させることができる。
【0059】
制御部405は、使用者の操作に応じて操作部500から人体洗浄の指示が入力されると、電磁弁431を開くとともに、ビデ洗浄吐水口474a及びおしり洗浄吐水口474bのみを導水部20の管路20aに連通させるように流路切替部472を駆動する(タイミングt3)。これにより、制御部405は、ノズル473を収納した状態で、給水源10からビデ洗浄吐水口474a及びおしり洗浄吐水口474bへと至る経路を洗浄する。
【0060】
また、制御部405は、このタイミングで熱交換器ユニット440を動作させることにより、温水の生成を開始するとともに、紫外線照射部460の発光素子462を点灯させ、流路461に流れる水に対する紫外線の照射を開始する。これにより、流路461に流れる水に含まれる菌を減らし、安全な洗浄水をノズル473に供給することができる。
【0061】
制御部405は、所定時間洗浄を行った後、ノズル洗浄室478のみを導水部20の管路20aに連通させるように流路切替部472を駆動するとともに、ノズルモータ476を駆動することにより、ノズル473の胴体洗浄を行いながらノズル473をボウル801内に進出させる(タイミングt4)。
【0062】
制御部405は、ノズル473をボウル内に進出させた後、ビデ洗浄吐水口474a及びおしり洗浄吐水口474bのいずれか一方のみを導水部20の管路20aに連通させるように流路切替部472を駆動することにより、人体洗浄を開始する(タイミングt5)。
【0063】
制御部405は、操作部500から人体洗浄の停止が指示されると、ノズル洗浄室478のみを導水部20の管路20aに連通させるように流路切替部472を駆動するとともに、ノズルモータ476を駆動することにより、ノズル473の胴体洗浄を行いながらノズル473をケーシング400内に収納する(タイミングt6)。
【0064】
制御部405は、ノズル473の収納を完了させた後、ビデ洗浄吐水口474a及びおしり洗浄吐水口474bのみを導水部20の管路20aに連通させるように流路切替部472を駆動することにより、給水源10からノズル473へと至る経路を洗浄する(タイミングt7)。
【0065】
制御部405は、所定時間洗浄を行った後、電磁弁431を閉じるとともに、熱交換器ユニット440及び紫外線照射部460の動作を停止させる(タイミングt8)。
【0066】
制御部405は、人体検知センサ403による使用者の検知の解除から所定時間経過した後、ビデ洗浄吐水口474a、洗浄吐水口474b、ノズル洗浄室478、及び噴霧ノズル479のそれぞれを管路20aと連通させるように流路切替部472を駆動することにより、ノズル473内に溜まった水の水抜き動作を行う(タイミングt9)。この時、バキュームブレーカ452内の水が減ると、バキュームブレーカ452の吸気口が開き、管路20a内に空気が取り込まれる。これにより、バキュームブレーカ452よりも下流の部分の水抜きが促進される。
【0067】
制御部405は、所定時間水抜きを行った後、流路切替部472を駆動し、ビデ洗浄吐水口474a、洗浄吐水口474b、ノズル洗浄室478、及び噴霧ノズル479のそれぞれと管路20aとの連通を閉じる(タイミングt10)。
【0068】
制御部405は、水抜き動作からさらに所定時間経過した後、電磁弁431を開くとともに、ビデ洗浄吐水口474a及びおしり洗浄吐水口474bのみを導水部20の管路20aに連通させるように流路切替部472を駆動する(タイミングt11)。また、制御部405は、電解槽ユニット450を動作させる。これにより、制御部405は、ノズル473を収納した状態で、給水源10からビデ洗浄吐水口474a及びおしり洗浄吐水口474bへと至る経路を機能水で洗浄する。制御部405は、例えば、電解槽ユニット450とノズル473との間の経路を機能水で除菌する。
【0069】
制御部405は、所定時間洗浄を行った後、ノズル洗浄室478のみを導水部20の管路20aに連通させるように流路切替部472を駆動するとともに、ノズルモータ476を駆動することにより、ノズル473を進退させ、ノズル473の胴体を機能水で洗浄する(タイミングt11〜t12)。例えば、ノズル473の胴体を機能水で除菌する。
【0070】
制御部405は、ノズル473の胴体を洗浄した後、電解槽ユニット450とノズル473との間の経路を再び機能水で洗浄し、電磁弁431を閉じるとともに、電解槽ユニット450の動作を停止させる(タイミングt13〜t14)。
【0071】
制御部405は、ノズル473の除菌を行った後、再び水抜き動作を行う(タイミングt15)。この時、制御部405は、ノズルモータ476を駆動し、ノズル473を進退させる(タイミングt16〜t17)。これにより、例えば、バキュームブレーカ452と各吐水口474a、474bとの間の高低差が大きくなり、バキュームブレーカ452よりも下流の部分の水抜きをより確実に行うことができる。
【0072】
以上、説明したように、衛生洗浄装置100では、バキュームブレーカ452とノズル473との間に紫外線照射部460を配置したので、バキュームブレーカ452の取り込んだ空気に菌が含まれていたとしても、バキュームブレーカ452よりも下流側に配置された紫外線照射部460によって、水に含まれる菌を減らすことができる。これにより、より安全な洗浄水を供給することができる。
【0073】
また、衛生洗浄装置100では、流路切替部472よりも上流側に紫外線照射部460を設けているので、複数の吐水口474a、474bのどの吐水口から吐出される洗浄水でも菌を減らすことができる。従って、1つの紫外線照射部460で複数の吐水口に対応することができる。
【0074】
また、流路切替部472よりも下流の部分に紫外線照射部460を配置しようとすると、ノズル473内に配置しなければならなくなるなど、紫外線照射部460の配置が難しくなる。従って、上記のように、流路切替部472よりも上流側に紫外線照射部460を配置することにより、紫外線照射部460を配置の自由度を高めることができる。例えば、紫外線照射部460の配置にともなうノズル473の大型化などを抑制できる。
【0075】
また、衛生洗浄装置100では、紫外線照射部460の流路461に反射部468を設けているので、流路461内において紫外線を反射させ易くすることができる。流路461の内面での光の吸収を抑えることができる。例えば、流路461の細部まで光を行き渡らせ、水に含まれる菌を効率良く減らすことができる。
【0076】
また、衛生洗浄装置100では、発光素子462の紫外線の照射方向を、流路461の延びる方向と同じにしているので、紫外線が水に当たる時間を長くすることができ、より確実に菌を減らすことができる。
【0077】
図5は、本実施形態にかかる衛生洗浄装置の変形例を表すブロック図である。
上記実施形態では、圧力変調装置454と流量調整部471との間に紫外線照射部460を設けている。これに限ることなく、紫外線照射部460は、図5に表したように、バキュームブレーカ452と圧力変調装置454との間に設けてもよい。紫外線照射部460を配置する位置は、バキュームブレーカ452とノズル473との間の任意の位置でよい。
【0078】
また、上記実施形態では、電解槽ユニット450の下流にバキュームブレーカ452を設けている。バキュームブレーカ452の位置は、これに限ることなく、導水部20の経路上の任意の位置でよい。但し、バキュームブレーカ452は、なるべく下流側に配置することが好ましい。これにより、衛生洗浄装置100内への汚水の浸入を適切に抑制することができる。
【0079】
図6は、本実施形態にかかる衛生洗浄装置の動作の変形例を例示するタイミングチャートである。
図6に表したように、この例では、人体洗浄の終了の後、給水源10からノズル473へと至る経路の洗浄を開始するタイミングt7において、熱交換器ユニット440の動作を停止させる。これにより、例えば、衛生洗浄装置100の省エネ化を図ることができる。
【0080】
また、タイミングt8において熱交換器ユニット440の動作を停止させた場合、バキュームブレーカ452よりも上流側の導水部20に溜まる水が温水となる。このため、バキュームブレーカ452から管路20a内に取り込まれた空気に菌が含まれていた場合に、管路20a内において菌が繁殖し易くなってしまうことが懸念される。
【0081】
これに対して、タイミングt7で熱交換器ユニット440を停止させた場合には、バキュームブレーカ452よりも上流側の導水部20に溜まる水が、給水源10から供給された冷水となる。これにより、管路20a内に菌が入り込んだ場合にも、菌の繁殖を抑えることができる。
【0082】
なお、熱交換器ユニット440を停止させるタイミングは、操作部500から人体洗浄の停止が指示されたタイミングt6でもよい。また、上記実施形態では、タイミングt8において紫外線照射部460の動作を停止させているが、紫外線照射部460の動作を停止させるタイミングは、これに限ることなく、タイミングt6でもよいし、タイミングt7でもよい。
【0083】
図7(a)及び図7(b)は、本実施形態にかかる紫外線照射部の変形例を模式的に表す断面図である。
図7(a)に表したように、紫外線照射部600は、流路601と、冷陰極管602(発光部)と、を有する。流路601は、内部に水を流す。冷陰極管(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)602は、流路601を流れる水に紫外線を照射する。冷陰極管602は、一方向に延び、冷陰極管602が延びる一方向を長手方向としている。冷陰極管602は、例えば、円柱状の直管である。冷陰極管602は、流路601内に挿通されている。流路601は、冷陰極管602の長手方向に沿う形で形成されている、すなわち、流路601は、冷陰極管602の長手方向に沿って水を流す。
【0084】
流路601は、冷陰極管602の長手方向に延びる本体部601aを有する。冷陰極管602は、本体部601aに挿通されている。流路601の一端には、開口601bが設けられている。流路601の他端には、開口601cが設けられている。各開口601b、601cは、本体部601aの延びる方向に対して略直交する方向を向く。すなわち、この例において、流路601は、断面略U字状の管路である。流路601の形状は、これに限ることなく、冷陰極管602の長手方向に沿う任意の形状でよい。
【0085】
流路601には、例えば、金属材料などの冷陰極管602から照射される紫外線に対して反射性の材料を用いることが好ましい。流路601は、例えば、上記実施形態に関して説明した本体部467及び反射部468のように、反射性の部分と、樹脂材料などを用いた反射性の低い部分と、を有してもよい。例えば、樹脂材料を用いた基材に、メッキ処理などの表面処理を施すことによって、紫外線に対する反射性を持たせてもよい。
【0086】
図7(b)に表したように、紫外線照射部610は、流路611と、冷陰極管612と、紫外線照射窓613と、を有する。冷陰極管612は、上記と同様に、直管状である。流路611は、長手方向に延びる本体部611aと、一対の開口611b、611cと、を有る断面略U字状の管路である。また、流路611の本体部611aには、長手方向に沿う開口611dが設けられている。
【0087】
紫外線照射窓613は、流路611の開口611dを塞ぐ。紫外線照射窓613は、冷陰極管612から照射される紫外線に対して透過性である。冷陰極管612は、紫外線照射窓613を挟んで流路611の本体部611aと対向する。これにより、冷陰極管612は、紫外線照射窓613を介して流路611を流れる水に紫外線を照射する。
【0088】
このように、冷陰極管612は、流路611の外側に設けてもよい。この場合、紫外線照射窓613で流路611の開口611dを塞ぎ、紫外線照射窓613を介して紫外線を流路611内に入射させる。例えば、冷陰極管612のガラス管で開口611dを塞ぎ、ガラス管を紫外線照射窓として紫外線を流路611内に入射させてもよい。例えば、流路611自体を石英ガラスなどの紫外線に対して透過性の材料で形成することにより、流路611の一部を照射窓として用いてもよい。
【0089】
紫外線照射部610は、反射材614をさらに有する。反射材614は、冷陰極管612を挟んで紫外線照射窓613と対向する。反射材614は、冷陰極管612から照射される紫外線に対して反射性である。反射材614は、冷陰極管612から流路611と反対側に向かって照射される紫外線を反射させ、流路611側に向かわせる。これにより、冷陰極管612から照射される紫外線の利用効率を高めることができる。反射材614は、必要に応じて設けられ、省略可能である。
【0090】
このように、流路に流れる水に紫外線を照射する発光部は、発光素子に限ることなく、例えば、例えば、冷陰極管などの水銀灯でもよい。水銀灯とは、例えば、高圧水銀灯や低圧水銀灯などである。高圧水銀灯とは、例えば、メタルハライドランプなどである。低圧水銀灯とは、例えば、冷陰極管や熱陰極管などである。発光部に水銀灯を用いる場合、水銀灯は、流路内に挿通してもよいし、紫外線照射窓を介して流路内に紫外線を照射してもよい。また、長手方向に延びた水銀灯を用いる場合、流路は、長手方向に沿う形に形成する。これにより、例えば、流路を流れる水に紫外線が当たる時間を長くすることができる。例えば、水銀灯から照射された紫外線を流路を流れる水に効率よく入射させることができる。これにより、水銀灯を発光部に用いた場合において、より確実に菌を減らすことができる。
【0091】
上記実施形態では、衛生洗浄装置100と便器800とが一体になった一体型のトイレ装置を例示している。衛生洗浄装置は、例えば、便器に対して着脱自在に取り付けられる、いわゆるシート型の便座装置でもよい。
【0092】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、衛生洗浄装置100などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置、設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0093】
10 給水源、 20 導水部、 21 おしり洗浄流路、 22 やわらか洗浄流路、 23 ビデ洗浄流路、 24 表面洗浄流路、 25 噴霧用流路、 100 衛生洗浄装置、 200 便座、 300 便蓋、 310 透過窓、 400 ケーシング、 401 電源回路、 403 人体検知センサ、 404 着座検知センサ、 405 制御部、 407 排気口、 408 排出口、 409 凹設部、 431 電磁弁、 432 調圧弁、 433 逆止弁、 440 熱交換器ユニット、 442 流量センサ、 450 電解槽ユニット、 452 バキュームブレーカ、 454 圧力変調装置、 460 紫外線照射部、 461 流路、 462 発光素子、 463 紫外線照射窓、 464 パッキン、 465 蓋部、 466 基板、 467 本体部、 468 反射部、 471 流量調整部、 472 流路切替部、 473 ノズル、 474a ビデ洗浄吐水口、 474b 洗浄吐水口、 476 ノズルモータ、 478 ノズル洗浄室、 479 噴霧ノズル、 500 操作部、 600 紫外線照射部、 601 流路、 602 冷陰極管、 610 紫外線照射部、 611 流路、 612 冷陰極管、 613 紫外線照射窓、 614 反射材、 800 便器、 801 ボウル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7