特許第6558023号(P6558023)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6558023
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】粉体回収装置及びこれを用いた処理装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/12 20060101AFI20190805BHJP
【FI】
   G03G21/12
【請求項の数】6
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-67392(P2015-67392)
(22)【出願日】2015年3月27日
(65)【公開番号】特開2016-186605(P2016-186605A)
(43)【公開日】2016年10月27日
【審査請求日】2018年2月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】中本 淑恵
(72)【発明者】
【氏名】神川 雄次
【審査官】 三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−242400(JP,A)
【文献】 特開平02−100081(JP,A)
【文献】 特開2011−043568(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0067856(US,A1)
【文献】 特開2004−102137(JP,A)
【文献】 特開2013−077021(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/12
G03G 21/10
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体処理部から搬送された粉体を回収する一若しくは複数の回収口、当該回収口から回収された粉体を最初に収容する粉体収容室、及び、前記粉体収容室に隣接して設けられ、前記粉体収容室から溢れた粉体を収容して前記粉体収容室に収容された粉体が満杯に至ったか否かを検知する満杯検知室を含む回収容器と、
前記回収容器内に設けられ、前記粉体収容室に収容された粉体を前記満杯検知室に向かって搬送する搬送部材と、
を備え、
前記搬送部材は、前記粉体収容室から前記満杯検知室に向かって斜め上方に傾斜して配置され、
前記搬送部材のうち、前記粉体収容室の領域内で前記満杯検知室に隣接する部位に位置する第2の搬送部は、当該搬送部材の搬送方向の上流側に位置する第1の搬送部よりも低い搬送力を有するものであり、
前記粉体収容室は、前記搬送部材の搬送方向に対し複数の仕切り壁で仕切られており、前記仕切り壁のうち前記満杯検知室に最も近い仕切り壁が他のものよりも高く設定されていると共に、当該仕切り壁よりも前記満杯検知室側に位置する前記粉体収容室の領域内に前記第2の搬送部が配置されていることを特徴とする粉体回収装置。
【請求項2】
請求項1に記載の粉体回収装置において、
前記第2の搬送部は、回転軸に対し径方向に突出し且つ軸方向に延びる板状羽根を有することを特徴とする粉体回収装置。
【請求項3】
請求項1に記載の粉体回収装置において、
前記搬送部材の搬送方向は予め決められた一方向であり、前記満杯検知室は、前記搬送部材の搬送方向の下流端に設けられることを特徴とする粉体回収装置。
【請求項4】
請求項1に記載の粉体回収装置のうち、前記搬送部材が少なくとも一つの前記回収口の直下領域から外れた位置に配置されている態様において、
前記回収口の直下領域には前記搬送部材に向けて傾斜し且つ前記回収口から回収された粉体を前記搬送部材に接触させるように案内する案内面を設けたことを特徴とする粉体回収装置。
【請求項5】
粉体を用いて処理する粉体処理部と、
前記粉体処理部から搬送された粉体を回収する請求項1乃至のいずれかに記載の粉体回収装置と、
を備えたことを特徴とする処理装置。
【請求項6】
請求項に記載の処理装置において、
前記粉体処理部は、静電潜像が保持可能な像保持体と、この像保持体上に形成され静電潜像を粉体としての現像剤にて現像する現像装置と、前記現像装置にて現像された可視像を記録材に転写する転写装置と、前記像保持体上に残留した現像剤を清掃する清掃装置と、を備え、
前記粉体回収装置は、前記清掃装置、前記転写装置及び前記現像装置の少なくとも1つから搬送される粉体としての現像剤を回収するものであることを特徴とする処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体回収装置及びこれを用いた処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種の粉体回収装置としては特許文献1,2に記載のものが挙げられる。
特許文献1には、モノクロ画像比率が高いタンデムカラー方式を採用するに当たり、トナー回収容器の長手方向に各色毎のトナー回収口を設けて、左右端の何れかを黒色トナー回収口とし、黒色トナー回収口と直近のハウジング側板との距離を、他方端のカラートナー回収口と直近のハウジング側板との距離よりも長くとるトナー回収容器が開示されている。
特許文献2には、トナー回収容器内に、トナー回収口の略下方に設けられたパドルと、隣接したパドル間のスパイラルから構成されたトナー搬送手段を設け、パドルによって回収容器の前後方向のトナー収容を、スパイラルによって回収容器の横方向のトナー収容を均等化するようにし、また、両端側パドルの内側のスパイラルから中央付近の合流部に向かうようにスパイラルのピッチ形状を形成し、合流部付近のトナー回収容器の壁面部にトナー検出手段を設けるトナー回収容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−66674号公報(発明の実施の形態,図3
【特許文献2】特開2003−15493号公報(発明の実施の形態,図3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、粉体の回収容器の粉体収容室に隣接して満杯検知室を備えた態様で、粉体収容室での粉体の収容効率を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、粉体処理部から搬送された粉体を回収する一若しくは複数の回収口、当該回収口から回収された粉体を最初に収容する粉体収容室、及び、前記粉体収容室に隣接して設けられ、前記粉体収容室から溢れた粉体を収容して前記粉体収容室に収容された粉体が満杯に至ったか否かを検知する満杯検知室を含む回収容器と、前記回収容器内に設けられ、前記粉体収容室に収容された粉体を前記満杯検知室に向かって搬送する搬送部材と、を備え、前記搬送部材は、前記粉体収容室から前記満杯検知室に向かって斜め上方に傾斜して配置され、前記搬送部材のうち、前記粉体収容室の領域内で前記満杯検知室に隣接する部位に位置する第2の搬送部は、当該搬送部材の搬送方向の上流側に位置する第1の搬送部よりも低い搬送力を有するものであり、前記粉体収容室は、前記搬送部材の搬送方向に対し複数の仕切り壁で仕切られており、前記仕切り壁のうち前記満杯検知室に最も近い仕切り壁が他のものよりも高く設定されていると共に、当該仕切り壁よりも前記満杯検知室側に位置する前記粉体収容室の領域内に前記第2の搬送部が配置されていることを特徴とする粉体回収装置である。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る粉体回収装置において、前記第2の搬送部は、回転軸に対し径方向に突出し且つ軸方向に延びる板状羽根を有することを特徴とする粉体回収装置である。
請求項3に係る発明は、請求項1に係る粉体回収装置において、前記搬送部材の搬送方向は予め決められた一方向であり、前記満杯検知室は、前記搬送部材の搬送方向の下流端に設けられることを特徴とする粉体回収装置である
請求項に係る発明は、請求項1に係る粉体回収装置のうち、前記搬送部材が少なくとも一つの前記回収口の直下領域から外れた位置に配置されている態様において、前記回収口の直下領域には前記搬送部材に向けて傾斜し且つ前記回収口から回収された粉体を前記搬送部材に接触させるように案内する案内面を設けたことを特徴とする粉体回収装置である。
【0007】
請求項に係る発明は、粉体を用いて処理する粉体処理部と、前記粉体処理部から搬送された粉体を回収する請求項1乃至のいずれかに係る粉体回収装置と、を備えたことを特徴とする処理装置である。
請求項に係る発明は、請求項に係る処理装置において、前記粉体処理部は、静電潜像が保持可能な像保持体と、この像保持体上に形成され静電潜像を粉体としての現像剤にて現像する現像装置と、前記現像装置にて現像された可視像を記録材に転写する転写装置と、前記像保持体上に残留した現像剤を清掃する清掃装置と、を備え、前記粉体回収装置は、前記清掃装置、前記転写装置及び前記現像装置の少なくとも1つから搬送される粉体としての現像剤を回収するものであることを特徴とする処理装置である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によれば、粉体の回収容器の粉体収容室に隣接して満杯検知室を備えた態様で、粉体収容室での粉体の収容効率を高めることができることに加え、搬送部材を水平方向に配置する場合に比べて粉体収容室での粉体の収容量を多く設定することができ、更に、搬送部材の搬送方向の上流側に位置する仕切り壁を他のものより高く設定する態様に比べて、粉体収容室での粉体の収容量を高めることができる。
請求項2に係る発明によれば、満杯検知室に隣接した部位では粉体を積極的には搬送せず、粉体収容室内に向けて粉体を均すことができる。
請求項3に係る発明によれば、回収容器内で粉体収容室を広い範囲に亘って確保することができ、その分、回収口の位置や数の設定に関する自由度を高めることができる
請求項に係る発明によれば、搬送部材から離れた回収口から粉体を回収したとしても、搬送部材に向けて案内することができる。
請求項に係る発明によれば、粉体の回収容器の粉体収容室に隣接して満杯検知室を備えた態様で、粉体収容室での粉体の収容効率を高めることに加え、搬送部材を水平方向に配置する場合に比べて粉体収容室での粉体の収容量を多く設定することができ、更に、搬送部材の搬送方向の上流側に位置する仕切り壁を他のものより高く設定する態様に比べて、粉体収容室での粉体の収容量を高めることが可能な粉体回収装置を含む処理装置を提供することができる。
請求項に係る発明によれば、粉体としての現像剤を用いた処理装置において、粉体回収装置において、粉体収容室での粉体の収容効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明が適用された粉体回収装置を含む処理装置の実施の形態の概要を示す説明図である。
図2】実施の形態1に係る処理装置としての画像形成装置の全体構成を示す説明図である。
図3】実施の形態1に係る画像形成装置において装置筐体のフロントカバーを開放したときの状態を示す説明図である。
図4】実施の形態1に係る画像形成装置において現像剤回収装置を組み付ける状態を示す説明図である。
図5図4中V方向から見た矢視図である。
図6】実施の形態1で用いられる現像剤回収装置を内側から見た説明図である。
図7】実施の形態1で用いられる現像剤回収装置から搬送部材を取り除いた斜視説明図である。
図8】実施の形態1で用いられる搬送部材の詳細を示す説明図である。
図9図7に示す現像剤回収装置を背面側から見た矢視図である。
図10】実施の形態1で用いられる満杯検知室の周辺構造を示す説明図である。
図11】(a)は実施の形態1で用いられる搬送部材の各部の作用を示す説明図、(b)はその変形形態を示す説明図である。
図12】(a)は現像装置から搬送された現像剤の回収口近傍の構成を示す説明図、(b)は(a)に示す回収口と搬送部材との位置関係を湿す説明図である。
図13】実施の形態2で用いられる現像剤回収装置の要部を示す説明図である。
図14】実施の形態2で用いられる現像剤回収装置における満杯検知室の周辺構造を示す説明図である。
図15】実施の形態3で用いられる現像剤回収装置の要部を示す説明図である。
図16】(a)は満杯検知時の満杯検知室の周辺の挙動を示す説明図、(b)は満杯検知後継続使用における満杯検知室の周辺の挙動を示す説明図である。
図17】(a)は変形の形態で用いられる現像剤回収装置における満杯検知室の周辺構造を示す説明図、(b)は開閉扉の要部を示す説明図である。
図18】(a)変形の形態で用いられる現像剤回収装置における満杯検知時の満杯検知室の周辺の挙動を示す説明図、(b)は満杯検知後継続使用における満杯検知室の周辺の挙動を示す説明図である。
図19】(a)は実施例1における回収容器内での現像剤の収容状態を示す説明図、(b)は比較例1における回収容器内での現像剤の収容状態を示す説明図である。
図20】実施例2における回収容器内全域での現像剤の収容状態を環境条件と共に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
◎実施の形態の概要
図1は本発明が適用された粉体回収装置を含む処理装置の実施の形態の概要を示す。
同図において、処理装置は、粉体Gを用いて処理する粉体処理部10と、粉体処理部10から搬送された粉体Gを回収する粉体回収装置11と、を備えている。
ここで、粉体処理部10としては、粉体Gを用いて処理するものを広く含む。例えば粉体Gとして現像剤を用いた処理装置としては、粉体処理部10は、静電潜像が保持可能な像保持体と、この像保持体上に形成され静電潜像を粉体としての現像剤にて現像する現像装置と、現像装置にて現像された可視像を記録材に転写する転写装置と、像保持体上に残留した現像剤を清掃する清掃装置と、を備え、粉体回収装置11は、清掃装置、転写装置及び現像装置の少なくとも1つから搬送される粉体Gとしての現像剤を回収するものが挙げられる。
本態様において、清掃装置は清掃した現像剤を回収対象にする。転写装置としては、例えば中間転写型の転写装置であれば、中間転写体の清掃装置で清掃された現像剤を回収対象とし、また、直接転写型の転写装置であっても、転写部材に清掃装置を付加することで当該清掃装置で清掃された現像剤を回収対象とする。現像装置としては、例えばトナー及びキャリアを含む二成分現像剤であれば、トナーは消費されるものの、キャリアは消費されないため、現像剤自体が古くなると、帯電特性などが不良になる懸念あり、古くなった現像剤を回収対象とする。
【0011】
本実施の形態で用いられる粉体回収装置11は、粉体処理部10から搬送された粉体Gを回収する一若しくは複数の回収口2(本例では2a〜2e)、当該回収口2から回収された粉体Gを最初に収容する粉体収容室3、及び、粉体収容室3に隣接して設けられ、粉体収容室3から溢れた粉体Gを収容して粉体収容室3に収容された粉体Gが満杯に至ったか否かを検知する満杯検知室4を含む回収容器1と、回収容器1内に設けられ、粉体収容室3に収容された粉体Gを満杯検知室に向かって搬送する搬送部材7と、を備え、搬送部材7のうち、粉体収容室3の領域内で満杯検知室4に隣接する部位に位置する第2の搬送部9bは、当該搬送部材7の搬送方向の上流側に位置する第1の搬送部9aよりも低い搬送力を有するものである。
【0012】
このような技術的手段において、満杯検知室4は粉体収容室3に収容された粉体Gが満杯に至ったことを検知する検知器4aを有していればよく、満杯検知室4のどのレベルまで粉体Gが収容されたときに満杯と検知するかは適宜選定してよい。
また、満杯検知室4は粉体収容室3と隣接していればよく、例えば回収容器1の搬送部材7の搬送方向の下流端に満杯検知室4を設けてもよいし、あるいは、回収容器1の略中間付近に満杯検知室4を設け、その両隣に粉体収容室3を設けるようにしてもよい。
更に、満杯検知室4は通常回収口2から回収された粉体Gが最初に収容されない位置に確保されるが、粉体Gが浮遊して満杯検知室4に直接収容されてしまうと、粉体Gの満杯検知に支障をきたすことから、覆い部材6を設けて浮遊粉体が満杯検知室4に直接侵入するのを防止する態様が好ましい。
更にまた、搬送部材7の第1の搬送部9aは粉体Gを所定方向に搬送するものであれば回転軸の周囲に螺旋羽根を設ける態様に限られず、螺旋状のコイル、斜め方向に傾斜したパドル等適宜選定して差し支えない。
また、第2の搬送部9bは第1の搬送部9aよりも低い搬送力を有するものであればよく、好ましくは搬送力が略0であることが好ましい。尚、逆方向に搬送する点については満杯検知室に粉体Gを搬送できず満杯検知に至らない懸念があり、好ましくない。
【0013】
次に、本実施の形態に係る粉体回収装置の代表的態様又は好ましい態様について説明する。
先ず、搬送部材7の第2の搬送部9bの代表的態様としては、回転軸に対し径方向に突出し且つ軸方向に延びる板状羽根を有する態様が挙げられる。
ここで、板状羽根は1枚に限らず、複数枚でもよい。また、複数枚を設ける場合には軸方向の位置を同じにして回転軸の周囲に複数設けるようにしてもよいし、軸方向の位置を変位させるようにしてもよい。
また、本例では、板状羽根は回転軸の回転方向に向けて粉体を移動させるものであるが、搬送部材7の搬送方向に向けての搬送力は略0である。このため、この搬送部材7は満杯検知室4へと積極的に粉体Gを搬送しない。
また、満杯検知室4の好ましいレイアウトとしては、搬送部材7の搬送方向は予め決められた一方向である態様では、満杯検知室4は、搬送部材7の搬送方向の下流端に設けられるのがよい。本態様は、回収容器1の片側に満杯検知室4を寄せて粉体収容室3を広く確保することができる。このため、回収容器1の広い範囲に亘って回収口2を任意の位置に、しかも、多くの数設けることができる。
また、搬送部材7の好ましい態様としては、粉体収容室3から満杯検知室4に向かって斜め上方に傾斜して配置されている態様が挙げられる。本態様では、満杯検知室4の粉体Gの入口を高く設定し、粉体収容室3から満杯検知室4に溢れるレベル値を高く設定しており、しかも、粉体収容室3での粉体Gを、搬送部材7の傾斜姿勢に沿って斜め上方に傾斜させた状態で収容することが可能になる。このため、粉体収容室3での粉体Gの収容量を多く設定することができる。
【0014】
更に、粉体収容室3の好ましい態様としては、搬送部材7の搬送方向に対し複数の仕切り壁5(本例では5a〜5c)で仕切られており、当該仕切り壁5のうち満杯検知室4に最も近い仕切り壁5cが他のもの5a,5bよりも高く設定されている態様が挙げられる。
仕切り壁5が高く設定されると、その手前に収容されている粉体Gは十分に収容されたのちに乗り越える。本例では、搬送部材7の搬送方向下流側から上流側に向かって仕切り壁5を高くしており、手前の粉体収容室3内で粉体Gは均されながら搬送され、十分に収容された後に最後の高い仕切り壁5(本例では5c)を乗り越えるという挙動を示す。このため、本例では粉体収容室3に粉体Gが十分に収容されながら順次搬送される。
【0015】
また、回収口5の直下領域に搬送部材7がない態様では以下の態様が好ましい。
つまり、搬送部材7が少なくとも一つの回収口2の直下領域から外れた位置に配置されている態様において、回収口2の直下領域には搬送部材7に向けて傾斜し且つ回収口2から回収された粉体Gを搬送部材7に接触させるように案内する案内面(図示せず)を設けた態様が挙げられる。
本例では、回収口2と搬送部材7とが離れていても、回収口2から回収された粉体Gが落下すると、案内面に沿って搬送部材7側に案内され、搬送部材7と接触する、このため、回収された粉体Gは搬送部材7で均されながら搬送される。
【0016】
◎実施の形態1
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいて本発明をより詳細に説明する。
<画像形成装置の全体構成>
図2は本発明が適用された処理装置としての画像形成装置の実施の形態1を示す説明図である。
同図において、画像形成装置20は、装置筐体21内に四つの色(本実施の形態ではブラック、イエロ、マゼンタ、シアン)の画像形成部22(具体的には22a〜22d)を横方向に配列し、その上方には各画像形成部22の配列方向に沿って循環搬送される中間転写ベルト230が含まれる転写モジュール23を配設する一方、装置筐体21の下方には用紙等の記録材が収容される記録材供給装置24を配設すると共に、この記録材供給装置24からの記録材搬送路25を略鉛直方向に配置したものである。
【0017】
本実施の形態において、各画像形成部22(22a〜22d)は、中間転写ベルト230の循環方向上流側から順に、例えばブラック用、イエロ用、マゼンタ用、シアン用(配列は必ずしもこの順番とは限らない)のトナー像を形成するものであり、感光体31と、この感光体31を予め帯電する帯電装置(本例では帯電ロール)32と、この帯電装置32にて帯電された各感光体31に静電潜像を書き込む露光装置33(本例では各画像形成部22に共通の露光装置を使用)と、感光体31上に形成された静電潜像を対応する色トナー(本実施の形態では例えば負極性)で現像する現像装置34と、感光体31上の残留物を清掃する清掃装置35と、を備えている。
尚、本実施の形態では、各画像形成部22は、図2に示すように、感光体31、帯電装置32、現像装置34及び清掃装置35を一体化したプロセスカートリッジとして構成され、装置筐体21の図示外の組立体受部に対して着脱可能に装着されるようになっている。
ここで、露光装置33は、露光筐体41内に例えば四つの半導体レーザ(図示せず)、一つのポリゴンミラー42、結像レンズ(図示せず)及び各感光体に対応するそれぞれミラー(図示せず)を格納し、各色成分の半導体レーザからの光をポリゴンミラー42で偏向走査し、結像レンズ、ミラーを介して対応する感光体31上の露光ポイントに光像を導くようにしたものである。
尚、符号36(36a〜36d)は各現像装置34に各色成分トナーを補給するためのトナーカートリッジである。
【0018】
また、本実施の形態において、転写モジュール23は、例えば一対の張架ロール(一方が駆動ロール)231,232間に中間転写ベルト230を掛け渡したものであり、各画像形成部22の感光体31に対応した中間転写ベルト230の裏面には一次転写装置(本例では一次転写ロール)51が配設され、この一次転写装置51にトナーの帯電極性と逆極性の電圧を印加することで、感光体31上のトナー像を中間転写ベルト230側に静電的に転写するようになっている。
更に、中間転写ベルト230の最下流画像形成部22dの下流側の張架ロール232に対応した部位には二次転写装置52が配設されており、中間転写ベルト230上の一次転写像を記録材に二次転写(一括転写)するようになっている。
【0019】
本実施の形態では、二次転写装置52は、中間転写ベルト230のトナー像保持面側に圧接配置される二次転写ロール521と、中間転写ベルト230の裏面側に配置されて二次転写ロール521の対向電極をなすバックアップロール(本例では張架ロール232を兼用)とを備えている。
そして、例えば二次転写ロール521が接地されており、また、バックアップロール(張架ロール232)にはトナーの帯電極性と同極性のバイアスが印加されている。
更にまた、中間転写ベルト230の最上流画像形成部22aの上流側にはベルト清掃装置53が配設されており、中間転写ベルト230上の残留トナーを除去するようになっている。
【0020】
また、記録材供給装置24には記録材を供給する供給ロール61が設けられ、この供給ロール61の直後には記録材を搬送する搬送ロール62が配設されると共に、二次転写部位の直前に位置する記録材搬送路25には記録材を所定のタイミングで二次転写部位へ供給する位置決めロール(レジストレーションロール)63が配設されている。
一方、二次転写部位の下流側に位置する記録材搬送路25には定着装置66が設けられ、この定着装置66は、図3に示すように、図示外の加熱ヒータが内蔵された加熱定着ロール66aと、これに圧接配置されて追従回転する加圧定着ロール66bとを備えている。また、定着装置66の下流側には記録材排出装置67が設けられている。この記録材排出装置67は装置筐体21内の記録材を排出する対構成の排出ロール67a,67bからなり、記録材を挟持搬送して排出し、装置筐体21の上部に形成された記録材収容受け68に記録材を収容するようになっている。
更に、本実施の形態では、装置筐体21の側方には手差し供給装置(MSI)71が設けられており、この手差し供給装置71上の記録材は供給ロール72にて記録材搬送路25に向かって供給されるようになっている。
更にまた、装置筐体21には両面記録モジュール73が付設されており、この両面記録モジュール73は、記録材の両面に画像記録を行う両面モード選択時に、記録材排出装置67を逆転させ、かつ、入口手前の案内ロール74にて片面記録済みの記録材を内部に取り込み、適宜数の搬送ロール77にて内部の記録材戻し搬送路76に沿って記録材を搬送し、再度位置決めロール63側へと供給するものである。
【0021】
<現像剤回収装置>
特に、本実施の形態では、図3及び図4に示すように、装置筐体21のフロントカバー21aを開放することで、装置筐体21のフロント側には粉体回収装置としての現像剤回収装置100が組み付けられる。
本例では、図3に示すように、装置筐体21の底部フロント側には手前から見て左右にヒンジ部品101,102が設置されており、図4に示すように、現像剤回収装置100がヒンジ部品101,102に支持された状態で装置筐体21のフロント側に回転移動して組み込まれる。
本実施の形態では、現像剤回収装置100に回収される粉体としての現像剤は、トナー及びキャリアを含む二成分現像剤であり、以下の3系統から搬送されるものを対象としている。
(1)各画像形成部22(22a〜22d)の清掃装置35は感光体31上に残留する現像剤を清掃するが、清掃された現像剤は清掃装置35の内部の搬送部材にて清掃容器の一端から排出され、図3乃至図5に示すように、搬送ダクト111〜114を経由して現像剤回収装置100へと回収される。
(2)ベルト清掃装置53は中間転写ベルト230に残留した現像剤を清掃するが、清掃された現像剤はベルト清掃装置53の内部の搬送部材にてベルト清掃容器の一端から排出され、図乃3乃至図5に示すように、搬送ダクト115を経由して現像剤回収装置100へと回収される。
(3)各画像形成部22(22a〜22d)の現像装置34は現像容器内に現像ロールを配設すると共に、現像容器内には現像剤を撹拌混合しながら帯電する例えば複数の撹拌搬送部材を配設するものであるが、現像剤のキャリアは消費されずに残るため、現像剤のキャリアが古くなると、現像剤の帯電特性に支障をきたす懸念がある。このため、本例では、古い現像剤(廃現像剤)は定期的に現像容器から外部へ廃棄された後、図3乃至図5に示すように、搬送ダクト116〜119を経由して現像剤回収装置100へと回収される。
【0022】
特に、本例では、現像装置34からの搬送ダクト116〜119は、他の搬送ダクト111〜115に比べて、装置筐体21のフロント側から突出する寸法が長いため、装置筐体21内に現像剤回収装置100を組み付けるに際し、図5に示すように、搬送ダクト116〜119と干渉しない程度現像剤回収装置100を傾けた状態でヒンジ部品101、102と連結した後、ヒンジ部品101、102を介して現像剤回収装置100を立ち上げ姿勢になるように回転させればよい。
【0023】
−現像剤回収装置の構成−
次に、現像剤回収装置100の構成について説明する。
本例では、現像剤回収装置100は、図4及び図5に示すように、前述した3系統の現像剤が回収される回収容器130を備えている。
この回収容器130は、フロントケース130fとリアケース130rとが合わさって一体になり、内部に現像剤の貯留空間を確保するようになっている。
以下、回収容器130の内部構造を見やすくする上で、図5乃至図9に示すように
フロントケース130fを取り除いたリアケース130rを主として用い説明する。
<回収口>
回収容器130は、図6及び図7に示すように、フロント側が開口した略矩形状のボックス型のリアケース130rを備えており、このリアケース130rの縦壁箇所には前述した搬送ダクト111〜119が連通するように接続可能な回収口131〜139が開設されている。尚、搬送ダクト111〜119とこれらの回収口131〜139とは必要に応じてシャッタなどが設けられている。
これらの回収口131〜139のうち、回収容器130の縦壁箇所の水平方向で図中最左端に位置するのは例えばブラックの画像形成部22aの清掃装置35に対応した搬送ダクト111と連結する回収口131であり、図中最右端に位置するのはベルト清掃装置53の搬送ダクト115と連結する回収口135であり、他の回収口132〜134,136〜139は回収容器130の面方向に対して最左端の回収口131、最右端の回収口135の間の領域内に配置されている。
【0024】
<現像剤収容室・満杯検知室>
そして、本例では、回収容器130は、図6及び図7に示すように、各回収口131〜139から回収された現像剤(図示せず)を最初に収容する現像剤収容室140と、この現像剤収容室140に隣接して設けられ、現像剤収容室140から溢れた現像剤を収容する満杯検知室150とを有している。
本例では、満杯検知室150は、回収容器130の縦壁箇所の水平方向の一端側に見受けられており、それ以外の領域を現像剤収容室140として割り当てている。
更に、現像剤収容室140には回収容器130の縦壁箇所の水平方向に対し複数の仕切り壁141〜143が設けられている。本例では、各仕切り壁141〜143は満杯検知室150に向かってその高さ寸法が次第に高く設定されている。
一方、満杯検知室150は、例えば図10に示すように、例えば断面U字状の縦方向に延びる透明又は半透明の樹脂からなる現像剤貯留部151を設け、この現像剤貯留部151の予め決められた満杯検知位置に対応した箇所には例えば発光素子153及び受光素子154が対向して配置されるフォトカプラなどの光学検知器152を配置し、満杯検知位置に現像剤が到達したか否かを光学検知器152で検知するようにしてものが採用されている。
更に、満杯検知室150の上方には覆い部材として例えば円筒状の筒状体160が設けられており、この筒状体160内の一部に満杯検知室150に通じる連通口155が開設されている。
この筒状体160は現像剤収容室140から溢れた現像剤Gが満杯検知室150に搬送されるための搬送経路を構成するほか、浮遊トナーが直接的に満杯検知室150に入る事態を阻止する部材として働く。
より具体的に述べると、例えばベルト清掃装置53から搬送される現像剤Gが回収口135から落下すると、その多くは現像剤収容室140に至るが、回収口135からの落下位置の近い場所に満杯検知室150が存在するため、現像剤Gの一部のトナーがクラウドになって満杯検知室140側に浮遊する懸念はある。しかしながら、前述したように、満杯検知室150の連通口155は筒状体160で覆われているため、トナー等の浮遊物が直接入り込む懸念は極めて少ない。
【0025】
<搬送部材>
更に、搬送部材170は、図6乃至図8及び図10に示すように、現像剤収容室140から満杯検知室150に跨がって設けられるものであって、回収容器130(具体的にはリアケース130r)の両端に予め設けられた軸受部181,182に回転軸171の両端を回転可能に支持させ、特には、図8及び図10に示すように、現像剤収容室140に面した領域のうち、満杯検知室150に隣接する領域RII以外の領域Rでは、回転軸171の周囲に当該回転軸171の所定方向の回転に伴って矢印A方向に現像剤Gを搬送させる向きの螺旋羽根172を所定ピッチp1、所定の外径d1で形成し、満杯検知室150に隣接する領域RIIでは回転軸171に対し径方向にm突出し且つ軸方向にh延びる板状羽根370を設けたものである。
ここで、板状羽根370は1枚に限らず、複数枚でもよい。また、複数枚を設ける場合には独方向の位置を同じにして回転軸の周囲に複数設けるようにしてもよいし、軸方向の位置を変位させるようにしてもよい。
更に、満杯検知室150の領域RIIIは筒状体160内に回転軸171を貫通させ、少なくとも満杯検知室150の連通口155に至る手前までの回転軸171の周囲には、所定方向の回転軸170の回転に伴って筒状体160内の現像剤が連通口155側へ搬送されるように、筒状体160の内径に収まる範囲の外径d2の螺旋羽根173を所定のピッチp2で形成し、一方、筒状体160の連通口155を挟んだ奥側に位置する回転軸171の周囲には、所定方向の回転軸の回転に伴って筒状体160内の現像剤が連通口155側に押し戻されるように、筒状体160の内径に収まる範囲の外径d3の螺旋羽根174を形成するようにしたものである。尚、図8中の回転軸171の両端には軸受部181,182に支持される被軸受部175(例えばDカット),176(例えば大径軸部)が設けられており、本例では、被軸受部175には図示外の駆動モータからの駆動力が伝達されるようになっている。
【0026】
更に、本例では、搬送部材170は、現像剤収容室140から満杯検知室150に至る方向に沿って現像剤を搬送するものであるが、現像剤の搬送方向に対し満杯検知室150側の位置が高くなるように斜め上方に傾斜して配置されている。
本例では、現像剤収容室140の仕切り壁141〜143の高さ変化に略対応した角度で傾斜配置されているが、搬送部材170の螺旋羽根172は少なくとも仕切り壁141〜143の上端とは干渉しないように仕切り壁141〜143の上方に配置されている。
【0027】
<制御装置>
本例では、制御装置300は、図10に示すように、マイクロコンピュータシステムにて構成されており、現像剤回収装置100の搬送部材170を駆動機構310を介して駆動するほか、例えば満杯検知室150の光学検知器152からの検知信号を受け、例えばディスプレイ表示器320に「現像剤回収装置の回収容器が満杯になりました。」、「古い回収容器新しい回収容器と交換して下さい。」というメッセージを表示するように制御する。
【0028】
−現像剤回収装置の作動−
<現像剤の回収動作>
本例では、図6に示すように、画像形成装置の清掃装置35、ベルト清掃装置53及び現像装置34から夫々搬送ダクト111〜119を経由して搬送される現像剤Gが回収口131〜139から回収容器130内に回収される。
このとき、回収容器130では、回収口131〜139に搬送されてきた現像剤Gが落下し回収容器130の現像剤収容室140に収容される。この状態において、搬送部材170が駆動回転すると、現像剤収容室140では回収口131〜139の略直下に落下した現像剤がそのまま貯留していくことになるが、ある程度のレベルに貯留してくると、貯留した現像剤Gが搬送部材170で均されながら満杯検知室150側へと搬送される。
本例では現像剤収容室140に貯留する現像剤Gは搬送部材170に接触する度に均され、かつ、満杯検知室150側へと移動していく。
特に、本例では、現像剤収容室140の仕切り壁141〜143が搬送部材170の搬送方向に伴って次第に高さ寸法が高くなり、また、搬送部材170も満杯検知室150に向かって斜め上方に傾斜配置されているため、搬送部材170は、現像剤Gの均し動作と移動動作とを繰り返し、満杯検知室150寄りに向かって次第に現像剤収容室140内で現像剤Gの収容量増加させ、満杯検知室150側に向かって斜め上方に傾斜した増加分布で現像剤を収容する。
【0029】
今、本例の搬送部材170の各部の搬送力について検討してみるに、図11(a)に示すように、領域Rでは回転軸171の周囲に所定のピッチ、外径の螺旋羽根172を有しており、例えば搬送力Fで現像剤Gを搬送する。
また、満杯検知室150に隣接する現像剤収容室140のRII領域では、板状羽根370は回転軸171の回転方向に向けて現像剤Gを移動させるものであるが、搬送部材170の搬送方向に向けての搬送力は略0である。このため、この搬送部材170は満杯検知室150へと積極的に現像剤Gを搬送しない。よって、領域RIIでは、板状羽根370が現像剤を回転方向に押し付けることから、現像剤が十分に充填される。このため、領域RIIでは現像剤Gの収容量が増加することになり、この後、現像剤収容室140を乗り上げるレベルに到達すると、当該現像剤Gが満杯検知室150へと乗り越えて搬送される。
尚、満杯検知室150の領域RIIIでは回転軸171の周囲に所定のピッチ、外径の螺旋羽根173,174を有しており、例えば搬送力FIII(本例ではFIII>F)で現像剤Gを搬送する。
【0030】
この状態において、現像剤Gの回収動作が更に継続していき、現像剤収容室140の満杯検知室150に隣接した部位の現像剤Gが現像剤収容室140から溢れると、搬送部材170によって筒状体160を経て連通口155から満杯検知室150に現像剤Gを搬送する。
この後、現像剤収容室140から溢れた現像剤Gが満杯検知室150に貯留していくと、図10に示すように、光学検知器152は現像剤収容室140が満杯状態であることを検知し、ディスプレイ表示器320に所定のメッセージ(回収容器130の交換要請メッセージ)が表示されるが、新規な回収容器130の準備が出来るまで現像剤回収装置100は現像剤の回収動作を継続する。
【0031】
また、本実施の形態では、現像剤収容室140の領域RIIには板状羽根370が設けられているが、これに限られるものではなく、図11(b)に示すように、領域Rにおける第1の搬送部の搬送力Fよりも領域RIIにおける第2の搬送部による搬送力FIIを低く調整するようにすれば適宜選定して差し支えない。
例えばFは第1の搬送部(ピッチp1、外径r1の螺旋羽根172)による特性であり、FIIは第2の搬送部(ピッチp2、外径r2、長さhの螺旋羽根371)による特性である。
尚、第2の搬送部の螺旋の向きを逆方向にしたところ、満杯検知室150に現像剤Gを搬送できない可能性があった。
【0032】
−現像装置からの現像剤回収−
本例では、現像剤回収装置100は、各画像形成部22(22a〜22d)の現像装置34から搬送された現像剤も回収されるようになっている。
特に、本例では、図5に示すように、現像装置34からの現像剤Gの回収口136〜139が他の回収口131〜135に比べて搬送部材170の搬送方向に直交する方向に対して変位している。
このため、本態様では、図12(a)(b)に示すように、回収口136〜139の略直下の位置には搬送部材170が配置されていない。
そこで、本例では、回収口136〜139の下方には、当該回収口136〜139から落下した現像剤Gが搬送部材170側に向けて案内されるように傾斜した案内面330が設けられている。このため、本例では、搬送部材170は回収口136〜139からは離れた部位に設置されているが、回収口136〜139から落下した現像剤Gは案内面330を介して搬送部材170に接触する部位まで案内される。よって、回収口136〜139から落下した現像剤Gは現像剤収容室140内に単に貯留するのではなく、搬送部材170の位置に案内されることから、搬送部材170に均されながら搬送される。
【0033】
◎実施の形態2
本実施の形態に係る画像形成装置は、図13に示すように、実施の形態1と異なり、回収容器130の略中央付近に満杯検知室150を設けると共に、その両隣りに現像剤収容室140(具体的には140a,140b)を設け、更に、夫々の現像剤収容室140(具体的には140a,140b)から満杯検知室150にかけて搬送部材170(具体的には170a,170b)を夫々設けたものである。尚、満杯検知室150の上方には覆い部材としての筒状体160が設けられている。
本例では、一方の搬送部材170aは現像剤収容室140aに収容された現像剤Gを矢印A方向に搬送し、他方の搬送部材170bは現像剤収容室140bに収容された現像剤Gを矢印B方向に搬送するものである。
ここで、一方の搬送部材170aは、図13及び図14に示すように、現像剤収容室140aに対応した部位のうち満杯検知室150に隣接した部位を除いて回転軸171aの周囲には所定のピッチ、外径寸法の螺旋羽根172aを設けると共に、満杯検知室150に隣接した部位では、実施の形態1と同様に、回転軸171aに対し径方向にm突出し且つ軸方向にh延びる板状羽根370aを設け、更に、満杯検知室150の連通口155より現像収容室140a側に位置する個所には回転軸171aの周囲に所定のピッチ、外径の螺旋羽根173を設けたものである。
また、他方の搬送部材170bは、現像剤収容室140baに対応した部位のうち満杯検知室150に隣接した部位を除いて回転軸171bの周囲には所定のピッチ、外径寸法の螺旋羽根172bを設けると共に、満杯検知室150に隣接した部位では板状羽根370bを設け、更に、満杯検知室150の連通口155より現像収容室140b側に位置する個所には回転軸171bの周囲に所定のピッチ、外径の螺旋羽根173bを設けたものである。
更に、本実施の形態では、搬送部材170a,170bは略水平方向に延びるものであって、また、現像装置34から搬送された現像剤の回収口136〜139は使用されていない。
【0034】
従って、本実施の形態では、現像剤は回収容器130の各回収口131〜135から落下し、現像剤収容室140a、140bに夫々収容される。そして、搬送部材170a,170bは現像剤収容室140a,140bに収容されている現像剤Gを均しながら満杯検知室150側に移動させていく。
今、現像剤収容室140a,140bの現像剤Gが増加していき、筒状体160を経由して満杯検知室150側に乗り上げると、満杯検知室150に現像剤Gが搬入される。
この状態において、満杯検知室150への現像剤Gの流入が増加していくと、光学検知器152による満杯検知が行われ、ディスプレイ表示器320に所定のメッセージ(回収容器130の交換要請メッセージ)が表示されるが、新規な回収容器130の準備が出来るまで現像剤回収装置100は現像剤Gの回収動作を継続する。
【0035】
◎実施の形態3
図15は実施の形態3に係る現像剤回収装置の要部を示す。
同図において、現像剤回収装置100の基本的構成は、実施の形態1と略同様であるが、実施の形態1と異なり、筒状体160の上壁部分には開閉扉200が設けられている。尚、実施の形態1と同様な構成要素については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本例では、開閉扉200は、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂にて筒状体160と一体的に構成されており、筒状体160の奥側に位置するせき止め壁としての軸受部182に対して一体的に成形されたヒンジ部201(本例ではリビングヒンジにて構成)にて回転可能に支持し、更に、開閉扉200の回転自由端に対向する開口縁には例えば断面V字状の弾性変形可能な受部202が形成されると共に、開閉扉200の回転自由端縁には受部202と略同様な断面形状の引っ掛かり部203が設けられている。そして、開閉扉200閉時には引っ掛かり部203が弾性変形した状態で受部202に嵌まっており、開閉扉200の内側から例えば現像剤が所定の押圧力で押し上げると、所謂スナップフィットの作用により引っ掛かり部203が受部202から外れ、開閉扉200が開放するようになっている。
【0036】
従って、本実施の形態では、現像剤収容室140での現像剤Gの収容量が増加し、現像剤収容室140から溢れた現像剤Gが満杯検知室150に貯留していくと、図16(a)に示すように、光学検知器152は現像剤収容室140が満杯状態であることを検知し、ディスプレイ表示器320に所定のメッセージ(回収容器130の交換要請メッセージ)が表示されるが、新規な回収容器130の準備が出来るまで現像剤回収装置100は現像剤の回収動作を継続する。
このとき、仮に、現像剤の回収量が急に増えたりすると、満杯検知室150に貯留する現像剤が過渡的に増加し、ついには満杯検知室150内の現像剤Gが溢れて筒状体160の領域内に逆流してくるという事態を生ずる。
すると、筒状体160内に逆流した現像剤Gは筒状体160の上部にまで及び、図16(b)に示すように、筒状体160内の現像剤Gが内部から開閉扉200を所定の押圧力で押し上げる。このとき、現像剤Gによる押圧力が所定のレベルを超えると、開閉扉200の回転自由端の引っ掛かり部203がスナップフィット作用により開口縁の受部202との嵌まり合いが外れ、ヒンジ部201を支点として上方に開放される。
これにより、筒状体160内の現像剤Gは開閉扉200の開口から上方へと溢れ出し、筒状体160内での現像剤Gの押圧力は低減する。このため、筒状体160内では現像剤Gがパッキングした状態から解放されることになり、搬送部材170が回転したとしても、搬送部材170が破損するという懸念はない。
【0037】
◎変形の形態
図17(a)は実施の形態3に係る現像剤回収装置の変形の形態を示す。
同図において、現像剤回収装置100の基本的構成は実施の形態3と略同様であるが、実施の形態3と異なる開閉扉200を有している。尚、実施の形態3と同様な構成要素については実施の形態3と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本例では、開閉扉200は、図17(a)(b)に示すように、筒状体160の上部を例えば屈曲した扉部材340で構成し、この扉部材340をヒンジ部341で回転可能に支持すると共に、このヒンジ部341には付勢バネ342を巻き付け、扉部材340を閉方向へ付勢する一方、筒状体160内には搬送部材170の回転軸171に貫通し且つ回転軸171の軸方向に沿って移動可能な可動壁345を設け、図17(b)に実線、点線、二点鎖線で示すように、可動壁345を回転軸に沿って進退させることで、扉部材340を付勢バネ342の付勢方向に抗して持ち上げ支持するようにしたものである。
本例によれば、図18(a)に示すように、光学検知器152は現像剤収容室140が満杯状態であることを検知するが、この状態では、実施の形態1と同様に、新規な回収容器130の準備が出来るまで現像剤回収装置100は現像剤の回収動作を継続する。
このとき、仮に、現像剤の回収量が急に増えたりすると、満杯検知室150に貯留する現像剤が過渡的に増加し、ついには満杯検知室150内の現像剤Gが溢れて筒状体160の領域内に逆流してくるという事態を生ずる。
すると、筒状体160内に逆流した現像剤Gは、図18(b)に示すように、筒状体160内において可動壁345を押圧し、筒状体160の奥側に向けて可動壁345を押圧する。このとき、可動壁345の移動に伴って扉部材340が付勢バネ342の付勢方向に抗して上方に開放させられる。
これにより、筒状体160内の現像剤Gは開閉扉200の開口から上方へと溢れ出し、筒状体160内での現像剤Gの押圧力は低減する。このため、筒状体160内では現像剤Gがパッキングした状態から解放されることになり、搬送部材170が回転したとしても、搬送部材170が破損するという懸念はない。
【実施例】
【0038】
◎実施例1
本実施例は、実施の形態1に係る現像剤回収装置を具現化したものを用い、現像剤収容室140の現像剤収容量を評価したものである。
本実施例は、図19(a)に示すように、図示外のベルト清掃装置からの現像剤Gが回収口135から落下するが、現像剤Gの回収エリアに対応した個所に板状羽根370を配置し、他の領域には回転軸の周囲に螺旋羽根を連続的に形成した搬送部材170が使用されている。
尚、比較例1としては、図19(b)に示すように、現像剤収容室140の全域に亘って回転軸の周囲に螺旋羽根を連続的に形成した搬送部材170’が使用され、図示外のベルト清掃装置からの現像剤Gの回収エリアに対しては螺旋羽根が作用するものである。
本実験では、同程度の現像剤を同様な条件で順次回収していき、現像剤収容室140のうち仕切り壁143と満杯検知室150との間に囲まれた領域における現像剤の収容量を測定したところ、図19(a)(b)に示す結果が得られた。
本例では、目標回収量を予め決めておき、それと対比で評価したところ、実施例1の現像剤収容量Gaは目標回収量に対して113%であったのに対し、比較例1の現像剤収容量Gbは目標回収量に対して70%であった。
このように、実施例1の方が比較例1に比べて現像剤の収容効率が高いことが理解される。
【0039】
◎実施例2
本実施例は、実施の形態1に係る現像剤回収装置を具現化したものを用い、現像剤収容室140全体の現像剤収容量を評価したものである。
本例では、目標回収量を予め決めておき、使用環境条件として、(1)常温常湿環境(22℃/55%RH)、(2)高温高湿環境(28℃/85%RH)、(3)低温低湿環境(10℃/15%RH)において、評価を2回実施したところ、図20に示すような結果が得られた。
いずれの環境下においても、目標回収量を十分達成していることが理解され、現像剤収容室へ現像剤が十分に充填した状態で収容されていることを裏付けている。
【符号の説明】
【0040】
1…回収容器,2(2a〜2e)…回収口,3…粉体収容室,4…満杯検知室,4a…検知器,5(5a〜5c)…仕切り壁,6…覆い部材,7…搬送部材,10…粉体処理部,11…粉体回収装置,G…粉体
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図20