特許第6558064号(P6558064)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6558064
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】認証装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/32 20130101AFI20190805BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20190805BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20190805BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20190805BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20190805BHJP
【FI】
   G06F21/32
   H04N1/00 C
   G06T7/00 510B
   G06T1/00 340A
   G03G21/00 390
   G03G21/00 386
【請求項の数】11
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-95652(P2015-95652)
(22)【出願日】2015年5月8日
(65)【公開番号】特開2016-212624(P2016-212624A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2018年2月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100166981
【弁理士】
【氏名又は名称】砂田 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】林 学
(72)【発明者】
【氏名】小野 真史
(72)【発明者】
【氏名】延谷 直哉
(72)【発明者】
【氏名】山本 訓稔
【審査官】 岸野 徹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−035180(JP,A)
【文献】 特開2012−089140(JP,A)
【文献】 特開2003−141088(JP,A)
【文献】 特開2010−246132(JP,A)
【文献】 特開2007−047931(JP,A)
【文献】 特開2015−045916(JP,A)
【文献】 特開2008−146449(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0015930(US,A1)
【文献】 特開2008−046880(JP,A)
【文献】 特開2001−236325(JP,A)
【文献】 特開2013−182529(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/32
G03G 21/00
G06T 1/00
G06T 7/00
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の顔画像を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段が撮影した画像から使用者の顔画像を検知する顔検知手段と、
前記顔検知手段が使用者の顔画像を検知してからの経過時間を計測する計時手段と、
設定時間を変更する変更手段と、
前記撮影手段が撮影した使用者の顔画像を用いた認証を行う認証手段と、
前記認証手段による認証が失敗すると失敗情報を表示する表示手段と、
み、
前記表示手段は、前記計時手段による経過時間が予め決められた第1設定時間を経過した状態で前記認証手段による認証が完了していない場合に、失敗情報を表示し、
前記変更手段は、前記第1設定時間を経過した後に当該第1設定時間より長い第2設定時間に設定時間を変更し、
前記認証手段は、前記第2設定時間の間で顔画像を用いた認証を継続して行う認証装置。
【請求項2】
使用者の退去を検知する退去検知手段と、
前記退去検知手段が使用者の退去を検知すると、前記表示手段への前記失敗情報の表示を停止させる停止手段と
をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の認証装置。
【請求項3】
前記表示手段は、前記失敗情報として認証を成功させるための指示を表示することを特徴とする請求項1記載の認証装置。
【請求項4】
前記退去検知手段は、赤外線を検出する赤外センサあるいは画像を撮影するカメラにて構成されることを特徴とする請求項記載の認証装置。
【請求項5】
前記撮影手段が前記退去検知手段を兼ねることを特徴とする請求項記載の認証装置。
【請求項6】
前記退去検知手段が使用者の退去を検知すると、消費電力を低減する制御を行う制御手段をさらに含むことを特徴とする請求項記載の認証装置。
【請求項7】
記表示手段は、前記計時手段による経過時間が前記第2設定時間を経過した場合に、前記失敗情報とは異なる他の失敗情報を表示することを特徴とする請求項記載の認証装置。
【請求項8】
前記失敗情報は顔画像を用いた認証に関する情報を含み、前記他の失敗情報は顔画像を用いた認証とは別の認証に関する情報を含むことを特徴とする請求項記載の認証装置。
【請求項9】
前記顔画像を用いた認証とは別の認証は、使用者による入力に基づく認証であることを特徴とする請求項記載の認証装置。
【請求項10】
前記変更手段は、前記第2設定時間が設定された状態で前記退去検知手段が使用者の退去を検知した場合に、当該第2設定時間を前記第1設定時間に変更することを特徴とする請求項記載の認証装置。
【請求項11】
記録材に画像を形成する画像形成手段と、
使用者の顔画像を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段が撮影した画像から使用者の顔画像を検知する顔検知手段と、
前記顔検知手段が使用者の顔画像を検知してからの経過時間を計測する計時手段と、
設定時間を変更する変更手段と、
前記画像形成手段の使用を許可するために、前記撮影手段が撮影した使用者の顔画像を用いた認証を行う認証手段と、
前記認証手段による認証が失敗すると失敗情報を表示する表示手段と、
み、
前記表示手段は、前記計時手段による経過時間が予め決められた第1設定時間を経過した状態で前記認証手段による認証が完了していない場合に、失敗情報を表示し、
前記変更手段は、前記第1設定時間を経過した後に当該第1設定時間より長い第2設定時間に設定時間を変更し、
前記認証手段は、前記第2設定時間の間で顔画像を用いた認証を継続して行う画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認証装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
公報記載の従来技術として、複写機の操作パネルにCCDカメラを配置し、使用者の顔をCCDカメラにより撮影し、撮影で得た顔の画像の特徴量を、予め登録されている特徴量と比較することで、この使用者が正規の使用者であるか否かを判定し、正規の使用者である場合には複写機の利用を許可(認証)し、正規の使用者でない場合には複写機の利用を禁止するものが存在する(特許文献1参照)。
【0003】
また、他の公報記載の従来技術として、撮影で得た使用者の顔の画像の特徴量と予め登録されている特徴量との照合が否認となった場合に、この使用者に対して、個人識別情報の入力を要請するものが存在する(特許文献2参照)。この特許文献2では、個人識別情報の入力を要請するに際して、タッチパネルなどを適用した表示・操作部に、ID入力部やパスワード入力部等を含むID・パスワード入力要請画面を表示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−111924号公報
【特許文献2】特開2009−64140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、装置の使用を許可されていない未登録の使用者が、顔の画像の撮影に基づく認証(顔認証)を試みた場合には、照合の結果が否認となり、この未登録の使用者に対して、認証が失敗したことを示す画面を表示することが考えられる。しかしながら、その場合、この未登録の使用者(前の使用者)が装置から立ち去ってしまった場合には、前の使用者に続いて装置に近づいてきた次の使用者に対して、前の使用者に対して提示すべき認証が失敗したことを示す画面が表示されてしまうことになる。このような場合には、次の使用者が、表示画面を認証が失敗したことを示す画面から認証をするための画面へ遷移させるための操作等、本来は不必要な操作が必要になる。
本発明は、前の使用者が立ち去った後も当該前の使用者へ提示すべき情報が表示され続けることを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、使用者の顔画像を撮影する撮影手段と、前記撮影手段が撮影した画像から使用者の顔画像を検知する顔検知手段と、前記顔検知手段が使用者の顔画像を検知してからの経過時間を計測する計時手段と、設定時間を変更する変更手段と、前記撮影手段が撮影した使用者の顔画像を用いた認証を行う認証手段と、前記認証手段による認証が失敗すると失敗情報を表示する表示手段と、み、前記表示手段は、前記計時手段による経過時間が予め決められた第1設定時間を経過した状態で前記認証手段による認証が完了していない場合に、失敗情報を表示し、前記変更手段は、前記第1設定時間を経過した後に当該第1設定時間より長い第2設定時間に設定時間を変更し、前記認証手段は、前記第2設定時間の間で顔画像を用いた認証を継続して行う認証装置である。
請求項2記載の発明は、使用者の退去を検知する退去検知手段と、前記退去検知手段が使用者の退去を検知すると、前記表示手段への前記失敗情報の表示を停止させる停止手段とをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の認証装置である。
請求項3記載の発明は、前記表示手段は、前記失敗情報として認証を成功させるための指示を表示することを特徴とする請求項1記載の認証装置である。
請求項記載の発明は、前記退去検知手段は、赤外線を検出する赤外センサあるいは画像を撮影するカメラにて構成されることを特徴とする請求項記載の認証装置である。
請求項記載の発明は、前記撮影手段が前記退去検知手段を兼ねることを特徴とする請求項記載の認証装置である。
請求項記載の発明は、前記退去検知手段が使用者の退去を検知すると、消費電力を低減する制御を行う制御手段をさらに含むことを特徴とする請求項記載の認証装置である。
請求項7記載の発明は、記表示手段は、前記計時手段による経過時間が前記第2設定時間を経過した場合に、前記失敗情報とは異なる他の失敗情報を表示することを特徴とする請求項記載の認証装置である。
請求項記載の発明は、前記失敗情報は顔画像を用いた認証に関する情報を含み、前記他の失敗情報は顔画像を用いた認証とは別の認証に関する情報を含むことを特徴とする請求項記載の認証装置である。
請求項記載の発明は、前記顔画像を用いた認証とは別の認証は、使用者による入力に基づく認証であることを特徴とする請求項記載の認証装置である。
請求項10記載の発明は、前記変更手段は、前記第2設定時間が設定された状態で前記退去検知手段が使用者の退去を検知した場合に、当該第2設定時間を前記第1設定時間に変更することを特徴とする請求項記載の認証装置である。
請求項11記載の発明は、記録材に画像を形成する画像形成手段と、使用者の顔画像を撮影する撮影手段と、前記撮影手段が撮影した画像から使用者の顔画像を検知する顔検知手段と、前記顔検知手段が使用者の顔画像を検知してからの経過時間を計測する計時手段と、設定時間を変更する変更手段と、前記画像形成手段の使用を許可するために、前記撮影手段が撮影した使用者の顔画像を用いた認証を行う認証手段と、前記認証手段による認証が失敗すると失敗情報を表示する表示手段と、み、前記表示手段は、前記計時手段による経過時間が予め決められた第1設定時間を経過した状態で前記認証手段による認証が完了していない場合に、失敗情報を表示し、前記変更手段は、前記第1設定時間を経過した後に当該第1設定時間より長い第2設定時間に設定時間を変更し、前記認証手段は、前記第2設定時間の間で顔画像を用いた認証を継続して行う画像形成装置である。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によれば、前の使用者が立ち去った後も当該前の使用者へ提示すべき情報が表示され続けることを抑制することができる。また、使用者に顔の映り具合を調整するための時間を付与することができる。
請求項記載の発明によれば、使用者の退去を容易に検知することができる。
請求項記載の発明によれば、装置構成を簡略化することができる。
請求項記載の発明によれば、不要な電力消費を抑制することができる。
請求項7記載の発明によれば、連続して同じ失敗情報を提示することを抑制することができる。
請求項記載の発明によれば、使用者に対して適切な失敗情報を提示することができる。
請求項記載の発明によれば、顔認証が失敗した場合であっても、使用者が適切な認証を行うことができる。
請求項10記載の発明によれば、新たな使用者が現れた場合においても、この新たな使用者に対して適切な案内を行うことができる。
請求項11記載の発明によれば、前の使用者が立ち去った後も当該前の使用者へ提示すべき情報が表示され続けることを抑制することができる。また、使用者に顔の映り具合を調整するための時間を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】画像形成装置の斜視図である。
図2】ユーザインタフェースの上面図である。
図3】画像形成装置のブロック図である。
図4】実施の形態1における顔認証処理の手順を示すフローチャートである。
図5】実施の形態1の顔認証処理における表示画面の一例を示す図である。
図6】実施の形態1の顔認証処理における表示画面の他の一例を示す図である。
図7】実施の形態2における顔認証処理の手順を示すフローチャートである。
図8】実施の形態2の顔認証処理における表示画面の一例を示す図である。
図9】実施の形態2の顔認証処理における表示画面の他の一例を示す図である。
図10】画像形成装置により人物の存在が検知される範囲を説明する図である。
図11】画像形成装置のモードの制御に関する処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0010】
<実施の形態1>
図1は、本実施の形態が適用される画像形成装置10の斜視図である。この画像形成装置10は、スキャン機能、プリント機能、コピー機能およびファクシミリ機能を備えた所謂複合機である。
【0011】
画像形成装置10は、スキャナ11と、プリンタ12と、ユーザインタフェース(UI)13とを備える。これらのうち、スキャナ11は、原稿に形成された画像を読み取るための装置であり、プリンタ12は、記録材に画像を形成するための装置である。また、ユーザインタフェース13は、使用者が画像形成装置10を使用する際に、使用者による操作(指示)を受け付け、且つ、使用者に対し各種情報の表示を行うための装置である。
【0012】
本実施の形態のスキャナ11は、プリンタ12の上方に配置されている。また、ユーザインタフェース13は、スキャナ11に取り付けられている。ここで、ユーザインタフェース13は、画像形成装置10を使用する際に使用者が立つ、画像形成装置10(スキャナ11)のフロント側に配置される。そして、ユーザインタフェース13は、画像形成装置10のフロント側に立った使用者が上方から下方を見た状態で操作できるように、上方に向けて配置される。
【0013】
また、この画像形成装置10は、焦電センサ14と、第1カメラ15と、第2カメラ16とをさらに備える。これらのうち、焦電センサ14および第1カメラ15は、プリンタ12のフロント側且つ左側に取り付けられている。そして、第1カメラ15は、焦電センサ14の上方に配置されている。また、撮影手段の一例としての第2カメラ16は、ユーザインタフェース13における左側に、上方に向けて取り付けられている。
【0014】
ここで、焦電センサ14は、画像形成装置10のフロント側における、使用者を含む移動体の移動を検知する機能を有している。また、第1カメラ15は所謂ビデオカメラで構成されており、画像形成装置10のフロント側の画像を撮影する機能を有している。さらに、第2カメラ16も所謂ビデオカメラで構成されており、画像形成装置10の上側の画像を撮影する機能を有している。なお、これら焦電センサ14、第1カメラ15および第2カメラ16は、それぞれが退去検知手段としての機能を有している。
【0015】
図2は、図1に示すユーザインタフェース13の上面図である。ただし、図2は、ユーザインタフェース13に配置される第2カメラ16も、併せて示している。
【0016】
ユーザインタフェース13は、タッチパネル130と、第1操作ボタン群131と、第2操作ボタン群132と、USBメモリ装着部133とを有する。ここで、第1操作ボタン群131は、タッチパネル130の右側に配置されている。また、第2操作ボタン群132、USBメモリ装着部133および第2カメラ16は、タッチパネル130の左側に配置されている。
【0017】
ここで、表示手段の一例としてのタッチパネル130は、使用者に対し画像を用いた情報を表示し、且つ、使用者からの入力を受け付ける機能を有している。また、第1操作ボタン群131および第2操作ボタン群132は、使用者からの入力を受け付ける機能を有している。さらに、USBメモリ装着部133は、使用者によるUSBメモリの装着を受け付ける機能を有している。
【0018】
また、ユーザインタフェース13に取り付けられる第2カメラ16は、画像形成装置10を使用する使用者の顔の画像を撮影できる位置に配置されている。そして、第2カメラ16で撮影された画像(使用者の顔の画像を含む)は、タッチパネル130に表示されるようになっている。
【0019】
図3は、画像形成装置10のブロック図である。この画像形成装置10は、制御部101と、通信部102と、操作部103と、表示部104と、記憶部105と、画像読取部106と、画像形成部107と、撮影・検知部108と、顔登録認証部109と、計時部110とを備える。
【0020】
停止手段、制御手段および変更手段の一例としての制御部101は、例えばCPU(Central Processing Unit)とメモリとを備え、画像形成装置10の各部を制御する。CPUは、メモリ又は記憶部105に記憶されたプログラムを実行する。メモリは、例えばROM(Read Only Memory)とRAM(Random Access Memory)とを備える。ROMは、予めプログラムやデータを記憶する。RAMは、プログラムやデータを一時的に記憶し、CPUがプログラムを実行する際の作業領域として用いられる。
【0021】
通信部102は、図示しない通信回線に接続される通信用のインタフェースである。通信部102は、クライアント装置や他の画像形成装置(ともに図示せず)と、通信回線を介して通信を行う。
【0022】
操作部103は、使用者の操作に応じた情報を制御部101に入力する。この例において、操作部103は、ユーザインタフェース13に設けられたタッチパネル130、第1操作ボタン群131および第2操作ボタン群132によって実現される。
【0023】
表示部104は、使用者に対し各種情報を表示する。この例において、表示部104は、ユーザインタフェース13に設けられたタッチパネル130によって実現される。
【0024】
記憶部105は、例えばハードディスクであり、制御部101により用いられる各種のプログラムやデータを記憶する。
【0025】
画像読取部106は、原稿の画像を読み取って画像データを生成する。この例において、画像読取部106はスキャナ11によって実現される。
【0026】
画像形成手段の一例としての画像形成部107は、画像データに応じた画像を用紙等のシート状の記録材に形成する。この例において、画像形成部107はプリンタ12によって実現される。なお、画像形成部107は、電子写真方式により画像を形成してもよいし、その他の方式により画像を形成してもよい。
【0027】
撮影・検知部108は、撮影対象の撮影あるいは検知を行う。この例において、撮影・検知部108は、焦電センサ14、第1カメラ15および第2カメラ16によって実現される。
【0028】
認証手段および顔検知手段の一例としての顔登録認証部109は、この画像形成装置10を使用することが可能な使用者について、事前に、この使用者の顔画像を用いた登録を行う。ここで、登録においては、使用者の顔画像の撮影を行うとともに、撮影で得られた顔画像から特徴量の抽出を行う。そして、使用者のIDと、使用者の顔画像と、使用者の顔画像から抽出された特徴量とを対応付けて記憶させる。また、顔登録認証部109は、使用者がこの画像形成装置10を使用しようとする際に、この使用者の顔画像を用いた認証を行う。ここで、認証においては、使用者の顔画像の撮影を行うとともに、撮影で得られた顔画像から特徴量の抽出を行う。そして、今回の撮影で得られた特徴量が、既に登録されている特徴量と一致するか否かを調べ、一致するものがある場合には画像形成装置10の使用を許可し、一致するものがない場合には画像形成装置10の使用を制限または禁止する。
【0029】
計時手段の一例としての計時部110は、例えばタイマからなり、制御部101による指示に基づいて時間の計測を行う。
【0030】
この画像形成装置10では、スキャン処理、コピー処理、プリント処理、ファクシミリ送信処理およびファクシミリ受信処理が行われる。スキャン処理とは、原稿の画像を読み取って画像データを生成する処理をいう。このスキャン処理は、画像読取部106によって行われる。コピー処理とは、原稿の画像を読み取って画像データを生成し、この画像データに基づいて記録材に画像を形成する処理をいう。このコピー処理は、画像読取部106および画像形成部107によって行われる。プリント処理とは、外部に設けられたクライアント装置から受信した画像データに基づいて記録材に画像を形成する処理をいう。このプリント処理は、通信部102および画像形成部107によって行われる。ファクシミリ送信処理は、原稿の画像を読み取って画像データを生成し、生成した画像データを、通信部102を介してファクシミリ装置に送信する処理をいう。このファクシミリ送信処理は、画像読取部106及び通信部102によって行われる。ファクシミリ受信処理は、ファクシミリ装置から受信した画像データに基づいて記録材に画像を形成する処理をいう。このファクシミリ受信処理は、通信部102および画像形成部107によって行われる。
【0031】
図10は、画像形成装置10により人物の存在が検知される範囲を説明する図である。図10には、画像形成装置10及びその周辺を、画像形成装置10の高さ方向上側から平面視したときの図を示す。
図10に示すように、焦電センサ14(図1参照)の検出範囲Fは、画像形成装置10の正面側に形成され、高さ方向上側からの平面視で略扇形である。画像形成装置10を利用しようとする人物が、画像形成装置10に接近した場合、まず、この人物は検出範囲F内に進入する。
【0032】
図10に示す接近検知範囲R1は、画像形成装置10の正面側に形成され、高さ方向上側からの平面視で略扇形である。接近検知範囲R1は、検出範囲Fの略全体を含むように設定される。画像形成装置10に接近した人物は、接近検知範囲R1内に進入する。ここでは、図10に符号「P」を付して表した位置であって第1カメラ15が配置された位置を、画像形成装置10の位置とする。なお、接近検知範囲R1は、ここでは、中心角が180度の扇形(半円形)であるが、中心角は180度以外の角度であってもよい。ただし、第1カメラ15は、少なくとも接近検知範囲R1の全体を撮影範囲とする。
【0033】
滞在検知範囲R2は、画像形成装置10の正面側に設定され、高さ方向上側からの平面視で矩形である。この矩形範囲は、画像形成装置10の幅方向の長さがWであり、画像形成装置10の奥行方向の長さがDである。滞在検知範囲R2の幅方向の長さWは、ここでは、画像形成装置10の幅方向の長さと同じ又は略同じである。滞在検知範囲R2は、接近検知範囲R1よりも画像形成装置10に近い距離の範囲である。このため、滞在検知範囲R2は、その全体が接近検知範囲R1内に含まれるように設定される。画像形成装置10の使用者は、滞在検知範囲R2内に進入した後、この滞在検知範囲R2内に滞在し、ユーザインタフェース13を使用した操作等を行う。
【0034】
接近検知範囲R1および滞在検知範囲R2の各々における人物の存在の検知は、制御部101が第1カメラ15の撮影画像を解析することにより行われる。また、接近検知範囲R1および滞在検知範囲R2の各々は、厳密に図10に示すとおりに設定される必要はなく、第1カメラ15の撮影画像に基づいて特定し得る精度で足りる。
【0035】
図11は、画像形成装置10のモードの制御に関する処理の流れを示すフローチャートである。
画像形成装置10がスリープモードで動作するとき、制御部101は、焦電センサ14による赤外線の量の検出結果を監視して、検出範囲F内に人物が存在するかどうかを判断する。そして、人物が検出範囲F内に進入すると、制御部101は、焦電センサ14の検出結果に基づいて、検出範囲F内の人物の存在を検知する(ステップ1)。
【0036】
検出範囲F内の人物の存在を検知すると、制御部101は、第1カメラ15への電力供給を開始させるとともに、第1カメラ15を起動させて接近検知範囲R1の撮影を開始させる(ステップ2)。第1カメラ15により撮影が開始されると、制御部101は、第1カメラ15から取得した撮影画像を解析して人物の動きを検出する処理を開始する(ステップ3)。
【0037】
ステップ3で開始される人物の動きを検出する処理において、制御部101は、画像形成装置10から人物までの距離を推定するとともに、人物の動きを示す動きベクトルを算出する。この人物の動きを検出する処理は公知の方法により行われてよいが、例えば、制御部101は、撮影画像から検出した身体の部位の大きさに基づいて、画像形成装置10から人物までの距離を推定する。また、制御部101は、第1カメラ15の撮影画像に対しフレーム処理を施し、複数フレームの撮影画像を時系列順に比較する。この際、制御部101は、人物の身体の部位として、例えばつま先を検出し、検出した部位の動きを解析して動きベクトルを算出する。例えば、制御部101は、第1カメラ15から取得した撮影画像を平面画像に補正(平面視展開)してから人物の動きを検出する。
【0038】
次に、制御部101は、接近検知範囲R1内の人物の接近を検知したかどうかを判断する(ステップ4)。例えば、人物が接近検知範囲R1内にあり、且つ、画像形成装置10の方向に移動していると判断した場合に、制御部101は人物の接近を検知したと判断する(ステップ4においてYES)。
なお、制御部101は、焦電センサ14により人物の存在が検知されている期間においては、人物の動きを検出する処理を行い、ステップ4の処理で接近の有無を判断する処理を繰り返す(ステップ4においてNO)。
【0039】
ステップ4で肯定の判断(YES)を行った場合、制御部101は、画像形成装置10のモードを、スリープモードから通常モードへ移行させる(ステップ5)。その際、制御部101は、通常モードに応じた電力供給を画像形成装置10の各部に行うように指示するとともに、画像形成装置10の各部を起動させる。このとき、制御部101は、第2カメラ16への電力供給を開始させるとともに、第2カメラ16を起動させて滞在検知範囲R2の撮影を開始させる。
なお、制御部101は、接近検知範囲R1内の人物の存在を検知した場合に、直ちに通常モードへ移行させるのでなく、画像形成装置10への接近を検知した場合に、通常モードへ移行させる。このため、人物が接近検知範囲R1を通り過ぎただけの場合に、画像形成装置10が通常モードに移行してしまう機会が少なくなる。
【0040】
次に、制御部101は、滞在検知範囲R2内に人物が存在(つまり滞在)しているかどうかを検知する処理を開始する(ステップ6)。制御部101は、第1カメラ15の撮影画像を解析して人物の身体の部位を検出し、検出した部位の位置及び大きさに基づいて、滞在検知範囲R2内の人物の存在を検知する。例えば、制御部101は、検出した身体の部位の大きさに基づいて、画像形成装置10から人物までの距離を推定し、検出した身体の部位の位置に基づいて人物が存在する方向を特定する。
【0041】
次に、制御部101は、滞在検知範囲R2内に人物が存在するかどうかを判断する(ステップ7)。例えば、ステップ7において肯定の判断(YES)を行った場合は、ステップ6の処理を続行する。制御部101は、滞在検知範囲R2内の人物の存在を検知しなくなるまで、通常モードのまま、滞在検知範囲R2内の人物の存在を検知する処理を繰り返す。
【0042】
ここで、画像形成装置10を使用した作業を終了した等の理由で、人物が滞在検知範囲R2外へ移動した場合を考える。この場合、制御部101は、ステップ7において否定の判断(NO)を行う。そして、制御部101は、計時部110による計時を開始する(ステップ8)。すなわち、制御部101は、滞在検知範囲R2内に人物が存在しなくなったときからの経過時間を計時部110で計る。
【0043】
次に、制御部101は、滞在検知範囲R2内に人物が存在するかどうかを判断する(ステップ9)。ステップ9において、制御部101は、滞在検知範囲R2内に人物が存在しなくなった後、再び人物の存在を検知するようになったかどうかを判断する。例えば人物が画像形成装置10から次第に離れ、滞在検知範囲R2内に人物が存在しなくなった場合には、制御部101は、ステップ9で「NO」と判断し、ステップ10に進む。
【0044】
次に、制御部101は、計時部110の計時時刻が設定期間を経過したかどうかを判断する(ステップ10)。設定期間は、例えば1分であるが、1分以外の時間に設定されていてもよい。ステップ10において否定の判断(NO)を行った場合、制御部101は、ステップ9に戻る。すなわち、制御部101は、ステップ9、10において、滞在検知範囲R2内に人物が存在しない期間が、設定期間分だけ継続するかどうかを判断することとなる。
【0045】
一方、ステップ10で肯定の判断(YES)を行った場合、制御部101は、画像形成装置10のモードを通常モードからスリープモードに移行させる(ステップ11)。ここで、制御部101は、画像形成装置10の各部にスリープモード時の電力供給をするように指示を行うとともに、スリープモード時に停止させる画像形成装置10の各部の動作を停止させる。その後、制御部101は、検出範囲F内で人物の存在を検知しなくなると、第1カメラ15の動作を停止させる。
【0046】
ここで、計時部110による計時を開始した後、滞在検知範囲R2内に人物が存在しなくなったときから設定期間が経過する前に、制御部101が再び人物の存在を検知した場合を考える。この場合、制御部101は、ステップ9で「YES」と判断して、ステップ12に進む。次に、制御部101は、計時部110による計時を停止してリセットする(ステップ12)。そして、制御部101は、人物が滞在検知範囲R2内に存在しなくなったことによるスリープモードへの移行を中止し、ステップ6へと戻る。すなわち、制御部101は、人物が滞在検知範囲R2内に存在する場合の処理を再び実行する。
なお、ここでは、同一人物である人物が戻ってきた場合を例としているが、前とは別の人物が滞在検知範囲R2内に移動した場合にも、制御部101は、ステップ9で「YES」と判断する。
【0047】
では次に、画像形成装置10を使用しようとする使用者が行う顔認証処理の手順を説明する。
図4は、実施の形態1における顔認証処理の手順を示すフローチャートである。なお、以下に説明する処理は、画像形成装置10に設けられた制御部101および顔登録認証部109が実行する。
【0048】
例えば上記ステップ1(図11参照)で、焦電センサ14により人物(使用者)が検知され、上記ステップ2で第1カメラ15が起動された後上記ステップ5でスリープモードから通常モードへと移行すると、ステップ6の滞在検知に連動して顔認証処理が開始される。これに伴い、第2カメラ16による画像の撮影に基づく顔検知、照合が開始される(ステップ102)。ここで、ステップ102では、第2カメラ16によって撮影された画像(カメラ画像と称する)が、ユーザインタフェース13に設けられたタッチパネル130に表示される。このとき、第2カメラ16による撮影範囲に使用者の顔が存在していれば、カメラ画像中に使用者の顔が含まれることになる。
【0049】
続いて、カメラ画像から、使用者の顔を検知できたか否かを判断する(ステップ104)。ステップ104にて否定の判断(NO)を行った場合は、後述するステップ116へと進む。一方、ステップ104にて肯定の判断(YES)を行った場合は、次に、検知された顔の特徴量と既に登録されている顔の特徴量とを照合し、一致するものがあるか否か(顔照合がOKであるか否か)を判断する(ステップ106)。ステップ106において肯定の判断(YES)を行った場合は、この使用者を照合ユーザとして認証し(ステップ108)、顔検知、照合を終了し(ステップ110)、顔認証処理を終了する。
【0050】
一方、ステップ106において否定の判断(NO)を行った場合は、計時部110を用いたエラータイマが未起動であるか否かを判断する(ステップ112)。ステップ112で肯定の判断(YES)を行った場合は、設定時間(第1設定時間T1)にてエラータイマを起動し(ステップ114)、次のステップ116へと進む。一方、ステップ112で否定の判断(NO)を行った場合は、そのままステップ116へと進む。
【0051】
そして、起動したエラータイマが設定時間(第1設定時間T1)に到達したか否かを判断する(ステップ116)。ステップ116で否定の判断(NO)を行った場合は、ステップ104へと戻って処理を続行する。一方、ステップ116で肯定の判断(YES)を行った場合は、タッチパネル130へのエラー表示を開始させる(ステップ118)。
【0052】
そして、エラー表示がなされた状態において、使用者によって閉じるボタンが押下されたか否かを判断する(ステップ120)。ステップ120で否定の判断(NO)を行った場合は、画像形成装置10の前からの使用者の退去を検知したか否かを判断する(ステップ122)。ここで、ステップ122における使用者の退去の検知は、焦電センサ14による検知結果、第1カメラ15による撮影結果あるいは第2カメラ16による撮影結果に基づいて行われる。ステップ122で否定の判断(NO)を行った場合は、ステップ120に戻って処理を続行する。
【0053】
一方、ステップ120で肯定の判断(YES)を行った場合およびステップ122で肯定の判断(YES)を行った場合は、タッチパネル130へのエラー表示を終了させ(ステップ124)、ステップ104へと戻って処理を続行する。
【0054】
では、実施の形態1の顔認証処理でタッチパネル130に表示される各種画面について、例を挙げて説明を行う。
【0055】
図5は、実施の形態1の顔認証処理における表示画面の一例を示す図である。ここで、図5は、既に顔登録を済ませている(顔登録済)の使用者が、顔にマスクを装着した状態で顔認証の要求を行った場合を例示している。
【0056】
まず、図5における上段は、ステップ102においてタッチパネル130に表示される画面を示している。この画面においては、上側に使用者に対するメッセージが表示され、下側に第2カメラ16により撮影されたカメラ画像が表示される。なお、ここでは、メッセージとして、「画面中央を見て、正面を向いて下さい」が表示されている。また、ここでは、マスクを装着した使用者の顔を含むカメラ画像が表示されている。すると、この例では、カメラ画像から顔が検知できない(マスクを装着しているため)ことから、ステップ104で否定の判断(NO)がなされる。
【0057】
次に、図5における中段は、ステップ114で起動したエラータイマが予め定められた第1設定時間T1を経過し、ステップ116で肯定の判断(YES)がなされることで、ステップ118でタッチパネル130に表示されるエラーの画面(エラー表示)を示している。この画面においては、上側に使用者に対するエラーメッセージが表示され、下側且つ左側に「閉じるボタン」が表示され、下側且つ右側に「認証ボタン」が表示される。なお、ここでは、エラーメッセージとして、「認証できませんでした マスクやサングラスをしている場合は外して下さい IDとパスワードで認証する場合は認証ボタンを押して下さい」が表示されている。ここで、使用者によって閉じるボタンが押下された場合は、ステップ120において肯定の判断(YES)がなされる。
【0058】
さらに、図5における下段は、ステップ120で肯定の判断(YES)がなされた後、ステップ124でタッチパネル130に表示される画面(エラー表示終了後の画面)を示している。この画面においては、図5の上段に示したものと同じく、上側には使用者に対するメッセージが表示され、下側には第2カメラ16により撮影されたカメラ画像が表示される。ただし、ここでは、図5の中段に示す画面において使用者が閉じるボタンを押下するとともに顔からマスクを外していることにより、カメラ画像にマスクを外した使用者の顔が含まれている。
【0059】
すると、この場合には、ステップ104で肯定の判断(YES)がなされ、さらにステップ106でも肯定の判断(YES)がなされる。したがって、この使用者は認証ユーザとして認証されることになり、画像形成装置10の使用が許可されることになる。
【0060】
また、図6は、実施の形態1の顔登録処理における表示画面の他の一例を示す図である。ここで、図6は、顔登録を行っていない(顔未登録)の使用者が、顔にマスク等を装着しない状態で顔認証の要求を行った場合を例示している。
【0061】
まず、図6における上段は、ステップ102においてタッチパネル130に表示される画面を示している。ここで、図6の上段に示す画面の構成は、図5の上段に示した画面と同じであり、上側にはメッセージが表示され、下側にはカメラ画像が表示される。ただし、ここでは、マスクを装着していない使用者の顔を含むカメラ画像が表示されている。すると、この例では、カメラ画像から顔が検知できることになり、ステップ104で肯定の判断(YES)がなされる。ただし、この例では、使用者の顔が登録されていないことから、ステップ106で否定の判断(NO)がなされる。
【0062】
次に、図6における中段は、ステップ114で起動したエラータイマが予め定められた第1設定時間T1を経過し、ステップ116で肯定の判断(YES)がなされることにより、ステップ118でタッチパネル130に表示されるエラーの画面(エラー表示)を示している。なお、図6の中段に示すエラーメッセージが、失敗情報の一例となっている。ここで、図6の中段に示す画面の構成は、カメラ画像における顔の内容を除いて、図5の中段に示したものと同じであるので、ここではその詳細な説明を省略する。
【0063】
さらに、図6における下段は、ステップ120で否定の判断(NO)がなされた後に、ステップ122で肯定の判断(YES)がなされることにより、ステップ124でタッチパネル130に表示される画面(エラー表示終了後の画面)を示している。この画面においては、図6の上段に示したものと同じく、上側に使用者に対するメッセージが表示され、下側に第2カメラ16により撮影されたカメラ画像が表示される。ただし、ステップ122で肯定の判断(YES)がなされている、すなわち、画像形成装置10の前には使用者が存在していないことから、カメラ画像に使用者の顔は含まれていない。
【0064】
以上説明したように、本実施の形態では、使用者に対し、タッチパネル130にエラーメッセージを表示した状態で、この使用者が退去したことを検知した場合に、タッチパネル130へのエラーメッセージの表示を停止させるようにした。これにより、この使用者(前の使用者)に続いて画像形成装置10に近づいてくる次の使用者に対して、前の使用者に向けて作成されたエラーメッセージを表示するという事態を回避することができる。その結果、次の使用者による誤入力等を抑制することができる。
【0065】
また、本実施の形態では、画像形成装置10の前からの使用者の退去を、焦電センサ14による検知結果、第1カメラ15による撮影結果または第2カメラ16による撮影結果に基づいて行う。ここで、焦電センサ14による検知結果または第1カメラ15による撮影結果を用いた場合には、焦電センサ14および第1カメラ15が画像形成装置10のフロント側に設けられていることから、使用者の退去を容易に検知することが可能になる。また、第2カメラ16による撮影結果を用いた場合には、タッチパネル130に表示するカメラ画像と使用者の退去を検知するための画像とを共用化することが可能となり、装置構成を簡易なものとすることができる。
【0066】
なお、本実施の形態では、画像形成装置10からの使用者の退去を検知した場合に、エラーメッセージの表示を終了するようにしていたが、これに限られるものではない。例えば、画像形成装置10からの使用者の退去を検知した場合に、エラーメッセージの表示を終了させることに加え、さらに制御部101によって省電力制御を開始するようにしてもよい。ここで、省電力制御としては、例えばタッチパネル130におけるバックライトの点灯を停止させるものや、画像形成装置10を構成する各部のうちの一部に対する給電を停止する節電モードに移行させるものなどが挙げられる。
【0067】
<実施の形態2>
本実施の形態は、実施の形態1とほぼ同じであるが、顔認証処理の手順の一部が実施の形態1とは異なる。なお、本実施の形態において、実施の形態1と同様のものについては、実施の形態1と同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0068】
図7は、実施の形態2における顔認証処理の手順を示すフローチャートである。なお、以下に説明する処理も、画像形成装置10に設けられた制御部101および顔登録認証部109が実行する。
【0069】
例えば上記ステップ1(図11参照)で、焦電センサ14により人物(使用者)が検知され、上記ステップ2で第1カメラ15が起動された後上記ステップ5でスリープモードから通常モードへと移行すると、ステップ6の滞在検知に連動して顔認証処理が開始される。まず、設定時間Tが第1設定時間T1に設定される(ステップ202)。そして、第2カメラ16による画像の撮影に基づく顔検知、照合が開始される(ステップ204)。ここで、ステップ204では、第2カメラ16によって撮影されたカメラ画像が、ユーザインタフェース13に設けられたタッチパネル130に表示される。このとき、第2カメラ16による撮影範囲に使用者の顔が存在していれば、カメラ画像中に使用者の顔が含まれることになる。
【0070】
続いて、カメラ画像から、使用者の顔を検知できたか否かを判断する(ステップ206)。ステップ206で否定の判断(NO)を行った場合は、後述するステップ218へと進む。一方、ステップ206で肯定の判断(YES)を行った場合は、次に、検知された顔の特徴量と既に登録されている顔の特徴量とを照合し、一致するものがあるか否か(顔照合がOKであるか否か)を判断する(ステップ208)。ステップ208において肯定の判断(YES)を行った場合は、この使用者を照合ユーザとして認証し(ステップ210)、顔検知、照合を終了し(ステップ212)、顔認証処理を終了する。
【0071】
一方、ステップ208において否定の判断(NO)を行った場合は、計時部110を用いたエラータイマが未起動であるか否かを判断する(ステップ214)。ステップ214で肯定の判断(YES)を行った場合は、設定時間Tにてエラータイマを起動し(ステップ216)、次のステップ218へと進む。一方、ステップ214で否定の判断(NO)を行った場合は、そのままステップ218へと進む。
【0072】
そして、起動したエラータイマが設定時間Tに到達したか否かを判断する(ステップ218)。ステップ218で否定の判断(NO)を行った場合は、ステップ206へと戻って処理を続行する。一方、ステップ218で肯定の判断(YES)を行った場合は、現時点において、設定時間Tが第1設定時間T1に設定されているか否かを判断する(ステップ220)。
【0073】
ステップ220で肯定の判断(YES)を行った場合は、タッチパネル130に確認の画面を表示させ(ステップ222)、設定時間Tを第1設定時間T1よりも長い第2設定時間T2(T2>T1)に設定する(ステップ224)。そして、確認の画面が表示された状態で、画像形成装置10の前からの使用者の退去を検知したか否かを判断する(ステップ226)。ここで、ステップ226における使用者の退去の検知は、焦電センサ14による検知結果、第1カメラ15による撮影結果あるいは第2カメラ16による撮影結果に基づいて行われる。ステップ226で否定の判断(NO)を行った場合は、ステップ206に戻って処理を続行する。
【0074】
一方、ステップ226で肯定の判断(YES)を行った場合は、設定時間Tを第1設定時間T1に設定する(ステップ228)。そして、タッチパネル130への確認の画面の表示を終了させ(ステップ230)、ステップ206へと戻って処理を続行する。
【0075】
他方、ステップ220で否定の判断(NO)を行った場合は、タッチパネル130に確認の画面とは異なるエラーの画面を表示させる(ステップ232)。そして、エラーの画面が表示された状態で、使用者によって認証ボタンが押下されたか否かを判断する(ステップ234)。ステップ234で肯定の判断(YES)を行った場合は、顔認証から、使用者が手動で入力したIDやパスワード等を用いて認証を行うキーボード認証へと移行する。なお、このキーボード認証が、顔認証とは異なる別の認証の一例となっている。
【0076】
一方、ステップ234で否定の判断(NO)を行った場合は、エラーの画面が表示された状態で、画像形成装置10の前からの使用者の退去を検知したか否かを判断する(ステップ236)。ステップ236で否定の判断(NO)を行った場合は、ステップ234に戻って処理を続行する。これに対し、ステップ236で肯定の判断(YES)を行った場合は、設定時間Tを第1設定時間T1に設定する。そして、タッチパネル130へのエラーの画面の表示を終了させ(ステップ240)、ステップ206へと戻って処理を続行する。
【0077】
では、実施の形態2の顔認証処理でタッチパネル130に表示される各種画面について、例を挙げて説明を行う。
【0078】
図8は、実施の形態2の顔認証処理における表示画面の一例を示す図である。ここで、図8は、実施の形態1で説明した図5と同じく、既に顔登録を済ませている(顔登録済)の使用者が、顔にマスクを装着した状態で顔認証の要求を行った場合を例示している。
【0079】
まず、図8における上段は、ステップ204においてタッチパネル130に表示される画面を示している。この画面においては、上側に使用者に対するメッセージが表示され、下側に第2カメラ16により撮影されたカメラ画像が表示される。なお、ここでは、メッセージとして、「画面中央を見て、正面を向いて下さい」が表示されている。また、ここでは、マスクを装着した使用者の顔を含むカメラ画像が表示されている。すると、この例では、カメラ画像から顔が検知できない(マスクを装着しているため)ことから、ステップ206で否定の判断(NO)がなされる。
【0080】
次に、図8における中段は、ステップ216で起動したエラータイマがステップ202で設定された第1設定時間T1を経過し、ステップ218で肯定の判断(YES)がなされ、さらにステップ220で肯定の判断(YES)がなされることにより、ステップ222でタッチパネル130に表示される確認の画面を示している。この画面においては、上側に使用者に対するエラーメッセージが表示され、下側にカメラ画像が表示されている。なお、ここでは、エラーメッセージとして、「認証できませんでした マスクやサングラスをしている場合は外して下さい」が表示されている。そして、この状態で、ステップ224において設定時間Tが第1設定時間T1から第2設定時間T2(T2>T1)に変更される。この例において、第1設定時間T1は5秒程度に設定され、第2設定時間T2は20秒程度に設定される。
【0081】
さらに、図8における下段は、ステップ226で否定の判断(NO)がなされた後、タッチパネル130に表示される画面を示している。この画面においては、図8の中段に示したものと同じく、上側には使用者に対するエラーメッセージが表示され、下側には第2カメラ16により撮影されたカメラ画像が表示される。ただし、ここでは、図8の中段に示す確認の画面が表示された状態にて使用者が顔からマスクを外していることから、カメラ画像にマスクを外した使用者の顔が含まれている。
【0082】
すると、この場合には、ステップ206で肯定の判断(YES)がなされ、さらにステップ208でも肯定の判断(YES)がなされる。したがって、この使用者は認証ユーザとして認証されることになり、画像形成装置10の使用が許可されることになる。
【0083】
また、図9は、実施の形態2の顔登録処理における表示画面の他の一例を示す図である。ここで、図9は、実施の形態1で説明した図6と同じく、顔登録を行っていない(顔未登録)の使用者が、顔にマスク等を装着しない状態で顔認証の要求を行った場合を例示している。
【0084】
まず、図9における上段(一段目)は、ステップ204においてタッチパネル130に表示される画面を示している。ここで、図9の一段目に示す画面の構成は、図8の上段に示した画面と同じであり、上側にはメッセージが表示され、下側にはカメラ画像が表示される。ただし、ここでは、マスクを装着していない使用者の顔を含むカメラ画像が表示されている。すると、この例では、カメラ画像から顔を検知できることになり、ステップ206で肯定の判断(YES)がなされる。一方、この例では、使用者の顔が登録されていないことから、ステップ208で否定の判断(NO)がなされる。
【0085】
次に、図9における上から二番目の段(二段目)は、ステップ216で起動したエラータイマがステップ202で設定された第1設定時間T1を経過し、ステップ218で肯定の判断(YES)がなされ、さらにステップ220で肯定の判断(YES)がなされることにより、ステップ222でタッチパネル130に表示される確認の画面を示している。なお、図9の二段目に示すエラーメッセージが、失敗情報の一例となっている。ここで、図9の二段目に示す画面の構成は、カメラ画像における顔の内容を除いて、図8の中段に示したものと同じであるので、ここではその詳細な説明を省略する。なお、この状態で、ステップ224において設定時間Tが第1設定時間T1から第2設定時間T2(T2>T1)に変更される。
【0086】
続いて、図9における上から三番目の段(三段目)は、ステップ224で設定時間Tが第2設定時間T2に設定された状態で、ステップ220で否定の判断(NO)がなされることにより、ステップ232でタッチパネル130に表示されるエラーの画面を示している。なお、図9の三段目に示すエラーメッセージが、他の失敗情報の一例となっている。この画面においては、上側に使用者に対するメッセージが表示され、下側且つ左側に「認証ボタン」が表示され、下側且つ右側に「登録ボタン」が表示される。なお、ここでは、メッセージとして、「認証できませんでした IDとパスワードで認証する場合は認証ボタンを 新規に登録する場合は登録ボタンを押してください」が表示されている。ここで、使用者によって認証ボタンが押下された場合は、ステップ234において肯定の判断(YES)がなされる。
【0087】
さらに、図9における下段(四段目)は、ステップ234で否定の判断(NO)がなされた後に、ステップ236で肯定の判断(YES)がなされることにより、ステップ240でタッチパネル130に表示される画面(エラー表示終了後の画面)を示している。この画面においては、図9の上段(一段目)に示したものと同じく、上側に使用者に対するメッセージが表示され、下側に第2カメラ16により撮影されたカメラ画像が表示される。ただし、ステップ236で肯定の判断(YES)がなされている、すなわち、画像形成装置10の前には使用者が存在していないことから、カメラ画像に使用者の顔は含まれていない。
【0088】
本実施の形態において、ステップ222で「確認の画面」が表示される場合は、顔画像による認証すなわち顔認証が継続されることになる。これに対し、ステップ232で「エラーの画面」が表示される場合は、この顔認証が中断されることになる。
【0089】
以上説明したように、本実施の形態においても、使用者に対し、タッチパネル130にエラーメッセージを表示した状態で、この使用者が退去したことを検知した場合に、タッチパネル130へのエラーメッセージの表示を停止させるようにした。これにより、この使用者に続いて画像形成装置10に近づいてくる次の使用者に対して、前の使用者に向けて作成されたエラーメッセージを表示するという事態を回避することができる。その結果、次の使用者による誤入力等を抑制することができる。
【0090】
ここで、本実施の形態では、まず、使用者に対して顔認証に関する情報を含む第1のエラーメッセージ(確認の画面)を表示させ、その後、使用者に対して顔認証以外の認証(ここではキーボード認証)に関する情報を含む第2のエラーメッセージ(エラーの画面)を表示させるようにした。これにより、使用者は、異なる認証方法にて認証を図ることが可能になる。
【0091】
また、本実施の形態では、第1設定時間T1が経過した後に第1のエラーメッセージ(確認の画面)を表示させ、第1のエラーメッセージが表示された後は、第1設定時間T1よりも長い第2設定時間T2が経過した後に第2のエラーメッセージ(エラーの画面)を表示させるようにした。ここで、第1設定時間T1を経過した後に第1のエラーメッセージを表示させることにより、顔認証を中断する前に、使用者に顔の映りを調整するための時間を付与することができる。また、第1設定時間T1よりも第2設定時間T2を長くすることで、第2設定時間T2を第1設定時間T1よりも短くした場合に比べ、使用者が、顔認証とは異なる認証方法による認証あるいは顔画像の登録を希望しているにもかかわらず、顔認証画面に戻ってしまう、という事態が発生しにくくなる。
【0092】
なお、上述した各実施の形態では、第2カメラ16で撮影した使用者の顔画像と、予め登録されている使用者の顔画像との照合を行うことで、認証の可否を判断していたが、撮影した使用者の顔画像を用いるものであれば、その認証方法については各種手法を採用してもかまわない。
【符号の説明】
【0093】
10…画像形成装置、11…スキャナ、12…プリンタ、13…ユーザインタフェース(UI)、14…焦電センサ、15…第1カメラ、16…第2カメラ、101…制御部、102…通信部、103…操作部、104…表示部、105…記憶部、106…画像読取部、107…画像形成部、108…撮影・検知部、109…顔登録認証部、110…計時部、130…タッチパネル、131…第1操作ボタン群、132…第2操作ボタン群、133…USBメモリ装着部、T…設定時間、T1…第1設定時間、T2…第2設定時間、F…検出範囲、R1…接近検知範囲、R2…滞在検知範囲
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11