特許第6558086号(P6558086)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6558086
(24)【登録日】2019年7月26日
(45)【発行日】2019年8月14日
(54)【発明の名称】潤滑油の誘導板
(51)【国際特許分類】
   F16H 57/04 20100101AFI20190805BHJP
【FI】
   F16H57/04 J
【請求項の数】2
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-115769(P2015-115769)
(22)【出願日】2015年6月8日
(65)【公開番号】特開2017-2957(P2017-2957A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2018年5月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100768
【氏名又は名称】アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130188
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜一
(74)【代理人】
【識別番号】100174713
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧川 彰人
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 紀幸
(72)【発明者】
【氏名】永見 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】中村 一平
【審査官】 岡本 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−017654(JP,A)
【文献】 実開平07−005876(JP,U)
【文献】 特開平10−122340(JP,A)
【文献】 特開昭59−140962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 57/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される部品であってその内部空間内にて潤滑油が循環する部品の前記内部空間内に設けられた平板状の潤滑油の誘導板であって、
前記誘導板は、
前記部品が前記車両に搭載された状態にて、前記車両の前後方向及び/又は前記車両の左右方向に対して前記誘導板の平面が傾斜するように、且つ、上方から前記誘導板の平面上に落下してきた潤滑油が、前記平面を伝って前記誘導板の側端部における第1位置に移動し、前記第1位置から前記誘導板の側端部を伝って前記誘導板の側端部における最下位置である目標誘導位置に移動し、前記目標誘導位置から潤滑対象に向けて下方に落下するように、前記部品の内部空間に設けられ、
前記誘導板の側端面における前記第1位置に対応する部分にて、窪みが形成され
前記誘導板の平面が、前記車両の前後方向に対して平行であり、且つ、前記車両の左右方向に対して傾斜し、
前記誘導板が、前記部品の前記内部空間を画定するハウジングの前記車両の前方側の内壁から前記車両の後方側に向けて突出するように、前記ハウジングに設けられ、
前記第1位置が、前記誘導板の側端部における前記車両の後方側の部分に位置し、
前記目標誘導位置が、前記誘導板の側端部における前記車両の左右方向のうち相対的に下方に位置する側の部分に位置している、潤滑油の誘導板。
【請求項2】
車両に搭載される部品であってその内部空間内にて潤滑油が循環する部品の前記内部空間内に設けられた平板状の潤滑油の誘導板であって、
前記誘導板は、
前記部品が前記車両に搭載された状態にて、前記車両の前後方向及び/又は前記車両の左右方向に対して前記誘導板の平面が傾斜するように、且つ、上方から前記誘導板の平面上に落下してきた潤滑油が、前記平面を伝って前記誘導板の側端部における第1位置に移動し、前記第1位置から前記誘導板の側端部を伝って前記誘導板の側端部における最下位置である目標誘導位置に移動し、前記目標誘導位置から潤滑対象に向けて下方に落下するように、前記部品の内部空間に設けられ、
前記誘導板の側端面における前記第1位置に対応する部分にて、窪みが形成され
前記誘導板の平面が、前記車両の前後方向に対して平行であり、且つ、前記車両の左右方向に対して傾斜し、
前記誘導板が、前記部品の前記内部空間を画定するハウジングの前記車両の後方側の内壁から前記車両の前方側に向けて突出するように、前記ハウジングに設けられ、
前記第1位置が、前記誘導板の側端部における前記車両の前方側の部分に位置し、
前記目標誘導位置が、前記誘導板の側端部における前記車両の左右方向のうち相対的に下方に位置する側の部分に位置している、潤滑油の誘導板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑油の誘導板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、「車両に搭載されるとともに、その内部空間内にて潤滑油が循環する部品」として種々のものが存在する。例えば、係る部品の一つである車両に搭載される変速機では、変速機のハウジングによって画定される内部空間内にて、複数のギヤの一部がその内部空間の底部に溜まっている潤滑油に浸かるように複数のギヤが配置されている。
【0003】
従って、これらのギヤが回転することによって潤滑油が上方に向けて掻き上げられる。この結果、これらのギヤがそれぞれ潤滑され得る。加えて、掻き上げられた潤滑油は、内部空間の上方に設けられたレシーバによって回収され、レシーバに回収された潤滑油はレシーバを伝ってレシーバの端部に向けて誘導される。レシーバの端部に誘導された潤滑油は、その端部から潤滑対象となる特定のギヤに向けて下方に落下する。
【0004】
落下した潤滑油は、前記特定のギヤに付着してそのギヤを潤滑した後、内部空間の底部に戻る。内部空間の底部に戻った潤滑油は、再び、ギヤの回転によって上方に向けて掻き上げられる。このように、一般に、変速機の内部空間内では、ギヤの掻き上げを利用して潤滑油が循環するように構成されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6−54929号公報
【発明の概要】
【0006】
変速機のハウジングによって画定される内部空間内における複数のギヤとレシーバとの配置の制約から、レシーバの端部を、潤滑対象となる特定のギヤに潤滑油を付着させるための最適な位置(目標誘導位置)に正確に配置できない場合がある。この場合、レシーバの端部から落下した潤滑油を目標誘導位置に更に正確に誘導するため、図16に示すような平板状の誘導板が、ハウジングの内部空間に更に設けられ得る。この誘導板として、典型的には、ハウジングの内壁面から突出するように形成されたリブが使用され得る。
【0007】
図16に示す誘導板は、変速機が車両に搭載された状態にて、車両の前後方向及び/又は車両の左右方向に対してその平面(上面)が傾斜するように、変速機のハウジングの内壁面に設けられる。この誘導板は、実線の矢印で示すように、レシーバの端部からこの誘導板の平面上に落下してきた潤滑油が、その平面を伝って誘導板の側端部(における第1位置)に移動し、誘導板の側端面における第1位置に対応する部分を上側から下側に向けて横切り、その後、表面張力を利用して誘導板の側端部の下側を伝って誘導板の側端部における最下位置(目標誘導位置)に移動し、この目標誘導位置から潤滑対象のギヤに向けて下方に落下するように、設計・配置される。この設計通りに潤滑油が移動すれば、潤滑油が、前記特定のギヤに潤滑油を付着させるための最適な位置(目標誘導位置)に正確に誘導され得る。
【0008】
ところが、図16に示す誘導板では、第1位置に移動してきた潤滑油の一部又は全部が、この第1位置から目標誘導位置に向けて誘導板の側端部を伝わることなく、破線の矢印で示すように、この第1位置から潤滑対象となる特定のギヤに向けて直ちに下方に落下する現象が発生し易い。この現象が発生すると、目標誘導位置に誘導される潤滑油の量が減少するので、前記特定のギヤが十分に潤滑され得ないという問題が発生し得る。
【0009】
この問題に対処するため、図17に示すように、第1位置を含む誘導板の側端部に誘導壁を設けることも考えられる。この誘導壁を設ければ、第1位置に移動してきた潤滑油の全てが目標誘導位置に向けて確実に誘導され得るので、上記問題は発生し得ない。しかしながら、この構成では、誘導壁という部品を新たに追加する必要が生じ、部品点数の増大、及び、製造コストの増大という新たな問題が発生し得る。
【0010】
以上より、新たな部品を追加することなく、第1位置に移動してきた潤滑油を目標誘導位置に向けて誘導し易い誘導板の到来が望まれていたところである。本発明の目的は、係る潤滑油の誘導板を提供することにある。
【0011】
本発明に係る潤滑油の誘導板は、「車両に搭載される部品であってその内部空間内にて潤滑油が循環する部品」の前記内部空間内に設けられた平板状の潤滑油の誘導板である。前記誘導板は、前記部品が前記車両に搭載された状態にて、前記車両の前後方向及び/又は前記車両の左右方向に対して前記誘導板の平面が傾斜するように、前記部品の内部空間に設けられる。加えて、前記誘導板は、上方から前記誘導板の平面上に落下してきた潤滑油が、前記平面を伝って前記誘導板の側端部における第1位置に移動し、前記第1位置から前記誘導板の側端部を伝って前記誘導板の側端部における最下位置である目標誘導位置に移動し、前記目標誘導位置から潤滑対象に向けて下方に落下するように、前記部品の内部空間に設けられる。
【0012】
この誘導板の特徴は、前記誘導板の側端面における前記第1位置に対応する部分にて、(前記平面の面内方向に窪んだ)窪みが形成されたことにある。この構成では、第1位置に移動してきた潤滑油は、前記側端面の窪みの内壁面(誘導板の側端面の一部)を上側から下側に向けて横切り、その後、表面張力を利用して誘導板の側端部の下側を伝って目標誘導位置に移動する。
【0013】
ここで、潤滑油が窪みの内壁面(誘導板の側端面の一部)を横切る際、図16に示す構成(窪みが形成されない構成)にて潤滑油が誘導板の側端面を横切る場合と比べて、側端面を横切る距離が長くなり易い。このことに起因して、潤滑油に対して減速作用がより強く働き易いので、潤滑油が誘導板の側端面を横切って側端部の下側に到達した時点における潤滑油の移動速度が遅くなる。
【0014】
この結果、図16に示す構成と比べて、潤滑油が第1位置から潤滑対象に向けて直ちに下方に落下する現象が発生し難くなる。即ち、上記構成によれば、誘導壁等の新たな部品を追加することなく、第1位置に移動してきた潤滑油が目標誘導位置に向けて誘導され易くなる。
【0015】
上記本発明に係る誘導板は、前記誘導板の平面が、前記車両の前後方向に対して平行に、且つ、前記車両の左右方向に対して傾斜するように配置されることが好適である。具体的には、例えば、前記誘導板が、前記部品の前記内部空間を画定するハウジングの前記車両の前方側の内壁から前記車両の後方側に向けて突出するように、前記ハウジングに設けられ、前記第1位置が、前記誘導板の側端部における前記車両の後方側の部分に位置し、前記目標誘導位置が、前記誘導板の側端部における前記車両の左右方向のうち相対的に下方に位置する側の部分に位置していることが好適である。
【0016】
一般に、車両が登坂路上にあるときなど、車両前方が車両後方より相対的に上方に位置している場合、変速機の内部空間に溜まっている潤滑油の油面が変速機のハウジングに対して相対的に車両後方側に傾く。このことに起因して、変速機内において相対的に車両前方側に配置されたギヤが前記油面と接触し難くなる。この結果、車両前方側に配置されたギヤが潤滑油を掻き上げなくなるので、潤滑油の掻き上げを利用して車両前方側に配置されたギヤを潤滑することは困難となる。
【0017】
他方、上記構成では、誘導板の平面が車両の前後方向に対して平行に配置されているので、車両前方が車両後方より相対的に上方に位置している場合、誘導板における車両後方側が誘導板における車両前方側より相対的に下方に位置するように誘導板が傾く。従って、この場合、上方から誘導板の平面上に落下してきた潤滑油が、前記平面を伝って前記誘導板の側端部における車両後方側の部分(=前記第1位置)に移動し、その後、前記誘導板の側端部における最下位置(=前記目標誘導位置)に移動し、その後、前記潤滑対象に向けて下方に落下する。従って、前記潤滑対象となる特定のギヤが変速機内において車両前方側に配置されたギヤである場合、車両が登坂路上にあるときであっても、前記車両前方側に配置されたギヤが潤滑され得る。
【0018】
同様に、前記誘導板が、前記部品の前記内部空間を画定するハウジングの前記車両の後方側の内壁から前記車両の前方側に向けて突出するように、前記ハウジングに設けられ、前記第1位置が、前記誘導板の側端部における前記車両の前方側の部分に位置し、前記目標誘導位置が、前記誘導板の側端部における前記車両の左右方向のうち相対的に下方に位置する側の部分に位置していることが好適である。
【0019】
これによれば、上記と同様の理由によって、前記潤滑対象となる特定のギヤが変速機内において車両後方側に配置されたギヤである場合、車両が降坂路上にあるときであっても、前記車両後方側に配置されたギヤが潤滑され得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る誘導板が設けられた変速機の内部構造を車両の左方向からみたときの模式図である。
図2図1に示した変速機の内部構造を車両の上方からみたときの模式図である。
図3図1に示した変速機内に設けられた第1誘導板を車両の後方からみたときの模式図である。
図4図3に示した第1誘導板の斜視図である。
図5図1に示した変速機内に設けられた第2誘導板を車両の前方からみたときの模式図である。
図6図5に示した第2誘導板の斜視図である。
図7】水平路上において、図1に示した変速機内のギヤ列が回転している際の潤滑油の流れの一例を示した図である。
図8】登坂路上において、図1に示した変速機内のギヤ列が回転している際の潤滑油の流れの一例を示した図である。
図9】登坂路上において、変速機内のギヤ列が回転している際の第1誘導板における潤滑油の流れの一例を示した図である。
図10】第1誘導板において側端面の第1位置に窪みが設けられていないと仮定した場合における潤滑油の流れの一例を示した図である。
図11】登坂路の勾配に応じて第1誘導板における潤滑油の流れの向きが変化する様子を説明するための図である。
図12】降坂路上において、図1に示した変速機内のギヤ列が回転している際の潤滑油の流れの一例を示した図である。
図13】降坂路上において、変速機内のギヤ列が回転している際の第2誘導板における潤滑油の流れの一例を示した図である。
図14】第2誘導板において側端面の第1位置に窪みが設けられていないと仮定した場合における潤滑油の流れの一例を示した図である。
図15】降坂路の勾配に応じて第2誘導板における潤滑油の流れの向きが変化する様子を説明するための図である。
図16】比較例に係る誘導板における潤滑油の流れの一例を示した図である。
図17図16に示した誘導板に誘導壁が設けられた場合における潤滑油の流れの一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態(本実施形態)に係る誘導板が設けられた車両の変速機について図面を参照しながら説明する。
【0022】
(構成)
図1、及び、図2は、それぞれ、本実施形態に係る誘導板(第1誘導板B1、及び、第2誘導板B2)が設けられた手動変速機M/Tの内部構造を、車両の左方向、及び、車両の上方からみたときの模式図である。図1及び図2に示すように、M/Tのハウジングは、クラッチC/Tのハウジングの背面(車両後方側の面)に連結されている。従って、M/Tのハウジングの内部空間は、M/Tのハウジングの内壁面と、C/Tのハウジングの背面の内壁面とによって画定されている。
【0023】
M/Tのハウジング内には、入力軸Ai、及び、出力軸Aoが、車両前後方向に沿って互いに平行に、且つ、入力軸Aiが出力軸Aoの上方に位置するように軸支されている。入力軸Aiは、クラッチC/Tを介して、図示しない車両のエンジンの出力軸と動力伝達可能に接続されている。出力軸Aoは、図示しない車両の駆動輪と動力伝達可能に接続されている。
【0024】
入力軸Aiには、車両前方側から後方側に向けて、1速用の駆動ギヤG1i、2速用の駆動ギヤG2i、3速用の駆動ギヤG3i、4速用の駆動ギヤG4iが順に設けられている。出力軸Aoには、車両前方側から後方側に向けて、1速用の被動ギヤG1o、2速用の被動ギヤG2o、3速用の被動ギヤG3o、4速用の被動ギヤG4oが順に設けられている。G1i及びG1o、G2i及びG2o、G3i及びG3o、G4i及びG4oは、それぞれ、常時噛合っている。
【0025】
例えば、駆動ギヤG1i〜G4iは、入力軸Aiに相対回転不能に設けられた固定ギヤであり、被動ギヤG1o〜G4oは、出力軸Aoに相対回転可能に設けられた遊転ギヤである。車両の運転者によって操作される図示しないシフトレバーの移動に応じて作動する図示しない周知の切替機構を利用して、被動ギヤ(遊転ギヤ)G1o〜G4oのうちの一つが選択的に出力軸Aoに相対回転不能に固定されることによって、シフトレバーの位置に応じた変速段が達成される。
【0026】
M/Tのハウジングの底部には、M/Tのハウジング内に設けられた複数のギヤを潤滑するための潤滑油が貯留されている。図1に示すように、車両が水平路上にある状態(入出力軸Ai、Aoが水平方向に延びている状態)では、4つの被動ギヤG1o〜G4oの全ての下方部が、貯留されている潤滑油に浸かっている。従って、被動ギヤG1o〜G4oが回転することによって潤滑油が上方に向けて掻き上げられるようになっている。
【0027】
M/Tのハウジング内における車両の前方領域には、被動ギヤG1o及びG2oが掻き上げた潤滑油を回収するための第1レシーバR1が設けられている。第1レシーバR1は、上方が開口した断面がコの字状の直線状の樋である。第1レシーバR1は、車両前方側が車両後方側に対して下方に位置するように傾斜するよう、且つ、車両前後方向に沿うように、M/Tのハウジングに固定されている。従って、第1レシーバR1によって回収された潤滑油は、重力によって、第1レシーバR1を伝って「第1レシーバR1の車両前方側の端部」に向けて誘導されるようになっている。
【0028】
「第1レシーバR1の車両前方側端部」の車両下方側には、平板状の第1誘導板B1が設けられている。従って、「第1レシーバR1の車両前方側端部」から重力によって落下してきた潤滑油は、第1誘導板B1の上面で受けるようになっている。図2から理解できるように、この例では、第1誘導板B1の平面形状は、長方形状である。
【0029】
第1誘導板B1は、C/Tのハウジングの背面の内壁(即ち、M/Tのハウジングの内部空間を画定するハウジングの車両の前方側の内壁)から車両の後方側に向けて突出するように、C/Tのハウジングの背面の内壁に設けられている。第1誘導板B1として、典型的には、C/Tのハウジングの背面の内壁から突出するように形成されたリブが使用され得るが、第1誘導板B1が、C/Tのハウジングとは別の部材で構成されていてもよい。
【0030】
図3は、第1誘導板B1を車両の後方からみたときの模式図であり、図4は、第1誘導板B1の斜視図である。図1図3から理解できるように、第1誘導板B1の平面は、車両の前後方向に対して平行であり、且つ、車両の左右方向に対して車両右方側が車両左方側に対して下方に位置するように傾斜している。この結果、図3から理解できるように、第1誘導板B1の上面に落下してきた潤滑油は、重力によって被動ギヤG1oに向けて落下するようになっている。図3、及び図4に示すように、第1誘導板B1の側端部における車両の後方側の部分(後述する第1位置X1)には、第1誘導板B1の平面の面内方向に窪んだ窪みB11が形成されている。この窪みB11については後に詳述する。
【0031】
再び、図1及び図2を参照して、M/Tのハウジング内における車両の後方領域には、被動ギヤG3o及びG4oが掻き上げた潤滑油を回収するための第2レシーバR2が設けられている。第2レシーバR2は、上方が開口した断面がコの字状の直線状の樋である。第2レシーバR2は、車両後方側が車両前方側に対して下方に位置するように傾斜するよう、且つ、車両前後方向に沿うように、M/Tのハウジングに固定されている。従って、第2レシーバR2によって回収された潤滑油は、重力によって、第2レシーバR2を伝って「第2レシーバR2の車両後方側の端部」に向けて誘導されるようになっている。
【0032】
「第2レシーバR2の車両後方側端部」の車両下方側には、平板状の第2誘導板B2が設けられている。従って、「第2レシーバR2の車両後方側端部」から重力によって落下してきた潤滑油は、第2誘導板B2の上面で受けるようになっている。図2から理解できるように、この例では、第2誘導板B2の平面形状は、長方形状である。
【0033】
第2誘導板B2は、M/Tのハウジングの車両後方側の内壁から車両の前方側に向けて突出するように、M/Tのハウジングの車両後方側の内壁に設けられている。第2誘導板B2として、典型的には、M/Tのハウジングの車両後方側の内壁から突出するように形成されたリブが使用され得るが、第2誘導板B2が、M/Tのハウジングとは別の部材で構成されていてもよい。
【0034】
図5は、第2誘導板B2を車両の前方からみたときの模式図であり、図6は、第2誘導板B2の斜視図である。図1図2、及び図5から理解できるように、第2誘導板B2の平面は、車両の前後方向に対して平行であり、且つ、車両の左右方向に対して車両右方側が車両左方側に対して下方に位置するように傾斜している。この結果、図5から理解できるように、第2誘導板B2の上面に落下してきた潤滑油は、重力によって被動ギヤG4oに向けて落下するようになっている。図5、及び図6に示すように、第2誘導板B2の側端部における車両の前方側の部分(後述する第1位置X2)には、第2誘導板B2の平面の面内方向に窪んだ窪みB21が形成されている。この窪みB21についても後に詳述する。
【0035】
(潤滑油の循環)
次に、上述の構成を有するM/Tにおける潤滑油の循環について説明する。
【0036】
<車両が水平路上にある状態>
先ず、図7を参照しながら、車両が水平路上にある状態(入出力軸Ai、Aoが水平方向に延びている状態)における潤滑油の循環について説明する。図7において黒い太い矢印は、潤滑油の流れを示す(後述する図8以降の図面についても同様)。
【0037】
図7に示すように、車両が水平路上にある場合、4つの被動ギヤG1o〜G4oの全ての下方部が、貯留されている潤滑油に浸かっている。従って、車両の移動等によって入出力軸Ai、Ao(従って、M/Tの内部に収容されている全てのギヤ)が回転している状態では、被動ギヤG1o〜G4oのそれぞれが潤滑油を上方に向けて掻き上げる。この結果、4つの駆動ギヤG1i〜G4iにも潤滑油がそれぞれ供給されるとともに、4つの駆動ギヤと4つの被動ギヤとの噛合い部分にも潤滑油がそれぞれ供給される。この結果、M/T内の全てのギヤが十分に潤滑される。
【0038】
各ギヤの潤滑に寄与した潤滑油は、その後、M/Tのハウジングの底部に戻る。底部に戻った潤滑油は、再び、4つの被動ギヤG1o〜G4oの回転によって上方に向けて再び掻き上げられる。このように、M/Tの内部空間内にて潤滑油が循環する。
【0039】
なお、図7に示すように、車両が水平路上にある場合、被動ギヤG1o及びG2oが掻き上げた潤滑油の一部は第1レシーバR1によって回収され、被動ギヤG3o及びG4oが掻き上げた潤滑油の一部は第2レシーバR2によって回収される。第1レシーバR1によって回収された潤滑油は、重力によって、第1レシーバR1を伝って「第1レシーバR1の車両前方側の端部」に移動し、「第1レシーバR1の車両前方側の端部」から第1誘導板B1の上面に落下し、第1誘導板B1から被動ギヤG1oに向けて落下する。このようにして被動ギヤG1oに落下した潤滑油によっても、駆動ギヤG1i及び被動ギヤG1oが潤滑され得る。
【0040】
同様に、第2レシーバR2によって回収された潤滑油は、重力によって、第2レシーバR2を伝って「第2レシーバR2の車両後方側の端部」に移動し、「第2レシーバR2の車両後方側の端部」から第2誘導板B2の上面に落下し、第2誘導板B2から被動ギヤG4oに向けて落下する。このようにして被動ギヤG4oに落下した潤滑油によっても、駆動ギヤG4i及び被動ギヤG4oが潤滑され得る。
【0041】
<車両が登坂路上にある場合>
次に、図8を参照しながら、車両が登坂路上にある状態(入出力軸Ai、Aoの車両前方が車両後方より相対的に上方に位置している場合)における潤滑油の循環について説明する。車両が登坂路上にある場合、図8に示すように、M/Tのハウジングの底部に溜まっている潤滑油の油面がM/Tのハウジングに対して相対的に車両後方側に傾く。このことに起因して、図8に示す例では、被動ギヤG1oが前記油面と接触していない(その他の3つの被動ギヤは前記油面と接触している)。
【0042】
この結果、被動ギヤG1oが潤滑油を掻き上げなくなるので、被動ギヤG1oによる潤滑油の掻き上げを利用して被動ギヤG1o及び駆動ギヤG1iを潤滑することができない。しかしながら、被動ギヤG2oは潤滑油を掻き上げるので、被動ギヤG2oによって掻き上げられた潤滑油の一部は、第1レシーバR1によって回収され、「第1レシーバR1の車両前方側の端部」を経由して、第1誘導板B1の上面に落下する。
【0043】
上述のように、第1誘導板B1の平面は、車両の前後方向に対して平行であり、且つ、車両の左右方向に対して車両右方側が車両左方側に対して下方に位置するように傾斜している。従って、車両が登坂路上にある場合、図9に示すように、第1誘導板B1の上面は、車両後方側が車両前方側より相対的に下方に位置するように、且つ、車両右方側が車両左方側より相対的に下方に位置するように、傾いている。
【0044】
従って、図9に示すように、「第1レシーバR1の車両前方側の端部」から第1誘導板B1の上面における点Q1に落下してきた潤滑油は、第1誘導板B1の上面を、車両後方側且つ車両右方側に向かって移動し、第1誘導板B1の側端部における車両後方側の第1位置X1に移動する。
【0045】
ここで、図9に示すように、第1誘導板B1の側端部における第1位置X1に対応する部分には、窪みB11が形成されている。従って、第1位置X1に移動してきた潤滑油は、窪みB11の内壁面を上側から下側に向けて斜めに横切り、その後、表面張力を利用して第1誘導板B1の側端部の下側を伝って、第1誘導板B1の側端部における最下位置(目標誘導位置)P1に移動する。目標誘導位置P1に移動してきた潤滑油は、被動ギヤG1oに向けて落下する。この結果、被動ギヤG1o、並びに、被動ギヤG1oと噛み合う駆動ギヤG1iが潤滑され得る。なお、目標誘導位置P1は、車両が登坂路上にある状態において、被動ギヤG1oに潤滑油を付着させるための最適な位置となるように設計されている。
【0046】
このように、図8に示すように、車両が登坂路上にある場合(被動ギヤG1oが油面と接触せず、その他の3つの被動ギヤが油面と接触している場合)、駆動ギヤG1i及び被動ギヤG1oは第1誘導板B1によって誘導された潤滑油によって潤滑され、残りの駆動ギヤ及び被動ギヤは、対応する被動ギヤの掻き上げによってそれぞれ潤滑される。
【0047】
以下、窪みB11が形成されたことによる作用・効果について説明する。先ず、その説明の準備のため、図10に示すように、窪みB11が形成されていない場合について述べる。窪みB11が形成されていない場合、図10に示すように、第1位置X1に移動してきた潤滑油は、第1位置X1を上側から下側に向けてほぼ真下に横切る。その後、設計通りに潤滑油が移動すれば、潤滑油は、表面張力を利用して第1誘導板B1の側端部の下側を伝って、目標誘導位置P1に移動し得る。
【0048】
しかしながら、図10に示す誘導板では、第1位置X1に移動してきた潤滑油の一部又は全部が、第1位置X1から目標誘導位置P1に向けて第1誘導板B1の側端部を伝わることなく、破線の矢印で示すように、第1位置X1から直ちに下方に落下する現象が発生し易い。これは、以下の理由に基づくと考えられる。即ち、この場合、潤滑油が第1位置X1(第1誘導板B1の側端面の一部)をほぼ真下に横切るので、潤滑油が第1誘導板B1の側端面を横切る距離が短い。
【0049】
このことに起因して、潤滑油に対して減速作用が働き難いので、潤滑油が第1誘導板B1の側端面を横切って同側端部の下側に到達した時点における潤滑油の移動速度が比較的速くなる。この結果、潤滑油が、第1位置X1の下側から直ちに下方に落下する現象が発生し易い。この現象が発生すると、目標誘導位置P1に誘導される潤滑油の量が減少するので、被動ギヤG1o及び駆動ギヤG1iが十分に潤滑され得ないという問題が発生し得る。
【0050】
これに対し、図9に示すように、第1誘導板B1の側端面における第1位置X1に対応する部分に窪みB11が形成されていると、上述のように、第1位置X1に移動してきた潤滑油は、窪みB11の内壁面を上側から下側に向けて斜めに横切る。この結果、窪みB11が形成されない場合(図10を参照)と比べて、第1誘導板B1の側端面を横切る距離が長くなり易い。このことに起因して、潤滑油に対して減速作用がより強く働き易いので、潤滑油が第1誘導板B1の側端面を横切って同側端部の下側に到達した時点における潤滑油の移動速度が遅くなり易い。
【0051】
この結果、窪みB11が形成されない場合(図10を参照)と比べて、潤滑油が第1位置X1から直ちに下方に落下する現象が発生し難くなる。即ち、図9に示すように、窪みB11を設けることによって、誘導壁(図17を参照)等の新たな部品を追加することなく、第1位置X1に移動してきた潤滑油が目標誘導位置P1に向けて誘導され易くなる。
【0052】
以下、第1誘導板B1の側端面における窪みB11が形成されるべき範囲について付言する。車両が登坂路上にある場合、図11に示すように、点Q1に落下してきた潤滑油が第1誘導板B1の上面を車両後方側且つ車両右方側に向かって移動する方向(従って、側端面における第1位置X1)は、登坂路の勾配によって変動する。具体的には、登坂路の勾配が大きいほど、前記移動方向(従って、第1位置X1)がa側に変移し、登坂路の勾配が小さいほど、前記移動方向(従って、第1位置X1)がb側に変移する。
【0053】
従って、登坂路の勾配が想定され得る範囲内にある限りにおいて、第1誘導板B1の側端面における第1位置X1が窪みB11が形成されている範囲に含まれるように、窪みB11の大きさ及び位置を設定すればよい。これにより、登坂路の勾配が想定され得る範囲内にある限りにおいて、第1位置X1に移動してきた潤滑油が窪みB11の内壁面を上側から下側に向けて斜めに横切り得る。この結果、上述した減速作用が強く働くことによって、潤滑油が第1位置X1から直ちに下方に落下する現象が発生し難くなる。
【0054】
<車両が降坂路上にある場合>
次に、図12を参照しながら、車両が降坂路上にある状態(入出力軸Ai、Aoの車両前方が車両後方より相対的に下方に位置している場合)における潤滑油の循環について説明する。車両が降坂路上にある場合、図12に示すように、M/Tのハウジングの底部に溜まっている潤滑油の油面がM/Tのハウジングに対して相対的に車両前方側に傾く。このことに起因して、図12に示す例では、被動ギヤG4oが前記油面と接触していない(その他の3つの被動ギヤは前記油面と接触している)。
【0055】
この結果、被動ギヤG4oが潤滑油を掻き上げなくなるので、被動ギヤG4oによる潤滑油の掻き上げを利用して被動ギヤG4o及び駆動ギヤG4iを潤滑することができない。しかしながら、被動ギヤG3oは潤滑油を掻き上げるので、被動ギヤG3oによって掻き上げられた潤滑油の一部は、第2レシーバR2によって回収され、「第2レシーバR2の車両後方側の端部」を経由して、第2誘導板B2の上面に落下する。
【0056】
上述のように、第2誘導板B2の平面は、車両の前後方向に対して平行であり、且つ、車両の左右方向に対して車両右方側が車両左方側に対して下方に位置するように傾斜している。従って、車両が降坂路上にある場合、図12に示すように、第2誘導板B2の上面は、車両前方側が車両後方側より相対的に下方に位置するように、且つ、車両右方側が車両左方側より相対的に下方に位置するように、傾いている。
【0057】
従って、図13に示すように、「第2レシーバR2の車両後方側の端部」から第2誘導板B2の上面における点Q2に落下してきた潤滑油は、第2誘導板B2の上面を、車両前方側且つ車両右方側に向かって移動し、第2誘導板B2の側端部における車両前方側の第1位置X2に移動する。
【0058】
ここで、図13に示すように、第2誘導板B2の側端部における第1位置X2に対応する部分には、窪みB21が形成されている。従って、第1位置X2に移動してきた潤滑油は、窪みB21の内壁面を上側から下側に向けて斜めに横切り、その後、表面張力を利用して第2誘導板B2の側端部の下側を伝って、第2誘導板B2の側端部における最下位置(目標誘導位置)P2に移動する。目標誘導位置P2に移動してきた潤滑油は、被動ギヤG4oに向けて落下する。この結果、被動ギヤG4o、並びに、被動ギヤG4oと噛み合う駆動ギヤG4iが潤滑され得る。なお、目標誘導位置P2は、車両が登坂路上にある状態において、被動ギヤG4oに潤滑油を付着させるための最適な位置となるように設計されている。
【0059】
このように、図12に示すように、車両が降坂路上にある場合(被動ギヤG4oが油面と接触せず、その他の3つの被動ギヤが油面と接触している場合)、駆動ギヤG4i及び被動ギヤG4oは第2誘導板B2によって誘導された潤滑油によって潤滑され、残りの駆動ギヤ及び被動ギヤは、対応する被動ギヤの掻き上げによってそれぞれ潤滑される。
【0060】
窪みB21が形成されたことによる作用・効果は、上述した窪みB11のものと同様である。即ち、図14に示すように、窪みB21が形成されていない場合、潤滑油が第1位置X2を上側から下側に向けてほぼ真下に横切るので、潤滑油が第2誘導板B2の側端面を横切る距離が短い。従って、潤滑油に対して減速作用が働き難いので、潤滑油が第2誘導板B2の側端面の下側に到達した時点における潤滑油の移動速度が比較的速くなる。この結果、潤滑油が、第1位置X2の下側から直ちに下方に落下する現象が発生し易い。
【0061】
これに対し、図13に示すように、窪みB21が形成されていると、上述のように、第1位置X2に移動してきた潤滑油は、窪みB21の内壁面を上側から下側に向けて斜めに横切る。この結果、第2誘導板B2の側端面を横切る距離が長くなり易い。即ち、潤滑油に対して減速作用がより強く働き易いので、潤滑油が第2誘導板B2の側端面の下側に到達した時点における潤滑油の移動速度が遅くなり易い。
【0062】
この結果、窪みB21が形成されない場合(図14を参照)と比べて、潤滑油が第1位置X2から直ちに下方に落下する現象が発生し難くなる。即ち、図13に示すように、窪みB21を設けることによって、誘導壁(図17を参照)等の新たな部品を追加することなく、第1位置X2に移動してきた潤滑油が目標誘導位置P2に向けて誘導され易くなる。
【0063】
以下、第2誘導板B2の側端面における窪みB21が形成されるべき範囲について付言する。車両が降坂路上にある場合、図15に示すように、点Q2に落下してきた潤滑油が第2誘導板B2の上面を車両前方側且つ車両右方側に向かって移動する方向(従って、側端面における第1位置X2)は、降坂路の勾配によって変動する。具体的には、降坂路の勾配が大きいほど、前記移動方向(従って、第1位置X2)がa側に変移し、降坂路の勾配が小さいほど、前記移動方向(従って、第1位置X2)がb側に変移する。
【0064】
従って、降坂路の勾配が想定され得る範囲内にある限りにおいて、第2誘導板B2の側端面における第1位置X2が窪みB21が形成されている範囲に含まれるように、窪みB21の大きさ及び位置を設定すればよい。これにより、降坂路の勾配が想定され得る範囲内にある限りにおいて、第1位置X2に移動してきた潤滑油が窪みB21の内壁面を上側から下側に向けて斜めに横切り得る。この結果、上述した減速作用が強く働くことによって、潤滑油が第1位置X2から直ちに下方に落下する現象が発生し難くなる。
【0065】
本発明は上記実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記実施形態では、前記「誘導板」として、第1誘導板B1、及び、第2誘導板B2が設けられているが、第1誘導板B1、及び、第2誘導板B2の何れか一方のみが設けられていてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、第1、第2誘導板B1、B2の平面形状が長方形状であるが、半円状、長円状等であってもよい。また、第1誘導板B1の平面は、車両の前後方向に対して平行であり、且つ、車両の左右方向に対して傾斜しているが、第1誘導板B1の平面が、車両の前後方向に対して車両後方側が車両前方側より下方に位置するように傾斜し、且つ、車両の左右方向に対して傾斜していてもよい。同様に、第2誘導板B2の平面は、車両の前後方向に対して平行であり、且つ、車両の左右方向に対して傾斜しているが、第2誘導板B2の平面が、車両の前後方向に対して車両前方側が車両後方側より下方に位置するように傾斜し、且つ、車両の左右方向に対して傾斜していてもよい。
【0067】
また、第1誘導板B1の側端部における車両後方側には、窪みB11が1か所のみ設けられているが、窪みB11が2か所以上設けられていてもよい。第1誘導板B1の側端面における窪みの部分は、凹状の曲面であるが、第1誘導板B1の側端面における窪み以外の部分は、平面、又は、凸状の曲面である。同様に、第2誘導板B2の側端部における車両前方側には、窪みB21が1か所のみ設けられているが、窪みB21が2か所以上設けられていてもよい。第2誘導板B2の側端面における窪みの部分は、凹状の曲面であるが、第2誘導板B2の側端面における窪み以外の部分は、平面、又は、凸状の曲面である。
【符号の説明】
【0068】
M/T…変速機、B1、B2…第1、第2誘導板、B11、B21…窪み、R1、R2…第1、第2レシーバ、G1i〜G4i…駆動ギヤ、G1o〜G4o…被動ギヤ
図1
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