(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記画像読取手段は、前記支持面を挟んで前記媒体の反対側に配置され、前記媒体の画像を当該画像読取手段へと導く光学系が設けられた移動体を有し、前記移動体が前記第2の方向に沿って予め設定された位置に移動した状態で前記媒体を読み取る請求項1又は2に記載の画像読取装置。
前記媒体検出手段は、前記支持面を透過した光を受光する受光部を有し、前記支持面に支持された媒体を光学的に検出する手段であって、前記第2の方向に沿った予め定められた位置に配置されている請求項1乃至3のいずれかに記載の画像読取装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
[実施の形態1]
図1はこの発明の実施の形態1に係る画像読取装置を適用した画像形成装置の全体の概要を示す構成図である。
【0020】
<画像形成装置の全体の構成>
実施の形態1に係る画像形成装置1は、例えばカラー複写機として構成されたものである。画像形成装置1は、媒体の一例としての原稿6の画像を読み取る画像読取装置3と、画像読取装置3で読み取られた画像データなどに基づいて記録媒体に画像を形成する画像形成手段の一例としての画像形成部2とを備えている。画像読取装置3は、画像形成部2を収容した装置本体1aの上方に支持部4により支持された状態で配置されている。画像読取装置3と装置本体1aとの間には、画像が形成された記録媒体を排出するための空間が形成されている。
【0021】
画像読取装置3には、
図1に示されるように、その筐体31の前面に位置する前壁311の上部に、画像形成装置1及び画像読取装置3を操作する操作部としてのコントロールパネル66が設けられている。コントロールパネル66は、ユーザに操作メニューや警告、メッセージ等を表示する表示部を兼ねるとともに表示した操作メニューに対する各種設定等を受け付けるタッチパネル67、及び複数の操作ボタン68を有している。
【0022】
画像形成部2は、現像剤を構成するトナーで現像されるトナー像を形成する複数の作像装置10と、各作像装置10で形成されるトナー像をそれぞれ保持して最終的に記録媒体の一例としての記録用紙5に二次転写する二次転写位置まで搬送する中間転写装置20と、中間転写装置20の二次転写位置に供給すべき所要の記録用紙5を収容して搬送する給紙装置50と、中間転写装置20で二次転写された記録用紙5上のトナー像を定着させる定着装置40等を備えている。装置本体1aは支持構造部材、外装カバー等で形成されている。なお、画像形成部2は、電子写真方式に限定されるものではなく、記録媒体に画像を形成可能なものであればインクジェット方式やサーマルヘッド方式、あるいはリソグラフ方式など他の方式を採用したものであっても良い。
【0023】
給紙装置50は、露光装置13の下方側の位置に存在するように配置される。この給紙装置50は、所望のサイズ、種類等の記録用紙5を積載した状態で収容する複数(又は単数)の用紙収容体51
1〜51
4と、用紙収容体51
1〜51
4から記録用紙5を1枚ずつ送り出す送出装置52,53とで主に構成されている。用紙収容体51
1〜51
4は、例えば、装置本体1aの正面(使用者が操作時に向き合う側面)側に引き出すことができるように取り付けられている。
【0024】
給紙装置50と中間転写装置20との間には、給紙装置50から送り出される記録用紙5を二次転写位置まで搬送する複数の用紙搬送ローラ54,55や図示しない搬送ガイドで構成される給紙搬送路56が設けられている。給紙搬送路56において二次転写位置の直前の位置に配置される用紙搬送ローラ55は、例えば記録用紙5の搬送時期を調整するローラ(レジストローラ)として構成されている。さらに、定着装置40の用紙搬送方向に沿った下流側には、記録用紙5を装置本体1aの上部に設けられた排出収容部57へと排出する搬送ローラ58及び排出ローラ59が配置されている。
【0025】
複数の作像装置10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー像をそれぞれ専用に形成する4つの作像装置10Y,10M,10C,10Kで構成されている。各作像装置10(Y,M,C,K)は、像保持体の一例としての回転する感光体ドラム11と、感光体ドラム11の像形成が可能な周面(像保持面)を所要の電位に帯電させる帯電装置12と、感光体ドラム11の帯電された周面に画像の情報(信号)に基づく光LBを照射して電位差のある(各色用の)静電潜像を形成する露光装置13と、その静電潜像を対応する色(Y,M,C,K)の現像剤のトナーで現像してトナー像にする現像装置14と、その各トナー像を中間転写装置20に転写する一次転写装置15と、一次転写後における感光体ドラム11の像保持面に残留して付着するトナー等の付着物を取り除いて清掃するドラム清掃装置16を備えている。
【0026】
中間転写装置20は、中間転写ベルト21と、中間転写ベルト21を矢印方向に沿って搬送する複数の搬送ローラ22〜26と、中間転写ベルト21の表面に残留して付着するトナー等の付着物を取り除いて清掃するベルト清掃装置27とを有している。また、搬送ローラ26には、中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙5に一括して二次転写する二次転写装置としての二次転写ローラ28が中間転写ベルト21を介して接触するように配置されている。
【0027】
また、定着装置40は、加熱用の回転体41と加圧用の回転体42とを備えている。加熱用の回転体41と加圧用の回転体42の接触部は、記録用紙5上にトナー像を定着する定着処理部を構成している。
【0028】
さらに、画像形成装置1は、記録用紙5の両面に画像を形成するための両面ユニット60を備えている。両面ユニット60は、片面に画像が形成された記録用紙5を排出ローラ59によって排出収容部57へ搬送する際に、排出ローラ59が記録用紙5の後端を保持している間に当該排出ローラ59を逆方向に回転させることで、切替ゲート61を介して記録用紙5を導入する。両面ユニット60は、導入された記録用紙5をその表裏を反転させた状態で搬送する複数の搬送ローラ62〜64及び図示しない搬送ガイドから構成される両面用搬送経路65を有している。
【0029】
なお、
図1中、符号140(Y,M,C,K)は、対応する現像装置14に供給する少なくともトナーを含む現像剤を収容した現像剤収納容器としてのトナーカートリッジをそれぞれ示している。この実施の形態では、トナーカートリッジ140(Y,M,C,K)の内部にトナーのみを収納している。
【0030】
また、符号100は、画像形成装置1の画像形成動作及び画像読取装置3の画像読取動作を制御する制御装置を示している。なお、画像読取装置3の画像読取動作を制御する制御装置は、画像形成装置1の制御装置とは別個に構成してもよい。
【0031】
<画像形成装置の基本的な動作>
以下、画像形成装置1による基本的な画像形成動作について説明する。
【0032】
ここでは、前記4つの作像装置10(Y,M,C,K)を使用して、4色(Y,M,C,K)のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像を形成するときの画像形成動作を説明する。
【0033】
画像形成装置1は、画像形成動作(プリント)の要求の指令情報を受けると、4つの作像装置10(Y,M,C,K)、中間転写装置20、二次転写装置28、定着装置40等が始動する。
【0034】
そして、各作像装置10(Y,M,C,K)においては、対応する色のトナーでそれぞれ現像された4色(Y,M,C,K)のトナー像として顕像化される。各作像装置10(Y,M,C,K)で形成された各色のトナー像が一次転写位置まで搬送されると、一次転写装置15が、その各色のトナー像を中間転写装置20の矢印で示す方向に回転する中間転写ベルト21に対して順番に重ね合わせるような状態で一次転写させる。続いて、中間転写装置20は、中間転写ベルト21の回転により一次転写されたトナー像を保持して二次転写位置まで搬送する。一方、給紙装置50では、作像動作に合わせて所要の記録用紙5を給紙搬送路56に送り出す。給紙搬送路56では、レジストローラとしての用紙搬送ローラ55が記録用紙5を転写時期に合わせて二次転写位置に送り出して供給する。
【0035】
二次転写位置においては、二次転写ローラ28が、中間転写ベルト21上のトナー像を記録用紙5に一括して二次転写させる。また、二次転写が終了した後の中間転写装置20では、ベルト清掃装置27が、二次転写後の中間転写ベルト21の表面に残留したトナー等の付着物を取り除いて清掃する。
【0036】
続いて、トナー像が二次転写された記録用紙5は、中間転写ベルト21と二次転写ローラ28から剥離された後に定着装置40まで搬送される。定着装置40では、必要な定着処理(加熱及び加圧)を施して未定着のトナー像を記録用紙5に定着させる。最後に、定着が終了した後の記録用紙5は、搬送ローラ58及び排出ローラ59により、例えば装置本体1aの上部に配置された排出収容部57に排出される。
【0037】
また、記録用紙5の両面に画像を形成するときは、片面に画像が形成された記録用紙5を排出ローラ59により用紙排出部57へ搬送する際、排出ローラ59が記録用紙5の後端を保持している間に当該排出ローラ59の回転方向を逆方向に切り替える。排出ローラ59により逆方向に搬送される記録用紙5は、切替ゲート61によって搬送方向が両面ユニット60側へ切り替えられる。その後、記録用紙5は、搬送ローラ62〜64等を備えた両面用搬送経路65を介して表裏が反転された状態で搬送ローラ55へと搬送される。搬送ローラ55は、記録用紙5を転写時期に合わせて二次転写位置に送り出して供給する。記録用紙5は、その裏面(第2面)に中間転写ベルト21からトナー像が二次転写され、定着装置40による定着処理が施されて、排出ローラ59により装置本体1aの上部に設置された排出収容部57に第2面を下にして排出される。
【0038】
以上の動作により、4色のトナー像を組み合わせて形成されるフルカラー画像が形成された記録用紙5が排出される。
【0039】
<画像読取装置の構成>
図2はこの実施の形態1に係る画像読取装置の構成を示す概略構成図である。
【0040】
画像読取装置3は、大別して、上端面に原稿読取面(支持面)が形成された筐体31と、筐体31に対して開閉自在に取り付けられた原稿押さえカバー32と、原稿押さえカバー32の一端部(図示例では左側端部)に設けられた自動原稿搬送装置(DADF: Duplex Automatic Document Feeder)33とを備えている。
【0041】
画像読取装置3は、ユーザの操作に応じて、自動原稿搬送装置33によってシートの一例としての原稿6を一枚ずつ自動的に搬送しながら原稿6の画像を読み取る第1の読取モードと、後述する原稿台83の上に置かれた原稿6の画像を読み取る第2の読取モードとに切り替え可能に構成されている。画像読取装置3は、例えば、ユーザによって自動原稿搬送装置33に原稿6が置かれたことを検知すると、第1の読取モードに切り替える。また、画像読取装置3は、ユーザによって原稿押さえカバー32が開閉され、原稿台83上に原稿6が置かれたことを検知すると、第2の読取モードに切り替える。
図2は、第1の読取モードにおける原稿読み取り時の各部材の状態を示している。
【0042】
自動原稿搬送装置33は、読取面(第1面)を上にした状態で複数枚の原稿6を積載して収容可能な原稿収容部70と、原稿収容部70から原稿6を送り出すナジャーローラ71と、ナジャーローラ71によって送り出された原稿6を1枚ずつ捌いて供給するフィードローラ72と、フィードローラ72に押圧されて原稿6を1枚ずつ捌く押圧パッド72aと、原稿6を読取位置へ搬送する搬送ローラ73〜75と、原稿6を排出収容部76へ排出する排出ローラ77から構成される原稿搬送機構を有している。これらのナジャーローラ71、フィードローラ72、搬送ローラ73〜75及び排出ローラ77は、原稿6の読み取り時に図示しない駆動手段によって駆動される。搬送ローラ73は、原稿6の読取位置への搬送時期を調整するレジストローラである。尚、この実施の形態では、特にローラ対として明示的に記載していないが、搬送ローラや排出ローラなる用語は一対のローラからなるものをも含めて意味している。
【0043】
また、搬送ローラ73は、搬送方向に対する原稿6の傾きを機械的に補正(以下、「スキュー補正」という。)して原稿6の端縁を搬送方向と同一方向に補正する補正手段としても機能する。搬送ローラ73のうち駆動ローラとしての搬送ローラ73bは、
図2に示されるように、図示しない駆動モータ等を駆動手段として、停止した状態から予め定められたタイミングで図の正転方向Raに回転するように駆動される。従動ローラである搬送ローラ73aは、搬送ローラ73bに圧接した状態で、搬送ローラ73bに従って回転する。
【0044】
搬送ローラ73は、駆動ローラとしての搬送ローラ73bが停止している間に、上流側に位置するフィードローラ72によって搬送される原稿6の先端が当該搬送ローラ73bと搬送ローラ73aとの圧接部に突き当てられる。そして、搬送ローラ73は、原稿6の先端を撓ませることで、原稿6の先端を搬送ローラ73の軸方向と一致させた後に原稿6を搬送することによりスキュー補正する。
【0045】
また、自動原稿搬送装置33は、原稿6を読取位置に案内するとともに読取位置から排出方向に案内する湾曲形状の読取ガイド78と、読取窓79の上方であって読取ガイド78に設けられ原稿6の背面を支持する背面支持部材80と、原稿収容部70に設けられて原稿6の副走査方向のサイズを検知する第1のサイズ検知センサ81と、同じく原稿収容部70に設けられて原稿6の副走査方向のサイズを検知する第2のサイズ検知センサ82とを有する。画像読取装置3は、例えば、第1及び第2のサイズ検知センサ81,82によって原稿収容部70における原稿6の有無を検知する。
【0046】
画像読取装置3の筐体31は、上端面の一部が開口した直方体状の箱体として形成されている。筐体31は、原稿押さえカバー32に対向する上壁312と、上壁312に対向する底壁313と、底壁313を挟んで副走査方向(
図2の左右方向)に対向する側壁314及び側壁315と、上述した前壁311(
図1を併せて参照)と、前壁311に対して主走査方向(
図2の紙面に直交する方向)に沿って対向する後壁316とを有している。
【0047】
筐体31の上壁312には、第2の読取モード時に読み取られる原稿6の原稿読取位置に対応する部位に平面矩形状の大きな開口部317(
図3を併せて参照)が形成されている。開口部317には、原稿6を支持する透明な原稿台83(プラテンガラス)が配置されている。また、原稿台83の自動原稿搬送装置33側には、第1の読取モード時に原稿6を読み取るための透明な読取窓79が設けられている。読取窓79と原稿台83との間には、第1の読取モード時に読取位置を通過した原稿6を搬送ローラ75へと案内する上端面が傾斜した案内部材84が設けられている。
【0048】
画像読取装置3は、筐体31の内部に、原稿6を照明するための光を照射する照明ランプやLED(Light Emitting Diode)等からなる照明手段の一例としての光源85と、光源85から出射された光の一部を原稿6の方向へ向けて反射するリフレクタ86と、原稿6からの反射光を受ける第1のミラー87と、第1のミラー87からの反射光を受ける第2のミラー88と、第2のミラー88からの反射光を受ける第3のミラー89と、第3のミラー89からの反射光をCCD(Charge-Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等からなる画像読取手段の一例としての画像読取素子90に結像する結像レンズ91などを有する画像読取部とを備えている。光源85、リフレクタ86及び第1乃至第3のミラー87〜89は、副走査方向(
図2の紙面に直交する方向)に沿って配置されている。また、光源85は、原稿6及びリフレクタ86の方向に向けて光を照射する。第1乃至第3のミラー87〜89及び結像レンズ91は、原稿6の画像を画像読取素子90で読み取るための読取光学系を構成している。
【0049】
光源85、リフレクタ86及び第1のミラー87は、第1の方向の一例としての主走査方向に沿って配置され、第1の方向と交差する第2の方向の一例としての副走査方向に沿って駆動手段により移動可能に構成されたキャリッジからなる第1の移動体92に取り付けられている。第1の移動体92は、第1のレール93によって案内され、副走査方向に沿って移動しながら原稿6の読取対象領域を照明しつつ、第1のミラー87によって原稿6の反射光を第2の移動体94の第2のミラー88に向けて反射する。第1のレール93は、筐体31の後壁316に副走査方向に沿って配置されている。
【0050】
また、第2のミラー88及び第3のミラー89は、主走査方向に沿って配置され、副走査方向に沿って駆動手段により移動可能に設けられたキャリッジからなる第2の移動体94に取り付けられている。第2の移動体94は、第2のレール95によって案内されて副走査方向に移動しながら、原稿6の反射光を画像読取部の結像レンズ91に向けて反射する。第2のレール95は、筐体31の底壁313に副走査方向に沿って配置されている。第1のレール93及び第2のレール95は、主走査方向に沿った両端部に対向するようにそれぞれ1つずつ配置されている。
【0051】
画像読取部は、画像読取素子90を実装した画像読取基板97を有する。結像レンズ91及び画像読取基板97は、底壁313に支持されたベース板96に取り付けられている。画像読取部は、第3のミラー89からの反射光が結像レンズ91を透過してCCDやCMOS等からなる画像読取素子90に結像し、画像読取素子90によって原稿6の画像及び原稿6自体を読み取って(検出して)画像データを出力する。画像読取素子90によって読み取られた画像データは、図示しない画像処理装置により必要に応じてシェーディング補正等の予め定められた画像処理が施され、制御装置100へと送られる。
【0052】
第1の読取モード時には、
図2に実線で示されるように、第1及び第2の移動体92,94を筐体31の左側の端部に設定された読取位置に停止させた状態で、自動原稿搬送装置33によって原稿6を自動的に搬送し、読取窓79の上部を通過する原稿6を光源85により照明し、原稿6からの反射光像を第1のミラー87によって第2及び第3のミラー88,89を介して結像レンズ91へと反射する。画像読取部は、第3のミラー89からの反射光像を結像レンズ91によって画像読取素子90に結像し、画像読取素子90により原稿6の画像及び原稿6自体を読み取って画像読取素子90から画像データを出力する。
【0053】
一方、第2の読取モード時には、第1の移動体92及び第2の移動体94を図示しない駆動手段によって駆動し、第1の移動体92が副走査方向に沿って移動する間に、原稿6の画像読取位置から画像読取素子90に至る光路長が変化しないように、第2の移動体94の移動量が第1の移動体92の移動量の1/2となるよう構成されている。
図2中、二点鎖線は、第1の移動体92が原稿6の副走査方向の端部付近に移動したときの第1の移動体92及び第2の移動体94の位置を示す。
【0054】
また、第2の読取モードに先立つ原稿6のサイズ判定時には、第1の移動体92及び第2の移動体94を図示しない駆動手段によって駆動し、第1の移動体92及び第2の移動体94を副走査方向に沿って移動させ予め設定されたサイズ判定位置で停止させる。
【0055】
<画像読取装置の要部の構成>
この実施の形態1に係る画像読取装置3は、
図3及び
図4に示されるように、第2の読取モード時、ユーザが原稿台83上に載置した原稿6の画像を画像読取素子90によって読み取るにあたり、自動原稿搬送装置33が装着された原稿押さえカバー32を開閉する操作が行われる。具体的には、
図3に示されるように、原稿押さえカバー32を所要の角度まで開いて原稿台83を開放した開放位置へと移動させ、筐体31の上部に露出した原稿台83上の所要の位置に原稿6を載せる。原稿押さえカバー32は、開放位置においてユーザが原稿押さえカバー32から手を離した場合であっても、開放位置を保持する。その後、ユーザは、
図4に示されるように、原稿押さえカバー32を回動させて原稿台83を閉鎖した閉鎖位置へと移動させ、原稿押さえカバー32により原稿6を原稿台83上の所要位置に押さえ固定する。このとき、画像読取装置3は、原稿台83上に載置された原稿6の主走査方向及び副走査方向に沿ったサイズを自動的に検出するように構成されている。
【0056】
原稿押さえカバー32の下面には、
図3に示されるように、対向部材の一例としての平板状の押さえ板321が設けられている。押さえ板321の表面(下面)は、白色に形成されている。押さえ板321は、筐体31の原稿台83に対応した位置に配置される。また、押さえ板321は、原稿台83上に載置された原稿6を確実に押さえることが可能となるよう原稿台83より一回り大きい平面矩形状を有する。押さえ板321は、緩衝部材の一例としてのスポンジ層322を介して原稿押さえカバー32の下面に装着されている。押さえ板321は、原稿押さえカバー32を閉じた閉鎖位置において、原稿台83の表面に対向した状態で当該原稿台83上に載置された原稿6を押圧する。このとき、押さえ板321の裏面に配置されたスポンジ層322は、原稿押さえカバー32の重量に従い圧縮され弾性変形する。原稿6の読取面(下面)は、押さえ板321により押圧されて原稿台83の表面に密着した状態となる。
【0057】
また、原稿台83の奥側及び左側の端縁には、
図3に示されるように、原稿台83上に載置された原稿6の奥側の端部6a及び左側の端部6bを突き当てることにより、原稿6を読取位置に位置決めする第1及び第2の突当部323,324が配置されている。第1の突当部323は、原稿台83の主走査方向に沿った奥側の端部に副走査方向に沿って細長い平板状に設けられている。一方、第2の突当部324は、原稿台83の副走査方向に沿った左側の端部に主走査方向に沿って細長い平板状に設けられている。原稿台83は、画像読取装置3で読取ることが可能な最大サイズの原稿6に対応した大きさを有する。この実施の形態では、原稿台83がA3サイズの原稿6よりも一回り大きい所謂A3ノビサイズの原稿6に対応した大きさに設定されている。第1及び第2の突当部323,324は、原稿6の端部6a,6bを突き当てることが可能となるよう原稿台83の表面より上部に突出している。なお、第2の突当部324の側方には、第1の読取りモード時に使用する読取窓79が設けられる。
【0058】
原稿6は、
図5に示されるように、その奥側の端部6a及び左側の端部6bを第1及び第2の突当部323,324に突き当てた状態(所謂サイドレジ)で原稿台83上に位置決めされる。原稿6を原稿台83上に載置するには、原稿6の長さが相対的に短い短辺6bを副走査方向に沿った第2の突当部324に突き当て、原稿6の長さが相対的に長い長辺6aを副走査方向に沿った第1の突当部323に突き当てて配置するSEF(Short Edge Feed)と呼ばれる配置方式と、原稿6の長さが相対的に長い長辺6aを副走査方向に沿って配置された第2の突当部324に突き当て、原稿6の長さが相対的に短い短辺6bを主走査方向に沿った第1の突当部323に突き当てて配置するLEF(Long Edge Feed)と呼ばれる配置方式がある。
【0059】
第1及び第2の突当部323,324には、必要に応じて、原稿台83上に原稿6を載置する際の目安となるSEF方式及びLEF方式に対応したB6,A5,B5,A4,US,B5,US,A4,B4,A3等の複数の原稿6のサイズに対応した表示325,326がそれぞれ設けられている。これらの表示325,326中、USとあるのは、所謂米国のレターサイズを意味している。USレターサイズは、8.5インチ×11インチ=215.9mm×279.4mmに設定されている。USレターサイズは、JIS規格であるA4サイズ(210×297mm)と比較して長辺が6%程短く、短辺が3%程長いサイズである。
【0060】
この実施の形態では、原稿台83上に支持された原稿6の第1の方向の一例としての主走査方向に沿った大きさ(サイズ)を画像読取素子90によって検出している。
【0061】
更に説明すると、この実施の形態では、
図5(b)に示されるように、第2の読取モード時、第1の移動体92及び第2の移動体94が原稿台83上に載置された原稿6の副走査方向に沿った端部から予め定められた距離だけ離れた判定位置に所要のタイミングで移動する。尚、
図5(b)中、第2の移動体94は、図示が省略されている。第1の移動体92及び第2の移動体94は、複数のプーリ327,328間に掛け渡されたワイヤー329によって駆動される。また、プーリ327,328のいずれかは、駆動モータM1により駆動される。判定位置は、原稿台83上に載置された原稿6が最小サイズのものであるときでも、原稿6を検出可能となるように最小サイズの原稿6の副走査方向に沿った端部より第2の突当部324に近い位置に設定される。第1の移動体92の読取位置は、
図2に示されるように、第1のミラー87の真上に対応した位置である。
【0062】
画像読取装置3は、判定位置において停止した第1の移動体92の光源85を予め定められたタイミングで発光させ、原稿台83上に載置された原稿6からの反射光像を第1の移動体92の第1のミラー87と、第2の移動体94の第2及び第3のミラー88,89を介して画像読取素子90によって読み取る。そして、画像読取素子90によって読み取られた原稿6の画像データは、図示しない画像処理装置を介して制御装置100に送られ、制御装置100によって原稿6の主走査方向に沿ったサイズを検出する。制御装置100は、原稿6と押さえ板321との白色度の相違により原稿6の主走査方向に沿った端部の位置を検出する。
【0063】
また、画像読取装置3の筐体31の内部には、
図5に示されるように、原稿台83上に載置された原稿6の副走査方向に沿ったサイズを光学的に検知する媒体検知手段の一例としての原稿センサ330が配置されている。原稿センサ330は、原稿台83の下方に対応した位置(図示の実施形態では底壁313)に配置されている。原稿センサ330は、
図5中の左右方向、すなわち、副走査方向において予め定められた位置に配置されている。具体的には、原稿センサ330は、左側に位置する第2の突当部324の端部324aから副走査方向に沿って距離L2だけ右側に離間した位置に配置されている。距離L2は、判定位置に移動した第1の移動体92によって原稿台83上に載置された原稿6が遮蔽されない位置に対応した距離に設定されている。実施の形態1では、距離L2がUSレターサイズの原稿6の短辺(215.9mm)よりも長く且つB5サイズの原稿6の長辺(257mm)よりも短い値に設定されている。また、原稿センサ330は、奥側に位置する第1の突当部323の端部323aから主走査方向に沿ってB5サイズの原稿6の短辺(182mm)よりも近い位置に配置されている。
【0064】
原稿センサ330は、原稿台83に向けて光を照射する発光部331と、原稿台83側からの光を受光する受光部332を有する、所謂反射型のフォトセンサからなる。原稿センサ330の検出位置は、原稿台83の奥側の位置であって、且つ、第2の突当部324の端部324aから右側に距離L2だけ離れた位置に設定されている。なお、第1の移動体92が停止する位置(判定位置)は、
図5(b)に示されるように、原稿センサ330から左方に離間した位置に設定されている。そのため、原稿センサ330は、上述したように、第1の移動体92が判定位置に移動している場合であっても、第1の移動体92によって光を遮られることがなく、原稿台83を通過した光を受光することが可能となる。
【0065】
また、画像読取装置3は、
図3に示されるように、原稿押さえカバー32が、閉鎖位置と、開放位置と閉鎖位置との中間に設定された半閉じ位置とに移動したことを検出する位置検出手段の一例としての開閉センサ360を備えている。開閉センサ360は、画像読取装置3の筐体31の上面において、奥側(使用者が操作時に向き合う側面と反対側)の一端部に配置された検知部材の一例としての作動桿361を有している。筐体31の上壁312には、作動桿361に対応した位置に平面矩形状の小さな開口部362が設けられている。作動桿361は、原稿押さえカバー32の開閉動作に伴って画像読取装置3の筐体31の上面に対して出没自在となるように配置されている。なお、位置検出手段は、原稿押さえカバー32が、閉鎖位置と半閉じ位置とに移動したことを検出可能な手段であれば、作動桿を有しない他の構成を採用したものであっても良い。
【0066】
作動桿361は、
図6(a)に示されるように、平面矩形状の開口部362に対応した四角柱状に形成されている。作動桿361は、上下方向に沿って延在する本体部362と、本体部362の中間に設けられた規制部363と、本体部362の下方に上下に設けられた第1及び第2の被検知部364,365とを有する。作動桿361は、コイルスプリング等からなる弾性部材366によって開口部362から突出する方向(上方)に向けて弾性力が付与されている。また、作動桿361は、規制部363が開口部の裏面に当接することにより開口部362から抜けることが防止されている。本体部362の上端には、側面形状が逆V字状に形成された先端部367が設けられている。作動桿361の先端部367は、
図3に示されるように、原稿押さえカバー32が開放位置から閉鎖位置に移動する際に、原稿押さえカバー32の下面に形成された凹部368に接触自在となっている。
【0067】
作動桿361の一側には、
図6(b)に示されるように、第1及び第2の被検知部364,365によって当該作動桿361の上下方向の位置を検知する第1及び第2の位置センサ370,371が、作動桿361に対応した画像読取装置3の筐体31の内部の所要位置に固定した状態で配置されている。第1及び第2の被検知部364,365は、平板状に形成されている。また、第1及び第2の位置センサ370,371は、互いに対向するように配置された発光部370a,371aと受光部370b,371bとを有している。
【0068】
第1の位置センサ370は、作動桿361の第1及び第2の被検知部364,365の有無を、発光部370aと受光部360bとの間の第1の検出位置P1において検出可能に構成されている。第1の位置センサ370の下方には、第2の位置センサ371が所要の距離だけ離れて配置されている。第2の位置センサ370は、作動桿361の第1及び第2の被検知部364,365の有無を、発光部371aと受光部371bとの間の第2の検出位置P2において検出可能に構成されている。
【0069】
第1の検出位置P1は、原稿押さえカバー32の開放位置と閉鎖位置との中間に設定された半閉じ位置に対応した位置に設定されている。また、第2の検出位置P2は、原稿押さえカバー32の閉鎖位置に対応した位置に設定されている。
【0070】
開閉センサ360は、
図7(a)に示される突出位置において、第1の被検知部364の下端364aが第1の検出位置P1よりも上方に位置し、且つ、
図7(b)に示される原稿押さえカバー32が半閉じ位置に移動した場合に、下端364aが第1の検出位置P1に位置するように上下方向の長さが設定されている。また、作動桿361は、
図7(e)に示されるように、原稿押さえカバー32が閉鎖位置に移動した場合に、第1の被検知部365の上端365bが第1の検出位置P2に位置するように上下方向の長さが設定されている。
【0071】
また、開閉センサ360は、
図7(c)に示されるように、半閉じ位置よりも下方の第1の中間位置において、第2の被検知部365の下端365aが第2の検出位置P2に位置し、且つ、
図7(d)に示される閉鎖位置よりも上方の第2の中間位置において、第1の被検知部364の上端364bが第1の検出位置P1に位置する。
【0072】
すなわち、実施の形態1では、第1の位置センサ370は、原稿押さえカバー32が開放位置から半閉じ位置に移動する場合に作動桿361の有無の検出結果が切り替わる第1の検出位置P1に配置されている。また、実施の形態1では、第2の位置センサ371は、原稿押さえカバー32が半閉じ位置から閉鎖位置に移動する場合に作動桿361の有無の検出結果が切り替わる第2の検出位置P2に配置されている。
【0073】
原稿押さえカバー32は、
図3及び
図4に示されるように、ヒンジ部材341,342を介して画像読取装置3の筐体31に開閉自在に取り付けられている。ヒンジ部材341,342は、画像読取装置3の筐体31の上壁312における背面側(使用者が操作時に向き合う側面と反対側)の左右両端部にそれぞれ配置されている。
【0074】
ヒンジ部材341,342は、
図8に示されるように、大別して、画像読取装置3の筐体31の上壁312に取り付けられる第1のブラケット343と、原稿押さえカバー32側に取り付けられる第2のブラケット344と、第1のブラケット343と第2のブラケット344を回動自在に連結する回動軸345と、原稿押さえカバー32の開閉角度に応じて開閉に必要とする力(開閉力)を調節する開閉力調節機構346とにより主に構成されている。
【0075】
第1のブラケット343は、底板343aと、底板343aの両側に起立した状態で設けられた左右の側板343b,343cとを有している。第1のブラケット343の底板343aは、画像読取装置3の筐体31にボルト347により取り付けられている。また、左右の側板343b,343cの間には、回動軸345が第2のブラケット344にまでわたり貫通した状態で設けられているとともに、ピン348が掛け渡されている。
【0076】
一方、第2のブラケット344は、原稿押さえカバー32に取り付けられる取付部材350と、取付部材350の内部に配置されて開閉力調節機構346を支持する支持部材351とを備えている。取付部材350は、下端面が開口された断面矩形状に形成されている。また、取付部材350の下端部には、原稿押さえカバー32に取り付けるための取付部352,353が外側に向けて平板状に設けられている。支持部材351は、下端面が一部開口した断面矩形の枠体状に形成されている。支持部材351は、2本のピン354,355及びネジ356によって取付部材350の内部に固定した状態で取り付けられている。
【0077】
開閉力調節機構346は、支持部材351の内部に圧縮されて配置されたコイルバネ357と、コイルバネ357の一端部が固定された固定板358と、コイルバネ357の他端部が連結され、支持部材351の内部に摺動自在に配置された断面略L字形状の摺動部材359とを有している。また、摺動部材359の外側面は、コイルバネ357の弾性力により第1のブラケット343のピン348に圧接されている。
【0078】
原稿押さえカバー32は、比較的重量が大きい自動原稿搬送装置33を一体的に備えている。そのため、ヒンジ部材341,342には、開閉力調節機構346を設けることにより、原稿押さえカバー32の開閉操作を容易にするとともに、原稿押さえカバー32の重量にかかわらず開放位置を維持して、原稿押さえカバー32を開放した際の不本意な自重落下を防止したり、原稿押さえカバー32を閉じる際の自重による落下衝撃を低減させている。
【0079】
開閉力調節機構346は、
図8に示されるように、第1のブラケット343のピン348にコイルバネ357の弾性力により圧接される摺動部材359を有している。第1のブラケット343のピン348は、回動軸345よりも
図8中下方に変位した位置に設けられており、コイルバネ357の弾性力により摺動部材359が圧接されることで、原稿押さえカバー32に対して回動軸345を中心にした回転力(モーメント)を作用させている。この開閉力調節機構346が原稿押さえカバー32に作用する回転力(モーメント)は、原稿押さえカバー32の開閉角度によって変化するように、摺動部材359の端面の形状やピン348の配置等が設定されている。
【0080】
原稿押さえカバー32に作用する回転力(モーメント)は、原稿押さえカバー32の角度によって決まり、開放位置への移動時と閉鎖位置への移動時とで等しい。原稿押さえカバー32は、開閉力調節機構346の回転力(モーメント)を超える力をユーザが開放方向あるいは閉鎖方向に作用さることによって開閉される。
【0081】
この実施の形態では、
図9に示されるように、原稿押さえカバー32の角度に対して原稿押さえカバー32に作用する方向(閉鎖方向)の閉じ力が変化するように開閉力調節機構346が設定されている。尚、原稿押さえカバー32に作用する閉じ力は、開放する方向の力と等しい。原稿押さえカバー32に開閉力調節機構346によって作用する閉鎖する方向の閉じ力(閉鎖力)は、
図9に示されるように、原稿押さえカバー32が開放された状態において一定の値を示し、開放状態を維持する。その後、ユーザが原稿押さえカバー32を閉鎖する方向に回動すると、原稿押さえカバー32に作用する閉鎖力は、原稿押さえカバー32の角度に対して一定の緩やかな勾配で低下する。続いて、ユーザが原稿押さえカバー32を更に閉鎖する方向に回動すると、原稿押さえカバー32に作用する閉鎖力は、原稿押さえカバー32の角度が予め設定された変曲角度に達すると勾配が変化する。原稿押さえカバー32の角度が変曲角度を超えると、原稿押さえカバー32に作用する閉鎖力は、勾配が急峻となり、原稿押さえカバー32の角度に対する閉鎖力が急激に増大する。
【0082】
ところで、この実施の形態では、原稿押さえカバー32の半閉じ位置が、原稿押さえカバー32に作用する閉鎖力の勾配が急峻となる変曲角度より小さい角度に設定されている。原稿押さえカバー32の変曲角度は、
図10に示されるように、自動原稿搬送装置33を含む原稿押さえカバー32の重量に応じて直線状に変化する。
【0083】
そこで、この実施の形態では、原稿押さえカバー32の半閉じ位置が、原稿押さえカバー32の変曲角度より小さい角度であって、且つ比較的変曲角度に近い角度に設定されている。また、原稿押さえカバー32の半閉じ位置は、原稿センサ
330が外光の影響を受けやすい外光浸入角度以下に設定するのが望ましい。原稿押さえカバー32の半閉じ位置は、原稿押さえカバー32の角度が10〜15°程度となるように設定される。この実施の形態では、原稿押さえカバー32の半閉じ位置の角度が13.5度に設定されている。
【0084】
図11は原稿押さえカバー32の位置と外光との関係を示す説明図である。
図11(a)は原稿押さえカバー32の位置の説明図、
図11(b)は原稿押さえカバー32が開放位置に移動した場合の説明図、
図11(c)は原稿押さえカバー32が半閉じ位置に移動した場合の説明図、
図11(d)は原稿押さえカバー32が閉鎖位置に移動した場合の説明図である。
【0085】
原稿押さえカバー32は、
図11(a)に実線で示す開放位置から
図11(a)に破線で示す閉鎖位置に移動する際に、
図11(a)に一点鎖線で示す半閉じ位置を通過する。半閉じ位置は、原稿押さえカバー32が原稿センサ330に入射する外光を遮断し且つ押さえ板321が原稿センサ330によって検出不能な位置に設定されている。
【0086】
原稿センサ330は、
図5に示されるように、上述した如く発光部331と受光部332とを有しており、受光部332が受光した光に基づいて原稿6を検出可能に構成されている。具体的には、原稿台83上の検出位置P3に原稿6が支持されている場合、発光部331が発した光が検出位置P3の原稿6で反射されて受光部332に受光される。ここで、原稿6は一般的に白地であり光の反射率が高く、受光部332に受光される光の量が多い。したがって、原稿センサ330は、受光部332で受光した光量が予め設定された光量よりも多い場合に、原稿台83上の検出位置P3に、白地の原稿6が支持されているものとして原稿6の副走査方向に沿ったサイズを検出可能に構成されている。
【0087】
図12は、画像形成装置1及び画像読取装置3の動作を制御する制御装置を示している。
【0088】
図12において、制御装置100は、画像形成装置1の画像形成動作及び画像読取装置3の画像読取動作を統括して制御するCPU101を有しており、CPU101は、ROM102に記憶されたプログラムやRAM103に記憶されたパラメータ等を参照しつつ画像形成動作や画像読取動作を制御する。
【0089】
符号90は画像読取装置3の画像読取素子を示し、画像読取素子90から出力される画像データは、図示が省略されている画像処理装置を介してCPU101に入力されている。
【0090】
また、符号330は画像読取装置3に設けられた原稿センサを、符号360は画像読取装置3に設けられた原稿押さえカバー32の開閉センサをそれぞれ示している。
【0091】
符号2は画像形成装置1の画像形成部を、符号3はCPU101によって制御される画像読取装置をそれぞれ模式的に示している。
【0092】
符号81,82は画像読取装置3において、第1の読取モード時に原稿収容部70に収容された原稿6のサイズを検知する第1及び第2のサイズ検知センサをそれぞれ示している。
【0093】
<画像読取装置の動作>
この実施の形態1に係る画像読取装置3では、第2の読取モードにおいて、次のようにして原稿台53上に配置された原稿6のサイズが検知される。
【0094】
制御装置100のCPU101は、第1及び第2のサイズ検知センサ81,82の少なくともいずれか一方が原稿6有りを検知すると、第1の読取モードが選択されたと判定する。
【0095】
一方、CPU101は、第1及び第2のサイズ検知センサ81,82の双方が原稿6無しを検知し、画像読取装置3の開閉センサ360が原稿押さえカバー32の開閉を検知すると、第2の読取モードが選択されたと判定する。CPU101は、
図13に示されるように、開閉センサ360の第1及び第2の位置センサ370,371のいずれもがOFFである場合、
図3又は
図4に示されるように、原稿押さえカバー32が開放位置か閉鎖位置に位置していると判定する。また、CPU101は、開閉センサ360の第1及び第2の位置センサ370,371の出力変化に基づいて、原稿押さえカバー32が閉鎖位置から開放位置に移動したか、開放位置から閉鎖位置に移動したかを併せて判定する。
【0096】
CPU101は、原稿押さえカバー32が開放位置に位置した後、開放位置から閉鎖位置に移動したと判定すると、画像読取素子90の検出結果及び原稿センサ330の検知結果を異なるタイミングで取得する。また、CPU101は、画像読取素子90の検出結果及び原稿センサ330の検知結果を常時モニターしており、当該画像読取素子90及び原稿センサ330の検知結果を異なる時期(タイミング)で取得する。
【0097】
更に説明すると、CPU101は、
図14に示されるように、開閉センサ360の第1及び第2の位置センサ370,371の出力変化に基づいて、原稿押さえカバー32の半閉じ位置を検知したか否かを判定する(ステップ101)。CPU101は、原稿押さえカバー32の半閉じ位置を検知すると、原稿センサ330の出力レベルを取得する(ステップ102)。ここで、原稿押さえカバー32の半閉じ位置は、
図9に示されるように、原稿押さえカバー32に作用する閉鎖力の勾配が急峻となる変曲角度より小さい角度に設定されている。
【0098】
次に、CPU101は、内蔵する図示しないソフトウェアタイマーに予め定められたセンサ待ち時間をセットし(ステップ103)、待ち時間が経過したか否かを判定する(ステップ104)。センサ待ち時間は、RAM103の1つであるNVRAMに予め定められた値が記憶されている。NVRAMに記憶されたセンサ待ち時間は、サービスエンジニア等がコントロールパネル66を適宜操作することにより書き替え可能となっている。
【0099】
CPU101は、待ち時間が経過したと判定すると、光源85をオンにする(ステップ105)。それに先立ち、画像読取装置3の第1及び第2の移動体92,94は、待機位置に移動する。待ち時間は、
図15に示されるように、原稿押さえカバー32の半閉じ検知後から閉鎖位置までの間の画像読取素子90が原稿押さえ板321を検出不能なタイミングとなるように設定されている。
【0100】
CPU101は、待ち時間が経過したと判定すると、光源85をオンにすると同時に(ステップ105)、画像読取素子90によって読み取られた原稿6の出力を検出する(ステップ106)。その後、CPU101は、光源85をオフにし(ステップ107)、原稿6のサイズを判定し、当該処理を終了する。
【0101】
CPU101は、
図16に示されるように、半閉じ位置において原稿センサ330の受光部332によって検出された光量が予め設定された閾値以上である場合、原稿6有りと検出する。また、CPU101は、半閉じ位置において原稿センサ330の受光部332によって検出された光量が予め設定された閾値未満である場合、原稿6無し又は黒色の原稿6有りと検出する。さらに、CPU101は、閉鎖位置において原稿センサ330の受光部332によって検出された光量が予め設定された閾値未満である場合、黒色の原稿6有りと検出し、原稿センサ330の受光部332によって検出された光量が予め設定された閾値以上である場合、原稿6無しと検出する。
【0102】
更に、CPU101は、
図17に示されるように、画像読取素子90の読取結果及び原稿センサ330の上述した検出結果に基づいて、原稿6のサイズを判定する。CPU101は、画像読取素子90の読取結果に基づいて原稿台83上に載置された原稿6の前端の位置、つまり原稿6の主走査方向に沿ったサイズを判定する。この原稿6の前端の位置は、原稿6の主走査方向に沿ったサイズの値そのものを示している。また、CPU101は、原稿センサ330の上述した検出結果に基づいて、原稿センサ330の副走査方向に沿った距離L2における原稿6の有無を判定する。
【0103】
その結果、CPU101は、原稿押さえカバー32の半閉じ位置における原稿センサ330の検出結果、及び原稿押さえカバー32の半閉じ位置を検知してから所要時間が経過した後の画像読取素子90の読取結果に基づいて、画像読取素子90の読取結果が182mmであり、原稿センサ330の検出結果が原稿無しの場合には、原稿6のサイズがB6サイズのタテであると判定し、原稿センサ330の検出結果が原稿有りの場合には、原稿6のサイズがB5サイズのヨコであると判定する。同様に、CPU101は、画像読取素子90の読取結果が210mmであり、原稿センサ330の検出結果が原稿無しの場合には、原稿6のサイズがA5サイズのタテであると判定し、原稿センサ330の検出結果が原稿有りの場合には、原稿6のサイズがA4サイズのヨコであると判定する。
【0104】
また、この実施の形態では、原稿押さえカバー32の半閉じ位置が、原稿押さえカバー32に作用する閉鎖力の勾配が急峻となる変曲角度より小さい角度に設定されている。その結果、ユーザは、原稿台83上に原稿6を載置した後、原稿押さえカバー32を閉じる操作を行う際、原稿押さえカバー32が半閉じ位置を通過すると、原稿押さえカバー32に作用する閉鎖力の勾配が急峻となるため、ユーザによって原稿押さえカバー32を閉じる操作の途中で原稿押さえカバー32が開かれたり、原稿押さえカバー32が半閉じ位置を通過した後に閉鎖位置に至るまでの時間が不本意に長くなる事態を回避乃至抑制することができる。
【0105】
したがって、原稿押さえカバー32の半閉じ位置を原稿押さえカバー32に作用する閉鎖力の勾配が急峻となる変曲角度以上に設定した場合に比較して、ユーザによって原稿押さえカバー32を閉じる操作の途中で原稿押さえカバー32が開かれたり、原稿押さえカバー32が半閉じ位置を通過した後に閉鎖位置に至るまでの時間が不本意に長くなることがなく、原稿6のサイズを誤検出することが回避又は低減される。また、原稿押さえカバー32の半閉じ位置を原稿押さえカバー32に作用する閉鎖力の勾配が急峻となる変曲角度以上に設定した場合に比較して、原稿センサ330が原稿6のサイズを検出する際に、原稿押さえカバー32の角度が外光が入る角度になっている可能性が低減される。
【0106】
なお、前記実施の形態においては、画像形成装置の一例としての複写機について説明したが、これに限定されるものではなく、FAX、あるいは、FAXや、プリンタ、複写機などの複数の機能を備えた複合機等に適用可能である。画像形成装置は、多色現像の画像形成装置に限定されず、単色、いわゆるモノクロの画像形成装置により構成することも可能である。また、前記実施の形態において、画像読取装置を複写機に適用した場合について説明したが、これに限定されず、この発明は、自動原稿搬送装置が省略された構成や、画像読取装置単体の構成にも適用可能である。