(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施するための形態を、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、本実施形態では、本発明と直接的に関連しない構成や周知な構成については、説明を省略する場合がある。なお、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0013】
≪実施形態に係るコールセンタシステムの構成について≫
図1を参照して、実施形態に係るコールセンタシステムSの構成について説明する。
図1は、実施形態に係るコールセンタシステムSの構成図である。
コールセンタシステムSは、顧客への電話対応業務を行うためのシステムであり、顧客により操作される通話端末100と、顧客への電話対応業務が行われるコールセンタ120とからなる。通話端末100とコールセンタ120とは、公衆網110およびIP(Internet Protocol)網112を介して接続されている。公衆網110は、通話端末100とコールセンタ120とを繋ぐ音声網であり、また、IP網112は、通話端末100とコールセンタ120とを繋ぐ通信網である。
【0014】
通話端末100(第1通信装置)は、顧客が通話を行う端末であり、例えば、固定型電話機や携帯型電話機である。通話端末100は、通信部101を備え、この通信部101は公衆網110およびIP(Internet Protocol)網112を介してコールセンタ120内のコールサーバ130やオペレータ端末140とデータ通信や通話を行う。通話端末100は、公衆網またはIP網のどちらから発信してもよく、1又は複数の通話端末100が存在していればよい。
【0015】
コールセンタ120は、通話端末100からの着信の受付と応答を行う装置である。コールセンタ120と公衆網110とは、公衆網ゲートウェイサーバ111を介して接続されている。また、コールセンタ120とIP網112とは、IP網ゲートウェイサーバ113を介して接続されている。公衆網ゲートウェイサーバ111およびIP網ゲートウェイサーバ113は、通話データや呼制御手順を中継する処理を行う装置である。
【0016】
コールセンタ120には、公衆網ゲートウェイサーバ111およびIP網ゲートウェイサーバ113の他に、呼を適切なオペレータ端末150に振り分ける処理を行うコールサーバ130と、呼の振り分け処理に用いられる情報が格納される制御データベース140と、電話対応業務を行うオペレータが操作するオペレータ端末150と、オペレータを管理する管理者が操作する管理者端末160とが設置される。コールセンタ120内には、複数のオペレータ端末150および管理者端末160が設置されていてもよい。これらの装置は、例えば、LAN(Local Area Network)などのネットワーク121を用いて互いが通信可能に接続されている。
【0017】
制御データベース140には、オペレータ情報テーブル141と、呼情報テーブル142とが格納されている。オペレータ情報テーブル141および呼情報テーブル142のデータ構成を
図2に示す。
図2(a)はオペレータ情報テーブル141のデータ構成図の例示であり、
図2(b)は呼情報テーブル142のデータ構成図の例示である。
【0018】
図2(a)に示すオペレータ情報テーブル141は、例えば、オペレータIDと、稼働時間と、着信対応回数と、実着信順位と、修正着信順位とからなる。
オペレータID(identification)は、コールセンタ120に配属される各オペレータを一意に識別する情報である。オペレータIDは、例えば、英字、数字、片仮名、平仮名、またはこれらの組み合わせで構成される。オペレータは、オペレータIDを用いてコールサーバ130にログインすることで電話対応業務を開始する。
【0019】
稼働時間は、例えば、その日の業務時間の中でオペレータがログオンした合計時間である。つまり、稼働時間は、顧客からの通話を待っている待ち時間、顧客と通話を行っている通話時間、および顧客と通話を行った後の後処理(ACW:After Call Work)を行う後処理時間の合計時間である。後処理とは、顧客とオペレータとの通話が終わった後、オペレータにより対応履歴の投入や帳票起票などの顧客との通話を完結させるために必要となる通話終了後に実施される処理のことである。ここで、後処理は、他の言い方として、ワークタイムとも言う。
【0020】
着信対応回数は、稼働時間内にオペレータが着信対応した呼の回数である。
図2では、オペレータαは、2時間の稼働時間内に20回の着信対応をしたことを示す。また、オペレータβは、2時間の稼働時間内に40回の着信対応をしたことを示す。また、オペレータγは、1時間の稼働時間内に20回の着信対応をしたことを示す。また、オペレータδは、1時間の稼働時間内に5回の着信対応をしたことを示す。また、オペレータεは、1時間の稼働時間内に3回の着信対応をしたことを示す。
【0021】
実着信順位(第1接続順位情報)は、以下の計算式(1)で表される「平均着信対応回数」をランク付けした値である。ここでの平均着信対応回数は、オペレータが着信対応した呼の回数を単位時間で平均した値である。この実着信順位は、単位時間あたりに着信対応した呼の回数が多いオペレータの順位は高く(数字が小さく)設定されており、着信対応した呼の回数が少なくなるにつれて順位は低く(数字が大きく)なっている。
【0023】
修正着信順位(第2接続順位情報)は、管理者端末160から管理者によって修正が行われた実着信順位である。つまり、修正着信順位は、管理者が目標とする各オペレータの「平均着信対応回数」をランク付けした値である。修正着信順位の設定方法については、後記する。
ここでは、管理者によって、オペレータαには、実着信順位「3位」に対して修正着信順位「4位」が設定されている。また、オペレータβには、実着信順位「1位」に対して修正着信順位「2位」が設定されている。また、オペレータγには、実着信順位「2位」に対して修正着信順位「1位」が設定されている。また、オペレータδには、実着信順位「4位」に対して修正着信順位「3位」が設定されている。また、オペレータεには、実着信順位「5位」に対して修正着信順位「5位」が設定されている。
【0024】
これは、現時点では「オペレータβ」、「オペレータγ」、「オペレータα」、「オペレータδ」、「オペレータε」の順番に平均着信対応回数が高いが、管理者は平均着信対応回数の順番を「オペレータγ」、「オペレータβ」、「オペレータδ」、「オペレータα」、「オペレータε」に変更したいことを意味している。
【0025】
なお、以下では、実着信順位と修正着信順位とに差異があるオペレータのこと、すなわち、管理者によって実着信順位と異なる修正着信順位が設定されているオペレータのことを「特定オペレータ」と称する。ここでの特定オペレータは、「オペレータα」、「オペレータβ」、「オペレータγ」、「オペレータδ」である。
また、特定オペレータの中で、現在よりも平均着信対応回数を増やしたいと管理者が考えるオペレータを特に「順位上方修正の特定オペレータ」と称する。一方、特定オペレータの中で、現在よりも平均着信対応回数を減らしたいと管理者が考えるオペレータを特に「順位下方修正の特定オペレータ」と称する。ここでの順位上方修正の特定オペレータは、実着信順位よりも修正着信順位の高いオペレータγ,δであり、一方、順位下方修正の特定オペレータは、実着信順位よりも修正着信順位の高いオペレータα,βである。
【0026】
図2(b)に示す呼情報テーブル142は、例えば、着信日時と、電話番号と、予測待ち時間とからなる。
着信日時は、通話端末100から着信を受け付けた日時であり、例えば、年月日(西暦)および時刻(時、分、秒)などで構成される。電話番号は、通話端末100を識別する情報である。予測待ち時間は、以下の計算式(2)で表され、着信呼の待ち時間の推定値である。
【0028】
図1に示すオペレータ端末150(第2通信装置)は、顧客への電話対応業務を行うオペレータにより操作される端末である。オペレータ端末150は、例えば、公衆電話機やIP電話機とPCとを組み合わせたものや、通話機能を持たせたPC(Personal Computer)にヘッドセットが接続されたものであってよい。オペレータ端末150は、通信部151と、表示部152と、操作部153とを備えて構成されている。通信部151は、コールサーバ130と通信を行うものである。表示部152は、オペレータに対してテロップなどの表示を行うものである。操作部153は、電話対応業務に関する情報を入力するものである。なお、表示部152と操作部153とは、タッチディスプレイのようにひとつの装置として構成されていてもよい。
【0029】
オペレータ端末150の表示部152に表示されるオペレータ画面500を
図3に例示する。オペレータ画面500は、例えば、着信順位表示領域510と、データ入力領域520と、作業情報表示領域530とを備えて構成されている。
着信順位表示領域510には、ログインしているオペレータの実着信順位と修正着信順位とが表示されている。データ入力領域520には、電話対応業務に関する情報を入力するボタンが表示されている。ここでは、データ入力領域520は、応答ボタン521と、後処理解除ボタン522と、離席ボタン523とからなる。
【0030】
応答ボタン521は、顧客からの電話に応答する場合にオペレータによって選択されるものであり、選択されると通話が開始される。後処理解除ボタン522は、顧客とオペレータとの通話が終わった後の後処理状態を解除する場合にオペレータによって選択されるものであり、選択されると後処理状態が解除される。後処理状態へは、例えば、顧客との通話が終了した時点で自動に移行する。離席ボタン523は、オペレータがオペレータ端末150から離れる場合に選択されるものであり、選択されるとその情報がコールサーバ130に通知される。
作業情報表示領域530には、オペレータが行っている処理に関する情報が表示され、例えば、オペレータに対するテロップや顧客と通話している場合には顧客の情報が表示される。
【0031】
図1に示す管理者端末160(第3通信装置)は、オペレータの電話対応業務を管理する管理者により操作される端末である。管理者端末160は、オペレータ端末150と同様に、例えば、公衆電話機やIP電話機とPCとを組み合わせたものや、通話機能を持たせたPCにヘッドセットが接続されたものであってよい。管理者端末160は、通信部161と、表示部162と、操作部163とを備えて構成されている。通信部161は、コールサーバ130と通信を行うものである。表示部162は、オペレータの着信順位を表示するものである。操作部163は、オペレータの着信順位を操作するものである。なお、表示部162と操作部163とは、タッチディスプレイのようにひとつの装置として構成されていてもよい。
【0032】
管理者端末160の表示部162に表示される管理者画面600を
図4に例示する。管理者画面600は、例えば、オペレータ情報表示領域610と、修正着信順位入力テキストボックス620と、登録ボタン631と、中止ボタン632とを備えて構成されている。
オペレータ情報表示領域610には、オペレータIDと、実着信順位とが対応付けて表示されている。
【0033】
修正着信順位入力テキストボックス620には、管理者によって修正着信順位が入力される。なお、修正着信順位入力テキストボックス620には、初期状態として、実着信順位と同じ値が既に入力されていて、管理者が変更する部分の修正着信順位のみを入力するようにしてもよい。
登録ボタン631は、修正着信順位入力テキストボックス620に入力された修正着信順位を確定する場合に選択されるものであり、選択されると入力された情報でオペレータ情報テーブル141(
図2(a))が更新される。中止ボタン632は、修正着信順位入力テキストボックス620に入力された修正着信順位を確定しない場合に選択されるものである。
【0034】
図1に示すコールサーバ130(通信制御装置)は、呼を適切なオペレータ端末150に振り分ける処理を行う。コールサーバ130は、通信処理部131と、呼制御処理部132とを備え、呼制御処理部132はさらに順位接続部134と、ACD接続部135とからなる。通信処理部131および呼制御処理部132は、例えば、CPU(Central Processing Unit)によるプログラム実行処理や、専用回路等により実現される。プログラム実行処理により実現する場合、コールサーバ130には、通信処理部131および呼制御処理部132を実現するためのプログラムが格納される。
【0035】
通信処理部131は、通話端末100との間で情報通信を行う。
呼制御処理部132は、着信数順位やACD(Automatic Call Distributor)を用いて呼の振り分けを行う。順位接続部134は、通話端末100からのコールセンタ着信時に、実着信順位および修正着信順位に基づいたオペレータの割り振りを行う。ACD接続部135は、通話端末100からのコールセンタ着信時に、ACD接続処理に基づいたオペレータの割り振りを行う。
【0036】
図5を参照して、順位接続部134が有する機能についてさらに説明する。順位接続部134は、接続順位情報生成処理部134aと、選択処理部134bと、順位上方修正接続処理部134c(第1,2,4,5接続処理部)と、順位下方修正接続処理部134d(第3接続処理部)と、送受信処理部134e(受信処理部)とからなる。ここでは、その概略のみを説明し、詳細な処理の内容はコールセンタシステムの動作で説明を行う。
【0037】
接続順位情報生成処理部134aは、オペレータの実着信順位(第1接続順位情報)の計算を行う。また、接続順位情報生成処理部134aは、管理者によって設定される修正着信順位(第2接続順位情報)を制御データベース140のオペレータ情報テーブル141への反映を行う。
選択処理部134bは、実着信順位と修正着信順位とに差異があるか否かを判定し、順位に差異がある場合に、そのことを順位上方修正接続処理部134cや順位下方修正接続処理部134dに通知する。
【0038】
順位上方修正接続処理部134cは、順位上方修正の特定オペレータの処理を行う。順位上方修正の特定オペレータは、現在よりも平均着信対応回数を増やしたいと管理者が考えるオペレータであり、具体的には実着信順位よりも修正着信順位が高いオペレータである。
順位下方修正接続処理部134dは、順位下方修正の特定オペレータの処理を行う。順位下方修正の特定オペレータは、現在よりも平均着信対応回数を減らしたいと管理者が考えるオペレータであり、具体的には実着信順位よりも修正着信順位が低いオペレータである。
送受信処理部134eは、修正着信順位を有する信号を管理者端末160から受信する。また、送受信処理部134eは、修正着信順位を有する信号をオペレータ端末150に送信する。
【0039】
≪実施形態に係るコールセンタシステムの動作について≫
図6を参照して、コールセンタシステムSの呼受付時の処理について説明する。
図6は、呼受付時のコールセンタシステムSの処理を示すフローチャートである。
まず、通話端末100からコールセンタ120に発信があると、通話端末100の通信部101とコールサーバ130の通信処理部131とがコンタクト(通信接続を開始)を開始する(ステップS201)。次に、コールサーバ130が通話端末100の予測待ち時間を計算する(ステップS202)。その際の計算式は、前記説明した計算式2の予測待ち時間計算式が用いられる。
【0040】
続いて、順位接続部134の接続順位情報生成処理部134aは、オペレータの実着信順位(第1接続順位情報)を計算する(ステップS203)。この実着信順位は、前記説明した計算式1の平均着信対応回数をランク付けすることで得られる。次に、順位接続部134の選択処理部134bは、実着信順位と修正着信順位(第2接続順位情報)とに差異があるかを判定する(ステップS204)。この判定は、管理者によって修正着信順位が設定されているかの確認であり、
図2(a)では、オペレータα,β,γ,δに実着信順位と異なる修正着信順位が設定されているのでステップS204で“Yes”と判定される。
【0041】
実着信順位と修正着信順位とに差異がない場合(ステップS204で“No”)に、コールサーバ130のACD接続部135は、接続処理を開始する(ステップS241)。一方、実着信順位と修正着信順位とに差異がある場合(ステップS204で“Yes”)に、順位接続部134の順位上方修正接続処理部134c(第1接続処理部)は、特定オペレータへの接続により順位の差異が縮まるかを判定する(ステップS205)。つまり、この判定は、特定オペレータを優先接続して着信対応回数の増分を期待することで、実着信順位と修正着信順位の差異が縮まるかどうかの確認であり、例えば、
図2(a)における順位上方修正の特定オペレータγ,δがステップS205で“Yes”と判定される。
【0042】
特定オペレータの接続により順位の差異が縮まる場合(ステップS205で“Yes”)に、順位接続部134の順位上方修正接続処理部134c(第1接続処理部)は、差異が縮まる特定オペレータを接続先に指定する(ステップS207)。その際に、指定する特定オペレータは、複数であってもよい。特定オペレータが複数存在する場合に、例えば、すべての特定オペレータについて並列に処理が行われてもよいし、修正着信順位の高いオペレータや実着信順位と修正着信順位の差が大きいオペレータから順番に処理が行われてもよい。その後、順位上方修正接続処理部134cは、ステップS201で接続を開始した呼の待ち時間が予測待ち時間以上、かつ特定オペレータが後処理中であるかどうかを判定する(ステップS208)。
【0043】
呼の待ち時間が予測待ち時間以下または特定オペレータが後処理状態以外の場合(ステップS208で“No”)に、順位上方修正接続処理部134c(第2接続処理部)は、オペレータが接続可能かどうかを判定する(ステップS221)。オペレータが接続可能である場合(ステップS221で“Yes”)に、通話端末100から着信した呼を接続可能であると判定されたオペレータが操作するオペレータ端末150に接続し、顧客とオペレータとの通話を開始する(ステップS211)。
一方、オペレータが接続可能でない場合(ステップS221で“No”)に、順位接続部134の順位上方修正接続処理部134c(第5接続処理部)は、オペレータ端末150の表示部152にテロップを出し、オペレータがオペレータ状態をオペレータ接続可能状態に変更することを促す(ステップS222)。
【0044】
接続を開始した呼の待ち時間が予測待ち時間以上、かつ特定オペレータが後処理中である場合(ステップS208で“Yes”)に、順位接続部134の順位上方修正接続処理部134c(第4接続処理部)は、オペレータ端末150に後処理解除要求を出す(ステップS209)。その後、順位上方修正接続処理部134cは、オペレータがオペレータ端末150上で後処理状態を解除したかどうか判定する(ステップS210)。順位上方修正接続処理部134cは、オペレータがオペレータ端末150上で後処理状態を解除した場合(ステップS210で“Yes”)に、通話端末100から着信した呼を、後処理状態を解除したオペレータが操作するオペレータ端末150に接続し、顧客とオペレータとの通話を開始する(ステップS211)。一方、一定時間を過ぎてもオペレータがオペレータ端末上で後処理状態を解除しなかった場合(ステップS210で“No”)に、ACD接続部135がACD接続処理を開始する(ステップS241)。
【0045】
ステップS205で特定オペレータ接続により順位の差異が縮まらない場合(ステップS205で“No”)に、順位接続部134の順位下方修正接続処理部134d(第3接続処理部)は、特定オペレータの非接続により順位の差異が縮まるかを判定する(ステップS231)。つまり、この判定は、特定オペレータをACD接続処理から外すことで着信対応回数の増分が増えないことにより、実着信順位と修正着信順位の差異が縮まるかどうかの確認であり、例えば、
図2(a)における順位下方修正の特定オペレータα,βがステップS231で“Yes”と判定される。その際に特定するオペレータは複数であってもよい。
【0046】
特定オペレータの非接続により順位の差異が縮まる場合(ステップS231で“Yes”)に、順位下方修正接続処理部134d(第3接続処理部)は、この呼に対して差異が縮まると特定された特定オペレータをACD接続処理から外し(ステップS232)、そして、ACD接続部135はACD接続処理を開始する(ステップS241)。一方、特定オペレータの非接続により順位の差異が縮まらない場合(ステップS231で“No”)に、ACD接続部135はACD接続処理を開始する(ステップS241)。
【0047】
図7を参照して、コールセンタシステムSの修正着信順位の変更処理について説明する。
図7は、管理者端末160での修正着信順位の変更処理を示すフローチャートである。
まず、順位接続部134の接続順位情報生成処理部134aは、オペレータの実着信順位を計算する(ステップS301)。次に、接続順位情報生成処理部134aは、修正着信順位が管理者によって設定済みか否かを判定する(ステップS302)。修正着信順位が設定済みでない場合(ステップS302で“No”)に、接続順位情報生成処理部134aは、実着信順位を元に修正着信順位を設定する(ステップS311)。ステップS311での処理は、コールセンタシステムSが起動してから初めて修正着信順位の変更処理を行う場合を想定しており、接続順位情報生成処理部134aは、例えば、実着信順位と同じ順位を修正着信順位として設定する。
【0048】
続いて、順位接続部134の接続順位情報生成処理部134aは、管理者端末160の表示部162に実着信順位と修正着信順位を表示する(ステップS303)。ここでの修正着信順位は、前回の修正処理で設定されたものか、またはステップS311で設定されたものである。管理者は、管理者端末160上で実着信順位と修正着信順位を元に、修正着信順位を操作(修正)する(ステップS304)。
【0049】
次に、順位接続部134の接続順位情報生成処理部134aは、修正着信順位を変更したか否かを判定する(ステップS305)。この判定は、例えば、送受信処理部134eが修正着信順位を有する信号を管理者端末160から受信したか否かによってなされる。修正着信順位が変更されている場合(ステップS305で“Yes”)に、接続順位情報生成処理部134aは、オペレータ端末150に修正着信順位を通知する(ステップS306)。この通知は、例えば、送受信処理部134eが修正着信順位を有する信号をオペレータ端末150に送信することにより行われる。これによって、オペレータ端末150の表示部152には、変更後の修正着信順位が表示される。また、接続順位情報生成処理部134aは、制御データベース140のオペレータ情報テーブル141に変更後の修正着信順位を設定する(ステップS307)。そして、接続順位情報生成処理部134aは、修正着信順位の設定を終了する(ステップS308)。
【0050】
以上のように、本実施形態に係るコールサーバ130は、管理者端末160上で管理者によって修正着信順位が操作され、その操作の結果を制御データベース140に格納する。そして、通話端末100からの着信時に、順位接続部134がオペレータの実着信順位を計算し、実着信順位と修正着信順位に差異があって特定オペレータの接続により順位の差異が縮まる場合に、特定オペレータを接続先に指定する(
図6のステップS205,S207参照)。すなわち、管理者が管理者端末160上で修正着信順位を操作すれば、自動で呼を割り振ることができる。その為、本実施形態に係るコールサーバ130は、管理者操作の手間を軽減するという効果が得られる。
【0051】
また、本実施形態に係るコールサーバ130は、実着信順位と修正着信順位に差異があって特定オペレータの接続により順位の差異が縮まる場合に、予測待ち時間以下または後処理中以外のときに、オペレータが接続可能になれば顧客とオペレータの通話を開始する(
図6のステップS208,S221参照)。その為、本実施形態に係るコールサーバ130は、管理者によるオペレータの着信順位調整が容易に出来るという効果が得られる。
【0052】
また、本実施形態に係るコールサーバ130は、実着信順位と修正着信順位に差異があって特定オペレータ非接続により順位の差異が縮まる場合に、この呼に対して順位の差異が縮まる特定オペレータをACD接続処理から除外する(
図6のステップS231,S232参照)。その為、本実施形態に係るコールサーバ130は、オペレータの着信順位調整が容易に出来るという効果が得られる。
【0053】
また、本実施形態に係るコールサーバ130は、特定オペレータを接続先に指定した後で、予測待ち時間以上かつ後処理中の場合に、オペレータ端末150に後処理解除要求を出し、オペレータが後処理を解除することによって顧客とオペレータの通話を開始する(
図6のステップS209,S210参照)。その為、本実施形態に係るコールサーバ130は、オペレータが電話の後処理中(ワークタイム中)の場合であっても、後処理解除を促して顧客と通話させ、特定オペレータの着信順位を上げることが出来るという効果が得られる。
【0054】
また、本実施形態に係るコールサーバ130は、特定オペレータを接続先に指定した後で、予測待ち時間以下もしくは後処理中以外の場合に、オペレータ端末150に対して接続可能かどうかを確認する。そして、接続可能でないときにはオペレータ端末150にテロップを出すことによって、オペレータがオペレータ状態をオペレータ接続可能状態に変更することを促す(
図6のステップS221,S222参照)。その為、本実施形態に係るコールサーバ130は、オペレータが接続可能状態以外の場合であっても、オペレータ接続可能状態への変更を促して顧客と通話させ、特定オペレータの着信順位を上げることが出来るという効果が得られる。
【0055】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を変えない範囲で実施することができる。実施形態の変形例を以下に示す。
【0056】
本実施形態では、順位接続部134は、オペレータの実着信順位を計算し、実着信順位と修正着信順位とを用いて、例えば、特定オペレータを指定していた(
図6のステップS205,S207参照)。しかしながら、本発明は、実着信順位と修正着信順位とを用いることに限定されるものではなく、例えば、実着信順位と修正着信順位とに準ずる情報を用いて処理を行うことも可能である。ここで、実着信順位と修正着信順位とに準ずる情報とは、管理者が現在よりも平均着信対応回数を増やしたいと考えるオペレータであるのか、または、現在よりも平均着信対応回数を減らしたいと考えるオペレータであるのかを識別する情報、並びに、現在の平均着信対応回数と目標とする平均着信対応回数との差を判別できる情報を有するものである。
【0057】
また、本実施形態では、管理者によって管理者端末160上で修正着信順位の操作が行われていた。しかしながら、修正着信順位の操作はこれに限定されるものではなく、例えば、オペレータ端末150上で行われてもよいし、コールセンタ120の外部に存在する装置上で行われてもよい。