(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のような配送システムは、物資が無線操縦機によって被災者端末の位置まで空輸される構成であるため、物資の配送場所が被災者端末によって明確となる。しかしながら、この配送システムでは、被災者端末の位置情報に基づいて、位置を特定するため、被災者端末を操作する操作者は、配送場所に居る必要があった。また、上記無線操縦機は、移動通信網を介して被災者端末の位置情報を周期的に受信する携帯電話機能等を備える必要があり、無線操縦機の小型軽量化を図ることが困難になる問題がある。
【0005】
これに対して、配送システムの簡素化を図るため、配送場所に関する詳細情報を常時受信することなくGPS機能を利用して飛行する飛行配送機を用いて配送物を配送先まで配送する構成が考えられる。しかしながら、このような配送システムでは、配送先における所望の配送場所に配送物を正確に配送できない虞がある。例えば、配送物をマンションなどの集合住宅における所定の住宅に配送するような場合には、その集合住宅の場所を特定することができるとしても、所望の住宅の場所を特定して配送することは難しくなる。そのため、例えば、所望の住宅の玄関先に配送物を配送する予定が、その隣の住宅の玄関先に配送物を配送してしまうような、正確な配送が困難となる問題が生じてしまう。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、遠隔操作される飛行配送機を用いて、配送物を所望の配送場所に正確に配送することが可能な構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、配送物を配送可能な飛行配送機と、前記飛行配送機を遠隔操作可能な管理装置と、を備える飛行配送システムであって、
前記配送物の配送先における配送場所には、当該配送場所を示す目印
として情報コードが表示され、
前記飛行配送機は、
前記管理装置からの指示に応じて飛行状態を制御する飛行状態制御部と、
前記目印を撮像可能な撮像部と、
前記撮像部によって撮像された撮像画像において前記目印を認識可能な認識部と、
前記撮像部によって撮像された前記情報コードを解読する解読部と、
前記配送物を保持可能な保持状態と前記配送物の保持が解除される保持解除状態とに切り替え可能な保持切替部と、
報知部と、
を備え、
前記保持切替部は、配送中には前記保持状態に切り替えられ、前記飛行状態制御部による制御により前記飛行配送機が前記目印を基準にして配送可能な位置まで移動すると前記保持解除状態に切り替えられ、
前記飛行状態制御部は、前記認識部によって前記撮像画像から前記目印が認識され
、前記解読部によって前記情報コードの解読が成功すると、前記認識部によって認識された前記情報コード上に、前記保持切替部による保持が解除された前記配送物が配送されるように、前記飛行配送機の飛行状態を制御
し、
前記報知部は、前記認識部により認識された前記情報コードが前記解読部により解読されない場合に、前記情報コード上に障害物があるために前記配送物を配送できない状態であることを報知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明では、飛行配送機は、認識部により目印が認識されるまで管理装置による遠隔操作により配送先まで移動し、認識部により目印が認識されると当該認識された目印を基準にして配送可能な位置まで移動するようになっている。このように、遠隔操作される飛行配送機であっても、飛行配送機が配送場所に近づくと当該配送場所の目印を基準にして移動するため、目印の表示位置に応じて飛行配送機の移動先を正確に制御することが可能になる。そのため、配送物を配送場所の目印を基準とする所望の配送場所に正確に配送することが可能となる。
【0009】
さらに、目印は情報コードであり、飛行配送機は、撮像部によって撮像された情報コードを解読する解読部を備え、飛行状態制御部は、認識部によって撮像画像から目印が認識され、解読部によって情報コードの解読が成功すると、当該情報コードを基準にして配送可能な位置まで移動するように飛行配送機の飛行状態を制御する構成となっている。
この構成では、飛行配送機による目印を基準にした位置への配送物の配送が、情報コードの解読を条件として行われるため、配送場所の基準位置となる目印の信頼性を高めることができる。
特に、配送物を保持可能な保持状態と配送物の保持が解除される保持解除状態とに切り替え可能な保持切替部を備え、保持切替部は、配送中には保持状態に切り替えられ、飛行状態制御部による制御により飛行配送機が配送可能な位置まで移動すると保持解除状態に切り替えられ、飛行状態制御部は、認識部によって認識された情報コード上に、保持切替部による保持が解除された配送物が配送されるように、飛行配送機の移動における飛行状態を制御する構成となっている。
この構成では、情報コードの解読処理が成功した場合に、情報コード上に人や物等の障害物がないことが想定されるため、当該情報コード上に配送物を配送することで、配送物が障害物に接触する等の問題も生じることなく配送できる。
さらに、認識部により認識された情報コードが解読部により解読されない場合に、情報コード上に障害物があるために配送物を配送できない状態であることを報知する報知部を備える構成となっている。
この構成では、情報コード上に障害物があることで配送物を配送できない場合にはその旨が報知部により報知されるため、受取人等に対して情報コード上の障害物の排除を促すことができるので、配送物が配送できないような事態を回避しやすくすることができる。
請求項2の発明では、情報コードを構成するコード領域には、誤り訂正を行うための誤り訂正領域が含まれており、解読部は、解読時における誤り訂正率を計算する計算部を備え、飛行状態制御部は、解読部による解読時において計算部にて計算される誤り訂正率が所定の値以下である場合に、認識部によって認識された情報コード上に、保持切替部による保持が解除された配送物が配送されるように、飛行配送機の飛行状態を制御する構成となっている。
この構成では、情報コードの解読処理が成功しても、解読部による解読時において計算部にて計算される誤り訂正率が所定の値を超える場合には、情報コード上への配送における障害が存在する虞があるとして、配送物の配送を回避することができる。一方で、情報コードの解読処理が成功し、誤り訂正率が所定の値以下となる場合には、配送物の破損や人への危害等、情報コード上への配送における問題が生じないとして、配送物の配送を行うことができる。
【0010】
請求項3の発明では、飛行配送機は、配送場所に表示される情報コードに関する情報が記憶される記憶部を備え、飛行状態制御部は、解読部によって解読が成功した情報コードに関する情報が記憶部に記憶されている場合に、当該情報コードを基準にして配送可能な位置まで移動するように飛行配送機の飛行状態を制御する構成となっている。
この構成では、飛行配送機による目印を基準にした位置への配送物の配送が、記憶部に記憶されている配送場所に表示される情報コードに関する情報(例えば配送物に関する注文情報や配送先の住所情報等)が得られることを条件として行われる。そのため、記憶部に情報が記憶されていない情報コードに対しては、解読が成功しても配送を行うことがないため、正規の目印(記憶部に情報が記憶されている情報コード)に基づいて配送先に確実に配送物を配送することができる。このように、情報コードの解読内容も考慮することで、配送場所の基準位置となる目印の信頼性をより一層高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る飛行配送システムを具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示す飛行配送システム10は、飛行配送機20を利用して配送物Dを配送先へ配送するシステムであって、配送物Dを配送可能な飛行配送機20と、この飛行配送機20を遠隔操作可能な管理装置50と、によって構成されている。そして、この飛行配送システム10では、配送物Dの配送先における配送場所に表示された目印(情報コードC)を基準にして配送可能な位置まで移動するように飛行配送機20の飛行状態を制御するようになっている。以下、飛行配送システム10を構築する各構成について説明する。
【0016】
飛行配送機20は、管理装置50からの指示を受けた自動操縦により無人飛行可能に構成されている。例えば、飛行配送機20は、管理装置50から送信される配送先の配送場所の位置情報と、GPSによって特定される位置情報と、に基づいて公知の方法で飛行経路などが設定されて飛行制御されるようになっている。また、飛行配送機20は、バーコードや二次元コードなどの情報コードを読み取り可能に構成されている。
【0017】
図2(A)に示すように、飛行配送機20には、飛行配送機20全体を制御する制御部21が設けられている。この制御部21は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有し、メモリ22とともに情報処理装置を構成している。なお、制御部21は、「飛行状態制御部」の一例に相当し、管理装置50からの指示に応じて飛行状態を制御するように機能する。メモリ22には、後述する読取処理等を実行するための所定のプログラム等が制御部21により実行可能に予め格納されている。また、メモリ22は、「記憶部」の一例に相当し、後述する配送物Dの配送先の住所などが記憶される。
【0018】
また、制御部21には、飛行手段23、位置検出部24、保持切替部25、ブザー26、外部インタフェース27などが接続されている。また、飛行手段23、位置検出部24、保持切替部25、ブザー26、及び外部インタフェース27は、制御部21によって制御される構成をなしており、それぞれ、制御部21からの指令を受けて動作する。飛行手段23は、飛行配送機20の上昇、下降、前進、後進、ホバリング(空中停止)、旋回などの飛行状態を実現する公知の飛行手段であり、機体上部に設けられる複数の回転翼、これら回転翼に駆動力を伝達するモータなどによって構成されている。位置検出部24は、公知のGPS受信機などによって構成され、飛行配送機20の現在位置情報(例えば緯度及び経度の情報、或いは住所(所在地))を取得するように機能する。この位置検出部24は、例えば、図示しないGPS衛星からの情報を受信し、飛行配送機20の詳細な緯度及び経度を算出するように構成されている。保持切替部25は、例えば、機体下部に設けられる一対のアーム部として構成され、配送物Dを保持可能な保持状態(配送物Dを挟んだ状態)と配送物Dの保持が解除される保持解除状態(配送物Dから離間した状態)とに切り替え可能な構成となっている。外部インタフェース27は、管理装置50等の外部装置との間でネットワーク等を介してデータ通信を行うためのインタフェースとして構成されており、制御部21と協働して通信処理を行う構成をなしている。また、飛行配送機20には、電源部28が設けられており、この電源部28やバッテリ28aによって制御部21や各種電気部品に電力が供給されるようになっている。
【0019】
また、制御部21には、情報コード読取部40が接続されている。
情報コード読取部40は、情報コードを光学的に読み取るように機能するもので、
図2(B)に示すように、CCDエリアセンサからなる受光センサ43、結像レンズ42、複数個のLEDやレンズ等から構成される照明部41などを備えた構成をなしており、制御部21と協働して読取対象Rに付された情報コードC(バーコードや二次元コード)を読み取るように機能する。
【0020】
この情報コード読取部40によって読み取りを行う場合、まず、制御部21によって指令を受けた照明部41から照明光Lfが出射され、この照明光Lfが読取口12を通って読取対象R(例えば、載置台S(
図1参照))に照射される。そして、照明光Lfが情報コードCにて反射した反射光Lrは読取口12を通って装置内に取り込まれ、結像レンズ42を通って受光センサ43に受光される。読取口12と受光センサ43との間に配される結像レンズ42は、情報コードCの像を受光センサ43上に結像させる構成をなしており、受光センサ43はこの情報コードCの像に応じた受光信号を出力する。受光センサ43から出力された受光信号は、画像データとしてメモリ22(
図2(A))に記憶され、情報コードCに含まれる情報を取得するためのデコード処理に用いられるようになっている。なお、情報コード読取部40には、受光センサ43からの信号を増幅する増幅回路や、その増幅された信号をデジタル信号に変換するAD変換回路等が設けられているがこれらの回路については図示を省略している。なお、制御部21は、「解読部」の一例に相当し、受光センサ43によって撮像された情報コードCを解読するように機能する。また、受光センサ43は、「撮像部」の一例に相当し、情報コードCを撮像可能に構成されている。
【0021】
次に、
図1の飛行配送システムで利用される情報コードCについて説明する。情報コードCは、例えばQRコード(登録商標)として構成され、所定のコード領域の内部に情報を表示する単位となるセルが配列されている。なお、コード領域は、複数配列された暗色セルを全て含み得る矩形状の領域であり、具体的には、3つの位置検出パターン(切り出しシンボル)を全て含む最小の正方形領域又は長方形領域となっている。また、コード領域の内部に、予め定められた形状の特定パターンが配置される特定パターン領域と、複数種類のセルによってデータを記録するデータ記録領域と、複数種類のセルによって誤り訂正符号を記録する誤り訂正符号記録領域と、が設けられている。具体的には、複数のデータワード(データコードワード)で表現される解読対象データがデータ記録領域に記録され、このデータワードの構成に基づいて公知の方法で生成される誤り訂正符号を表現する複数の誤り訂正ワード(誤り訂正コードワード)が誤り訂正符号記録領域に記録される。
【0022】
次に、管理装置50の電気的構成について、
図3を参照して説明する。
図3に示す管理装置50は、飛行配送システム10における各種情報処理を行うホストコンピュータに相当し、飛行配送機20と通信可能となっている。また、管理装置50は、例えば販売店が取り扱う商品や商品が梱包された配送物Dなどを管理する管理センタに設けられ、インターネットを介して顧客との情報のやり取りを行い、顧客から送信される商品の注文情報を管理するようになっている。この管理装置50は、
図3に示すように、CPU等として構成される制御部51と、当該制御部51とともに情報処理装置を構成するメモリ52と、を備えている。また、メモリ22には、後述する注文情報が記憶されることで注文情報データベースが構築される。
【0023】
また、制御部51には、操作部53、表示部54、外部インタフェース55などが接続されている。操作部53は、制御部51に対して操作信号を与える構成をなしており、制御部51は、この操作信号を受けて操作信号の内容に応じた動作を行う。また、表示部54は、制御部51によって制御される構成をなしており、制御部51からの指令を受けて動作する。特に、表示部54は、液晶表示器や有機ELディスプレイなどの公知の表示装置によって構成され、制御部51による情報処理結果や管理装置50の動作状態などの各種情報を表示し得る構成となっている。また、外部インタフェース55は、飛行配送機20等の外部機器との間でデータ通信を行うためのインタフェースとして構成されており、制御部51と協働して通信処理を行う構成をなしている。
【0024】
次に、
図1の管理装置50で行われる注文受付処理について
図4に示すフローチャートを用いて説明する。
ここでは、飛行配送システム10が、インターネットなどのメディアを介して顧客が商品を注文可能な無店舗販売に適用される例を示す。例えば、商品の販売店がインターネットを介して商品の情報を提供し、顧客がコンピュータ、携帯電話、スマートフォンなどによって提供される商品の情報を閲覧する。そして、顧客は、販売店がインターネットを介して提供する注文フォーマットを用いる方法や、電子メールの送信によって、商品購入の販売店側への申し込みを行う。例えば、顧客は、商品購入の申し込み時に、商品名、氏名、商品の配送先の住所、電話番号、メールアドレス、支払方法等の注文情報をインターネットを介して販売店に送信する。
【0025】
まず、管理装置50は、顧客によって送信される注文情報を受信する(ステップS101)。例えば、管理装置50は、顧客側から注文フォーマットに従って送信された注文情報をインターネットを介して受信する。続いて、管理装置50は、受信した注文情報を注文情報データベースとしてメモリ52に記憶する(S102)。例えば、顧客が、注文フォーマットを介して、書籍Aを注文し、氏名「愛知太郎」、注文者の住所「AAAA」、電話番号「EEE」、メールアドレス「IIIII」を送信した場合、
図5に示すように、注文番号が「No1」の注文情報として、任意に設定される注文識別情報「10001」に対応付けて、注文者氏名「愛知太郎」、注文者の住所「AAAA」、電話番号「EEE」、メールアドレス「IIIII」、注文内容「書籍A」が注文情報データベースに登録される。また、管理装置50は、注文番号が「No1」である注文に対して、例えば、飛行配送機20の配送機番号「001」を対応付けて、注文情報データベースに登録する。
【0026】
S102の処理の後、管理装置50は、顧客に対して発送を通知する発送通知情報を電子メールによって送信する(S103)。ここで、発送通知情報には、注文情報データベースに登録された内容などの文字情報と共に、注文識別情報などが記録された情報コードCの画像データが含まれる。例えば、注文番号「No1」の商品の注文に対する電子メールには、注文識別情報「10001」、注文者氏名「愛知太郎」、注文者の住所「AAAA」、注文内容「書籍A」、配送機番号「001」などが文字情報に含まれると共に、注文識別情報「10001」などが記録された情報コードCの画像データが添付される。また、電子メールの文字情報には、画像データに基づいて表示される情報コードCの画像を印刷し、配送場所の玄関先に設置した載置台Sなどの上面に貼付するように促す指示内容が含まれている。なお、電子メールの文字情報に、配送物Dの配達予定日時などを含めてもよい。
【0027】
S103の処理の後、管理装置50は、注文情報に基づく配送準備が完了した旨の情報(配送準備完了情報)を取得する(S104)。なお、配送準備は、飛行配送機20が保持切替部25によって配送物Dを保持することで完了する。また、管理装置50の配送準備完了情報の取得は、例えば、飛行配送機20から送信される配送準備完了情報を受信することや、オペレータが操作部53を操作して配送準備完了情報を入力することによって行われる。続いて、管理装置50は、取得した配送準備完了情報に関する注文情報において対応付けられた配送機番号「001」の飛行配送機20に対して、配送指令情報を送信する(S105)。例えば、管理装置50は、注文番号「No1」の商品の注文の場合、管理センタにおいて注文内容である「書籍A」の配送準備が完了した配送機番号「001」の飛行配送機20に対して、配送場所である注文者の住所「AAAA」に配送物Dを配送するように配送指令情報を送信する。S105の処理が終了すると、
図4の注文受付処理が終了する。そして、各注文番号で特定される注文に対してS101〜S105の処理がそれぞれ行われる。
【0028】
次に、
図1の飛行配送機20で行われる配送処理について
図6に示すフローチャートを用いて説明する。
まず、飛行配送機20は、管理装置50から送信される配送指令情報を受信する(S201)。続いて、飛行配送機20は、管理装置50からの配送指令情報に基づいて指定された配送先の住所に飛行移動する(S202)。例えば、注文番号「No1」に対応付けられた配送機番号「001」の飛行配送機20は、管理装置50から受信した配送場所の住所と、位置検出部によって検出される現在の機体の位置情報と、に基づいて飛行経路などが設定されて飛行移動することになる。
【0029】
飛行配送機20は、配送先の住所の上空に移動した後、
図7(A)に示すように、機体の周囲を情報コード読取部40によって撮像する(S203)。続いて、制御部21は、情報コード読取部40によって撮像された撮像画像に配送場所を示す目印である情報コードCが含まれているか否か判断する(S204)。具体的には、制御部21は、情報コード読取部40によって撮像された撮像画像の中から3つの位置検出パターンを検出することで、情報コードCが撮像画像に含まれていると判断する。撮像画像に配送場所を示す情報コードCが含まれていない場合、S204でNoに進み、撮像範囲の変更を行う(S205)。例えば、制御部21の制御によって飛行配送機20を旋回させて、情報コード読取部40の撮像範囲を変更させる。その後、再びS203の処理を行う。
【0030】
一方で、S204の処理で、制御部21によって撮像画像に配送場所を示す情報コードCが含まれていると判断される場合、情報コードCが認識されたとして、Yesに進む。なお、制御部21は、「認識部」の一例に相当し、受光センサ43によって撮像された撮像画像において情報コードCを認識可能に構成されている。続いて、認識した情報コードCの解読処理を行う(S206)。具体的には、公知のQRコードの解読処理と同様に、データコードワードを解読する。続いて、制御部21は、解読した情報コードCのデータに、情報コードCを読み取った飛行配送機20の配送機番号に対応付けられた注文識別情報が含まれているか否か判断する(S207)。例えば、制御部21は、配送する飛行配送機20の配送機番号に対応付けられていない注文識別情報が情報コードCに記録されている場合(例えば、注文番号No1の配送において「10001」以外の注文識別情報が記録されている場合)や、そもそも注文識別情報自体が情報コードCに記録されていない場合に、注文識別情報が含まれていないと判断する。この場合、S207でNoに進み、S205の処理を行う。一方で、S207の処理で、注文識別情報が含まれていると判断された場合(例えば、注文番号No1の配送において注文識別情報「10001」が記録されている場合)、Yesに進む。
【0031】
S207でYesに進む場合、飛行配送機20は、
図7(B)に示すように、情報コードCを基準にして情報コードCの真上に移動する(S208)。ここで、公知の方法によって、所定の目印(情報コードC)を基準に飛行配送機20の飛行移動の制御を行うことができる。例えば、情報コード読取部40によって撮像された撮像画像における情報コードCの位置に基づいて、実空間における飛行配送機20と情報コードCとの位置関係を特定し、飛行制御を行う方法などを用いることができる。
【0032】
S208の処理の後、飛行配送機20は、
図7(C)に示すように、配送可能な位置である情報コードC上に着陸して、保持切替部25が保持解除状態に切り替えられ、情報コードC上に配送物Dが配置されることになる(S209)。続いて、飛行配送機20は、管理センタに移動し(S210)、
図6の処理を終了する。
【0033】
なお、上記S206の処理において、情報コードCの解読が失敗した場合には、飛行配送機20がブザーを鳴らし、再度解読処理を行う構成であってもよい。例えば、情報コードC上に障害物が置かれている場合には、顧客などに対して情報コードC上の障害物の排除を促すことができ、再度の解読処理が成功し易くなる。
【0034】
以上説明したように、本第1実施形態では、飛行配送機20は、制御部21により目印(情報コードC)が認識されるまで管理装置50による遠隔操作により配送先まで移動し、制御部21により目印(情報コードC)が認識されると当該認識された目印(情報コードC)を基準にして配送可能な位置まで移動するようになっている。このように、遠隔操作される飛行配送機20であっても、飛行配送機20が配送場所に近づくと当該配送場所の目印(情報コードC)を基準にして移動するため、目印(情報コードC)の表示位置に応じて飛行配送機20の移動先を正確に制御することが可能になる。そのため、配送物Dを配送場所の目印(情報コードC)を基準とする所望の配送場所に正確に配送することが可能となる。
また、顧客が情報コードCを配送場所に貼付するだけの簡易な構成で、飛行配送機20に配送場所を伝える特別の装置などを用いることなく、安価で汎用性のある配送システムを実現することができる。
【0035】
また、目印は情報コードCであり、飛行配送機20は、受光センサ43によって撮像された情報コードCを解読する制御部21を備え、制御部21は、撮像画像から目印(情報コードC)を認識し、情報コードCの解読が成功すると、当該情報コードCを基準にして配送可能な位置まで移動するように飛行配送機20の飛行状態を制御する構成となっている。
この構成では、飛行配送機20による目印(情報コードC)を基準にした位置への配送物Dの配送が、情報コードCの解読を条件として行われるため、配送場所の基準位置となる目印の信頼性を高めることができる。
【0036】
また、飛行配送機20は、配送場所に表示される情報コードCに関する情報が記憶されるメモリ22を備え、制御部21は、解読が成功した情報コードCに関する情報(注文識別情報)がメモリ22に記憶されている場合に、当該情報コードCを基準にして配送可能な位置まで移動するように飛行配送機20の飛行状態を制御する構成となっている。
この構成では、飛行配送機20による目印を基準にした位置への配送物Dの配送が、メモリ22に記憶されている配送場所に表示される情報コードCに関する情報(注文識別情報)が得られることを条件として行われる。そのため、メモリ22に注文識別情報が記憶されていない情報コードCに対しては、解読が成功しても配送を行うことがないため、正規の目印(メモリ22に情報が記憶されている情報コードC)に基づいて配送先に確実に配送物Dを配送することができる。このように、情報コードCの解読内容も考慮することで、配送場所の基準位置となる目印の信頼性をより一層高めることができる。
【0037】
また、配送物Dを保持可能な保持状態と配送物Dの保持が解除される保持解除状態とに切り替え可能な保持切替部25を備え、保持切替部25は、配送中には保持状態に切り替えられ、制御部21による制御により飛行配送機20が配送可能な位置まで移動すると保持解除状態に切り替えられ、制御部21は、認識された情報コードC上に、保持切替部25による保持が解除された配送物Dが配送されるように、飛行配送機20の移動における飛行状態を制御する構成となっている。
この構成では、情報コードCの解読処理が成功した場合に、情報コードC上に人や物等の障害物がないことが想定されるため、当該情報コードC上に配送物Dを配送することで、配送物Dが障害物に接触する等の問題も生じることなく配送できる。
【0038】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
第2実施形態は、飛行配送機20の配送処理において、情報コードCの解読時に、注文識別情報が得られるか否か判断する処理と、誤り訂正率を計算して所定の報知を行うか否か判断する処理を行う点が上記第1実施形態と異なる。また、第2実施形態に係る飛行配送機20及び管理装置50は、ハードウェア構成については第1実施形態の飛行配送機20及び管理装置50と同様であり、同一の符号を付し、ハードウェア構成の詳細な説明は省略する。
【0039】
以下、本実施形態に係る飛行配送機20の配送処理について説明する。
図8は、第2実施形態の飛行配送機20で行われる配送処理のフローチャートである。S201〜S207では、上記第1実施形態における
図6のS201〜S207と同様の処理を行う。S207の処理で、制御部21によって、情報コードCの解読データに注文識別情報が含まれると判断されると、Yesに進む。続いて、制御部21は、情報コードCの誤り訂正率が予め決められた設定値以下であるか否か判断する(S301)。ここで、誤り訂正率は、公知のQRコードの解読処理と同様に、誤り訂正コードワードに基づいて公知の方法で誤り訂正計算を実施する。なお、制御部21は、「計算部」の一例に相当し、情報コードCの解読時における誤り訂正率を計算するように機能する。例えば、設定値が7%に設定されている場合、S204で認識した情報コード上(例えば、印刷された情報コードCの上面)の一部に障害物が置かれており、情報コードCの解読時における誤り訂正率が5%と計算されると、設定値よりも低いとしてS301でYesに進む。続いて、S208〜S210処理を、上記第1実施形態における
図6のS208〜S210の処理と同様に行い、
図8の処理を終了する。
【0040】
一方で、S301の処理において、例えば、S204で認識した情報コードC上の一部に障害物が置かれており、制御部21によって情報コードCの解読時における誤り訂正率が20%と計算されると、設定値よりも高いとしてNoに進む。続いて、飛行配送機20は、ブザー26を鳴らす(S302)。なお、ブザー26は、「報知部」の一例に相当し、情報コードC上に障害物があるために配送物Dを配送できない状態であることを報知するように機能する。
【0041】
S302の処理から所定時間(例えば30秒)の経過後、情報コードCの読取処理(撮像処理及び解読処理)を行う(S303)。すなわち、S203と同様の情報コードCの撮像処理と、S206と同様の解読処理を行う。続いて、制御部21は、情報コードCの解読時の誤り訂正率が設定値(例えば7%)以下か否か判断する(S304)。S304で、情報コードCの解読時の誤り訂正率が設定値以下と判断した場合、Yesに進み、S208の処理を行う。例えば、S302の処理によって顧客がブザー26の音に気付いて情報コードC上の障害物を排除した場合には、情報コードCのセルが全て撮像されることになり、制御部21は、情報コードCの解読時の誤り訂正率が設定値(例えば7%)以下であると判断されることになる。
【0042】
一方で、S304の処理で、制御部21によって情報コードCの解読時の誤り訂正率が設定値を超えると判断された場合、Noに進み、制御部21によって所定時間が経過したか否か判断される(S305)。例えば、S302でブザー26を鳴らした時点からの経過時間が所定時間(例えば5分)を超えたか否か判断する。制御部21によって所定時間が経過していないと判断された場合、Noに進み、再びS302の処理を行う。一方で、制御部21によって所定時間が経過したと判断された場合、Yesに進み、S210の処理を上記第1実施形態におけるS210の処理と同様に行い、
図8の処理を終了する。
【0043】
以上説明したように、本第2実施形態では、情報コードCを構成するコード領域には、誤り訂正を行うための誤り訂正領域が含まれており、解読時における誤り訂正率を計算する制御部21を備え、制御部21は、解読時において制御部21にて計算される誤り訂正率が所定の値以下である場合に、認識された情報コードC上に、保持切替部25による保持が解除された配送物Dが配送されるように、飛行配送機20の飛行状態を制御する構成となっている。
この構成では、情報コードCの解読処理が成功しても、制御部21による解読時において計算される誤り訂正率が所定の値を超える場合には、情報コードC上への配送における障害が存在する虞があるとして、配送物Dの配送を回避することができる。一方で、情報コードCの解読処理が成功し、誤り訂正率が所定の値以下となる場合には、配送物Dの破損や人への危害等、情報コードC上への配送における問題が生じないとして、配送物Dの配送を行うことができる。
【0044】
また、制御部21によって情報コードCの誤り訂正率が予め決められた設定値以下であると判断されない場合に、情報コードC上に障害物があるために配送物Dを配送できない状態であることを報知するブザー26を備える構成となっている。
この構成では、情報コードC上に障害物があることで配送物Dを配送できない場合にはその旨がブザー26により報知されるため、受取人等に対して情報コードC上の障害物の排除を促すことができるので、配送物Dが配送できないような事態を回避しやすくすることができる。
【0045】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
第3実施形態は、飛行配送機20の配送処理において、飛行配送機20が管理装置50を介して顧客に配送状況を通知する点が上記第2実施形態と異なる。また、第3実施形態に係る飛行配送機20と管理装置50は、電波を介した長距離の無線通信も可能に構成されており、その他のハードウェア構成については第2実施形態の飛行配送機20及び管理装置50と同様であり、同一の符号を付し、ハードウェア構成の詳細な説明は省略する。
【0046】
以下、本実施形態に係る飛行配送機20の配送処理について説明する。
図9は、第3実施形態の飛行配送機20で行われる配送処理のフローチャートである。S201〜S209、S301では、上記第2実施形態における
図8のS201〜S209、S301と同様の処理を行う。S209の処理の後、飛行配送機20は、配送が完了した旨の情報(配送完了情報)を管理装置50に送信する(S401)。このような構成によって、管理装置50は、飛行配送機20から配送完了情報を受信した場合に、顧客の携帯端末などに配送完了情報を通知する電子メールを送信することが可能になる。例えば、管理装置50は、配送機番号「001」の飛行配送機20から配送完了情報を受信した場合、メールアドレス「IIIII」宛に配送完了情報を通知する電子メールを送信することができるようになる。続いて、S210では、上記第2実施形態における
図8のS210と同様の処理を行い、
図9の処理を終了する。
【0047】
また、S301の処理で、制御部21によって情報コードCの誤り訂正率が予め決められた設定値以下ではないと判断された場合、飛行配送機20は、配送先の住所に到着した旨の情報(到達通知情報)を管理装置50に送信する(S402)。このような構成によって、管理装置50は、飛行配送機20から到達通知情報を受信した場合に、顧客の携帯端末などに到達通知情報を通知する電子メールを送信することが可能になる。例えば、管理装置50は、配送機番号「001」の飛行配送機20から到達通知情報を受信した場合、メールアドレス「IIIII」宛に到達通知情報を通知する電子メールを送信することができるようになる。また、管理装置50のオペレータが、メモリ52において注文番号「No1」に対応付けられた電話番号「EEE」に電話して、顧客に到達通知情報を伝えることもできる。このように、到達通知情報を取得した顧客は、例えば情報コードC上に障害物があるために配送物Dを配送できない状態であることを把握することができ、当該障害物を排除するなどの対応を取るように促されることになる。続いて、S302〜S305では、上記第2実施形態における
図8のS302〜S305と同様の処理を行う。
【0048】
S305の処理の後、飛行配送機20は、配送を中止した旨の情報(配送中止情報)を管理装置50に送信する(S403)。このような構成によって、管理装置50は、飛行配送機20から配送中止情報を受信した場合に、顧客の携帯端末などに配送中止情報を通知する電子メールを送信することが可能になる。例えば、管理装置50は、配送機番号「001」の飛行配送機20から配送中止情報を受信した場合、メールアドレス「IIIII」宛に配送中止情報を通知する電子メールを送信することができるようになる。続いて、S210では、上記第2実施形態における
図8のS210と同様の処理を行い、
図9の処理を終了する。
【0049】
以上説明したように、飛行配送機20の配送処理において、飛行配送機20が管理装置50を介して顧客に配送状況を通知することで、顧客は配送状況を把握することができる。特に、飛行配送機20によって解読された情報コードCの誤り訂正率が設定値以下ではないと判断された場合(S301でNo)に、到達通知情報を受け取る(S402)ことで、情報コードC上の障害物を排除する等の対応をすべきか否かの判断材料とすることができる。
【0050】
[他の実施形態]
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0051】
上記第1実施形態において、配送物Dの配送先における配送場所に表示される目印が情報コードCである構成を例示したが、情報コードC以外の図形、記号などであってもよい。例えば、十字形状の図形や、丸、三角、四角、星型などの絵柄であってもよく、文字、数字、その他の記号等であってもよい。
このような構成では、飛行配送機20の配送処理が
図10に示すフローチャートのように行われる。S201〜S203では、上記第1実施形態における
図6のS201〜S203と同様の処理を行う。続いて、制御部21は、情報コード読取部40によって撮像された撮像画像に配送場所を示す目印(例えば、十字形状の図形)が含まれているか否か判断する(S204a)。撮像画像に配送場所を示す目印が含まれていない場合、S204aでNoに進み、上記第1実施形態における
図6のS205と同様の処理を行う。一方で、S204aの処理で、制御部21によって撮像画像に配送場所を示す目印が含まれていると判断される場合、目印が認識されたとして、Yesに進む。続いて、上記第1実施形態における
図6のS208と同様の制御処理によって、飛行配送機20は、目印を基準にして当該目印の真上に移動する(S208a)。続いて、S209、S210で、上記第1実施形態における
図6のS209、S210と同様の処理を行い、
図10の配送処理を終了する。
【0052】
また、上記第1〜第3実施形態において、注文識別情報が情報コードCに記録される構成を例示したが、注文者情報、注文者の住所などメモリ22に記憶されたその他の情報が情報コードCに記録される構成であってもよい。そして、飛行配送機20による情報コードCの解読時に、当該飛行配送機20の配送機番号に対応付けられた注文者情報、注文者の住所などが取得された場合に、当該情報コードCが正規の情報コードと判断される構成であってもよい。
【0053】
また、上記第1〜第3実施形態において、情報コードCが配送物Dの配送場所の玄関先に設置した載置台Sの上面に貼付される構成を例示したが、その他の場所に貼付される構成であってもよい。また、情報コードC以外の図形、記号などを目印とする構成であっても同様に、載置台Sの上面以外の場所に目印が表示されてもよい。例えば、
図11(A)に示すように、配送先の玄関の扉の横の壁に情報コードCを貼付する構成であってもよい。このような構成では、飛行配送機20の配送処理において、
図6のS205で、情報コードCの真上に移動する処理の代わりに、載置台Sの真上に移動する処理となる。また、
図11(B)に示すように、液晶表示部72に情報コードCを表示させた状態のスマートフォン70などを、透明の載置台TSの内部や下側に配置するような構成であってもよい。また、情報コードCの配置場所は、配送先の玄関先だけでなく、配送先の住宅のベランダや屋上、庭であってもよく、地面に直接配置してもよい。
【0054】
また、上記第1〜第3実施形態において、飛行配送機20の飛行状態を実現する飛行手段23が、機体上部に設けられる複数の回転翼、これら回転翼に駆動力を伝達するモータなどによって構成される例を示した。しかしながら、飛行手段23の構成はその他の構成であってもよく、例えば、機体上部に設けられる回転翼(いわゆるメインロータ)、機体尾部に設けられる回転翼(いわゆるテールロータ)、これら回転翼に駆動力を伝達するモータなどによって構成されていてもよい。