(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両のルーフに形成された開口の前縁部に沿って車両の幅方向に延在するデフレクタ本体、及び該デフレクタ本体の両端部に接続されて車両の後方に延びるとともに先端部において車両の幅方向に延びる軸線周りに前記開口の両側縁部に回動自在に支持された一対のアーム部を有し、一方向への回動に伴い前記ルーフの上方へ突出するとともに他方向への回動に伴い前記ルーフの下方に収まるデフレクタと、
前記デフレクタを前記ルーフの上方へ突出する回動方向に付勢する付勢部材と、
車両の幅方向に延びる軸線周りに前記デフレクタに回動自在に連結され、前記デフレクタが前記ルーフの上方へ突出する状態で前記デフレクタに当接するとともに前記ルーフに当接して前記デフレクタの姿勢を保持させるとともに、前記デフレクタが前記ルーフの下方に収まる状態で前記開口の前縁部に設けられたハウジングによって倒れ姿勢に保持されるストッパ部材とを備え、
前記デフレクタに車両の幅方向に並設され、互いに相反する当該幅方向に凹む軸受凹部が形成された一対の支持壁と、
車両の幅方向に前記両支持壁間に挟まれて当該幅方向に前記ストッパ部材に並設され、先端部には前記軸受凹部に嵌入される軸部の突設された一対の被支持壁と、
前記デフレクタ及び前記ストッパ部材のいずれか一方に形成された嵌合凹部と、
前記デフレクタ及び前記ストッパ部材のいずれか他方に突設され、前記デフレクタが前記ルーフの上方へ突出する状態で前記嵌合凹部に嵌入して前記両被支持壁の互いに近づく車両の幅方向への弾性変形を規制する嵌合片とを備えた、デフレクタ装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、デフレクタ装置の一実施形態について説明する。なお、以下では、車両の前後方向を「前後方向」といい、車両の高さ方向上方及び下方をそれぞれ「上方」及び「下方」という。また、車室内方に向かう車両の幅方向内側を「車内側」といい、車室外方に向かう車両の幅方向外側を「車外側」という。
【0015】
図1に示すように、自動車などの車両のルーフ10には、略四角形の開口11が形成されるとともに、該開口11の前縁部に沿って車両の幅方向に延在するデフレクタ20が支持され、更に開口11を開閉可能な例えばガラス板からなる略四角形の可動パネル12が支持されている。
【0016】
図2に示すように、開口11の車両の幅方向両側縁部には、例えばアルミニウム合金の押出材からなる一対のガイドレール13が配置・固定されている。また、開口11の前縁部には、例えば樹脂材からなるハウジングとしてのフロントハウジング14が配置・固定されている。このフロントハウジング14は、両ガイドレール13の前端同士を車両の幅方向に接続する。
【0017】
各ガイドレール13には、可動パネル12を開閉駆動するための適宜の駆動機構(図示略)が摺動する。また、両ガイドレール13の前端部には、デフレクタ20の車両の幅方向両端部が回動自在に連結されている。すなわち、デフレクタ20は、開口11の前縁部に沿ってフロントハウジング14の上方を車両の幅方向に延びるように設けられるデフレクタ本体21を有するとともに、該デフレクタ本体21の車両の幅方向両端部に接続されて車両の後方に延びる一対のアーム部22を有する。そして、デフレクタ20は、両アーム部22の後端において車両の幅方向に延びる軸線Oの周りに両ガイドレール13に回動自在に連結されている。デフレクタ20は、両アーム部22の後端を中心に一方向に回動することでデフレクタ本体21と共に前端部が上昇する、いわゆるチルトアップ動作可能に取り付けられている。デフレクタ20は、可動パネル12の開動作に伴い該可動パネル12側から解放されて両アーム部22の後端を中心に一方向に回動(チルトアップ動作)し、ルーフ10の上方へ突出する(展開状態)。あるいは、デフレクタ20は、可動パネル12の閉動作に伴い該可動パネル12側から押さえ込まれて両アーム部22の後端を中心に他方向に回動し、ルーフ10の下方に収まる(格納状態)。デフレクタ20は、開口11を開放した際に展開状態になることで、車室内への風の巻き込みによる空気振動を防止する。
【0018】
次に、デフレクタ本体21及び各アーム部22について説明する。
図3(a)、(b)に示すように、デフレクタ本体21は、例えばアルミニウム合金材にて筒状に成形されている。一方、アーム部22は、例えば樹脂材からなり、概ね前後方向に延在する棒状の支持アーム23を有する。アーム部22は、支持アーム23の後端において、各ガイドレール13に回動自在に連結される。また、アーム部22は、支持アーム23の前端に連続して車内側に延びる略箱形の支持部24を有するとともに、該支持部24の車内側端に連続して車内側に更に延びる嵌合部25を有する。この嵌合部25の外壁面は、全体としてデフレクタ本体21の内壁面に合わせて成形されている。アーム部22は、嵌合部25がデフレクタ本体21に嵌挿されることでこれに結合されている。
【0019】
支持部24の上壁24aは、嵌合部25の嵌挿されるデフレクタ本体21と略面一に繋がるように成形されている。そして、支持部24には、嵌合部25との境界部に沿って上壁24aから概ね下方(
図3(b)における上方)に向かってフランジ24bが突設されるとともに、該フランジ24bの車外側で上壁24aから概ね下方に向かってフランジ24cが突設されている。これら両フランジ24b,24cは、車両の幅方向で互いに略平行になる状態で広がっている。また、支持部24には、両フランジ24b,24cの前後方向中間部で上壁24aから概ね下方に向かって連絡壁24dが突設されている。この連絡壁24dは、両フランジ24b,24cに略直交する状態で広がっており、それらフランジ24b,24c間を車両の幅方向に連絡する。つまり、上壁24aの下方には、両フランジ24b,24c及び連絡壁24dにより略H字状の骨格が形成されている。なお、上壁24a、両フランジ24b,24c及び連絡壁24dによって支持部24の後端部に区画される空間は、スプリング収容部Sを形成する。
【0020】
支持部24は、連絡壁24dの車両の幅方向中間部から前方に向かって支持壁26が突設されている。この支持壁26は、上壁24aとも繋がっている。支持壁26の連絡壁24dに繋がる後端部は、フランジ24bに対し車両の幅方向で略平行になる状態で広がる取付部26aを形成するとともに、該取付部26aに繋がる前端部は、車両の前方に向かうに従い車両の幅方向におけるフランジ24bとの離間距離を徐々に増加させるガイド部26bを形成する。
【0021】
一方、フランジ24bの連絡壁24dよりも車両の前方に位置する部位は、支持壁27を形成する。支持壁27が支持壁26の取付部26aに対し車両の幅方向で略平行になる状態で広がることはいうまでもない。また、連絡壁24dの支持壁26よりも車内側に位置する部位は、接続壁28を形成する。この接続壁28の車両の幅方向中間部には、当該方向に間隔をあけて一対の嵌合凹部としての略四角形の嵌合溝28aが形成されている。各嵌合溝28aは、接続壁28の下端から上方に向かって延びており、前後方向及び下方に開口する。
【0022】
なお、取付部26a(支持壁26)及び支持壁27には、互いに同心で車両の幅方向に開口する略円形の軸受孔29が形成されている。
両支持壁26,27には、例えば樹脂材からなるストッパホルダ31が連結されている。すなわち、ストッパホルダ31は、全体して下向き斜め後方に凸となる略弓形に成形されて前後方向に延びており、その上端部に、車両の幅方向に並設された一対の被支持壁32を有する。両被支持壁32は、車両の幅方向におけるそれらの離間距離が取付部26a及び支持壁27の当該方向における離間距離と同等に設定されており、それら取付部26a及び支持壁27間に挟入可能となっている。
【0023】
また、ストッパホルダ31には、両被支持壁32の上端から互いに相反する車両の幅方向に向かって一対の略円柱状の軸部33が突設されている。ストッパホルダ31は、車両の幅方向に両被支持壁32が両支持壁26,27間に挟まれた状態で、両軸部33が両軸受孔29に嵌入されている。これにより、ストッパホルダ31は、両軸受孔29(車両の幅方向に延びる軸線)周りに両支持壁26,27に回動自在に連結されている。
【0024】
なお、ストッパホルダ31の下端部には、概ね車両の高さ方向に開口する略円形の取付孔31aが形成されている。
さらに、
図4に併せ示すように、ストッパホルダ31には、両被支持壁32から互いに対向する車両の幅方向に向かって一対の略四角爪状の嵌合片34が突設されている。各嵌合片34は、両軸受孔29を中心とする周方向に略沿って被支持壁32から突出しており、当該周方向で嵌合溝28aに対向する。そして、
図4(a)に示すように、ストッパホルダ31が支持部24に対して起立しているとき、両嵌合片34が両嵌合溝28aに嵌入するように設定されている。一方、
図4(b)に示すように、ストッパホルダ31がアーム部22に対して倒れているとき、両嵌合片34が両嵌合溝28aから外れるように設定されている。
【0025】
また、
図5に併せ示すように、ストッパホルダ31には、軸部33の下方で両被支持壁32から互いに相反する車両の幅方向に向かって一対の略筋状のリブ35が突設されている。両リブ35は、両支持壁26,27の対向面に常時圧接する。
【0026】
図3に示すように、ストッパホルダ31には、例えばゴム材からなるストッパ36が連結されている。すなわち、ストッパ36は、ストッパホルダ31の下端部上面に沿って広がる略四角板状の取付部37を有するとともに、該取付部37から取付孔31aと同心にストッパホルダ31に向かって突設された取付突部38を有する。この取付突部38は、取付孔31aの内径と同等の外径を有する円柱部及び該円柱部よりも拡径された傘部を有しており、取付部37をストッパホルダ31に重ねる際に傘部が弾性変形しつつ取付孔31aを貫通する。これにより、取付突部38が取付孔31aから抜け止めされて、ストッパ36がストッパホルダ31に連結される。なお、ストッパ36には、取付部37の前端から下方に向かって摺動部39が突設されている。この摺動部39は、車両の幅方向に連通する中空の撓み形状を呈する。ストッパホルダ31及びストッパ36はストッパ部材30を構成する。
【0027】
図6に示すように、前記フロントハウジング14は、アーム部22の前端部(及びデフレクタ本体21)の下方で車両の幅方向に連通する略U字溝状の格納部15を有する。そして、フロントハウジング14には、格納部15の車両の後方、且つ、支持アーム23よりも車内側で上方に向かって保持壁16が突設されている。一方、スプリング収容部Sには、例えば捩りコイルスプリングからなるスプリング40のコイル部41が収容されている。このスプリング40の一方の脚部は支持部24に掛止されており、他方の脚部42はコイル部41から保持壁16に向かって延伸してこれに前後方向に移動可能に掛止されている。そして、アーム部22は、スプリング40により前端部(及びデフレクタ本体21)が上昇する回動方向(図示時計回り)に常時付勢されている。
【0028】
開口11の開口端縁は、下方に向かって延びる開口フランジ11aを形成する。この開口フランジ11aは、アーム部22(デフレクタ20)よりも車両の前方となる格納部15の上方に位置する。そして、
図6(a)に示すように、スプリング40の付勢力により前端部を上昇させるアーム部22の回動は、ストッパホルダ31の両被支持壁32が接続壁28に当接してストッパ部材30の図示反時計回りの回動が規制されるとともに、ストッパ36の取付部37が開口フランジ11aに当接してストッパ部材30の図示時計回りの回動が規制されることで規制される。つまり、デフレクタ20の展開状態における姿勢は、ストッパ部材30を介してルーフ10側(開口フランジ11a)に係合することで規定されている。
【0029】
図6(b)に示すように、可動パネル12側から押さえ込まれるアーム部22(デフレクタ20)は、スプリング40の付勢力に抗して図示反時計回りに回動することで、その前端部(及びデフレクタ本体21)を格納部15に格納する。このとき、ストッパ部材30は、摺動部39が格納部15の底壁に案内されて軸受孔29周りに回動しつつ倒れ姿勢になる。なお、同図には、デフレクタ20の展開状態における姿勢を保ったままのストッパ部材30を2点鎖線にて描いている。同図から明らかなように、デフレクタ20の格納状態では、ストッパ部材30が倒れ姿勢になるように回動することで、該ストッパ部材30に関わらずデフレクタ20の車両の高さ方向の配置スペースが小さいままに維持されている。
【0030】
ここで、
図7に太実線で示すように、デフレクタ20の展開状態における姿勢は、前述のようにストッパ部材30を介してルーフ10側(開口フランジ11a)に係合することで規定されている。このため、デフレクタ20の上方への突出量(展開量)の確保が実現されている。なお、このときのストッパ部材30の姿勢、即ち支持部24の支持位置(軸受孔29)から車両の前方に延びる姿勢は、
図7に2点鎖線で示すように、基本的にアーム部22の前端部(及びデフレクタ本体21)の下降に伴い摺動部39が格納部15の底壁に到達するまで保持される。そして、
図7に細実線で示すように、アーム部22の前端部(及びデフレクタ本体21)が更に下降してデフレクタ20が格納状態になると、ストッパ部材30は、摺動部39を格納部15の底壁に沿って車両の前方に摺動させつつ図示時計回りに回動して倒れ姿勢となる。
【0031】
次に、本実施形態の作用について説明する。
図8に模式的に示すように、ストッパ部材30をデフレクタ20に組み付ける際には、両嵌合片34が両嵌合溝28aに嵌入不能な姿勢で両軸部33が両支持壁26,27間に挟まれるまで両被支持壁32を互いに近づく車両の幅方向に弾性変形させる。すなわち、ガイド部26bにより両支持壁26,27間の車両の幅方向の離間距離が増加された位置で、両支持壁26,27間に両軸部33を挟ませるとともに、両支持壁26,27(ガイド部26b)に沿って両軸部33を両軸受孔29に向かって移動させる。具体的には、片側の軸部33(以下、「軸部33A」ともいう)がガイド部26bに当接し、且つ、これよりも軸受孔29寄りの位置で反対側の軸部33(以下、「軸部33B」ともいう)が支持壁27に当接するように、該支持壁27等に対し両被支持壁32を傾けた状態で両支持壁26,27間に両被支持壁32を挟ませる。そして、この状態で、軸部33Bを支点にストッパ部材30を図示反時計回りに回動させると、軸部33Aが取付部26aに向かってガイド部26bを摺動することで、両被支持壁32が互いに近づく車両の幅方向に弾性変形する。そして、軸部33Aが取付部26aに到達することで、支持壁27との間に両軸部33A,33Bが挟まれる。この状態で、両軸部33A,33Bが両軸受孔29に到達するまで両支持壁26,27間に両被支持壁32を挿入することで、両被支持壁32の弾性復帰に伴い両軸部33A,33Bが両軸受孔29に嵌入される。これにより、ストッパ部材30がデフレクタ20に回動自在に連結される。
【0032】
また、
図4(a)及び
図5(a)に示すように、デフレクタ20の展開状態では、ストッパホルダ31(ストッパ部材30)の両嵌合片34は、支持部24(アーム部22)の両嵌合溝28aに嵌入する。このため、
図5(b)に示すように、両被支持壁32の互いに近づく車両の幅方向への弾性変形、即ち両軸部33が両軸受孔29から外れる側の両被支持壁32の弾性変形が規制される。
【0033】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、ストッパ部材30をデフレクタ20に組み付ける際には、両嵌合片34が両嵌合溝28aに嵌入不能な姿勢で両軸部33が両支持壁26,27間に挟まれるまで両被支持壁32を互いに近づく車両の幅方向に弾性変形させる。そして、両軸部33が両軸受孔29に到達するまで両支持壁26,27間に両被支持壁32を挿入することで、両被支持壁32の弾性復帰に伴い両軸部33が両軸受孔29に嵌入される。これにより、ストッパ部材30がデフレクタ20に回動自在に連結される。このように、デフレクタ20に対するストッパ部材30の組付性をより向上させることができる。そして、ひいては組付工数及びコストを削減することができる。
【0034】
一方、デフレクタ20がルーフ10の上方へ突出する状態(展開状態)では、両嵌合片34が両嵌合溝28aに嵌入することで、両被支持壁32の互いに近づく車両の幅方向への弾性変形、即ち両軸部33が両軸受孔29から外れる側の両被支持壁32の弾性変形が規制される。従って、例えば車両走行時の風力など、外力による両被支持壁32の弾性変形でストッパホルダ31(ストッパ部材30)がデフレクタ20から脱落する可能性を低減することができる。
【0035】
換言すれば、樹脂製であってもストッパホルダ31に必要な剛性(例えば車両走行時に展開状態にあるデフレクタ20からの脱落を抑制し得る剛性)を確保することができ、例えば鉄製の場合などに比べてコストを削減することができる。
【0036】
(2)本実施形態では、支持壁26には、車両の幅方向における支持壁27との離間距離を両軸受孔29の位置(近傍)から徐々に増加させるガイド部26bが設けられている。従って、ストッパ部材30をデフレクタ20に組み付ける際には、ガイド部26bにより両支持壁26,27間の車両の幅方向の離間距離が増加された位置で、両支持壁26,27間に両軸部33を挟ませる。そして、両支持壁26,27(ガイド部26b)に沿って両軸部33を両軸受孔29に向かって移動させることで、両被支持壁32を互いに近づく車両の幅方向に円滑に弾性変形させることができる。従って、デフレクタ20に対するストッパ部材30の組付性をいっそう向上させることができる。特に、デフレクタ20に対してストッパ部材30を回動させて両被支持壁32を弾性変形させることで、より小さな操作力で両被支持壁32を弾性変形させることができる。
【0037】
(3)本実施形態では、両被支持壁32には、両支持壁26,27に圧接するように互いに相反する車両の幅方向に向かって一対のリブ35が突設されている。従って、特にデフレクタ20がルーフ10の上方へ突出する状態(展開状態)において、ストッパ部材30の車両の幅方向へのがたつきを抑制することができる。
【0038】
(4)本実施形態では、デフレクタ20の展開状態における姿勢を、該デフレクタ20(アーム部22)に回動自在に連結されたストッパ部材30を介してルーフ10側(開口フランジ11a)に係合することで規定した。従って、格納状態で要するデフレクタ20の車両の高さ方向の配置スペースを小さいままに維持しつつ、展開状態におけるデフレクタの上方への突出量(展開量)を確保することができる。そして、デフレクタ20及びフロントハウジング14による車内空間の圧迫を回避することができる。
【0039】
(5)本実施形態では、ストッパホルダ31(ストッパ部材30)の回動中心(軸受孔29)を開口フランジ11aからの離間距離が短いアーム部22の前端部(支持部24)に配置したことで、樹脂製であってもストッパホルダ31に必要な剛性(例えば車両走行時に気流によって吸い出されるデフレクタ20を支え得る剛性)を確保することができる。これにより、例えば鉄製の場合などに比べてコストを削減することができる。
【0040】
(6)本実施形態では、ストッパ36に撓み形状の摺動部39を設けたことで、デフレクタ20の格納時の作動音を抑制することができる。この場合、従来例のようにローラを設けることなく作動音を抑制できることで、構造をより簡素化することができ、ひいてはコストを削減することができる。
【0041】
(7)本実施形態では、ストッパ部材30により、デフレクタ20の展開状態における姿勢を保持することができる。あるいは、ストッパ部材30により、車両走行時に展開状態にあるデフレクタ20の浮き上がりを防止することができる。
【0042】
(8)本実施形態では、デフレクタ20が展開状態にあるとき、ストッパ部材30の姿勢は、ストッパホルダ31の両被支持壁32が接続壁28に当接するとともに、ストッパ36の取付部37が開口フランジ11aに当接するかたちで保持される。従って、従来例のようにストッパ部材30の姿勢を保持するためのばね(第2のばね)などが不要になる分、構造をより簡素化することができ、ひいてはコストを削減することができる。
【0043】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・
図9に示すように、共にガイド部51aを有する支持壁26に準じた形状の一対の支持壁51であってもよい。つまり、車両の幅方向における両支持壁51の離間距離は、両ガイド部51aによって両軸受孔29の位置(近傍)から徐々に増加されている。この場合、ストッパ部材30をデフレクタ20に組み付ける際には、両ガイド部51aにより両支持壁51間の車両の幅方向の離間距離が増加された位置で、両嵌合片34が両嵌合溝28aに嵌入不能な姿勢になるように両ガイド部51a(支持壁51)間に両軸部33を挟ませる。そして、この状態で、両ガイド部51aに沿って両軸部33を両軸受孔29に向かって移動させる。これにより、両被支持壁32が互いに近づく車両の幅方向に弾性変形するとともに、両軸部33が両軸受孔29に到達することに伴い両被支持壁32が弾性復帰して両軸部33が両軸受孔29に嵌入する。従って、この場合であっても、デフレクタ20に対するストッパ部材30の組付性をいっそう向上させることができる。
【0044】
なお、デフレクタ20に対するストッパ部材30の組付方向はそのままとして、両ガイド部51aのいずれか一方を省略してもよい。
・前記実施形態において、両被支持壁32が接続壁28に当接する回動方向にストッパホルダ31を付勢する適宜のスプリング(従来例の第2のばねに相当)を設けてもよい。
【0045】
・前記実施形態において、車両の幅方向に開口する両軸受孔29に代えて、互いに相反する車両の幅方向に凹む一対の軸受凹部、即ち車両の幅方向に非貫通の軸受凹部を採用してもよい。
【0046】
・前記実施形態において、ストッパホルダ31及びストッパ36を一体的に設けたストッパ部材(30)であってもよい。具体的には、ストッパホルダ31にストッパ36の外形をなすゴム製の成形体をアウトサート成形したストッパ部材であってもよいし、ストッパホルダ31及びストッパ36全体の外形をなす樹脂製の成形体からなるストッパ部材であってもよい。
【0047】
・前記実施形態において、各被支持壁32に突設したリブ35は、例えば略半球体状や略錘台(円錐台、角錐台など)状であってもよい。また、リブ35を省略してもよい。
・前記実施形態において、支持壁26のガイド部26bを省略してもよい。この場合、ストッパ部材30をデフレクタ20に組み付ける際には、例えば適宜の治具を用いて両被支持壁32を互いに近づく車両の幅方向に弾性変形させて、両支持壁(26,27)間に両軸部33を挟ませればよい。
【0048】
・前記実施形態においては、嵌合溝28a及びこれに嵌入可能な嵌合片34の組を2組設けたが、例えば1組であってもよい。
・前記実施形態においては、前後方向及び下方に開口する嵌合溝28aを採用した。これに対し、ストッパホルダ31の回動に伴う嵌合片34の進入経路を開放可能であれば、例えば下方の閉じた長孔状の嵌合凹部であってもよい。あるいは、ストッパホルダ31の回動に伴う嵌合片34の進入方向に凹む嵌合凹部、即ち前後方向に非貫通の嵌合凹部を採用してもよい。
【0049】
・前記実施形態においては、接続壁28(アーム部22)及びストッパホルダ31にそれぞれ嵌合溝28a及び嵌合片34を設けたが、それらの関係は互いに逆であってもよい。すなわち、接続壁28及びストッパホルダ31にそれぞれ嵌合片及び嵌合溝(嵌合凹部)を設けてもよい。
【0050】
・前記実施形態において、付勢部材としての板ばねを採用してもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)車両のルーフに形成された開口の前縁部に沿って車両の幅方向に延在するデフレクタ本体、及び該デフレクタ本体の両端部に接続されて車両の後方に延びるとともに先端部において車両の幅方向に延びる軸線周りに前記開口の両側縁部に回動自在に支持された一対のアーム部を有し、一方向への回動に伴い前記ルーフの上方へ突出するとともに他方向への回動に伴い前記ルーフの下方に収まるデフレクタと、
前記デフレクタを前記ルーフの上方へ突出する回動方向に付勢する付勢部材と、
車両の幅方向に延びる軸線周りに前記デフレクタに回動自在に連結され、前記デフレクタが前記ルーフの上方へ突出する状態で前記デフレクタに当接するとともに前記ルーフに当接して前記デフレクタの姿勢を保持させるとともに、前記デフレクタが前記ルーフの下方に収まる状態で前記開口の前縁部に設けられたハウジングによって倒れ姿勢に保持されるストッパ部材とを備え、
前記デフレクタに車両の幅方向に並設され、互いに相反する当該幅方向に凹む軸受凹部が形成された一対の支持壁と、
車両の幅方向に前記両支持壁間に挟まれて当該幅方向に前記ストッパ部材に並設され、先端部には前記軸受凹部に嵌入される軸部の突設された一対の被支持壁とを備えた、デフレクタ装置。
【0051】
この構成によれば、前記ストッパ部材を前記デフレクタに組み付ける際には、前記両軸部が前記両支持壁間に挟まれるまで前記両被支持壁を互いに近づく車両の幅方向に弾性変形させる。そして、前記両軸部が前記両軸受凹部に到達するまで前記両支持壁間に前記両被支持壁を挿入することで、前記両被支持壁の弾性復帰に伴い前記両軸部が前記両軸受凹部に嵌入される。これにより、前記ストッパ部材が前記デフレクタに回動自在に連結される。このように、前記デフレクタに対する前記ストッパ部材の組付性をより向上させることができる。
【0052】
(ロ)上記デフレクタ装置において、
前記デフレクタ及び前記ストッパ部材のいずれか一方に形成された嵌合凹部と、
前記デフレクタ及び前記ストッパ部材のいずれか他方に突設され、前記デフレクタが前記ルーフの上方へ突出する状態で前記嵌合凹部に嵌入して前記両被支持壁の互いに近づく車両の幅方向への弾性変形を規制する嵌合片とを備えた、デフレクタ装置。
【0053】
この構成によれば、前記デフレクタが前記ルーフの上方へ突出する状態では、前記嵌合片が前記嵌合凹部に嵌入することで、前記両被支持壁の互いに近づく車両の幅方向への弾性変形、即ち前記両軸部が前記両軸受凹部から外れる側の前記両被支持壁の弾性変形が規制される。従って、例えば外力による前記両被支持壁の弾性変形で前記ストッパ部材が前記デフレクタから脱落する可能性を低減することができる。