(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態について、
図1から
図14を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明は本実施形態の態様に限定されるものではない。
【0011】
なお、本明細書および特許請求の範囲の記載において、「凹部」とは、エンボス加工により吸収体を圧縮することで形成される溝を指すものとして参照される。吸収体のうち凹部が形成されている部位は、それ以外の部位と比較して高圧縮・高密度となっている。また、当該凹部が形成されている部位の密度がそれ以外と同じ場合、当該凹部が形成されている部位の厚みもそれ以外と同じとなっている。
【0012】
本実施形態に係る吸収性物品は、吸収体のトップシート側に形成された複数の凹部が交差する領域において、その領域のバックシート側が隆起するように構成される。この構成により、複数の凹部が交差する領域の近傍において剛性が低くなる結果、その領域において折り曲がりやすくなり、フィット性を向上させることが可能となっている。
【0013】
先ず、本発明を展開型使い捨ておむつに応用した一実施形態を以下に説明する。
【0014】
<構成>
図1に本発明の一実施形態に係るおむつの一例の外観において、正面側から見た斜視図を示す。本実施形態に係るおむつ10は、展開型使い捨ておむつであり、前身頃領域10Fと、後身頃領域10Rと、これら前身頃領域10Fおよび後身頃領域10Rをつなぐ股下領域10Cとを有する。また、着用時に前身頃領域10Fと後身頃領域10Rとで着用者のウエストの部分を取り囲むウエスト周り開口部10Wが形成されている。同様に、前身頃領域10Fおよび後身頃領域10Rの下端部と股下領域10Cとで着用者の両脚の太股部分を取り囲む左右一対の脚周り開口部10Lが形成されている。
【0015】
着用時に前身頃領域10Fは、着用者の腹側に位置し、後身頃領域10Rは着用者の背側に位置する。そして、着用時に股下領域10Cは、着用者の股下を覆い、左右一対の脚周り開口部10Lに、着用者の脚がそれぞれ通された形となる。したがって、脚周り開口部10Lは、着用者の両脚の付け根から太股あたりのいずれかに位置することとなる。
【0016】
仮想線Pは、おむつ中央部において腹側から背側に向かって、股下部分を通って延びるものである。具体的には、仮想線Pは、例えば、おむつのウエスト側を上、股下側を下として定義すると、おむつ表面に沿って、かつ上下方向に延びると共に、股下部分を経由して、背側においても上下方向に延びるものである。
【0017】
おむつ10の外側に位置するカバーシート11の後身頃領域10Rの左右両端縁部には、着用時に前身頃領域10Fの左右両端縁部に重ね合わせてこれらをつなぎ、脚周り開口部10Lを形成し得る左右一対のファスニングテープ10Aが接着されている。このファスニングテープ10Aは、前身頃領域10Fのカバーシート11上に接着されたフロントパッチシート10Bに対して繰り返し剥離可能に接合される。
【0018】
図2は、
図1に示すおむつ10の模式的な分解斜視図であり、
図3は、本発明の一実施形態に係る、伸張状態のおむつ10をトップシート14側から見た模式的な平面図である。
図2の吸収体13および
図3のおむつ10については、説明の便宜上、部分的に破断した状態をそれぞれ示している。
【0019】
図2に示すように、本実施形態におけるおむつ10は、外側から順に、良好な手触りを得るために薄い不織布にて形成されるカバーシート11と、液不透過性を有するバックシート(裏面シート)12と、細長い吸収体13と、液透過性を有するトップシート(表面シート)14と、疎水性のシート部材で構成された一対の立体ギャザー(サイドシート)15とを重ねた積層構造を有しているものである。
【0020】
カバーシート11の股下領域10Cの左右両側には、それぞれ脚周り開口部10Lとなる一対の切欠き部11Nが形成されている。カバーシート11と一対の立体ギャザー15との間には、脚周りギャザーを形成するための一対の糸ゴム16がそれぞれ伸張状態で接着されている。
【0021】
バックシート12は、カバーシート11に接合され、吸収体13は、このバックシート12とトップシート14との間に配置され、この吸収体13を介してトップシート14がバックシート12に接合される。また、バックシート12のうち、後身頃領域10Rの上端部に対応する領域には、バックシート12の幅方向に沿って延び、着用者に対してウエスト周りに適度な着用感を与えるための弾性シート10Dが接合されている。
【0022】
トップシート14の下に位置する本実施形態の吸収体13は、主にパルプとSAPとからなる吸収性本体17を、ティシュや不織布等の被覆部材(コアラップ)18によって包んだマット状のものである。本実施形態では、吸収性本体17はSAPを含むものであるが、本発明ではSAPを含まないものであってもよい。吸収性本体17を被覆部材18により包むことで形成される継ぎ目は、例えば、
図2に示すように、吸収体13の上面であって長手方向に延びるように形成される。本実施形態の吸収体13は、前身頃、股下、後身頃に亘るように、細長い形状をしている。ここで、前身頃部分から後身頃部分を前後(上下)方向とし、それに直交する方向を左右方向とすると、本実施形態の吸収体13は、前後(上下)左右の長さが異なる矩形のものである(
図2および
図3では、前後(上下)の長さが左右の長さより長くなっている)。なお、本実施形態の吸収体13の形状はこれに限らず、例えば、前後(上下)左右の長さが同程度の略正方形のもの、前後(上下)端の角が丸く落とされているもの、前後(上下)に延びる楕円形のもの、円形のもの等、さまざまな形状を含む。また、吸収体13の股下部分には、一対の脚周り開口部10Lに対応するように、円弧状をなす一対の切欠き部が形成されても良い。本実施形態では、
図3に示すように、吸収体13の表面には、複数の凹部20が連続的に形成され、斜め格子状に配列されている。凹部20が連続的に形成されることで、空気が腹側または背側に通り抜けることができるようになり、通気性を確保することが可能となる。また、本実施形態では、吸収体13には、複数の凹部20が交差する領域において、その領域のバックシート12側が隆起するように隆起部が設けられる(後述する
図4の符号21を参照)。これら凹部20および隆起部は、例えば、回転する2つのロールによって吸収体13を挟搾することでそれぞれ形成される(後述する
図8を参照)。
【0023】
一対の立体ギャザー15は、吸収体13の長手方向に沿って設けられ、吸収体13の長手方向に延びる両側縁部のうち、一方の側縁部は略直線形状を呈し、他方の側縁部には、股下付近に切欠き部15Nが形成されている。一対の立体ギャザー15の内側部分がトップシート14に対して非接合状態となっており、立体ギャザー15は、その略直線形状の側縁部に自由端を含む。立体ギャザー15の自由端には、
図3に示すように、引っ張り力を作用する弾性部材である糸ゴム19が吸収体13の長手方向に沿って伸張状態で配置されている。一対の立体ギャザー15は、この糸ゴム19により、着用状態において吸収体13の両側縁部に沿って起立可能となる。
【0024】
<凹部および隆起部>
図4は、
図3におけるIV−IV方向断面について示した模式図である。このIV−IV方向の断面指示線は、
図3において、複数の凹部20が交差する領域の中央部を通るように引かれている。つまり、
図4で示される2つの凹部20は、複数の凹部20が交差する領域を指すものである。
図5は、
図3におけるV−V方向断面について示した模式図である。このV−V方向の断面指示線は、
図3において、複数の凹部20が交差する領域から外れた位置を通るように引かれている。つまり、
図5で示される4つの凹部20は、複数の凹部20が交差しない領域を指すものである。
図6は、
図3におけるVI−VI方向断面について示した模式図である。また、
図7は、本実施形態に係る、吸収体13をトップシート14側から見た模式的な平面図である。
図7に示す実線は凹部20を表し、複数のドット状のハッチング領域は隆起部21を表す。
図7に示す破線は、複数の隆起部21を含むように吸収体13の長手方向に引かれたものであり、後述の
図8にて説明する「第2ロール40の窪み部41」に対応するものである。
【0025】
図4に示すように、複数の凹部20が交差する領域の下方にあたる位置であって、吸収体13のバックシート12側には、隆起部21がそれぞれ形成されている。つまり、隆起部21は、複数の凹部20が交差する領域において、その領域に対応する吸収体13のバックシート12側に形成されている。本実施形態では、隆起部21は、第1凹部20aと第2凹部20bとが交差する領域に対応する吸収体13のバックシート12側が、当該交差する領域以外の第1凹部20aまたは第2凹部20bに対応する吸収体13のバックシート12側よりも隆起するように形成されている。ここで、当該交差する領域以外の第1凹部20aまたは第2凹部20bに対応する吸収体13のバックシート12側は、
図5に示すように、複数の凹部20が交差しない領域に対応する吸収体13のバックシート12側である。
図4に示す凹部20の下方の吸収体13のバックシート12側の表面は、
図5に示す凹部20の下方の吸収体13のバックシート12側の表面と比較して、隆起しているのが見て取れる。
【0026】
この隆起部21が、複数の凹部20が交差する領域に形成されることによって、吸収体13の当該部分において圧搾の程度が小さいので、パルプやSAPの結合が弱くなる結果、吸収体13が複数の凹部20が交差する領域において曲がりやすくなり、おむつ10のフィット感を向上させることが可能となる。
【0027】
本実施形態では、隆起部21の隆起は、
図4に示すように、おむつ10の外側に突き出すように形成されているが、本発明では、これに限られない。隆起部21が、上記交差する領域以外の凹部20の底部に対応する表面に対して隆起するように形成されていれば、隆起部21は、おむつ10の外側に突き出すように形成されていなくてもよい。これは、例えば、複数の凹部20が交差しない領域に対応する吸収体13のバックシート12側の表面が、おむつ10に対して内側に凹んでいる場合が挙げられる。
【0028】
また、本実施形態では、隆起部21は、少なくとも複数の凹部20が交差する領域に形成される。本発明では、隆起部21を、交差する領域以外の第1凹部20aまたは第2凹部20bに対応する吸収体13のバックシート12側に形成してもよい。この構成により、吸収体13のうち交差する領域以外の凹部20の底部が柔らかくなるため、一層フィット感を向上させることができる。
【0029】
凹部20の底部に対応する吸収体13のうち被覆部材18を含んだ最も薄い部分の厚さは、0.1mm〜1.0mmが、本発明の効果を有効に発揮する上で好ましい。また、吸収体13のうち隆起部21が形成された凹部20に対応する領域の厚さは、上記最も薄い部分の厚さより0.1mm〜1.0mm厚いのが好ましく、0.2mm〜0.4mm厚いのが、本発明の効果を有効に発揮する上でより好ましい。この場合、SAPとパルプを混ぜた吸収性本体(吸収マット)17の坪量の範囲は170g/m
2〜600g/m
2が好適であり、240g/m
2〜530g/m
2がより好適である(パルプの坪量の範囲は80g/m
2〜300g/m
2が好適であり、160g/m
2〜240g/m
2がより好適である)。
【0030】
図7に移り、吸収体13のトップシート14側には、
図7に示すように、第1方向に沿って延びる第1凹部20aと、第1凹部20aに対して交差状態で第1方向と異なる第2方向に沿って延びる第2凹部20bと、が形成されている。そして、第1凹部20aおよび第2凹部20bは、互いに平行に並んだ複数の溝でそれぞれ構成されている。また、隆起部21は、
図7に示すように、第1凹部20aと第2凹部20bとが交差する領域に対応する吸収体13のバックシート12側において、第1凹部20aまたは第2凹部20bの底部に対応する表面に対して隆起するように形成されている。
【0031】
本実施形態において、凹部20は、吸収体13の幅方向(
図7における左右方向)の端部まで形成されているのではなく、吸収体13の長手方向(
図7における上下方向)に沿った帯状に形成されている。凹部20が形成されている吸収体13の領域を凹部形成領域N1とし、凹部20が形成されていない吸収体13の幅方向両端部の領域を凹部非形成領域N2とする。本実施形態では、凹部非形成領域N2を備えているが、本発明はこの形態に限らず、吸収体13の端部まで凹部20が設けられていてもよいことは言うまでもない。したがって、本発明は、凹部非形成領域N2を設けない構成であってもよい。また、本発明は、凹部20が吸収体13の長手方向(
図7における上下方向)の端部まで形成されない態様や、当該端部まで形成される態様を許容するものである。当該端部まで形成される場合には、通気性および蒸れ防止を向上させることが可能となる。
【0032】
本実施形態では、凹部20は、吸収体13の幅方向における、一方側(
図7中、向かって右側)に傾斜して延びる第1凹部20aと、他方側(
図7中、向かって左側)に傾斜して延びる第2凹部20bとによって構成される。仮想線Pの吸収体13上での位置は、前身頃部分上端から後身頃部分下端に向かって延びるものとなる。具体的には、
図7に示すように、吸収体13が細長い形状である場合、長手方向に延びるものである。凹部20は、この仮想線Pに対して傾斜して延びる。すなわち、仮想線Pを軸として側辺に沿った方向、例えば、長手方向に対し、第1凹部20aは、一方側に角度αで傾斜し、第2凹部20bは、他方側に角度βで傾斜する。角度αと角度βは同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、
図7では、複数の第1凹部20aはそれぞれ同じ角度で傾斜し、一定間隔で配置されている。すなわち、各第1凹部20aが平行かつ一定間隔で配置されているが、本発明はこれに限らず、凹部20の間隔が一定でないものや、各凹部20の傾斜角度が異なるものも含む。第2凹部20bについても同様である。
【0033】
また、本実施形態では、隆起部21は、
図7に示すように、少なくとも一対の平行な輪郭を有し、複数の隆起部21は、斜め格子に沿って整列され、互いに平行に形成されている。さらに、隆起部21が平行な輪郭を有することで、吸収体13をその輪郭部分で折り曲げやすくすることが可能となっている。したがって、隆起部21の輪郭形状を決定することによって、吸収体13の折り曲げ部分を任意に設定することが可能となっている。
【0034】
本実施形態に係るおむつ10の構成によれば、複数の凹部が交差する領域において柔らかさを向上させ、吸収体13を複数の凹部において折り曲げやすくなるため、おむつ10のフィット性を向上させることが可能となる。
【0035】
<製造装置>
図8は、本発明の一実施形態に係る、2つのロールで吸収体13を挟搾している様子について説明するための図であり、
図9は、凸部31と窪み部41とで吸収体を挟搾しているときの断面図であり、
図9(a)はMD方向(流れ方向)におけるもの、
図9(b)はCD方向(幅方向)におけるものである。
図9(a)および
図9(b)の断面は、複数の凹部20が交差する領域の中央部を通るように切断されているものである。つまり、
図9(a)および
図9(b)で示される凹部20は、複数の凹部20が交差する領域をそれぞれ示す。
【0036】
本実施形態に係るおむつ10を製造する製造装置100は、第1ロール(第1回転部材)30と、第1ロール30と共に回転する第2ロール(第2回転部材)40と、を備えて構成される。第1ロール30は、凸部31が形成された外周面部を有し、吸収体13のトップシート14側を凸部31で圧搾するように構成される。第2ロール40は、窪み部41が形成された外周面部を有し、第1ロール30と共に回転することによって、凸部31と窪み部41とで吸収体13を挟搾し、吸収体13のバックシート12側を窪み部41で圧搾するように構成される。
【0037】
凸部31は、第1凹部20aを形成するように構成され、第1方向(
図7に示す第1凹部20aの形成方向)に対応する第3方向に沿って延びる第1凸部31aと、第2凹部20bを形成するように構成され、第1凸部31aに対して交差状態で、第3方向と異なり第2方向(
図7に示す第2凹部20bの形成方向)に対応する第4方向に沿って延びる第2凸部31bとを含む。
【0038】
窪み部41は、第2ロール40のうち、第1凸部31aと第2凸部31bとが交差する領域に対応する位置に配置される。本実施形態では、窪み部41は、互いに平行に並んだ複数の溝で形成される。よって、窪み部41は、単純な構造なので、第2ロール40に容易に形成することが可能となっている。
【0039】
本発明の効果を有効に発揮する上で、第1ロール30の凸部31と第2ロール40の窪み部41との関係において、第1ロール30の径方向における凸部31の高さ(厚さ)は2mm〜20mmが好ましく、5mm〜10mmがより好ましい。また、第2ロール40の径方向における窪み部41の深さは0.05mm〜5mmが好ましく、0.1mm〜0.5mmがより好ましい。
【0040】
本実施形態に係るおむつ10は、例えば、以下の製造方法により製造される。
【0041】
先ず、パルプとSAPとで構成された吸収性本体17を被覆部材18で包み、連続するマット状の吸収体13を生成する。
【0042】
そして、
図8に示すように、MD方向の上流からA方向に流れてきた連続する吸収体13を、第1ロール30がB方向に回転し且つ第2ロール40がC方向に回転することで挟搾し、連続する吸収体13にエンボス加工を施す。このエンボス加工により、連続する吸収体13に凸部31および窪み部41が形成される。具体的には、第1ロール30によって、第1凹部20aと第2凹部20bとが形成されるように、連続する吸収体13のトップシート14側を圧搾し、当該圧搾すると同時に、第2ロール40によって、第1凹部20aと第2凹部20bとが交差する領域に対応する吸収体13のバックシート12側に隆起部21が形成されるように、連続する吸収体13のバックシート12側を変形させる。
【0043】
次に、エンボス加工後の連続する吸収体13をMD方向の下流に流し、切断装置によりおむつ1枚分に必要な長さで切断されて、トップシート14、バックシート12、カバーシート11等と接合された後、おむつ10が製造される。
【0044】
本実施形態では、吸収性本体17と被覆部材18を圧搾することで、凹部20および隆起部21を形成しているが、本発明はこれに限られない。例えば、吸収性本体17と被覆部材18(すなわち、吸収体13)とトップシート14とを積層したものに対して圧搾したり(後述する
図10を参照)、吸収性本体17のみを圧搾したりすることによって、凹部20および隆起部21を形成してもよい。吸収性本体17のみを圧搾する場合、当該吸収性本体17にSAPが含まれないものを使用してもよい。
【0045】
吸収体13とトップシート14とを積層したものに対して圧搾する場合、予め分けられた(例えば切断された)吸収体13とトップシート14とを接合したものに対して、圧搾が施されてもよい。
図10は、本発明の別の実施形態に係る、2つのロールで吸収体13およびトップシート14を挟搾している様子について説明するためのMD方向における模式的な断面図である。トップシート14は、
図10に示すように連続している。複数の吸収体13はそれぞれ、予め積層されてマット状になっており、おむつ10の1枚分に分けられている。複数の吸収体13は、
図10に示すように、それぞれ一定間隔を空けて、連続するトップシート14に接合(例えば接着)されている。
【0046】
複数の吸収体13とトップシート14とを積層したものは、
図10に示すように、A方向に流れ、上記実施形態と同様に、製造装置100の第1ロール30と第2ロール40とで挟搾される。これにより、吸収体13とトップシート14とが一緒に挟搾され、吸収体13とトップシート14とを積層したものには、凹部20および隆起部21が形成されることになる。圧搾後の吸収体13およびトップシート14に、バックシート12、カバーシート11等を接合して、必要な長さに切断すると1枚のおむつ10が製造されることになる。
【0047】
また、本実施形態では、第1ロール30および第2ロール40で挟搾することで、吸収体13のバックシート12側に隆起部21を設けたがこの限りではなく、本発明では、例えば、吸収体13のバックシート12側を吸引することで隆起部21を設けてもよい。
【0048】
<変形例>
本発明は、上述した実施形態に限られることなく、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲で、適宜の変更や変形が可能である。
【0049】
例えば、上記実施形態に係るおむつの構造は、上述したような展開型に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に規定された吸収性物品の構成を含むおむつでありさえすれば、どのような構成であってもよい。例えば、パンツ型の使い捨ておむつや、尿パッド等であっても本発明を適用可能である。
【0050】
加えて、上記実施形態では、複数の凹部20が吸収体13の表面に連続して形成されることで、斜め格子状の配列パターンが出来上がっているが、これに限られない。本発明では、複数の凹部20が交差する領域が存在さえすれば、例えば、複数の凹部20は、吸収体13の表面に間欠的に形成されてもよいし、凹部20の配列パターンは、例えば、三角形、六角形等の多角形の配列パターン、直線状、曲線状、または波状のものを並列したパターン等様々な配列パターンであってもよい。
【0051】
上記実施形態では、凹部20および隆起部21において、トップシート14、吸収体13、バックシート12、およびカバーシート11は、全面的に接合されているが、本発明では、部分的に接合されてもよい。
【0052】
上記実施形態では、第1凸部31aと第2凸部31bの山の高さは等しい、つまり、第1凹部20aと第2凹部20bの底部の深さは等しくなっているが、本発明は、等しくなくても、複数の凹部の交差する領域が柔らかくなるという効果を発揮しうるものである。複数の窪み部41の深さや複数の隆起部21の隆起部分の高さについても同様で、それぞれ等しくなくてもよい。
【0053】
さらに、上記実施形態では、
図4から
図10に示した隆起部21、凸部31、窪み部41の各形状や各パターンに限られず、本発明では、以下のような変形例も含むことが可能である。
【0054】
図11は、第1ロール30の表面における凸部パターンの例を示す平面図であり、
図11(a)は斜め格子状のパターン、
図11(b)は縦横格子状のパターンをそれぞれ表す。
図12は、第2ロール40の表面における窪み部パターンの例を示す平面図であり、
図12(a)は縦(第2ロール40の周方向)のストライプ状のパターン、
図12(b)は市松模様のパターン、
図12(c)は菱形が斜め格子状に整列しているパターン、
図12(d)は正方形が縦横格子状に整列しているパターンをそれぞれ表す。
図13は、吸収体13に形成される隆起部パターンの例を示す図であり、
図13(a)は蝶形が斜め格子状に整列しているパターン、
図13(b)は略斜め十字が連続したパターン、
図13(c)は菱形が斜め格子状に整列しているパターン、
図13(d)は縦のストライプ状のパターン、
図13(e)は正方形が縦横格子状に整列しているパターン、
図13(f)はX形が斜め格子状に整列しているパターンをそれぞれ表す。
図11(a)および
図11(b)において凸部31はドット状のハッチング、
図12(a)から
図12(d)において窪み部41は網目状のハッチング、
図13(a)から
図13(f)において隆起部21は複数の斜線のハッチング、でそれぞれ表される。
図11(a)、
図12(a)および
図13(a)は上記実施形態と同様のパターンである。なお、第1凸部31aと第2凸部31bとが交差する領域と、窪み部41とは、それぞれ対応するように配置され、第1ロール30および第2ロール40の回転したときに互いに重なるように、当該2つのロールの回転に同期が取られているものとする。
【0055】
第1ロール30の表面に形成される凸部パターン、第2ロール40の表面に形成される窪み部パターン、および吸収体13に形成される隆起部パターンは様々な形状にすることが可能であり、また様々な組み合わせが可能である。例えば、
図11(a)に示す凸部パターンを有する第1ロール30と、
図12(b)に示す窪み部パターンを有する第2ロール40と、で吸収体13を圧搾すれば、吸収体13には
図13(b)に示すような略斜め十字が連続したパターンの隆起部21が形成される。隆起部21がこの形状になることで、吸収体13のうち、複数の凹部20が交差する領域に形成される隆起部21に加えて、複数の凹部20が交差しない領域にも隆起部21が形成され、複数の凹部20が交差しない領域についても柔らかさが増すため、フィット性を一層向上させることが可能となる。
【0056】
また、
図11(a)に示す凸部パターンを有する第1ロール30と、
図12(c)に示す窪み部パターンを有する第2ロール40と、で吸収体13を圧搾すれば、吸収体13には
図13(c)に示すような菱形のパターンの隆起部21が形成される。
【0057】
さらに、
図11(b)に示す凸部パターンを有する第1ロール30と、
図12(a)に示す窪み部パターンを有する第2ロール40と、で吸収体13を圧搾すれば、吸収体13には
図13(d)に示すような縦のストライプ状のパターンの隆起部21が形成される。隆起部21がこの形状になることで、吸収体13のうち、複数の凹部20が交差する領域に形成される隆起部21に加えて、複数の凹部20が交差しない領域にも隆起部21が形成されることになり、
図13(b)において説明したような効果を有することになる。
【0058】
そして、
図11(b)に示す凸部パターンを有する第1ロール30と、
図12(d)に示す窪み部パターンを有する第2ロール40と、で吸収体13を圧搾すれば、吸収体13には
図13(e)に示すような正方形のパターンの隆起部21が形成される。
【0059】
加えて、
図11(a)に示す凸部パターンを有する第1ロール30を使用して吸収体13を圧搾する場合に、
図12(a)の複数の窪み部41の幅をそれぞれ広げたものを使用すると、吸収体13には
図13(f)に示すようなX形のパターンの隆起部21が形成されることになる。本発明では、勿論、上述したパターンや組み合わせに限られるものではない。このほか、第1ロール30の表面における凸部パターンの例として、横(CD方向)や斜め方向のストライプ状のパターン、曲線を用いたパターン等が挙げられる。これは、窪み部パターンについても同様である。また、
図13(a)から
図13(f)において、隆起部21は直線で構成されているが、本発明の効果を得られる範囲で曲線であってもよい。
【0060】
また、上述した複数の隆起部21は、それぞれ形状や大きさ(面積)が同じであるが、本発明では、異なるものであってもよい。例えば、吸収体13を大きく屈曲させたい部位に大き目の隆起部21を設けてもよい。大きく屈曲させたい部位とは、例えば、股下領域10Cの両脇側(脚側)で吸収体13をポケット状にしたい場所、股下領域10Cと後身頃領域10R(背側)の境目部分、股下領域10Cと前身頃領域10F(腹側)の境目部分、着用者の体のカーブに沿って変形させたい胴回り、などである。
【0061】
また、上記実施形態では、
図9に示した窪み部41の断面形状に限られず、本発明では、以下のように変化させることも可能である。
【0062】
図14は、窪み部41の断面形状の例を示す図であり、
図14(a)は台形形状、
図14(b)は側壁が2段になった溝をそれぞれ表す。
図14(a)は上記実施形態と同様の窪み部41の断面形状である。側壁が2段になった溝を有する窪み部41と凸部31とで吸収体13を挟搾することによっても、上記実施形態と同様に、窪み部41を形成することが可能であるため、凹部の交差する領域において柔らかさを得ることが可能となる。